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「ん…」


波のかえってくる音が聞こえ須賀京太郎は、目を覚ました。


「ここは…っ!」


痛む頭を押さえ立ち上がろうとすると体の節々が悲鳴を上げ顔をしかめた。

それでも今の状況を確認しようと周りを見渡す。

目の前には、森々とした森が広がっており後ろには果てしなく青い海。

わけがわからなかった。


「なんで 俺は砂浜に寝ているんだ?んー」


疑問に思いながら思い出そうと唸った。

ことの始まりは清澄の麻雀大会の全国優勝だった。

優勝を祝おうと透華さんが龍門淵主催のパーティーに知り合い含め咲達を招待してくれた。

その時、俺は一度断った。全国優勝した咲達と違って自分は予選一回戦負け優勝にすら貢献できてないと

だがある人が それは違うとあなたがいたから麻雀に専念できた ありがとう と言ってくれた。

そのときは、嬉しくてつい泣いてしまったものだ。その後誘いを受け入れみんなと共にパーティに参加をした。

映画でしか見たこと無いような豪華客船に豪華な食べ物の数々、楽しかった、幸せだなと

考えながらあてがわれた部屋で眠りについた。

幸せな時間は長くはなかった…大きな揺れで目を覚まし慌てて廊下にでれば

悲鳴、怒号、物が壊れる音、爆発、火、傾く船 地獄のような状況がかわるがわる場面を変えていく

気づいた時には救命具をつけ海の中から傾いて沈んでいく船を唖然と眺めていた。

しばらく眺めていたが、はっとなり救命ボート探すべく周りを見渡し始めた。


(やばい、やばい、やばい、このままじゃ俺も…っ!!)


夜の冷たい海にさらされ体が震え自分の状況を理解していく。

幸運なことにボートはすぐに見つかった、自分の後ろ20mぐらいの所に浮かんでいた。


(良かった!波が強いけどなんとかいける)


もともと中学時代に運動部に入っていたこともあり運動は得意だ、泳ぎも普通の人以上に泳げる

自信も少なからずあった。

だが、さぁ泳ぎだそうと手と足を動かそうとしたとき 聞こえてしまった。


「…た…たすけ」


女性の声だろうか?

反射的に声がするほうを向いてしまった、見てしまった。

京太郎から見て左方向に10mぐらいの所に必死にもがき助けを呼ぶ女性がいた。


(どうする!?助けに行くか?でも俺は)


泳ぎに自信があろうと京太郎はただの高校生だ。

救命具を着けてるとはいえ暗い海の中一人の女性を抱えて行動することになる。

ボートから離れ波の強い中女性を助けに行く・・・自殺行為だ 助けたとして二人とも助かる見込みもない。


(しょうがないよな?しょーがない)


心の中で何度も呟く、そして京太郎は助かるべく行動を始めた。

女性に向かって泳ぎ始めた。


「だぁー!しょーがない!しょうがないよなっ!?」


少し涙声になりながら声を張り上げ気合を入れる。


「ちくしょぅ…人が良すぎるだろう」


何とか女性の下にたどり着く 女性も気づき京太郎の首にしがみつく


「っ!だ…大丈夫ですか?」


首にしがみつかれて動揺してしまう。暴れないでくれよと願いながら声をかける。


「げほっ…ごほ…はぁはぁ」


女性は震えながら顔を下に向け息を整えている、暴れる心配はなさそうだ。

自分の体を少し後ろにそらし女性を自分の体の上に乗せる形を作る。


(良かった間に合った)


状況は悪くなった、不安も増した だが女性を助けることができ安堵した。

何分経ったろうか?女性が少し落ち着き顔を上げて京太郎と目が合った。

その直後 今まで以上の大きな音が聞こえ二人は船のほうに顔を向けた。

暗く黒い海の壁が二人を飲み込んだ。


(やっちまったなぁ…)


波に揉まれ 自由を奪われ 意識が海の底に沈んでいく。

せめてこの人だけはと女性を強く抱きしめながら…

流れ着いたんだ…ここに

そして、思い出した…全て思い出した、思い出したくなかった。

同時に不安、哀しみ、虚無感、絶望が一気に心を締め付け涙が一粒頬を濡らした。

「げほ…ん…ここは」


京太郎が絶望でうちしがれる横で声がした。

京太郎が助けたであろう女性が目を覚ました。


「…」


京太郎はそれに気づくも声をかけず、ただただ立ちつくす。

女性は座ったまま周りを見渡し状況を確認していく一通り行動すると女性は下を向いてしまった。

二人は喋らない…動かない、何分経ったろうか?女性が顔を上げた。

その目は絶望も不安もない強く強く希望を宿した目をしていた。


「なぁ…」


声をかけ京太郎の手を掴む。

京太郎が反応し顔を向ける。

京太郎が目にしたのは優しげに儚く微笑む女性の顔だった。

絶望していた京太郎ですら思わず見とれしまうほど綺麗だった。


「ありがとな」

「え…?」


女性の言葉が一瞬理解できず疑問の声を出してしまった。


「君のおかげで私は助かることができたんや。ありがとな!」


冷え切った心が暖かくなっていく心に火が灯った。


「私の名前は園城寺 怜や。君の名前は?」

「須賀…須賀 京太郎です」


自己紹介をした後、唐突に怜は下を向き京太郎…京…と呟き考え込んでしまう。

心配になり声をかけようとした時、怜が顔を上げた。

「決めた!きょーくんや!」

「は…?」


何を決めたのか怜はドヤ顔でそんなことを言った。


「は…?やない 京太郎のあだ名や 呼びやすいやろ?」

「はぁ」


怜は、なんや気の抜けた返事やなーと何が可笑しいのかカラカラと笑っていた。


「私の事は、怜って呼んでな?敬語もいらんで」

「え…でもいきなり呼び捨ては…」

「むー助けてくれたときは積極的だったくせに」

「それは…」


なんだろうか、さっきから押されっぱなしだなーと少し笑った。


「ほら、名前呼んで?」

「と…怜さん?」

「さんはいらん!もう一度!ワンモアや!」

「と…怜!」


やけくそ気味に名前を呼んだ。


「うん!」


怜は輝くような笑顔で京太郎の声に答える。


(不安もあるどうしたらいいのかさえわからないし 咲達がどうなったのか知らない でも…)


