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ダブルクロス The 3rd Edition ~Ragnarok in the acid rain~ 第六話トレーラー




「大斗さん、大斗さん。」

令と理央が首を揃えてやってくる。
これはいつも通りのパターンだと、二人が知らないことを尋ねに来たのだろう。

「あのね、大斗さん。僕達の誕生日って、いつなのかな?」

そらきた。
…しかし、いつも通り即座に返答するのは、些か難しい問いであった。

令と理央は、共に影山薫のクローンである。
クローンの生年月日をどの時点と定義するか。
サンプルの培養を開始した日、或いは生体反応が観測された日。
器が完成し、装置から取り出された日…初めて自立して行動を開始した日という見方もできるか。
研究資料を見返せば、いずれも正確な日は特定できる。
しかしながら、それを彼らに伝えることは、少なからず躊躇われるように感じてならなかった。

PCのモニターを眺めて返答の用意をしていたら、ふと二人を放置してしまったことに気付いた。
振り返ると、二人は少し離れた位置でままごとを開始していたようだった。
その様子はまるで本物の姉弟のようで、微笑ましくも、心が僅かに痛んだ。

「大斗君はさ、難しく考えすぎなんじゃないの?」

姫宮君が昼休憩から帰ってくる。
その手には、近所の洋菓子店の箱を提げていた。

「確かにね、事情は難しいわ。でもね…見てよ、あの子達。」

裁断した紙屑をごはんに見立て、令の手元へと運ぶ理央。
丁寧に礼を言い、口へ運ぶ令。
しばらくして彼が涙目でそれを吐き出すと、ばかね、本当に食べるなんて…と、笑う理央。

「少しばかり生まれ方が違っても、あの子達は本物の子供よ。他の子達がそうであるように、笑って、泣いて、成長していくの。」

しょんぼりと落ち込む令だが、その顔を理央が覗き込むと、すぐに笑顔に変わる。
その表情の移り変わりは、彼が特別秘匿対象と扱われていた頃には、決して見られなかったものであった。

「だから、私たちが難しく考えちゃだめよ。大人として、あの子達を本物の子供だって、思ってあげなきゃ。」

姫宮君は彼らに近寄ると、手土産の箱からファンシーなホールケーキを取り出して言った。
今日を、彼らの誕生日にしてしまおう、と。
それだけの子供だましで、飛び跳ねて喜ぶ二人。
確かに、難しく考えすぎていたのかもしれない…そう思うと、なんだか笑えてきて仕方がなかった。

「大斗さん、大斗さん。」

令と理央が首を揃えてやってくる、今度はその手に皿とフォークを持って。
昼休みはとっくに終わっているが、仕方ない…今日くらいは、姫宮君の策略に乗ってやろうではないか。
彼女は既に、子供そっちのけで自分用のケーキを頬張っている。
…まったく、誰が子供なのか、わからないではないか。



皆でささやかな誕生日会を楽しんでいると、シュバルツがやってきて言う。

「皆さん、お楽しみのところ申し訳ない。実は…私の誕生日はいつなのだろうと思ってな…。」

姫宮君と二人で同時にずっこけるのを、三人は不思議そうに眺めていた。





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最終更新:2014年06月06日 17:26