面倒見のいい奴。
俺自身、そんな自覚はないんだけど、他人から見ると『須賀京太郎』はそういう存在らしい。
京太郎「まったく、面倒な話だよな……」
誰に言うでもなく俺はぽつりと呟き、今日、何回目になるのかわからない溜息を吐いた。
はぁ……このもやもやとした気分は何だろう?
きっと部活の疲れだけじゃないはず。
確かに今日はことごとく振り込みまくって、毎度のように飛ばされはしたものの、そんなのは日常茶飯事。
その程度のことで、ここまで気分が沈んだりはしない。
だったら、原因は……?
京太郎「いや、考えるまでもないか」
面倒見の良い奴。
再度、心の中で呟く。
別に俺だって人からそういう風に見られるのが嫌なわけじゃない。
嫌なわけじゃないんだ。
ならば、何が嫌なのかといえば――
京太郎「だからって面倒事を押し付けても構わない奴……なんて実際にいるわけねえだろうが」
そんな風に思われるのが心外だったわけで。
淡「――ねー、ねー、きょーたろー、こっちのお店で開店セールやってるよー。うわー、パフェが全品半額だってー、ねー、きょーたろー、きょーたろーってばー」
京太郎「……聞こえてる。そんなに人の名前を連呼しなくても聞こえてるっての」
先を歩く少女の後を追いかけながら、俺は鬱屈とした気持ちを表に出さないよう努めて適当に返事をする。
普段ならば、もう少しまともな反応をしてやれるのだが、今の精神HPが極限まで削られている俺に、それは無理な注文というものだ。
むしろ無視せずに返事してやっただけ「偉いぞ俺」と自分の頭を撫でてやりたいくらいだった。
淡「ちょっと、きょーたろー。私の話ちゃんと聞いてるの?」
ずいっと顔を近づけて、覗き込むようにこちらを見上げてくる淡。
おい、顔が近いんだが。
こんな無防備に近付いてくるなんて、やっぱりこいつには警戒心というか羞恥心がないんだろう。
京太郎「――はぁ、聞こえてるって。パフェだろ、パフェ。約束どおり奢ってやるから、何でもいいから好きなのを頼めよ」
淡「えへへっ、やったー」
子供のような笑みを浮かべ、嬉しそうに跳ねる同級生を横目に眺めながら、俺はふたたび溜息を吐いた。
さて、どうしたもんかね、と額を押さえる。
ご覧の通りというかなんというか、大半の方がお察しの通り、面倒事というのは『これ』のことだった。
『大星淡』
ふわふわした長金髪が特徴的で子供みたいに純粋な目をした小生意気な少女。
あるいはこういった方がわかりやすいか、『宮永照』の後継者と目される白糸台の超新星。
そして俺に押し付けられた面倒事――というか、その張本人。
さらに語弊がないよう言わせてもらえば、こいつの存在自体が俺を現在進行形で悩ませている面倒事そのものなわけで。
淡「えへへー、なに食べようかなー? あっ、きょーたろーも好きなの頼んでいいからね」
店の中に入ると淡は一番奥の席に陣取り、目を輝かせながらメニューを眺めつつ、ふと思い出したように言った。
まったく、こいつは。
京太郎「お前に言われなくても好きなのを注文するって。っていうか、大体、金を払うの俺だし」
淡「むぅ、そんなの、きょーたろーが麻雀で負けるのが悪いんじゃん。悔しかったら、一回くらい私に勝ってみせてよね」
勝者の笑みを浮かべたあげく、俺を小馬鹿にするように淡は言う。
はぁ、と俺は溜め息を一つ。
怒る気力もなかった。
京太郎「お前、そういうのは俺以外の人間に言うんじゃねえぞ」
淡「むむむっ、きょーたろーのくせに、偉そうなことをー」
京太郎「いいから言うこと聞けって。いい加減、お前の尻拭いするのにも疲れてんだよ」
淡「そんなの頼んでないしっ。大体、テル以外の他の部員が弱すぎるのが悪いんじゃんっ」
拗ねたように淡はそっぽを向く。
本当にやれやれだ。
京太郎「弱すぎる、か」
そう言い切ってしまえるのが淡の強さであり、同時に弱さなのだろう。
多分、本気を出したこいつに勝てる学生なんて、全国でも十人いるかいないかのはず。
事実、白糸台に入学してから二か月、淡が照さん以外に負けているところを未だに俺は見たことがないんだから、その実力は推して知るべし。
入学前から囁かれていたらしい宮永照の後継者の二つ名は伊達じゃなかったということだ。
だが、
淡「みんな弱すぎっ、テル以外と打ってても楽しくないし、私がちょっと本気で打っただけでやめる子までいるし、それで何で私が怒られるの? 意味わかんないっ」
やり場のない苛立ちをぶつけるように、淡は感情的に呟く。
それはまるで子供の癇癪のようで――
京太郎「淡、お前ってさ……」
何かを言いかけて、
京太郎「いや、やっぱり何でもない」
結局、俺はなにも言わずに淡から顔を逸らした。
淡「なに? きょーたろーまで私が悪いっていうの?」
京太郎「別にそんなこと言わねえよ。それよりも注文決まったか?」
我ながら露骨な話題逸らしだと思うが、周りの目もある以上、こんな話はあまりしたくなかった。
というか、これ以上続けられると俺自身、平静を保てる自信がなかったというのが本音だが。
まあ、そのあたりは淡も弁えているようで、
淡「あ、うんっ。私ね、このチョコレートクリームソーダパフェとね、こっちの――」
先ほどまでの話を忘れたように、楽しそうに喋るその顔を眺めながら、俺はまた胸の奥に何か苦いモノが溜まっていくのを感じていた。
この感情は何だろう?
