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h5-21 - (2012/07/24 (火) 23:30:46) の編集履歴(バックアップ)


京太郎「全国大会の会場ってホント広いよなー…」ウロウロ

三尋木「ん~あれー小鍛冶プロどこ行ったんだろ~?知らんけど~」ウロウロ

ドンッ!!

京太郎「いてっ…」

三尋木「いたた…~あー着物の裾が汚れちゃったよ~」ヒラヒラ

京太郎「あ…す、すいません…ちょっとよそ見してたもので…大丈夫ですか?(この人着物着てる…珍しいな…)」

三尋木「あははー私は大丈夫だよ~」

三尋木「それよりちょっと手を貸してくれないかなーちょっと腰がぬけちゃってうまくたてないんだよねい~」

京太郎「あ、すいません気がつかなくって…」

京太郎「いきますよ。せーのっ!」グッ

三尋木「よいしょ…ってあらっ…」ツルッ

京太郎「危ない!!」ギュッ

三尋木「……てあれ?痛くない?」

三尋木「あ…(この子がクッションになってくれたのか~なんか抱きしめられてるみたいで恥ずかしいなー)」

京太郎「だ、大丈夫ですか…?(や、やべー…今気付いたけどこの人…着物の下…何もつけてないから感触が…)」

三尋木「また助けられちゃったね~それよりどうしたの~?顔真っ赤にしちゃって~?もしかしておねいさんに興奮しちゃった?」ケラケラ


京太郎「し、してませんよ!」

三尋木「そーんなテンパった顔して言われても説得力ないぜ~?(この子可愛いな~ちょっとからかっちゃおうかなー)」ニヤニヤ

京太郎「!お、俺は本当にそんなつもりは…」アセアセ

三尋木「じゃあいつまで私に抱きついてるんだい~?」ニヤニヤ

京太郎「あっ!す、すいません!」バッ

三尋木「いやいや、気すんなよーむしろこっちはお礼を言う側なんだしね~」

三尋木「ん~それよりさあー君って彼女とかいる~?」

京太郎「いえ…いませんけど…」

三尋木「え~じゃあ今までいたことは~?」

京太郎「いや…今までそういったことには縁がなかったので…」

三尋木「へ~意外意外。君けっこう綺麗な顔立ちしてるのにね~」アハハ

京太郎「はあ…ありがとうございます」

三尋木「じゃあさ…そーゆー経験もないわけだ~?」ニヤニヤ

京太郎「…は?」


三尋木「だから~したことないんでしょ~?女の子とエッチなこととかさ~」ニヤニヤ

京太郎「なっ!//」

三尋木「あはは~ウブな反応だね~(まあ私も実はないんだけどねい~でも口のうまさなら負けないよ~)」

三尋木「んじゃあさ~さっきのお礼じゃないけど、私が教えてあげよっか~?」ニヤニヤ

京太郎「え!?そ、それはどういう…」

三尋木「だ・か・ら、おねいさんが経験のない君に特別にレクチャーしてあげよっか~?」ニヤニヤ

京太郎「………」

三尋木「ん~どうしたの~?急に黙っちゃってさー(もう十分からかえたね~ここら辺で引いて…)」

三尋木「あはは~じょうだ「いいんですか?」」

三尋木「へ?」

京太郎「だから…教えてもらってもいいですか…その…」

京太郎「あなたがしてきた経験ってのを…」

三尋木「あーえっと~その~(あ、あれ…わ、私やりすぎちゃった~?)」

京太郎「俺…ずっと共学だったんですけど全くそういう出会いはなくて…」

三尋木「え、えっと~あのねー?(そーいやお互いの名前もしらなかったなー)」

京太郎「だから…俺には全然魅力がないのかな、って思ったりして…」

三尋木「おーい…えっと…君~?(おいおい完全に自分語りに入っちゃったよー)」

京太郎「だから…大人の人にそういうことを教えてもらえれば俺に何が足りないのか分かるかもしれません!」

三尋木「おーい、おーい」

京太郎「初対面の人にお願いするようなことじゃないと分かってるんですけど…」

三尋木「ダメだね…聞こえてないねー…」

京太郎「お願いします、俺にどうか教えてください!」グッ

三尋木「あ…(手…握られちゃった…てか…これ、やばくね?)」


―会場の目立たない一角―

京太郎「ここなら…誰も来ませんね…」

三尋木「あ~…う、うん。そうだねい~」

三尋木「(小鍛冶プロを探してただけなのに…どうしてこうなったのかな~?)」

京太郎「じゃあ…お願いしてもいいですか?…あ、まだ名前を聞いてませんでしたね。俺は須賀京太郎といいます」

三尋木「あ~私は三尋木だよー三尋木咏~(勢いで連れて来られちゃったけど…困ったな~なんとかごまかして逃げられないかな~)」

京太郎「うたさん…ですか。珍しい名前ですね」

三尋木「あはは~よく言われるよー(昔はよく名前馬鹿にされてたからな~別にどうでもいいけどねー)」

京太郎「綺麗な…綺麗な名前ですね」

三尋木「へ?」

京太郎「だから…三尋木さんに似合ういい名前だなって思って」

京太郎「なんか和歌とかのうたと三尋木さんの雰囲気と着物とかいろいろマッチしてていい感じだなって」

三尋木「…」


京太郎「あ…すいません、俺馬鹿だからそんな単純な発想しかできなくて」

三尋木「…」

京太郎「…三尋木さん?」

