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 一週間もすると、俺は早くも勉強についていけなくなった。

 前の学校ではサッカーばかりしてたうえに、ケガをしてからの暗黒の8ヵ月間は、勉強においても暗黒だったからだ。

 もともと頭が悪いわけじゃないはずなだけどなー。

 サッカーを辞めてから、成績のことに関して父さんがうるさいし……

 俺は余白が眩しいノートを見つめる。板書を半分くらいしか写してない。

「よし、まずはノートをゲットせねば……おーい、白石、ノート貸してくれない?」

 とりあえず、最初にできた男友達『白石みのる』に声をかける。

 気のいい奴ですぐ仲良くなれた。

 しかも芸能人を目指しているという、何気にすごい奴だ。

「ああ、別にいーけど。でも俺なんかよりもっと成績いい人に借りたほうがいいと思うぜ」

「そういや、さっきの数学、白石も居眠りしてたな」

「あはは、バレてた?しかもあきら様に夢の中でまで怒鳴られてよ~。あの性悪が!」

「あきら様?」

「ああ、いや、こっちの話。で、ノートを借りるなら、そうだな、成績がクラス一番の高良さんなんかに借りれば完璧なんだけどな」

 おお!俺の女神様、高良さんは実はすごい人だったらしい。

 そういえば、こなたも「みゆきさんは才色兼備のすごい人」って言ってた気がする。

 そのあと歩く……何とか言ってたけど……う~ん、忘れた。

「でもな~。高良さんってなんかそういうのをお願いしにくいタイプなんだよな。男子の中で頭がいいのは××だから、あいつに借り――」

「ん!?なんで、優しそうだし、すぐに貸してくれそうだけど?」

「あ~、確かに断られることはないと思うよ。でもいい人過ぎて逆に頼みにくいっていうか……まあ、あれだけ美人で頭脳明晰、品行方正、しかも家は金持ちって話だしな。ちょっと俺たち平民には敷居が高い感じがするんだよ」

「ふ~ん、そう言われれば、確かにそんな感じするな」

 ……ってか、金持ちだったんだ。

「な~んか、お堅い感じだしな。いっつも敬語だし。いい人過ぎて、逆に腹黒いんじゃないかっていううわさもあるくらいだ。それに、何かを説明し始めると話が長くてな。しかもWikipediaまんまの説明だから、一部でみwikiってあだ名をつけられてるらしい」

「……へえ、そうなのか?」

 結構な言われようだな、高良さん……

「それに……」

 まだあるのか?

「いい人なんだけど、ある一定以上には他人を踏み込ませないっていうか……仲良くしようとしても、あるトコから先は笑顔で壁を作って拒絶するって話だぜ。あんなに美人なのに彼氏がいないのはそういうのが理由らしいぜ」

「お前……よく知ってんな……」

「おう、らっきー☆ちゃんねるに本編キャラ紹介コーナーがあるからな!事前リサーチも仕事のうちだ!」

「ラッキー……なんだそりゃ?」

「ああ、いや、こっちの話。つか、仕事の話。とにかく高良さんは俺たち一般ピーポーとは似て非なる世界の住人ってことさ」

 ぬう……まあ、女神だしな。だとしても……

「やっぱり、あのメガネと巨乳は捨てがたいな……(ボソッ)」

「え?何か言った?」

「あ、いや、なんでも……俺、やっぱ高良さんにノート借りるよ。ありがとな、セバスチャン」

「セ、セバ!?」

「あれ?こなたや柊さん(妹)がそう呼んでたけど」

「マジで!?そ、そうなんだ……」

「しかも柊さん(妹)は『セバスチャンが臭くってさ~』なんて言ってたぜ。なんでもカレー臭がするってさ」

「か、加齢臭!?」

「あ、あれだぜ、あの食べるほうのカレーだぜ。ほら白石よくカレー食べてるじゃん」

「加齢臭、加齢臭、加齢臭……(ブツブツ)」

 ヤバイ……ヘコんじまってる。

「あ、えーと、とりあえず、ありがとな。白石。あと、カレーは週2回までにすることをオススメするよ」

 俺はヘコんだ白石に背を向けた。スマン、許せ、白石!