分かりきった自問。
この感情は――
別に淡と一緒にいるのがつまらないわけじゃない。
むしろ楽しいとさえ思う。
こいつは口は悪いけど、そのぶん根は素直だし、それにころころ変わる表情は見ていて飽きない。
でも、だからって俺が自ら望んでこいつに付き合っているわけじゃない。
こうして淡に付き合ってやってるのは、部長や照さんにこいつのことを頼まれたから――
ただそれだけのことに過ぎなかった。
ああ、そうだ。
俺にとって大星淡という少女は本当に面倒くさい奴で、
先ほどのやり取りからもわかるように淡自身がこういう性格だから、入学してから一週間もしないうちにクラスや部活内でも孤立し始め、気付いた時にはどうしようもないくらい溝が深まっていたわけで、
しかも、淡自身はそれを気にすらしていないという始末。
そうして心配した照さんと部長に、同じクラスだった俺は淡のことを頼まれた次第なのだ。
もちろん、『どうして俺が?』と思わないでもなかったけど、照さん直々の指名とあっては断れるはずもなく――
照『京ちゃんならきっと大丈夫だよ』
という無責任かつ適当極まりない照さんの信頼によって、俺は淡の面倒を押し付けられたのである。
淡「……たろー、ねえ、きょーたろーってば、聞いてるの? ねえってば!」
京太郎「え? あ、ああ、悪い。ぼーっとしてた。どうしたんだ?」
淡「最近さ、京太郎、なんか変じゃない?」
京太郎「別になんでもねえよ。っていうか、その言葉はお前にだけは言われたくない」
適当に憎まれ口を叩きながら、俺は淡から目を逸らす。
変といえば変かもしれない。
取り留めのないことを考えているという自覚はあった。
今日だって淡に付き合わず、帰る途中で適当なことを言ってバックれてしまう選択肢だってあったはずなんだ。
なのに、こうして付き合っている。
これは照さんや部長にこいつのことを頼まれたからなのか?
いや、違う。
淡のことを頼まれたのは学校の中にいるときだけだ。
こうやって放課後まで付き合ってやれなんて頼まれていないし、第一、頼まれたとしても俺にはそこまでしてやる義理なんてない。
だったら、どうして?
淡「ねえ、怖い顔してどうしたの? もしかして体の調子悪いの?」
不安げに眉根を寄せて、覗き込むように淡がこちらを見ていた。
その顔に俺は言いようのない既視感を抱く。
やめろよ、そんな顔すんな。
――あいつのことを思い出しちまうだろうが。
長野にいたころのことを思い出しそうになって、俺は首を振った。
再びの既視感。
性格も容姿も全然違うはずなのに、今、目の前にいる少女と長野に置いてきたあいつの存在がダブって見えるのはどうして……
淡「体調悪いなら、パフェはまたにして今日はもう帰った方が――」
京太郎「だから何でもねえって言ってんだろ。注文決まったんなら、呼び出しボタン押すからな」
何を馬鹿なことを……
あまりに馬鹿げた妄想に乾いた笑いすら起きない。
淡の言葉を遮るように俺は呟き、ウェイトレスを呼ぶ。
ああ、本当に何やってんだろうな、俺。
なんとも微妙な空気の中、美味しそうにパフェを頬張る淡いを眺めながら、俺にとっては甘ったるいだけの時間を過ごし、
そうして店の外に出ると滝のような雨が俺たちを出迎えた。
淡「うわっ、すっごい雨……ゲリラ豪雨ってやつかな?」
京太郎「いや、天気予報で夕方から明日の朝まで雨が強く降るって言ってただろ。見てなかったのか?」
淡「私、ニュースとか見ないもん」
あっ、そう。
なんとなく予想していた反応。
でも天気予報でもここまでひどい雨とは言ってなかった。
なんとなく嫌な予感がして俺はスマホをいじる。
淡「ちょっとー、人が困ってる時にスマホいじるとか信じらんないんだけど」
京太郎「そいつは悪かったな。で、落ち込んでるとこに悪い知らせだ」
淡「悪い知らせ?」
京太郎「豪雨のため電車とバスが運転を見合わせるってさ。まあ、わかりやすく言えば運休だな」
淡「はぁ!? 何それ? 意味わかんないんだけど」
そんなことを俺に言われてもどうしようもない。
文句なら鉄道会社かバスの運行会社、あるいは見通しの甘かった天気予報士に言ってくれ。
京太郎「ちなみに帰宅困難の生徒のために学校が一部の教室を開放してくれてるみたいだけど?」
淡「やだっ、学校なんかに泊まりたくないっ」
京太郎「ま、そうだよな。じゃあ、どうするんだ?」
意地悪な質問をしてみる。
淡「えっと漫喫とかで朝まで過ごすとか……」
京太郎「青少年保護条例とかで夜の九時か十時を過ぎたら強制的に追い出されるらしいぞ」
淡「じゃ、じゃあ、カラオケ!」
京太郎「カラオケも同じく青少年保護条例で――」
淡「だったら、どうしろっていうのよ!」
そんなこと俺に言われても困るんだが。
かといってこいつはおとなしく学校に泊まるようなタマじゃないし。
仮に泊まったとしても、こいつのことだから泊まっている他の生徒とか教員と面倒事を起こしそうな匂いがぷんぷんする。
本当になんて面倒な奴。
どうして、俺はこんな面倒くさい奴に付き合っているんだか……
京太郎「……はぁ、お前が嫌じゃないなら、俺のとこに泊まってくか?」
淡「は? え? きょーたろーのとこ……?」
鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔で訊き返してくる淡。
京太郎「いや、冗談だっての。別に学校に泊まらなくてもビジネスホテルに泊まるって手もあるから、あんまり難しく考えるなよ」
淡「財布の中、そんなにお金入ってない……」
呟いて俯く淡。
はぁ、いつも生意気なくせに、こういうときだけ、しおらしくなるって反則じゃないですかね。
俺は溜め息を一つ吐き、カバンの中から折り畳み傘を取り出す。
土砂降りの雨の中だと少し小さめのサイズ。
こんなことなら、嵩張っても大きいサイズの傘を持ってくるんだったと後悔しながら、傘を開いた。
そうして一歩を踏み出し振り返る。
京太郎「――おい、なにぼーっとしてんだ? 早く入らないと置いてくぞ」
淡「え? っと、きょーたろ……?」
キョトンとした顔の淡。
いや、それを言うなら俺もなんだけど。
自分で自分のやっていることが理解できなかった。
今、俺は何と言った?
まったくもって、自分からこんな面倒事を背負い込もうだなんて、どうかしてるとしか思えない。
本当に俺はどうかしちまったんだろうか?
この雨で風でもひいちまったらしい。
なんて言い訳じみたことを心の中で呟きながら、投げやりに口を開く。
京太郎「行く当てないんだろ? 俺んち、ここからすぐだから泊まってけって言ってるんだよ」
淡「え? え? えぇぇぇっ!? いや、待って、待ってよ、そんな……無理、無理だよぉ」
顔を真っ赤にして首を振る淡。
ま、そりゃそうだよな。
分かりきっていた反応に俺は苦笑する。
本当に何を馬鹿なことを言っているんだか。
京太郎「冗談だよ。ほら、金貸してやるからホテルにでも泊まれ。金は気が向いたときに返してくれればいいから」
淡「ま、待ってよ! 勝手に話を進めないで!」
京太郎「だってお前、俺んちに泊まるの嫌なんだろ?」
淡「そんなこと誰も言ってないじゃん! その、別に、私は嫌なんかじゃ……ないし。それにきょーたろーなら信用できるっていうか……」
京太郎「あ、何だって? ごちゃごちゃ言ってると置いてっちまうぞ」
淡「もうっ、きょーたろーのばかばかっ。絶対に聞こえてたくせにー!」
なんて叫びながら、淡は雨の中を駆け寄ってくると、俺の隣りにぴったりとくっついてくる。
いや、まあ、雨足が強いし、傘も小さいしで、そうしないとびしょ濡れになるからくっついてくるのはわかるんだけど。
わかりますけどさ……
――ちょっとくっつきすぎじゃないですかね?
