雷「はぁ………」
創「非日か……大丈夫か?」
雷「大丈夫じゃないな、この状況で参っているというのもあるし……」
雷「ずっと学園内に閉じ込められるって事は、俺の才能は何の使い道も無いって事になるんだなって思うと」
創「……そんなことか、気にするな」
創「ここで才能が使えないのはお前だけじゃない、映画監督の俺も、登山家、怪盗、漁師……そんな奴は沢山いる」
創「むしろ、天気を予測できる分俺たちよりも役に立てるとも考えられるな」
雷「そんな風に言ってくれると、ちょっと助かるな………」
雷「今は晴れ模様……太陽の光でも浴びて気分を戻そうかな」
創「しかし、お前の天気等を完璧に言い当てる力は凄いな……一体どういう原理なんだ?」
雷「原理と言われても………」
雷「俺自身もよく分からないんだよ、なんか明日は曇りかなって思って寝たら、本当に空が曇ってるってことがザラで……」
雷「それに、天気なんて時間によって細かく変動するだろ?朝晴れてたのに急に酷いにわか雨が降ったり………」
雷「何時何分に正確に全国各地でどんな天気か、それまでは見れないから困ったものだよ」
創「いや、そこまで行くと最早超高校級どころか神の領域だろう………」
創「衛生の方の天気予報も100%正確とは言えないんだ、それ並かそれ以上の予測が出来ると考えれば充分凄いことじゃないか?」
雷「そう言われるとそうかも………」
雷「前に手久保に君って僕よりラッキーな男なんじゃないの?って言われたんだが………別にアイスの当たりとか予測できるわけじゃないしな」
創「いや………幸運と予言は違うだろ」
創「もし仮に幸運をなんでも自分の思い通りの事が起こせると解釈するなら、それは最早超高校級どころか人間じゃない」
雷「だ、だよな!幸運がそこまで言ったら最早人間とは思えないレベルだよな、ははは!」
雷「……………もし万が一そんな人が存在したら、凄くヤバそうだな」
創「かもな……だが俺達には無縁の話だ」
雷「………よし!なんか気分良くなってきた」
雷「俺は俺なりに、この学園で出来ることが無いか考えてみることにするよ」
創「ああ、その意気だ」
雷「響原!」
創「非日か、あれからどうだ?」
雷「もーーーっと他の分野で予測出来ないかなって毎晩試してはいるんだが、なんか上手くいかなくてな……」
雷「リィンとも色々相談してはいるんだが、手付かずだ」
創「焦ることは無い」
雷「ありがとうな………て、そういえば響原って調査してる時以外は何してるんだ?」
創「調査の時以外か?……こうやってお前やクラスメイトの話を聞いたり、部屋で映画見たりしているな」
雷「あー……やっぱり映画監督の部屋だから映画とか置いてあるんだ、いいなぁ退屈しなさそうで」
創「俺一人で映画を見たところで気分はあまり盛り上がらないけどな………スクリーンの無駄遣いだ」
雷「それって、席何個か空いてたりしない?」
創「一応空いてるな、俺が座ってもあと10人は座れそうだ」
創「残りもパイプ椅子なりを用意すれば……恐らくはここの生徒全員で視聴することも不可能では無いはずだ」
雷「じゃあ俺も映画見せてくれよ、こんな状況なんだ………なにかの気晴らしにはなるんじゃないかな?」
雷「で、その後いつかさ!みんなも呼ぶんだよ!」
創「ああ………出来ることなら俺もそうしたいんだが………」
雷「何か問題でもあるのか?」
創「大ありだ、人間というものは一人一人異なった趣味傾向をしているだろう」
創「一応、俺の部屋にあるものは時代を彩った様々な名作揃いだが、ここに居る全員が満足出来る物がどれなのか………検討もつかない」
雷「だったら俺も手伝うよ、俺、映画にはそんなに詳しくないからどういうのがあるのか凄い興味あるんだ!」
創「お前、映画見たいだけじゃないのか………?」
雷「まぁそれもある」
創「………だが、こうして誰かと一緒に映画を見る機会もそんなに無いんだ」
創「来い、とびっきりの名作を目に焼き付かせてやる」
雷「よし、こうでなくちゃ!」
雷「あっ、そういえば映画って洋画とか邦画ばかりなのか?」
創「ん?そういうのに興味無いなら、一応TVアニメの劇場版とかもあるが………」
雷「あーいや………俺、リィンと違って英語分からないから海外系は吹き替えだといいなって」
創「そんなことか………」
雷「響原ー!!」
創「ああ、非日」