三尋木「…あっ、えっ?何?(あ、あれ?私なんでこんなに動揺してるんだろ?私らしくないよ~?)」

京太郎「どうしたんですか?ぼーっとして…」

三尋木「なんでもないよ~気にしないでいいよー」

京太郎「えと…じゃあ恋人がするってことで…キスからお願いしていいですか?いきなりその…変なことはあれなんで…」

三尋木「お、おう。おねいさんに任しときな~(うっわー…何やってんだろ~私)」

京太郎「じゃあ、俺はどうすればいいですか?」

三尋木「う~ん…(こういうときどうすればいいか全然分かんねー)」

三尋木「…とりあえず…全然これじゃ届かないからしゃがんでくれるかい~?」

京太郎「はい!分かりました!」

三尋木「(う~ん困った…ホントに困ったな~自分から言い出した手前今更冗談とも言えないし~)」

三尋木「(この子には悪いけど…なんとかこっそり逃げられないかなー…)」

三尋木「…じゃあ、目をつぶってくれるかい~?」

京太郎「目を…ですか?」

三尋木「うんーそういうときは目をつぶるもんだよ~?(知らんけど)」

三尋木「絶対目開けちゃだめだかんね~?」

京太郎「は、はい。分かりました」グッ

三尋木「…(今のうちに…よし…ごめんねー須賀君~…)」

?「あっ!三尋木プロ!」

三尋木「!?」ビクッ

?「こんなとこで何やってるの?もう…探したんだから…」

三尋木「うわ…(なんてタイミングで現れるんだいー小鍛治プローていうか探してたの私のほうなんだけど~)」

京太郎「(なんだ…?まさか誰か来たのか!?…でも絶対目を開けちゃだめだって言われたし…)」

すこやん「…って何やってるんですか?こんなところで。三尋木プロ、この子は?どうして目をつぶってるんですか?」

三尋木「(あ~もうだめだこりゃ…いや、逆に人が来たってことでチャンスかな?)」

三尋木「須賀君~目開けていいよー」

京太郎「あ、はい。えーと…三尋木さん、この人は…」

三尋木「ああーこの人は小鍛治って人だよ~特技はアラフォー・ツモ、趣味は合コン日程調べ~」

すこやん「ちょっと!何吹き込んでるの?!」

三尋木「冗談だよ、冗談~」

すこやん「もう…こんな子にまで…(この子…すっごいイケメンだなあ…でも二人でこんなとこで何してたんだろ…)」

京太郎「あの…お二人は友達ですか?」

三尋木「ん~そんなとこかな~(よし、これに乗じて退散するよ~)」

すこやん「それより…お二人はこんなところで何をなさっていたんですか…?」

三尋木「え、え~と、ちょっとね~」

京太郎「(別に…言ってもいいよな?この人友達なんだし…)」

京太郎「ちょっと、この人に女性との関わり方を伝授してもらってたんです」

すこやん「え?!」

三尋木「(げ…)」

京太郎「小鍛治さんがもし来ないんでしたら…実は三尋木さんにその…キスを…教えてもらう予定でした」

すこやん「?!!それホント?!マジの大マジなの?ねえ!三尋木プロ?!」

三尋木「あ、あはは~そういえばそんなことも言ったっけな~(やべー小鍛治プロスイッチ入っちゃったよ~…)」

すこやん「(こ、こんなときに生のキスが見れるなんて…こんなチャンス、見逃せない!)」

すこやん「(なんでこんな状況になったのは分かんないけど…それは後で聞けばいいよね!今は自分のレベルアップのために最善を尽くす時だよ!!)」

すこやん「ごめんなさいっ!私邪魔しちゃって!どうぞ、続けて、続けてください!私、どっか行ってますから!」

すこやん「絶対覗いたりしませんから!ええ。絶対です!安心してください!むしろ見張っておきますから!」ダッ

京太郎「あっ…行っちゃったぞ…なんであんなにテンション上がってたんだろ?」

三尋木「さ、さあ~なんでだろねい~…(うわーこれマジすかー)」

京太郎「ちょっと横やりがはいりましたけど…続けて大丈夫ですか?三尋木さん」

三尋木「お、おー。そうだねー(やっぱりそうだよねーもう覚悟しちゃうか~?…)」

京太郎「……」

京太郎「あの…やっぱり…俺からキスしてもいいですか?」

三尋木「え?」

京太郎「いやその…そもそも俺に魅力がないのは、積極性が足りなくて、受身なところがあるから、ってのもあると思って…」

京太郎「だから、今回ので練習させていただければと、思いまして」

京太郎「あ、すいません、練習なんて言い方して…」

三尋木「いや~いいんだよ~言い出したのはこっちだし、君がやる気なら、こっちはレクチャーすることないしねい~」

三尋木「(…覚悟するかー無理だねこれはー…まあ自業自得だよねー…)」

京太郎「じゃ…目をつぶってもらえますか?」

三尋木「う…わ、分かったよ~(…自業自得で、ファーストキス喪失か~…私らしいのかもねー…)」

三尋木「(昔名前を馬鹿にされたときだって…おとなしくしてればいいのにわざわざそいつらと大喧嘩して自分も大けがしたっけ~…)」

三尋木「(麻雀の世界に入ってからも…私の言動を気に入らない人はたくさんいたし、それで私はたくさん損をしたこともあった

…)」

三尋木「(そんな私のキスなんて、こんなものでちょうどいいのかもねい~…)」

京太郎「(き、緊張するな…でも相手は慣れてるお姉さんだし、フォローしてくれるよな…ん?)」

