12月*******************************************日。
俺は何かに腕を引かれ、目を覚ました。
男「あれ?……俺、死んだんじゃ?」
辺りを見回す。
そこは真っ白な世界だった。
ふわふわした雲の中に浮かんでいるような感覚。
男「ここが天国か? なんとも殺風景な……」
すると、目の前に狐がいた。
深く頭を垂れている。
男「狐っ!?」
俺が声を掛けると、狐は驚いたようにこっちを見た。
男「お前も死んだのか?」
俺の質問に、狐は短く答えた。
子狐「ごめん……」
男「は!? おまっ! 喋っ!?」
狐は、俺を無視して駆け出した。
男「まっ……!」
白い世界が晴れていく――
男「ん……?」
気付くと、俺は俯せになって倒れていた。
男「いてて……。なんなんだよ全く……変な夢を見た気がしたぞ……」
周りを見回す。
そこは俺の部屋だった。
消えていたはずの電気が点いている。
男「……生きてる?」
ばばっと自分の身体を撫で回す。
男「あ! そうか! かなたと同じような幽霊になったのか!」
男「よーし。それなら……」
俺は壁に向かって走り出した。
一度やってみたかったんだよな、壁抜け。
男「でやぁーっ……ごふっ!」
擦り抜けられなかった。
男「ど、どうやら生きてるみたいだな……」
あえぎながら結論付ける。
男「ん? そういえばかなたはどこ行った?」
男「あの野郎……俺が死ぬだなんて嘘つきやがって!」
男「この部屋に入ってきたら泣くほど塩撒いてやる! ソルトマスターたる俺の力を見せてやるぜ!」
ぶんぶん腕を振り回し、準備する。
そうしていると、すぐにかなたが入ってきた。
何食わぬ顔で来やがったな……!
男「滅せよ悪霊ォーッ!」
かなた「え……きゃあっ!」
男「散れっ! 散れっ! 地獄の塩に抱かれて消えろっ!」
かなた「あいたぁっ! 痛いですぅっ!」
かなた「いたっ! そのっ! いきなりで驚かれたことだとは思いますが! 大丈夫です! 私、あ、悪霊じゃないです!」
男「あぁん!? どう見ても悪霊だろが! 嘘つきやがって!」
かなた「う、嘘もなにも、私、まだ何も言ってないですよ!」
男「しらばっくれやがって! 俺に死の宣告しやがっただろ! 嘘のな!」
かなた「え……」
かなたが奇妙な顔をする。
かなた「なんで、知ってるんですか?」
男「はぁ? 貴様が言ったからに決まってんだろ!」
かなた「……た、確かに私はそれを伝えに来ましたが……」
男「伝えに来た? アホなのか! また同じ嘘をつく気なのか!」
かなた「う、嘘じゃないです!」
男「なら言ってみろ。どんな言葉を伝えに来たんだ?」
かなた「……えーと……こほん…………」
男「もったいぶってないで早く言――」
かなた「突然ですが男くん、あなたは一週間後の24日に死んでしまいます」
男「やっぱ同じじゃねぇかッッッッッ!」
かなた「えー……」
男「大体、今日はもう25日だぞ!? それが本当なら俺も幽霊か! 壁抜け出来ない幽霊か!」
かなた「え? な、何言ってるんですか、男くん」
かなた「今日は18日ですよ」
男「はぁ? そんなわけ――」
腕時計の日付表示を見て、俺は固まった。
そこには紛れもなく表示されていた。
12月18日、と。
12月18日☆
男「……」
かなた「ね? 18日でしょう?」
男「……時計、狂ってんのかな?」
かなた「狂ってないですよ」
男「じゃあ狂ってんのは、俺の頭か」
かなた「どうでしょう。私を見ても動揺しないなんて、凄いとは思いますけど」
男「は?」
かなた「だって、普通は幽霊が出たら驚きますよ?」
男「……ちょっと待て。さっきから、なんかお前、変だぞ?」
かなた「どこがですか?」
男「まるで初めて会ったみたいに……」
かなた「初めて会ったじゃないですか」
男「……」