「あの~ 高良さん。お願いがあるんだけど」

「あら、男さん。なんでしょう?」

 やっぱ近くで見るとかわいいな~

 少女を象徴する色『ピンク』。

 そのピンク一色の軽くウェーブのかかった艶やかなロングヘアが白い肌に映えている。

 そして吸い込まれそうな大きな青い目。

 なによりその目にこの上なくマッチするメガネ。

 完璧ジャマイカ!

 まさに……女神だ!

「あ、あの……男さん?男さ――」

「はッ!?お、おわ!?あ、いやいや、高良さんがメガネ属性の俺の女神にふさわしい存在だなんて妄想を膨らましたりしてないですよ!」

「メガネ属晴……ってなんですか?」

「あ、えと……何でもない!ただの妄言だ!」

 何言ってんだ俺は。

 どうもこなたのオタクっぷりが感染しつつあるらしい。

「はあ……そうですか。で、お願いというのはどういったものでしょうか?」

「実はちょっと勉強について行けなくなり始めてちゃってさ。もし良かったら数学と英語のノート貸してもらえないかな、と思って。あ、でも別に無理にとは言わないから」

「いえ、構いませんよ。えっと、数学と英語ですね。お貸ししますよ」

 にっこりと微笑む高良さん。

 まさに 女 神 降 臨 !!

「ありがとう!放課後までには移し終わるようにする――」

「いや~、フラグ立ってるね~」

 ニヤニヤしながら幼女登場。ってか、いつの間にか横に立っていた。

「こ、こなた!フラグって、別に俺はそんな……」

「こりゃ、また学園ラブコメでありがちなベタな展開だね。 しかも『歩く萌要素』みゆきさんに目をつけるなんてね~ やっぱ男は素質あるよ」

「どんな素質だよ!?」

 ヤバイ、高良さんの前でいつまでもこんな話をするのはよろしくない、よろしくないぞ!

「どんな素質って、そりゃ――」

「あ、こなちゃ~ん、聞いて聞いて。セバスチャンがまた臭くってさ~」

 ちょうどいいタイミングで柊さん(妹)が会話に割り込んできた。

 グッジョブ!柊さん

「じゃ、とにかく、ありがとね!高良さん!」

「いえいえ、お役に立ててよかったです」

 その間隙を突いて、俺はそそくさと自分の席に退却した。

 にしても、また白石、臭いって言われてたな……

 安心しろ、白石!お前の死は無駄にはしない!




 放課後――

 俺は焦っていた。

 高良さんに借りたノートをまだ写し終わってないのだ。放課後には返すって言ったのに……

 ……いや、待てよ。そうだ、いいことを思いついた。

「あの~ 高良さん……あの、ごめん。ノートまだ写し終わってなくてさ。それで……」

「あら、男さん。いえいえ、お気になさらずに。よろしければそのノート、お貸ししますよ。」

 この人はマジでどこまでいい人なんだ……まさに聖人君主だ!

 いや、しかし好意に甘えっぱなしというわけにもいくまい。

 「いい人過ぎて逆に頼みにくい」と言った白石の気持ちがなんとなくわかる。

「いや、さすがにそれは悪いよ。高良さんだって予習復習に使うだろうし。それでさ、帰りに学校の近くのコンビニでコピーさせて欲しいんだけど、一緒に来てもらってもいいかな?コピ-したらその場で返すから」

「わかりました。ではご一緒させていただきます」

 よし、これで高良さんと一緒に帰れるぜ!

 我ながら、なかなかうまいことを――


「みゆきさーん」
「ゆきちゃーん」
「みゆき~」

「一緒にかえろー(ハモリ)」


 ……結局、こなた+柊姉妹も来ることになった。

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最終更新:2008年07月05日 18:22