その、腕になんか柔らかい感触が押し付けられているというか。
『もしかして、わざと押し付けてる?』
なんて流石に聞くわけにはいかないけど。
京太郎「――えっと……ちゃんと傘の中に入れてるか?」
淡「うん、へーき。きょーたろーは大丈夫?」
京太郎「おう、問題なし」
そうは答えたものの、実際には傘に入りきれず左肩が雨でびしょ濡れ状態だった。
おまけに何故か淡は楽しそうに笑ってやがる。
しかもどんどんくっついてきてるという始末。
ふむふむ、しかし、こいつ見かけによらず結構なおもちをお持ちで……ってなに考えてんだ俺のばかっ!
やはり風邪でもひいているのだろう。
土砂降りの中、脳内突込みをしてしまった。
自分で自分に呆れてしまう。
本当、何やってんだろうな、俺。
こういうところが人に面倒事を押し付けられる原因なのかもしれない。
なんてことを考えながら、俺は小さく笑い、家路を急いだ。
淡「お、おじゃましまーす」
京太郎「おい、玄関に突っ立ってないで、早く入れよ」
淡「だ、だって、男の人の部屋に入るのって初めてなんだもん。なんか緊張しちゃって……」
よほど緊張しているのか、答える声はわずかに震えていた。
気後れする淡だなんて、珍しい光景である。
借りてきた猫のように小さくなっているこいつの姿を見ていると、なんというか微笑ましい気分。
淡「っくしゅんっ、うぅ、さむっ」
京太郎「おいおい、大丈夫か? 突き当りの右が風呂場だから、先にシャワー浴びて来いよ」
淡「シャ、シャワー!? きょーたろー……えっと、それって――」
京太郎「なに勘違いしてんだ? 体が冷える前に温まってこいって言ってんだけど。お前、もしかして――」
淡「ち、違うもん! きょーたろーのばかっ。ふんだっ」
少しからかいすぎたか。
真っ赤になって淡は頬を膨らませる。
京太郎「からかって悪かったよ。ほら、早くしないと本当に風邪ひいちまうぞ」
淡「言われなくてもわかってるしっ。それと――」
京太郎「なんだよ?」
淡「もしも覗いたりしたら、スミレに言いつけてやるんだからねっ」
なんとも恐ろしい言葉を言い残して、淡は風呂場へと向かった。
覗くわけねえだろ、馬鹿。
京太郎「さてと、あいつが上がる前に夕飯の支度でもしておくかな」
びしょ濡れになった制服を脱ぎ捨て、タオルで適当に髪と体を拭く。
傘を差してはいたが、あの雨の中じゃ焼け石に水だったか。
一応、カバンの中身が無事なのを確認した後、俺は夕飯の支度へと取り掛かった。
風呂場からはシャワーの音と楽しそうな鼻歌。
それをBGMに今日は何を作ろうか考えていると――
淡「きゃーっ」
風呂場からただならぬ悲鳴が響いた。
京太郎「おいっ、どうした、淡!」
風呂場のドアを開けると浴場の隅で縮こまっている淡の姿。
そして彼女の指差している方向には二十センチ近くの――ムカデがいた。
京太郎「うわ……こいつはえぐいな」
俺は思わず口元を押さえる。
うねうねと動く奇怪なフォルムは気持ち悪さだけでいえば、ゴキブリの比じゃない。
気分よく鼻歌を歌っているところにこんなものと遭遇したら、淡でなくても悲鳴を上げてしまうだろう。
京太郎「……刺されてないんだよな?」
淡「う、うん。きょーたろー……」
今にも泣きそうな目で見上げてくる淡。
俺は頷き、風呂場横の洗面所に置いてあった火箸を手に取った。
淡「……殺したの?」
隅っこの方でずっと目を閉じていた淡が恐る恐る訊ねてくる。
京太郎「いや、下手に殺すと死骸にまたムカデが集まってくることがあるし、火箸で掴んで窓から捨てたよ」
平坦な口調を心がけながら俺は言う。
正直、火箸に挟まれたムカデがうねうねしながら抵抗する姿は、見ているだけで精神的に来るものがあった。
備えあれば憂いなしと言うけれど、万が一のために火箸を買っておいて本当に良かったぜ。
淡「うぅ、何できょーたろーはそんな平気そうなのよ。私、本当に怖かったんだからね」
京太郎「ああ、確かにすげえ悲鳴だったもんな」
淡「あっ、う、うぅっ、きょーたろーのばかばかっ。びっくりしたんだから仕方ないじゃない! このこと言いふらしたら、絶対に許さないんだからねっ」
京太郎「うーん、どうしよっかなーとか言いつつ、おっと、またムカデが――」
淡「ひっ、やだっ、やだやだやだーっ」
京太郎「お、おいっ、ばかっ。冗談だっての。急に抱き付いてくるやつが――」
勢い良く抱き付いてきた淡を支えきれず、俺は尻餅をつく。
京太郎「ってーな。おい、淡、ケガはないか?」
淡「うぅっ、きょーたろーのばかっ。ムカデなんていないじゃん! 何でこんないじわるするのっ!?」
どうやらケガはないようだ。
俺に抱き付いたまま、頬を膨らませて涙目でにらんでくる淡。
そうして、ああ、と俺はようやく気付く。
ムカデやら何やらですっかり忘れてたけど、こいつ今、素っ裸だったんだ。
そう認識した瞬間、俺は自分の置かれた状況を把握した。
無遠慮に押し付けられる生の女の子の感触。
鼻をくすぐる女の子特有の甘い匂い。
あまりに非現実的な状況。
裸の女の子に抱き付かれている。
その事実だけで頭が沸騰して心臓が破裂しそうだった。
それでも本能に任せて淡を押し倒さなかったのは、俺の中にわずかに残っていた理性、あるいは罪悪感がそうさせたのか。
無意識のうちに淡の頬へと手を伸ばす。
淡「んっ、きょ、きょーたろ?」
唐突に触られて驚いたのか、さっきまであんなに騒いでいた淡が不思議そうにこちらを見た。
それに構わず俺は淡を抱き寄せる。
淡「きょーたろ? どうしたの?」
困惑したような声を上げる淡。
京太郎「淡は嫌か?」
間近にある淡の瞳を見つめながら問う。
意地悪というのなら、これこそ意地悪な質問だった。
淡「その、嫌、じゃないけど。でも、きょーたろーは――んっ、んんっ、ちゅっ、あむっ」