かなた「……」
かなたの目をじっと見る。……またこの目だ。
最初に会ったときと、同じ目。
嘘をつけない目。
男「本当に、初めて会ったんだな?」
かなた「はい」
男「……」
それならもう、こうとしか考えられない。
男「時間が……戻った?」
男「……幽霊ってさ、時間を戻せたりするのか?」
かなた「じ、時間を? どういうことですか?」
男「今から一週間前に時間を戻す、とか」
かなた「そんなの出来ませんよ」
こいつの仕業じゃない、か。
男「……まぁお前みたいなヘボ幽霊に、そんなこと出来るわけないと思ったがな」
かなた「ヘボ!? ひ、ひどいです! それにですね!」
男「ん?」
かなた「さっき私を変だって言いましたが、男くんの方こそ変です!」
男「……」
かなた「いきなりわけのわからないこと言ったり、急に時間がどうとか言ったり!」
男「……」
かなた「……私のこと、知ってるみたいに話したり……」
男「……」
かなた「……」
かなたは少し怯えたように身体を縮めた。
幽霊が怯えるなんておかしな話だ。
男「……かなたは、覚えてないのか」
かなた「……何を……」
男「……」
この様子だと、こいつは時間が戻る前のことを、覚えていないらしい。
かなた「……男くん」
男「なんだ?」
かなた「……なんで、私の名前を知ってるんですか?」
男「そりゃあ……」
かなた「私、まだ教えてないです」
男「……」
かなた「なんでですか? なんで、私のことをそんなに……」
男「……」
かなた「……」
俺だってわけがわからない。
わからないが……
男「……実はな……」
俺はかなたに、今までの話をすることにした。
話は俺の経験した一週間前から始めた。
かなたが現われたこと。
気まぐれで彼女の願いを聞き、こなたと付き合ったこと。
その日々の中で、俺が人を好きになれたということ。
そして24日が終わり、死んだと思ったらここにいたということ。
俺は長い時間をかけて全てを話した。
すっかり話し終える頃には、夜が明けてしまっていた。
男「……信じられるか?」
話の締めくくりとして、俺は問い掛けた。
かなた「……」
かなたは沈黙で答えた。
男「やっぱり信じられないか。俺だって信じられないしな」
かなた「いえ。信じられますよ」
男「む……」
かなた「私がしようとしてたことをそこまで正確に言われたら、信じないわけにはいけません」
男「……」
かなた「……」
男「なぁかなた……」
かなた「はい?」
そこで俺は、ずっと抱いていた疑問をぶつけることにした。
男「俺は、どうして死ぬんだ?」
かなた「それは……」
男「……」
かなた「あれ……?」
男「……」
かなた「……おかしいな。あれ? あれれ?」
男「……おい……まさか……」
かなた「……思い出せないです……」
男「なあっ!? ひ、人の死因を忘れやがったのか!?」
かなた「だ、だってですね! あ……あれぇ!? 夜中に……うんん?」
男「そんなもん俺も知ってるわ! この役立たずっ! ただ飯食らいのアホ幽霊っ!」
かなた「ひ、ひどいです! あなたが人を好きになれたのは、誰のおかげだと思ってるんですか!?」
男「 前 回 の お前だ! 今のお前とは初対面じゃねーか!」
かなた「どっちも私です! 覚えてませんけど!」
男「いいや違うね! 前回のお前の方がもっと……いや……やっぱ同じかな」
かなた「あ! そうだ!」
男「なんだよ?」
かなた「あなたは覚えてないんですか? 一回24日を経験したんでしょう?」
男「……あー……」
かなた「……」
男「……よくわからなかった。なんか白かった気がするんだが……」
かなた「 ふ っ 。私と同じですね」
男「何勝ち誇ってやがんだ貴様は!」
かなた「あいたたたたっ! し、塩はやめっ! いたひっ!」
