【第5話】
「爆発!!無差別テロを食い止めろ」
雲利
「イナ!!そのタワー内に爆弾が二つ!!あと三十分しかない、急いで!!」
エレキボルト
「りょ!!これくらい余裕だし!!」びゅんびゅん!!
こうなったのは今から数十分前に遡る。
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雲利
「イナ……なんか、妙だ。」
イナ
「妙って何が?」
雲利
「このニュースサイトに
コメントが度々来るのはいいんだけどさ、その中に変なのがあるんだ」
イナ
「んー………番号?英語?」
雲利
「数字の羅列………スパムかもしれないけど、何か引っかかってるんだよな」
イナ
「うしっ、こういう時はライブ配信で視聴者に考察してもらお」
イナ
「ちょうどネタ欲しかったし丁度いいって感じ」
雲利
「そういえば君ビーチューバーだったね………僕もなにか分かったらスグ連絡入れるから」
イナ
「りょうかいりょうかい~」
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イナ
「びりっちゃ~今日の配信はさー!このサイトに描かれた謎のコメントについて、一体何なのか聞いてみようと思ってさー!」
「446ー6487」
イナ
「この番号って一体なんなんか知らね?」
イナ
「え?ふんふん、ありがとー」
イナ
「じゃあ、この隣の……」
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雲利
「…………あれ、よく見たら番号が他にもある、キーワードも……」
雲利
「IPを辿るとみんな同じだから愉快犯じゃない……これは………」
イナ
「彼ピ彼ピ!キーワード分かったよ!」
イナ
「V街ビーホロ八館!暗号は3階のどこかだって!」
雲利
「V街のビーホロ八館の3階のどこか?………」
雲利
「………まさか!!」
イナ
「どったの?」
雲利
「この定期的に送られてくる文字化けを直すと数字になり、少しずつ違う数字にしている」
雲利
「これって………タイムリミット」
雲利
「まさかこれ、爆弾をセットしたっていう犯行声明じゃ!?」
イナ
「は!?すげーじゃん!!……じゃなかった、やべーじゃん!!」
雲利
「急ごうイナ!!タイムリミットを見た感じあと10分しかない!!」
イナ
「あと10分?よゆーよゆー!」
イナ
「変身!!」
エレキボルト
「エレキボルトなら、10分どころか1分で回収できるから!」
バビュンッ!!
雲利
「ほ、本当に早く行っちゃった………」
雲利
「……あ、そうだ!!これ、警察に報告した方がいいよな!?」
エレキボルト
「ただいま!」
雲利
「早っ!?」
エレキボルト
「そりゃまぁ八館とか、すぐ近くみたいなもんだし?」
雲利
「………で、3階には?」
エレキボルト
「あったあった!まじまじのアリよ!」
エレキボルト
「しっかり分解して持ってきといたから!」ガシャガラガラ
雲利
「うわっ!?分解って……イナ自分で解除したの!?危ないな………」
エレキボルト
「でも良かったじゃん?結果的に爆発は未然にふせげたよ、彼ピのおかげでなんとかなったんだよ?」
雲利
「あ、ああ…………」
雲利
「ん?……おかしい」
エレキボルト
「どったの彼ピ」
雲利
「コメントが………止まっていないんだ」
エレキボルト
「は?そんなの犯人が気付いてないだけってことじゃないわけ?」
雲利
「いや、それにしてもおかしい……文字化けの頻度が増え始めた、これは………」
エレキボルト
「まだ爆弾がある的な感じ?」
雲利
「かもしれない!他のコメントも見ておいて!」
エレキボルト
「りょ!」
…………
エレキボルト
「そんなこんなで色々爆弾解除してるけどさー!!全然無くなんないんだけど!!」
雲利
「次から次へとコメントが来ている………おまけにどんどん制限時間の幅が短くなっているよ!」
エレキボルト
「あーーもう!イラついてきた!」
エレキボルト
「というか、ちょっと電力が………切れて……」
ガクッ
イナ
「…………」
雲利
「え…………」
「イナ!!?」
ーーーーーーーーーーーーー
セン
「………そうか、遂にこうなったか」
雲利
「あの、これは一体?」
セン
「イナにも君にも黙っていたが……エレキボルトの中に内臓されているエネルギーは簡単に尽きてしまう」
セン
「簡単に言うとバッテリーが少ないんだ」
セン
「今までの戦いは全て短期決着、圧勝できるだけの実力があったから問題はなかったが………」
雲利
「エレキボルトは、実際は長く活動することは出来ないって事ですか……」
セン
「ああ、一日に3時間も動けるか……そんな所だ」
雲利
「エレキボルトの充電ってどうやるんですか?」
セン
「……特殊で巨大な発電装置に繋げる必要がある、それでも10時間はかかる」
雲利
「10時間かけて3時間しか活動出来ないんですか!?」
セン
「イナを改造した組織がそこまで大した技術を持っていなかったのだろう……私もイナが比較対象だからこんな事を言ってしまえるのだがな」
雲利
「そんな………まだ爆弾は残ってるし、タイムリミットは刻々と迫っているのに………!!」
イナ
「…………う、う」
雲利
「イナ………」
イナ
「彼ピ、だいじょぶ」
イナ
「方法ならあるよ」
雲利
「方法って……バッテリー切れ掛けじゃないか、休んでおいた方が」
イナ
「バッテリーとかさぁ………ちっちゃいのがダメなんだから、でかくすりゃいいんでしょ?充電もはやけりゃいいんでしょ?」
イナ
「じゃ、なんとかしよっか」
雲利
「なんとかって………どうすれば」
セン