京太郎「(あ、あれ…?三尋木さん、良く見ないと分からないけど、手が…震えてる…?なんでだ…?)」

京太郎「(まるで初めてキスするから緊張してる女の子みたいな…)」

京太郎「(……もしかして…)」

京太郎「…三尋木さん、ディープキスもしていいですか?俺、やってみたくて…」

三尋木「!」ビクッ

三尋木「い、いいよ~?好きなだけおねいさんで練習しなよ~」プルプル

京太郎「………」

京太郎「………三尋木さん、もういいですよ」ギュ

三尋木「………え?(私、抱きしめられてる?)」

京太郎「俺の練習に付き合っていただいてありがとうございました」

三尋木「え、え、どうしたんだい?」

京太郎「ですから、もう俺は十分練習になりました。じゃあこれで、もう俺は失礼させてもらいますね。本当にありがとうございました」

三尋木「ちょ、ちょっと待って、急にどうしたんだい?さっきまであんなにキスしたがってたよね?」

京太郎「…確かに俺は、自分に足りない何かを補いたくて、三尋木さんにレクチャーをお願いしました」

京太郎「でも…でも俺は他の人を傷つけてまでそんなことしたいと思いませんよ」

京太郎「三尋木さ…、本当はキスとか、そういう経験したことないんじゃないですか?」

三尋木「!!な、何いってるんだい?私は…」

京太郎「ふふ…さっきまでの軽い口調はどうしたんですか?」

三尋木「!!」カーッ

京太郎「それにほら…この手だって…」ギュ

三尋木「あ…(私の手を…握って…)」

京太郎「…まだこんなに震えてるじゃないですか…」


京太郎「すいませんでした、気が付けなくて。こんなんだから、俺は魅力がないんです」

京太郎「じゃあ…俺はこれで…」

三尋木「待って!…いや…待って、くれないかな…?」

京太郎「…まだ俺に用ですか?」

三尋木「!」ズキッ

三尋木「いや…あの…さっきはごめんね…その…からかったりして…」

京太郎「いいですよ、別に気にしてません。むしろこんなに可愛い女の人と話せたり、抱きしめたりできただけで俺は嬉しかった

ですよ」ニコッ

三尋木「…!」カアッ

三尋木「(あ、あれ私なんでこんなに動揺…してるんだろ…こんな気持ち…麻雀のタイトル戦のときでもなかった…)」

三尋木「(昔コンプレックスだった私の名前…綺麗って言ってくれて……)」

三尋木「(私がファーストキスだってこと…怖がってること…全部見抜いて…それで私に優しくしてくれた…)」

三尋木「(なんで…なんでこんなに胸がドキドキするんだろ…)」

三尋木「(あ、あれ…?もしかして、これって好きってやつなんじゃ…し、しらんけど…)」

京太郎「じゃあ、今度こそ、失礼します」スッ

三尋木「待って!」ギュッ

京太郎「え…三尋木、さん?」

三尋木「あ、ありがと。いろいろ私に気遣ってくれて…」

三尋木「これ…私の連絡先…何かあったら連絡してくれるかな?これでも私、有名な方だからさ。し、しらんけど」


三尋木「あと…これはお礼…」チュッ

京太郎「…え?(今…ほっぺにやわらかい感触が…)」

三尋木「じゃ、じゃあ、またあおうぜい」ダッ

京太郎「……」

京太郎「今、キスされたの、か?」ドキドキ



すこやん「すごかったー…さすがは三尋木プロ、私と違って経験豊富そうだもんなあ…//」ドキドキ



三尋木「…うわ~…は、恥ずかしいぜ…これは…」カーッ

三尋木「でも…また、須賀君と話せたらいいな~」

三尋木「ありがと…須賀君…」

―控室―

三尋木「ん~♪」

針生「あれ、どうしたんですか三尋木プロ。何かいいことでもありましたか?」

三尋木「いや~べっつに~?何もないけど~?♪」

針生「はあ…まあ、構いませんけど、もうすぐ一回戦の解説がありますから、それはしっかりやってくださいね」

三尋木「分かってるって~仕事は仕事でちゃんとやるぜ~」

針生「お願いしますよ、三尋木プロ。まあ、全国大会の解説ともなると、三尋木プロも緊張とかするんですか?」

三尋木「ん~緊張するのは選手の方じゃないのかい~?私たちはただスクリーンみておしゃべりするだけだぜい~」

針生「おしゃべりって…まあ間違ってはないですけど…」

三尋木「ん~♪」

針生「…まあその時に真剣になってくれれば私は何も言いませんよ…」

三尋木「そうだよ~細かいこと気にすんなって~」ケラケラ

針生「はあ…(どうしてこんな解説者と組むことになったんだろ…)」


―清澄控え室―

京太郎「」ポー

久「そろそろ一回戦が始まるわ。全国の初戦ね。気を引き締めていきましょう!」

和「はい。いつものことをいつも通りにやるだけです。ねえ、咲さん」

咲「うん。私、頑張るよ!(お姉ちゃんに会うために…絶対に負けない!)」

まこ「まあ、あんまり気負わずいったほうがええぞ」

優希「トップバッターは任せるじぇー!おい京太郎!タコスの準備、とっととするじぇー!」

京太郎「」ポー

優希「おい!何ぼーっとしてるんだじぇ!とうとう人間の言葉も分からなくなったかー?」

京太郎「」ポー

久「…須賀君?」

咲「そういえば京ちゃん、さっきからずっとこの調子だね…」

