マッチ「ご機嫌いかがですか、ミスター響原」
創「リィンか、あちこち飛び回って忙しそうだな」
マッチ「最新の情報をひとつでも多く集めて広めるのがワタシの仕事ですので」
創「アナウンサーは集められた情報を伝えるのみで、自分から探すこともないと思うのだが………」
マッチ「日本だとそうみたいですね、ワタシの国には新聞記者も居ませんし、SNSといった類もそこまで発達してないので、この現代社会の中未だに足で集めています」
創「………前時代的と捉えるか、1種の文明と捉えるか、どうすればいい?」
マッチ「見た者によって解釈が異なるのはどのニュースでもそうなので気にしませんよ」
マッチ「日本も日本で、大変な事もありますがいい国ですよね………ライトが色々聞かせてくれます」
創「確か、最初に日本に来たのは非日と番組で共演した時だったな」
マッチ「その時はアナウンサーというよりは珍しい才能を持った子供を集めたという、まぁありふれた番組のゲストだったんですね」
創「そこで非日と?」
マッチ「はい、彼の予報士としての才能はあの時点で片鱗を見せてました、凄かったですよ」
マッチ「…………でもワタシ、あの思い出少し嫌いなんですね」
創「何かあったのか?」
マッチ「アレだけの素晴らしい才能を持っている彼を………」
マッチ「あの人達はキラキラネーム……珍しい名前を取り上げようとしていたんですね」
マッチ「彼も好きであのような名前になった訳でもないし………彼にはワタシに匹敵する技術があったのに、それを笑い物にするのがひたすら許せなかったんですよ」
マッチ「結果的に、ワタシはお茶の間に恥を晒しましたが………あれから非日と仲良くなりました」
マッチ「そして、あれからワタシはアナウンサーとして真剣に人々に良い情報を伝えられるように一層努力を広げました」
マッチ「ライトがワタシに会いたくて気象予報士の勉強を始めたと知った時は、正直すごく嬉しかったのですよ」
創「その努力の結果、2人とも超高校級に選ばれたわけだ………」
創「この状況で無ければ素晴らしい事と言いたかったのだがな………」
マッチ「それは……実にその通りですね」
マッチ「おや、ミスター響原………?」
創「ん?リィン……どうした?なんだかよそよそしいぞ」
マッチ「え?ワタシ、よそよそしかったですか?申し訳ありません………」
創「どうした、腹でも壊したのか?目線がすごく泳いでいるぞ」
マッチ「え!?トイレは流石にここでまず………ではなく、体調面は問題ありませんのでお気になさらないでください」
創「だが凄い汗だぞ……非日にも伝えておこうか?」
マッチ「ライトに!!?そ、それは………いけません!!じゃなくて、気にしなくても問題ありませんので!!」
創「…………?」
マッチ「すみません、ちょっと忙しい………というか、今手が離せない………というか、なんというかアレなので失礼します!」
ドタドタドタドタ…………
創「リィンの奴、妙に慌てて出ていったな………」
創「あんな姿見たことないな……この状況だ、ああは言うがもしリィンに何かあったら心配だ」
創「念の為非日にも伝えておいて………ん?」
創「なにか足元に落ちてるな……リィンが落としたのか?」
創「形状的に写真のようだが………リィン
は一体何を集めて………」
創「……………?」
創「!」
…………
マッチ「…………はぁ、はぁ、はぁ、また、やってしまいました………」
マッチ「こればかりはジャパニーズに来たら抑えないと社会的にまずいと自己判断してここまで来たはずなのに、流石に……」
マッチ「………ミスター響原への応対も変になってしまいましたし、また後で言い訳………じゃない、ちゃんとした返事をしませんと………」
ピンポーン
マッチ「うっ!?」
マッチ「な、なんでしょう………」
創「リィン、忘れ物だ」スッ…
マッチ「oh......ッ!!」
マッチ「い、1体どうしたんですかその写真は!」
創「お前の足元に落ちていた」
マッチ「そ、そうですか」
創「………お前、本当に大丈夫か?ストレスとか溜めていないか?」
マッチ「す、ストレスですか?勿論……溜まっては、まぁいませんので」
創「非日もこの事を話したら心配していたぞ」
マッチ「え、ライトに話………あ、ああ、すみません。」
