もともと体の丈夫でない千種博士(千尋の父親)は自分の存命中に研究(人類を不死にするとかいうプロジェクト・アイオーン)が完成しないかもしれない焦りから後継者を求めるようになる。コミュ障で弟子が取れない彼は子作りするにも貧弱なボーイの見本で女性にモテない。しかも純粋日本人しか受け付けないとか処女がいいとかわがままを言う。
結局、人身売買とか買春を斡旋する組織に大枚を叩いてある少女を買うが、勿論純血じゃない上病気持ちだった。彼女の名前はリン。二人はどういうわけか次第に心を通じ合い、ようやくリンは子供を宿すことに成功する。体の弱い彼女は一生に一度しか出産が出来ないだろうと見られていたし、それも命がけである。しかし、なんたる運命のいたづらかよりにもよって畜生腹。
一度は出産を止めようとする千則だが、そもそもそのために買われたリンの決意は固く、二児を出産。しかし案の定産褥で程無く亡くなってしまう。
この頃からもともと尖っていた千種博士の性格はますます鋭くなってくる。
問題のある父親ではあるがお金はあったので、十分な支援の下英才教育を受ける長男・千尋。父の期待を一心に受け、麒麟児と称される程になった。父の方針で未だウェットではあったが、サイバー化した同級生たちに勉強面でまったく引けを取らなかった。しかし学校では当然浮いていたので、父のいる研究所に入り浸るようになっていった。それが件の事故に巻き込まれた原因になるのだが。
一方、双子(※クラインフェルター症候群のため、男女の一卵性双生児。細かい設定は割愛)の妹である千春は平素父親からほとんど関心を買うこと無く放置されて、かえってのびのびと生育していた。父とは会話するどころか名前も呼ばれたことはほとんど無かったが、頻繁に入れ替わるベビーシッターのお陰で特別な孤独を感じることもなく、兄とも仲が良かったため順当に夢見がちな少女へと育っていく。
ある時、遠縁の親戚がいることを知らされ、一時的に同居することになる。後藤ゴウシュウである。彼は千則氏の申し出た経済的援助の申し出を受けることこそ無かったが、双子兄妹のことはよく面倒を見てあげていた。利発な千尋には勉強を教えてやっていたし、特に千春はゴウシュウのことを身の回りにいない「スラム育ちのワイルドな、逞しい男性」タイプと認識し、とてもよく懐いていた。いずれは彼のお嫁さんになりたいと子供心に思うほどになっていた。
その後、件の「事故」が起こり、「術式」が行われることとなる。
一連の事件の後、千尋は失踪し裏社会の人間となる。生き延びるために河渡連合を利用し、隠れ家と人脈を都合させる。利用できるものは何でも利用した。自分の体質も例外では無い。彼の珍しい「肉体」を求めるものは科学者から好事家まで様々だった。彼らによって傷つけられた体はアヤカシの能力によっていつでもいつの間にか元通りになり、成長することもほとんど無かった。その為性器は外見も内面的な機能もほぼ思春期のままである。
今では「積尸」と呼ばれる非合法なことを生業とする移民たちとごくビジネスライクな付き合いを持つだけであり、肉体を誰かに晒すことも無くなった。当時のことは唾棄すべき記憶として残っている。
パトロンになってくれた好事家に体を鬻いでいた時期もあったが、ファザコンの呪いのためおっさんは正直嫌いだった。肉体にコンプレックスがあるため、五体満足な女性と付き合うことに引け目を感じていた彼は、ヒルコの娼婦たちのもとにしばしば転がり込んだ。しかし性欲が全くと言っていいほど無い彼は大して気も利かないし生活力もないヒモとしてはドサンピンであったので、当然あまり長続きしなかった。
その後、「積尸」を通じた薬物の取引の際、ある組織と敵対することになり命を狙われる。その時に出会ったボディーガードの青年、緑雨(ルユウ。クグツの人)とひょんなことから付き合い始め現在に至る。
このような経緯から非常に複雑なセクシャリティーを獲得するに至った千尋君。彼の目下の目標は自分の肉体の謎を解明する、すなわち謎の計画「プロジェクト・アイオーン」の全容を明らかにし、悪魔の実験で何が行われたかを知ることである。
合一した肉体をどうするかについては未だに迷いがあるが、妹の願いはなるべく叶えてやりたいと思っている。しかし自分の人生も保全しておきたいので、「自分が死ねば妹は助かる」と聞かれたときに迷わずYESと言えるようになるまでその問いにはあえて蓋をしている。
千尋自身は己の中にある「奇妙な乙女心」については千春が宿っているためだとしか説明がつかないと思っているが、実際は術後に人格(脳)は完全に統合されており、彼の中にある「女性的人格」は後天的に芽生えたものであるが、それに気づいていない。そのため後藤ゴウシュウに対する特別な感情にも戸惑うばかりである。
父の支配が無くなった今、サイバー化手術を受けることを後藤に薦められたが、「術式」後の心的外傷からあらゆる外科手術に対し拒否反応が出るため今のところ不可能である。当然研究者としては大きなハンディとなるが、医師免許を受け取らないBJの如くたぶん何だかんだ障害が無くなってもウェットでいることを貫くのでしょう。
ヒルコの緑雨は体に鱗が生えているレプティリアンである。外見から年齢がかなりわかりづらいが実は17歳だった。どういう経緯で生まれたか分からないが、本人は母親は完全に人類だったと記憶しており、混血ではなく先祖返りが起こったのだと信じている。その為実在する蜥蜴の種族と外見などを比べられるのを好まないのだが、千尋はそれを知らない。
本名は国籍と共に不明、緑雨は今の主人につけられた通り名のようなもの。千尋は「ゆうくん」と呼んでいる。
ゆうくんも普段そんなに性欲が強い方では無いが、体質的に体が冷たくなりやすいので皮膚が柔らかく温かい哺乳類とくっついて寝るのは大好きである。たまに発情期が来ると顎が真っ黒になってぶんぶん頭を振る癖が出るのですぐ分かるらしい。
期待されている通り、蜥蜴なので生殖器は二股に分かれている。女性に誤解されて怖がられることが多いが、安心して欲しい。一度に使うのは通常一本である。
社会的に逸脱しまくった二人の性行為がどのくらい的を射たものかは誰にも分からないが、せいぜいB’ってとこだろうと推測されます。