「……ええ、比較的良好、といったところです」
「そう……でも、気を付けてね。自覚症状なしで突然……なんてこともあるから」
「……はい」
「あら、でも何も異常がないならなんで病院に?」
「あ、それはちょっと友人が入院してまして」
「へえ。……友達、できたのね。良かったじゃない」
「……ありがとう、ございます」
この人は、俺の過去を、よく知ってる。
俺の事情も、だ。
だから、その言葉はただ純粋に、嬉しかった。
先生と別れて、病院前をうろついていると、つかさ達が三人まとめていらっしゃった。
「あ、早いねー男くん」
「ああ、なんか早くに行動するのが癖になってるみたいだ」
「あはは」
笑い会う俺とつかさ。
そして、
「…………」
かがみは不自然に、無言だった。
「じゃあ、行きましょうか」
みゆきの呼び声で四人揃って病院に入る。
そして受付で、泉こなたの病室はどこですか? と聞いた。
すると、
「泉こなたさんは、面会謝絶です」
そんな答えが、返ってきた。
信じられないほど冷静なナースさんの声で、一瞬何を言われたのか解らなかった。
「…………はい?」
「ですから、泉さんは面会謝絶です」
「な、何故」
「警察の方と、泉さんの同意の上で」
「……いやでも」
「面会謝絶です」
「…………ちょっとくらい」
「無理です」
「…………」
ちくしょう、ちょっと美人だからって調子に乗りやがって。
やっちゃってください! 柊姉さんっ。
とばかりにかがみを見る……が。
「……しょうがない。帰るわよ、皆」
……え?
「そ、そんなあっさりでいいのお姉ちゃん!?」
そうだ、言ってやれつかさ!
「しょうがないじゃない。警察のってことは、まだこなたに危険があるってことなのよ。無闇に会わない方がいいわ」
「う……そう、だね」
駄目だ。つかさじゃ歯がたたない。
結局、誰も言い返せず、病院前で俺達は解散した。
帰路につくなか、俺はかがみの発言を考えていた。
……いかにもかがみの言いそうな意見。
なのに、何かがおかしかった。
……かがみって、あんなに冷たい奴だっけ……?
☆―――
解散した後、私はこっそりと一人でもう一度病院に来ていた。
そしてナースさんに文句を言われる前に、自分の名前を提示する。
……思った通り。
病室に案内された。
……病室のドアを開けると、まるで私が来るのを分かっていたかのように、あいつは上半身を起き上がらせていた。
「……や、かがみん」
「……あんた、これ」
「そ、私が誰にもかがみんのことを喋らないよっていう証明」
「……なんで、わざわざこんなことをするのよ」
無意味だ。
こんなこと。
「一つは、やっぱりもう刺されたくないから、かな」
嘘だ。
どうせ病院なんかじゃそんなことは出来ない。
「それともう一つは、やっぱりかがみんは友達だから、かな」
……嘘。
「嘘よ。
あんたがまだ、私のことを友達と思ってるはず……ない」
「そこは『嘘だっっっ!!』って言わないとだめだよかがみん」
「……あんたね」
「―――嘘じゃないよ」
「……っ」
「嘘なんかじゃない」
「…………」
嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ。
だって、だって私は……っ。
「ね、かがみん。
苦しいなら、もうやめなよ。
私はかがみんを許すよ? それで、もう誰も、悪くなんかない。
みんなでまた、元通りに、なろうよ」
最終更新:2009年09月09日 23:14