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別に隠すことでもないかな。


男「あーその日はこなたとアキバに行ったんだ。」

かがみ「えっ……こなたと?」

男「うん。初めて行ったけど、凄いとこだな、アキバは。」

かがみ「そっ…そうなんだ。」

男「うん。人多すぎ。しかもコスプレした人が普通に道を歩いてるし。」

かがみ「…それは恐ろしいところね。」

男「だろ?メイドカフェとかも連れてかれたし、なかなか疲れたよ。」

かがみ「こなたが行こうって言ったの?」

男「うん、そうだよ。…なんで?」

かがみ「別に?大変だったわね。」

男「…やっぱり、かがみこの前から少し変だぞ。大丈夫か?」

かがみ「…別に平気よ。」

男「…そうか。」

かがみ「でも…」

かがみ「でも男には…そのうち色々話すかもしれないわ。」

男「…うん。」

かがみ「あのね、…なんか男と話ししてると楽しいわ。」

男「そ、そう?あ、ありがとう。」

かがみ「あ、もう家だから。」

男「あ、うん。」

かがみ「何か変な話してごめんね。また明日。」

男「うん、またね。」


かがみは自分の部屋に入るとベッドに倒れ込んだ。

かがみ「やっぱり…私…」







【第五話;オベンキョウ】


かがみと別れて俺は少し歩き、家に着いた。

男『ハリ○タ読むか…』

俺はこなたが引っ越して、母親が死んだ後、自分一人で生きていく覚悟を決めたため、必死に勉強した。少なくとも高校レベルの内容なら特に勉強しなくとも高得点をとる自信がある。ハリ○タ程度の英語なら余裕だ。
でも今考えるとそれは口実で、今はかがみの役目(?)である、こなたに勉強を教える、という事のためだったのかもしれない。
こなたは昔から運動神経は抜群だった。しかしめんどくさいのか、勉強は全然しなかった。
俺は少しでもこなたの力になりたくて、勉強をがんばったのかもしれない。
だから今の自分があるのは、こなたのせいであり、こなたのおかげなのかもしれない。