和「何かあったんでしょうか…」

優希「きょ、う、た、ろー!!」ドーン

京太郎「!?うわっ!」

京太郎「何すんだよ!優希!あぶねーだろ!」

優希「お前が人の話を聞かないからだじぇ!それとも私の話、聞いてたのかー?」

京太郎「う…すまん、ちょっと考え事しててな…で、なんだっけ?」

優希「今すぐ、タコスを半荘二回分用意するじぇ!大至急だぞ!」

京太郎「お、おう。そうだったな。すまんすまん。買いに行ってくるよ」アハハ


優希「頼んだぞー!走って行って来い!」

バタン

久「……」

咲「京ちゃん、いつもより何か浮足立ってるような…」

和「そうですね。でも今は大会に集中しましょう。須賀君のことは試合が終わってからでも大丈夫だと思います」

優希「んーまあ、犬にだって犬の事情があるかもしれないからなー」

まこ「そうじゃの、珍しく優希にしてはいいこといったのう」ニヤニヤ

優希「当然だじぇ!ご主人様は犬のことをなんでも知ってなきゃいけないからな!」

久「あはは…当然のように犬扱いなのね…まあいいわ。じゃあ一回戦の相手校のデータだけど…」

―控室外―

京太郎「はあ…この大事なときに…俺は何ぼーっとしてるんだ…」

京太郎「…」

京太郎「なんであの人、俺にキスしたんだろ…」

京太郎「…タコス買いに行くか…」
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
三尋木「ん~今日の対戦校はどこだっけ~」

針生「ちょっと三尋木プロ、もう忘れたんですか?昨日説明したじゃないですか」

三尋木「あはは~冗談だよ、冗談~」

三尋木(んー須賀君はこの辺にいたりするのかなー…)


    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
京太郎「さて…一回戦も始まることだし、ちょっと急ぐか」ダッ

京太郎「ってあれ?あそこにいるのは三尋木さん?」

京太郎「…声かけてみるか」

京太郎「三尋木さーん!」
    ・
    ・
    ・
針生「…というわけです。一応もう一度説明しましたけど、大丈夫ですね?」

三尋木「だから大丈夫だって~」

針生「もう…ってあれ、あの人三尋木プロのこと呼んでませんか?」

三尋木「え?」

京太郎「三尋木さーん!」

三尋木「あ…」

三尋木(もう会えた…須賀君に…でも針生アナウンサーもいるし…また余計なことしゃべらないといいなー…私のせいなんだけど

ね~…)

三尋木「あ、あれー須賀君じゃん。どうしたのこんなところでー(平常心、平常心。)」

京太郎「ちょっと用事で外に出ようとしたときに見かけたんで…声かけてみようと思いまして」ニコッ

三尋木「お、おう~それは嬉しいねい~(うう…ガチで嬉しいなこりゃー…)」

針生「あれ、三尋木プロ。この子はどなたですか?ずいぶん若いようですけど…お知り合いですか?」

京太郎「あ、俺は須賀京太郎と言います。さっき三尋木さんとは知り合ったばかりで…」

三尋木「ま、まあいろいろあったんだよー(針生アナウンサーに知られるのはなんかやだなーここは先制ガードだよ)」

針生「そう。私は三尋木プロの相棒、とでもいうのかしら。この大会のアナウンサーを務めている針生えりよ。よろしくね」

京太郎「よろしくお願いします。…あれ?三尋木『プロ』?」

三尋木「あ~さっきは言わなかったけど、私、麻雀の女子プロなんだー」

針生「そんな大事なこと言ってなかったんですか?」

三尋木「さっきはちょっと急いでたからねー(なんでかは言わんけどー)」

京太郎「じょ、女子プロ…そう言えば、さっきの名刺にも…」

京太郎「あ、書いてる。麻雀女流プロ 三尋木咏って」

三尋木「ん~びっくりしたー?ただのフラフラしてるおねいさんだと思ってた~?」ニヤニヤ

京太郎「……」プルプル

三尋木「ど、どうしたのかなー?須賀君?」

京太郎「お…」

三尋木「お?」

京太郎「教えてくださいっ!!」ギュッ

三尋木「お、おう!?(また…手握られちゃったぜー…須賀君の手、温かいな…)」

三尋木「って、教えてくださいって今度は何をだい?」

針生「あの…いろいろと話が見えないんですが…」

三尋木「!いや、なんでもないんだって!それより須賀君、何を教えてほしいのかな~?(そんなに強く握らないでほしいな~…//)」

京太郎「もちろん麻雀です!」


三尋木「ま、麻雀かい?」

京太郎「はい!俺、麻雀始めたばっかりなんですけど、すっげー弱くて…」

京太郎「あ、いろいろと話を飛ばしすぎてますね。俺清澄高校、男子麻雀部一年須賀京太郎です」

針生「清澄と言えば…私たちの解説担当と逆のブロックの高校ですね」

三尋木「あ~すこやんたちのいる方ね~」

京太郎「はい。それで、俺はその雑用として長野から来てるんですけど…」

京太郎「俺、頑張ってるつもりなんですけど、全然麻雀うまくならなくて…」

京太郎「だから、よければ麻雀を俺に教えていただけませんか?ちょっとしたコツとかでいいので…」

三尋木(清澄、高校か~…じゃあ周りは女の子ばっかりなんだねい……)

