アットウィキロゴ
~遺跡外~


あれから2人は準備を整え和気藹々と歩いていった。

遺跡の場所はしっかりと覚えていたため前より早く目的地に着いた。

2人は改めて遺跡を前にして眺める。



京太郎「大きいな…」


姫子「大きいね」



2人は遺跡の大きさにポカーンとしてしまう。

前に来たときは気づかなかったが映画に出てそうな遺跡を前に

2人はただただ感嘆の声あげた。

見上げるように大きく 不思議な雰囲気をだしている。



京太郎「ん~2人で入るのか」


姫子「2人ならよかじゃなか?」


京太郎「…あぁ、そうだな!」



京太郎は少しだけ不安になってしまったが

そんな京太郎の気持ちを察したのか姫子は笑いかけた。

姫子の笑顔を見ていると萎んだ心が膨れていくを感じる。

現金といわれようがやはり京太郎も男だった。

姫子にいいところを見せなければと息巻いて足を踏み出した。

踏み出そうとした。



???「ちかっとまった!」



誰かの声が聞こえた。




京太郎「誰だ!」

姫子「あれは…」



そんな京太郎の決意を無に返すように声が聞こえた。

そっちのほうに2人して振り向く、そこには1人の女性が立っており

こちらを見ていた。

その人は姫子は勿論のこと京太郎さえ知っている人だった。



哩「姫子無事やったか!」


姫子「部長ぉ~~~っ♪」


京太郎「白水…哩…さん?」



白水哩 新道寺女子麻雀部の部長で副将を務めていた女性だ。

姫子は嬉しそうに哩に近づき抱きついた。


哩「久しぶりやね」


姫子「はい♪」


京太郎「無事だったか…よかった!よかった」



京太郎は再会した二人を見てほっと胸を下ろす。

姫子が心配していたのは知っているし、姫子自身もすごく嬉しそうだ。

京太郎自身も嬉しそうに2人を見守った。






哩「心配しよったんばい?」


姫子「私もです!」



京太郎「…」ムッ


京太郎「あの!」



最初は微笑ましく見ていたが、仲のいい2人を見ていると

徐々に京太郎は心がざわめくのを感じる。

なんだか嫌だなと思った自分に驚くもその心を止められなかった。

話が終わるまで見守ろうとしていたが、つい2人に声をかけてしまう。



哩「ん?あぁ、すまん」


京太郎「いえいえ、俺は須賀 京太郎といいます」


京太郎「俺は…」




京太郎「俺は姫子の相棒です!!」



京太郎は言い切った。



哩「…」ぱちぱち

姫子「ふぁ!?」



京太郎は哩に宣言するように言い切る。

そんな京太郎に哩は目を瞬かせ驚いていた。

初対面の人に啖呵を切られたのだ驚くのも無理はない。



だが…



哩「ふふふ…そっかそっか、あははははは」


京太郎「む…」


姫子「京太郎!?何言いよーと?!」



哩は暫くすると笑い出す。

そんな余裕の態度に京太郎は少しムっとした。

姫子は姫子で顔を真っ赤にして哩と京太郎の間を右往左往していた。







哩「あはは…あぁ、すまなか<白水哩>だ」


京太郎「よろしくお願いします」


哩「あぁ<色々と頼むばい>」


京太郎「…」


哩「…」



京太郎と哩はお互いに近寄り握手をした。

2人は視線を合わせるとバチバチと火花が散った。

姫子はやらん あなたのでもないでしょうにとバチバチ鳴っている。

アハハ、ウフフ と2人は握手したまま笑いあった。



姫子「部長?京太郎?どげんしたと?」


哩「ふふん」


京太郎「くっ…」



姫子に先に呼ばれた哩は得意げに後に呼ばれた京太郎は悔しそうにする。

その後も姫子は訳がわからず頭の上に?マークを連発していた。



京太郎「…遺跡に入りますか」


哩「そいがよかな」


姫子「わ~また部長と一緒ばいね!」


哩「そうだね」



京太郎達は遺跡に足を踏み入れた。






<2の部屋>



京太郎「これは…」

姫子「ふぁ~」

哩「なるほど」



3人は広い場所に辿り着いた。

そこは十字路になっていてその先には2階3階と連なっていて

各部屋毎に仕切られている。

どうやら居住区のようだ。



京太郎「流石に人の気配はないか」

姫子「あったら怖いよ」

哩「まずはここば調べるか?」




<調べよう>


京太郎「ん~」

姫子「何かあった?」

哩「食器とか…かな」



3人で部屋を調べまわる。

がさこそと探すが特に何もなかった。



<知識成功>

京太郎は持ち前の頭脳で気づいたことがあった。

中はがらんとしていて生活品は多く有るも白骨死体もなく人が忽然と消えたと京太郎は感じた。

料理を載せていたであろう皿もテーブルに置いてあり、辺りを見渡しても争った形跡もない。

どこの部屋もそうだった。

本当に<忽然と人が消えた>ようだと京太郎は感じた。



<5の部屋>


京太郎「…公園?」

姫子「天井も吹き抜けになっとるね」

哩「真ん中に噴水もあっね」

京太郎「ん~…何かあるかな?」


京太郎達が遺跡内部を歩いていると部屋に辿り着いた。

その部屋は遺跡に不似合いな公園のような所だ。

真ん中に噴水があり(水は枯れている)

芝生だった所であろう場所は草が伸びきり地面が見えなかった。

天井は姫子が行ったとおりに吹き抜けになっており空が見えていた。


京太郎「どうしよう」



<調べる>


京太郎「草が多くて進めない…」

姫子「ひゃーー!!いや~虫が!!」

哩「無理無理!!」



京太郎達が調べようとするも伸びきった草が邪魔で探索を行えなかった。



京太郎「あ~もうイライラするな!」

京太郎「力ずくで引っこ抜いてやろうかな?」



<やってやるー!>



京太郎「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

姫子「…」ポカーン

哩「…」ポカーン




イライラが頂点に達したのか京太郎はものすごい勢いで目の前の草を毟り取って行く。

その動きはまさに人間草むしり機であった!!!

