京太郎インタビューその9


本日はインターハイBブロック準決勝。
あと二、三時間もすれば試合開始ですが、その前にSK君に恒例のインタビューをしていこうと思う。
今回は特別にゲストの方が来ています。



本日はお二方、よろしくお願いします。

京太郎「よろしくお願いします」

由暉子「よろしくお願いします」

はい。SK君へのインタビューで初となるゲストは、有珠山高校の副将、真屋由暉子選手です。

由暉子「ご紹介に預かりました、真屋由暉子です。突然で驚きの方も多いと思いますが、以後お見知り置きを」

先程S君が真屋選手を連れてきて、インタビューに参加させてほしいと言われた時は驚きました。

京太郎「俺も驚きましたよ。さっき一人で歩いてたらいきなり有珠山の人達に出くわして「ユキをインタビューに参加させてくんない!?」ですもの」

彼と交渉してこの席を手に入れた訳ですか。

由暉子「はい。先輩が「頼むよ! なんでもするから! ユキが!」と言って、快く引き受けてもらいました」

京太郎「それあの人が勝手に言ってただけで、俺がそれを受け入れた訳じゃないからね?」


まぁ我々としては話題になるので、ゲスト参加は望む所ですが……、真屋選手は何故このインタビューに参加をご希望されたのでしょうか?

由暉子「目立てるからだそうです」

ハッキリ言いますね。

由暉子「現在この動画は指数関数的に視聴率を伸ばし、今やインターハイに参加、観戦、その他関係者の方々で見ていない人はいないと言われる程です。打倒はやりんを掲げる私達がこれに参加し、話題を掻っ攫わない手は無い。あと面白そうだから、一波乱起こしてやれ、との事でした」

京太郎「もう全部言うじゃん……」

打倒はやりんと言いますが、瑞原はやり選手を敵視しているのですか?

由暉子「敵視ではなく、尊敬しているが故に、ですね」

というと?

由暉子「はやりんはアイドル雀士として、アイドル活動に真摯に取り組みながら、プロ雀士としても第一線で活躍する方です。どちらかだけでも容易く叶えられる事ではない以上、そのどちらも叶えているはやりんは、普通の人には考えられないような、並々ならぬ研鑽を積んできたと思います」

確かにそうですね。

由暉子「そのはやりんをリスペクトするからこそ、打倒はやりんを掲げ、はやりんを超えたい。その意思を胸に、私は頑張っていたいと思っています」

成程。有珠山高校はそのようなお考えで打倒はやりん、と。

由暉子「いえ、先輩方はどうか知りませんが」

そこは嘘でもそうだと言いましょうよ……。

由暉子「根が正直なもので」


由暉子「ですが、動機がどうであれ私を含め先輩方も、打倒はやりんとこの大会に本気で打ち込んでいます」

そうですね。そうでなければ、インターハイ準決勝のここまで、コマを進めることなど出来なかったでしょう。

由暉子「この衣装も揺杏先輩の手作りなんです。どうでしょうか?」

大変可愛らしいかと。S君はどうですか?

京太郎「そうですね。元の素材が良いのもありますが、それを活かしたこの衣装は細かい所にまで手が行き届いていて、職人技が光っていると言えます」

由暉子「ピカピカですか?」

京太郎「ピカピカだな」

由暉子「ありがとうございます。とても嬉しいです。自分の事のように」ニコ

あ、今の笑顔すごく良かったですね。

京太郎「おー……」

S君も見惚れちゃいますか?

京太郎「あ、はい。あんまり表情動かない子だと思ってたので、こんな顔もするんだなって」

S君と視聴者のハートをガッチリ掴む、強烈なスマイルでしたね。


さて、今回はどのようにお話を進めていきましょうか。有珠山高校の選手としては度々インタビューをされたでしょうし。

京太郎「そうですねー。この所立て続けだったので、その後印象的な事って言われても困りますし……」

由暉子「そんなこともあろうかと、私達の方でこんなものを用意しました」トン

……カンペ?

