真心の通信簿イベント

真心「はぁ……」

創「ん?どうした松尾、落ち込んだ顔をして………」

真心「ああ……響原、われを男と見込んで相談に乗ってもらいたいことがある。」

真心「その、小豆ちゃんとの事なんやけんど………」

創「ああ、あそこから本当に付き合うようにしたのか……斎藤と」

真心「そうなんや、やけんど儂はずっと海一筋で女の子とのエスコートなんて何一つ分からんがじゃ」

真心「何をどうしたら小豆ちゃんが喜んでくれるか……相談に乗って欲しいがよ」

創(こんな状況で恋愛相談とはある意味平和な奴だ………)

創(しかしこいつは真剣に悩んでる、俺がなんの役に立つか分からないが………)


創「分かった、聞くぐらいなら出来るかもな」

創「しかし、俺も特に女性関係があるわけでもないからな………」

真心「そがなの関係ないろ!女の子の好きな物とか、何をしたら喜びそうとか、そがなきええがよ!」

創「そうか……まず、お前は何がしたい?」

真心「まず……やっぱりプレゼント、贈り物や」

真心「小豆ちゃんを安心させる為に好きそうな物を用意したいんじゃけんど、それがなんなのかさっぱり分からいで……」

真心「小豆ちゃん、パティシエやきそこらのお菓子じゃ満足せんやろうし……」

創「斎藤が好きそうな物か………」

創「アイツはイメージだと……光り物が好みだったような」

真心「おお、光り物か!よし、クーラーボックスから〆鯖用意してくる!」

創「そっちの光り物じゃない!」

創「指輪とかネックレスとか………宝石のアクセサリー系のことだ」

真心「宝石!?それをプレゼントとして渡すがは少々早い気がするぞ!?」

真心「やけんど、そうか……指輪か……小豆ちゃんはそれが欲しいがよな……」

真心「よし、なんとかしてみる!」

創「なんとかって………大丈夫なのか?」

真心「儂、お金あんまり使わんき結構貯金に回しちゅーんだ!ここから削って指輪買うてみる!」

真心「色々教えてくれてありがとうな響原!感謝する!」


創「……行ってしまったか、あんな調子で大丈夫か、あいつ」

真心「………宝石ってどれがええかな?」

創「大丈夫じゃなさそうだな……」



真心「おう、響原……助けてくれ」

創「今度は一体どうした?」

真心「小豆ちゃんが今度は服を買いたい言い出いたんや」

創「次はファッションか」

真心「いや、それはええがよ……ええがやけんど、わしゃどういう服が似合うとかさっぱり分からいでな」

真心「『どっちの服がうちに似合うちゅーかな♡』言われても儂、何も言えいでどうしようって………」

創「確かに、ずっと海に居た男に服のセンスを問うのもな………」

創「ああ、これは別にお前を侮辱しているわけじゃない」

真心「分かっちゅー……それで、わしゃ一体どう答えたらええがやろうって」

創「斎藤が着るならどんな服でも自分は嬉しいよ……とか?」

真心「いや、わしの前でしか着んってわけやないろ!」

創「………で、聞いてなかったが斎藤はどんな服を買ったんだ?」

真心「ちっくと待ってろ、写真保存してあるき……はいこれ」

創「ん?この服……どっちも有名なブランド物じゃないか、高級だぞ」

真心「そうなのか?やっぱりええ服は高うつくがよなぁ………」

創「この数……高かったろ、払えたのか?」

真心「気にしなさんな!愛のためなら金なんてなんのそのだ!」

真心「わしゃ一体なんて答えたら……」

創「これは………相当難しい課題だな」

創「その人の気分にもよるし、季節の関係、着合わせ、色合い……スタイルに雰囲気にドレスコードも考えて………」

真心「あああああ専門的な用語を並べんでくれ!頭が変になる!」

創「こればかりは俺でもなんと答えたらいいか怪しいぞ」

創「映画用の衣装とかならまたしも、プライベートな格好にそこまで拘りは無いしな……」

真心「うん……やけんど小豆ちゃん、こうして見るとどの格好も可愛いなぁ」

真心「自分で言うのもなんやけんど、わしにはまっこともったいなさすぎるええ女や 」

真心「そがな美人が好き言うてくれたんや、大事にしちゃらんとな……」

創「松尾……」

真心「相談乗ってくれてありがとな、また儂1人で考えてみるぜよ」

真心「げにいつも助かっちゅーぞ、響原!」


創「………小豆が好きと言ってくれてる、か」

創「まぁ、あいつが幸せならそれでいいかもしれないが」