見る見る目の前の草はなくなり道が出来てくる。

そんな京太郎に哩姫の2人は何も言えず唖然としていた。



京太郎「ぜーはーどうだ!やってやったぜ!」



無理矢理道を開けました。



<6の部屋>



京太郎「なんで…こんなものが?」

姫子「わ~綺麗」

哩「…」



草を毟ると道があり、そこを更に奥に進むと異様な場所に辿り着いた。

京太郎達が辿り着いた場所は<教会>であった。

しっかりとした作りで真ん中には石像が祭ってある。

姫子は黄昏時の日が教会内に入り込むのを見て綺麗だねと喜んだ。

京太郎と哩は逆に薄ら寒さを感じる。


京太郎「…一番おかしいのはこれだよな」



京太郎は真ん中に祭られている石像の前に立っていた。

普通ならこういった教会などには女神とか神様を祭ってるはずだが

ここではなぜか<大きな盾を持った石像>であった。


良く調べると石像の下に何か書いてあるのが見えた。


  • 偉大な大盾の英雄-

数々の功績をもたらした英雄

何よりも特徴的なのは剣ではなく大きな盾を用いて

敵を倒すより人々を守るのに徹していた

だが、彼自身に危険が迫ると盾を捨て二刀の剣を用いて

荒々しく敵を屠る事もある

彼の一撃は大振りだが極めて強い攻撃であった



京太郎「…」


京太郎(なるほどね…英雄の石像か神様よりわかりやすいな)

京太郎「あ~…昔の人でよかった、こんな人と敵対なんてしたくないわ」













<遺跡内部>


哩「姫子、こっちに」


姫子「あ、ありがとうございます」


哩は姫子が罠に引っかからないように抱き寄せた。

ほんの少し姫子の頬が赤く染まった。



京太郎「…」


京太郎(なんだろ…なんか嫌だ)


京太郎(なんか…なんか、イライラする!)

京太郎(って…何焦ってるんだ)

京太郎(白水さんと姫子は女性同士!問題は…)



咲「和ちゃん!」

和「咲さん!」


久「美穂子」

美穂子「久!」


ゆみ「モモ!」

桃子「先輩大好きっす!」



京太郎(あ~…うん、ありまくりだな、ありまくりだった)






京太郎「…さてどこにいこうか」


<8の部屋>



京太郎「…墓?」

姫子「ひぃ…何か出そう」

哩「…」ぶるぶる



教会の裏口から出るとそこには均等的に墓石らしき墓標が幾つも建っている。

天井は吹き抜けになっており空が良く見えた。

既に日は暮れていて星が良く見える。



京太郎「さて…時間もなくなってきた、これが最後の探索になるだろう」

京太郎「どうする?」


京太郎は気づいた。

居住区の部屋の数と比べて墓石が少ない。

途中に死体もない事から病気等で人がいなくなったという訳ではないみたいだ。


京太郎「集団でいなくなった?」

京太郎(引越しってわけでもないだろうし、何かがあったのか)

京太郎(争った形跡もなしか…<神隠し>にでもあったか?)





<通路>


京太郎(整理しよう…)

京太郎(ここの遺跡に人が居たのは確かだ)

京太郎(だが食事の用意をして全員が消えてしまった)

京太郎(墓や遺体がない事から病気によるものではないとわかる)

京太郎(何ならかの原因で全員がここから離れた…?)

京太郎(感染病で…一斉退去?ん~…なんともいえないな)



京太郎がそんな事を考えて歩いていると突如前から声が聞こえた。


姫子「あい?」


哩「え?」



京太郎「!!!」



姫子の足元が消える…落とし穴だ。

京太郎は持ち前の身体能力で駆け寄り姫子を抱きかかえた。



京太郎「くっ」


姫子「きゃっ」


哩「これに掴まれ!」



抱きかかえるもすでに落ちる最中だ…下に落ちていく。

哩はそんな京太郎に<自ら作り出した鎖>を投げる。

それを京太郎は受け取ると壁に足をつけた。



哩「うぐ…」


姫子「部長!」



哩は苦しそうな声をだした。

京太郎と姫子の体重を1人で支えようとしているのだ。

無茶にもほどがあった。





京太郎「…」


哩「よ、よかよか!」


哩「すぐに引き上げるから!!」



哩は苦しそうにしながらも必死に鎖を引っ張る。

その手からは血が零れ落ちたのが京太郎には見えた。

鎖はビクとも動かない、いや徐々に下に下にと下がっている。



京太郎(このままじゃ)



京太郎は思考する。

皆が助かるための手段を考え…1つ思いついた。

それはものすごく勇気がいる選択でもあった。







京太郎「ちょっとごめんな」


姫子「京太郎…?」



京太郎は姫子の腰をしっかりと掴んだ。



京太郎「白水さん!!受け取ってくれ!」


姫子「京太郎!!」


哩「!?」



京太郎は鎖を放すとそのまま力の限りを尽くし姫子を上に投げ飛ばす。



京太郎「大丈夫!後で合流しようぜ!!」


姫子「京太郎ーーー!!!!」


哩「須賀ーーー!!!」



哩は姫子を鎖で引き寄せ抱き寄せる。

京太郎は重力の意のままに下に下に落ちていった。


哩と姫子の悲鳴のような京太郎を呼ぶ声が遺跡内部に響いた。




to be continued...




姫子「…京太郎?」

哩「…」

姫子「え…嘘だ、よね?」

哩「ッ…」



落とし穴の前で2人はただただ座り込んでいた。

先ほどまで隣に居た<男の子>はもういない。

2人を助ける為に暗い暗い穴の中に消えていってしまった。

姫子は悲痛に京太郎を呼ぶが何時もならすぐに返ってくる陽気な声が聞こえてこない。

だんだんと頭が理解し始める。

あぁ…もうここに<京太郎>はいないのだと…




どのぐらい経ったろうか?

数分だったか?いや、1時間だったか?

時間の感覚が麻痺している。

それほどショックだった。

それでもここにいても始まらない。

哩は自分に活を入れると立ち上がろうと姫子に声をかけた。




哩「…姫子」

姫子「…っ」

姫子「部長…進みましょう!」

哩「姫子?」

姫子「京太郎ならよかよ!」



以外にも自分より先に姫子が立ち上がった。

姫子の顔には涙の後が残っている。

それでも悲痛な感じはもうしない、むしろ力強い意思を感じれた。



哩「…信用してるんだな」

姫子「相棒ですから」ニヘラ

哩「前に進むか」

姫子「はい!」




哩「相棒…ね?」



姫子の言葉に哩は何処となく寂しそうな誇らしいような顔をした。




姫子(京太郎はよかよか…)

姫子(前に歩いてっぎきっとまた会える!)

