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俺はとりあえずカバンを漁ってみた。
とくにそれらしき物はない。

俺は財布を開けてみた。
男「カードは何枚かあるんだけどな…」

財布の中には、ゲマズ、メイト、とらあなのカードがある。
いつかこなたとアキバに行ったとき(無理やり)作らされたものだ。

男「こんなんが鍵の訳ねーよな…」

財布の一番奥まで探ってみると、見慣れないテレカが現れた。

男「ん?」

俺はこなたの言葉を思い出した。
『そうそう、男にプレゼントがあるんだ。』
『キャラ知らないんだよねー』
『これは男にあげなきゃいけない気がする』

俺はこなたからもらった『よく分からないテレカ』を手に取り、まじまじと見てみた。

女の子が4人描かれている。
真ん中の左側に描かれた少女は、何となくこなたに似ていた。


男「らき…すた…?知らないな…深夜アニメかな?」

ともかく俺はそのテレカを、カードキー挿入口に差し込んでみた。

テレカは、すんなりとドアに吸い込まれていく。

ウィィン…
ドアが音を立てて静かに開く。

ドアの中は、薄暗い空間が口を開けている。

少し緊張して、足を進める。

部屋の中はドーム状の空間が広がっており、壁は全面に本が納められた本棚が並ぶ。

部屋の中心には机と椅子が二脚置かれていた。

机に近づくと、奥から声がした。

女性の声「ようこそ。椅子に座ってお待ち下さいね。」

俺は促されるまま、椅子に腰掛けた。

薄暗い奥から足音が近づいてくる。
目の前に本を手に持った女性が現れた。
女性は微笑みなが、持っていた本を開いたまま机に置き、らもう一脚の椅子に腰掛けた。

俺「!!こ…なた…!?」

女性は、こなたにそっくりだった。
…しかしよく見るとわずかに違う。
目元が少し違う気がするし、泣きぼくろが無い。
それにこなたよりは少し背が高く、纏っているオーラは子供っぽさを感じさせない。…それどころか人間らしさが感じられないほどの威圧感がある。


こなたに似た女性「こんにちは。あなたを待っていました。私は『マクスウェル』。…あっ!でもあなたが望むなら『カナちゃん』て呼んでくれても良いわよ?」

その女性から発せられる威圧感から、とても『ちゃん』付けで呼ぶことは出来そうに無かった。

男「…えっと…望みません。」

マクスウェル「えっ…!………そうですか…。」
女性は少し悲しそうな顔をした。

マクスウェル「…さて、本題に移りましょう。」

男「…はい。」

マクスウェル「私が、あなたをここに呼んだ意味は分かりますか?」

男「……分かりません……みんなを…殺した罰…ですか?」

マクスウェル「……そうですね。あなたの優しすぎる気持ちは、結果的には惨劇を招いてしまいました。」

男「……やっぱりここは…あの世…なんですか…?」

マクスウェル「いいえ、中間地点です。あの世でもこの世でもありません。何かを成し遂げられずに肉体が滅んだ魂が留まる所。」

男「……あの…すみません…いまいち実感が…」

マクスウェル「…まぁそうですよね。私もそうでした。…私が『マクスウェル』と同化してここに留まるまでは。」

男「…意味が…分かりません…。」

マクスウェル「…あっ!気にしないで下さい。実は私もよく分かりませんから。」

男「はぁ…。」

女性の言葉を100%信じることは出来なかったが、最近の非現実的な出来事、みんなの死、そして何より今自分がおかれている状況から、強ちそれが間違いではないのかもしれないという気持ちが強くなっていた。

俺はふと気づいた。

男「…待って下さい!もしここがあなたの言う中間地点ならば、こなたは……!!」

マクスウェル「あの子は…行ってしまいました。」

男「………!!」
俺は再び涙があふれてきた。

表情を変えず、絶えず穏やかな笑顔で見つめるその女性が口を開いた。
マクスウェル「…全て観ていました。」
マクスウェル「…あなたの気持ち。」
マクスウェル「…あなたを愛した人達の気持ち。」

マクスウェル「あなたは…優しすぎた。」

男「……!」
女性のその言葉は、幾度となくみんなの口から聞いた言葉だった。
同時に『俺の気持ちがみんなを殺した』という思いが強く頭に響いた。

女性はそんな俺の気持ちを見透かすような澄んだ目で俺に微笑みかけ、続けた。
マクスウェル「…しかしあなたは、自分の罪を省みて、涙を流している。」
マクスウェル「あの子の…いえ、みんなのために涙を流してくれた。」

マクスウェル「…ですから男くん、あなたに一度だけチャンスを与えます。」

男「………え?」

マクスウェル「この惨劇は、ある一地点の出来事を変えることが出来れば防げたはずです。」

男「…ある…一地点…?」

マクスウェル「すでに、泉こなたの心には男くんが強く刻みつけられています。…それは変えられないこと。変えようとすれば、『記憶』という代償を払うことになるでしょう。」