男『そう言えば明日はつかさに勉強教えるんだっけ…。』

俺は本を閉じると、明日聞かれるであろう箇所に目を通した。

次の日。
かがみは今日も自分のクラスで昼食をとっていた。

つかさ、こなた、みゆきさんと昼食をとっていると、みゆきさんが話しかけてきた。

みゆき「男さんは、部活など入らないんですか?」

男「うーん、特に入りたいの無いかなぁ。」

みゆき「前の学校では何か入っていたんですか?」

男「あ…うん。一応空手部でした。」

みゆき「まぁ!凄いじゃないですか!」

男「いや、そんな真面目じゃなかったし、大して強くもなかったよ?」

みゆき「私はそういった運動は苦手なので男さんが羨ましいですよ。そう言えばこなたさんも空手やっていましたよね?」

こなた「うむ。ゲームでもリアルでもマスターだよ。高校入ってからはやってないけどねー」

つかさ「じゃあ男君とこなちゃんは一緒に出来るねーいいなー」

男「…。」

こなた「…。」

みゆき「え…と…つかささん、空手と言うのは格闘技ですし、一緒にやるというのは難しいですよ?」

つかさ「えっ?」

放課後。つかさは荷物を置くため一旦家に帰り、その後駅で待ち合わせた。


つかさ「あ、男君!」

男「ごめん、待たせちゃったかな?」

つかさ「大丈夫だよー今来たとこだからー」

男「よかった。じゃ行こうか?」

つかさ「うんっ!」


男邸、男の部屋。
つかさ「よっこいしょういち。」

男「で、何からやる?」
つかさ「あっちょっと待って!実はお菓子作ってきたの!一緒に食べよう?」

男「えっ?!そんな…悪いなぁ。」

つかさ「だってね、教えて貰うのに何もお礼しないのは悪いかなーって思ったのー」

男「そっか…ありがとう。とりあえずお茶入れるね。」

つかさ「はい、どうぞ!」

男「ん?これはチーズスフレ?」

つかさ「うん!」

男「…ありがとう。」

つかさ「えへへ…///」

つかさの作ったチーズスフレは、わんこシティで食べたものをさらにアレンジしたもので、中にブルーベリーソースが入っていた。

男「本当に料理上手いんだね。俺も料理はするけどお菓子はほとんど作らないからすごいと思うな。」

つかさ「喜んでもらえて何よりです!///」

男「こんなに上手でも、かがみはあんまり食べないみたいだから感想言ってくれる人が居ないねー」

つかさ「お姉ちゃんはお菓子大好きだよ?」

男「え?でもわんこでは食べてなかったよね?」

つかさ「そうだねーガマンしてたんだと思うよー」

男「そうなんだ…」

男「じゃあ数学からやろうか?」

つかさ「うん!」

男「じゃあまずは46ページからだけど…」



男「…で、ここの頂点の座標から式を出して…」
つかさ「…」

男「…傾きは不明だからaっておいて…」

つかさ「…」

男「つかさ?」

つかさ「…」

男「…」

つかさ「…」

ぽんぽん

つかさ「………あれ?…おとこくん…なんでうちにいるの…?」

男「ここは俺の家だよ。」

つかさ「…」

つかさ「…!!ごっ…ごめんね!眠ってた!!」

男「大丈夫?」

つかさ「うん…///」

男「ちょっと気分転換しようか?」

つかさ「…うん。」

こんな流れが5セット程繰り返されたが、なんとか数学は終わった。

つかさ「すごい!数学終わったね!」

男「うん、よかった(本当はもう一科目やるつもりだったけど)。」

つかさ「いっぱい眠っちゃってゴメンね。」

男「大丈夫だよ。でも余り夜更かしとかしない方がいいよ?昼間眠くなるから。」

つかさ「いつも十時過ぎには寝てるんだけどなー…」

男「うーん…」

つかさ「ねえ男君!」

男「ん?」

つかさ「その…男君が迷惑じゃなければ明日も一緒に勉強したいな…?」

男「うん、いいよ(このペースだと一人じゃ終わらないだろうな)。」

つかさ「やったぁ!ありがとう!」

男「でも明日は何も作ってこなくていいからね?」

つかさ「えっ?」

男「お菓子とか作るの時間かかるでしょ?」

つかさ「でも悪いよー」

男「じゃあさ、テスト終わってからでいい?」

つかさ「…うん!分かった。ありがとう。」

男「とりあえずもう八時だし、家まで送るよ。」

つかさ「えっ…///」

つかさ「よかったー実は一人で帰るの少し怖かったの。」

男「夜道は危ないからね。」

つかさ「うん、それもあるけど、電車で帰るとうちの神社の前通るでしょ?それが怖くて…」

男「えっ?!『うちの』?」

つかさ「あれ?知らなかった?うち、神社なんだよ。」

男「知らなかった…」

つかさ「お姉ちゃんから聞いたのかと思ってた。あ…夏祭りは来てね!」

つかさを送るため外に出た。夜だというのにもうずいぶん暖かくなって、夏が近いことを感じた。
うちは埼玉でも田舎の方なので夜ともなると暗く、カエルの声がする。


つかさ「く、暗いねー」

男「うん、この道街灯無いからね。」


俺が送るので、電車には乗らずに歩いていくことにした。柊宅までの近道は畑の近くの街灯の無いエリアを通る。


…バサバサバサッ!!