姫子(京太郎と私の絆はこぎゃんものそいぎ切れなか)

姫子(絶対に離してやらなかから)



姫子は改めて自分に誓い歩いていく。





姫子「部長…」

哩「いいたいことはわかる」

哩&姫子「「扉が開いている」」



2人は改めて前に進んでいるとある事に気づいた。

一番奥の部屋の扉が開いているのだ。

大きな扉で鍵穴すらなかった為姫子の力でも開けれなかったのだ。

それが今は開いている。

哩と姫子はお互いに頷きあい近づいていく。

慎重に慎重に…



中を端から覗いてみる。

中は大広間になっていて奥には大きく豪華椅子が置いてあった。

何処となく王様が座ってそうだと姫子は思った。

辺りを見渡すも中には誰も居ない。



姫子「京太郎でしょうか?」

哩「わからん」

哩「私ら以外にも人は居るのかも知れないが…京太郎の確立は高いな」

姫子「探してみます?」

哩「そーだな…」



姫子「京太郎ー…?」

哩「ん~…いないな」

姫子「おらんですね」

哩「…何かがおかしい」

姫子「え?」



2人は中に入り調べるが誰もいなかった。

それどころか入った形跡がない…

なさすぎるのだ…



姫子(開いよっのに中に入っていなか)

姫子(つまりは…)



姫子「!」

姫子「部長!!後ろ!」

哩「え?」



姫子がある考えに辿り着いたが時遅く…

哩の後ろに大きな影を見つけた。




姫子(やっぱり!罠だった!!!)

姫子「部長!」

哩「っ姫子!?」



姫子は哩のほうに走ると彼女を突き飛ばした。

突き飛ばした瞬間姫子の周りをガシャン!!と大きな金属音が聞こえた。

姫子が恐る恐る目を開けると回りは檻の様な形をした金色の物質で囲まれていた。

何があったのか確認しようとすると突如浮遊感を味わった。

誰かに持ち上げられたようだ。



姫子「これは…鳥籠?」

哩「なんだこいつは…」



姫子を鳥籠に閉じ込め持ち上げた人物は2Mを優に超える大きな腐敗した死体だった。

その死体は大きな盾を持っており哩を見下ろした。






哩「姫子を返せ!!!!」

大盾の英雄「…」

姫子「ッ…オカルトが効かない!」



鍵を開けようとオカルトを使うが姫子のオカルトが使えなくなっていた。

そんな姫子を他所に哩は姫子を取り返そうと鎖を呼び出し死体に向かって攻撃を始める。

鎖は真っ直ぐに向かっていき貫かんと襲い掛かった。



だがその攻撃はいとも容易く大きな盾で防がれた。

あまりに呆気なく防がれたため少しの間、哩の思考に空白が生まれた。



哩「あっ」

姫子「きゃぁ…部長!」



その少しの間の空白を大盾の英雄は見逃さなかった。

すばやい動きで盾を哩に突き出し突進をしてくる。

避けようにも哩の身体能力では無理な所まで迫っていた。



哩「こんなところで…」


???「やらせるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

大盾の英雄「!?」



哩が諦めた瞬間だった。


突如入り口のほうからものすごい勢いで突っ込んでくる、金色の影が迫りくる。


その金色の影は思いっきり手に持っていた<スコップ>を振ると骸骨に思いっきりぶち当てた。


横からの奇襲に加え人間の力とは思えないほどの一撃で骸骨は大きなダメージを受ける。


骸骨がバランスを崩すと同時に<京太郎>は黄金の鳥籠にスコップを当て壊した。


中から姫子を抱きしめ取り返すとそのまま籠から飛びのいた。




哩&姫子「「京太郎!!!」」


京太郎「よぉ!」




2人に名前を呼ばれた京太郎はスコップを肩に乗せもう片方の手を上げ答えた。






京太郎「間に合って良かった!」

姫子「きょうたろ~…」えぐえぐ

哩「ぐすん…」



京太郎は安堵のため息を吐いた。

間に合った…入り口から覗いたときの光景を思い返して今更ながら震えが来た。

あと少しで哩を失っていた。



京太郎(運がいいのか悪運強いのか…)

京太郎「とりあえずキッチリお礼しないとな」



そういって京太郎は骸骨のほうに振り向いた。

骸骨はとっくに体勢を整えていたのが京太郎を警戒してかこちらを見ているだけだった。






京太郎「まずは…一発!」

大盾の英雄「!」



京太郎のスコップと盾がぶつかり合う。

ガン!と大きな打撃音が聞こえ2人は弾かれるように吹き飛んだ。

京太郎の一撃は盾を少しへこました程度に収まっている。



京太郎「かってぇ…」



京太郎はスコップを確認するも特に異常はない。

だが…あの盾を崩すのは大変そうだと思った。

何か対策をと考えていると哩が声をかける。



哩「私に任せろ!」

京太郎「いけるのか?」

哩「さっきは冷静そいぎなかったからな」

哩「今は大丈夫!任せておけ!」








京太郎(さて…まずはどうするか)



京太郎は冷静に相手の出方を見る。

相手は大きな盾に身を隠しこちらを警戒している。


京太郎(なるほど…大盾の英雄ね)



哩「これで!!」

大盾の英雄「!?!?」

京太郎「ナイス!!!」



京太郎の攻撃を大きな盾で防ごうとするが哩から伸びる鎖が盾に巻きつき動きを制限する。

骸骨の騎士は慌ててもう片方の手に持っていた剣で迎撃をしようとするがそちらも動かなかった。


姫子「<ロック>」ガチャリ


京太郎「うぉぉぉ!!!!」


大盾の英雄「ッ!!!!」



動きを止められた骸骨は正面から京太郎の一撃を受けて吹っ飛ぶ。

様々な所の骨や腐った肉を飛び散らかし吹っ飛んでいく。



京太郎「まだまだ!」


京太郎がスコップを構え突撃を開始する。

骸骨もすぐさま体勢を整え京太郎を待ち構えた。



京太郎「ッ!!!!」


大盾の英雄「!!!!!」



先ほど同じように盾を構えるもまたもた2人に封じられ攻撃をくらった。

調子よくやっていると突如骸骨は盾を捨て剣を2刀取り出し京太郎に襲い掛かる。

先ほどと違い嵐のような剣舞に京太郎は少しずつ後ろに下がっていく。

少しでも冷静さを失えば真っ二つだろう。

京太郎は哩姫コンビの支援もあり何とか耐え切る。


京太郎(くっ…いきなり強くなりやがった!)

