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<背負子作成>

「ん~もっと持ち運びが楽に出来るようにしないと」


昨日の作業で感じたことがあった。

人の手だけでは材料の持ち運びが面倒なのだ。


「背負子でも作るか」

「背負子?」


京太郎の言葉に今朝から着いて来る姫子が首を傾げた。

背負子という言葉にあまり馴染みがないらしい。

そこで京太郎は姫子に説明をした。


「あー…桃太郎んお爺ちゃんが付けよっ奴ばいね」

「概ねそんな感じだな、てことで横で作り方教えますんでお願いします」


そう言って京太郎は美子に頭を下げた。

現状のメンバーで一番器用なのが美子なのだ。


「わかった、やっちみるばい」

「お願いします」


2人でアレコレ考えながら作っていく。


「出来たな」

「出来たね」

「ほんなこてにお爺さん奴やね」


普通の背負子を手に入れた。



<探索>


「どげんしたと」

「仁美さんが何処かへ行こうとしているのでお供をと」


京太郎と姫子が歩いていると何やら準備している仁美に出会った。

聞いてみると探索に出るらしい。


「姫子もか?」

「んっ、一緒がよか」


そう言って姫子は京太郎の腰に抱きつき頬ずりをする。

そんな姫子の頭を撫でながら京太郎は苦笑した。


「暫くは糖分いらんたい」

「あははは…」


そんな事を言う仁美だったが何処と無く嬉しそうな顔をしている。

何だかんだ言ってやはり仲が良いらしい。




  • 探索中-


「お……ここは」

「草原やね」チュー


暫く探索していると草原を見つける。

そして草原の一部に雪が降っているのが見えた。

あれが永水の人が言っていた所だろう。


「不思議やね」

「あぁ…あそこだけ雪が降ってるな」


3人は暫くその場で雪を眺めていた。


「と…眺めている場合じゃないな」

「探索しないとな」チュー

「取り合えず…近づく?」

「そうだな」


3人は雪が降る方向へと近づいていった。


暫く歩いていると京太郎が気づいた。


「待て」

「どげんしたと?」


姫子達を止めると京太郎は注意深く地面を見る。

そこには罠が仕掛けて有った。

そのまま進んでいれば引っかかっていただろう。


「人が居っと?」

「たぶんな」


そう言って京太郎は近くの棒を縄の中に入れた。

すると縄は生き物のようにしゅるりと動くと木の棒を締め上げる。

そんな異常な動きに姫子と仁美は驚いた。

逆に京太郎はやっぱりかと思った。


「咲の奴のだな」

「咲……?」


京太郎の呟きに姫子は敏感に察知し、また京太郎の腰へとしがみ付く。

女の勘なのか咲という呟きから嫌な予感がしたのだ。




暫く京太郎の指示でその場で休んでいると人がやってきた。


「京ちゃん?」

「犬だじぇ」


「誰が犬だ!てか久々だな咲とついでに優希」


やってきた人物は京太郎と腐れ縁である清澄高校一年にして大会では大将を勤めた゛宮永 咲 ″

もう1人に小さいチンチクリンの人は同じ清澄で先鋒を務めた゛片岡 優希 ″だ。

咲は感極まって京太郎と抱きつこうとする。

だが京太郎の腰には既に先客が居りその行為は出来なかった。


「誰ですか…」

「そっちこそ」


咲と姫子が睨みあう。

雰囲気が悪い。


「部長達も一緒か?」

「そうだじぇ、そっちの人達は新道寺の人か?」


とりあえず優希に話し掛ける。

優希の問いかけにそういえば、優希が煌の後輩だった事を思い出した。

知っていても可笑しくないかと京太郎は思った。


「新道寺ん3年江崎仁美ばい」

「清澄の一年片岡優希だじぇ」


2人はそう言って握手した。

こちらの2人は問題なさそうだ。


「京ちゃんから離れてくれません?」

「や、何で退かなかといけなかと」


こちらは険悪その物だった。






「京ちゃん……」

「…」


咲が姫子から京太郎へと視線を向けた。

埒があかないと判断しのだろう。


だが京太郎は苦笑して姫子の頭を撫でた。

咲は目を見開きショックを受けた表情をする。

逆に姫子は目をウットリとさせそれを受け入れた。


「その何だ…色々あってな、姫子は俺の恋人で」

「…嘘」

「…」


京太郎の言葉に更にショックを受け咲は走り去る。

京太郎はやっぱりこうなったかと顔を手で隠すも追いかけない。


「本当なんだじぇ?」

「ん、ラブラブで何時も大変たい」


後ろに居た優希と仁美は逆にのんびりしていた。


「あ~優希」

「ん、しょうがない犬だじぇ、咲ちゃんの事は任せとけ」


京太郎がチラリと優希を見ると優希は理解したのか

自分に任せろと言って咲を追いかけていった。


「よかと?」

「あぁ…何があったか知らないけど今の姫子を置いていくわけには行かないよ」


京太郎は仁美の言葉に小さい声で答えた。

昨日の夜から姫子の様子が可笑しいのに気づいている。

その為、姫子を不安にさせたくないのだ。


(取り合えず落ち着いたら咲達に会いに来てみるか)


