空白の通信簿イベント

創「空白……」

空白「え?マジ?俺未だに空白なの?」

創「仕方ないだろう、モノクマもモノクーロンもお前の事を話さないんだ」

創「いや………アイツらの場合は分かってて話さないつもりだろうが」

空白「性格の悪い奴らめ……こちとら自分がどんな存在なのかもわかっていないのに命の危機なんだが?」

創「それは同情する」

空白「たぶん真っ先に消されるの俺だよなー……何一つ分かってないから、消すにはもってこいだろ」

創「それは分からんが………」

空白「実際どうなの?俺が何者なのか皆分かってきてる?」

創「お前の調査なんてしてる奴はいないぞ」

空白「酷くない?そんなに自分が可愛いか?俺泣いちゃうよ?」

空白「こちとら俺が超高校級の何なのかすら分からないよ?」

創「何か検討は無いのか?」

空白「少なくともスポーツ系じゃないな、筋トレとか何かしらやって見たが平均かそのちょっと下ばかりだった」

空白「とするとインテリ系か……?と思ったが、お前と比べて頭がいいとも思えない」

空白「何かに優れているとは思うんだが、それが何なのかアテも無いってのは辛いもんだな」

空白「ていうか、モノクーロンも俺に生徒手帳くらいくれよ……」

創「何、お前持ってないのか?」

空白「ああ持ってない、せいぜい持ってるのはペンとノートだけ」

空白「やることないから日記をとるくらいしか使ってないけど」

創「日記……」

空白「あー、俺も阿良々木みたいに本を書ける才能だったら良かったのになぁ………」

創「自分も【超高校級の小説家】と言い出すつもりか?才能被りはあれど同じクラスに才能が被るなんてことがあるわけないだろ」

空白「いやいや?案外あるかもしれないぜ?」

空白「例えば……大雑把に言うと、一見同じようで細かいところで違う……とか」

創「………細かいところで、だと?」

空白「そう、一般人からするとパティシエもパン職人もあまり変わらないだろ?」

創「それは変わると思うが」

空白「かもしれねーけど………まぁそういうこと!俺は!そう予想してる訳!」

創「………小説家に近い才能?」

創(………まさかな)



