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12月19日☆

キーンコーンカーンコーン。
放課後を告げるチャイムが鳴り響いた。
素早く教室から出てC組に向かう。
C組前に着くと同時に、こなたが駆け出て来た。

Σ(=ω=.)「おわあっ!」
男「よ」
(=ω=.;)「ど、どんだけ素早いの? 今終わったとこじゃん」
男「なんだ? 一緒に帰ろうと思って来てみたのに、その言い草か。もう一人で帰ろうかな」
(=ω=.)「あー。せっかく男がやりたいって言ってたエロゲ、持ってきたんだけどなー。帰っちゃうのかー」
男「なっ!」
(=ω=.)「残念だなぁ。一緒に帰ってくれないのかー」
男「ひ、卑怯だぞ!」
(=ω=.*)「むふふ」
男「……じゃ、帰るか」
(=ω=.*)「ん。アニメイト寄ってこうね」
男「ああ」

かがみ「あっ」

廊下を歩いていると、柊が前から歩いてきた。

(=ω=.)「あ。かがみん」
かがみ「あれ? なんで今日も一緒にいるのよ? またジャスコがどうとか?」
男「あぁ。昨日したジャスコの話は冗談だ。忘れろ」
かがみ「は? じゃあ昨日のはなんだったのよ?」
男「それは……」
(=ω=.)「なんと!」
かがみ「なんと?」
(=ω=.*)「私、告白されてしまったのだー!」
かがみ「な、何ぃーっ!?」
(=ω=.*)「へっへ」
かがみ「嘘……。学校一の不良でヤクザの幹部の座が約束されてる男と、あんたが!?」
男「そんな約束されてねーよ! 下らない噂だ!」
(=ω=.)「そだよー。男、実はとっても優しくて面白い隠れオタクなんだよー」
かがみ「に、にわかには信じられん……」
男「……」

かがみ「じゃあ私、今日は一人で帰ることになるのかー……」
(=ω=.)「みゆきさん、歯医者だって言ってたしね」
男「ん?」

一人?

男「そういえば柊って、双子じゃなかったか? 姉妹で帰ればいいだろ?」
かがみ「はぁ?」
(=ω=.;)「双子?」
男「うむ。確かそんな話を耳にしたことがある気がするぞ」
かがみ「何言ってんのよ」

かがみ「私に双子の姉妹なんていないっての」

男「あれ? そうだったか?」
かがみ「そうよ」
(=ω=.*)「面白い設定だとは思うけどね。かがみに妹がいたら、どんなタイプだろ? 興味は絶えない」
かがみ「どういう意味だ」
(=ω=.)「やっぱツンデレが二人だと相性悪いし、大人しい感じかな?」
かがみ「誰がツンデレだ誰が!」
男「……なぁ、本当にいないのか?」
かがみ「当たり前じゃない。変な奴っ。じゃあそろそろお邪魔虫は消えるわね」
(=ω=.*)「気を遣ってくれなくてもいいのに。かがみんって案外殊勝だね」
かがみ「うっさい。それじゃ、またなー」
男「お、おう」
(=ω=.)「またねー」

(=ω=.)「ギルティやる?」

ゲーセンで例のごとくこなたが切り出した。

男「お、お前とはもう対戦しないって言っただろ!」
(=ω=.;)「そんなこと言われてないんだけど」
男「……あぁ……そうだったか」
(=ω=.*)「まさか男、格ゲー出来ない人? 弱いの?」
男「……何?」
(=ω=.*)「そういいことなら仕方ないなー。今回は勘弁してやるかー。私は優しいからねー」
男「……いいだろう」
(=ω=.*)「ん?」
男「下らない挑発に乗ってやる! かかってこい! 下克上だ!」
(=ω=.*)「そうこなくちゃ!」

俺は座席に座り、100円を投入する。
キャラはもちろんジョニー。

ガチィーン!

すぐに挑戦者が現われた。
挑戦者はスレイヤーを選んだ。
もちろんこなただ。

男「ふぅぅ……」

高ぶる鼓動を抑え、精神を落ち着かせる。

男「もう、負けるわけにはいかない……!」

そうして俺の誇りを掛けた戦いが始まった。

ジョニー『――ミストファイナー!』

最初に攻撃を当てたのは俺だった。
こなたの動きは予習済み。
初対戦の相手には、開幕から突っ込んでくるのだ。
俺はそこを迎え撃った。

男「どうだっ」

俺はガッツポーズした。
こなたのスレイヤーは距離を取り、慎重に期を伺っている。

男「ふ。俺の実力を見て、警戒し始めたようだな。ここからが本当の戦いというわけだ」

俺の言葉通り、一進一退の攻防が繰り広げられる。
その最中、俺はある異変に気付いた。

男「なんか……こなたの動き、前より鈍くないか?」

前、とは前回の24日のことだ。
あの日のこなたはもっと速かった。
もっと絶対的な力を誇っていた。

男「どういうことだ?」

今回のこなたは、なんというか動きが荒い。
少しだけ洗練されていない感じがする。

男「……そ、そうか!」

俺は気付いた。
前回のこなたと、今回のこなたの違い。

それは……経験。

前回の今日、彼女は50人抜きという離れ業をしていた。
もしかすると、あれがあったから、前回のこなたはより洗練されたのではないか?