最後まで言わせず、俺は淡の唇を奪った。
最初はわずかに唇と唇が触れるだけのキス。
だが、そんなもので満足できるはずもなく――
淡の柔らかく華奢な体を抱き寄せ、口内へと舌を入れる。
淡「んっ、んんっ、ぷはっ、きょ、きょーたろ? なんか変だよ? 私たち、恋人でもないのに、こんなのおかし――んっ、んんっ、ちゅっ、ちゅむっ、れるっ」
京太郎「――淡はこういうの嫌いか? 嫌なら嫌って言ってくれよ」
触れ合っていた唇を離すと、俺たちの間で唾液が糸を引いていた。
淡「うぅ……嫌じゃ、ない、かも――あっ、んっ、んちゅっ、ちゅむっ、あむっ」
やはり最後まで言わせない。
途中で遮り、再び唇を重ね合わせる。
今度は最初から激しく、口内に舌を突き入れ、淡の舌を絡めとる。
そうして緊張したように縮こまっている淡の舌を、劣情に任せるまま舐めとり吸い上げた。
十分前の自分からは想像もつかないような痴態。
さっきまで面倒事扱いしていた少女を今は臆面もなく情欲の対象として見ている矛盾。
淡が抵抗しないのをいいことに好き勝手している自分自身に吐き気さえ覚える。
本当に救えない。
自分からキスしておきながら、未だに俺はこの感情の意味すら理解していないんだから。
京太郎「淡、続き……いいか?」
確認するように俺は訊ねる。
それに対し、淡は少し迷ったように俯き、小さく首を横に振るとこう続けた。
淡「……ここじゃなくて……ちゃんとベッドの上がいい……」
京太郎「そっか。そうだよな。すまん、無神経だった」
頭を下げながらも、淡のそれが拒否の言葉でないことに安堵している自分がいた。
本当、俺って現金な奴だよな。
自分で自分に呆れる。
さっきまでムカデのいた場所で事に及ぼうだなんて、確かにデリカシーの欠片もない。
小さくなっている淡の頭を優しく撫でて、その華奢な体を抱き上げた。
淡「その……重くない?」
京太郎「全然。軽い軽い。でも、本当にいいのか?」
淡「うっ、うぅっ、は、恥ずかしいんだから、何度も確認しないでよ!」
京太郎「……すまん」
淡「大体、男の子の部屋に入るってことは、こういうことになるってことくらい、その、ちょっとは覚悟してたんだから!」
京太郎「……いや、悪かったよ」
ちょっとこいつのことを舐めてたかもしれない。
思い返せば、俺の部屋に入るとき、淡が柄にもなく緊張していたのはそういうことだったのか。
我ながら自分の鈍さ加減に苦笑すら浮かばなかった。
ちょろかわあわあわ
体からはじまるチョロインあわあわ
これで重かったりしたら最高
のちのちメンヘラになってほしいぃ
京太郎「……淡、いいんだな?」
ベッドの上で横たわる淡に最終確認として訊ねる。
我ながら情けないほどに心臓がバクバクしていた。
状況に流されてとはいえ、まさかこいつとこんな事になるなんて。
ごくりと唾を飲み込む。
淡「…………うん」
顔を真っ赤にしながら、淡は一糸まとわぬ姿で頷いた。
京太郎「淡……」
名前を呼びながら、淡の上から覆い被さるようにベッドに上がる。
京太郎「……淡、緊張してるのか?」
俺の訊ねに対し、淡は恥ずかしそうに目を背けた。
淡は乳房と股の間を隠すように手で押さえたまま、小さく震えている。
普段の生意気で強気な姿から想像できないほど、今の淡は弱々しく、それでいてこの上なく綺麗だと、心の底からそう思った。
俺なんかがこの少女を穢してしまっていいのだろうか?
そんな臆病な考えが脳裏をよぎる。
この子のことを好きでもない俺なんかが――
そんな俺の考えを見透かしたかのように、
淡「きょーたろーは私のこと……好き?」
消え入るような声で淡はそんなことを言った。
ドクンと心臓が大きく跳ね上がる。
俺を見つめる淡の目を見返してやれない。
京太郎「……嫌いな奴にこんなことしようなんて思わねえよ」
顔を背け、絞り出すように俺は答える。
答えにもならない応え。
好きと嫌いじゃないが同義でないことくらい小学生でもわかるっていうのに。
淡「そっか……私はね、きょーたろーのこと――ちゃんと好きだよ」
そう言って淡は恥ずかしそうに、はにかんだ。
京太郎「……っ」
何も言えなかった。
言えるわけがない。
罪悪感で押し潰されそうになる心を上から塗り潰し、吐き気のするような情欲に任せて、淡の唇を奪う。
最低だ、俺。
淡「んっ、ちゅっ、きょーたろー、すき、だよ、ちゅっ……あっ」
漏れ出る嬌声をどこか遠くに聞き流しながら、淡の口内を犯す。
淡「あっ、きょーたろ……すきっ、ちゅっ、だいすきっ、んっ」
まっすぐな気持ちを俺に向け、唇を重ねてくる淡。
舌を絡め合わせながら、俺は淡の胸元へと手を伸ばす。
ふにっと手の平に収まるほどの柔らかな感触。
軽く揉むと淡の体がびくんっと跳ねあがった。
京太郎「っと、悪い。痛かったか?」
淡「んーん、その、ちょっとびっくりしたっていうか……自分で触るのとは全然違って、きょーたろーの手ってなんか大きいんだねっ」
京太郎「続けるからな……ちゅっ」
淡の頬に軽くキスをした後、首、そして鎖骨と啄むように吸っていく。
淡「んっ、くすぐったいよぉ、なんか変な感じ――あっ、そこっ、急に吸っちゃ……あんっ、いっ、きょーたろー……」
淡の艶の混じった声を聴きながら、胸の中心にある桜色の突起を吸い、舐める。
女の子特有の甘い匂いと微かな汗の味が俺の嗅覚と味覚を刺激する。
京太郎「反対も……はむっ、ちゅっ」
淡「あんっ、きょーたろ……私の胸、あんまり大きくなくて、ごめんね」
京太郎「何で謝るんだよ。淡の胸、すっげえ可愛くて俺は好きだぞ」
どこか申し訳なさそうな目で俺を見つめる淡に対し、月並みな答えを返す。
しかもその間、俺の手は淡の胸を揉んでいるんだから本当に救えない。
手の平に吸い付くようなもっちりとした感触、こんなに柔らかいものがあっていいのだろうか?
