【第7話】
「誰とも違うヒーローになる」
雲利
「う……なんかベッドが違うと少し違和感はあるな」
イナ
「そう?」
雲利
「あと君が隣にいるし、静電気すっごいんだけど」
イナ
「リングつくろーか?」
雲利
「出来るなら頼みたいかな………」
それからというものの
エレキボルトは出現することはなく………
雲利とイナは極めて平穏に過ごしていたのだった。
雲利
「いいの?エレキボルト出てこなくて」
イナ
「最近はエレキボルトを使わない撮影法も検討してるんでね~、マンネリ消化にもなるし」
イナ
「それにほら、ウチの代わりも沢山できたし」
雲利
「ああ………」
その名も【WEATHER】
雲利
「イナは所属しなくていいの?WEATHER」
イナ
「ウチは名指しでNGくらってんだよね、
ツヴァイボルトの影響もあるけど」
雲利
「じゃあどうするの?このまま家でゴロゴロする気なの?」
イナ
「ん、彼ピと一緒にいられるし、それもいっか!と思う!」
イナ
「資産は山ほどあるし!」
雲利
「資産て………」
………
雲利
「あの、さ……イナ。」
雲利
「そういえばなんだけど、ずっと気になってたことがあるんだ」
雲利
「その……イナの父さんと母さんって、どんな人なの?」
イナ
「………………」
イナ
「さあ?」
雲利
「さあって………」
イナ
「実を言うとさ、ウチ」
イナ
「エレキボルトになる以前の記憶ないんだよね」
雲利
「え!?それって……改造されてそんな風に!?」
イナ
「そだよ、何もおかしいと思わなかった?」
雲利
「センさんから色々聞いてたから……昔から天才でそんな性格だったとか」
イナ
「あー聞いた聞いた、ウチも半信半疑だったけど写真見せてもらったからさ、それはマジかも」
雲利
「逆に言うと、君はそれ以外何も覚えてない……会いに来ないの?」
イナ
「来てない、1回も」
イナ
「死んだのかな?」
雲利
「……」
イナ
「それはそうと何してんの彼ピ」
雲利
「WEATHERのヒーローのチェックだよ」
雲利
「所属出来なかったとはいえ、記者として調べられることは調べておきたいんだ」
イナ
「ほへー、例えばどんなのがいるの?」
雲利
「ん?そうだね…」
雲利
「まず、改造人間は君や
ツヴァイボルト以外には誰1人いなかった、専用の特殊スーツの人ばかりだ」
イナ
「あー、ウチも改造じゃなくてそっちが良かったなぁ」
雲利
「えーとまず、風の『ハリケント』風に乗って自在に飛べるとか」
イナ
「ウチも雷みたいにビューンって飛べるよ」
雲利
「炎の『シャインナイト』太陽エネルギーを武器に変えて剣のように振り下ろすとか」
イナ
「ふーーん、あっ、うちも電気の槍作れたわ」バチバチ
雲利
「水の『ウンディーネ』は水でバリアとか貼ったり、操って人命救助出来るとか」
イナ
「ウチも電気でバリア作れるし、このスピードがあれば人命救助とかマジ余裕」
雲利
「こうして見ると君がWEATHERに入れなかった理由自ずと見えてくるね」
イナ
「なー」
雲利
「なのに全然平和になる気配がないと」
イナ
「ほんっっっっとーに悪の組織が信じらんないくらい多くてさ!」
雲利
「というか、ここまでヒーローが集まらなかったのも不思………」
プルルルルル
雲利
「イナ、電話だけど」
イナ
「知らん番号は送られないように作ってあるはずなんですけどー」
雲利
「………あ、これアイツの電話番号だ、ということは」
ピッ
愛津川
【よう……エレキボルト……】
イナ
「うっわ……何ウチの電話番号調べてきてんの……チョー最悪なんだけど」
愛津川
【お前今どこにいる?せっかくWEATHERに乗り込んできたというのに誰も説明しないぞ】
イナ
「え?今お前WEATHERいるわけ?」
愛津川
【………一体何の話をしている?】
イナ
「あのさ、ウチそこにいないけど」
イナ
「なんなら1度も来てないのにWEATHER出禁にされててさ、ずーっと部屋に引きこもってたわけ」
愛津川
【…………予定、変わったな】
イナ
「いやマジで来ないでくれる?これからウチ彼ピとピーする気だから」
雲利
「やめて!そんな事言わないで危ないから!」
愛津川
【…………まぁいい、WEATHERに用事が無いわけでもないからな、待っていろ】
雲利
「切れた……一方的に話すだけ話して切っちゃったよ彼」
イナ
「え?アイツここ来んの?ウチアイツちょっと苦手だわー、バックレたい」
雲利
「バックれるも何もここが君の家(でいいのか?)なんだけどね」
雲利
「というか、愛津川君も見ないと思ったらWEATHERにいたんだ………そこにイナがいると思って」
イナ
「彼ピの彼女の弟、なんか抜けてるんだよねー」
雲利
「まず君らを改造した組織まで抜けてる始末だからね……」
イナ
「それは言えてる、マジ言えてる。」
イナ
「で、アイツどうしよ?」
雲利
「さあ………WEATHERにも普通に用があるって言ってたし………何かするとは思うんだけど。」
イナ
「ま、いいや。」
イナ
「来たら来たで考えるからそれまで撮影の準備しよか彼ピ」
雲利
「イナ、改めて僕はこの街の行く末が不安になってきたよ。」
…………
雲利
「全然慣れないよ君の部屋」
イナ
「いい加減慣れたら?」
雲利
「やっぱりいつもの部屋の方がいい、早く新しい不動座買ってそこでゆっくりした………」
プルルルル
雲利
「また愛津川君から電話来てるけど」
イナ
「ウチ出たくない、彼ピ出て」
雲利
「…………もしもし?」
雲利
「あ、声の加工ぶりからして
ツヴァイボルト……なんかご機嫌みたいだけど」
ツヴァイボルト
【WEATHERの科学技術は完璧だ!俺の体に万全で高性能でより出力が高いバッテリーを装着することは容易かった!】
雲利
「そういえば君もバッテリー問題あった……アップデートしてもらう為にWEATHERに!?」
ツヴァイボルト
【アップデートされてないエレキボルトに遅れなど………】
イナ
「したけどー?」
イナ
「ウチは自分で自分のアップデート装置開発して、彼ピにつけてもらったけど〜?」
雲利
「でもWEATHERがどれだけの技術か分からないわけだから………」
バチッ
雲利
「また壊れて切れた………」
ドカン!!