男「そうだ! そうだったのか!」

とすれば、今のこなたは言ってみれば未完の大器。
完全体と何十回も戦った俺からすれば、粗く見えて当然だ。

男「行ける! 俺は勝てるゥーッ!」

俺は猛然と突撃した。

男「……」
(=ω=.*)「いやぁ。驚いたよ。男、かなり強いね。私の動きを先読みしたみたいに動いてくるし」
男「……」
(=ω=.*)「それでも、まさか私のスレイヤーが負けるとは思わなかったなぁ」
男「……」
(=ω=.*)「あれ? 嬉しそうじゃないね?」
男「……お前、スレイヤー使いじゃなかったのかよ?」
(=ω=.*)「スレイヤー使いだよ?」
男「じゃあ何故……何故……」

確かに、因縁のスレイヤーを倒すことには成功した。
俺は喜びに沸いた。
しかしその直後、こなたが連続で戦いを挑んできた。
そのキャラは……

男「……ザッパ……」
こなたが使うザッパはまさに鬼神だった。
今までの勝負がお遊びと思えるほどの、一方的な勝負。
いや、あれは勝負ではない――虐殺だった。

(=ω=.*)「ふ。確かにスレイヤーは好きだよ。だからスレイヤー使いを名乗るよ。でもね……」
男「……」
(=ω=.*)「好きなキャラと最強のキャラは、違うこともあるんだよ」
男「………………」

俺は自らの真の敗因を悟った。
泉こなた。
その女のポテンシャルを見抜けなかったこと……。

そうじろう「名前は?」
男「男……」
そうじろう「性別は?」
男「男……」
そうじろう「性癖は?」
男「言えません」
そうじろう「チ。全然引っ掛からないなんてつまらない奴め」
男(……よし。ゲイフラグ回避)

その夜、俺はこなたの家の夕食に招かれていた。

(=ω=.*)「おまたせー。まぁ大したものじゃないけどねー」
男「あ。運ぶの手伝うぞ」
(=ω=.*)「気が利くねぃ。ありがとー」

ゆたか「ただいまー。あー。お腹すいたー」

(=ω=.*)「あ。ゆーちゃん、遅かったね」
ゆたか「うん。ちょっと話が盛り上がっちゃって……」
男「こんばんは」
ゆたか「あ。は、はい! こんばんは……えと……?」
(=ω=.*)「その人はねぇ」

(=ω=.*)「私の恋人の男だよー」
そうじろう「わあああああああああああああああああああああああ」

ゆたか「え……なんて?」

(=ω=.#)「私の恋人!」
そうじろう「うるああああああああああああああああああああああ」

ゆたか「ん? ん?」

男「親父さんの頭は」
そうじろう「ぱあああああああああああああああああああああああ」

ゆたか「……親父さんの頭は……パー……?」

そうじろう「このガキぃぃぃぁあああ!」
男「ぐぇぇぇっ」
(=ω=.#)「おとーさんのばか! 男の首を締めないで!」
ゆたか「……」

ゆたか「やったぁ。今日はカレーかぁ」
(=ω=.*)「味は保障するよ。はい、男」
男「……醤油?」
(=ω=.)「そうだけど?」
男「……カレーにはソースじゃないか?」
(=ω=.;)「何っ! ソース!? 頭大丈夫!?」
男「なっ! 俺はいつもそうなんだよ!」
(=ω=.#)「絶対おかしいよそれは! なんで日本人のくせにソースなんかかけるの!? 有り得ないよ!?」
男「有り得るわ!」
(=ω=.#)「ないっ!」
そうじろう「おい男くん、食事中に喧嘩はやめなさい。マヨネーズってことで一致させなさい」
(=ω=.#)「それだけはないよ!」
男「味ぶち壊しじゃないですか!」
そうじろう「なっ! なんだと! 表に出ろこの男! 決着をつけてやる!」
ゆたか「……何もかけないのが最良だよね」

ゆい「おぉ。なんか盛り上がってるねぇ……ヒック」

男「あ! ゆいさん! なんとか言ってやって下さいよ!」
ゆい「んー? そう言う君は誰? なんで私の名前知ってんの?」
男「あ……」

男「それは……その……」
ゆい「ん? んんっ!?」
男「あの……」
ゆい「おおっ!」

ゆい「男くん!」

男「え……(まさか……覚えて……?)」
ゆい「こなたぁ。男くんだよね、この人!」
(=ω=.;)「そ、そうだよ」
ゆい「やっぱり! いやー。こなたから話はよく聞いてるよー!」
男「(覚えてるわけない、か)……そうですか。初めまして」
ゆい「初めましてだよー……んゆ? でもなんで私の名前――」
男「あ! あ! そ、それよりですね! カレーどう思います!?」
ゆい「カレー? あぁ、晩ご飯?」
男「何かけます!?」