京太郎は怜がいまだに座り込んでるのに気づき怜に手を差し出す。

怜はその手をきょとんと不思議そうに見るがすぐに理由に気づき手を取った。


「これからよろしくな 怜」

「ふふ…よろしくな きょーくん」


この人が一緒ならどんな未来も乗り越えていける そんな気がした。






「さてこれからどうしましょうね?」


怜の手を取って立ち上がらせて京太郎は意見を求めた。


「せやな。とりあえず砂浜辺りを探索して使えそうな物ないか、他の人がいないか確認しようや」

「それが無難ですかね」


怜の意見を聞き入れ二人は行動を開始する。

船の備品だろうか?砂浜には様々なものが流れ着いていた。



「よっしゃぁ!!」

「おー結構みつかったなぁ これならやっていけそうやね」


1時間ぐらいの探索でかなりの物が得られた。

京太郎はガッツポーズをし喜び、怜は安心したように微笑んだ。

そんな怜の様子を見て京太郎は無理してたのだろうかと思い…


「怜…」


「ん…どないしたん?きょーくん?」


「俺は何があろうと怜を守るから」


「へ…は…え…?」


「うん、決めた!そう決めた!やってやるぞー!」


いきなりの発言で戸惑い気味の怜の横で京太郎はあらためて誓いを立て両手を挙げて気合を入れる。

そんな様子を見ていた怜は、先ほどの発言を徐々に理解し


「この未来は見えんかったな ずるいわ、きょーくん」


頬を少し赤らめてはにかむ様に呟いた。





その後近くの崖にあった5つの洞窟の中を確認し安全だと判断 ここを拠点に動いていこうと相談しあった。


「ここ拠点としてつかえそうだな」

「雨や風とか防げるしいい感じや」

「荷物はここに置いといたほうがいいな」


京太郎が先ほどの荷物を下ろし一息つく せやなと京太郎の意見に賛成し怜は疲れたように座り込んだ。


「怜、大丈夫か?」

「大丈夫…と言いたいんやけど、少し疲れたな」


無理もないことだった。浜辺にいつ流れ着いたかはわからないが、あのような事件があった後だ。

精神的にも体力的にもきつかった。

一刻も早く動きたい京太郎であったが自分自身も疲れていたこともあり 今日はここで休むことにした。

二人は携帯食料を食べ水を補給し一息つくとポリタンクの水と布を使い海水にさらされていた体と服を着替えた。




夜になり辺りを闇を覆い始めた頃 京太郎は昼の間に集めておいた薪とマッチを使い焚き火をつける。

二人は焚き火を見つめながら昼の間に乾かしておいた毛布を二人で寄り添う形で使用する。

ぼーと焚き火を見つめる二人の間には沈黙が降りた。

どのぐらい経ったろうか?沈黙に耐えられなかったか定かではないが、ポツリポツリと二人はお互いのことを話始めた。

自分の好きな食べ物、嫌いな食べ物、楽しかったこと、悲しかったこと、友人の話、京太郎と怜は眠くなるまで話ていた。

辺りを闇が完璧に覆った頃二人は自然と眠りについた。

一日目終了






二日目開始(快晴)



「ん…朝か?」


いつの間にか寝てしまったらしい…

朝日が顔に当たり京太郎は起きた。


「……眠い」


朝日が昇ったばかりであろう時間 疲れた体はいまだに睡眠を求める京太郎はうとうとと覚醒してない頭で

抗おうとしたが無駄な抵抗だったようだ。

近くにあった柔らかく暖かい良い匂いがする物を抱き寄せまた眠りにつく。






それから暫くして自分の名前を呼ぶ女性の声が聞こえてきた。


「…っくん」

「んー?」

「きょーくん?」

「…おはよぅ」


あぁ…怜の声だったのかと納得しぼーとしながら朝の挨拶をする。

…やけに近かったような?

状況を確認していく 目の前には鼻と鼻がくっつきそうなぐらい近い怜の顔

怜の腰と肩に回され抱きつく形で引き寄せている自分の腕…

あぁ…柔らかいなーと現実逃避する。


「だぁ…!え!なぁ、あばばばばばば」

「おはよーさん、とりあえず離してくれると嬉しいやけど…」



うろたえ奇声を発する京太郎に少し困ったようにもじもじと動く怜



「ふふ…積極的やな」

「か…顔あらってきますぅぅぅ!」


顔が沸騰しそうなほど赤くなり脱兎の如し京太郎は外へと駆け出していった。


「どこで顔を洗うつもりなんやろ?」


くすくすと手を口に当て上品に笑う怜の顔も京太郎と同じぐらい赤かった。





朝の食事を終え 二人はこれからのことを相談しながら外へ出た。

眩しい朝日に京太郎は目を細め 腕を上に伸ばし伸びをした。


「っ!」


そんな京太郎の後ろで微笑ましく見ていた怜だったが急に顔を歪めた。




(あかん…あかん!なんでや!なんで麻雀やないのに未来が視えるんや!!しかもこれは…)

急に黙り込んだ怜を心配し京太郎は怜の顔を覗きながら声をかけた。


「どうした?具合まだ悪いのか?」

(どうしよ この未来をきょーくんに話す?でもそうしたらきょーくんは…)


京太郎に声をかけられても怜は困惑、思考、混乱、様々な状態に答えれなかった。


「なぁ…何を悩んでるのかわからないが、大事なことなんだな?」

「…」


京太郎に心のうちを当てられ怜は決意する。


「これから話す事を信じてほしい!私な未来が視えるんや!嘘やない!」

「…」


予想外の言葉に京太郎は声が出なかった。

そんな様子に怜は 信じてもらえなかったのかと不安になり京太郎に縋り付く。


「本当や!信じて!」


必死な声 怜の目の縁に涙が見えた。


「わかった 信じるよ」


京太郎は怜の頬に手をあて涙を救い上げた。

「それで何が視えたんだ?」

「あんな…あんなっ…人や、ここから砂浜を左の方に進むと人が居って動物に襲われてる未来や」

「それは…」

「このまま見過ごせば その人はたぶん…でも助けに行けば京太郎が…」


出来れば人は助けたい。だがその為には京太郎が危険に晒される。京太郎に何かあったら自分は堪えられないだろう。

苦渋の選択、視たくなかった未来 少女は苦悩し泣いてしまう。


(…どうするか 助ける?見捨てる?)


京太郎は思考する。








京太郎と怜が駆けつけるとそこには海を背に後ずさる女性と森のほうからゆっくりと顔を出す猪が見えた。

いざ助けようと京太郎は動こうとするが 体が動かなかった。


(あれ?なんで…なんで動かない!)


京太郎の体は震えていた。

当たり前のことだ、強がっていても京太郎は高校生 野生の猪なんて初めて見るし戦うなんてことも

今までの人生で友達との軽い喧嘩ぐらいだ。

手は震え汗ばみ 顔には冷や汗をかいている。


(たのむ…怖い…たのむ…怖い、怖い)


京太郎を恐怖が蝕んだ。





そんな時、背中からふいに抱きしめられた。

怜だ。


「あ…え…」

「ごめんな…私が未来を視てしまったから、怖いよね」

「…」

「きょーくん 私を守ってくれるっていったよね?あの時、私はものすごく嬉しかったんや」

「…」

「そんとき 決めたんよ」

「何を…だ?」

怜の独白 京太郎は静かに聞きいっていた。恐怖が少し和らいだ。






「きょーくんに守ってもらえるなら 私はきょーくんの心を守ろうって」

「っ」

「何があっても 私はきょーくんの傍からいなくならない」

「何があろうと 私はきょーくんの味方でいようって」

「勝手な女やろ?」


怜はふふっと軽く笑った。

京太郎も笑った、うん、勝手な女だと呟く。

もう恐怖は無い 女性にここまで言わせたのだ。



「でも…でも!いい女だっ!!!」

「きょーくん!見せたってや!!きょーくんという男を!」


猪が走る用意をしているのが見えた。

時間がない 

怜が京太郎から離れ背中に向かって バァン!と手を打ち付ける!

同時に京太郎と猪も走り出す!

「いったてや!」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」




女性は猪の突進を見て諦めた。諦めてしまった。

ここは漫画でもないアニメでもない゛現実 ゛だ。

でも…現実でも救いはある ヒーローもここにいる!!!!

京太郎のほうが速かった。

怜はそのまま京太郎が女性を引き連れて避けるものだと思っていた。

未来でもそう 視えていた。

だが未来はかわる 斜めの方向に 誰も予測しない方に

京太郎は……


「ふんぬぅ!!!」

「は?」

「え?」

「ぶも!?」


猪を真正面から受け止めたのだ。

流石の行動に怜も女性も猪もかたまった。


「うぉぉぉぉ!!!」


京太郎は猪の牙を両手で掴み気合の雄たけびを上げ猪を横に投げた!








投げられた猪は怪我をしていたこともあり起き上がれなかった。

その様子を見て京太郎は チャンスだ!と攻撃を仕掛ける。

もう一度雄たけびを上げ猪の頭に正拳突きを撃ち込む!






戦闘は終わった。

いや戦闘といえるものではなかった、圧倒的!圧倒的過ぎた!


