昨日の夢のせいもあるかもしれない。
しかし確かに俺は、今俺にしがみついて上目遣いで見つめる幼なじみを、『一人の女の子』と感じていた。
男「こなた…俺…」
男「俺もお前の事…好きなんだと思う。」
こなた「…おとこ…」
こなた「おとこぉーーー!!」
男「こなた…好きだよ。」
こなた「うっ…うっ………うわーーーーん!!」
初めて見るこなたの泣き顔は、どこか迷っていた俺の気持ちを拭い去った。
『…小さい頃は俺の方が泣いてばっかだったのにな…』
こなたは、小さな手で精一杯俺の服をつかみながら子供みたいに泣き続けた。
…少し時間が経った。
二人で顔を見合わせてお互い『へへっ…』と笑った。
今までもずっと、お互いの気持ちは一緒だったのかもしれない。
でも、お互いの気持ちは今日やっと繋がった。
男「…なんかさ、俺が転校して来た初日から俺たち普通に友達だったし、これからもあんまり変わらなそうだな。」
こなた「変わるよー!…例えば男が私の誕生日にかける金額が。」
男「いきなりそれか」
こなた「…嘘だよ。男がいればいい…。」
男「………………」
マンガとかでよく見る、『胸がキュンとなる』という感じを初めて感じた。
男「そういえば誕生日、来週の月曜だな。」
こなた「うん。その日は…うちに来て欲しいなぁ…。」
男「うん、行くよ。」
こなた「…おとーさんに…紹介する…。」
男「…いきなりだなぁ…。」
こなた「まぁそうは言っても男はお父さんと面識あるじゃないかー。」
男「覚えてるといいけどね…」
辺りは暗くなっていた。
こなた「そろそろ帰るね。」
男「…うん。」
こなた「あのさー…実は少し前にかがみんに相談したんだよね。…だからかがみんには報告してもいい?」
男「いいよ。…それ以外の人には内緒?」
こなた「…私のキャラじゃないだろjk」
男「まぁな…」
こなた「…じゃあまた明日ー」
男「あっ、送ってくよ?」
こなた「…うん。」
こなたと並んで歩く。
こなた「…手繋ぎたいけど、誰かに会ったら恐いし。」
男「…うん。」
なんだかお互いぎこちなく歩いた。
こなたの家の前に着いた。
こなた「じゃーホントにさよなら。」
男「うん。おやすみ。」
こなた「…おとこ、おとこ。」
こなたは小さく手招きした。
男「ん?」
俺は少し背中を丸めて、こなたに顔を近づけた。
ちゅっ
こなた「おっ、おやすみー。」
こなたは慌てて家に入っていった。
玄関で一回、転んでいた。
俺は少しぼーっとしながら家に帰った。
『…こなたも…女の子なんだな…』
食事をして、風呂に入って早々に布団に入った。
『…ダメだ…目がギンギンして眠れん…。』
…こなたと分かれるときの感触が蘇る。
………ちゅっ………
男「ああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
ベッドの上でゴロゴロ転げ回る俺は、だいぶアホだったと思う。
男「…はぁ…はぁ…。」
転げ回り続けて疲れたところでメールが来た。
【from】
泉こなた
【タイトル】
無題
【本文】
男、今日はうれしかったよ。
これからもよろしくね。
消化したゲームで、男が葉好きなのは把握した。
妄想で私をエルルゥに見立てて[禁則事項です]したり、初音に見立てて[らめぇぇっ!]したり、透子に見立ててこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいしたりしちゃダメだよ、ダーリン[ハート]
じゃあおやすみノシ
男「…」
男「ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
男「こなたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
…
…
…
男「ふぅ……戦争とはなんと愚かな行いなんだ……寝るか。」
次の日。
教室ででみんなに会った。
みゆき「おはようございます、男さん。」
こなた「おはよー男ー。」
つかさ「男君、おはよっ!」
男「…おはよ。」
こなたは昨日の朝と同じ様に俺に挨拶する。
そんなこなたの演技派な一面に少し驚いた。
しかしそれと同時に重大なことを思い出した。
『日曜日どうしよう…』
つかさは相変わらずの満面の笑顔で俺を見ている。
『あの時はこなたの事とか考える必要なかったから行くよって言ったけど…』
『…よく考えりゃデートだよな…』
つかさは相変わらずの満面の笑顔で俺を見ている…。
『…キャンセルは可哀想だな…』
『こなたにはしっかり説明して、日曜はつかさと遊びに行こう…』
…その選択が正しいのか、その時俺には分からなかった。
放課後、俺はかがみとつかさと別れた後、こなたと並んで歩きながら俺は話し始めた。
男「なあ、こなた…。」
こなた「ん?どうした、男?」