「今はこちらを優先しよう、爆弾は警察に任せておけばいい」
セン
「この街の警察だって優秀だ、エレキボルトがむちゃくちゃ過ぎるだけでな」
雲利
「それはそうですけど………まだ5個も……」
イナ
「だったら!急がなきゃダメでしょ」
イナ
「お願い、彼ピ」
イナ
「今からウチが言った通りにウチを再改造して!」
雲利
「再改造!?」
セン
「おい、分かっているのかイナ!」
セン
「雲利君は一般人だ!何より……医者がやる手術とは訳が違うんだぞ!?」
雲利
「……………君の言う通りにすればいいんだね?」
セン
「雲利君!?」
雲利
「これしかないんでしょ!?だったらやってやりますよ!」
雲利
「元はと言えば爆弾の事言い出したのは僕なんだし!」
セン
「…………」
セン
「………………イナを手術室まで運び出す」
イナ
「彼ピはウチの部屋に行って、これを取ってきて」
雲利
「………!」
雲利
「………イナ」
雲利
(はぁ、思えば僕は彼女をこんなに気にかけるようになってしまったな)
雲利
(最初は巻き込まれて、一方的に好きになって、それからこうして……部下みたいになっちゃって。)
雲利
(僕にはアイツがいるというのに………)
雲利
「………でも!」
雲利
「だからと言ってエレキボルトを見殺しには出来ない!」
雲利
「だって僕は元々、エレキボルトの取材の為にこの街で仕事をしていたのだから!」
………
セン
「………まさか姪を生きたまま解剖することになるとは想像だにしなかったよ」
イナ
「へーきへーき、ウチの体は人とは全く違うわけだし」
雲利
「持ってきたよ、イナ」
セン
「…………それはなんだ?」
イナ
「ウチが前々から作っておいた体内に付けられる充電器」
雲利
「そんなのがあったの!?」
イナ
「とは言っても、まだ未完成」
イナ
「何となく全然動けんなーとは分かっていたから寝る前に少しずつ、少しずつ作ってたんだ」
雲利
「わかった……これを完成させればいいんだね?」
イナ
「ん、その前にコレを………うっ!!」ブチッ
ガクッ
雲利
「イナ!?」
セン
「あの馬鹿!話してる途中でバッテリーを引っこ抜いたな!?」
雲利
「し、死にかけだと言うのにメチャクチャ過ぎる………」
イナ
「………」
雲利
「え?これ押してって?」
ガチ
イナ
「うっし!一時的な復活!」
雲利
「うわっ!?予備電源あるなら先に言ってよ!?」
イナ
「とは言っても10分しか持たないからマジ急がないとなんだけどね、」
イナ
「彼ピ、そのでっかいのウチの心臓に付けて」
雲利
「え………これ?」
ガチ
イナ
「っし!!付いた!!最新鋭のウチ式バッテリー装着!!」
イナ
「後は充電器をAとBとCの図面通り組み立てて!」
雲利
「組み立てる!?」
イナ
「大丈夫大丈夫!この紙を見て、カチッて言うまで押せば出来るような構造だし!」
雲利
「充電器プラモデル感覚で作れるものなの!?」
セン
「…………まぁ、イナが、作ったものだからな…………」
雲利
「出来た!!」
カチッ
イナ
「うおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
イナ
「すっげぇエネルギー湧いてきた!!!」
雲利
「復活が速い!!でもなんか安心したよ!!」
セン
「待て、まだ体を結合してないんだぞ…」
雲利
「あっ・・・じゃあその、アレなので僕はちょっと失礼しますね」
イナ
「ん!終わったら即エレキボルトに変身するから!」
……
エレキボルト
「お待たせ!!おニューエレキボルトここに復活!!」
雲利
「エレキボルト!それどころじゃない!」
エレキボルト
「分かってる!爆弾ね!それじゃちょちょいっと潰してくるから!!」
雲利
「また頑張りすぎてダウンはやめてよ!?」
エレキボルト
「大丈夫大丈夫!これ50時間は持つ奴だから!」
雲利
「凄い飛躍的にアップデートされたね!!?」
エレキボルト
「出力も数倍以上!!」
ビュンバッバッ!
エレキボルト
「ついにウチの体は光速に達した!これでバリバリ電気のヒーローって感じ!」
雲利
「バッテリー新しいのに替えただけでこうもなる!?」
エレキボルト
「とにかく爆弾は大体解除してきたよ、ざっと10個近く」
雲利
「す、凄い………」
雲利
「じゃなかった!解除したところで、このコメントを送っているのと……誰が爆弾を設置しているのかも分からないんじゃ意味が無い!」
雲利
「これまでの流れからしてなにか法則性があったりしないのか……!?」
エレキボルト
「ホーソクセイ?そんなのきにするまでもないし」
エレキボルト
「要はさっさと潰しちまえばいいわけでしょ?」
雲利
「そんな事1体どうやって………」
エレキボルト
「IPから投稿しているパソコンの特定」
エレキボルト
「解除はしてないけど使えなくなったわけじゃないから、これを特定した………よしここか」
エレキボルト
「そこに向かってぶっ飛ばす!!」
ビュンッ
雲利
「ああっちょっ………行っちゃった」
プルルルルル
雲利
「……電話?アイツからか?」
雲利
「しまった!!そういえば今日お祝いするんだった!!」
カチッ
雲利
「も、もしもし!!僕だよ!雲利だよ!」
【そうか、お前が雲利アメか】
【なら間違いないようだな、ターゲットはこれでいい】
雲利
「……!?誰だ、お前誰だ!?アイツに何を……」
【ライトニング・ブラスト!!】
バチンッ
ツーツー
雲利
「切れた………いや、携帯が壊れた?」
エレキボルト
「たっだいまー………んえ、どしたん彼ピ」
雲利
「イナ...!今から、僕の家に来れる!?」
エレキボルト
「へ!?」
最終更新:2022年06月19日 13:19