京太郎(たしか…>>772だったか)


京太郎「落ち着け京太郎…俺には2人も女神がついてる」

京太郎「悪いな、勝たせてもらうぜ」



京太郎「っしゃらぁーーー!!!」

大盾の英雄「………」



全ての攻撃を見事に捌ききり隙をついて最後の一撃を与えた。

骸骨の英雄は剣を落とすと静かに倒れ<金色の砂>になっていく。

それを最後まで見届けると京太郎は一息をついた。



京太郎「はぁぁ~~~~っ」

京太郎「終わった…終わった!!!」



京太郎はうぉーーと叫ぶとそのまま後ろに倒れた。

背中を少し打って痛かったがそれすら気にならないほどだった。



哩姫「「京太郎ーー!!!!」」


京太郎「おぅ!無事だっt…」

京太郎「ごふぇ」



京太郎は2人に呼ばれ体を起すと向き直る。

その瞬間2人のタックルを腹部にくらい変な声が出た。

だがそんな京太郎を他所に2人は京太郎の腰に抱きつくと

強く強く抱きしめた。



何か言おうかと思った京太郎であったが

そんな2人の様子に何も言えなくなり二人の頭をゆっくりと撫で始めた。


2人もそれを受け入れ少しの間そのまま3人は時間を過ごした……





<新道寺シナリオ1章-ライバル-カン>



パチパチと京太郎の前の焚き火が音を出し燃える。

薪を足しながら今日起きたことを改めて思い出していた。

哩と出会い、穴に落ち、動く死体との戦い様々な事を経験した。



京太郎「…」



そんな事を考えているとふっと1つ思い出した。

京太郎は持って来ていたカバンに入れてある物を取り出す。

それは古い本のようなものであった。



哩「そいは何?」

京太郎「!」

京太郎「起したか?」

哩「ふぁ~…ちょうど交代にもよか時間たい」


よかよかと言いながら哩は欠伸を1つした。

目を擦りながら哩が伸びをする。



京太郎「ん~落とし穴に落ちた所の奥にさ…部屋があってそこで見つけたんだよ」

哩「…ふむ」



哩は京太郎の言葉を聴き本を覗き込み一言言った。




哩「読めん」

京太郎「俺もだ」



本を覗き込んでも文字が読めなかった。

ミミズの様な文字が続き日本語のにの字も見当たらない。

石像に書いてあった文字は読めたのだが…



哩「なんもわからんね」

京太郎「だな」



本を仕舞うとはぁ~とため息をついた。

そして2人して空を見上げた。



京太郎「あっ」

哩「あ?」



暫くぼ~としていると京太郎が声を上げた。



京太郎「そうだ…白水さんに聞きたい事があったんだ」

哩「あ~…なるほど」



京太郎の言葉に哩は何かを納得したように同意した。

哩には何が聞きたいかわかってるらしく京太郎の言葉を遮った。



哩「姫子のことだろ?」

京太郎「…あぁ」

京太郎「ずばり聞くけどさ…好きなのか?」

哩「うん、すいとー」



哩はあっさりと答えた。

そんな哩を見て京太郎はやっぱりそうだよな…と少し落ち込んだ。

哩は京太郎を横目で見た後空を見上げる。





哩「当たり前だ、親友としてすいとー」

京太郎「うん?」

哩「どげんかしたばい?」

京太郎「あれ?」

京太郎「…親友として…?」

哩「当たり前だろ?」

京太郎「like?loveじゃなくて?」

哩「そんな趣味んなか」



哩は京太郎の問いにキッパリと答える。

京太郎は、はぁ~~~と今日一番のため息をついた。



哩「やっぱりな~」ニヤニヤ

京太郎「うぐ…知っててあんな態度取ってたのか」

哩「面白かった!」

京太郎「…なんだそれ」がっくり



ハハハと笑う哩の横でガックシと京太郎は肩を落とす。

まぁ頑張れと京太郎に声をかけると哩は京太郎の腰に抱きつきながら

寝ている姫子の頭を撫でた。



哩「まぁーそーゆうこつだ…安心して寝てろ」

京太郎「…そうするわ、おやすみ<哩>」

哩「!」

哩「おやすみ、<京太郎>」



暫くすると京太郎はスヤスヤと眠ってしまった。

そんな京太郎を少しだけ見た後、先ほどと同じように夜空を眺める。





哩(姫子のすいとーねー?)

哩(京太郎は自覚してるからよかとして…)

哩(問題ん姫子やね)



哩が知る限り姫子は昔からモテた。

明るい性格に人懐っこく距離も近い、容姿の事も有り、中学時代は結構告白されていたのを思い出した。

結局全員振られていたが。



哩(姫子が私のことどう思ってるか知らんし)

哩(こいで姫子が男に興味なかったら…)

哩「…頑張れ京太郎」



最悪の事態を考え哩は少し顔を引きつらせて京太郎を応援するのだった。



哩「あ…最悪私が貰えばよかか」



どうなるやら


<1章-エピローグ- カン>




おきてー?起きてよー


京太郎「うん…?誰だ」


起きてーお寝坊さん


誰かが呼んでいる

朝か起きないと


京太郎「おはよう」

??「おはようさん!」



京太郎は目を覚ますと挨拶を交わす

相手も京太郎が起きたのがわかったのだろう

微笑みながら挨拶を返してくれた

特徴的なまつ毛の形状の悪魔チックな顔立ち

京太郎も良く知る姫子だった



京太郎「あぁ…姫子か」

姫子「…姫…子?」



なんだろう…地雷を踏んだ気がする

目の前の姫子の顔がドンドン険しくなってくる

何が何やら混乱していると姫子?が京太郎の頬を引っ張った






京太郎「はひふるんだー」

姫子?「姫子って誰?#」

京太郎「なんひゃとー!?」



目の前の姫子?はドンドン機嫌が悪くなってくる

弁解しようと京太郎は頬を引っ張る姫子?の手を掴み引き離す



京太郎「ぷはっ!姫子っていうのは…姫…子っていう…のは」

姫子?「ぶー誰よ!」

京太郎「誰だっけ?」

姫子?「…」



あれ…姫子って誰だ?

