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日本漢方と中医学の相違点 - (2007/12/04 (火) 22:18:13) のソース

(編集中)

*はじめに
-この項では日本漢方と中医学の相違点を述べます。ここでは「日本漢方」を現在日本で主流を占める「古方派
」とほぼ同じものとして説明します。

*治療方針決定のプロセスおよび「証」の意味の相違
-日本漢方
--体質や複数の症状の組み合わせ(日本漢方的「証」)から、古典や口訣(言い伝え)に基づいて方剤を決めます。
--病気の原因や病態について詳細に分析せず、方剤の使用目標の中から患者さんの「証」と最も一致するものを選択します。これを「方証相対」といいます。
-中医学
--患者さんの症状群を理論に基づき分析し、病気の原因と症状発生のメカニズム(中医学的「証」)を明らかにしたうえで治療方針を決定し、生薬を配合して処方を決めます。これら一連の流れを「弁証論治」といいます。

*依拠する古典および外感病の扱い方の相違点
-日本漢方
--後漢に著わされたとされる張仲景の『傷寒論』を最重要古典と位置付けます。
--『傷寒論』は当時大流行した「傷寒」といわれる感染症に対する処方集として成立したため、病気のメカニズムなどの理論的記載を省き、「どういった症状を呈する場合にはどの方剤を用いるか」という救急マニュアル的性格を有していました。
--前述の通り、日本漢方においては病気のメカニズムなどを考えずに患者さんの症状と最も一致する方剤を選びます。従って、マニュアル的性格を持つ『傷寒論』は実践的であると評価されたのです。
--日本漢方では、『傷寒論』を急性期の病態だけでなく、記載された症状群と同じ病状を呈する亜急性・慢性疾患にも適用範囲を広げることで発展しました。
-中医学
--『黄帝内経』『神農本草経』『傷寒論』を三大古典と位置付けます。
--『黄帝内経』は前漢時代に成立したとされ、中国伝統医学の基礎理論が記されています。
--『神農本草経』は後漢時代に成立したとされ、生薬の性質や薬効を記した薬物学書です。
--中医学において『傷寒論』はあくまでも急性外感病での方剤決定に用いられ、日本漢方のように急性疾患以外に応用されることはありません。
--急性外感病については、明・清の時代に熱性外感病を中心に論じた「温病学」が成立しました。今日の中医学では、『傷寒論』をベースとした「六経」は主に風寒の邪による外感病を、「温病学」では主として湿熱の邪による外感病を扱うことになっています。

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(編集者:鹿児島大学)
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