「ふぅ…なんとかなるもんだな」


京太郎は一息はき そんなことをぼやいた。


(いや ねーよ)


怜と助けられた女性の心はリンクしていた。


怜が駆け寄ってきた。


「怪我はない?きょーくん」


圧倒的でも猪の突進を真正面から受けたのだ、流石に心配になった。


「おう!問題なしだ!」


怜に向け笑顔で答えた。


「良かった…本当に良かった…」


少し涙ぐみながら えへへと怜も笑った。


「あのぉ・・・」


女性が声をかけてきた。






  • if-

京太郎と怜が駆けつけるとそこには海を背に後ずさる女性と森のほうからゆっくりと顔を出す…顔を出す…


「…」

「…」

「いやー!助けてー!」


京太郎と怜は森から顔を出した存在を見て微妙な顔をした。

女性は必死に助けを呼んでいるが…


「…なぁ」

「なんや?」

「あれが獣?」

「…たぶん」


京太郎は森から出てきた 人 に指を向けた。


「がぉー」

「爽!悪かった!私が悪かったから!」

「ぐるるるる」


女性が 森から出てきた人に対して謝る。

どうやら爽という名前らしい。


「しゃぁぁぁー!」

「いーやぁぁぁぁぁぁ」


爽?が威嚇をし女性に襲い掛かる。

女性は呆気なく捕まりもみくちゃにされ 動かなくなったところを爽?という女性に首根っこを捕まれ

引きづられて行った。


「…」

「…」

「怜…後でおしおきな」

「なんでや!?」



「咲違う 帰りはこっち お菓子の匂いがするから間違いない」

お姉ちゃん 違うよ!こっちだよ」

「どちらも違いますけど…」

「だ~か~ら!今日の晩御飯はから揚げや!」

「作れるかアホ!」

「なんやと!?」

「やるか!?」

「ワハハ モモ かおりん 手伝ってくれ」

「えっと…こっちから気配が…」

「反対側っすよ」

「この料理にはこのキノコば入れっぎ美味しか」

「流石!部長」

「すばっ!?駄目ですよ!?それ毒です!」

「なんもかんも政治が悪い」


  • 今日も無人島は平和です-

カン!








声をかけられ京太郎と怜は あらためて女性へと目をむけた。

その女性は 上着を肩から羽織 身長は女性にしては高く京太郎と大体10cmぐらいしか差もないだろう。

怜と並ぶとなおわかりやすかった。

同時に京太郎はその女性に見覚えがあった。


(あれ…この人 確か全国大会準決勝の…)

「あ!思い出した!有珠山高校の岩館揺杏さん!」


ポンッと手を叩き 驚きながらまじまじと揺杏を見つめた。


「あれ?私、結構有名人?照れるなー」


京太郎の言葉に頭に手を当て照れ照れとちゃかしながら答えた。


「麻雀全国大会の準決勝でウチの部長と戦ってましたからね」

「あぁー…うん…わかってたよ そっちかー」

照れていた揺杏は京太郎の発言で顔を引きつらせた。

揺杏も覚えている。覚えている。全国…準決勝 


゛なんやこいつら 下位同士の悪巧みか ゛

゛私のこと勘違いしてるわ ゛

゛これは 殺しにいったほうがいいかもしれません ゛

゛せっかく楽しんでたのにケチついたよー ゛

゛ぐすっ…ちっくしょ…゛




                     ちっくしょ






「…さん?岩館さん!」


はっと思考に飲まれかけていた揺杏を京太郎の声が呼び戻した。

ふと視線を向けると助けてくれた男女の二人組がこちらに心配そうな視線をむけていた。


「あーごめんごめん ちょっと考え事しちゃってたわ」

「そっか 猪のせいでどこか怪我とかしとるんかと 心配したわ」

「怪我とかはないかな いやー疲れたけど」

「まぁ無理もないですね いろんなことが一度に起きてますからね」

(そのうちのひとつが少年のせいなんだけどね~…猪倒しちゃったよ げっろ)


その後、ここで話し合ってるのもどうかと思う と怜の発言により揺杏を拠点で休ませることにした。

「ところできょーくん」

「何だ?怜」

「その猪どうするん?」


怜が指を向ける先には先ほど倒した猪が倒れていた。


(さて…どうするかな)


京太郎は思考する。





「持って帰りましょう!」

「え…」

「マジで…?」

京太郎は猪のほうに袖を腕まくりし歩いていく。そんな様子を見て女性二人は まさか という顔をした。










「うん 両手で引きずれば何とかいけるな」

「…あの猪どーみても100kg以上あるっしょ」

「あー…きょーくんやし」

「まぁ…頼れる少年だな」






その後 拠点に戻り軽く自己紹介をして揺杏の話を聞くことになった。

話を聞くと彼女もパーティに参加していたらしい。事故があった後、救命ボートに友達と乗り込んだが

大きな波に飲み込まれここに漂着したそうだ。森に食べ物を探しに行ったら猪と出会い今にいたる。


「大体一緒ですね」

(あむあむ…携帯食料食いずらいな~)

(なんで怜も食べてるんだろ)

「いやー死んだなと思ったんだけど なんとかなるもんだね」

「食料と水も恵んでくれるし もう体で返すしかないかな ははは」


3人で情報を交換しつつ食事を進めていく。


その後は自分達の事を話あった。

「そういえば怜は結構 安易な行動してるように見えるんだけどな」

「覚悟はできとるからな!」クワッ

「なんもしないけどな」

「「へたれ」」

「なんで!?」



「私のことは怜と同じく呼び捨ての敬語なしでいいよ」

「そういえば キミのことはなんと呼べばいいのかな?」

「えっと…」






「わかった 今日からそう呼ぶね よろしく 京太郎」

「よろしく揺杏」

二人は握手をした。






二日目-朝-(快晴)



「そういえば 怜はいつから未来が視えるんだ?」

「んー実は麻雀のときしか一巡先見えんかったんやけど…」

「あーそういえば部長とかも言ってたっけ ゛千里山の園城寺 怜は一巡先を見れる ゛って」

「ん それがなんでか現実でも視れる様になったんか 不明やわ」

「今まで視えなかったのか」

「この島に入ってからやね」

「何かこの島にはあるのか?」





「さてこの猪を解体しちまうか」

「…出来るのだろうか?」





「うっしやるか」

京太郎は上半身裸になり解体にかかった。

「くっやっぱりナイフじゃ少しつらいな」

「えっと切り方は…こうでいいんだったな」

京太郎のナイフはまるでバターを溶かすかのように繊細に時に大胆に動き肉をそぎ落としていく。

「なんだ結構いけるじゃないか!」

調子よく解体していた京太郎だったが次から次へと流れる血とさまざまな 内臓によって少し参ってしまった。

「うげぇ…調子悪くなってきた」





▽拠点の掃除・整理▽

「ちゃっちゃとやっちゃうか」

「おー!」

揺杏の問いにやる気あるのかないのかわからない声で怜が答えた。





「これはいる これはいらない」

「これなんて使えそうやな!」

二人はいらない物はきっぱりと捨てれる人間のようだ。




「さてどうしようか?」

二日目-昼-(快晴)






▽怜 砂浜探索▽

「なんかないかなー」

「んー・・・?あれこれってヤシの実?」

「おー実物初めて見たわ」

怜はヤシの実を持ってきたリュックに入れて散歩してから戻りました。



▽ゆりあんのドキドキクッキング▽料理+パートナーと話

「始まりまりました!ゆりあんのドキドキクッキング!いぇーい!」

「いぇーい!」


揺杏と京太郎はテンション高めにハイタッチをした


「今日は何を作るんですか?先生」

「なんと猪の肉と骨を使い骨付き肉を作ろうと思います。」

「骨付き肉?」

「骨付き肉」

「…」

「…」

「なんの…「さぁ!始めて行きましょう!」…」


「骨付き肉の完成です!」

「これは?」

「゛骨 ゛のついた゛肉 ゛」

「骨つき肉」

「…」

自信満々の揺杏になんとも言えない京太郎であった。




二日目-晩-(快晴)