三尋木(ここで…断ったら…もう接点持てないかも…連絡だっていつくるか分かんないしー…)

三尋木(いやー自分で連絡すればよくね?まあ、今はどうでもいいかー)

三尋木「いいよー」

京太郎「本当ですか!?」

針生「ちょっと、三尋木プロ!?」

三尋木「ん~時間の空いてる時でよっかたらね~」

針生「いいんですか?そんな約束して?さっき会ったばかりなんですよね?」ヒソヒソ

三尋木「いや、知らんし。なんとかするよー」ヒソヒソ

京太郎「ありがとうございます!ホント俺はついてるなあ!キスなんて教えてもらってる場合じゃなかったですね!」

針生「は…?(え、今この子何て言ったの…?)」

三尋木「」

京太郎「また連絡します、三尋木さん。じゃあ、俺、買い出しがあるので行きますね!失礼します!」ダッ


針生「…」

三尋木「…」

針生「…」

三尋木「…」

針生「…」

三尋木「…あー」

針生「…三尋木プロ?」

三尋木「な、何かな~…」ビクッ

針生「…説明………分かって…ますね?」

三尋木「あ、も、もうすぐ一回戦始まるよー?」ビクビク

針生「……」

三尋木「う…」

針生「……」

三尋木「わ、分かったよー……実は……」

三尋木「…というわけなんだよねい~…」ビクビク

針生「なるほど…」

針生(まあ、三尋木プロってそういう経験も多そうだし…ありうるのかな…)

三尋木(さすがに恥ずかしいからちょっとねつ造したよー…ちょっと?知らんしー)

針生「それで、その男の子…須賀君に女性の扱い方をレクチャーしようとしたけど、小鍛治プロが偶然通りかかって有耶無耶にな

ったと…」

三尋木「ま、まあそんなところかな~」

針生「…これからは控えてくださいよ?全国の麻雀大会の解説者がそんなことしてるってマスコミにばれたりしたら…」

三尋木「分かってるって~ちょっとやりすぎたのは反省してるよー」


針生「ま、キスでもなんでもいいですけど、そういうことは好きな者同士でやるものですから…」

針生「三尋木プロはそういったことには慣れているんでしょうけど、皆が皆、そうではないんですよ」

三尋木「うんー分かってるー(やっぱ私って周りからはそう見えるのかー…)」

針生「でも、結果として須賀君には、本当に好きな人のためにキスは残してあげられてよかったですね」

三尋木「えっ?」ズキッ

針生「だから…そういうものって高校生なら大事にとっておきたいものじゃないんですか?私はあまりそういうの詳しくないです

けど…」

三尋木「…そ、そうだねー。よし!もう時間ないからそろそろ仕事行こうぜい~」

針生「誰のせいだと思ってるんですか…行きますよ、三尋木プロ」


    ・
    ・
    ・
    ・
    ・
― 一回戦実況・解説室 ―

針生「…どういうことでしょうか、三尋木プロ。テンパイすらとらないとは…」

三尋木「分かんね~すべてが分っかんね~」

針生「」ムッ


針生「なんでしょうか、これは…三面張とピンフを捨てて、片上がりのノベタンに!これならリーチかけたほうが…ってそれ以前

の問題ですか…」

三尋木「かけられないんじゃねーリーチかけたら二つ目の赤五ピンが来た時困るんじゃないかなー…知らんけど」

針生「別に…困りませんよ?」

三尋木「そりゃそっかー」アハハ

針生「…ほら、いろいろともったいないことに…」

三尋木「いや、知らんし。」
    ・
    ・
    ・
    ・
    ・

針生「三尋木…さっきの解説、いったいなんなんですか?」

三尋木「いや~やっぱり難しいねえ、解説って」

針生「…あれじゃ見てる人は何も分からないと思うんですけど…」

三尋木「そりゃそっかーごめんごめん。次から気をつけるよ~」

針生「本当に三尋木プロは…」ハア

三尋木(私の説明で分かるなら説明するけどねー…「あの子にはドラが全部偏んだー」とか言っても解説にならないしねい~…)

針生(はあ…あの新人アナウンサーにしてもよくわからない人ばっかりだな…まともな人は…小鍛治プロぐらいか…)

三尋木「んじゃー仕事終わったし、今日は私帰るわー」ヒラヒラ

針生「あ、はい。お疲れさまでした。明日またよろしくお願いします」


―三尋木家―

三尋木「あ~今日はいろいろあって疲れたぜ~」

三尋木「でも…人生で、何番目かにはいい日だったなー…//」

三尋木(…連絡、来ないなー…そりゃすぐに連絡来ないよねー…だいたい困ったとき連絡してって言ったし、麻雀の練習だって、

そうそうできるもんじゃないし…)