創「おい、空白」

空白「何よ響原、というか俺いつまで空白って呼ばれるわけ」

空白「はぁ〜、せめて名前が知りたい、でも佐藤太郎とかだったらどうしよう、それはやだ」

創「日記の方はどうだ?」

空白「日記?ああ、こんな所に居たところで面白い事は起こらないだろ?」

空白「途中から、『今日は何事もない平凡な一日』だったをコピペするようにしたよ、オートでな」

空白「案外俺、PC系の超高校級だったりしてな」

創「………俺から提案があるんだが、日記に空想の出来事、でっち上げを書いてみてはどうだ?」

空白「はぁ?やってもないこと書いたら日記として成立しないだろうが」

創「なら日記じゃなくてもいい、白紙の紙ならとりあえず突拍子もないこと書いてみてくれ」

空白「………えー、なにそれ」

空白「つまりお前、俺にお話を作れって言ってるの?なんで?」

創「…………何故だろうな、ふと可能性を感じたんだ」

創「姿も、性格も………全く異なるはずなのに」

創「もしかしたらお前は、俺が探していた……この学校にいてもおかしくない奴だったかもしれないと、1%でも感じてな」

空白「たったの1%かよ!というと、アンタの探してる奴ってのは」

創「ああ、もしここに来ていれば【超高校級の脚本家】という称号だっただろう」

空白「その脚本家はそんなに優れているのか?」

創「ああ、俺が映画を撮る時は必ずそいつに一任しているし、いつも素晴らしい出来をしていた………」

創「何より、俺の幼馴染だった男だ」

空白「へー……思い入れのある脚本、思い入れのある相方ねぇ」

空白「面白いの?そいつの考える映画って」

創「ああ、製作者の俺が言うのもなんだが………面白かったな、どれもこれも」

空白「友人贔屓入ってない?」

創「そこまでは言いきれん………」


空白「で………それを、俺に?ちょっと責任重大じゃないですこと?」

創「もちろん無理には言わん、俺の興味と好奇心によるものだしな………」

空白「ま、暇潰しにはなるかもしれないし、お前がそう言うならちょっとやってみようかな」

空白「………」


空白「ちなみに、題材ってなんでもいいわけ?」

創「好きにしろ」



空白「もしもーし、響原」

創「ん?どうした、空白」

空白「どうしたじゃないでしょー、アンタが俺に何かしらお話書いてみれば?って提案したんだろうが」

創「それはそうだが、まだあれから1週間も経過していないだろう」

空白「でももう結構書いちゃったよ」

創「速いな!?」

空白「しかもノート5冊くらい」

創「嘘だろ!?」

空白「どうやら俺は、響原の言う通りお話系の才能があったようだな」


空白「案外、本当に俺は【超高校級の脚本家】だったりしてな、はははは」

創「いや………まさかそんな事が……」

創「第一、俺は入学する数日前にアイツに会っている………事故にあったなんて聞いてないし、何より記憶喪失なんてそう簡単に起こることでも無い………」

空白「提案しておいてめっちゃ理解できない感じ出すのやめてくれない?傷つくよ?」

空白「まぁ俺の方もまだアンタの友人の超高校級の脚本家候補かどうかはまだ確定じゃない訳だが………」

創「そうだな、その本見せてくれ」

空白「ほらよ、脚本として作ってはいないから不自然かもしれんが勘弁な」

創「……………」

創「なるほど……これは………」

空白「どうよ」

創「まぁ6割合格と言ったところだ」

空白「へっ、監督風情が偉そうにな、音楽も絵も脚本も作れねぇ癖に」

創「そんなことは俺がいちばんよくわかっている、だからこそ他には無いそれらを採用する責任というものがあるんだ」

空白「なるほど、アンタもだいぶ苦労してたのね」

空白「じゃ、それにほぼ忖度されてる脚本家はさらに大変だっただろうに」

創「俺はあいつを贔屓にしているつもりはない、単純なるクオリティの差だ……もし仮にあいつより上と感じた話が見つかったらそいつでも降ろす事は考えている」

空白「へーっ、よっぽど天才なのねその脚本家は」

空白「運良く希望ヶ峰学園に来れなかったけどさ」

創「…………」

空白「嫌味と思ったならごめん」

空白「でも俺は、アンタの友達が羨ましいよ…こうして才能同士で仲良く活動出来るなら………」


空白「___それが果たして、本当に才能なら、実際なぁ」



空白「おー、よく来てくれた響原」

創「どうした空白」

空白「ちょっと見てもらいたいものがあるんだけど、俺の部屋に来てくれん?」

創「お前の部屋?それに、俺に見せたいものなんて………」

空白「ああ、多分お前ならそれがなんなのかわかると思って……頼む」
………

創「…………ここがお前の部屋か」

空白「なんか変だろ?人によっては面白いっていうかもしれんが」

創「ああ、なんというか………とっちからって、統一性がなくて…………奇妙だな」

空白「まぁ住んでる分には悪くねーんだけど」

創「それで、俺に見せたいものと言うのは?」

空白「おー気になるか、これこれ………この本なんだけど」

空白「昔の脚本みたいなんだけどよ、これお前ならなんの映画か知ってるんじゃない?」

創「………!!」

創「この映画………知っている」

空白「マジか、どんな作品?面白い?監督有名な人?」

創「………いや、あまり有名な監督ではないな」


創「なぜなら………この時の監督は、俺だ」

空白「へ?」

空白「とすると、これはあんたの映画?」

創「ああ………それも………」

創「俺とアイツで作った………1番最初の映画だ」

空白「最初の映画!?」

創「そう、スタッフは数える程しかいないし、全員が未熟で……」

創「まぁ、作れただけでも十二分なそんな作品だったな………」

空白「へぇ………そりゃ、思い出の品じゃないか」

創「…………無くしたと思っていた脚本が、なんでお前の部屋に?」

空白「そりゃ不思議だな?俺は響原なら映画に詳しいと思って呼んだのに、余計に謎が増えちまった」

空白「…………」

創「ん?なんだ?」

創「…………この文字……なんだ、覚えがある」

創「前までは呼んでて違和感は無かったはずだが、なんだ?この脚本に何か………」

創「!」

ゴソゴソ………

空白「お、どうしたよ」

創「ちょっと確かめたいことがある」


創「…………空白、聞くぞ」


創「お前、前に俺に会ったことがあるんじゃないか?………あいつとは、別で」


空白「……………」


空白「響原さぁ、記憶喪失の俺にそれを言われてうんと言えると思う?」

創「………冗談だ、とりもどせるといいな、記憶」

空白「おう」
最終更新:2022年09月04日 14:19