▽警邏▽

「危なくないように見回っておかないとな」

「せやな」


「悪いことにはならんな 野生の動物と出会う事はないで」

「未来予知か?助かるな」



「…」

「…」

「なぁ きょーくん」

「なんだ 怜」

「警邏って散歩?」

「散歩じゃないと思いたいな」


  • 夜のミーティング-

「今日の課題はこれかな」

「なんやろ」

「どれどれ」


「何につかうん?」

「なかなか手触りいいね」

「使い先はそうだな」

「服や下着にするってのはどうだ?」

「あー着たきりやもんね」

「確かにつらいしなー」

「ところで誰が作るん?」

「…」

当たり前だが京太郎は服や下着など作ったことがない 怜も同様であった


「ふっふっふ」


二人が困っていると揺杏がニヤニヤと笑い出した。


「私がいる!お姉さんにまかせなさい」


えっへんと若干偉そうに揺杏がない胸をはった。


「できるの!?」

「おーすごいな」

「できないわけがない」

「ただし 道具がないとどうにもならないけどね あと毛皮も処理しないと」

「わかった道具とかそろったら頼むよ」

「たのんます」

「まかせなさい!」






寝る頃になって京太郎は毛布を二人に差し出すが二人は京太郎を真ん中に川の字で寝ることを提案

京太郎は断ったが最後には折れ提案を呑むことにした。

「いいのかー…」

「いいんや これで」

「OKOK大丈夫だって」


二日目終了









京太郎は夢を見た

  • ○○○○の大冒険-


「あ…逃げられた」


とある川で一人の女の子がそう呟いた。

ぐぐぅぅ~ と可愛らしい音が聞こえ女の子はお腹を押さえる。

金髪がよく映える女の子で頭の上にうさぎの耳みたいな赤いカチューシャをつけていた。


「うぅ…」


とぼとぼと川から上がり木のそばに座ると小さな小さな木の実を少しずつ齧り食べていく。


「気息奄奄」

「まさに衣の事だな」


少女の上には爛々と輝く月だけが見守っていた。


残り…3日


  • ころたんの大冒険・1終わり-








  • ○○襲来-

それは朝起きて朝食を終え さぁ行動を開始しようかとした時に起こった。

キュピーン!

怜「はっ!?この感じは!?」

京「怜 どうした?何か視えたのか?」

揺「見えたって何が?」


京太郎は怜の未来予知を知っているため何となく察することが出来た。

逆に揺杏は何が?と疑問を浮かべる。


怜「あっちのほうからや!」


怜は砂浜の右を向き指を指す


京「!?」


すぐさま京太郎は戦闘態勢を整える。揺杏はそんな様子を見て何が起こるのかと緊張した。


京「怜何が視えたんだ?」

怜「構えなくても大丈夫やで 今回は良い事や♪」


そんな怜の言葉に二人は緊張を解き 怜の指差した方角を目を細め見守った。

どのぐらい経ったろうか?見守っていたほうを見ていると遠くに砂煙が見えてきた。



??「-----きぃ」

怜「あ 来た!」

京「なにか 聞こえてきたな」

??「-----ときぃ」

揺「何だ あれ!?」


怜?を呼ぶ声と砂煙が近づいて来る。予想外のことに京太郎と揺杏はポカーンと呆気に取られた。

どんどん距離は縮まり目視できるところまで近づいてきた。


怜「あ・・・あかん それ」

京「へ?」


怜は近づいて来る人?の様子を見て呟いた。

その後京太郎の腕を掴むと自分の前に誘導し…


怜「流石にあの抱擁は受けたら私死んでしまうわ」

京「ふへ!?」

??「怜!!」

京「おもちっ!?」




揺杏は目の前の光景を見てそれしかいえなかった。

  • 竜華襲来 終わり-








三日目-朝-(快晴)

衝撃的な再開を終えとりあえず朝食をとることにした3人は落ち着いてから竜華の話を聞くことにした。


竜「そっか 怜を助けてくれたのは 須賀君なんやね」

怜「あの時はホンマに諦めてたわ」

揺「やるねぇ~京太郎」ニヤニヤ

京「あ~…う~…あ、当たり前のことをしたまでで」


3人の女性に褒められてしどろもどろになり京太郎は顔を赤くした。

竜「なかなか出来ることじゃないで?ありがとな 親友助けてくれて」

京「いえいえいえ たいしたことじゃ」
京(揺れた!おもちが揺れた!)

竜華は京太郎の手を握り感謝をした その際に京太郎の前で豊満な胸が揺れ

京太郎はこの無人島に漂着してから一番の感動を覚えた。


怜「…」ぺたぺた

揺「…」ぺたぺた


そんな様子を見ていた他の二人は自分の胸に手を当てた。



三日目-朝-(快晴)




▽近くの森▽

京「なんだかんだ まったく手をつけてなかったな」

京「水源とかあればいいのだけど」

京「あれ…?木の実の食べかす?リスでもいたのかな」

京「!」

京「まさか!」

音のほうに走り出した。

距離は近く すぐに着いた。

京「川だ!」

▽掃除▽

怜「うんしょっと」

竜「!怜そんな重いもん持ったらアカン!」

怜「これはこっちかな」フラフラ

竜「!?アカン アカン!ウチがやるから」

怜「…」

竜「~♪」

掃除はあまり進まなかったようだ。

▽近くの砂浜▽

揺「私も役にたたないとね~」

揺「お?これは…」

揺「まぁまぁかな」

揺(・・・みんな大丈夫かな)

三日目-昼-(快晴)

京太郎が森に向かってる途中で砂浜に座り込んで何かしている揺杏を見つけた。


京「なにしてんだ?」

揺「んー勉強をね」


砂浜に木の棒を使って何かの問題を解いていた。


京「こんなときに?」

揺「まーねぇ こんなときだからこそかな」

揺「すこしでも役に立ちたいし まぁ頭を軽く動かすぐらいだけど」


揺杏はカラカラと笑いながらも式を解いていった。


京「えらいな…」


京太郎がぽつりともらした。


揺「んー京太郎のがえらいと思うよ 私は?」


しばらく話し込みました。

▽近くの森▽

京「本日2回目だな 何かあればいいが」

京「これとこれとこれも!使えるものばっかりだな!」

京「大量♪大量♪」

京「ん…?」

京「…」

京「気のせいか」

大量の物資を持って京太郎は戻っていった。

ガサ

???「…」



竜「さぁ!頑張って作るで!」

怜「おー!」

竜「怜 応援よろしくな」ニッコリ

怜「…」

怜「応援したら膝枕してくれる?」

竜「ええで♪」

怜「頑張れ!りゅーか!」

竜「ん!まかせとき!」

三日目-晩-(快晴)

▽近くの森(夜)▽


京太郎は何かに導かれるように灯のない中 足を止める事もなく進んでいく。


京「…」


しばらく歩くと朝方に見つけた 川にたどり着いた。

京太郎はその川の真ん中に目を向ける。

川の中心には゛満月 ゛が映し出されていた。


???「よく ここにたどり着いた」

京「ハギヨシさんに感謝…ですかね」

京「ハギヨシさんの所で修行させてもらってるとき よくあなたのお世話をさせていただきましたから」

???「…それにしては遅いのではないか?」

京「そこは…修行不足ですかね?」


京太郎はどこからともなく聞こえてくる 声に何の疑問も持たずに答える。

???「…怖かった」

京「はい」

???「…昔のようにみんな衣のそばからいなくなって」

京「…」

???「お腹も空いた…様々な下等生物にも怯えた」


いつのまにか川の中心に映っていた満月の代わりに一人の少女が現れていた。


???「一時には一切合切どうでもよくなった!」


少女は空に浮かんでいる満月に手を伸ばした。

手が届かないとわかると手を引っ込めて京太郎へと顔を向けた。


衣「遅いぞ ゛京太郎 ゛」

京「遅くなっちまったな ごめんな ゛衣 ゛」


衣が京太郎へと駆け出し抱きついた。

京太郎はそれが当たり前のように 優しく抱きしめた。

それに気づき衣は泣き出した。今までの全ての不安を恐怖をはきだすように…




怜「ままならんなー」

竜「少しずつ成長していこうな」

揺「さて 何をしようか?」

揺「てやりの鑑定ね?」

揺「おっし!成功やっりぃ~!」

揺「…むなしい」



  • 夜のミーティング-

怜「…」

竜「…」

揺「…」

衣「♪」

京「…」

京(帰りたい)

衣が京太郎にコアラのように張り付いている。


京「きょ…今日のお題!!」

怜「逃げた」

竜「逃げた」

揺「逃げやがたった」








京「…ここは?」

太陽の光が顔を照らし京太郎は目覚めた。

痛む頭を庇いながら身を起こし辺りを見渡すとどうやら砂浜のようだ。

京「そっか……船が沈没して」

状況を思い出し京太郎は途方にくれた。

???「ん…」

そんな時横で人の声がした。

京太郎が助けた女性だ。

京「!」

京「大丈夫ですか!?」

京太郎が気づき 女性に声をかける。

姫子「大丈夫ばい」

京「ばい?」

姫子「ぬっかにゃ~ここはどことやなかろか?」

京「ぬ?」

姫子「君が助けてくれたの?」

京「はっはい」

京(…どこの方言?)