つかさ「きゃーー!!!」

人の気配を察知した鳥が急に飛び立った。
それと同じくらい不意打ちで、つかさが俺に抱きついていた。

男「………!!!」

つかさ「うぅ…」

男「…あの…つかさ…?」

つかさ「あっゴメン!///」

男「大丈夫、鳥だったよ。」

つかさ「うん……あの…………街灯あるとこまで………手、繋いでてもいい……?」

男「う…うん…。」

つかさは本当に怖がっているみたいだったので、俺は明るいところまでつかさと手を繋いで歩いた。


つかさ「きょ…今日はありがとう。」

男「う…うん。」

つかさ「また、明日ね。」

男「うん。お休み。」

つかさは、『お姉ちゃんにばれるから』と言って、家から少し離れたところで俺と別れた。

俺はUターンして、俺の家に向かって歩き出した。
まだ五月なのに、ずいぶん暑く感じた。







【第六話;オヤスミ】


水曜日。週の折り返し地点。
朝のプラットホームに辿り着くと、そこにはつかさとかがみの姿があった。

つかさ・かがみ「おはよー。」

男「おはよ。…あれ?こなたはまた遅刻か?」

かがみ「うーん…次の電車が間に合うギリギリだから待とうかと思うんだけど…。」

男「そだな。」

『次の電車』はこなたを乗せることなく、発車した。


ホームルーム。
黒井先生「出席とるでー。」
黒井先生「相川ー…荒木ー…泉ー…泉ー!泉ー!!…なんやー泉また遅刻かー」

男「…。」
『風邪でも引いたのかな…』

昼休み。
かがみは今日も自分のクラスで昼食を食べるようだ。
男「ちょっと先生に質問あるから今日は先食べてて。」

つかさ「うん、分ったー。」
みゆき「はい、分りました。」

職員室。
男「黒井先生いますか?」

黒井先生「なんやー?」

男「あの…今日、泉居ないみたいですけど風邪か何かですか?」

黒井先生「…?」

男『しまった…よく考えたら、先生的には何で俺がこなたの事を聞くのか訳分らんだろ…』

男「えと…実は昨日帰り道で泉と会って、普通な様子だったのに今日来ないのはおかしいなーって思ってですね…泉と仲の良い柊も知らないみたいで、ちょっと心配でしてね…。」

黒井先生「…ふーん。ま、ええわ。泉は風邪ひいたみたいやで。さっき本人から電話あったわー。」

男「そ…そうですか!ありがとうございました!!それじゃっ…!!」

黒井先生「ちょい待ちーや。」

男「…なんすか?」

黒井先生「ちょっと聞きたい事があるんや。」

男「…何でしょう?」

黒井先生「あー…言いづらい事だったら謝るわ。…その、男の親は家に居てるか?」

男「…えっ…?」

黒井先生「学校からの親展の書類の返事が来ないんや。」

男「(しまった!最近郵便受けチェックしてない!!)あっすいません!!うちの親、長期で家空ける仕事してるんでまだ見てないんだと思います!」

黒井先生「なんや、そうか。病気とかかと思たわ。とりあえず早目に見せてや。うちのクラスで返事来てないの男だけやで。」

男「すいません!言っときます!!」

黒井先生「まあそんなには急がんけどなー。」
黒井先生「…確か男の家は母親居ないんやったな…。まぁその…なんだ!困った事あったら言いやー。」

男「いやそんな悪いっすよ。」

黒井先生「料理は出来へんけどなー。」



午後の授業が始まる前、つかさにこなたの事を話した。
男「なんかさ、質問のついでに(嘘)こなたの事聞いたんだけど、風邪ひいたっぽいよ。」

つかさ「えっ?そうだったんだ。こなちゃん大丈夫かなー…。」

みゆき「じゃあ放課後みんなでお見舞いに行きませんか?」

男「そうだね。じゃあ念のためこなたに行くよってメールしとくよ。」

みゆき「そうですね、お願いします。」

つかさ「お姉ちゃんにも言っとくね。」


こなたからメールの返信が来たのは午後最後の授業が終わる直前だった。

【from】
泉こなた
【タイトル】
Re:大丈夫か?
【本文】
来なくていいよ、うつすと悪いから。みんなにも言っといて。
おやすみ。


男「…。」

放課後。
かがみ「よっ。こなたが風邪ひいたんだって?」

みゆき「そのようですよ。」

男「あっ…みんなその事なんだけど…。」

つかさ「どうしたの?」

男「こなたのやつ、来なくていいってさ…。」
俺はみんなにメールを見せた。

かがみ「…そっか…。一瞬サボりかと思ったけど、結構本気で風邪なんだな…。大丈夫かな?」

みゆき「そうですね、でも熱が高い時など無理にお見舞いに行って、負担をかけさせてしまってはいけませんから軽くなってからお見舞いに行きましょう。」

つかさ「そうだねー心配だけど。」

男「まあこの時期にインフルエンザって事も無いだろうから大丈夫だろーとは思うけどね。」

俺はみんなと別れて家路についた。

一時間程して、家のチャイムが鳴った。
つかさ「こんにちはー!」

男「あ…つかさ。」

つかさ「来たよー!勉強教えて!」

男「!!う…うん!!さあ上がって!」

つかさ「おじゃましまーす!」

男『こなたの事で、つかさと勉強するのすっかり忘れてた…。』

とりあえずココアを淹れて、つかさと勉強机に向かい合わせた。
何となくこなたが心配で、今日はつかさを送っていく気力が湧きそうにならなかったので急いだ。がんばって二科目を終わらせた。