男「…あのさ…実は言っとかなきゃいけない事があるんだ。」
こなた「何?」
男「実はさ、一週間くらい前につかさに遊びに行こうって誘われてて、日曜日は内巻公園に行く予定なんだ。」
こなた「…二人で?」
男「うん…。」
こなた「さっそく浮気か。」
男「そ…そうじゃないよ!ただ色々あって、つかさがお礼したいって言うから行く事になったんだよ。」
こなた「色々をkwsk」
男「中間試験の時、俺がつかさの勉強見てやったんだよ。で、点が良かったみたいで、日曜はお弁当とか作ってあげるから遊ぼうって…。」
こなた「ふーん…デートか。」
男「そういうつもりじゃないよ!!ただ約束したのだいぶ前だし、断るのもあれかなって…。」
こなた「…まあそうだね。しゃーない、今回だけは許してやろう。」
男「ゴメン、こなた。」
こなた「いーよ。………ただ、一つ約束して。」
男「何?何でもするよ。」
こなた「『何でもする』なんて簡単に言うもんじゃないって侑子さんが言ってたぞ。」
男「誰?」
こなた「<ミセ>の店主。」
男「…??」
こなた「まぁいいや。」
こなたは足を止めると、俺の顔を覗き込んで言った。
こなた「男は、ずっと私のものだよね?」
男「………うん。」
こなた「おk!!じゃあ今のが約束ね。」
男「うん、了解した。」
こなた「じゃあ誓いのキスを…」
男「バカが。」
こなたを家まで送った。
家の前で、こなたが玄関の前で、俺の服の裾をつかんだ。
こなた「………誓いの…。」
男「!!!!」
俺は目をつぶったこなたをまともに見れないまま、軽く唇に触れた。
こなたは、少し顔を赤くしながらニヤッと笑い、家に入って行った。
こなた「…じゃあまた明日。」
男「…うん。」
一人で道を歩きながら、こなたの事を考えた。
『…こなたって…二人の時はいつもの感じじゃないな…』
『…女の子って皆そうなのかな…』
家に着いて食事をしながら、やっぱりこなたの事を考える。
『今日は妄想やめとこう…体力が持たん…。』
すっかりこなたにハマってる自分がいた。
土曜日の放課後。
明日はつかさと『デート』だ。
みんなで一緒に帰る、こなたの視線がちょっと痛い気がする。
こなたがケータイを打っている。
かがみ「あれ?あんたがケータイを携帯してるなんて珍しいわね。」
こなた「うんたまたまねー。」
つかさ「あっ!そういえばね、私この前の試験よく出来たからケータイ買ってもらったんだー!だからみんなのアドレス教えて!!」
こなた「うん、つかさのケータイは?」
つかさ「あっ………」
かがみ「…私がみんなにメールで送るわ…」
つかさ「はうぅぅぅ………」
ヴヴヴヴヴ…
男「ん?」
メールが来た。
【from】
泉こなた
【タイトル】
無題
【本文】
男、私の事愛してる?
男「!!」
つかさ「どうしたの?」
男「な…何でもないよ。親からメール来てさ!」
つかさ「ふーん…。」
みんなと別れた後、こなたにメールを打った。
【to】
泉こなた
【タイトル】
Re:
【本文】
みんなといる時メールとか、びっくりするだろ!
【from】
泉こなた
【タイトル】
Re:Re:
【本文】
男のびっくりする顔が見たかったんだー。
迷惑だった?
【to】
泉こなた
【タイトル】
Re:Re:Re:
【本文】
そんなこと無いけどさ…。
でもみんなには内緒にするんだろ?ばれちゃうよ?
【from】
泉こなた
【タイトル】
Re:Re:Re:Re:
【本文】
そだね。自重するよ。
あ、それとかがみんには明日、男がつかさとデートしてるとき言うから。
【to】
泉こなた
【タイトル】
Re:Re:Re:Re:Re:
【本文】
了解。
ケータイを閉じた。
こなたの言い方は、どこかトゲのある感じだ。
…やっぱりつかさとの『デート』が嫌なんだろうな…。
夜、明日の『デート』の詳細をつかさとメールで決め、早めに眠りについた。
ピンポーン…ピンポーン…
男「…ん?」
俺は眠い足を引きずって玄関のドアを開けた。
そこには大きめの紙袋を持ったつかさがいた。
つかさ「おはよっ男君!」
男「!!つかさ!おはよう…どうしたの?」
つかさ「えへへ…何だかわくわくして、来ちゃった!」
男「ゴメン…俺今起きたんだ。」
つかさ「うん、ねぐせピンピンだねー!男君の家で待ってていい?」
男「うん、いいよ。急いでシャワー浴びるから待ってて。」
つかさ「うん!」
つかさ「ねぐせピンピ~ン」
俺が急いでシャワーを浴びて出てくると、リビングにつかさがいない。
男「あれ?」
男「つかさー?」
俺はつかさを捜して家の中をうろうろした。
すると、つかさは俺の部屋のベッドで眠っていた。
つかさ「…うーん…ばるさみこす…」
男「バル…?……つかさー」
俺はつかさの肩を揺すった。
つかさの体がビクッと動いて目を開けた。
つかさ「はうっ!!ごめんなさいっ!」