俺の手は憑り付かれたように淡の胸を執拗に揉んで撫でて、その無二の感触を味わおうとしていた。
淡「ふふっ、京太郎って本当におもちが大好きだよね」
京太郎「それは……」
返す言葉もない。
言葉に詰まりながらも未だに淡の胸を弄り続けようとする自分の手を呪いたくなる。
わずかに汗ばむ中に感じるしっとりとした感触。
掴み、揉み、撫で、時には軽く引っ張る。
そのたびに淡の胸は柔らかな感触のまま、その形を変えていった。
淡「きょーたろーって実は変態?」
京太郎「し、仕方ないだろっ。目の前にこんなおもちがあったらいじらずにはいられねえんだからっ」
淡「じゃあ、やっぱりタカミとかスミレみたいに大きい方がやっぱり良かった?」
京太郎「……そ、そこで何で二人の名前が出るんだよ?」
淡「だって、部活の時、きょーたろー、二人の胸ばっかり見てるじゃん」
京太郎「み、見てねえしっ」
いや、たまにチラ見することくらいはあるけど……
淡「ふふっ、冗談だよっ。ねえ、きょーたろーのズボン、パンパンになって苦しそう……」
顔を赤らめながら、どこか期待したような表情を浮かべて淡は言った。
京太郎「いや、これは――」
淡「ねえ、私で興奮してるんだよね? きょーたろーの私にも見せて……」
艶の混じった声に俺の脊髄がぞくりと反応する。
これまでとは比べ物にならないほど、淡の表情はメスの顔をしていた。
ズボンのチャックへと伸びる淡の手を振りほどけない。
わずかに震えた手がズボン越しに俺の股間を撫でたかと思うと、一気にチャックを引き下ろされ、柔らかな感触がトランクスから俺の逸物を開放した。
京太郎「くっ……」
淡「わぁ……きょーたろーのすっごく大きくなってる……これって私のせいなんだよね?」
恥じらいと興味が半同居した視線を俺の向けながら、淡は愛おしそうに愚息を撫でた。
京太郎「ばっ、汚いから触らなくて……うっ」
淡「硬い……それにとっても熱い。きょーたろー……」
まるで熱に浮かされるように火照った表情で目を細めると、淡はその小さな口で俺の逸物を含んだ。
淡「じゅっ、ちゅむっ、きょーたろーの……なんか変な味……」
京太郎「や、やめろって、お前、こんなことしたことないんだろっ?」
淡「うん……キスも、裸を見られたのも、こんな風にお○んちんを舐めるのも……全部、きょーたろーが初めて……んっ、ちゅむっ、じゅるっ」
卑猥な音を立てながら淡は喉奥まで俺の逸物を飲み込んでいく。
京太郎「くっ、あっ、淡……」
カリを、竿を、淡の舌が舐め取っていく。
淡の言葉通り、こんな風に男のモノを咥えるのは初めてなのだろう。
舌の動きは拙く、それなりの快感を与えてくれはするものの、絶頂に至るには程遠い。
だが、
淡「ちゅっ、じゅっ、じゅるっ、ごほっ、きょーたろー、すき……すきだよ……ちゅっ、れるっ、ごほっ、じゅぶっ、ずじゅっ」
必死に俺を気持ち良くさせようと逸物を頬張る淡の姿が、何とも言えない快感となって脳髄を刺激する。
京太郎「……うっ、くっ、淡……」
健気に逸物を舐める少女の頭を撫でながら、俺は今にも達しそうになる分身を必死に抑える。
淡「きょーたろ……ねえ、きもちいい?」
京太郎「ああ、気持ちいいよ、淡……なあ、もっと気持ち良くしてくれるか?」
淡「ふぇ? あっ、きょ、きょーたろ?」
俺のモノをしゃぶっていた淡の体を持ち上げ、その柔らかそうな太ももと太ももの間へと逸物を滑り込ませた。
淡「んっ、な、何これ? きょーたろーのお○んちんが私のアソコに当たってるよぉ……」
京太郎「素股って言うんだ。こうして俺のち○ことお前のアソコを擦り合わせて――」
淡「あっ、きょっ、きょーたろっ、やぁっ、熱いのが、んんっ、だめだよぉっ、そんなっ、動いたらっ、ひんっ」
俺のを舐めながら興奮していたのだろう。
秘裂から漏れ出た蜜が潤滑油となって、性器同士が擦れるたびにグチュグチュと音を立てる。
京太郎「処女のくせにこんな風に濡らすなんて、淡は変態だなあ。人のことを言えないじゃないか」
淡「だ、だってぇ、きょーたろーが気持ちよさそうな声出すから、私も……んっ、ちゅっ」
恥ずかしそうに言い訳する淡の顔を引き寄せ、口付ける。
淡「ちゅっ、んっ、きょーたろ、私のアソコ、気持ちいい?」
京太郎「アソコじゃないだろ? ほら、ちゃんと言ってみろ」
淡「い、言えないよぉ……あっ、やっ、そんなっ、激しくされたらっ……」
京太郎「おいおい、腰動かしてるのは淡だろ? そんなに気持ちいいのか?」
淡「ひぅっ、きっ、気持ちいいよぉっ、きょーたろーのおち○ちんっ、私のおま○ことクリ○リスに擦れてっ、やっ、気持ちいいよぉ、きょーたろー……」
涙目になりながら淡は俺に抱き付き、けれど、その腰を振るのをやめない。
その行為は俺を気持ち良くさせるためか、
それとも自分が快楽を貪るためか、
いや、あるいは両方なのだろう。
秘裂から溢れ出る愛液がお漏らしをしたように俺の逸物をじゅぷじゅぷに浸していく。
性行ではない、けれど、性行のような触れ合い。
まるで性器が口の代わりにキスしているみたい。