姫子はよろしくね~とにこやかに声をかけているが 京太郎はこの先やっていけるか不安になった。

主に言葉のせいで。

カン!





京「衣 フィールド張ってくれるか?」

衣「お安い御用だ!」

怜「フィールド?」

揺「…チート?」

怜「私の未来予知もあれやけどレベルが違うな~」

竜「これが牌に愛された子…」

京「流石だな…俺も精進しないと!」

衣「衣は、猪の突進を止めただけでも十分すごいと思うのだがな」

  • 三日目終了します-

京太郎は夢を見る

  • 森の主 ○○ちゃん-

森の中を一つの影が駆け抜けていく。よくみると小学生ぐらいの少女のようだ。

少女の走りは非常に滑らかで繊細だ。大きな木があれば手も使わず駆け上り 崖があれば近くの枝を勢いよく掴み

その反動で飛び越えていく。一度も止まることなく駆ける翔ける。

ときたま 何かを探すように辺りを見渡すがすぐに次へと向かう。

野生の動物に会うときもある だが少女には関係なかった。

野生の動物?振り切ってしまえばいいのだ。熊も猪も狼も全て全て!

誰も寄せ付けない圧倒的な存在はまさに 森の主であった。

少女は止まらない 止められる存在も……


「あっ!バナナだ!」


訂正、少女の足が止まった。

少女はバナナ?らしきものを手に取る。


(これは食べれるものだ)


少女はバナナに似た食べ物を何の警戒もなく口に入れる。


「うん うまい」

「それにしても誰にも会わないな」

「んー…」

「やっぱり高いところから探したほうがいいよね」

「山にいこう!山に!」


食事を終え少女はまた駆け出していく 本能のままに島の真ん中にそびえる山に向かって。


  • 森の主 穏乃ちゃん-



四日目-朝-(快晴)加護:満月


京「んー問題ないな」

怜「こっちも大丈夫や」

竜「順調やね」

3人は砂浜を並んで歩いていく。

すると 「えい」と 怜が京太郎の腕に捕まりそのまま自分の腕を組んだ。

京「怜?」

いきなりのことに驚き怜の名前を呼ぶ。戸惑っていると逆からも衝撃を受ける。

京「りゅ…竜華さん!?」

竜華も腕を組んだ。困惑する京太郎をよそに二人は京太郎と腕を組み 3人で砂浜を歩いていく。


揺「念のため調べておくかな」

衣「これを調べるのか?」

揺「ん~~駄目だなこりゃ 痛んでるね」

衣「話を聞くにその猪は手負いだったのだろう?」

揺「そうだね まぁなんとかなるかな」



京「なにかあるかな?」

全員で砂浜を探していると

揺「あっ!」

衣「む?」

怜「つかえそーやな」

竜「これって・・・」

京「ラッキー・・・かな」



怜「やるでー」

竜「綺麗にせんとな」

怜「きれいになったな」

竜「まだやるところも多いけどな~」








R-18 注意!↓小ネタ<現メンバー酒池肉林>

京太郎は一日の疲れを取るべく一人 温泉に入りに来ていた。

温泉は広く10M幅はあるだろうか?


京「いや~まさか拠点の傍に温泉が湧いていたとは…」




見つけたのは偶然だった。拠点の傍を探索していなかったと思いつき探索したところ。

死角になっているところに温泉が沸いていた。当たり前だがそのままでは熱すぎて入ることができないので

源泉の近くに10M 幅の穴を掘り下を平たい石などをひきつめる。源泉からそこにお湯が流れるように

溝を掘り お湯を流し込む。いっぱいになった所で予め作っておいた木の板で源泉からの配給をストップさせる。

あとは入れるようになるまで 放置しちょうどいい頃になったら入る。冷めていたら源泉からお湯を足せばいいのだ。

まだまだ問題点はあったが いつでも入れる状態の温泉は嬉しいものだった。

温泉の一部は穴を浅く掘ってあり寝そべって入れるようになっている。

ゆったりと入れるので京太郎は そこで夜空を見ながら入るのが好きだった。


?「…」


疲れもあり うとうとと舟を漕ぐ京太郎は入ってきた人物に気づかなかった。

気づいたのはその人物が自分の上に覆いかぶさってからだった。

京「なっなんだ!?」

怜「油断大敵やな きょーくん♪」


体の上に乗られてあまり自由の利かない体に驚き 唯一動かせる顔を下に向けた。

すると してやったりと京太郎の体の上に寝そべる ドヤ顔の怜の顔が近くに見えた。

夢かな?と一瞬考え 怜の顔を確認したあと 目線をつい怜の後ろのほうに向けてしまった。

怜のうなじが見え 下に下にと視線を向けると 桃のような可愛らしいお尻が見えた。


京「っ!!!」


京太郎は理解したと同時に顔を赤くした。

普段から 病弱 病弱 と自分の事をアピールしている怜の体は 実際に白く美しいものだった。

きめ細かく白い肌 怜は竜華ほどではないが胸も結構ある。


京「なっ!何してるんだ 怜!」

怜「なにって いつも頑張っているきょーくんに感謝の印を…」


それだけを言うと うんしょと声を出し怜は京太郎の上で体を動かし始めた。


気持ちいい  気持ちよかった。


困惑する京太郎だったが体のほうは素直だった。

女の子の体ってこんなに柔らかいんだなと 現実逃避していると 京太郎は自分の下半身に血が集まるのを感じた。


(やばい!やばい!このままじゃ)


京「とっ怜!どっ退いてくれ!」

怜「やーや♪」


京太郎の必死の声に 怜はどこか嬉しそうな声を出して拒否する。

密着している怜にはもちろん 京太郎自身も自分の息子がそり立っているのがわかった。

にしし きょーくんも男の子やな と体をもぞもぞと動かした。

しばらくするとぴょこんと京太郎の竿が怜のお尻の付け根から顔を出した。

そんな京太郎の竿を怜は えい♪ と自分の秘所とふとももで挟んで逃がさないようにした。


京「ッッ!」

怜「あっん…♪」


京太郎は怜のお尻とふとももの間から見える自分の息子を見て理解が追いつかなかった。

そんな京太郎を気にせず 怜は、はさんだまま腰を少し浮かせ下げる浮かせては下げる動作をした。


(…気持ちいいな)