三尋木(それより…アナウンサー言ってたなー…)

三尋木(本当に好きな人のためにキスは残してあげられてよかったねって…)

三尋木(…今更だなー…年の差って…好きな人同士、かー…)

三尋木(………きっついなー…)

―須賀家―

京太郎「ふう…無事一回戦突破できたな…本当に良かった」

京太郎「タコスを届けるのが遅れて…優希にはすげえ怒られたけど…」

京太郎「でもそのおかげで三尋木プロとまた会えたしなあ……」

京太郎「麻雀教えてもらえるなんて…しかも…あの三尋木さんに…直々に…」

京太郎「……やべ、何考えてるんだ俺は。三尋木さんは純粋に善意で俺の頼みを引き受けてくれたんだぞ…」

京太郎「それにしても…あの遊んでそうな三尋木さんが…すっごいウブだったなんて…」

京太郎「可愛かったな…ギャップがやばすぎだろ…手、震えてたしな…」

京太郎「まだ…ほっぺに三尋木さんのくちびるの感触が……」

京太郎「いかんいかん、また俺は何を考えてるんだ」

京太郎「そういえば連絡先もらったな…連絡してみようか…」

京太郎「しかし…今日は疲れた…こんな夜遅くには迷惑だろうしな…また三尋木さんには試合が終わったら連絡しよう…」

京太郎「寝るか…」

針生(ふうー…とりあえず残ってた仕事は片付いたわね…少し疲れたわ…)

針生(さて…私も今日は上がりだし、もう帰ろうかな…)

針生(あれ?あそこにいるのは…小鍛治プロと…変な新人アナウンサーね。二人もお仕事上がりかしら)


福与「今日も疲れましたねー小鍛治プロー」

すこやん「そうだね…私はこーこちゃんにツッコミを入れる一日だったけどね…」アハハ

福与「あー!あそこにいるの針生アナウンサーじゃないですか?」

すこやん「ホントだね。ちょっとあいさつしていこうか、こーこちゃん」

福与「りょーかい!私の先輩アナウンサーだしね!」


      ・
すこやん「針生アナウンサー、お疲れ様です。お仕事上がりですか?」

福与「お疲れ様でーす。あ、私ははじめましてですね。この間アナウンサーになったばかりの福与恒子です!先輩アナウンサー、よろしくお願いしますっ!」

針生「ええ、私も上がりよ。お疲れ様。それと、福与アナウンサー。知ってると思うけど、私は針生えりよ。よろしくね」

福与「よろしくお願いしまーす!いやあ、先輩アナウンサーの知り合いは私初めてですよー!」

針生「そう。でも…実はあなたは結構アナウンサーの間では有名なのよ?(もちろんいい意味じゃないけど…)」

福与「ホントですかー?やったよ小鍛治プロ!私、もう有名アナウンサーになったって!!」

すこやん「あははー…まあ、私の地味な解説より元気なこーこちゃんの実況のほうが目立つよね(絶対こーこちゃん勘違いしてるよ…)」

針生「ふふ…でもあなたたちのコンビも実は結構有名なのよ…?」

針生「ふくよかすこやか、デコボココンビ、なーんて言われてるんだから…」

福与「えー!?聞きました?小鍛治プロ!?私たちコンビ名がついてるんだって!もうこりゃ有名実況&解説コンビの誕生ですね!いえーい!」

すこやん「そ、そうなんだー!う、嬉しいなー!(うう…絶対へっぽこ漫才コンビとか思われてるんだ…知りたくなかったよお…)」

針生「…福与さんって…すっごい前向きな人ね…なんか尊敬しちゃえるレベルだわ」

福与「ありがとうございます!よく言われるんですよーえへへ。また褒められちゃった!…あれ?どうしたんですか?小鍛治プロ?」

すこやん「いや…なんでもないよ…(うう…針生さんにここまで言われてパートナーとして恥ずかしいよ…)」

針生「じゃあ、私そろそろ上がらせてもらうわ、じゃあね、二人とも」

すこやん「あっ、せっかくだから、途中まで一緒に帰りませんか?針生さんは電車ですよね?」

針生「そうだけど…私とでいいの?」

すこやん「私に気を遣わなくていいですよ、針生さん。こーこちゃんはお母さんが迎えに来るんだよね?」

福与「うん、そうだよ!じゃあ、先に失礼しますね!お疲れさま、針生先輩、小鍛治アラフォープロっ!」ダッ

針生「お疲れさま、福与さん」

すこやん「うん…じゃあね…って!聞こえてるよ!?去り際に何さりげなくディスってるの?!」

福与「聞こえなーい!また明日ー!」ダッ



針生「……あなたも大変ね…」

すこやん「うう…針生さん~~~…」グスッ


―電車内―

小鍛治「…というわけなんですよ!ひどいと思いませんか?こーこちゃん!」プンプン

針生「なるほどね…あの子もなかなかになかなかね…」フフッ

小鍛治「笑いごとじゃないですよ…私このままこーこちゃんに馬鹿にされ続けるのかな…うう…」

針生「…小鍛治プロは福与さんのことが嫌いなの?」

小鍛治「嫌いってわけじゃないですけど…こーこちゃんすっごい意地悪というか…ずけずけと私の心をえぐってくるというか…」

針生「そうね…あなたの苦しみを分かってあげられてることにはならないけど…でも今日いろいろ話を聞いてみて、あの子のパートナーがアナタでよかった思ったわ」

小鍛治「?なんでですか?私なんかより、こーこちゃんはもっとしっかりした人の方が…今じゃフォローしきれてないというか…ついて行けてないというか…」

針生「ふふっ、確かにそうかもしれないわ、でもあの子ってほら、言ってみれば無茶苦茶でしょ?思ったことはすぐ口に出すし、試合に関係ないこともベラベラしゃべってるし…」