淡「きょーたろーのおちん○んっ、びくびくしてるよっ、出そうなのっ? ねえっ、私のそんなに気持ちいいのっ?」
京太郎「くっ、あっ、淡っ、離れろっ、そんなにされたらっ、出ちまうって」
淡「きょーたろっ、きょーたろっ、ちゅっ、あむっ、んんっ、出すなら、私の膣内(なか)に――」
一瞬、淡の腰が浮いたかと思うと次の瞬間、
淡「んっ、ひっ、あっ、ぐっ、んん~~~っ」
悲鳴にもならない淡の苦鳴とともに、俺の逸物は蜜壺の中へと飲み込まれていった。
京太郎「あっ、ぐっ、淡……なんてことを、やばっ、で、出る――」
我慢などできるはずがなかった。
限界まで溜め込まれていた絶頂感が、新たに与えられた快感に応えるように俺の逸物から精液を吐き出させる。
脳味噌の神経が焼き切れるかと思うほどの解放感。
びゅくっびゅくっと白濁を淡いの膣内へと吐き出しながら、俺の逸物は快感に打ち震えるように痙攣した。
淡「ひっ、うぐっ、出てる……きょーたろーの赤ちゃんの素、私の膣内にいっぱい……」
俺の精液を受け止めながら、淡は大粒の涙を両目に湛え、嬉しそうに呟く。
京太郎「淡……何でこんなことを?」
思わず訊ねる。
俺に女の痛みはわからない。
必死に涙をこらえ、体を震わせている淡の様子からその痛みを推し量るしかない。
きっと優しい言葉をかけて、淡の頭を撫でてやるべきなのだろう。
だというのに、
淡「ひっ、きょーたろーのまだ出てる……こんなにっ、いっぱい出されたらっ、赤ちゃんっ、できちゃうよぉ」
誰も見たことがないであろう淡の痴態にどうしようもなく興奮していた。
無理だ、こんなのを見て我慢できるわけがない。
目の前の少女健気な姿に対して、俺の中で湧き上がる愛しさとは違う獣じみた情欲。
京太郎「……そんな顔して俺を煽った淡が悪いんだからな」
淡「きょーたろ、ま、待って――」
聞く耳持たない。
細く柔らかい腰を掴み、容赦なく突き上げる。
淡「まっ、待って、まだ痛いのっ、動かなっ、ひっ、やぁっ」
京太郎「ごめんなっ、我慢できそうにないっ」
強張ったように俺の逸物を締め付ける膣内。
それをこじ開けるように擦り上げていく。
淡「やっ、ひぃんっ、きょーたろ……いたっ、痛いよぉっ」
俺が動くたびに淡は小さな悲鳴を上げた。
どんなに痛いのだろう?
どんなに苦しいのだろう?
俺にはわからない。
ただわかっているのは、淡の悲鳴が耳朶を叩くごとに昂っていく何かが俺を突き動かすということだけ。
淡「やっ、ひぃんっ、きょーたろ……あっ、うっ、ひぐっ、痛いっ」
大粒の涙を流す淡。
痛いのか?
涙が出るほど苦しいのか?
ごめんなっ、俺だけ気持ち良くなって本当にごめんな。
お前のそんな姿で興奮して本当にごめんっ。
淡の泣き顔が俺の嗜虐心を刺激する。
この穢れを知らない少女に痛みと苦痛を与えているということに、快感にも似た罪悪感を抱いてしまう。
そして、その矛盾を肯定し、快楽として貪ろうとしている自分に殺意にも似た自己嫌悪を抱いている。
最低な自分。
目の前の少女に苦痛を押し付けることに快楽を見出す自分。
こんな自分の内面を知られれば、この少女に憎悪され、軽蔑され、侮蔑されても仕方ないだろう。
だというのに、
淡「きょーたろーは気持ちいいんだよね? だったら、私も気持ちいいよ、ちゅっ」
目を真っ赤にさせて涙を流しながら少女は嬉しそうに笑い、そして俺にキスをした。
京太郎「くっ、淡っ……」
瞬間、再び迎える絶頂。
先ほどあれだけ吐き出したというのに、まだ出したりないのか。
ドクッドクッと歓喜の雄叫びを上げながら、俺の愚息は少女の膣内へと子種を流し込んでいった。
京太郎「ぐっ、くぅっ、淡……」
淡「きょーたろ……」
この上なく幸せそうな顔で淡はキスをねだってくる。
もちろん、断れるはずなどない。
精液を膣内へと送り込みながら、俺は淡の唇へと口付ける。
淡「んっ、ちゅっ、きょーたろ、気持ち良かった?」
京太郎「ああ、良かったよ、淡」
抱き締め、その頭を撫でながら柔らかな金糸を指で梳く。
どれほどそうしていただろうか、永遠に続くような気さえしていた射精感はいつの間にか収まっていた。
しかし、これほど出したというのに俺の愚息は未だに縮む気配はない。
この調子ならあと一回くらいはできそうだが、
京太郎「さすがにそれはまずいよな……」
同意の上とはいえ、痛がる淡をレイプまがいに犯したんだから、これ以上やったら鬼畜以外の何者でもない。
名残惜しいが、そろそろ抜こうと腰を浮かせた瞬間、
淡「きょーたろ、まだ満足してないんだよね?」
淡の足が俺の腰をホールドしたかと思ったら、そのまま拘束されてしまった。
京太郎「お、おい、淡……無理しなくても」
淡「駄目だよ、我慢しないでちゃんと全部私の膣内に出さないと」
淡はホールドしている足を動かすと、抜けかかっていた俺の逸物を再び膣内へと招き入れる。
京太郎「ばっ、ばかっ、俺はもういいからっ、休めって」
淡「よくないっ、きょーたろーが満足するまでっ許さないんだからっ」
許さないって、なんか論点がずれてないか?
