我らが紅蓮隊

時空監理局……それはあらゆる並行世界を繋ぐ時空に存在する、全ての規律を司り、秩序を守る組織。
その部署の数は数百にも及び、様々な職務を行っている。
その中の一つ……『紅蓮隊』。これは、時空監理局の中でも特に優秀な者達で構成された部隊である。
彼女らが担当する任務は様々だが、その全てが世界を救う為のものである。
その為か、彼女達には特別な権限が与えられている。

「来ましたよ、Aの仕事です」

「ちっ……またか」

「文句言わないで下さい、これも私達の仕事だ」

「はいはい……んじゃ、行きますか」

三人の紅蓮隊メンバーが時空監理局からの要請を受けて出動する。彼女達が向かう先は、時空の渦が出現したという場所だった。
時空監理局に所属する者達は誰かしら特殊な能力を持っていたり、道具を支給される。

「しかし、みんな別世界にホイホイと移動しまくってさあ……」

「時空の旅人に1度なってしまえば、時空を超える事は容易だからな」

「1度世界の渦を開けたら開きっぱなしってことも知らないで……あ、そうですよね」

「当然です。私たちだって、ある程度の危険は覚悟していますから」

三人は他愛もない会話をしながら時空の渦のある場所へと向かう。そこは人気のない公園だった。
「ここに何かあるんですか?」

「恐らく……この渦の中から出現するぞ」

彼女達は注意深く周囲を確認した上で、渦に近付く。すると、渦の中から巨大な生物が現れた。
「な、なんだあれは!?」

「え、ドラゴン……?」

その巨大な生物は彼女達の存在に気付くと、口から炎を吐き出す。そして、そのまま暴れ出したのだった……。
「先輩、あれは!?」

「この渦を作った奴が渦をそのままにしていたってことは向こうにも穴が空いたままということだ、大方ここから向かった世界が奴らに荒らされたんだろう」

「そんなことが……とにかく、早く対処しないと!」

「分かってる、行くぞ!」

3人は巨大なドラゴンに立ち向かう。だが、その身体は巨大で彼女達の攻撃は中々通らなかった。
「くっ……強い……」

「このままだとマズいですね……」
このままでは埒が開かない、そんな時だった。

ドラゴンの頭上へ、突然謎の物体が現れる。
「なんだあれは……」

それはゆっくりと落下し、ドラゴンの頭へと直撃する。すると、その衝撃で頭が地面に叩きつけられる。

「い、今だ!」

3人は動揺している隙に攻撃を仕掛ける。すると、先程までとは違い、簡単にダメージを与える事が出来た。

「……渦の中にこれが入っていたのか」

「あの人は……?」

「今のうちにお前たちは時空セメントで渦を塞げ」

「え、あ、はい!」

「いや、待て!あのドラゴンはどうするんだ!?」

「あんな奴、私1人で十分だ」
そう言って彼女はドラゴンに向かっていく。そして、凄まじい力で攻撃を続ける。すると、徐々に動きが鈍くなっていく……。

「これで最後だ……!」
最後に放った一撃で、ついにその巨大な身体は地面に付した。

「なるほど……大したものだな、流石にリーダーなだけがある」

「え?」

「アマツキ、この紅蓮隊のリーダーだよ」

「えっ……は、初めて見た」

「私も初めて見ました」

「そりゃ、いきなり出てきたら驚くよな……。でも、まさかこんな場所に出てくるなんて……」

紅蓮隊のリーダーであるアマツキは彼女達の話を聞いて答える。そして、渦の中から現れたドラゴンについての説明をした。

「恐らくだが、あの時空の渦は作られてだいぶ立っている、ドラゴンでも通り抜けられるくらい柔らかくなっていた」

(時空の渦って柔らかくなるんだ……)

……
どうにか時空の渦を埋め直して、私達は帰路についた。

「しかし、何で時空の渦は勝手に消えないんですかね?」

「さあな……勝手に消えると思っている」

「うーん……まあ私達が考えても仕方ないですね

「そうだぞ、とにかく今日の仕事は終わった……今日のはな」

「はい……」

紅蓮隊時空監理局で誰もやらない地味な雑用を行う。
そして、紅蓮隊にはもう一つの顔がある、それは……


「また余計なことのせいで、全く……」

「我々はこの時空監理局を破壊させる事が本来の仕事なのに……」


時空監理局紅蓮隊
それは時空監理局局長代理『宅地雪』に復讐する為に集まった部隊。
復讐の方法は様々だが、最終的に時空監理局を崩壊させることを目的としている。

「まあいい……局長代理は最終的に私が殺るのだからな」

彼女達は時空監理局という組織を壊す為に、あらゆる任務をこなしていく……。

「先輩、次はどうしますか?」

「そうだな……」

アマツキは顎に手を当てて考え込むと、何かを思いついたのか顔を上げて言う。
「……よし、次の目標が決まったぞ」
最終更新:2023年08月08日 19:48