そう思いもう一度姫子の頭を撫でた。


<清澄?との出会い カンッ>


<哩煌と会話>


「丁度いい所に」

「あっ…」

「こんばんはです」


京太郎が拠点で待っていると哩と煌が降りてきた。

二人供お風呂に入っていたのか髪が少し濡れていた。

京太郎は2人を見ると丁度良かったと思った。

2人に用事が合ったのだ。


「どげんしたと」

「何か御用で?」


2人は顔を見合わせ不思議そうにする。


「まずは…煌さんからで優希達に会いました」

「なんと!」


煌は優希の名前を聞くと驚きの声を上げた。

無理もない中学からの付き合いで大会でも会っているほど仲がいいのだ。


「元気そうでしたか?」

「えぇ…相変わらずで」


優希に会った時を思い出して苦笑した。

何時も通りに元気だった。


「場所を教えますんで今度会いに行かれては?」

「えぇそうします!すばらです!」


煌に報告を終えると哩の方へと振り向いた。


「姫子の事なんだけど…」

「っ…やっぱい姫子ん事か」

「え……」


哩は姫子の名前を聞くと苦しそうにそれでいて悲しそうな顔をした。

そして、話すことはなかよ…と言って隅っこに移動し膝を抱え込んだ。


哩の行動に京太郎と煌は顔を見合わせどうしたらいいかと困った顔をした。



「んーどうっすかな」


京太郎は寝床で寝そべりながら拾ったコインを投げていた。

親指でピンっと打ち投げると綺麗に回りながら落ちてくる。


「表」


バシっとコインを掴むと宣言したとおりに表だった。

もう一度上へ投げた。


「哩と姫子の関係が表なら戻る」


落ちてきたコインを見ると表だった。

それを見て京太郎は微笑んだ。

何時も何時もなにかしらあったけど無事に過ごせているのだ。

今回も大丈夫だろうと確信している。


「ついでに裏なら姫子の今日の下着は黒!」


そう言って京太郎はコインを飛ばした。


「なんしようと?京太郎」

「あっ」


目の前に姫子が現れた。

コインはタイミングよく姫子のスカートに当たり中身が見えた。

それを見た瞬間、京太郎は鼻を押さえる。


「ぶふっ……せめて下着穿いてくれ」

「えーどうせ直ぐ脱ぐばい」

「そういう問題じゃない」


<姫子の想い>


「なぁ……哩と何かあったのか?」

「……」


京太郎は寝る前に思い切って姫子に聞いてみることした。

このままだと取り返しがつかなくなりそうだったのだ。


「部長…京太郎ん事好いとーだって」

「ん……?」


姫子は少し悩んだ後素直に答えた。

予想外の言葉に京太郎は聞き間違いかと思ったがどうやら本当のようだ。


「あー…えーと?」

「ずるか…ずるかよ」


告白し恋人になった瞬間これだ。

好きだったなら自分が告白する前に言って欲しかった。

自分の中でこんなにも京太郎の存在が大きくなった瞬間言うのはずるいと思った。


「……それで喧嘩か?」

「ん……絶対渡さなかよ」


そう言って姫子は京太郎をぎゅっと抱きしめた。

誰にも渡さないと意思表示しているのだろう。


京太郎は姫子に抱きつかれながら反応に困った。

どうやら今回の件は自分の取り合いらしい。

だが…不思議に思うこともある。

哩と姫子なら分け合いそうなものなのだが……


「もし、私が2人ん男性ば侍らしぇよったらどげん思う?」

「すっげー嫌だ」


考える時間も無いぐらい即答だ。

そして言った瞬間、京太郎も気づいた。


「仲良くても駄目な物はあっ……そいが私にとって京太郎やったそいだけたい」

「………」


姫子の言葉に京太郎は何も言えなかった。

そういえばそうだ……恋人を分け合う……そんな事できるはずが無いのだ。

そうするとこの問題はどう解決すべきなのだろうと京太郎は悩んだ。


「絶対…絶対…渡さなかよ」


<姫子の想い カンッ>



