Cの通信簿イベント

C「おや、映画監督の……響原」

創「Cか」

C「いやいやまさか、監禁される事までは何度も経験していたけど、この私が突破出来ないセキュリティを持っているとはね………一刻も早く希望ヶ峰学園からおさらばしたい所だ」

創「それは俺達も同じだ………こんなこと言いたくないが、脱出に関してはお前が頼りなところもある」

C「頼り?怪盗である私が君達と協力するというのかい?」

創「少なくとも俺は、たとえ相手がどんな存在であれ人殺しを避けられるなら協力は惜しまん」

創「映画監督というものは映画が良くなる為なら嫌な奴とも組めるし、私情を無視してカメラを回せる物だ」

C「………へぇ、なかなか面白いやつじゃないか君、他の奴らとは違うね」


C「だったら君、私の相棒になってみないかい?」

創「相棒………だと?」

C「ああ、私はかつて怪盗Bという相方が居たんだ、今でこそ1人だがやはり相棒が居た方が私的には心強い」

創「怪盗B……相方が居るとは軽く聞いたことがあるが本当だったとは」

C「当然さ、世間的には怪盗Bは無かったことにされているからね」

C「話を戻して、脱出を今でも考えているというなら私の手となり足となり互いに協力しあって行こうじゃないか」

創「ああ、この際犯罪者がどうとかは言ってられん………」

創「だがこの関係はここを出るまでだ、盗みまでは容認するわけにはいかない」

C「分かっている、私としてもここまで無様に隙をさらけ出してしまったここは黒歴史になりかねないからね、全て終わればお互い仲間だったことは綺麗さっぱり忘れよう」

C「ということで、希望ヶ峰学園に居る間はよろしく頼むよ! 」


創「………1本の映画のように短い関係になるけどな」

C「数十分に感動を作る映画監督なんだ、それくらいドラマにしてくれよ」

創「善処はする………それで?相棒というものは何をすればいい?」

C「えっと、確かBの場合は………」

C「参ったな、Bの時からしばらく相棒なんて決まらなかったから何も浮かばないな……」

C「まぁ、またなにか思いつけば君に報告でもしようかな、じゃあまた相棒!」

創(半ば一方的にCの相棒になってしまった、これが脱出の手立てになるといいが………)