マクスウェル「ならばどうすればよいか…分かりますか?」

男「…こなたが…つかさやかがみに出会わなければいい……こなたが…あの日引っ越さなければ…!!」

マクスウェル「その通りです。泉こなたが引っ越したのは訳があります。引っ越しを阻止するためにあなたはそれを知り、解決する必要があります。…それが出来ますか?」

男「…待ってくれ…俺が仮に引っ越しを阻止した場合…こなたはみんなに会えないのか?」

マクスウェル「…そうですね。」

男「…俺が…こなたの友達を奪うのか…?」

マクスウェル「…そうですね。それが『代償』です。」

男「…俺はもう…みんなから何も奪いたくない…。」

マクスウェル「…全てのものを手に入れる事は出来ません。みなさんの命の代償はこなたとあなたの親友です。どちらが大切か考えて下さい。」


マクスウェル「…それではもう一度お聞きします。…それが、出来ますか?」

長い沈黙。

俺はやっと口を開いた。
…元より答えなど一つしかない。

男「…戻ります…。あの一地点に…。」

マクスウェル「…いいんですか?」

男「…こなたの友達を奪った罪は必ず償います。…つかさが、かがみが、みゆきさんが居なくても、それをあいつが感じないくらい俺がこなたを幸せにします…。」

マクスウェル「…そう…ですか。分かりました。…それではもう一つ注意があります。」

男「何ですか?」

マクスウェル「私の存在を信じて下さい。それが出来なければあなたは『記憶』を失います。また、こちら側の『記憶』をあちら側の誰にも喋ってはいけません。」

男「…わかりました。」

マクスウェル「…それとあなたがこれから歩む道は険しいものになります。泉こなたを引っ越しさせないためには、多くの犠牲を払うかもしれません。…それでもあなたは泉こなただけを想い続けられますか?」

男「…はい。もう迷いません。」

マクスウェル「…分かりました。」
女性はそう言うと机の上の本を閉じた。
同時に周りの景色が歪んでいく。

マクスウェル「では、お別れです。…最後に、この場所を通り過ぎていった、こちら側の泉こなたから伝言です。」

マクスウェル「『お風呂、温かかったよ。男、ありがとう。』」


女性の輪郭は歪み原型を留めなくなった。
俺は暗い空間を浮翌遊していた。
遥か彼方に光る星のようなものが無数に見える。
その星の一つが近付いて俺を押しつぶして飲み込んだ。

男「うわああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」




声「…とこ…」
声「…おとこ…」

声「おとこー!!」


男「うわぁぁぁ!………あれ?」

こなた「大丈夫かー?何で昼寝しながら叫んでるんだー?」

男「………こなた…?」
目の前にいるのは、背はさらに小さく髪もそこまで長くないが、紛れもなくこなただった。

男「こ…こなた…」

こなた「ん…?」

男「こなたー!!!」

こなた「!!!うわちょっとどうしたんだ男!…そんな抱きついたら…恥ずかしいからさ…!!」

ガチャ

男母「こなたちゃーん、麦茶飲むー?………………あらあら、お邪魔だったかな?」

こなた「おっ…おばさんちがうんですこれはその!!」

男母「ふふふ…仲良くて良いわね~また後でくるわ。」

ガチャ

こなた「………おーとーこー」

男「…えーと…なんかゴメン…。」

こなた「もーいーよ!早くプール行こう!約束したのに昼寝とは許せん!」

男「…うん。」

男「行ってきます。」
こなた「お…おじゃましました。」

こなたと並んで歩く。

男「…なぁこなた…。」
こなた「…何?」

男「…怒ってる?」

こなた「…来週の少年ジャソプ男が買ってくれるなら許す。」

男「…しゃーないな。」

こなた「じゃ交渉成立だねー!」

男「なー…一個聞いても良いか?」

こなた「何だい?」

男「今日って、何年何月何日だっけ?」

こなた「…おとこってば時をかける少女?」

男「い…いや、ど忘れしてさ。」

こなた「今日は2002年7月31だろー!夏休み真っ只中!遊びまくるぞー!あ、今年もコミケは一緒に行こうねー。」

男『四年生か…』

こなた「…どうした?おとこ。」

男「ん…?別に。」

こなた「そか。早くプール行こうよー!」

男『そういえばこの頃のこなたは割とアウトドアだったな…』

こなた「…何?私の顔に何か付いてる??」

男「別に!さあ行こうか!」
俺はそう言うとこなたの手を握って歩き出した。

こなた「…!!!ちょっ!!おまっ!!!」

『こなた…俺…お前のこと幸せにするから…。』

Fin.
【 ENDING2:二人で創る未来 】


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最終更新:2008年10月12日 15:09