手とは違った柔らかい感触に思わずうめきを上げた。


京「ここここれってす …すまっ!」

怜「素股でごめんな 本当は入れてあげたいんやけど」

怜「ここ無人島やし 避妊用具もないからな」

怜「ん あ あん♪」


怜はうろたえる京太郎をよそに ぎこちない動きで腰を動かし快楽を与えていく。

京太郎の頭をさまざま思考がよぎる。止めないと!でも気持ちがいい…いやいやここは紳士的にと

よぎっては過ぎていく。


怜「ええんよ」

京「え?」

怜「私は病弱やし体力もないし竜華みたいに料理もうまーない」

怜「だからせめて 体できょーくんを癒したいんや」

京「怜」


そういった怜の顔は頬を少し赤らめていた。

怜「女にここまでさせたら 男がすることはひとつやろ?」

京「いいんだな?」

怜「しつこいで?」


その言葉で最後だった。

京太郎は両手で怜のお尻を掴み 揉みながら自分の腰を上下に動かし始めた。


怜「あ!ん…♪あっ、あぁぁ」


怜は自分で動いていた時と違い激しい動きに快楽が押し寄せてきた。

京太郎は怜を気遣っている余裕がなくなり この気持ちのいいことをやめて たまるかと体を動かしていく。


怜「ひぅ…はっはげしいぃ…ひあぁ」

京「すまん!止まらない このまま!」

怜「いってまう!私のほうが先に!」

京「っ!」


その瞬間京太郎はいままで感じたことのない脱力感に襲われた。


怜「~~~~~~ッ!」


怜も同様に声にならない声を上げ体を限界まで反らした。

はぁはぁとお互い息を吐き整えている間 京太郎は怜のお尻に視線を向けた。

怜の体は行為のせいだろうか?ほんのり赤みをましていた。桃みたいな小ぶりのお尻を見ると

京太郎がだしたであろう精子が白く怜の体を汚しているのが見えた。

京太郎はごくりと唾を飲み込んだ。もっともっとだ と心がざわめく…

気づいたら行動をしていた 怜の腰に手を回し怜の体を自分の上のほうに動かした。

きょーくん?と行為のせいで とろんとした顔を京太郎に不思議そうに顔を向けた。

そんな様子にも京太郎は可愛いなと感じたが手は止めなかった。

片手を腰に回したままもう片方で怜の後頭部に手を添えそのまま怜の唇を強引に奪った。


怜「っ!?」


怜が驚いてるのが良く見えた だが今の京太郎にはどうでもいいことだった。

ひたすら貪るそれだけだ。

怜の口を強引に開け舌をいれ口の中を犯していく。

上 下 歯の裏側 舌 様々な所を自分の舌で絡めていく。

しばらく怜は、なされるがままだったが頭の理解が追いついたのだろう。

目を閉じ自らも京太郎の舌へと自分の舌を絡めて行く。

お互いにキスすら初めてな二人は最初はぎこちなく 時折口を離し息を整え 

しばらくするとまたその行為に没頭していく。

どのぐらい経ったろうか?京太郎は先ほど出したばかりの息子が復活していた。

キスも気持ちがいいが先ほどの素股も良かった。

またしてもらおうと怜の腰に両手で掴み体を下にスライドさせた。

その動きで怜も気づいたのだろう。

好きやな~といいながらも嬉しそうに京太郎の竿を股に挟んでいく。

先ほどの素股の感触を思い出し京太郎は胸が爆発してしまうんじゃないか?というほど早くなっているのがわかった。

早く 早く さっきの気持ちいいことを…


さぁ2回戦に突入しようとした その時…

??「ちょーまってや!お二人さん!」

京「はぇ?」

怜「遅いでーりゅーか」

竜華「しょうがないやん 来たら来たで ずっと二人でいちゃいちゃと…」


そんなにしてた? してたわ アホ まってる間寒かったんやから と暢気に話をしている怜と竜華を

尻目に京太郎の頭は今日何回目になるかわからない思考停止が襲った。


竜「怜そこどいてくへん?」

怜「やー♪」

京「…」

竜「もう!ウチが奉仕できへんやん」

怜「りゅうーかは頭のほうお願いや」

竜「頭か~…わかったわ」


怜と竜華がそんな話をしていると竜華は京太郎の頭のほうへと回りこみ そっと京太郎の頭を上げその下に

自分の太ももを置いた。膝枕だ。


京「りゅりゅりゅ 竜華さん!これは!その…あれで!」


怜と同じで裸で入ってきた竜華にたいして 言い訳らしきものが京太郎の口からもらされた。


京「あれで…んむっ!?」


京太郎の顔の上に柔らかい大きな人肌の物体が乗っかってきた。

いきなりのことで京太郎は目の前の物体を両手で鷲づかみにした。


竜「やん♪大胆やな 京くん」


それは竜華の胸であった。

(む…むね?胸?おも…おもち!)


京太郎は胸が大好きだ。おっぱい星人だ。無人島に来てから生きるのに必死だった為なりを潜めていたが

初めて生で見て触るおもちに理性は簡単に吹っ飛んでいった。

そんな京太郎の様子を見て竜華は 好きにしてええよーと声をかける。

最初は感触を確かめるように優しく揉みしだいていく。


竜「あ…あはぁ♪ ん」


そんな手の動きに竜華はくすぐったそうにどこか気持ちよさそうに声を上げる。

そんな声を聞き京太郎の動きは大胆になる 手をまさぐり手が突起物に触れた。

京太郎はその突起物を優しくつまんでいく。


(乳首って性感帯なんだっけ…)


京太郎は昔みたエロ雑誌の情報を思い出していた。

最初は乳首を優しくはさむように触り 次に周りの乳輪をなぞるように触っていく。


竜「あん♪ひぐっ…はぁ…あはぁ♪」

(焦らすのがポイントだっけかな?)


本で得た知識を思い出しながら攻めていく。

そんな感じに乳くりあっている二人をつまらなそうに見ている人物がいた 怜だ。

さっきまで乳くりあってたのは自分だ、次は竜華の番ってのもわかる でも面白くなかった。

怜は頬をぷく~と風船のように膨らませた後、思い出したのか素股を開始する。


京「ふあぁ!?」


おもちに夢中だった京太郎はいきなりの快楽に驚きの声を上げる。

慌てて怜のほうに顔をむけると怜がニマァ~と してやったりと顔をしていた。

その後 驚く京太郎を見て満足したのかゆっくりゆっくりまた腰を動かし始めた。

上には竜華 下には怜 ここは無人島ではなく゛楽園 ″なのだと理解した。

乳首 吸ってほしいな~と竜華に誘われ 京太郎はゆっくりと乳首に口を近づかせる。

口が触れそうになったとき また第三者の声が聞こえてきた。



??「おーおーやってるねー」

?「衣も混ぜてもらうぞ!」


目を向けると裸の揺杏と衣がいた。

今度は驚きはなかった。当たり前なんだろうとも思った。


衣「ふむ…これはかの有名な酒池肉林か」

揺「お酒がないね~まぁ水と腹の足しにフルーツは持ってきたよ」

怜「ナイスや!揺杏!」

竜「ん~4人となると場所空いてないな」


4人は当たり前のように会話をしていた。


怜「手があるやん」

竜「え~ウチの胸はどうするんや?」

揺「口だな」ニヤニヤ

衣「手をどうすればいいのだ?」


手にまたがるんよ なるほど! などの会話をしながら 揺杏と衣は京太郎の左右に分かれそれぞれ手を取った。

右手は衣が 左手は揺杏が 右手の衣は手にまたがり 自分の秘所を前後に動かしすり寄せてくる。

揺杏は左手を抱え込むように抱きつき 京太郎の耳の傍で ゛壷洗いって知ってる?″と囁いた。

すでに京太郎に理性などない その言葉を聞いた瞬間 揺杏のあそこに手を当て弄り始めた。


揺「ん~~~ッ い、いきなりだね」

衣「あっ…ん♪ あぅ」


顔は竜華の乳首を口に含み 甘噛みをし時折吸ったりもした。

左手は揺杏のあそこを優しく掻き回して行く 濡れているのがよくわかった。

右手は衣が同世代と比べても幼い自分の秘所を押し付け前後に動かし擦り付けている。

下は怜がふとももと秘所に挟まれた竿を素股でしごいてくれている。

゛ここは楽園だ″ そんな思考のまま 小さな小さな酒池肉林は朝まで続いていく…



京「…」


京太郎は目を覚ました。

見え上げる先はいつも見ている拠点の天井だ。

左を見る 揺杏がいて京太郎の腕枕で寝ていた。服はしっかりと着ている。

右を見る 衣がいる こちらも腕枕で幸せそうに寝ている。服は着ている。

上を見る大きなおもちが見えた。竜華が京太郎の頭を抱えるようにして寝ている。服は…着ている。

自分の胸を見る。怜が涎をたらしながらすぴーと寝ている。服はもちろん着ていた。


京「…」


京太郎は起こさないように起き上がり 外へ出た。

ちょうど朝日が海の向こうから顔を出していた。


京「…」


京太郎は黙ったまま川へと向かって歩いた。

川についた京太郎はおもむろに服を脱ぎ 川で自分の服を洗濯しだした。


(温泉探そう)


