「はー・・・今日も頑張ったほうじゃないかなあ・・・」
夕方、1人の男が呟く 男の名前は京太郎 清澄高校1年生
麻雀部に所属している唯一の男子だ
麻雀部に所属していて疲れたからというのは手に豆でも出来たのかと思うだろう
「まあハンドボールで俺よりでかい奴に衝突くらったときに比べればな・・・」
しかしそうではない 結論から言ってしまえば彼は雑用を率先してやっているのだ
麻雀部部長の 絶対に団体戦で優勝したいから 最初で最後のチャンスだからという、端から見れば
辞める方向に傾いても仕方ないんじゃないかという理由で彼はそれを受け入れた
「まあ誰かの世話するのは昔から色々慣れてるけど・・・実際真剣な部活の雑用も思ったより大変だな・・・」
野郎だったとは言え、ハンドボールのマネージャーをもっと労れば良かったと今になって思う
彼が雑用に徹しようと思った理由は幾つかある
そもそもの動悸が不純、端的に言えば巨乳美少女目当てだったからこうなるのも仕方ない
明らかに自分に懐いているタコス娘のおかげで雑用オンリーでも部内の居心地はいい
先輩2人は大会が終わったら指導してくれることは約束してくれた
自分から麻雀部に誘った幼馴染を放ってはおけない
様々あるが少なくとも京太郎にとってはそこまでさもない話だろう
京太郎「・・・なんだかなあ」
しかし京太郎は1人ごちる 今の立場に不満があるわけではないのはそうだが妙にしこりの悪さを感じる
このままでいいのか?今年こそサポートという形で居場所はあるが来年は?
そんな漠然とした本人も良くわからない感情を抱えたまま、買出し終わっての帰り道に出会いは訪れる
「すいません ちょっといいですか?」
後ろから声をかけられた 女性とわかるがやや低い声だった 京太郎は特に何も考えず振り返り、その声に応える
京太郎「なんですか?」
振り返ると長身の女性だった 182cmの京太郎よりは流石に低いが170後半はありそうだ しかし胸はそんなにない、
中性的な顔立ちの赤い髪をしたショートヘアー、声と女性特有の肩の細さを見なければ
男と間違われてもおかしくなさそうだなという印象を京太郎は受けた その女性の物腰は柔らかだった
女「私は旅をしている者なんですが軽く食べられる店を知らないですか?生憎この辺には来たばかりで・・・
あ、お金はそれなりにあるので案内だけしてくれれば大丈夫です 良い時間ですし、軽食くらいなら案内料として払いますよ?」
京太郎は思案した 普通なら胡散臭くて相手にしてもいいことなさそうな案内頼み
ただ格好を見るに旅人であることに嘘はなさそう、、
元来困ってる人は放っておけない性格、そして何より金髪で不良っぽいというありきたりなレッテルを
貼られがちな京太郎にとって、見知らぬ女性にそういう印象抜きにして頼られるのは満更でもなかった
京太郎「いいですよ 寄り道するって親に連絡入れてくるのでちょっと待って下さい」
そう思い案内を請け負うことに決めた京太郎
いい人なのは間違いないけど色々軽い所があるというのは彼の友人知人全員の見解だろう
女「・・・性質の悪い何かとは考えないんですね 私もそれなりに旅をしてますが、大抵警戒されるものですが」
女は意外そうな顔で答える そこには今までその手のやり取りでどこか疲れているのを感じた
京太郎「幼馴染にいっつも困った顔して迷子になる厄介者がいるので 本当に困っているかどうかは顔を見ればわかるつもりです」
携帯を耳に翳しながら京太郎は答える 女は合点のいった顔で反応するとどうやら連絡はちゃんと入れれたようだ
女「それでは道案内よろしくお願いします あ、そういえば名乗るのがまだでしたね」
女は不覚を取った顔で名乗り始めた 好評なら続く! つまらなそうと思われたらカン!
最終更新:2020年04月06日 23:37