男「じゃあなんだ? 死ぬのは知ってるのに死因はわからない、ということか」
かなた「はぁはぁ……はい……」
男「それじゃあ、こなたはなんで死ぬんだ?」
かなた「え」
男「お前言っただろ? 『このままの状況であなたが死ぬと、こなたは自らの命を絶ってしまう』ってさ」
かなた「あ、はい」
男「なんで死ぬんだ?」
かなた「……」
男「……」
かなた「……」
男「ふぅ……」
かなた「うぅ……そんな哀れむような目で見ないで下さいよ……」
男「もうお前には本当に失望を隠せん」
俺はそういいつつ、部屋の窓を開けた。
冬なのにやたらと暑い風が舞い込んできた。
この狂った気温には覚えがある。
男「間違いなく18日だな……」
かなた「……あぁっ」
突然かなたがすっ頓狂な声をあげた。
男「なんだよ?」
かなた「お、男くん! 学校学校! もう9時ですよ!」
男「何言ってんだよ。冬休みに学校なんてあるわけないだろ」
かなた「何が冬休みですか! 今日はまだ18日ですってば!」
男「……これが時差ボケってやつか」
かなた「ただの勘違いじゃないですか! しかも凄まじいスケールの!」
学校に着く。
キーンコーンカーンコーン。
昼休みを告げるチャイムがなった。
男「――もう昼休み?」
途中にあるはずの授業時間は一体どこにいったのだろう。
……記憶の片隅にも受けた覚えはない。
ただ大遅刻したから短く感じただけのこと。
俺は恐ろしく怒っていた担任の顔を思い出しながら、うなだれる。
夜通しかなたと話をしていたせいで眠い……。
男「あ……」
そういえば、前回はこの時間に告白したんだった。
男「……今回も告白から始めないといけないか」
前との違いは、俺が本気かどうかだけ。
結果はわかっている。
それなのに俺の心臓は、何故か早鐘を打った。
男「……行くか!」
自分に気合いを入れた。
だがそこで気付く。
男「う。そういえばあいつのクラス知らないままだ……」
(選択肢)
→みさおに告白する。
こなたに告白する。
男「はぁ!?」
自分の思考にツッコミを入れた。
男「な、なんで日下部なんだ!?」
だがその選択肢を選んでしまったものは仕方がない。
俺は日下部に告白することにした。
男「く……っ! なんでそうなるのかはわからないが、告白するなら用意周到にしてやるぜ!」
俺は日下部に告白する方法を考えた。
男「よし……じゃあまず、峰岸に話し掛けよう」
前回の流れなら、峰岸に話し掛ければ日下部が割り込んでくるはずだ。
そこをついて告白しよう。
男「……なんで告白するのかはさっぱりわからないが……」
男「おい、峰岸」
ざわ、とクラスに波紋が広がる。
教室にいる人間の大半が、戸惑い顔で俺を見ていた。
今まで誰とも話さなかった不良が、急にそうしたので戸惑っているのだろう。
なんでこんなことに……と心の中で嘆く。
あやの「な、なななななな」
男「あのさ」
あやの「ひんっ!」
男「くさか――」
みさお「待て待てぇいっ!」
男「……誰だ、お前(知ってるけどな)」
みさお「く、日下部みさおだ! というか同じクラスだ!」
男「ふぅん(どうやって告白するかなぁ……)」
みさお「あやのに、な、何する気だ!」
男「いや、実は俺が用があるのはお前なんだ……」
みさお「わわわ、私!? 暴走族のリーダーでヤクザ事務所に出入りしているお前が、私に何の用!?」
あやの(じゃあなんで私に話し掛けたんだろう……)
みさお「な、なんだよっ! 私に何をする気なんだよぉっ!(裏声)」
みさおが騒ぐ声を聞き、人が不穏な空気でざわめき出す。
男(計画通り……)
みさお「に、睨んだって怖くないぞ!」
男「いや、これは見つめたんだ……」
みさお「ひいいぃぃぃっ! ご、ごめんなさい貞操だけは勘弁してくれーっ!」
男(そうだ、騒げ、騒ぐんだ……)
計画通りざわめきが大きくなる。