京太郎は自分で言った人の名前を口にするが思い出せない

そんな京太郎に姫子?は次第に顔を崩し心配し始める



姫子?「だ、大丈夫?」

京太郎「あぁ…なんだろ、変な夢でも見たのかな?」

姫子「そう…なんだ」

京太郎「んー?なんだったか…まぁいいか」

京太郎「改めておはよう」

姫子?「おはようさん!」



2人は改めて挨拶を交わすと自然に顔を近づけキスをした

何時も通りの朝の挨拶だ

挨拶を終えると姫子?が用意をしてくれた朝食を食べに向かう


今日の予定は? なんか王様に呼ばれた


2人は朝食を食べながら予定を話し合う



ご馳走様でした


京太郎?「いってくるよ」

姫子?「いってらっしゃい、アナタ」


姫子?に見送られ京太郎は仕事に出かけた。


おはよう! おはようさん! 大将!これから仕事か? 帰りに家によっていけよ!


京太郎にすれ違い人々は次々に挨拶を交わしていく

京太郎自身もそれに一つ一つ丁寧に答えていく


??「おー相変わらず人気者だね<大盾の英雄>さん」

京太郎「その名で呼ぶなよ」


京太郎に誰かが声をかける

その人物は京太郎を<大盾の英雄>と呼んだ


京太郎「相変わらずだな…」

哩?「あっはは!そういえば奥さんは元気してるか?」

京太郎「先輩が来てくれないと不貞腐れてた」



あー忙しいからなー ちょっとでいいから来てくれよ


などと二人は会話をしながら歩いた

彼女は京太郎の奥さんの姫子?の先輩だ


2人が話していると広間についてしまった

自分達が仕える王様に呼ばれて今日は来ていたのだ






京太郎「非番だったのに…なんだろうな?」

哩?「さぁー知らないな」


王「おぉ…来たか!」

京太郎「ただいま参上いたしました!」キリッ

哩?「…ました」

哩?(相変わらず切り替え早いな)



ふと京太郎達は気づいた…見知らぬ男が王様の横に立っている

王様もその視線に気づいたのだろう

彼を前に押し出すと嬉しそうに紹介を始める


王「この方は<ルフクトゥ>といってな!西の部族から来た医者だ!」

京太郎「西の部族の?」

哩?「医者?」


西の部族…この島は5つの部族で分かれて其々が王を決め統治している。

西の部族は自然に生きようといった変わった部族である

病気になっても薬に頼らず自然に治すのだ

そのような所からなぜ医者が?と2人は疑問に思った



ルフクトゥ「私は異端なのですよ」

ルフクトゥ「薬の研究をしていた為、追い出されてしまって」

ルフクトゥ「私は…ただただ人を助けたかっただけなのですが」


そういってルフクトゥは悲しそうに顔を伏せる


王「悲しまれるな、ここで十分に人を助けてくれ」

京太郎「この人をここで?」

王「あぁ!丁度医者をやってる者も既に高齢だからな!」

哩?「あぁーあの爺さんいつかポックリといきそうだしね」

京太郎「あー」


2人は今いる医者を思い出す

確かに高齢のお医者でポックリといきそうだ


ルフクトゥ「よろしく頼むよ」

京太郎「あぁ…」


差し出された手を握り二人は挨拶を交わした



時が過ぎていく


      • --- --- --- --- --- --- ---
子供が生まれて


京太郎「おーおーおー!」

京太郎「名前はどうするかな!」

姫子?「ふふふ、決め手ないの?」

京太郎「えーとえーと!」

哩?「落ち着け」



      • --- --- --- --- --- --- ---



      • --- --- --- --- --- --- ---
子供が成長し


京太郎「あははは、ほら高いだろう!」

子供「高い!たかーい!」

姫子?「仲良しやね」



      • --- --- --- --- --- --- ---


      • --- --- --- --- --- --- ---
日々が過ぎていく


京太郎「なんだこれ?」

フルクトゥ「<黄金>だ」

京太郎「へー綺麗だな、1つくれよ」

フルクトゥ「馬鹿言え…希少な物だ、王に献上するんだよ」

京太郎「それもそうか」



      • --- --- --- --- --- --- ---



次々と月日が流れていく

穏やかで幸せな日々だ

このまま続けばいいのにと思ってた……思ってたんだ



京太郎「は…?」

哩?「…行方不明だ」

京太郎「まてまて…誰がだ?」

哩?「……お前の息子が…だ」

京太郎「いや~冗談きついぜ?」

姫子?「…」


京太郎が姫子?に顔を向けるが姫子?は顔を伏せている


京太郎「はは…ははは、意味わかんねー」

哩?「証言によると確かに夕暮れ時まで他の子と遊び家に帰ったそうだ」

京太郎「そこからどうやったら居なくなれるんだよ!!!!」

京太郎「ここは遺跡の中に居住区があるんだ!!!」

京太郎「どう足掻いても外に出れねーだろ!!!」


哩?「落ち着け、判ってる判ってるから」

哩?「内部犯の可能性もあるし全ての家をこちらで探索している」

哩?「待っていろ」

京太郎「…」



結局見つからなかった

あれから倒れるまで探したがまったく手がかりがない…

どこにもいなかった…



      • --- --- --- --- --- --- ---


      • --- --- --- --- --- --- ---



京太郎「…」

ルフクトゥ「相変わらず抜け殻だな」



京太郎はあれから元気がなくなっていた

大盾の英雄の欠片もない

そんな京太郎を心配してか王様とフルクトゥは元気つけようと呼び出していた


王「…受け取れ」

京太郎「…何を」

ルフクトゥ「苦労したんだからな」


京太郎「これは…」



京太郎が渡されたのは大きな盾だ…しかもただの盾ではない

所々に金の装飾がされていた

稀少な希少な金属である金がだ



京太郎「…」

王「息子のことは残念に思う…」

王「だがお前が守るべき人はまだ居るだろう?」



京太郎? 京太郎の脳裏に自分も辛いはずなのに自分を励ましてくれた妻を思い浮かべた

あぁ…そうだ そうだった俺にはまだ守るべき人達が居る


京太郎「あぁ…やってやるさ、今度こそ守り抜いてやる」


盾を受け取った京太郎の顔に悲壮感はなかった

そんな京太郎を2人は嬉しそうに見ていた




      • --- --- --- --- --- --- ---



      • --- --- --- --- --- --- ---

だがそんな大盾の英雄を笑うかのように


あれからも結局人は神隠しにあい続けている

不幸とは続くものだろうか?

