それからまた十日ほどが経った。
4月ももう終わろうとしてる。
え?荷物検査?そんなもの当然なかったよ。あってたまるか!
あの日以来、高良さんのことが気になっている。
今こうして白石としゃべってる間もついチラチラと目がいってしまう。
「――でさあ。な?男もそう思うだろ?」
「お、おう、そうだな。」
やべ、話聞いてなかった
……ん?
「なあ、白石。お前もしかして、香水つけてる?」
「おうよ!これでもう加齢臭がするなんて言わせないぜ!」
「カレー臭なんだけどな……ま、でもそういう心がけはいいんじゃないの?」
「だろ~?でもさ、この前、らっきー☆ちゃんねるの収録にもつけていったんだよ。そしたらあきら様によ、『白石のくせになに調子ぶっこいて香水なんかつけてんだよ!?』って怒鳴られてさ……機嫌悪いときはす~ぐ俺に八つ当たりするんだからよ。ううう……」
白石をどんよりしたオーラが覆い始めた……気がした。
「そ、そうか……白石も大変だな」
こんな時はそっとしておくに限る。
俺は自分の席に戻った。隣のこなたの席にいつもの4人が集まっていた。
「セバスチャンが香水臭くってさ~」
柊さん(妹)がそんなことを言っていた。
……ドンマイ!白石!
「そういえば、今日私、ゲマズに寄ってくけどかがみんも一緒に行く?」
「そうね、ラノベの新刊チェックしたいし。……あ、でも私、今日夕食の買い物していかなきゃなんないんだった。お姉ちゃんがうるさくてさ」
「あ、いいよ。私やっとくよ、おねーちゃん」
「そう、悪いわね、つかさ。今度当番代わるから」
……ということは、今日は珍しくばらばらに帰ることになるのか。
ということは……これはもしかしたらチャンスかもわからんね!
「あ、男もゲマズ行く?」
「あ、えと……」
「男君も行こうよ!どうせヒマなんでしょ?」
「どうせヒマとは失敬だな、柊さん(姉)」
ま、ヒマなんだけど。
「にしても、柊さん(姉)もこなたと同じ趣味してるなんて意外だね」
「ちょ、ちょっと!私はただラノベの新刊をチェックするだけであって……こなたと一緒にしないでくれる!?」
「まーまー、かがみん。そんなに照れなくても」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
「あ、かがみん。もしかして最近はシャナにハマッてる?」
「ッ!……」
柊さん(姉)の顔がみるみる真っ赤になっていく。
こうなった時の柊(姉)さんはなかなか可愛かったりする。
「はは、柊さん(姉)、顔真っ赤だぜ」
「う、うるさいわね!それに男君、いい加減にその『ヒイラギサンカッコアネ』って呼び方やめてよね!」
んあ!?俺、『柊さん(姉)』をそのまま発音してたんだ……
自分でもビックりだ……
「じゃ、じゃあ、なんて呼べばいいかな?」
「かがみ様」
「………」
……本気で言ってんのか、この子?
「冗談よ、かがみでいいわよ、かがみで」
「じゃ、俺のことは男でいいよ、かがみ様」
「冗談って言ったでしょ!!」
「……わかったよ、かがみ。あ、それなら柊さん(妹)はつかさちゃんで」
「うん、いいよー、男君」
「なんで、つかさはちゃん付けなのよ?」
「あ、いや、イメージ的になんとなく……」
「………」
かがみの全身から不満オ-ラ発せられていたが、とりあえず気づかないフリをしてみた。
「で、男、ゲマズには行くの?」
あ……そういう話題だったっけ?
「えと……俺は今日はやめとくわ。ちょっと今日用事が……また今度おすすめのラノベでも教えてくれよ」
「しょ、しょーがないわね~ じゃあ、今度おすすめのやつを貸してあげるわ」
「さんきゅー」
そう。今日は予定ができる予定……
そこでチラリと高良さんを見た。
柊さん(妹)改め、つかさちゃんと別の話をしていた。
……よし!
――そして放課後。
俺は一人で帰ろうとしていた高良さんに声をかけた。
最終更新:2008年07月05日 18:25