男「大丈夫だよ。俺そろそろ支度できるからー。」
つかさ「うん。」
しばらくして俺たちは一緒に家を出て、バスに乗った。
男「つかさは内巻公園行ったことあったっけ?」
つかさ「うん!今年の春はみんなでお花見行ったんだよー。来年は男君も一緒に行こうね!」
男「へー。俺一回だけ行ったんだけどそんなことが出来るんだ。」
つかさ「うん。バーベキューも出来るんだよ。」
男「へー、家族とかで行くんだ?」
つかさ「あっバーベキューしたことはないよー」
内巻公園に着いた。
前来たときは、入り口付近のベンチに座っただけだったので、今回はゆっくりと見て回ることにした。
男「つかさ、この公園はどれくらいの広さなの?」
つかさ「うーん…よく分からないけど広いよー!」
男「そ…そっか。」
つかさ「ただ、広すぎて売店とかはまだ見たことないんだー。だから飲み物とかは外で買っていかなきゃいけないんだよ。」
男『園内には売店はおろか、自販機もないってことか。』
つかさ「じゃあ行こっ!!」
つかさはそう言うと、俺の少し前を歩き出した。
つかさ「ここにはね、長いローラー滑り台があるんだよ!」
つかさ「この池はね、夏休みとか子供がいっぱい遊んでてねー…」
つかさが公園の中を案内してくれた。
少し散策すると小高い丘のようなところに出た。
そこには少し景色のいいベンチがあり、俺たちはそこで昼食を食べることにした。
つかさ「今日は晴れて良かったねー!」
男「うん、もうすぐ梅雨だからね。今日は少し蒸し暑いけど快晴でよかったよ。…あっこのおにぎりおいしい。」
つかさ「ホント?!やったあ!チキンの炊き込みご飯だよ!」
男「つかさは本当に料理上手だよね。家ではいっつも料理してるの?」
つかさ「えへへー///家では私が作ることもあるけど、お姉ちゃんが作ることのが多いかな?」
男「えっ?!かがみが?!」
つかさ「ううん、いのりお姉ちゃんとか。」
男「あっ上のお姉さんか。」
つかさ「うん!」
食後のデザートまで用意されていた。
男「うわ!スイートポテト自分で焼いたの?」
つかさ「うん。意外と簡単なんだよ。」
男「へー…俺は料理はするけどお菓子は作れないから、これは無理だなー…」
つかさ「実はこれはこなちゃんに教わったんだ。」
男「こなたに?!へー…意外だな。確かにあいつは昔から料理してたけど。」
つかさ「…こなちゃんのより、おいしくできたかな…?」
男「えっ…?」
つかさ「…んーん、何でもない。」
男「…そう。」
つかさ「あっ、そう言えば男君はこなちゃんと幼なじみなんだよね?!」
…今はそれ以上だよ。
こなたとの約束もあり、それは言わなかった。
男「そうだよ。」
つかさ「こなちゃんて昔も今と同じ感じだったの?」
男「うんまぁね…今よりは少しだけアウトドアだったよ。…夏休みとかさーよく外で一緒に遊んで、休みの最後にいっつも俺の宿題全部写すんだ。」
つかさ「…あははっ…こなちゃんらしいね。」
男「それでさ、毎年二回必ず変な祭りにつれてかれてさーそこで…」
つかさ「そうだおとこくん!!!!!!!!」
つかさが滅多に出さない大声で俺の言葉を遮った。
男「…どうしたの…?」
つかさ「…ごめんね。言うの忘れちゃいそうだから忘れないうちに言っておきたい事があるの。」
男「うん…何?」
つかさ「あ…あのね、私今回の中間テストすごく良い点数だったの。」
男「うん。」
つかさ「初めてお姉ちゃんに勝ったの。」
男「うん。」
つかさ「お父さんにごほうびでケータイ買ってもらったし。」
男「うん。」
つかさ「だからね…」
男「…」
つかさ「…あ…ありがとう!」
男「…う…うん!」
つかさ「えへへ///これからもよろしくね!!!!」
男「うん。こちらこそ!」
…俺はつかさの言葉に正直ホッとした。
こなたとあんな事があった後で俺は少しsnegな展開を想像してしまった。
『何にせよ、SHU・RA・BAな展開にならなくてよかった…』
俺たちは食後、腹ごなしに少し歩いた。
日が傾き始めた三時過ぎ、つかさが帰ろうと提案した。
男「疲れた?ごめんね、今日は早起きさせた上案内ばっかりさせちゃったね。」
つかさ「…うん、あのね、そんなに疲れてはいないけど暗くなる前に早く公園出たいなーって…。」
男「ん?何かこの後予定あるの?」
つかさ「ないよー…ただこの公園…その…出るらしいの…」
男「…何が?」
つかさ「…………………………おばけ。」
男「…。」
帰りのバスの中でつかさが話しかけてきた。
つかさ「ごっごめんね><私のせいで急がせちゃって!」
男「大丈夫だよ。苦手なものはしょうがないよ。」
つかさ「うぅ…男君は優しいね。」
男「そっ、そんなことないよ。」
つかさ「…ねえ、男君。まだ時間早いし、少し男君の家で遊びたいなー…。」
(オートセーブしました。重要分岐③-C。)
最終更新:2008年07月01日 01:01