ゆい「タバスコ!」

男「……」
(=ω=.)「……」
そうじろう「……」
ゆたか「……」

食事を終え、親父さんの「帰るのか! 残念だなあ」を聞いて、俺とこなたは外に出た。

男「うお。さみ……」
(=ω=.;)「中は温かかったからねー」
男「……こんな中ベンチで人を待ち続けたりしたら大変だな」
(=ω=.)「そんな根性ある人いるかなぁ?」
男(目の前にな)
(=ω=.*)「待たせる方もどんなけ鬼畜なのさ」
男「……全くだ」

そのとき、こなたが俺の腕に目を止めた。

(=ω=.)「む? それ、何?」
男「……これか? ブレスレットだ。誕生石のな」
(=ω=.*)「へー。いいね、お洒落じゃん。案外いいセンスしてるね」
男「自画自賛っ!?」
(=ω=.;)「自画自賛?」
男「い、いや、なんでもない」
(=ω=.;)「男って時々変なこと言うよね」
男「……」

(=ω=.*)「まぁいいや。それより、明日が終わったら冬休みだよー」
男「そうだったな」
(=ω=.*)「明日も半日だし、いっぱい遊んであげてもいいよ」
男「いっぱい遊んでやるよ」
(=ω=.*)「あはは」
男「……じゃ、また明日な」
(=ω=.*)「ういうい。またねー」

男「……」

帰り道に、二度となかったはずのこなたとの今日を思い出しながら、俺は呟いた。

男「……案外、俺のせいで時間が戻ったんだったりしてな」

男「ただいまー。……あれ? かなたはどこだ?」

部屋を見回すが、かなたはどこにもいない。

男「……その内現われるかな。風呂にでも入ろう」

俺は風呂場に向かった。
浴室の扉を開ける。

かなた「……」

幽霊はここにいた。裸で。

かなた「……」
男「……」
かなた「……」
男「……」
かなた「き……」
男「……」



かなた「きゃああああああああああああああああああっ!」



男「こ、これは違っ! というかなんで幽霊が風呂に入ってるんだ!?」
かなた「きゃー! きゃー!」
男「ぶっ! 熱っ! 熱湯はやめろアホおおおぉぉぉっ!」
かなた「出てって下さいっ!」
男「わ、わかった、わかったって!」

かなた「事故なら仕方ないですよね」
男「……」
かなた「男くんは、幽霊はお風呂に入る権利もないと思ってたわけですから」
男「……」
かなた「そんな事故も起きますよね」
男「……」
かなた「うぅ。私は死ぬまでそうくん一筋だったのに……」
男「……」
かなた「死んでからこんなことになるなんて……」

男「――っだあああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!」

かなた「わっ」
男「黙れこのポルターガイスト! そうだよ! 幽霊に人権も風呂に入る権利もないんだよっ!」
かなた「な、なんてひどい! 幽霊だって人間です!」
男「壁を擦り抜けられる人間はいねぇっ!」
かなた「いるじゃないですか! セロとか!」
男「マジシャンじゃねーかぁぁぁっ!」

一時間言い争った。

かなた「はぁはぁ……」
男「ぜぇぜぇ……」
かなた「……」
男「……」
かなた「ぷっ……」
男「……?」
かなた「ふふ……」
男「あ? なんだよ急に」
かなた「いえ、なんかその……楽しくなっちゃって」
男「喉が枯れるほど言い争うのが楽しいとはやはりマゾか!」
かなた「誰がマゾですか誰が」

かなた「でも、親子喧嘩ってこんな感じかなぁと」
男「……アホか」

俺は煙草に火を点けた。
あ。そういえば煙草吸い始めると……

男「お前は『そんなの吸うと、身体によくないですよ』と言う」
かなた「そんなの吸うと、身体によくないですよ――ハッ!」
男「ふん。タイムトラベラーを舐めるな」
かなた「壮大な嫌がらせは止めてくださいよぉ……」
男「大体な」
かなた「んぅ?」
男「今のお前はまだ会って二日だろ。何が親子だよ」
かなた「あ。そういえばそうでした」
男「だろ」
かなた「でも……」
男「ん?」
かなた「男くんがそんな風に話し掛けてくれるから、そう感じないのかもしれません」
男「そんな風に?」
かなた「思ったことをズバズバ言ってくれるから、親しく感じちゃうんですよ」
男「……幸せな頭だ」
かなた「ふふ。そうかもしれません」

かなたは柔和に笑う。
俺はその顔を見ながら、ふと思い付いた提案をしてみた。

男「本当の親子喧嘩をやればいい。こなたを呼んでな」
かなた「……」
男「あとお前の旦那も呼んでいいぞ。今日会って来たからな」

しかしかなたは優しく微笑むと、小さく首を横に振った。
その笑みにどんな思いが込められているのか、今の俺にはよくわからなかった。

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最終更新:2009年08月24日 13:30