淡「きょーたろーは嫌がってるふりしても、こっちは正直だよ? んっ、あっ、きょーたろーのおち○ちんっ、さっきよりも硬くなってるっ、そんなに私の膣内が気持ちいいんだねっ」
挑発するような台詞を言いながら、淡は拙い動きで腰を動かし始める。
このばかっ、さっきまで処女だったくせに――
淡「ひっ、あっ、これっ、さっきまで痛いだけだったけど、なんだかっ、よくわかんなくなってきたっ、ねえっ、きょーたろっ、気持ち良くなってる?」
京太郎「くっ、なってるよっ。ったく、無茶しやがって」
淡「だ、だって、きょーたろーとの折角の初めてなんだもんっ。私もちゃんときょーたろーのこと気持ち良くしたいっ」
ったく、こいつは――
京太郎「淡……ばかっ、ちゅっ、んっ」
淡「んっ、んんっ、きょーたろ……ちゅっ、んちゅっ、あむっ、すきっ、きょーたろ、だいすきっ、ちゅっ」
キスの合間に漏れ出る淡の甘い声。
『好き』の声が耳にかゆい。
淡の声を聞くたびに、欠けていた何かが満たされていくような感覚。
感情に任せて俺は目の前の少女の体と心を一心不乱に貪った。
繋がる性器と口、そして漏れ出る心。
淡の膣内が包み込むように俺の逸物を搾る。
抜き差しするたびに嬉しそうに淡の膣は収縮を繰り返した。
京太郎「淡っ、そんなに蕩けた声出して、さっきまで処女だったくせにっ、気持ち良くなってるのかよっ」
淡「わかんないっ、わかんないよぉっ、でもっ、きょーたろーとこうしてるだけで私、幸せなんだもんっ、ちゅっ、んんっ」
抱き付き、キスをねだる淡の舌を絡め取り吸う。
ずずっ、ずじゅっ。
互いに唾液を啜り合うたびに卑猥な音が上がる。
そのたびに、性器から送られてくる快感とはまた別の快感が俺の快楽中枢を刺激した。
まるで口まで性器なってしまったような錯覚。
お互いの口の周りを唾液でべとべとにしながら、
それ以上の精液と愛液をベッドの上に零して性器を擦り付け合う。
抱き合い、手を握り、このまま繋がっていたら、いつか一つに溶け合わさってしまうんじゃないか――なんて思ってしまう。
そんな度し難い勘違い。
京太郎「淡っ、俺、そろそろ――」
淡「いいよっ、きょーたろー、私の膣内っ、きょーたろーのでいっぱいにしてっ、いっしょにっ――」
京太郎「くっ、うっ、淡っ、淡っ」
俺が腰を打ち付けるたびに、ぐちょにぐちょになった結合部から精液と愛液の混じった汁が飛び散る。
淡「あっ、ひっ、きょーたろっ、すきっ、だいすきっ、あぁっ」
淡の嬌声が一層艶を帯びて俺の脳みそを刺激した。
恋人同士でもない。
ただの部活仲間。
ただ成行きの関係。
ずっと疎ましく思いながら、
けれど、ずっと憧れていた少女が今この瞬間だけは俺のモノになっている。
ずっとずっとこの瞬間が続けばいいのに。
そうすれば――
京太郎「淡っ、くっ、ちゅっ、あむっ」
淡「ちゅっ、んっ、あっ、出てるっ、いっぱいっ、きょーたろーのいっぱいっ、出てるよっ、きょーたろ……んっ、んん~~~~~~~~~」
ひときわ大きく逸物が跳ねたかと思うと、堰を切ったように精液が噴出した。
勢いよく出た白濁は淡の膣内に残っていた白濁を追い出し、新たにマーキングしていく。
京太郎「くっ、あっ……淡……」
経験したことのない絶頂感に上手く声が出てきてくれない。
目の前が真っ白になって、このまま昇天しちまうんじゃないかってくらい。
淡の膣内が蠢動し、俺の逸物を貪欲に搾り取っていく。
カリが、竿が、膣壁に刺激され、まるで壊れた噴水みたいに精液を吐き出した。
そうしてどちらともなく抱きしめ合う。
淡「きょーたろ、すきっ、だいすきっ」
京太郎「……淡」
どれだけ淡に搾り取られ、吐き出したのだろうか?
この世のモノとは思えない快楽を味わい、ようやく役目を終えた俺の逸物は元の大きさに戻ろうとしていた。
淡「はっ、あっ、小さくなってる。きょーたろ……全部出た?」
京太郎「ああ、もう何も出ねえよ……」
互いに息を切らせながら、そんなどうでもいい確認。
淡「汗だくになっちゃった……またお風呂に入らないとね」
京太郎「ああ、そうだな。ついでにシーツも変えないと」
さっき雨に濡れたばかりだというのに、俺たちはベッドの上で汗だくになっているという矛盾がどうしてか少し可笑しく感じた。
淡「何か面白いことでもあったの?」
京太郎「いや、ちょっとな。風呂はどうする? また淡が先に入るか?」
淡「うーん、きょーたろと一緒がいいな」
京太郎「そっか。じゃあ、ちょっと待ってろ。すぐに準備――」
淡「――でもっ、今はもう少しこうして一緒に寝ていたいかも」
子猫のように俺に顔を摺り寄せて淡は小さく笑った。
京太郎「ったく、お前は面倒くさい奴だな」
淡「えへへっ、ダメ?」
もちろん、そんな笑顔を見せられて断れるはずがない。
京太郎「駄目なわけねえだろ。じゃあ、もう少しだけな」
淡「うんっ」
そう言って元気よく返事をすると、俺の腕を枕代わりして淡は安心したように目を閉じ、そのまま、すやすやと眠ってしまった。
本当に困った眠り姫様だ
子供のような寝顔を眺めながら俺は苦笑するしかない。
本当にこいつは、どうしてこんな風に眠っていられるんだろう?
俺には理解できない。
恋人でもない男にこうやって無防備な姿を晒し、あまつさえ「好き」と言えるその精神が。
同時に申し訳ないとも思った。
だから俺は、
京太郎「……淡、ごめんな」
ただただ眠っている少女に向けて謝ることしかできなかった。
俺はこの少女が向けてくれる好意に対し、その三分の一の愛情も返してやれない。
自分の気持ちさえわからないから「好き」と言って返してすらやれない。
こうして結ばれた今でもまだこの少女と故郷にいる幼馴染を重ねて見ている自分を否定できないでいる。
京太郎「――なんて救いがたい自己矛盾」
俺は吐き捨てるように呟き、胸の奥で湧き上がる罪悪感にフタをして目を閉じた。
京太郎「……ようやく見つけた。探したんだぞ」
咲「ふぇっ、きょ、京ちゃん!? どうしたの?」
俺が声をかけると、驚いたような声を上げる咲。
どうやら本を読むのに相当集中していたらしい。
京太郎「お前なぁ、どうしたのじゃねえよ。本屋に行くっつって、なかなか帰ってこないと思えば、いま何時だと思ってんだ?」
咲「え? あ、あぁっ、もうこんな時間っ?」
店内の時計を確認して、再度、咲は驚いたような声を上げる。
京太郎「部長が何回電話しても出ねえし。スマホはどうしたんだよ?」
咲「えっと……読書の邪魔にならないように電源切ってた」
申し訳なさそうに咲は俯く。
俺はもう突っ込む気力すら湧かなかった。