C「おや、相棒」

創「C……なるべく相棒と呼ぶのはやめろ」

C「分かっているさ、僕らの関係は秘密、君と2人きりの時にしか相棒とは呼んでないよ」

創「そういう問題でもないと思うが………」

創「それで、何か脱出出来そうな策や案は出来たのか?」

C「ちょっと待ってくれ、私も万能というわけじゃないんだ……」

C「私も普段の怪盗道具さえあれば本調子になれるんだけど……」

創「……」

創「興味本位で聞くが、怪盗Bはどうなった?」

C「ああ……怪盗Bかい?彼は死んだよ」

C「家の屋根を飛びながら移動してる時にミスって警官に包囲されて………弾丸が膝に当たって、そのまま足を踏み外して転落死さ」

C「落下したBに注目が集まって私が何事も無く逃げられたのが不幸中の幸いだったかね」

創「それはつまり警官にBを殺されたのか?」

C「そうだけどあまり気にしてはいないよ……私たちの仕事なんてそんなものさ、警官に限らず命が消えるかもしれないリスクは山ほどある」

C「それらを承知の上で私達はこの仕事をしていた、だからBは………運が悪かっただけだね」

創「それを世間から無かったことにされたというのは?」

C「君も映画監督なら大怪盗が事故死なんて脚本は認めないだろう?」

C「それでメディアは納得しないから、Bという存在を無かったことにした……私はそう予測するね」

創「お前から見てBはどんな奴だった?」

C「君、随分Bについて聞きたがるんだね」

創「不本意だが相棒だからな、前任者の情報は最も大事な事だ」

C「………Bは、後から相棒になったが、幼い頃私に色々教えてくれたな」

C「怪盗としての技術や振る舞い、招待状の書き方、道具の開発に……」


C「そういえば、盗むものは絶対億以上の価値のあるものにしろと言ったのもBだったな」

C「いろいろ教えたあと、Bは私の相棒になると言い出して今のような関係になったんだ」

創「怪盗Bは……今の『超高校級の怪盗』とまで呼べるCの全てを作った存在というわけか」

創「これは相当な『超高校級の相棒』になっていただろうな」

C「いや、それはないね………」




創「怪盗C、居るか」

C「やぁ相棒、君の方から私に近づいてくれるなんて嬉しいね」

C「脱出の方はまだまだだ、外部に通信もしてみたが一向に電波が繋がらない、通信機に異常はないはずだが………」


創「それまで、またBの話でもするか?」

C「なんだい、君は随分怪盗Bの事が気になるようだね?」

創「まぁな、個人的にも何かひっかかるところがある」

C「そういえば君生きてさえいれば、超高校級の相棒にとか茶化してたな」

創「ああ、お前の全てを作ったような最高のパートナーだろう?俺にも覚えがある」

創「最も、そいつもここに来ていると期待していたが、影も形もなかったけどな」

C「良かったじゃないか結果的には」

C「私は……生きていたとして怪盗Bはここに来れないよ」

C「知り合い事ここに招待されるなんて確率的にもそうなんだが、Bは私の………」


C「………」

C「Bはその、私よりずっと年上の成人男性だ、高校生じゃない」

創「そうか……次に、Bは何故億以上の価値がある物ばかり狙うように言った?」

C「さあね、私もそれを問いただした時期があったが、『子供は何も知らなくていい』とはぐらかされたよ」

C「結局理由も聞けないままくたばってしまったしね」

創「その理屈ならBが死んだ時怪盗をする必要も無いだろう?何故……?」


C「Bは幼かった私に怪盗としての生き方しか教えてくれなかった」

C「怪盗として生き怪盗として死ぬ、私にはそれしか出来ないね」


C「で、今はBの意志を継ぎながら君と会うまで私ひとりで怪盗をしてきたのさ」

創「………」

C「そうだ新しい相棒、何か困ってることはないか?私でよければなんでもしてやろう」

創「なんでも?安安とそんなことを言うな」

C「何故だい相棒、前から思ってたけど君妙に冷たくないか?私はなにか君にやらかしてしまったか?」

創「前にお前も言っただろう、この関係は学園を出るまでの仮初の相棒関係だ」

創「出てしまえばもう無関係……なら、利害だけで動けばいい、仲良くする必要も無い」

創「少なくとも、お前はそうしてると思ったのだが………失礼する」


C「………まずいな、これでは私は相棒に何も」


C「……ああ、そうだ!Bの時みたいにご機嫌取りをすればいいのか!」



C「やあやあやあ相棒!!」

創「おい、声が大きいぞ怪盗C」


C「いやぁすまない、君を呼んだのは他でもない……私の部屋に招待しようと思ってね」

C「何、心配はいらないよ 怪しいものは何も無い………私なりに相棒の君になにかしてあげたくてね、いいだろう?」

創「分かった」

C「あっ、準備しておきたいことがあるから先に入っててくれないか?鍵を渡しておくから」

創「いいのか?勝手に部屋に入ることも出来るが」

C「構わないさ、今は私は君の相棒………でもあるからね、好きにくつろぎたまえ」


…………


ここが怪盗Cの部屋か………やはりというか、派手に豪華に装飾を付けたような部屋をしているな。

創「Cもいないのに、こんな所で何をすれば………」


プツンッ


創「………何!?停電だと!?」

創「くっ、物がゴチャゴチャしてて動きにくい、ここは明かりが着くまでベッドに避難を……」

ぐいっ

創(なんだ、何かに押し倒されて………)


C「やぁ、相棒……ちゃんとそこにいるんだね」

創「その声……Cか!?停電はお前の仕業か!?」

C「私の部屋だよ?遠隔で電気を切ることくらい余裕だ」

創「くっ……罠だったか」

C「罠?勘違いしないでくれ……何も酷いことをするわけじゃない」

C「大丈夫、これはただの……ご機嫌取りだ」

創「ご機嫌……取り?」

C「そう、怪盗Bはよく言ってたんだ……相棒を満足させる為に、労いのためにご機嫌取りをしろって」

C「その時は私がBの機嫌を取っていた、だから……同じことをするだけだよ」

C「だからとりあえず、抵抗しないでズボンを……」

創「……そんなことか、俺にご機嫌取りなんて必要ない」

創「俺はBとは違う、Bがどんな奴かも知らないし、お前に心を許してはいないが……嫌ってはいない」

C「なら、私はどうすればいいんだ相棒!?私は超高校級の怪盗とは言うが、Bのやってる事の受け売りに過ぎん!」

C「Bは私さえも盗んだ………」

創「何?」

C「……今の言葉は忘れろ、相棒」

C「君の言うことは分かった、ご機嫌取りはしなくても問題ないんだね………でも、たまに部屋に来て、こうして怪盗とは別の相棒になってくれ」

創「なら条件がある、明かりをつけてくれ」

C「それを見たら、もう後戻りは出来ないよ?」

創「構わん」

C「………」


カチッ



創「………なるほどな」


創「怪盗C、お前のことがようやく分かった」

C「ふふふ………私の素顔を見たからには、なんと言おうが君は私の永遠の相棒だ、今度こそ離さないからね」
最終更新:2022年08月21日 13:29