【第4話】
「恐怖!悪魔のカレーショップ」
ある日イナは曇利を店に誘った
イナ
「ねぇねぇ彼ピ、たまには2人っきりで外食でもしない?」
雲利
「え、外食?」
………
雲利
(この子って一体どういう所で何を食べるんだ?天才だからな……)
雲利
(やっぱりいい所で食べるのかな?フランス料理とか、ステーキとか………)
……
イナ
「ほら、ここだよここ!」
雲利
「え、カレーの店!?」
イナ
「ん?ダメだった?」
雲利
「いや……なんか、意外だなぁって思っただけ」
イナ
「そっか!一天堂のカレーマジやばいのよ!」
イナ
「ウチが定期的に出資してるしね」
雲利
(やっぱ普通じゃなかったわ)
…………
雲利
「中身は普通のカレー屋だった………」
イナ
「あーうまっ!ほんとココのカレー最高だしマジで」
雲利
「ここはよくまぁ普通に運営できるよ、僕の知ってるところは悪の組織に荒らされ放題で殆ど閉店したからね」
イナ
「この店はその度ウチが補填してるからオールオッケーってわけ」
雲利
「なんでこの店をそんな気に入ってるの?」
イナ
「んーーー、なんでだろ、気分?」
イナ
「なんとなーーく、その店にフラッと入って、なーんかここは守っときたいなぁって」
雲利
「君ってホント自由だな……そんな理由で守られていいのか、このカレー屋」
イナ
「いいのいいの!実際護ってから味は良くなったんだし」
雲利
「それはそうだけど………」
雲利
「それにしては何だか客足があまり無いような」
イナ
「そうなんだよねー、なんか最近は急にお客さんが居なくてさー」
雲利
「店員に何か問題があるって訳でもないけど…」
イナ
「で、今エゴサもしてるけど特に悪評はないみたいだしさー」
イナ
「ねぇ彼ピ、どうすりゃいいかな?」
雲利
「うーん………僕から考えてこういうのって」
雲利
「近くにライバル店でも出来たんじゃないかな」
イナ
「ライバル店~?そんなのあるかなぁ」
イナ
「いつもは金握らせて撤退させてるのに」
雲利
「待って君サラッとえげつない事してないかい?」
………
イナ
「ググッたら近くになんか変な店あったわ」
雲利
「変な店あった!?」
イナ
「ということで行ってみっべ」
雲利
「ごめん僕のお腹はカレー2杯も入るほど万能じゃないんだ」
イナ
「じゃあテイク・アウトしていこうか」
雲利
「あるんだテイクアウト」
…………
イナ
「あれよあれ、あの謎っぽい店」
雲利
「………デビルスパイス?仕事柄色んな店は調べているが、そんな所は聞いたところも見たこともないな」
イナ
「うっわー、えげつないくらい客いる」
雲利
「どこからどう見てもあの店にお客さん取られていると考えるのが自然だね」
イナ
「どうするよ、ウチの店以外もヤバくない?」
雲利
「やばいね」
雲利
「なんなら窓越しから見えてるイッちゃったお客さんの顔もやばいね」
イナ
「彼ピ行かせたら不味いやつね」
雲利
「というか食べるのが怖い」
イナ
「多分アレ悪の組織的な奴かな?」
雲利
「カレー屋に成りすます悪の組織も中々レアだよ」
イナ
「んじゃま、ちょっと調べてくる」
雲利
「一応言っとくけど、破壊活動だけはしないようにね!!」
イナ
「分かってる分かってる~」
………
そう言って、雲利とイナは別行動になる。
雲利
「さて、僕の方もデビルスパイスについて調べてみるか………」
雲利
「こういう時、ニュースサイトで記事を作ると便利なんだよなぁ……」
雲利
「して、ここまで記事がどう伸びるか……」
雲利
(あと、折角だからエレキボルトやイナの記事も作っておくか。)
数分後
雲利
「それにしてもイナ遅いな………順番待ちでもしてるんだろうか?」
雲利
「…………ん?エレキボルトの記事に
コメントが来ている」
【それは本当にエレキボルトですか?】
雲利
「それは本当に……まさか偽物でもいるのか?いや、2体目?」
雲利
「どっちにしてもあんな物を見せられたんだ、彼女以外にエレキボルトは有り得ない」
イナ
「彼ピただいま~」
雲利
「どうだった?」
イナ
「普通にカレー弁当買ったよ、だから一応叔父たんに 見てもらう」