針生「でもそれって見方を変えれば他のアナウンサーにはない持ち味だと思うわ。少なくとも私には一生彼女みたいな実況はできないと思う」

針生「福与さんは確かに他の人とはズレてるけど、だからと言って排除したりする理由にはならないわ」

針生「あの子の強みを生かせる人間がいれば、きっとうまくいくのよ」

針生「例えば…あの子が何を言ってもへこたれない、強いメンタルを持ってる人とか…どんな無茶ぶりをしてもきちんと反応する、対応力を持ってる人…とかね」

針生「だから、あなたみたいな人が福与さんにはちょうどいいと思うのよ。逆にしっかりした人だと福与さんみたいなノリは絶対無理だわ。途中でコンビは間違いなく崩壊よ」

針生「というわけで…あなたの不満は完全に抜きにした私の意見よ。ごめんね、からかわれるのが嫌だっていう相談を聞いてたのに…」

小鍛治「いえ…少し心が楽になりました」

小鍛治「たまにこーこちゃんにいじられてつらいときもあるけど…」

小鍛治「さっきの針生さんの言葉聞いたら、私がこーこちゃんを支えてあげなきゃって思いました」

小鍛治「ありがとうございます、針生さん」ニコッ

針生「少しでも役に立てたのならよかったわ。明日もそのいきで頑張ればいいと思う」ニコッ

針生(やっぱり、この子はまともというか、素直な子ね…)

針生(先輩として、少しは役に立てたかしら…)

針生(パートナーで悩んでるのは私だけじゃないのよね…はあ、三尋木プロか…)

針生(…ん?三尋木プロ…そう言えばさっき三尋木プロが……小鍛治プロに見られたって…)

針生「ねえ、小鍛治プロ、そう言えば今日三尋木プロが言ってたんだけど…」

すこやん「あ!今ので思いだしました!実は今日いいことが一つあったんですよ!」

すこやん「実は今日、三尋木プロが男子高校生と…ふふ、えへへへ…」

針生「…私もさっき三尋木プロにそのことを聞いてね」

針生「仕事前だったから詳しく聞けなかったのよね。よかったら詳しく聞かせてもらえないかしら。小鍛治プロが知ってることでいいから」

すこやん「えへへ…はっ?!なんですか?針生さん?」

針生「どこか遠くに行ってたわよ…今…(あれ…この子…大丈夫かしら…)」

針生「それで、三尋木プロと男子高校生のお話を聞かせてくれるかしら?」

すこやん「いいですよ!そりゃあもう!私目の前で見てましたからっ!!!」ドーン

ざわざわ
「なんだ、なんかあったのか?」
「あそこの二人がなんか騒いでるぞ?」

針生「ちょ、ちょっと、小鍛治プロ?電車内ですよ?落ち着いて…すごい注目浴びてますよ…」ヒソヒソ

すこやん「あっ…す、すいません、つい私、熱くなっちゃって…」

針生「いいのよ…気をつけてね…(この子も…ちょっと変な子なのかしら…私の周りの人たちって…)」ズーン

      ・
      ・
すこやん「どこから話したらいいですか?」

針生「そうね…私はちょうどあなたが偶然通りかかったところまで聞いたわ…でもそれで大体全部よね?」

すこやん「?!何言ってるんですか?大事なのはここからですよ?!」バンッ

針生「ちょ…小鍛治プロ…また…」


「うるせーな、またあの二人か」
「ケンカか?こんなところでやめてほしいな」

ざわざわ


針生「!小鍛治プロ、いったん場所を変えましょう。次の駅で降りて、空いてる喫茶店にでも入りましょう」
      ・
      ・
      ・
      ・

―喫茶店―

すこやん「すいません…迷惑かけちゃって…明日もお仕事あるのに…」ズーン

針生「いえ…いいの…気にしないで…」

すこやん(私…何やってるんだろ…相談に乗ってもらっといて…恩をあだで返してるようなものだよ…)ズーン

針生(この子も…やっぱり少し変わってるというか、周りが見えてない時があるというか…特定のことに凄く反応するみたいね…)