雲利
「なんか爆発した!?」
イナ
「うっわー、WEATHERのビル燃えてる」
雲利
「WEATHERがあっという間に壊滅!?とんでもない物を作ってくれたなイナ達の組織は!!」
雲利
「どうするのイナ!アップデートされたなら今回は前のように行かないんじゃないの!?」
イナ
「あーーーー、たまには動かんと鈍っちまうし行きますかなー」
イナ
「変身!!」
バチン!!
エレキボルト
「っ……と、よし!会いに行ってやる!」
バチン!!
雲利
「大丈夫なのかな………」
……………
エレキボルト
「とりあえず前よりは出来るようになったって感じみたいだけど?」
エレキボルト
「およっ」
エレキボルト
「確かになんか出力は上がってる………うっし!じゃあウチも!!」
エレキボルト
「アンタの真似して似たようなこと………」
エレキボルト
「出力10%ライトニング何とか!!」バチィン!!
エレキボルト
「どうでもいいっしょ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
雲利
「なんか凄い戦いというのが伝わってくる………」
雲利
「エレキボルトが戦うだけで天気荒れるの本当に困る……」
雲利
「というかなんかヒーロー組織の壊滅をニュースにするのやりきれんな………他のヒーローどうなってるんだろ」
雲利
「あっ、1発でヒーローの骨が折れてるッ」
…………
エレキボルト
「あーあー、またなんか天気荒れ模様になっちゃったよ」
ツヴァイボルト
「凄いパワーだ……これなら世界を揺るがしながらでも戦うことが出来る!」
エレキボルト
「なんかアンタさー、変身すると結構調子乗るじゃん?」
エレキボルト
「はー?一緒にすんなしマジで」
エレキボルト
「ウチは最初っから最後まで、超調子に乗ってる!!」
エレキボルト
「ならウチは出力30%!!!」
エレキボルト
「120万ボルト!!エレキネシスブラスト!!!」
ズドォォォォン!!!
雲利
「相変わらず空が酷い」
エレキボルト
「ただいま彼ピ」
雲利
「なんかもう、慣れたけど早かったね」
エレキボルト
「スペックにまだまだ差があった」
雲利
「無敵か?君」
雲利
(………思えばエレキボルトが負けたところを1度も見た事がないな。)
雲利
(もし、イナが負けてしまったら?)
雲利
「………いや、やめよう、そんなこと考えるの」
【エレキボルトが負けるなんてことはあり得ない】
イナ
「………っと、はぁ~~、流石に出力30%も出すとくたびれるわー」
雲利
「え?普段は何パーセントぐらい使ってるの?」
イナ
「普段はちょっと移動するだけで0.1%、悪の組織をソッコーでボコる時は……ま、3%ぐらい?」
雲利
「それって30%で電気出すとどうなるわけ?」
イナ
「そりゃ………」
雲利
「あっ!!」
雲利がクラウドカメラを確認すると、エレキボルト達が戦った地点にクレーターが出来ており、WEATHER本部は影も形もなかった。
イナ
「やりすぎちった☆」
雲利
「ねぇイナ」
雲利
「これもし80%ぐらいの出力で電気放ったら」
イナ
「街丸ごとドーン!!」
イナ
「じゃ済まんね」
雲利
「ひいい……出来ればそんなことが起きないようにしておいてくれよ」
イナ
「大丈夫大丈夫!」
イナ
「ウチの傍に彼ピが居る限りエレキボルトは無敵だし!」
イナ
「ぜーーったいそんなこと起きないから!! 」
雲利
「………だといいけど」
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ツヴァイボルト
「く……WEATHERの力をもってしても、まだダメか」
ツヴァイボルト
「もっと別のところで改造してもらった方が良さそうだな」
最終更新:2022年06月19日 13:20