そう決意をして




  • 強者 ○-


「むむむーこっちかな?あっちかな?」

「どこへ行こうかな」


赤毛の女性が森々とした森の中でリョックを背負い長い木の棒を片手に楽しげに歩いていく。


「なるかー!ユキー!ちかこー!ゆあーんはいいか」


人の名前を呼びながら歩いていく。

そんな声に釣られたのだろう ガサガサと草木を掻き分け近寄ってくる生き物がいた。


「おろ?」


音に女性は気づき足を止めそちらへと顔を向ける。

その直後だった。草木からいきなり飛び出し赤毛の女性へと襲い掛かった。

仕留めた!そう思ったであろう生物は襲った女性に顔を向けるが女性の姿はどこにもなかった。

キョロキョロと周りを見渡すがどこにもいない。


「おー…熊か 初めて見たな あっはは」


上から声が聞こえた…

見上げると木の枝の上に座る先ほどの女性が見える。楽しげにでも口元は三日月のように歪めながら。


「ちょーどお腹空いてたんだよね~」

「!?」


木の棒を熊に向け木の枝から飛び降りた

彼女は笑っていた だが目は笑わず 口元は歪めて…


彼女は恐れない。なぜなら…

    ゛彼女は強者だからだ ゛

  • 強者 爽 終わり-





  • 今日も凶で絶好調-

森の中を一人の女性が歩いていく 赤茶色かがった髪の毛で 気の強そうな女性だ。

歩みは軽やかに軽快に時たま鼻歌なんかも歌いながら。


「~♪」

「あら?」


そんな女性の前にいかにも怪しい洞窟が現れた近くの木には獣がつけたであろうキズもある。

女性はそんな洞窟と木を暫く交互に見たあと 少し考え込む。

普通なすぐそこから離れるだろう。わざわざ゛悪待ち″で待ったりしない。


「おもしろそうね」


だが女性はそう呟くとニヤリと笑い戸惑いもなく洞窟へと足を踏み入れていく。

女性は悪待ちが大好きだ。漂流する前も自生活でなるべくそうしていた。効果があったかはわからないが。

だがこの島に流れついてから その悪待ちが自覚できるぐらい当たる。

悪いほうへ悪いほうへ進むと必ずいい結果にたどり着く。

だから今日も彼女は悪い悪い凶へと進んでいく。



<永水メンバーとの出会い>


衣「むっ…」

京「どうした?衣」

衣「客人のようだ」

京「客人?」


夜まもなく食事も終わりいざ寝ようと思ったときだった。

衣のフィールドに誰かが触れたらしい。

衣は京太郎に声をかけると 客人が来ているらしい場所へと歩いていく…

京太郎と衣が歩いていくと異様な集団が見えた。

無人島において 何故か全員巫女服を着ていた。


衣「…神代か」

京「?」


京太郎にとって今の状況で他の人と合流できるのは、ありがたかった。

人の手が増えるのは歓迎だ、 何より情報がほしかった。

食べ物も水にも限りがある、京太郎を除いて全てが女性だ。

女性を置いて遠くへはいけない、連れて行くのも無理がある。

そんなことがあり 未だにここが無人島なのか 人が住んでいる場所なのかわからないのだ。

衣は同世代と比べて身長も言動なども子供っぽいところがある。

しかしいざという時は、頼りになる存在だ。

衣とて情報の大事さを知っているはずなのに なぜか迷惑そうに < 神代 >という言葉を口にした。


京「何かあるのか?」

衣「……暗雲低迷」

京「…え?」


京太郎の問いかけに 衣は一言ぼそりと呟く。

暗雲低迷(あんうんていめい):今にも危険や破局が起こりそうな不安なさま。

思わず京太郎の足が止まってしまった。

危険?あの集団が?もう一度集団を見た。

暗く顔などはよく見えない。危険といわれ近づくのをやめ 警戒する京太郎の横で衣が手を掲げた。

すると月明かりが少しずつ強くなり集団の顔がはっきりとわかるようになった。

どこかで見たことある人達だった。

思い出そうと一人一人の顔を見ていたとき真ん中にいた集団の中で胸が2番目に大きい女性と目が合った。

おもち!おもちがでかいと! と心の中で喜んでいた京太郎は目が合った瞬間 そんな気持ちが吹っ飛んだ。

全身が凍ったように冷たくなり 動かなくなった。

悪寒 恐怖 絶望 悪意 殺意 様々なものが体を巡る。

京「な……なんだ…あれ…」


息をうまく吸えない。どうにか出した声は擦れ擦れだった。

男として女性に怯えると情けない状況だったが 声を出した京太郎に衣はどこか嬉しそうだった。


衣「あれは <神> だ」

衣「京太郎よ誇れ 京太郎は神を前に声を出し抗ったのだ」


そんなことを呟いた後、京太郎の手を衣が握った。

それだけのことで京太郎の体は軽くなった。

いくぞ と言って衣が手を引いて歩き出す。

2Mぐらいの距離まで近づいた。


衣「ずいぶん迷惑千万な訪問だな」

??「こちらとしてもあまり迷惑をかけたくなかったのだけど…」


衣が声をかけると 女性の一人が困ったように答えた。

その女性は、京太郎は今まで会った人達の中でも断トツで<大人>な女性だと思った。

豊満な胸に母性豊かそうな雰囲気 困ったわね といいながら頬に手を当ててる様子も実にさまになり余裕を持った女性だった。


衣「して 何のようだ <石戸霞>」


衣の言葉で京太郎は思い出した。全国準々決勝の清澄の相手の一人永水女子大将 岩戸霞(いわとかすみ)