創「おい、リィン………大丈夫か?」
マッチ「おや、ミスター響原……何か心配事でもあるのですか?」
創「この間の事もあるからな、少々気がかりでもある」
雷「そうだよ、どうかしたのかリィン?」
マッチ「貴方までどうしたのですか、非日」
雷「どうしたも何も!響原からお前の様子が変だって聞いたんだよ!顔青かったり腰震えたり!」
雷「お前大丈夫なのか!?変な病気だったりしない!?」
マッチ「非日………大丈夫ですよ、ワタシは何ともありません」
マッチ「この間はすみません、気を使わせてしまって」
雷「あ、そういえばその話もあるんだけど」
雷「お前、後ろになんか写真落ちてないk」
マッチ「ギャアアアアアアアーーーーーーーーッ!!!」
………
創「………… 」
雷「…………」
雷「大丈夫じゃなさそうみたいだな」
創「ああ………」
雷「俺、元気つきそうなご飯作ってくるよ………あいつ、スタミナつくジャパニーズ・どんぶりが大好きって言ってたんだ」
創「いや、今スタミナつけたらかえって逆効果かもしれないぞ」
雷「え?なんで?」
創「お前も時期に分かる………」
…………
マッチ「………」
創「いるか、リィン」
マッチ「ミスター響原……ライトを連れているならそう言ってくれれば良かったですのに」
創「いや、今回は逆だ……非日に頼まれてリィンを探していたところだったんだ」
マッチ「ああ、そうでしたか………」
マッチ「…………」
マッチ「この間、写真を届けてくれた時……見ましたよね?」
創「見たな、鈴蘭の写真だった」
創「お前……俺たちの写真を撮っているんだな」
マッチ「撮っている………それだけで済んだなら、まだ良かったのですがね……」
創「どういう事だ?」
マッチ「申し訳ありません、まだそれを説明することは出来ないのです」
マッチ「勿論……いずれ、ミスター響原にも説明する時は来ますが……」
創「その時は俺より先に非日に説明しておけ、あいつ………だいぶ心配していたからな」
マッチ「勿論、ライトにもその時が来れば話しますよ……覚悟が決まれば」
創「………リィン?」
マッチ「ミスター響原、今まで気を使っていただき申し訳ありません」
マッチ「そろそろ………いえ、話さず後悔する前に全て明かしておこうと思います」
創「そうか、つまり………話す決断がついたのか」
マッチ「はい、なので………ワタシの部屋に来てください」
マッチ「ライトにはもう話してあります、その次は……ミスター響原、貴方と決めていました」
………
創「ここがマッチの部屋か……なんか、普通だな」
マッチ「はい、ゴチャゴチャと番組のセットみたいになってたので片付けました」
創「そうか、それはマッチには会わなかったか」
創「………それで、お前に一体何があった?」
マッチ「それを話す前に………謝らなくてはなりません」
創「あの写真の件か…鈴蘭の、あいつに頼んで作った物じゃないな?」
マッチ「分かりますか?」
創「仕事柄俺も写真はよく触るが、構図に違和感があった」
マッチ「ですよね……やはり気付かれましたか」
創「他の写真もそうか?一体どこまで隠している?」
マッチ「それを今明かすのですよ………」
マッチ「ワタシは仕事柄、とにかく人々やあらゆる物の情報を集めます」
マッチ「ですが……思春期だとか、そういったもののせいにするつもりはないのですが……」
マッチ「今回のミス・鈴蘭のように………本来なら集めなくてもいい状況、自己満足にしかならないもの……」
マッチ「その………とてもアレな事まですごく癖のように大量に集めてしまうようになってしまいまして………」
マッチ「こんなことを言うと気持ち悪いでしょうが、私は今、ここに居る女性の事は何かしら大体把握している所存です」
創「そういう事か………」
創「まぁこの時期だ、お前もその事をすごく後悔しているなら俺は深く追求しない」
創「その癖を直したいと言うのであれば、俺に出来ることであれば協力くらいはするが………」
マッチ「………」
創「まぁなに、お前の友人ならそう答えるだろうと思ったまでに過ぎないが………」
マッチ「………ミスター響原」
マッチ「その通りです、ライトも同じ事を私に言ってくれましたよ」
最終更新:2022年09月04日 14:17