由暉子「本来ならパネルを用意したかった所ですが、予算と手間の諸々でこのようなものに」

京太郎「それでどうするんだ?」

由暉子「これは私とS君でこんな話題を話し合えば面白いんじゃないかと、先輩方と一緒に作り上げたテーマ集です」

つまり、話のお題をそれで出していって、それを二人で話し合うと。

由暉子「そういうことです」

京太郎「へぇー。なんだか番組めいてきたな。一昔前のバラエティ感あるけど」

由暉子「それでは早速見ていきましょう。最初のお題はこちら」ペラ



「そこでボケて!」



京太郎「出オチ!」

由暉子「あ、間違えました。これは突然アドリブを振られた時の練習用に使ったカンペですね」

京太郎「ボケてが1ページ目に来る時点で完全にネタ用じゃねーか!」


由暉子「S君は、同年代の人にはそんな感じなんですか?」

京太郎「え? あー……喋り方の事か? まぁ年上の人相手に話してる時は敬語だけど、タメだとこんな感じ」

由暉子「そうなんですね。動画や雑誌だと基本的に敬語だったので、知りませんでした」

京太郎「あんまり馴れ馴れしいのが好かないなら、控えるけど」

由暉子「いえ。ふと気になっただけですので、お構いなく」

京太郎「逆に真屋の方はもっと崩してもいいと思うけどな」

由暉子「私は誰に対してもこんな感じですから」

京太郎「そっか。それじゃあ、気を取り直してお題の方を」

由暉子「はい。えー、これですね。改めて、最初のお題はこちらになります」ペラ



「今日の成香はくまさんパンツを履いている。○か×か」



京太郎「隙を生じぬ二段出オチ!」

由暉子「あ、間違えました。これは爽先輩が暇潰しに作って部内で回答した○×クイズ集でしたね」

京太郎「なんでそんなもん大会の遠征に持ってきてんだよ! しかもクイズに出るってことは、普段はそのパンツを履いてるっていう羞恥プレイじゃねーか!」

お二人の掛け合いで口を挟む余地がない……。


由暉子「それではまた改めて」

京太郎「大丈夫か? 3段ネタは銀○でもそうそうやらないぞ?」

由暉子「今度は大丈夫です。最初のお題はこちらです」



「家族構成は?」



良かった、今度はまともだ……。

京太郎「家族構成って、一緒の家に住んでる家族って考えでいいのか?」

由暉子「はい。私はマンション暮らしの一人っ子で、両親は共働きですね。S君はどうでしょうか?」

京太郎「俺も一人っ子なんだけど、うちって一つの家にじいちゃんから下の親戚が集まってる感じだからなぁ。兄弟姉妹はいないけど、一緒に暮らしてる従兄弟とかは多いってとこ」

どれくらいの人数で暮らしてるんですか?

京太郎「親世代が四人兄弟で八人いて、その下が俺含めて九人なんで、十九人いますね」

そんなに人数がいたら家が手狭になりませんか?

京太郎「うちの家は広々としてるんで、他の親戚が集まって一人一部屋使っても若干余るくらいなんですよねー」

……もしかしてS君の家って、わりとお金持ちでは。

京太郎「んー。昔は地方の豪族だったとかなんちゃらで大きい家があるってだけです。龍門渕さんとかみたいに今でも大富豪って訳ではないですよ」

それにしてもその人数で生活するのは大変な費用では?

京太郎「あんまり気にしたことありませんが、親世代が結構稼げてるんで、家庭でお金に困ったことは無いですかねぇ」

由暉子「成程成程……」


由暉子「では、次のお題です」



「ペットは飼ってる?」



ペットですか。

由暉子「私は飼っていませんし、先輩方もそうだと思いますが、S君はどうでしょうか」

京太郎「ペットか。飼ってるよ、家に一匹。カピーっていうんだけど」

カピー?

京太郎「カピバラのカピーです」

カピバラ……というと、確かあの毛のある、大きなネズミみたいな。

京太郎「多分それですね」

由暉子「カピバラって飼えるものなんですか?」

京太郎「犬猫よりは準備とか色々必要になると思うけど、まぁうちは広いし、水場も池があるから1から全部って訳じゃあなかったな」

家に池とかあるんですか。

京太郎「はい。動物園だとカピバラは温水プールとか使ってますけど、温まる用なら温まる用でお湯を張った桶を用意するので、普段の水場はそうなります。冬場は小さい池を温められるようにしてますね」

一般家庭にはあまり馴染みのない家庭事情ですね……。

京太郎「手間やらなんやら色々大変ですけど、そこは当番制にしてますから。それにそれだけ愛着もわきますしね」


由暉子「3つ目のお題です」ペラ



「好きな衣装は?」



京太郎「一気に毛色が変わったな……」

由暉子「先輩方から一人一つお題を出してもらう形ですから」

京太郎「好きなって、他人が着てるのを見る分にはってことか? それとも自分で着る分には?」

由暉子「どちらも聞きたいですが、どちらかと言えば見る方ですね」

京太郎「見る方かー……」

由暉子「私は男性の衣装ですと、スーツのようなパリッとした格好が好きですね。カッコいいですから」

京太郎「それは同意するけど、手足が長くないと中々カッコよくならないから、平均的に短足が多い日本人男性だと難しいんだよなぁ」

由暉子「S君は長い方だと思いますが?」

京太郎「俺の男友達もこれくらいはあるけど、みんな背の順で並ぶと最後の方になるからなぁ」

基準にはなりそうにないですね。

京太郎「見る分で好きなのは、やっぱこう、女の子してる落ち着いた感じかなー。白いワンピースとか」

童貞っぽいですね。

京太郎「黙らっしゃい」

由暉子「男の人は肌面積の多い過激な衣装が好きだと聞きましたが?」

京太郎「まぁ大多数はそうだし、俺も好きだけど。個人的にはあえて主張しようとせず、清楚な雰囲気を醸し出してて、それでも尚隠し切れない身体の凹凸の存在感とかにグッと来るんだよ。ちょっとフェチっぽいけどさ」

由暉子「清楚な雰囲気と、隠し切れない凹凸の存在感、ですか」ムニムニ

京太郎「バッチリくっきり存在感出してるから、持ち上げて揺らすのは止めなさい」


由暉子「それでは最後の質問です」ペラ



「アイドルの恋愛について」



京太郎「めっちゃデリケートな質問来た!」

これ動画にして大丈夫なんでしょうか……?