次第に人々から笑顔が消えついに王様も倒れた


京太郎「どうなんだよ」

ルフクトゥ「厳しいな…手持ちの薬じゃ無理だ」

京太郎「…どうすればいい」

ルフクトゥ「そうだな…島の中心の山の部族に話して薬を分けてもらうか」

京太郎「あいつらにか?」

ルフクトゥ「そうだ」

京太郎「わかった…俺が行って来る」

ルフクトゥ「頼んだ」




      • --- --- --- --- --- --- ---




京太郎は駆けたひたすら山を目指し駆けぬけた



山の部族「なんだお前は」

京太郎「俺は…!!」



なんとか日没前に山に入れた

部族の民を見つけ次第事情を説明していく

話を聞いていくと段々と部族たちの顔が険しくなってくる


山の部族「ルフクトゥ…その医者はルフクトゥというのだな?」

京太郎「あぁ…?」


質問の意味がわからない


京太郎「ルフクトゥ…がなにか?」

山の部族「…禁断の英知を求めた男なのだ」

京太郎「はぁ…?」

山の部族「あいつは禁断に触れた…触れてしまった…だから追い出したのだが」

京太郎「まてまて…あいつは西の部族の民だろ?」



京太郎の問いに山の部族は首を振る

京太郎の顔が険しくなってくる

西の部族じゃなく山の部族…?禁断に手をだした?

嫌な予感がする、胸が爆発するほど鼓動が早くなる…


京太郎はすぐに駆け出した…

後ろで山の部族が何かを言っているがそれ所じゃない




京太郎「誰かっ!!!!!!!!!!」


京太郎が戻ったのは夜が深けてからだった

見張りが居ない…

居住区は!!!


誰も居ない…妻もさえも

王様? 先輩? 親父? ルフクトゥ…?

誰か…誰でもいい!居てくれ…


京太郎「…」


京太郎は思い出す…山の部族との会話を…

そして最後の部屋に入る ルフクトゥの部屋だ

辺りを見渡すが特別変わった事はない

それでも念入りに探すと…あってしまった


一部分だけ壁が軽い音を響かせた

そこに向かって京太郎は大盾を持ち思いっきり体をぶつける

壁は簡単崩れ落ち階段が現れた


京太郎「…」


京太郎は松明を持ち少しずつ降りていく…

鼓動が早鐘のように打ちなされる

下につくと異臭がした…何かが腐った匂いがする

もはや嫌な予感は最高潮に達する

扉が見える




扉をゆっくりと開いた

開いた先は広く丸い形をした部屋になっていた地面には怪しい紋章が描かれている

周りには積みあがった死体があり、中には腐ってるものも新しいものもある

京太郎が見知っている顔もいくつも転がっている


そして何より真ん中に居た…ルフクトゥと妻が……



京太郎「なにを…している」

ルフクトゥ「あ~あ~お前もさ、運がないよな」

ルフクトゥ「よりよってこの段階で来るとか」


京太郎の問いに答えずただただ馬鹿にしたような笑みを浮かべる

そのままルフクトゥは何かを呟いた後 妻の頭に手を載せた


京太郎「やめろーーー!!!!!!!!!!!!!」

ルフクトゥ「遅いよ」

姫子?「っ…あ、れ」


京太郎は盾を前に突き出し突進するも相手のほうが早かった

妻が倒れた…肌が死人のように土色に変化しながら…


京太郎「おい!おい!」


京太郎が姫子?を抱き上げて声をかけるも反応はない

既に亡くなっている



ルフクトゥ「あ~やっぱりこんなもんか、子供生む前の若い女が一番効率いいな」


後ろでアイツが何かを言っている


ルフクトゥ「<錬金術>って知ってるか?あぁーすまん知らないよな!」

ルフクトゥ「何かを犠牲にして何かを得る最高の奇術の一種さ!!」


何かに酔いしれるかように男の独白は続く

京太郎は姫子?を必死に揺すっている


ルフクトゥ「でも早まったかな?もう少し研究を進めてからのほうが良かったか」


男は反応しない京太郎につまらなそうにするも直ぐに何かを思いついたのか


ルフクトゥが無駄な行為をしている京太郎に近づき一言呟いた







ルフクトゥ「ついでにいうとさ…お前の盾の装飾の金はお前の息子から作ったんだわ」









京太郎の中で何かが壊れた


京太郎「アァァァアァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」


ルフクトゥはケラケラと笑いながら階段に向かった


そんなルフクトゥに京太郎は立ち上がると剣を抜刀し切りかかった


ルフクトゥ「無駄無駄!魔術って知ってるか?知らないよな!」


全てが見えない壁にぶつかり弾かれた

ルフクトゥは面白いものを見るかのように無心で剣を振り続ける京太郎を見ている



ルフクトゥ「無駄だっての…」

ルフクトゥ「もういいや…お前もお前の奥さん達と同じ所いけや」


ルフクトゥが京太郎に向かって手のひらを向ける

手のひらが赤く光り輝く…


その時だった


ルフクトゥ「あ?」



ビシリと音を立て見えない壁が砕け散った



ルフクトゥ「あれ?」


それが彼の最後の言葉となった

無常にも京太郎の剣がルフクトゥを真っ二つに切り伏せる






大盾の英雄「ははは…何が英雄だ何も守れてねーじゃねーかよ」


彼は涙を流しながら妻を抱きしめた

そしてそのまま涙と喉が枯れるまで泣き続けた









暫くすると彼は妻を横に下ろすと立ち上がった



埋めてやらないと



喉が潰れたのか声がでない

だが彼にそんな事は関係ない 犠牲になった人たちを埋めないと


彼は遺体を丁寧に拾い集めると少しずつ墓に持っていて埋葬し始める

何度も何度も同じ作業を汚れるのも気にせず繰り返す




どのぐらい埋めただろうか?