するとこの集団は永水女子の人達か と京太郎は思い一人一人記憶を呼び起こし名前を思い出していく。

先ほど京太郎が恐怖を覚えた女性は <神代小蒔> 先鋒の人だ。

次に眼鏡をかけた女性で髪を後ろに流しポニーテールにしている<狩宿巴>次鋒だった人。

その隣にいる人がロールのかかったポテーテールでよく黒糖を食べてた<滝見春>中堅。

この集団で一番背の低く何故か長野スタイルな格好をしている<薄墨初美>副将の人。

京太郎が思い出している間に衣と霞の話は続いていく。


衣「おおかた そこの神代に憑いてる者が原因だろう」

霞「えぇ…やっぱりわかってしまうものね」

衣「厄介な…」


二人の中で話は繋がっているのだろう。京太郎が聞いてもわからない会話は途切れることなく続いていく。

衣「衣は何をすれば?」

霞「協力してくれるのね?」

衣「そうだ、した後はここから離れてもらうがな」


流石に京太郎も口を挟んだ。


京「衣!流石にそれは…」

衣「衣はこの拠点の守護を任されている身 このような危険な存在を近くに置いておくつもりはない」


そう言って衣は 神代を睨んだ。


衣「京太郎…<オカルト>の事は知っているであろう?」

京「それはもちろん」

衣「この島に着いてから何故かオカルトが現実に使えるようになり 力も増した」

衣「便利だしいい事もある、だが悪いことも同時にあるのだ」

京「…悪いこと?」

衣「神代は<神降ろし>を行える」

京「神降ろし…」

衣「強力なオカルトだ、制御できてないほどの…」


衣はそういった後、ため息を吐き 神代から目を離し霞に そうであろう?と問いかけた。

お見通しね と呟き 霞もまたため息を吐いた。

岩戸さんが言うには今までも神降ろしはしていた、その度に永水の「六女仙」と呼ばれている 霞達が

祓っていたらしい 所がこの島に流れ着いてからは<神>の力が増し次第に祓えなくなってしまった。

困っていた時に小蒔と同じ神の力の気配を感じここに来たということだ。


京「神の力…?どこに…」


京太郎には神の力といわれても ピンと来なかった。


初「天江さんの力ですよー!」

わからない京太郎に初美が答えてくれた。

なんでも月の助けを借りている衣もまた<神の力>が使える人物らしい。

そういえば麻雀界の<天照大神>とか呼ばれていたなーと思い出した。

そんな京太郎を尻目に衣と霞は話を進めていく。

話がまとまったのであろう。

衣は月に手をかざし 目をつぶり 何かを小声で呟いた。

その瞬間、周りを明るくしていた月明かりが次第に衣に集まり辺りが暗くなった。

暫くそのまま動かなかった衣が小蒔に手をかざすと月明かりが小蒔に降り注ぐ

すると先ほどまで威圧的な雰囲気の小蒔から威圧が消え 小蒔が倒れるように崩れた。

思わず京太郎は先ほどの恐怖を忘れ小蒔を抱きかかえるようにして倒れるのを防いだ。

姫さま!姫様…小蒔ちゃんと それぞれ心配そうに小蒔の顔を覗いていく。

京太郎が仰向けに抱きかかえると小蒔の顔が良く見えた。

衣が気を利かして月明かりを戻してくれていた。

先ほどとは違い可愛らしい寝顔だった。

このまま京太郎が抱きかかえる訳にもいかず 初美達に渡した。

霞は衣にお礼を言うが 衣はさっさと去るように進めている。

暫くして永水メンバーが それじゃ と声をかけて立ち去ろうとする。

そんな姿を見て京太郎は焦った。


京「まっまってください!」

霞「なんでしょうか?」

京「本当に立ち去るんですか?」

霞「えぇ…そういう約束だったもの」

京「その…ここに残ってはどうでしょうか?」

霞「え?」

京「また神代がいつ祓えない神を降ろすかもわからない訳ですし…」


京太郎は永水メンバーに合流しないかと持ちかける。

だが霞はそんな京太郎を優しい目で見て諭すように言葉を口にした。

霞「ありがとう」

京「では!」

霞「でもごめんなさいね 合流するわけにいかないのよ」

京「なぜ!」


合流するだろうと思っていた京太郎はまさかの否定の言葉に子供のように叫んだ。


霞「小蒔ちゃんがいつ暴走するかわからないわ」

京「そっそのときは衣に頼めば…」

衣「無理だ」

京「え?」

衣「今日は運がよく 夜でなおかつ<満月>だった」

衣「衣とてこの力を完全に制御できているわけではない」

衣「新月や上弦などのときには今日の様に祓う力はないだろう」

京「ッ」


京太郎は衣の言葉に何も言えなくなってしまう。


霞「それに先ほどは暗くてよく見えなかったのだけど…」

霞「あなた達の拠点は大勢の人を迎える設備もないのでしょう?」


京太郎は俯いた。



霞の言うとおりだった、水はどうにか安定して確保できるようになったが 食料は不安定だ。

お風呂などもドラム缶や川で水浴びしてどうにか保っている。

寝床もそうだ 毛布一枚を拠点の床にひき 5人がぎゅうぎゅう詰めで寝ている状態だ。

京太郎達の拠点にこれ以上人を増やす余裕も設備もなかった。


霞「それに小蒔ちゃんが暴走したとき 天江さんとあなたはいいとして他の子達は身を守れるかしら?」

京「あ…」


霞の言葉に京太郎は思い出した。怜 竜華さん 揺杏 …

大事な大事な人たちだ、何より守らなければいけない人達だ。

危険に晒すわけにはいかない…少しずつ京太郎の中で<合流>する気持ちがなくなっていった。


霞「いい子ね その気持ちを忘れず いい男に成長しなさい」


そういって霞は自分より身長の高い京太郎の頭に手を伸ばし撫でた。

京太郎はその行動になぜか目が潤んだ。

その後、永水メンバーは自分達の拠点の場所を教え 何かあったら協力しましょうね と言い残し去っていった。

その際霞が 小蒔ちゃんの能力を抑える物があればいいのだけど…と呟いて。

霞達が見えなくなるまで 京太郎と衣はずっと見ていた。

霞達が見えなくなり さぁ帰ろうと京太郎が言い帰ろうとしたときに衣が京太郎に向かって言葉をかけた。

衣「京太郎は寂しかったんだな」

京「え…?なっなにを…」

衣「衣は京太郎からそう感じた」


そういって衣は京太郎に抱きついた。

京太郎は衣から伝わる熱を感じながら 衣の言葉の意味を考えた。


(あ…あぁ、そうか 寂しかったのか 俺は)


意味を考え答えは簡単に見つかった。

京太郎は寂しかった。一人ぼっちではない衣達がいるでも ゛たった4人だけだ″

普段の生活なら朝起きて ペットのカピパラと遊んで両親と会話して学校へ 学校へ行く間にも他人だが人とすれ違う。

学校に行けば ゛京ちゃん″と呼ぶポンコツだが優しい幼馴染がいて…

゛あいからず 咲ちゃんは京太郎の嫁さんだな″と笑いながらからかう友人達がいて…

部活に顔を出せば

゛犬!おそいじぇ!飼い主を待たせるとは何事だ!″とまとわりついてくる同級生がいて

゛須賀くん?そこ間違ってますよ?″麻雀がうまくて胸の大きい憧れの女の子がいて

゛おー京太郎か何しとるんじゃ?掃除?わしがやっておくから 卓に座れ″気遣ってくれる先輩がいて

゛須賀くん!これお願いね?″雑用とかを押し付けられるけど後でちゃんとフォローしてくれる部長がいて


普段の生活を思い出す 京太郎は人恋しかった だから強引に合流を薦めたのだ 涙が出てきた…みっともなく京太郎は衣の前で大きく泣いた…


<永水メンバーとの出会い カン>




<永水メンバー・補足>

初「よかったのですか?」

霞「なにが…かしら」


京太郎たちと出会い拠点へと戻る最中 初美は霞にそう聞いてきた。

霞自身なにを言われるのがわかっているのか言葉は歯切れが悪かった。


初「合流の件ですよ 正直こちらもあちらと同じぐらいどっこいどっこいなのです」

霞「…」


初美は合流しなくてよかったかと聞いてくる。

霞自身わかっていた。霞たちも ギリギリの所を歩いている。

食料は初美が海で魚を捕り 春と巴が簡易の結界札を作り獣に遭遇しないよう気をつけて水や食べれる野草をなどを集める。

霞は拠点の整理や簡易結界の札作りに料理などもしてる。

なるべく小蒔を動かさないようにしている為か生活は結構ぎりぎりだ。

余裕などない

京太郎の案に乗れば 衣がいるおかげで結界も張らずにすむ 協力していけば今より楽に生活はできるだろう。

それでも乗れない…もし小蒔が暴走したら?そのときに誰かを傷つけたら?霞達はまだ対処できる。

だが京太郎達が対処できるかと言われれば無理である。

あの少年は優しい少年だろう、だが大事な人を傷つけられたらどう動くかわからない。

最悪 小蒔に敵意を向ける もしくは殺意を…

その結果集団が崩壊なんということになれば目も当てられない。

天江 衣が言ってた 満月のときしか祓えないと 

すでに満月は少しずつ欠けていっている。あと3日ほどで下弦に入るだろう。

今回は島の力がどういったものかを知らずに小蒔自身神を降ろしてしまった。

その結果祓えないほどの力を持った神を降ろしてしまったのだ。

神を降ろさなければいいのでは と思うが 元々神は気まぐれだ。

気まぐれに小蒔の体を借りて降りてくるかもしれない。

もっと強い結界の準備を早くしなければと思う。

そんな思考に霞が陥っていると


初「明日から…明日からもっと魚を捕ってくるのですよ」

霞「え?」

初「だからもっと頼ってもいいですよ」


不安そうにしていた霞はそんな言葉に ふふふと笑うと小さいけど頼りなる大事な仲間の頭に手を置いて ありがとうと撫でる。

初美は はっちゃんは子供じゃないです!と口に出しそのまま前を歩いている、巴達のいる所に走っていった。

霞は空を見上げる 少し欠けた満月が爛々と照らしていた。

<永水メンバー・補足 カン!>

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最終更新:2026年01月10日 12:36