すこやん「あの…その…えっと…ごめんなさい、今日のこと思い出したら、熱くなってしまって…」

針生「いえ、…いいわ。それによっぽどあなたには刺激的な光景だったのね」

すこやん「!そうなんですよ…あれ、どこまで話しましたっけ?」

針生「まだ何も聞いてないわよ…でもその前に一ついいかしら?」

すこやん「なんでしょうか、針生さん」

針生「あなたと福与さんって結局似た者同士だと思うわ」クスッ

すこやん「ええ?!全然似てないですよ!急に何を言うんですか?」

針生「一緒よ、一緒。二人とも子供みたいで…熱くなりやすくって…」

針生「違うのはあの子が常にそうであるのに対して、あなたはスイッチが入ったら、ってところぐらいね」

針生「むしろあなたのほうが一回入ったらあの子よりずっと凄いことになるから性質が悪いんじゃない?」ニヤ

すこやん「うう…針生さんにそう言われると…面目ないです…」

針生「まあ、いいわ。前置きが長くなったわね。そろそろ始めてちょうだい」

すこやん「ええと…とりあえず、三尋木プロが須賀君に女の子の扱いをレクチャーしようとしてたんですよ」

針生「ふんふん(からかってたのよね…確か…)」

すこやん「それで…須賀君がキスを教えてほしいっていうから、三尋木プロがレクチャーしてあげることになって、キスしそうになったところで私が偶然通りかかって」

針生「そうね、三尋木プロもそう言ってたわ。ってあれ?これで終わりじゃないの?そのあと解散でしょ?」


すこやん「あれ?違いますよ?三尋木プロに聞いてないんですか?」

すこやん「そのあと…私は二人の邪魔をしちゃいけないと思って…とりあえず、退散したんです」

すこやん「…ここからは…ちょっと気合い入りますよ!渾身のダイジェストでお送りしますね」

針生「え、ええ(あれ、話に聞いてたのと違う…というか、何この溢れ出すオーラは……それになんで退散したこの子はこの後を知ってるの?いろいろツッコミが追いつかないわ…)」

すこやん「では…いきますよ…」


「高校一年生、須賀京太郎。三尋木咏の体にそっと手をまわし、こう言った」
『目をつぶってくれませんか…?』
「三尋木、そこは手慣れた様子で目を閉じ、キスを待つ。その顔はまさに乙女だ」
「須賀、練習とばかりに三尋木に甘い言葉をささやく」
『咏さん…俺もう我慢できません…むちゃくちゃにしていいですか…?』※遠くから見てるのでセリフは想像です


針生(え…誰…この人…私の目の前でしゃべってる人は誰…?)

「三尋木、そこは熟練の技。負けじとこう言い返す」
『いいわよ…私のこと、好きにして…?』※遠くから見てるのでセリフは想像です
「須賀京太郎、三尋木の甘いセリフと顔つきにノックアウト。たまらずキスをしようとする」
「しかしここは一旦引く須賀京太郎。簡単にキスはしない。三尋木プロの体をじっくり舐めまわすように観察」
「良く見ると三尋木の体は震えていた。須賀、それを察し、優しく彼女を抱きしめてこう言う」
『可愛いですよ…咏さん…俺に全部任せてください…』※遠くから見てるのでセリフは想像です


針生(あ、頭が痛いわ…帰っていいかしら……)

「そのあと様々な口説き文句を遣い、須賀は三尋木の顔を真っ赤にすることに成功。」
「仕上げに三尋木の震える両手をギュッと握ってさわやかな笑顔を三尋木に向ける」
『あなたのような綺麗な人にはもったいなくてキスできません…』※遠くから見てるのでセリフは想像です
「このまま二人は別れてしまうのか?しかし、そこは三尋木咏。最後はしっかり見せ場を作る」
「最後の最後に去ろうとする須賀に抱きつき、ほっぺに接吻をする」
「そして最後に名刺を渡し、連絡先を確保。つかんだ獲物は死ぬまで離さないーーー!!!」


針生(私…もう人間を信用できない……でも、場所を変えて、本当に、本当に、本当に良かった…)

すこやん「ふう~以上ですね!どうでしたか?私の渾身のダイジェストは?」ニコ

針生「と、とてもよかったんじゃないかしら?あなたの気持ちもすごくよく伝わってきたし…(や、やっと終わった……今日一日の仕事より、ずっと疲れたわ…)」

すこやん「そうですか!それはよかったです。それにしても三尋木プロ可愛かったなあ…あんなに手や体を震えさせて…顔真っ赤にして…」

すこやん「最後は…しっかり…き、キスもするんだから……//」

針生(ごめん、福与さん。さっきの数々のあなたへの暴言、撤回するわ。あなたのパートナーも大概よ…………ん?体と手を震わせて、顔を真っ赤にして?)


針生(…三尋木プロ、が…?そんなことありえるの?)

針生「ねえ、小鍛治プロ。三尋木プロはそんなに体とか手を震わせてたの?あと顔もそんなに真っ赤だった?」

すこやん「ええ!まるで初めてキスする人みたいに真っ赤だったんですよ!もう、本当に可愛かったなあ…キスもちゃんと見れたし…」ニヘラニヘラ

針生(…あり得ない…わざわざ三尋木プロがそんなサービスみたいなことするなんて……)

針生(それに今日の…今日の三尋木プロの態度もなんかおかしかったわ…わざわざ一般人相手に名刺を渡したり、麻雀の練習に付き合う約束をしたりするかしら)

針生(何もなかったって嘘までわざわざついて…たぶん何か隠してるわね…これは明日三尋木プロに確かめてみる必要があるわね…)

すこやん(針生さんすっかり黙っちゃったなあ…やっぱりあまりにこのダイジェストが良かったからかな?そうだよね!わざわざ仕事前にこーこちゃんに見つからないよういろいろ妄想

してたもん!)