真心「た、助けてくれぇ〜……響原」

創「………また何かやらかしたか?」

真心「いや、それが……また大けな壁にぶち当たったんや」

真心「実は近いうちに小豆ちゃんと食事の約束をつけたんやけど………」

創「ドレスコード……マナーが分からないのか?」

真心「それもあるけんど、わし……高い物1度も食べたことがないがよ」

真心「キャビアとかよう取っちゅーんやろう?言われたけんど、わしキャビアなんて見た事どころか食うたこともない!」

真心「ナイフとフォークも握ったことすらろくにない!」

真心「食事って大事なところやろ?わし、小豆ちゃんにかっこ悪いところ見したくないぜよ……」

創「だったら食べてみればいいと思うが……」

真心「もうあと数時間の約束なんや、間に合わんぜよ!」

創「よくもまぁそんな無責任な約束を取り付けたものだ………」

真心「好きな人にお願いされたら男は何があっても断れんものなんちや」

創「………だったら、俺はこう言っておく」


創「お前が心から愛した女なら、俺に相談はすれど答えは自分で見つけろ」

創「お前が本当に好きで、お前が大切にしたくて、お前が離したくない女なら……」


創「自分の困難は自分で乗り越えろ」

創「………」

真心「そ、それは……そうだが………」

真心「……」

創「お前は小豆のことをどう思ってる?」

真心「こじゃんと大好きだ!!」

創「その大好きな女の為にお前は何が出来る!!」

真心「こじゃんと魚釣って小豆ちゃんの為になる!!」

創「なら、それでいいだろ!」

創「プレゼントとか、服とか、料理とか………そういうのも大事だが、ありのままのお前も斎藤に見せてやれ!」

創「愛という魚に立ち向かうなら、全身全霊持ってお前の体一環で立ち向かえ!」

真心「…………!!」

創「………何を言ってるんだ俺は、かなり変になっていたな………」

真心「響原………」

真心「わしが間違うちょったよ」

真心「恋人っぽうを意識しすぎて……変にそれっぽいことをしようとして、漁師としての自分をちっとも小豆ちゃんに見せられちょらざった。」

真心「わし、ちゃんと小豆ちゃんに自分らしさ見してくる!」



真心「やぁ響原!会いたかったぜよ!」

創「松尾……今度はなんだ?」

真心「いや、今度は恋愛相談とかやないがよ」

真心「われ、今暇しちゅーか?わしの部屋に来てほしいがやけんど」

創「お前の部屋?……別に構わないが」


………


ここが松尾の部屋……

……部屋の中に海のような物があるが、気にしない方がいいのか?

真心「その海みたいな奴はハリボテやき気にせいでええぜよ」

創「ああ、そうか……それで、何の用だ?」

真心「いやぁ……小豆ちゃんの事で響原には何かと世話になったきさ」

真心「わしに楽しい思い出作らしてくれて、げにありがとう」

創「………?おい、斎藤と何があった?」

真心「いやー大したことやない!漁師としての儂の事を色々話しよったんだ!」

真心「そうしたら、あっさりとフラれてしもうた!わしの恋はここで終わったんや!」

真心「まぁ仕方ないよな!」

真心「わしゃ小豆ちゃんを喜ばせる為に色々やったけんど、あの子の事結局何も分からんままやったし」

真心「ここ数年の漁の稼ぎも全て無うなったぜよ………」

真心「ま、お金なんてまた魚を取ったらじゃんじゃん稼げるき気にしちょらんけどな」

創「………」


創「無理してないか?」

真心「無理?ちっともしちょらんぞ!」

真心「こがな結果でもわしゃ楽しかった!それでええやないか!」

真心「あんな可愛い子に宝石を送ったり、服を選んだり、一緒にご飯食べたり……」

創「………斎藤はお前に何をしてくれた?」

真心「確かに大体何かしちょったのは儂の方やった」

真心「小豆ちゃんが儂に対して何かをしてくれたことは何も無かった、やきなんや!」

真心「わし……ずっと海におったき、同い年の女の子と話したことすらろくに無うて……」

真心「嬉しかった……まっこと嬉しかったんや、わしの彼女になりたいって、まっこと気に入ったち言われて……」

真心「なぁ響原……小豆ちゃんはげにわしの事好きやったのかな?」

創「………俺からは、何も言えん」

創「だが……お前が斎藤を心から愛していたことは、俺によく伝わったよ」

真心「ありがとうな、響原……わしに色々教えてくれて」
最終更新:2022年09月01日 18:32