それすらもわからなくなる

それでもまだ遺体は多く存在し埋めようと体を動かす…動かす



あれ…あぁ…死に触れすぎたのか もう1人ぐらいしか運べねーや



腐った遺体などを何度も何度も素手で触れていたせいか、彼を死が蝕んだ

まだまだ運んでない人が多く存在するが自分の力ではこれで最後らしい


彼は迷う事無く妻を抱きしめ上に上がっていく



ごめんな…皆を埋葬してやれなくて






遅い足取りで妻を抱きしめ進んでいく


広間の前を通り過ぎた


妻「ねぇねぇ 大盾の英雄さん?見てこれ綺麗でしょ?」

大盾の英雄「その名前で呼ばないでくれよ、恥ずかしいんだぜ?」



妻と初めて会話をした時を思い出す



妻「これぐらいしないと!」

大盾の英雄「派手すぎだと思うな」


戦いに行く時の衣装で揉めた時だ


妻「それって本当?」

大盾の英雄「お、おぅ、そのよかったら一緒に…」モゴモゴ


デートに初めて誘ったときだ


妻「ねぇ…これって」

大盾の英雄「あ~とまぁ、まぁそ、そういうことだ!」


これはプロポーズの時だ



子供「パパー!肩車して!」

大盾の英雄「おお!いいぞ、おいで」

妻「羨ましいな~」


子供と遊んだときだ

1歩1歩、歩くたびに妻と子供との思い出が蘇る


涙は枯れたと思ってたんだが、なんで、なんでこうなっちまったかな…



次第に頬が濡れだし目が潤んで見えなくなる


それでも足を止めずに歩き続ける

そして遂に墓場に辿り着く

既に体は限界だ


前もって掘り越しておいた穴に妻を横たえると隣に大盾を持って自分も横たわる


あとは仕掛けを施したロープを切れば自動的に自分達は埋まる


3人が一緒に…これで…眠れる…また一緒に一緒に



<誰も守れなかった英雄のお話>




京太郎「よっす!俺は普通の高校生 須賀 京太郎だ!」


姫子「助手の姫子ばい」


哩「ライバル役の哩です」


京太郎「俺達は無人島に漂着し順調に謎を解き明かしていた!」


姫子「流石京太郎!」


哩「よいしょ?」


京太郎「だがそんな俺たちの前に動く死体が!」


煌「まだ死んでませんよ?」


京太郎「なら羊が!」


仁美「いっぺん〆んぞ」


京太郎「やめてください」


美子「…」


京太郎「俺たちの先には幾度なく強敵が立ちふさがる!」


姫子「ドキドキ」


哩「帰ってもよかかな?」


煌「スバラ!乗り越えていくのですね!」


京太郎「何度も何度もピンチになりながら越えていく京太郎に衝撃的な事実が!」

仁美「今度はなに」チュー

京太郎「なんと京太郎は魔界のプリンセス<スガ★キョウタロー>だったのだ」

美子「あれ?(無人島は…)」

京太郎「スガ★キョウタローは魔界の王サッキーに追い出され人間として暮らしていたのだ!」

姫子「可哀想なキョウタロー」うるうる

哩「…」

煌「…」

仁美「…」

美子「…」

京太郎「次回!魔界漂流記!スガ★キョウタロー!最終話!! 決戦!魔王の城は一軒家!」

姫子「次回にご期待ください!」

哩・仁美・美子「「「無人島どこいった!!!!!」」」




<閑話後>


目が覚める。

長い長い間を過ごしてたかのような気がする。



姫子「起きた?おはようさん」

京太郎「ッ…」



見張りをしていたであろう、姫子に笑顔で挨拶をされた。

あの夢を見たせいか京太郎は込み入ってくるものがあった。



姫子「ふぁ!!なんばしよっと!?」



夢の中の人物とは違うとわかっている自分も<彼>じゃない、京太郎は京太郎だ。

それでも…それでも

気づけば目の前の姫子を抱きしめていた。

最初は姫子はあわあわと慌てていたが京太郎の様子に気づいたのか、姫子もまた優しく

京太郎を抱きしめ返した。



哩「なんだこれ」



哩が起きると姫子と京太郎が抱きしめあっている。



哩「意味わからんたい」

哩(…昨日の心配はなさそう?)


とりあえず目の前の2人を引き離す事から始めるかとため息1つつき哩は2人に声をかける。




哩「夢…ね」

京太郎「は、恥ずかしながら」

姫子「ん~内容が内容やから、しょうがないと思うよ?」



哩に声をかけられ京太郎は正気に戻ったのか、顔を真っ赤にして事情を説明し始めた。



夢の内容を聞いた二人は何とも言えない表情で京太郎を慰める。

内容が内容なだけになんともいえない。


3人は夢の内容を聞いた後 遺跡に戻り 大盾の英雄の砂金を墓に戻しに行く。

墓に行くと昨日は気づかなかったが確かに一部分の所の墓が掘り起こされていた。

掘り起こされた所のから白い白骨死体の手が出ている。

きっと彼女が奥さんなのだろう。


彼女の手に砂金を入れた袋を置くと3人は埋めなおした。



京太郎「これでよしと」

姫子「次はきっとよかよね?」

哩「あぁ…きっと」



最後に彼の大盾を墓の上に飾ると3人は静かに黙祷を捧げた。



京太郎が帰る際にもう一度だけ墓を見ると3人の家族がこちらに手を振ってるのが見えた。

もう一度目を擦り見るが特に何もない。



京太郎「…」



京太郎はペコリとお辞儀を一度だけすると先に行った2人に追いつくべく走り出した。






  • 拠点-


京太郎「だよねー」

姫子「ですよねー」

哩「うわぁ」



3人が拠点に戻るとそこには荒らされた拠点が待っていた。

姫子は遠い目をし、京太郎は憤慨した。



京太郎「片付けからかな」

姫子「うん」

哩「やれやれ」



その後3人は片付けを始め、その日はそれだけで過ぎていった。




<姫子と会話>



京太郎「…」ぼぉ~

姫子「何しとるの?」

京太郎「ん~考え事」



姫子がパトロールしていると京太郎を見つける。

近づき放し掛けると京太郎は真剣な表情で海を見ている。



姫子「考え事?」

京太郎「そそ、大事な大事な…な」

姫子「…」



そんな京太郎を見て考え付いたのは遺跡の事だ。

夢の事もあるし、それ関連だろうか?