由暉子「私はアイドルは恋愛御法度だと言われているので、そういうものだと思っているだけですが、S君はどうお考えでしょうか?」

京太郎「うーん……。俺は正直ファンって言える程アイドルに打ち込んだ事ないし、あまりアイドルが恋愛する事にアレルギー反応みたいなの起こす人の気持ちが分かんないかなー」

好きな人が実は彼氏がいたとか、嫌じゃないですか?

京太郎「そりゃあ嫌ですしショックですけど、一般的な恋愛とアイドルのそれは話が別だと思うんですよね。そもそもアイドルは歌やダンス、見た目の良さをエンタメとして提供する仕事であって、ファンがお金を出すのはそのエンタメに対しての筈ですよね? なのにファンがアイドルに求めているのはもれなく聖女みたいな感じで、いまいち共感を得られないというか」

まぁ、確かにそうですが……イメージというのもありますし。

京太郎「イメージで言うなら、逆に男性経験豊富なアイドルってのもキャラクターとしてはアリだと思うんですよね。俺に刺さるかどうかは別としても、需要はあるんじゃないかと」

ファンがアイドルに処女性を求めるのは間違っていると?

京太郎「間違っているとまでは言いませんけど、仮にアイドルが恋愛をしてたとして、それが真剣な気持ちならファンとしても応援してあげるべきだと思いますし、イメージと違ったからとファンを辞めるなら勝手ですけど、そのアイドルを非難するのは正直器が小さいんじゃないかなーって」

ファンになった経験無いとの事ですが、結構語りますね……。

京太郎「まぁーマンガとか読んでるだけでもそういう重めの話題とか出来事について考えさせられる機会はありますからね」


由暉子「S君としては、アイドルは恋愛をしてもいいだろうというスタンスですか?」

京太郎「ちょっと違くて、恋愛をするのは悪くないけど、自衛の為にはしないでいた方がいいって感じか?」

由暉子「? 自衛、ですか?」

京太郎「女の子は夜に一人で出歩くなって言われるだろ?」

由暉子「はい。言われますね」

京太郎「これは危ない人に襲われる危険があるから、女の子は出歩かないでおけっていう忠告なんだと思うけど。じゃあ夜出歩いてしまって、危ない人に襲われたとして、悪いのは出歩いてた女の子の方か?」

由暉子「いえ。その危ない人ですね」

京太郎「まぁ女の子も無防備だったのは否めないけどさ、そもそも夜出歩いてただけで女の子に襲いかかるような人間がいる事自体が問題なわけじゃん?」

由暉子「はい」

京太郎「けどその危ない人や心無い人は言うんだよ。「こんな夜中に出歩いてたのが悪い」って」

由暉子「ひどいですね」

京太郎「騙したのは自分の癖に「騙される方が悪い」とか言い出す人間の言い草なわけだよ。
アイドルだって恋愛禁止かどうかは事務所が決めるもので、ファンがどうこう言うのはイメージの押し付けじゃないかと思う。けど世間にはそれが正しいと信じてて、中にはイメージ裏切られたらアイドルを平気でバッシングしたり直接危害を加える人もいるもんだからな。
そういう人達から身も心も守る為に、そもそも恋愛しないってのが一番安全だと思う」

由暉子「成程……」


京太郎「色々言っちゃいましたけど、これ動画で流して良かったんですかね?」

どうでしょう。そのまま使うかは私だけでは判断出来ないので、こちらで相談して決めますね。

由暉子「一般的に正しいか正しくないかは私には分かりませんが、考えさせられる意見でした。ありがとうございます」

京太郎「真屋には今好きな人とかいたりするのか?」

由暉子「いいえ。今の所そういう対象はいないですね」

京太郎「まーアイドルともなれば言い寄ってくる男は多いと思うけど、アイドルの事情も考慮して誠実に付き合えるやつが見つかるといいな」

由暉子「どうでしょうか。恋愛そのものに憧れが全く無いわけではありませんが、先輩方と作り上げたアイドル像を捨ててまで、とは思えないので」

分かりませんよ? これからそれだけ好きになる男の子と出会うかもしれません。

由暉子「はあ」

では、最後に何か一言。

由暉子「それでこの後、私はS君に何をすればいいんでしょうか?」

京太郎「だからその話は無かった事にせいと言っとろーが!!」


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最終更新:2021年09月06日 21:56