京太郎は阿知賀に在学している設定で
ガコッ ゴロゴロ…
灼「はぁ…」
灼「調子が出ない。ガーター4回目…」
今日も京太郎に話しかけてもらうだけだった。
本当は、もっと自分から話しかけていきたいのに。
灼(もっと京太郎と話したい…って思うのは、こ、恋してるから、なのかな…)
灼「・・・///」
顔が熱を帯びるのを感じながら、狙いを定めてボールを放る。
ズルッ
灼「ひゃっ!?あたっ」
投球後バランスを崩して尻餅をついてしまった。
灼「いたた…」
灼(……私の想いは一方通行。京太郎の周りには私より明るくて、可愛くて、胸の大きい子が一杯いるし)
なんだか思考がネガティブになってしまう。お尻が追い打ちをかけるようにズキズキと痛む。
灼(私みたいな地味な子、京太郎は…)
体を持ち上げ、立ち上がると、、
京太郎「灼さん、大丈夫すか?」
灼「え」
京太郎がいた。
灼「びっくりした…」
京太郎「ええ、俺も灼さんのあんな大声初めて聞きました」キーン
灼「ど、どうしたの?何か、用…?」
京太郎「ボウリング教えてくれるって言ったじゃないですか」
灼「え?」
京太郎「俺がボウリングやったことないって言ったら、灼さんの実家がボウリング場だって…」
京太郎「その会話の流れで灼さんが」
灼(そんなこと言ってたの私…ドキドキして覚えてないけど、前の自分を褒めたい…)
灼「うん、私でよければ、教える」
京太郎「ありがとうございます!よし、頑張るぞ!」
灼(二人きりの個人授業…な、なんかロマンチックな響き…///?)
灼「構えはこう…」
京太郎「お、かっこいい」
灼「とりあえずまっすぐ投げられるように」
京太郎「結構難しいな…」
灼「ボール重くない?」
京太郎「大丈夫。ちょうどいいっすよ」
心が晴れていく。
京太郎と話していたら、さっきまでの鬱屈した気持ちが嘘のように消えていった。
京太郎「灼さん、ストライク出せます?」
灼「え…私、そこまで上手くないけど」
数十分前の私なら「無理」と言ってたかもしれない。
でも、ガーターを連発していたあの時とは違い、心も体も軽やかだった。
灼「今なら…できるかも」
京太郎「ホントですか!見たいっす!」
灼「うん…見ててっ」
ボールを構え、振りかぶる。私の手から離れたボールは寸分の狂いなく目がけた場所に飛び込み、見事十のピンを倒してみせた。
灼「!やった…」
京太郎「すげえ…すごいですよ灼さん!」
灼「うん…!あうっ!!」ズベッ
あまりの嬉しさに足がもつれ、転んでしまった。
京太郎「おぉ!?だ、大丈夫ですか!」
灼「だ、大丈夫だけど…痛い…」
京太郎「よ、良かった。顔から行ってましたから」
灼「締まらないね、ふふ」
京太郎「いや、すごかったですよ。灼さんって麻雀もボウリングも上手いんですね」
灼「ううん、ボウリングの腕は並。今のストライクは…きょ、京太郎のおかげ…」
京太郎「?よくわからないすけど、役に立てたんなら、嬉しいです!」
京太郎「それに…今日は灼さんの色んな一面が見れて、来てよかったですよ」
灼「きょ、京太郎っ」
京太郎「はい?」
灼「今度は、ボウリングじゃなくて、麻雀を教える」
灼「それで…もっと、京太郎と話したい」
京太郎「灼さん…押忍!よろしくお願いします!」
灼「こちらこそ…ずっと…」ボソッ
最後の言葉は多分小さすぎて彼には聞こえなかったと思う。
でもそれでいい。欲張り過ぎは禁物。
一歩ずつ、彼に近づいて行こう。
カン!
最終更新:2013年03月26日 00:36