しかもなお素晴らしいことに、クラスの周囲にまで人だかりが出来ていた。
男「日下部……いや、みさおっ!」
みさお「えっ……」
俺はみさおを抱き締めた。
教室がしーんとなる。
男「好きだぜ愛しのガブリエール」
決まった。
みさお「な、なななななななんですとぁーっ!」
男「さぁ……誓いのキスを……」
みさお「いっ」
男「んー」
みさお「嫌だあああああああぁぁぁぁぁっ!」
男「フォックッ!」
俺は窓に向かってぶん投げられた。
ガラスが割れ、三階から放り出されて落ちていく。
男「わああああああああああああああ……アルマジロっ」
俺は死んだ。
エンディングC「嫌なんだってヴぁ!」
みさおに告白する。
→あやのに告白する。
こなたに告白する。
男「はぁ!?」
自分の思考にツッコミを入れた。
男「こ、今度は峰岸だと!? 俺は何を考えてるんだ!?」
だがその選択肢を選んでしまったものは仕方がない。
俺は峰岸に告白することにした。
男「俺が何したって言うんだよぉ……。だが告白するなら用意周到にしてやるぜ!」
俺は峰岸に告白する方法を考えた。
男「じゃあまず、手紙でも書くか」
前回の流れなら、峰岸に話し掛ければ日下部が割り込んでくるはずだ。
そうなると告白も出来ない。
男「……なんで告白するのかはさっぱりわからないが……」
『前略、峰岸あやのことマイスウィートエンジェル様。
今日も貴方の笑顔はナイスミドル。
半導体量子力学的観点からいえばジョージブッシュは宇宙人であるらしいですが、僕は元気です。
もうお気付きでしょうが、僕は貴方に癒着したいです。
簡単に言うと貴方を愛しています。
日々ブルセラ的になりゆく気持ちを沈めつつ、貴方を想い煩うのが辛いほどです。
いつか貴方とツープラトンでオリンピックに出場する計画のためにも、僕と付き合って下さい。
返事をお待ちしております。
――貴方のクール男(ガイ)より。』
男「よし……こんなもんかな。届けっ。俺の想いっ」
俺は手紙を峰岸に向かって投げた。
あやの「ん?」
峰岸が手紙に気付いた。
あやの「……」
手紙を読むと、彼女は絶句した。
よほど感動したらしい。
オリンピックのくだりには自信がある。
みさお「あれ? あやのー。それなんだー?」
あっ。馬鹿っ。
あやの「ん……。よくわからないんだけど、ラブレター……なのかな?」
みさお「ラブレタ!? ちょっと貸せーっ!」
あやの「あっ」
みさお「なになにー……」
や、やめろっ。何をする気だっ。
みさお「前略! 峰岸あやのことマイスウィート――」
みさおは大声で手紙を読んだ。
読み終える頃には、人がわんさか集まっていた。
みさお「――貴方のクール 男 より」
その瞬間俺に視線が集まった。
俺は窓に走った。
飛んだ。
男「わあああああああああああ……アルカイダっ」
死んだ。
エンディングD『私の夢はお嫁さん』
みさおに告白する。
あやのに告白する。
→こなたに告白する。
俺はカチューシャを付けた女――峰岸を盗み見た。
前回は、あいつに聞こうとして失敗(いや、結果的には成功?)したんだよな。
男「……あ」
俺は峰岸について、思い出した。
告白の前に怖がったりして悪かった、と彼女は悔いていたじゃないか。
男「それなら……」
俺は彼女に簡単な手紙を書く。
内容は「泉に告白したい。クラスを教えてくれ」だ。
なんとなく恥ずかしいが、峰岸なら笑いはしないだろう。
手紙を丸めて――日下部に気付かれないように――峰岸に投げ付ける。
あやの「ん?」
峰岸が手紙に気付いた。
彼女はくしゃくしゃに丸まっていた手紙を開き、中に目を通す。
あやの「……?」
読み終えるとすぐに、峰岸は不思議そうな顔で教室を見回した。
……あ。そうか。名前を書いてなかった。
男「……ひらひら」
俺は峰岸に、小さく手を振った。
あやの「!」