姫子は心配になり京太郎に更に声を掛ける。



京太郎「え?遺跡の事?」

京太郎「あーあー…そっちじゃないから心配しなくても大丈夫」



どうやら違うらしい、それでは何を考えてたのか聞くと

京太郎は少し頬を赤く染めこちらを少し見つめた後そっぽ向いてしまった。



京太郎「なんでもないから、それじゃ!」



京太郎は何かに焦りそのまま言ってしまった。



姫子「…何なんだろう?」



意味がわからない姫子であった。



<哩と掃除>



哩「~♪」

京太郎「よっし、こっちは終わりだ」

哩「あぁ、終わった?」

哩「ならこっち頼める?」

京太郎「問題ないよ」



京太郎と哩は2人で拠点の掃除をしていた。

流石に荒らされたままでは不衛生な為、一生懸命掃除を行う。



哩「…」じー

京太郎「なに?」



掃除をしていると哩が京太郎を見ていてる。

そんな哩の視線に京太郎は気づき少しだけ構える。



京太郎(部長が何か企んでる時にそっくりだ)

哩「…姫子とはどげんなん?」



京太郎「ふぐっ…」



哩の一言で先ほどの姫子との会話を思い出した。

結局逃げるようにここに来てしまった為少々情けない形になっている。

少し落ち込んだ京太郎に哩は察したのか、少し慰め掃除を開始した。



哩(前途多難だな、よか感じだっち思えばこれか)

哩(ん~姫子ん独占欲は私だけやなく京太郎にも及んでるんはわかっとんばってん)

哩(相棒…男として見られてなさそ)



2人は同時にため息をついた。



<森で食料調達>



京太郎「あれ?哩何してるの?」



京太郎が森で果物などを採っていると哩が罠の所に立っていた。

京太郎の声に気づき哩も挨拶を返してくれた。



哩「京太郎か、罠を見とった」

京太郎「罠を…?何もかかってないけど」



罠を覗くも何もかかっていない。

それでも哩は罠をあっちこっち見ている。

そんな哩を不思議に思い京太郎は質問した。



京太郎「何を見てるんだ?」

哩「罠ん仕組みばね、今ん段階だっち罠ば弄れるんは京太郎だけやろ?」

京太郎「それは…そうだな」



幸い京太郎にはこういった知識を多数持っていて罠の点検なども京太郎自身が行っている。



哩「京太郎だけに負担ばかけるわけにはいかんからね」

哩「せめて異常があった時に教える事ぐらいできないかと…」

京太郎「…」



哩の京太郎を思っての行動が心にジ~ンと染み渡る。

少し涙ぐみそうになるも我慢する。

最近涙もろくなったかなと?少し京太郎は思った。



哩「何泣いてるの」

京太郎「いや…感動して」

哩「こいでも部長やったからね、人の事はしっかりと見てるよ」

哩「仲間やし…気遣うんは当たり前やろ?」



京太郎「…」



哩「どげんした?」

京太郎「姫子が哩を好きな理由がわかったよ」


哩「ふぁ!?」


京太郎の賛辞に哩は顔を赤くしうろたえた。


京太郎(あ…可愛い)



<鍛える>


京太郎「もっと手先を器用に…」

京太郎「…手先を器用に」

京太郎「…あやとりでもするればいいかな?」



<哩姫会話>


京太郎「すー…すー」

姫子「よく寝てるな~♪」

哩「…」



夜になり休む時間になると京太郎は疲れが溜まっていたせいかすぐに寝てしまった。

哩姫の2人はそんな京太郎の横に座り込み会話をしていた。

姫子は京太郎が眠るとその寝顔を見て頬を突っついている。

哩はそれを無言で眺めていた。


暫くすると姫子も満足したのか哩のほうに視線を向けた。

哩は少し険しい表情で何かを考えているようだ。



姫子「部長、どうかしましたか?」

哩「ん~…ここら辺で一応確かめておくかな」

姫子「何をです?」



哩の言葉に姫子は反応するも意味がわからず、首をかしげた。



哩「京太郎ん事どう思ってるの?」

姫子「へ?」

哩「京太郎んこt…」

姫子「あわわ…判ってます!」



哩の予想外の言葉に姫子は少しだけうろたえた。




姫子「京太郎の事ですか?」

哩「ん」

姫子「ん~…」



姫子は考える。

京太郎は自分を助けてくれた人だ。

もし助けてくれなかったら自分は死んでいただろう。

恩を感じている、それは確かだ。

京太郎に何かあったら助けたいとも思う。

でも部長が聞いてるのはそうじゃないのだろう。



姫子「男として…って意味ですか?」



姫子の言葉に哩は頷く。



姫子(京太郎…)

姫子(男として…容姿はよかよね)



京太郎の容姿を思い出す。

髪の毛は不良のように金色だが髪の毛だけだ。

地毛だと本人は言っていた。



姫子(でも中身は違う)



その地毛も相まって軽く見えるが中身は全然違う。

真面目で気遣いが出来それでいていざって時は頼りになる。

中学校の時に近寄ってきた男性達とは違うのもわかる。






姫子(でも…)



姫子「わからんです」

哩「そっか…」



姫子の素直な感想に哩はため息をついた。



哩「なら私が貰ってもよか?」

姫子「はえ…?」


姫子(部長と京太郎が…)



哩の言葉を頭の中で想像してみる。

お似合いのカップルだと姫子は思った。

自分よりたぶんいいと思う。



姫子「お…」

哩「お?」

姫子(あれ…声が出ない?)



お似合いのカップルですよと言おうとするも言葉が途中で止まる。

なぜか言葉にしたくない。

哩と付き合っている京太郎とそれを祝福している自分を思い浮かべる事ができる。

だがそこまでだ…それ以上を考えると胸が痛くなった。




むむむと悩む姫子に哩は内心喜んだ。

どうやら意識はしてるらしい。



哩(こいで自覚してくれるとありがたいんやばってん)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2026年01月14日 21:52