雲利
「あ、そういえばおじさん医者だっけ……」
………
雲利
「で、どうだったの?」
イナ
「白か黒かで言うと思いっきりガングロみたいな、まぁヤバいんだってさ」
雲利
「ヤバいのは知ってるよ、どうやばいのかを聞いてるんだ」
イナ
「あかんおくすり」
雲利
「了解記事にできるようにオブラートに書いておく」
イナ
「とすると、こいつは潰していいやつってことでいいわけで!」
雲利
「待った」
雲利
「今回は悪の組織かもしれないが、単なる悪事しているだけの企業かもしれないんだ」
雲利
「………まぁ、悪事しているだけの企業もそれはそれで問題だらけなんだけどね」
雲利
「下手に破壊で解決して、訴えられでもしたら君でも不利になる可能性がある」
イナ
「お、もしかして彼ピウチの事心配してくれるの?」
雲利
「まぁ、危ないと心配しているのはそうだが………」
雲利
「とにかく、今回は慎重に行動して」
雲利
「何かあると……本当に色んな意味で心配だから」
イナ
「んふふ、ありがと彼ピ」
イナ
「じゃ、ウチは違うアプローチを考えてみる」
イナ
「変身!!」
エレキボルト
「っし!!やってやりますか!!」
雲利
「本当に大丈夫なのかな………」
………
デビルスパイスに潜入したエレキボルトは、高速で厨房に乗り込む。
イナ
「さて、この辺りにあるはずなんだけど………」
ーーーーーーーーーーーーー
数分前
ゼン
「一体こんなもの、どこで見つけてきた……」
イナ
「ウチのおきにのカレー屋の隣の所」
ゼン
「ああ……子供の頃始めた投資ごっことかで飼い殺……存続させているあの小さな店の」
ゼン
「あの隣か……このカレーの成分はまずいぞ」
ゼン
「違法ドラッグとかドーピングや劇薬なんてそんなたぐいでは無い………G-devilが入っている」
イナ
「じーでびる?」
ゼン
「昔学会で少しだけ資料を見た事がある薬剤だ、こういう形の」
イナ
「あ、これウチも見たことあるかも」
イナ
「なんか脳がヤバい薬なんだっけか、臨死?」
ゼン
「そう、臨死………食べてすぐは反応しないが、数時間後に意識が生と死の境に彷徨う、そんな薬だ。」
イナ
「店の中でキマってるのは?」
セン
「思いっきり死にかけだ」
イナ
「うわーマジやべーじゃん」
セン
「そういうことだ、雲利君も釘を刺すと思うがあまり野蛮な行動はとるんじゃないぞ」
イナ
「じゃどうすりゃいいわけ?」
セン
「d-devilさえ無ければいい、流通ルートはまた雲利君と協力でもして暴くとして、ひとまずは潜入して全て回収してくればいい」
イナ
「わかった」
セン
「君の『わかった』程信用出来ない言葉は存在しない 」
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エレキボルト
「d-devilの瓶ってどのやーつ?」
エレキボルト
「つーか人いねーし、店まで機械化?」
と、中を荒らし回っていると………
機械からカレーが出て、紫色の液体を流し込んで混ざってるのが見えた
エレキボルト
「思ッッッッッいきりアレだわ」
エレキボルト
「うわーこういうタイプ?辿っていくのめんどくせー………」
……
エレキボルト
「もしもし彼ピ」
雲利
【どうしたの、ていうかなんで僕のプライベート番号知ってるの】
エレキボルト
「勘でかけた」
雲利
【なんなの君………それでどうかしたの?】
エレキボルト
「かくかくしかじか」
雲利
【薬を見つけたの?それで?】
エレキボルト
「工場見学感覚でずっと薬辿ってんだけどさ、どーも1から作ってるみたいなのよね」
雲利
【1からか………それは面倒だな、写真とか撮れるかい?】
エレキボルト
「しゃしん~?エレキボルトにそんな機能あったかなぁ~?」
エレキボルト
「1から作ってるならもう作れないようにしといた方がいいよね?」
雲利
【まぁそうだけど、一体何をするの?】
エレキボルト
「とりあえず石ころでも詰めて、別のところは爆発させておく」
雲利
【労災ィー!!】
エレキボルト
「あとはカレーも処分しておこうかな」ドン!!