俺を見つけると、彼女は驚いた顔で口元に手をやった。
しかしすぐに柔らかい表情を作り、俺が投げた紙の余白に何やら書き込んでくれた。
その紙が投げ返される。
男「……」
開くと、中に可愛らしい字体でこう書かれていた。
「C組だよ。頑張ってね!」
男「……」
笑われないなんて間違いだった。
峰岸はこちらに笑顔を向けている。
でも、そこに嫌味やからかいなど一欠片もない。
男「……」
だから俺も、笑顔で返した。
男「く……っ」
甘かった。
前回の通り、騒ぎを起こしてこなたを呼び出せばよかった。
C組を前にして、俺は後悔していた。
男「このまま中に突入たら、どうせまた騒ぎが起きるじゃねーか……」
なにしろさっきから、すれ違う人が俺を見ている。
男「……」
俺はドアに隠れるようにして、ちらっとC組の中を見た。
(=ω=.*)「あはは。そんでさぁ、そのとき実はかがみんが犯人って夢を見たのさ」
胸メガネの女「ふふふ。もう、かがみさんったら」
かがみ「なんで私を笑うんだ」
男「くっ。俺に気付け、こなた」
ドアの陰から念を送る。
男「はぁぁ……」
(=ω=.*)「まいっちゃうよねー。いきなり弾を避け始めるなんてさ」
胸メガネの女「そうですね。なんでそうなるんでしょう?」
かがみ「どうせ作者の暴走でしょ? 苦肉の策よ」
男「気付けっ。俺に気付くんだっ。はぁぁ……」
さらに念を送る。
すると……
かがみ「ん?」
気付いたのは、同じクラスの柊だった。
男「うおっ」
俺は咄嗟にドアの陰に隠れた。
男「……」
少し時間を置いて、もう一度中を見てみる。
かがみ「……」
男「うおっ」
また柊と目が合った。
俺は咄嗟にドアの陰に隠れた。
そんなやり取りを5回ほど繰り返した後、俺がまた中を覗こうとすると、かがみがドアから現われた。
その顔は怪訝そうで、明らかに俺を警戒していた。
かがみ「何よ?」
男「……」
かがみ「なんで見てたのよ?」
男「ミテナイヨ?」
俺は、相手を怯えさせないように優しい声を出そうとして失敗し、カタコトで言った。
かがみ「ふーん……。で、何の用?」
より一層警戒を強めさせてしまったらしい。
男「その、こな……泉を呼んで欲しい」
かがみ「どうして?」
男「それはだな……えーと……その……そ、その……」
かがみ「何?」
男「だから……」
かがみ「なんなのよ?」
男「く……っ! だからっ!」
かがみ「ハッキリ言いなさいよ」
プチンっ。
男「ジャスコだ」
かがみ「は?」
男「ジャスコの男性用ブリーフについて話があるんだ。だから呼んでくれ」
かがみ「ぶ、ブリ!?」
男「早く呼べと言っているだろう! 無くなっても知らんぞーっ! 二度とジャスコでブリーフが買えなくなるぞーっ!」
かがみ「わ、わかった! わかったからそんな恥ずかしいことを叫ぶな!」
かがみはこなたを呼びに行った。
男「……」
こなたを屋上に連れ出す。
後ろからかがみの「ブリーフってなんだ」と呟く声が聞こえた気がしたが、無視した。
相変わらず、冬なのに暑い。
男「ふぅ……」
(=ω=.;)「ここどこですかなんで私連れてこられたんですかなんで鍵をしめるんですか一体なに」
この反応は前回のままだ。
……ってことは、こなたもかなた同様前回のことを覚えてはいないのか……。
男「……だから句読点をちゃんと使え」
(=ω=.*)「軽いジョークだよ。み、み、みらくるー」
男「みっくるんるん」
(=ω=.*)「わは。ノリいいね!」
俺はポケットから煙草を取り出そうとして……やめた。
男「……」
(=ω=.)「で、なんの用? かがみはジャスコがどうとか言ってたけど……」
男「あー。あれは……」
(=ω=.*)「あ! ジャスコといえば! もしかしてあれ? あれを覚えてたの?」
男「……あぁ。あれか」
こいつが、俺を好きになったきっかけだっけ。