つかさ「ふー!がんばったなぁー!!私いつも授業のペース早すぎてノート取りきれないから、こうやって教えてもらうと助かるなぁ。」

男「うん、よかった。」

つかさ「男君は自分の勉強っていつもはどの時間にやってるの?」

男「うーん夜かな?(ホントは授業以外ほとんどやってないけど…)」

つかさ「そっかー。私は夜寝ちゃうからダメだなー。」

男「…さて、買い物しなきゃだから途中まで送っていくよ。まだ明るいし途中までで大丈夫だよね?」

つかさ「うん…。」


つかさと一緒に家を出た。ゴトーヨーカ堂まで一緒に歩く。
男「そういえばさ、明日ちょっと用事があるから次の勉強会は土曜でいい?」

つかさ「うん。実は私も明日は晩ご飯当番だから早く帰らなきゃなんだー。」

男「そっか。じゃあまた土曜だね。でも明日もノートとかには目を通した方がいいよ?」

つかさ「うん、そーする!」

男「じゃあ俺は買い物するから気をつけて帰ってね。」

つかさ「はーい!ばいばい!」


『ゴトーヨーカ堂で買うものなんて無いんだけどな』
俺はいつかのかがみのマネをして、ポッキーだけ買って家に帰った。

夕食を済ませてゴロゴロしていると、電話が鳴った。

[着信:父携帯]
ヴヴヴヴヴ…ピッ
男「何?」
男父「突然だけど明日帰れそうだから、夕食作ってくれると助かる。」
男「いいよ。何時くらい?」
男父「そうだな…おそらく八時くらいだ。」
男「分かった。」
ピッ

電源を切った携帯をじーっと見た。
ピッピッピッ…

こなたからのメールをもう一度見る。
【本文】
来なくていいよ、うつすと悪いから。みんなにも言っといて。
おやすみ。

こなたにメールしたい衝動に駆られたが、みゆきさんの言葉を思い出してやめた。

少しだけネトゲーにログインする。
しかしすぐ飽きてしまい電源を切って寝た。

次の日。
やはりこなたは学校を休んだ。
メールはしてみたが、『熱高いから来なくていいよ』という返信が来たきり、メールは途絶えた。
みゆき「こなたさん、心配ですね?」

つかさ「うん…」

かがみ「あいつ居ないと静かすぎて違和感覚えるわね…。」

かがみは今日は俺たちと昼食を食べた。何でも自分のクラスの仕事が片付いたらしい。
その日はこなたを除く四人で帰った。


家に帰ると親父が居た。
男「早かったな。まだ飯作ってないぞ。」

男父「ああ、予想以上に早く終わってな。なんか手伝うか?」

男「いーよ。父さん家庭科的な事なんも出来んだろ。」

男父「まーな。」

男「そういえば机の上にある親展の封筒、目を通しといてよ。なんか学校に出す書類みたいだから。」

男父「分かった。」



男父「なあ…この『黒井ななこ』ってのは先生か?」

男「そうだけど?」

男父「そうか。」

男「どうかした?」

男父「いや、別に。」

男「そういや何日くらいいるんだ?」

男父「そうだな…三日位か。」

男「大変だな。」

男父「仕事だからな。」

次の日もこなたは学校を休んだ。

【from】
泉こなた
【タイトル】
Re:少しは良くなったか?
【本文】
大丈夫、熱下がったら連絡するからそんなにメールくれなくてもいいよ。

俺はケータイを閉じる。

みゆき「こなたさん、まだ調子悪い様ですか?」

男「うん…。」

つかさ「心配だなー」

なんだかじっとしていると落ち着かない。
俺は昼食を急いで済ますと、みゆきさんとつかさを教室に残し、ぶらぶらと歩きだした。

かがみは今日も自分のクラスで昼食をとっていた。かがみの教室をちらっと覗くと、かがみが友達と思われる二人と一緒に昼食を食べているのが見えた。

かがみ「くさいよねー」
かがみの友達「うんうん。」

ここのところかがみも様子がおかしかったが、至って普通に見えたので、俺は少し安心した。

こなたの事を考えながらぶらぶらと歩いていると窓の外に意外な人物を見つけた。
親父が、職員室などがある本部棟に入っていく。
『何しに来たんだ?』
俺は本部棟に向かった。

本部棟に着いたが、親父の姿はない。
『いや、確かに父さんだった。』
本部棟内をうろうろしていると普段使っていないはずの会議室から声が聞こえてきた。

黒井先生の声「………………だったんやで!!」

男父の声「仕方ないんだ……………」

黒井先生の声「けどな!……………………」

男父の声「………………………」

よく聞き取れないが、なんだか言い争いをしているような声が聞こえる?
『??なんで父さんと黒井先生が?』
しばらくすると声は静かになった。席を立つ音がして俺は慌てて本部棟の入口まで走った。


