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☆―――

 …………。

―――

十二月18日(火)

「ふああ……」

 昨日、晩飯を食べ終えて、いつも通り、十二時ごろに寝た。
 そして例によって六時前に朝食を食べ終え、準備を一通り済ませたのだった。
 そして、

 ピンポーン。

 もはや恒例となったチャイム音。
 玄関先へと向かい、ドアを開けると、一人の少女の顔。

「おはよ、つかさ」

「うん。おはよう、男くん」

 そしてまた、今日という日も始まった。





―――

 そして教室。

「おっす、男」

「おう、かがみ」

「今日はどうだった?」

 これも恒例。
 かがみは、毎日つかさの様子を聞いてくる。

「変わらなかったぞ。いつもと」

「そ、よかった」


―――

「……よお、男」

「うわあ!? 誰だお前!? 化け物か!?」

「……ひっでぇなあ……お前の頼まれごとをこなしてて、寝不足なせいでこんな顔だってのに」

「ああそうか。すまん」

「……ったく、しょうがない奴だなあ」

「で、調子はどうだ? っていっても、一日じゃ無理だろうけど」

 無理をして、危険な目に遭ってほしくないしな。

「……ん、そうだな。……そりゃあ、いくら俺様でも、一日じゃあなあ!」

「だよなあ!」

「ははははは!」






―――

 時は飛んで放課後。
 またしても自習。

「めんどくせー……」

「ははは。俺はそっちは大丈夫だったからなあ!」

「くそー」

「あはは……じゃ、俺、帰るわ」

「おう、調べ物。無理すんなよ?」


「……ああ」






☆―――

 男には話さない。
 危険なことだから。
 ……友達を、巻き込めない。
 あいつが俺を心配なように、俺もあいつが心配なのだ。
 ……柊かがみ。
 俺と柊に関わりはさしてない。
 ……だけれど、そんなのは、もはや関係ないことだ。

 ―――そして俺は、放課後に柊かがみを呼び出していた。
 昨日得た情報をぶつけ、真実を知るために―――





☆―――

 ガララ。

「…………」

 化学室。
 この時間帯、誰もいない空間。
 そこに、呼び出された。
 ……クラスメイトの、男子に。

「……えと、おーい」

 中は真っ暗で、誰も居やしない。
 明かりをつけ、中に入っていく。だが、やはり誰もいない。
 ……悪戯だろうか? つかさを置いてきたっていうのに……。
 ……しかたない。と部屋を出ようと踵を返した。その時、

 ガララ、バタン! ガチャリ。

 突然ドアが閉じて、錠が落ちる音がした。

「な……!」

 急ぎドアを見る。―――すると、そこには、


「よお、柊。―――泉こなた殺人未遂の、犯人さん」


 私を呼び出した主が、悠然と立っていた。





☆―――

 目標に逃げられては困る。
 だから、こんな行動をとったが、……うん、なにやらこのともき。まるで悪人みたいだ。

「っ……! 何を、言って……!」

「逃げられやしないぜ、柊。証拠をもう、十分以上に揃ってるんでね」

 今は強気で。ひたすら押そう。……ここからは、心理戦なのだから。

「証拠……?」

「ああ、まずは目撃情報。ツインテール。薄紫の髪。この高校の制服……その他もろもろ、柊が犯人だと判断できる程の情報が集まった」

「っ!」

 ……よし。動揺している。
 ……これは、吐き出させるチャンスだ。―――しかし同時に、俺の身の危険を示している。
 警戒して、悟られぬように少し距離を取る。
 相手は殺人未遂犯だ。追い詰められれば、何をするかはわからない。

「次に、……これは、とある筋から極秘に入手した情報だが、泉が意識不明に陥ったその日、病室に居たそうだな?」

「! それは……!」

「……?」

 妙な反応だ。驚き方のベクトルが違う……それを知られて驚いたというより、それを引き合いに出されてショックを受けた、という感じか。

「…………」

「……何か、話したそうだな」

「……なんで、あんたがこんなこと」

「知ってるだろ? 俺の友人からの頼まれごとだ」

「友人―――男!?」

「そうとも」

「そう……それで、あんたはその情報をどうするの?」

「決まってる。男に報告する」

「……っ、何故、それをわざわざ私に?」


「―――最後の確認だ。……柊の反応で、俺はお前が犯人だと確信したぜ?」

「…………」

 声も出ない、か。
 まあ、いい。このまま柊をここに閉じ込めたまま、俺が手を回せば、全部終わる。

「……ねえ」

「……なんだ?」

「…………男には、私自身から言わせてくれない?」

「! そんなこと、許すはずがないだろう。……危険すぎる」

「……そうよね。こんなお願い、虫がよすぎるわよね」

「……なんで、そんな無理だとわかりきっている申し出をするんだ?」


「……私の、贖罪よ」

「贖罪……?」

 どういうことだ? 彼女は罪を償いたいと、言っているのか……?
 今日の今日まで、自首しなかったというのに?

「そう、贖罪」

「なら、その頼みを聞いてほしいというのなら……話してもらおうか。何故、こんなことになったのか」


「―――わかった。全部、話すわよ」







………
……

「―――そう、いうことか」

 それは辛い話だった。
 そしてそのすべての話が一貫しいて、俺の情報ともすべて合致していた。

 ―――おそらく、彼女は真実を言っている。

「……だから、男には私が言うの、その全てを」

「…………」

 ……俺は、どうするべきか。
 危険だ。危険すぎる。
 ……しかし、いや、だが……!

「―――駄目だ。やはり危険すぎる」

「―――そ、う……」

 顔を伏せる柊。……忍びないが、しょうがない。

「……じゃあな、柊」

 しかし、

「……そう、駄目、なら……」

 ドアから出ようと、俺が錠に手をかけたその時、



「―――しょうがない、わね」



 後ろから、覚悟を決めた、声がした。






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最終更新:2009年09月04日 20:33