男「覚えてるさ(まぁ思い出したのは前回だけど)」
(=ω=.*)「大丈夫大丈夫。誰にも言ってないよー」
男「……わかってる。今日呼んだのはその話をするためじゃない」
(=ω=.)「う?」
男「なぁこなた」
(=ω=.*)「えっ。私の名前知ってたの?」
男「当たり前だろ。……お前は、俺の名前知ってるか?」
(=ω=.*)「ん……男、でしょ?」
男「正解だ。おっと、名字の話題はやめろよ?」
Σ(=ω=.)「うわ。なんで言おうとしたことがわかったの?」
男「それは……」
一度経験したことだからだ。
そう言うべきか、言わざるべきか。
俺は迷わず後者を選んだ。
まだ、信じては貰えないだろうから。
男「お前の顔にそう書いてあったからだ」
(=ω=.*)「うぐ。み、見ないでさ」
こなたは赤くなり、前髪で自分の表情を隠した。
男「ガラにもなく照れるなよ」
(=ω=.*)「あ。バレた?」
男「はは」
(=ω=.*)「……」
男「……」
冬に似つかわしくない暑い日差しを受けながら、俺はこなたの瞳を見つめた。
そのまま、口を開く。
男「お前のことが好きだ」
(=ω=.*)「……本当?」
男「あぁ。だから、俺と付き合ってくれないか?」
(=ω=.*)「……もちろんっ! もちろんだよー!」
男「はぁ……そ、そうか……」
身体から力が抜ける。
わかっていた結果が、とても嬉しかった。
俺は後方の金網にもたれ掛かった。
(=ω=.*)「私も男が好きだよ」
男「ワンモアセッ」
(=ω=.)「私も男が好――ハッ! な、なんてことを!」
男「ははは!」
(=ω=.*)「もー。鬼畜だね、男は。私でもそんなことはしないよ」
男「……へー……」
(=ω=.*)「……」
こなたが俺の横に並んできた。
二人で金網にもたれながら、青く澄み渡った空を見る。
こなたの花咲くような笑顔が、それに彩りを加えている気がした。
男「これから、よろしくな」
(=ω=.*)「よろしくされよう」
かなた「おかえりなさい!」
男「ただいま」
かなた「それで、こなたとは?」
男「上手くいったぞ。……途中で変な選択肢が頭をよぎったが……」
かなた「選択肢?」
男「なんでもない。とにかく、上手くいくのはわかってたことだ」
かなた「ふふ。そうでしたね」
男「問題は……」
俺は椅子に腰掛けた。
男「むしろこっちの方だ」
かなた「……」
男「何故時間が戻ったんだ?」
疑問ばかりが渦巻いていた。
男「あの日、何があったんだ?」
かなた「……」
男「死んだと思ったら今日で……」
かなた「……」
男「俺にはもうわけがわかんねーよ」
かなた「……」
男「なぁかなた。どうおも……」
ルパン『ふ~じこちゃぁ~ん』
ふじこ『あら。駄目よルパン。報酬は7:3よ』
ルパン『そぉりゃないぜ~』
かなた「あはは」
男「……」
かなた「え、あ……ごめんなさい。何か言い――あいたっ!」
男「このっ! このっ! 貴様はっ! 貴様は何故アニメなんか見てるんだっ!」
かなた「いたたたっ! る、ルパン知らないんですか? 私も昔はふじこちゃんに憧れ――あうっ!」
男「このっ! このっ! 人が真剣に考えてるのにっ!」
かなた「だ、だって答えは出ませんよ?」
男「……何?」
かなた「24日に何かあった。今わかるのはこのくらいですから」
男「……」
かなた「だから考えるなら、この先何をするか、の方がいいと思いますよ?」
男「……ふむ……そうだな……」
かなた「でしょ? じゃ、私はルパンの続きを……」
男「貴様も一緒に考えるんだよっ!」
かなた「ひんっ。そ、そんなぁ。ルパン面白いですよ? 一緒に見ませんか? ね? ちょっとだけでも!」
男「……ちょっとだけだぞ」
その夜は結局ルパンを見続けてしまった。
最終更新:2009年08月24日 13:30