しばらくすると親父がこちらに歩いてきた。

男「父さん。」

男父「男か。どうした?」

男「それはこっちのセリフだろ。何で学校来たんだ?」

男父「暇だからな、昨日の親展の書類、記入して直接持ってきたんだ。」

男「そっか…。…………………なあ、さっき会議室で黒井先生と何か言い争ってなかったか?」

男父「…聞いてたのか。」

男「内容までは聞こえなかったけどな。」

親父は少し息を大きく吐いて、言った。
男父「いい先生だな。」

男「?」

男父「私がいつも家を空けているのを怒られてしまったよ。もっと親らしい事をしろと。」

男「黒井先生がそんな事を?」

男父「ああ。」

男「そうか…。」

予鈴が鳴った。
男「あっやばい。」

男父「ほら急がないと遅刻するぞ。」

男「うん、じゃあ。」

男父「大切にしろよ、先生も、友達も。」

男「…うん。」

午後の授業の後、少し黒井先生と話そうと思った。
男「今日は先生に質問するからみんな先帰ってて。」

かがみ「分かったわ。」
みゆき「はい。」
つかさ「うん、ばいばーい!」

黒井先生は職員室に入るところだった。
男「先生!」

黒井先生「ん?男か。なんやー?」

男「ちょっと話があるんですが。」

黒井先生「…。ちょっと待ちーや。荷物置いて来るわー。」

先生はそう言って職員室に入って行った。
十分ほど過ぎて先生が出てきた。

黒井先生「待たせて済まんなー。なんや?」

男「あの…今日昼、父が来たようなんですが…。」

黒井先生「おー!来たでー。書類わざわざ持ってきてくれたなー。」

男「それでその…先生と父が話した事を、父から聞きました。」

黒井先生「えっ…?!」

男「俺の事を心配して、父にもっと家にいろと言ってくれたとか…。」

黒井先生「あっ…!そっそうや!済まんなー余計な事を強く言いすぎたかもしれんわ。ゴメンなー。」

男「いえ、嬉しかったです。黒井先生みたいな先生はめったに居ないです。」

黒井先生「い…いや、そんなことないで!!」

男「父は仕事でめったに家にいませんが、それなりに俺の事は考えてくれていると思います。」

黒井先生「うん、そやな。そんな感じやったな。ゴメンな。ホンマ言いすぎたわ。反省してるわ。」

男「いえ、大丈夫です。ただお礼が言いたかったんです。」

先生は目を閉じて少し大きく息を吐いた。その仕草は親父に似ていて、少し可笑しかった。
黒井先生「実は先生はな、両親居らんのや。」

男「…。」

黒井先生「いや、父親は生きとるで!ただ訳あって会えんのや。」

男「…そうなんですか。」

黒井先生「だから親と一緒に居られない子ども見てるとついむきになってしまうんや。」

男「なんか辛いこと思い出させてしまってすみません…。」

黒井先生「なーに生徒が先生に気ぃ使っとるんや!大丈夫やで!」

男「はい…。」

黒井先生「にしても男はいい子やなー。」

男「へっ?」

黒井先生「その歳にしては考え方しっかりしとるし。ウチが高校の頃はそんなしっかりしてなかったで。」

男「そっそうですか?」

黒井先生「でも他人に優しすぎや。」

男「?」

黒井先生「まーそのうち分かることや!…おっと!いかんいかん仕事せな!」

男「あっすみません!話しこんじゃって!」

黒井先生「おう。じゃあ気をつけて帰りー」

男「はい。じゃあ、さようなら。」


なんだか久しぶりに一人で帰った。電車は一駅手前で降りて何となくこなたの家の前を通った。
こなたの部屋はカーテンが引いてあった。
『やっぱ寝てるのか…。』
俺はそのまま家に帰った。

家に帰ると親父が珍しくキッチンに居た。
男「なんだ、父さん腹減ったのか?すぐ晩飯作るよ。」

男父「いや…たまには私が作ろうかと思ってな。」

男「なんだよ、先生に怒られたから早速家事か。」
俺は少し笑って言った。

男父「そんなとこだ。」

親父は悪戦苦闘しながらカレーらしきものを作った。

男「…まぁまぁだと思うよ。」

男父「すまんな。」


夕食後、ケータイが短く鳴った。
かがみからメールだ。

【from】
柊かがみ
【タイトル】
無題
【本文】
日曜日、空いてる?

【to】
柊かがみ
【タイトル】
Re:
【本文】
空いてるよ。どうしたの?

【from】
柊かがみ
【タイトル】
Re:Re:
【本文】
一緒に勉強しない?

