グローリースターの真実

そして、作戦決行前日。

ロートルはベッドで寝かされていた。

「アルタイル君……今日は明日に備えて、一日中休んでおいた方がいいわ。」

「あ、はい、すみませんプライズ所長……」

「貴方のコンディション改善の為に、医療者兼ヒーローを用意したわ」

「………ヒーローとの兼業者、多いですね」

そう言ってサービス所長が連れてきたのは、鎧のような軽い装飾をつけた、シルバーさんで言うところの『トウヨウフウ』な人……

そして、また……

「なんだ……なんだグローリースター!!その顔はっ!!このナデシコ・カタナカジでは不服であるというのか!!」

「いえ……カタナカジさんが悪い訳ではなくて、むしろその……」

「しょ、所長!もういい加減聞きますよ……の前に、僕のことは……」

「分かっている!お前がグローリースターの代役な事くらい!仕事をするから早く済ませろ!」

「もう、ナデシコちゃんもそんなに怒らないの………」

カタナカジは寝ているロートルの体を撫で、その隣でプライズが口を開く。
「そうね、貴方の考えてる通り……」

「グローリースターの周りに女性が集まっていくのは、偶然じゃないわ……」

プライズが言う。
グローリースターの周りの女性が皆、彼を好きになる理由があるというのだ。
それは一体どういうことなのか? カタナカジ曰く、彼は昔から女性に対してモテていたという、ロートルが女性ばかりと出会ってきたも、そもそも関係を持っていたのが女性だけという事なのだろう。
しかし、彼の女性に対する態度や対応には少し違和感があると言ったものも居た。

その人物こそ……フレン。
兄はフレンによく目をつけていたがフレンだけはあまりなびかず、アプローチを多くかけていたらしい。
その詳細を確かめるため、ロートルは横になったままフレンに電話をかけた。

ーーーーーー

『ガゴゴゴゴゴゴ………』

「すまんロートル……コイツ一回寝ると中々起きない上に、イビキくっそでけーけど堪忍してくれ」

電話に出たのはシルバーだった、ロートルはカタナカジが言っていたことに相談してみた。

「やっぱりか、ミョーにお前の兄貴は女と絡みが多いなとは俺も思ってた」

「で、フレンが違和感を感じていたってのは……お前も知っての通りだな、他の奴らみたいに好意は感じてる素振りは無かったし、フレン自身にも思い当たる節は無いらしい」

「ロートル、お前も薄々気づいてると思うが、多分お前の考えてる事は正解だ、『プライズ達まで揃いも揃って理由も無く好きになるのか?』その答え……」



「まだ誰も知らない、世間一般にも明らかになってないグローリースターの『異能力』なら」

……そう、グローリースターのこれまでのヒーローとしての活動は全て筋肉とスーツ強化による格闘、異能力は一切使用していない。
能力の内容は弟のロートルですら聞かされていない。

「ま、これがもし兄貴の能力が『女の子にモテモテ』になるとかなら俺も俗っぽいなという感想で終わる、だが……」

「ロートル、俺にとっては最終確認だが……兄貴の顔はあまり覚えてないんだな」

「う、うん……ほぼスーツ姿だったしすぐ別の所に……あれ?」

おかしい、何か記憶がおかしい感じがする。
でも思い出せない、なんだこれ。
まるで頭にモヤがかかったような感覚。
そもそも本当に兄さんは死んだのか? でも、あの時確かに電話が……。

……
僕はいつの間にか眠っていたようだ。
起きた時にはもう夜になっていた。
寝ている間にシルバーさんからメッセージが入っていた。

「ありがとな……最悪な可能性が出てきた」


「お前の兄貴は女に好かれる……『それ以上のヤバい能力』を持っている可能性が出てきた。」

……

「え?」

そして、最後にこう残されていた。


「今はカミラーを倒すことを考えろ、その時また改めてフレンを添えて説明する。」

今は……そうだ、テロ組織を止めないと。
カミラーを止めないと世界が危ない、急いでグローリースターのスーツに着替え、前に見た地図の方向へと走っていった……

………

グローリースターが事務所を出て目的地に向かって駆け出した頃、既にエンタープライズとRRRの一部ヒーローとテロリスト達の戦闘は始まっていた。
大地を踏み荒らす機動兵器をRRRのラビット・ヒーロー達が蹴り飛ばし、機関銃を諸共せずヒーロー達は突っ込んでいく。
しかし、その他ヒーローのパワーでは決定打にはならず、次第に劣勢に追い込まれていく。
そこにRRRのキングバニーが到着し、戦況は大きく傾いたかに見えた。
同時期にエンタープライズのアンティーク7、エコロジーマン、ホーリービーム、アカシックが援護、テロリストのおよそ4割を鎮圧。

「まだ油断するな、能力者が3人残っている。」
「それはいいけど、なんでシルバーまで技術者なのにここにいるの!」

「ちょっと……個人的な緊急事態なんで!なんとしても勝ちたいんだ!」

異能力者相手には敵わないと悟ったのか一般テロリストの殆どが撤退、逃げるテロリスト達は煙を吸って倒れて行った。

テロリスト側の異能力者の1人、スモーキーが現れた。
「出たなタバコ煙野郎!ここからが作戦だ!」

「煙ガスを無効化できるヒーローは奴の相手を!」

「了解!」

スモーキーが能力で放つ高濃タバコ煙を、エコロジーマンから出るクローバーのが防ぎきる。
シルバーの指示を聞きながら、ヒーロー達も敵能力者へ攻撃をしていく。

「貴方本当にただの技術者!?戦い慣れしてるってレベルじゃないんだけど!」

「説明してる場合じゃねぇ!2人目が来るぞ!」

「ウオッホオオオオーーー!!!」

シルバーが言った通り、次の敵能力者……ゴリラ化の異能力を持つバトルコングが暴れ回り始めた。

「アレを私達がやるんだったな」

「No.2ヒーローのキングバニー様なら、ゴリラ狩りくらい余裕だろ?」

「当たり前だ、お前に指南されたからな……それに」

「ああ!個人的な緊急事態と言ったろ?俺も加勢してRRR全員の総攻撃だ!」

フレン、シルバー、RRRのヒーロー達が向かっていき、ヒーロー達の連携により、敵の異能力者バトルコングを抑えこんだ。
そして、遂に……


「すみません!!遅れました!!」

ロートルが……グローリースターが遂に到着し、更に奥へ!

「いや、作戦通りだ!行け!!グローリースター!!」


「グローリースターの、お前の兄貴の……いや、自分の真実を知る時が来た!!」

「多分お前なら大丈夫だ!!奥へ!!」


ロートルは走った、走って、走って……遂に、辿り着いた。

「あれが……カミラー……!!」

史上最年少ながら世間を震わせる異能力者。
犯した犯罪は数しれず、数多のヒーローを葬った。
3番目の異能力者にして最大の脅威。


「待ってたよー♡ざこざこヒーロー♡」
最終更新:2023年01月05日 23:42