まったく猫に小判、豚に真珠、咲にスマホとはこのことだ。
京太郎「本当に麻雀打ってる時以外は相変わらずだな」
咲「むぅ、それって遠回しに私のことポンコツって言ってるでしょ?」
京太郎「なんだ、自覚はあるみたいだな」
咲「もうっ、京ちゃんっ」
京太郎「咲、声がでかいって」
よほど騒がしかったのだろう。
周りの客が何とも言えない目で俺たちを見ていた。
咲「あ、うぅ、すみません」
申し訳なさそうに咲がぺこりと頭を下げると、まるで興味を失ったかのように、周りの客たちは俺たちから目を逸らした。
このあたりの切り替えの早さが東京ならではってやつなのだろうか。
ぶっちゃけ他人に興味がないと言ってしまえば、そこまでなんだろうけど。
京太郎「で、その本、買うのか?」
咲「うん、読み終わっちゃったけど、もう一回読みたいし会計してくるね」
レジへと向かう咲を見送りながら俺は苦笑する。
咲が手にしていた本はかなり分厚い本だった。
多分、一気に読み切ろうとしたら二、三時間じゃ足りないはずだ。
それを時間も忘れて読書に没頭できるとは、咲らしいというかなんというか。
まあ、子供のころから一昼夜ぶっ通しで家族麻雀とかやってたらしいし、この程度の時間、集中するくらい朝飯前なんだろうけど。
咲「京ちゃんっ、お待たせ。帰ろっか」
京太郎「ほらっ、お前のぶんの傘だ」
レジから戻ってきた咲に傘を投げ渡す。
咲「もしかして雨降ってるの?」
京太郎「見てみりゃわかる」
そうして店の外に出ると滝のような雨が俺たちを出迎えた。
咲「うわっ、すっごい雨……ゲリラ豪雨ってやつかな?」
京太郎「いや、朝の天気予報で夕方から明日の朝まで雨が強く降るって言ってただろ。見てなかったのか?」
咲「ごめん、寝てた」
なんとなく予想していた答えだったが、インターハイで東京に来てから、こいつ寝すぎだろうと思わないでもない。
まあ、周りに迷惑をかけてるわけでもないし、咲なりにストレスとかも感じてるだろうから口うるさくは言わないけど。
京太郎「ほらっ、急がないと夕飯の時間に遅れるぞ」
咲「ま、待ってよ、京ちゃんっ」
そうして傘を開こうとして――
京太郎「ん?」
視界の隅にどこか見たことのあるような金色の髪を見つけて、俺は硬直した。
咲「どうしたの、京ちゃん?」
京太郎「あ、いや……」
怪訝な表情を浮かべる咲に、あいまいな答えを返しながらも俺は店の軒先に佇む金髪の少女から目を離せないでいた。
俺はこんな少女、知らない。
大体、俺には東京に知り合いなんていないはずで、
だからこれは勘違いに過ぎず、
でも、だとしたら、どうして俺は――
??「私に何か用?」
俺の視線に気付いた少女が怪訝そうに訊ねてくる。
京太郎「いや、俺は――」
息が止まりそうになった。
少女の声を聞いた瞬間、
そして顔を見た瞬間、
俺は――
京太郎「……傘なくて、困ってるのか?」
そんなどうでもいいことを訊ねる。
俺は今なにを訊ねようとしていたのか?
わからない、わからないが、
自分でもよくわからないことを訊ねようとしていたことだけは確かで。
??「別にあんたには関係ないじゃん。ほっといてよっ」
拗ねたように顔を背ける少女。
正直、初対面の相手にどうしてここまで邪険に扱われなきゃいけないのか不思議なんだが、俺はそれに構わず、
京太郎「ほら、この傘やるよ」
持っていた傘を少女に渡した。
??「え?」
端正な顔に盛大な疑問符を浮かべる少女。
そりゃそうだ。
初対面の人間にいきなり傘なんて渡されて、呆けない人間なんているわけがない。
かく言う俺も本当にどうしてこんなことをしたのか、未だにわかってないんだけど。
??「……これってもしかして新手のナンパ?」
露骨に不審そうな目で少女は俺を見てくる。
確かに突拍子もない行動だとは思うけど、だからって親切にした相手に疑われるなんて心外だぞ。
京太郎「ナンパじゃねえって」
??「ふふっ、冗談だよ。傘、ありがとね」
そう言って少女は土砂降りの中、太陽のような笑顔を浮かべた。
京太郎「……どういたしまして」
ありきたりな反応をしながら、ああ、と俺は気付く。
どうして俺はこんな馬鹿なことをしたのか。
どうして俺はこの少女を放っておけなかったのか。
難しく考えすぎていた。
その理由はとても簡単なもので、
きっと――この少女の笑顔が見たかったから。
ただそれだけのことだった。
だからだろう。
??「じゃあね、今度また会ったら絶対にこの傘、返すからっ」
土砂降りの中、町の雑踏へと飲み込まれていく少女を見送りながら、俺は苦笑するしかなかった。
咲「京ちゃん、今の人、知り合い?」
少女の消えていった方向を見つめながら咲が訊ねてくる。
京太郎「いや、知り合いじゃない。話すどころか、見たこともない赤の他人だ」
咲「でも、そうは見えなかったけど……」
確かに俺自身、あの少女と話していると懐かしい気分がしてたけど、でも、彼女とは知り合いじゃない。
それだけは確かなことだった。
京太郎「ほら、無駄話してないで急がないと夕食の時間に遅れるぞ」
咲「あぁっ、そうだった。でも、傘一つしかないよ?」
京太郎「そんなの二人で一緒に入ればいいだろ、ほらっ」
咲の持っていた傘を奪って、開く。
そうして一歩を踏み出し振り返った。
京太郎「――おい、なにぼーっとしてんだ? 早く入らないと置いてくぞ」
咲「えっ、京ちゃん? で、でも、それって相合傘になっちゃう……」
京太郎「あ、何だって? ごちゃごちゃ言ってると置いてっちまうぞ」
咲「もうっ、京ちゃんのばかばかっ。絶対に聞こえてたくせにー!」
なんて叫びながら、咲は雨の中を駆け寄ってくると、俺の隣りにぴったりとくっついてきた。
京太郎「あの、咲さん、ちょっとくっ付きすぎじゃないですか?」
咲「そんなことないもんっ。それとも京ちゃんは私にずぶ濡れになれっていうの?」
京太郎「んなこと言ってないし。はぁ、わかったよ」
俺は降参した。
そうして、二人で並んで歩きながら、他愛のない話をする。
今日買った本のこと。
明日の天気のこと。
今日の夕食のこと。
幼馴染とそんなことを話しながら、なんとなく思い出す。
遠い昔、雨の中を二人で並んで歩いたことがあるような――そんな既知感。
京太郎「また今度会ったら、か」
咲「ん? どうしたの?」
京太郎「いや、何でも……何でもないよ」
こうしてまた出会うことができたんだ。
だから――
京太郎「またな、淡」
そんな願望を込めながら呟く。
そうして呟きは誰の耳にも届くことなく、雨音の中へと消えていった。
最終更新:2026年01月04日 22:37