雷「面白かったぞあの映画!ちょっと難しいところもあったけど」
創「お前が満足したなら良かった」
雷「なんだろうな、こんなにも満足した学校生活なんて昔の俺は信じられないだろうな」
創「!」
創「それって、例の?」
雷「ああ、小さい頃はキラキラネームで虐められてたからなぁ……」
雷「その時から天気は当てられたんだけと、子供からすれば天気が当たるだけで大したことじゃないだろ?」
雷「だから人生が嫌になっちゃって……小はほとんど引きこもってた」
創「そうか……それは……」
雷「そんな顔をするな、今となっては俺の中では既に終わったこと、何もかも無縁にになった奴らだ!」
創「そうか、それならいいが………その状態からどうやって気象予報士に?」
雷「中学生ぐらいになってから予言者なんて大袈裟に広まってテレビに呼ばれたことがある」
雷「全国各地に俺のキラキラネームが放映されると思うと恥でしかなくて行きたくなかったけど………」
雷「なんかもう、いざゲスト出演するとアナウンサーが俺の名前付けた親父に対してめっちゃキレまくってて、俺の予言どころじゃなかったんだよね」
創「そのアナウンサーがリィンだったのか」
雷「ああ、なんかコイツは他と違って良い奴だなって思ってお互いに連絡先を交換したんだ」
雷「そこからは、リィンに会いたい一心で引きこもりから頑張って勉強して気象予報士のスキルを手に入れたんだ」
雷「リィンの事を考えてたら、俺の名前をバカにしてくる奴らの事なんか全然気にならなくなっちゃったし、頑張ることは苦じゃなかった」
雷「まぁ、それ以外はお前達と比べてバカなのも否定出来ないんだけどな」
創「……………」
雷「あ、それでも俺の為に怒ってくれたのはリィンと響原だけだったんだ」
雷「それは本当に嬉しかった!俺が女なら本気で惚れてたんだぞ、響原!」
創「その発言は………ちょっと、どうかと思うぞ、非日」
雷「あっ、確かになんか気持ち悪いかも……すまん響原、今のは忘れて」
雷「でもなー、なんかお前ってクールでいつも無愛想面だけど女の子には結構モテるってタイプに見えるけどなー」
創「変な事言うな、俺はもう行く」
雷「よっ、響原!」
マッチ「おや、ミスター響原」
創「ん?非日……リィンもいるな、どうした?」
マッチ「いえ、ワタシは丁度ライトと大事な話を終わらせたところです」
マッチ「それで、その後はミスター響原にも大事な話がしたいとかなんとか」
創「俺にもか……」
雷「そう!お前とマッチにしか言えないような事なんだよ」
雷「言えないことっていうか、頼みというか………」
創「リィンはどう答えたんだ?」
マッチ「ワタシは当然OKしましたよ、そのくらいなら何とでも、とね」
創「そうか……」
雷「あ、でも無理にOKはしなくていいんだ、響原の判断に任せるよ」
創「分かった、それでどうしたんだ?」
雷「うん……それは、ちょっとここで話すのもなんだから………」
雷「俺の部屋に来てくれない?」
創「お前の部屋か……」
………
かくして、俺は非日の部屋に来た
創「非日、わざわざ部屋に呼び出してどうしたんだ?」
雷「あー………えっとさ、響原」
雷「あー、まずいな、リィンとは昔から付き合いがあったからはっきり言えたけど、響原とはここで会ったばかりだからな」
創「ああ、それはそうだ……だが、それがなんだ?」
雷「………響原」
雷「俺達って、友達…………だよ、ね?」
創「………そうだな」
創「少なくとも俺は、映画スタッフでも無いやつと親したことはそんなにない」
創「だが、この希望ヶ峰学園で会った奴らは別だ………彼らは信用出来る」
創「友、と呼べるものだろうな」
雷「………そっか」
創「それを確認しに来たのか?」
雷「あ!それもあるんだけど、まだ前提なんだよこれ!」
雷「…………あのさ、響原!リィンにも同じことを言ったんだけど、聞いてくれ」
雷「俺達………友達通り越して、親友にってなれないかな!?」
創「…………」
創「俺にとって、過去に親友と呼べるのは……最高の脚本を描けるある男だった」
創「お前がリィンをここで会えて嬉しかったように、俺もここで会いたかった奴がいた」
雷「……あー、そっか、じゃあ…………」
創「………だが、何もそれはたった1人でないといけないわけでもない」
創「じゃあまた明日………親友」
雷「………ひ、響原!!!」
最終更新:2022年09月01日 18:28