【to】
柊かがみ
【タイトル】
Re:Re:Re:
【本文】
いいよ。どこで何時から?

【from】
柊かがみ
【タイトル】
Re:Re:Re:Re:
【本文】
ありがとう。時間とかは明日決めましょう。
それじゃおやすみなさい。


『土曜はつかさ、日曜はかがみ…。なんか効率悪い気もするけどつかさのは内緒の約束だから仕方ないか…。』

土曜日。今日は半日授業がある。
朝のプラットホームに、こなたの姿はやっぱりなかった。
つかさ「こなちゃん…結局今週は学校来なかったね。」

かがみ「そうね…来週からテストだけど大丈夫なのかしら?」

男「うん…。(土日は柊姉妹と勉強だから教えに行けないな)」


半日の授業が終わり、みゆきさんを含めた四人で帰宅した。

みゆき「私、実はこなたさんが勉強できるように授業で重要だと先生が仰ってたところをまとめたノートを作ったので、今日こっそり郵便受けに入れておこうかと思うんです。」

つかさ「ふぁぁ…!すごい、さすがゆきちゃんだね。私にはそんな時間ないよー」

かがみ「じゃあさ、私が入れとくわよ?みゆき家反対方向でしょ?」

みゆき「そうですね、お願いできますか?」

男『こなたは…ホントにいい友達を持ったな…。』


みゆきさんと別れ、つかさ、かがみと一緒にこなたの家の郵便受けに『秘伝・ゆきちゃんノート』(つかさ命名)を入れた。

男「じゃあね。」

かがみ「うん、さよなら。」
つかさ「ばいばーい。」
つかさは『後でね』と目で合図した。

一時間後、つかさが家に来た。
つかさ「こんにちはー!」

男父「こんにちは。」

つかさ「はうっ!!」

男父「男の友達かい?」

つかさ「あっ…そっ…そうです!男君にはいつもお世話になってます!」

男「どうした父さん?…あっつかさ。」

男父「遊びに来たのかい?」

男「いや、うちで一緒に勉強する約束してたんだ。上がっていいよ。」

つかさ「あっ、おじゃましますっ。」


勉強していると親父が入ってきた。

男父「男、悪いんだけどそろそろ仕事行かなければならないんだ、つかささんだっけ?ゆっくりして行って下さいね。」

つかさ「はっ…はい!ありがとうございます!」

男「うん、いってらっしゃい。今回はどれくらいだ?」

男父「そうだな…少なくとも一カ月はかかりそうだ。帰る頃また電話する。」

男「わかった。気をつけてな。」

男父「お前もな。」


親父は仕事に行った。

つかさ「お父さん、忙しいんだね。」

男「うん。」

夕方まで勉強した。


つかさ「すごい!まだ明日あるのに全部終わった!!」

男「つかさが頑張ったからだよ。」

つかさ「えへへ///でも男君が居なかったらまた私、間に合わなかったよー!」

男「良かった。でも俺も勉強になってるから。」

つかさ「うん!ありがとー!!」

男「じゃあそろそろ帰る?」

つかさ「うん。」

つかさ「あのね…テスト終わってね…もしもいい点だったら…私…」

男「?」

つかさ「……………………いっ…一緒に遊ぼうね!」

男「え?…うん。」

まだ時間は早かったが、今日はリアルに買い物があったのでゴトーヨーカ堂までつかさと一緒に帰った。

『こなたテスト大丈夫かな…』
『まあ、みゆきさんのノートがあるからある程度は何とかなるだろ。』

家に帰り、久しぶりに自分のためだけに夕食を作った。
夜遅くなって、かがみからメールが入った。

【from】
柊かがみ
【タイトル】
無題
【本文】
明日の勉強会だけど、やっぱりキャンセルしていい?


【to】
柊かがみ
【タイトル】
Re:
【本文】
いいけど、どうしたの?


【from】
柊かがみ
【タイトル】
Re:Re:
【本文】
ちょっと急用が入ったの。ゴメンね。
それじゃ、おやすみなさい。


男『…何か予定空いちまったな。』

柊邸。かがみの部屋。
かがみはケータイを机に放り投げるとベッドに倒れこんだ。

かがみ「…バカっ……バカっ…………私のバカっ!!」

かがみはこみあげてくる感情と涙を抑えきれずに、声を殺して泣き続けた。
そして気がつくとそのまま泣き疲れて眠ってしまっていた。


親父は仕事行ったし…つかさの勉強は昨日終わったし…かがみとの約束はキャンセル…


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最終更新:2008年09月10日 12:11