雲利
【告発に使えるから少しは回収しておいてね】
エレキボルト
「りょうかい~」
エレキボルト
「あ、誰か来そうだから扉は溶接しておこ」バチバチッ!!
エレキボルト
「よし行動終わり!即座に撤収するからウチの部屋で待ってて彼ピ!」
エレキボルト
「ただっいま~」
セン
「本当にやったのかお前」
エレキボルト
「んえ、彼ピは?」
セン
「雲利君は急用があるとかで私に頼んだんだ」
セン
「彼にも生活があるんだ、あまり迷惑をかけるんじゃないよ」
イナ
「うえ~………わかった。」
イナ
「で、これがその何とかデビルが作られたやつとカレーね」
セン
「彼から軽く聞いていたが、その場で作っていたとは………これを例のニュースサイトで上げればあの店もおしまいだろう」
イナ
「そんなんで大丈夫なの?」
セン
「お前はエレキボルトのネームバリューを分かっているのか?」
セン
「エレキボルトが動いたというだけで世間は大騒ぎになる」
イナ
「ふーん、そういうもんかぁ」
イナ
「彼ピが何してるかだけ気がかりだけど、まあいいか」
セン
「私は彼が何をしているかは大体予想できる。」
セン
「雲利君はこんなことを言ってたよ、『エレキボルトは一人だけじゃないかもしれない』と」
イナ
「エレキボルトは一人だけじゃない~?」
セン
「その口ぶりだと何も知らないようだな…」
イナ
「全然知らない、ウチをエレキボルトにした組織は木っ端微塵にしたし、他に誰がいたかも覚えてないし」
イナ
「ま、エレキボルトがウチ以外にいるならいるで、大したことはないんだけど」
イナ
「彼ピとられるのだけはやだなー」
セン
「元より君の恋人でもないだろう……そもそも君は彼の事をそこまで知らないだろうに…」
セン
(しかし不思議だ)
セン
(あの雲利アメという男、検査もしたがごくごく普通の青年としか思えなかった)
セン
(あんな性格だが、あまり人を好くするような人間じゃなかったイナがあそこまで入れ込むことがあっただろうか?)
……
そして雲利は…
雲利
「ふぅ・・・・疲れたぁ」
雲利
「あの子に好かれて大分たつけど本当に疲れるなぁ」
雲利
「というか僕、折角記者になれたのにクビになったし…」
雲利
「なぁ?稼ぎはあるからいいけどお前に苦労させて悪いなぁ」
雲利
(ああ、僕には彼女に言えない秘密がある)
雲利
(あの子は僕のことを彼ピとか言うけど)
雲利
(僕には普通にお付き合いを決めて結婚も間近な女性がいるんだよね…)
雲利
「これがイナにバレたらどうなるんだろう……僕死ぬのだろうか…?」
雲利
「あっ、なんでもないよ、気にしないで」
最終更新:2022年06月19日 13:18