<哩と幸運を鍛える>

「よっす」

「…どした」


「トランプしない?」

「……よく有ったな」


そう言って京太郎はトランプを取り出した。

……葉っぱの裏に数字とマークを描いた物だったが。


「作ったと?」

「たまにはこういう気晴らしもいいだろう」


そういって葉っぱをバラバラにし哩と自分に配り始める。

暫く唖然と見ていた哩だが葉っぱと言うのがつぼに入ったのか笑い出した。


「あははははは……葉っぱって……あはは」

「…一生懸命作ったんだぜ?」


京太郎は少し不貞腐れるもすぐに哩と一緒に笑った。

その後一緒にトランプ?で遊んだ。

何だか運が上がったような気がした。



<憩と会話>


「何してるんだ」

「ん~?ちょっと整理をしとるんよー」


京太郎が拠点でのんびりとしていると世話しなく動いている憩を見つける。

何か手伝える事が有るかもと近づき声をかけた。


「……こんなに薬とかってあったっけ?」


憩の傍にはいくつもの瓶があり、中身には様々な液体が入っている。

京太郎はこんな物を拠点内で見たことない。


「ウチが集めた奴と作った奴やね」

「…作れると知ってたけどこんなに作れたんだ」


憩の言葉に京太郎は眼を丸くさせ驚いた。

何の薬かは知らないが様々な種類がある。

これだけ有ればどんな病気にも対応できそうだと安心した。


その後、憩と会話をしながら手伝いをする。


「ありがとなー」

「いつも世話になってるからな」


「そんなんでもないですーぅ」


憩は少しばかり頬を赤らめ俯く。

照れているようだ。

そんな憩を微笑ましく見ていると何かを思いだしたのか顔を上げる。


「この中から選んでくれへん?」


そう言って京太郎に3つの瓶を差し出した。


<赤い瓶>


「よく判らんが…これかな」


そう言って赤い瓶を選んだ。

憩はなるほどーと少々驚きつつ赤い瓶を京太郎へと渡す。


「取り扱いに注意してな~♪」

「うん?」


憩は手を振りそのまま何処かへ行ってしまった。

京太郎は赤い瓶を持ちながら唖然と憩を見送る。


「……この中身なんなの?」


得体の知れない液体の入った瓶を片手に京太郎は呟いた。


<哩と幸運を鍛える>


「……2枚捨ててドロー」


京太郎は新たにストックから2枚カード(葉っぱ)を引く。

引いたカードを見て京太郎はニヤリと内心笑う。

京太郎の手の中のカードは絵柄が全てクラブだ。


(フラッシュ……これに勝つには相応の運…もしくは頭脳が必要だ)


そう思い京太郎は哩に勝負をかける。

哩はむむむと自分の手を見て悩んでいた。

此方に気づいてない様だ。


目をぐるぐると回しながらあれでもない、こうでもないと悩んでいる。

表情を隠そうとすらしていない。


そんな哩を見て京太郎は少しばかり笑った。


「……もうよか、こいでよかたい」

「ふふふ…♪」





諦めたのか哩が少し肩を落とし手を晒した。

京太郎は勝ちを確信しニヤリと笑う。


「……は?」

「……ふっ」


哩の手を見て京太郎は固まった。

そんな固まった京太郎を見て今度は哩がニヤリと笑った。


「ストレートフラッシュだと!?」

「私ん勝ちやね♪」


どうやら自分は騙されていたようだ。

京太郎は肩を落とし、哩はその様子を見て笑っていた。


その後も哩と楽しくポーカーをした。


<仁美と美子と会話>


「何してるんですか?」


京太郎が拠点の見回りをしていると仁美と美子を見かける。

2人は窓縁に座り込み外を眺めていた。


「ん~よく雨降るなと」

「…」


仁美がストローを口から離し答えてくれた。

既にお風呂上りの筈なのに仁美の髪の毛はぐるんと丸まり羊ヘアーだ。

そんな仁美の隣で美子はうつらうつらと眠そうに船を漕ぐ。


「美子先輩眠そうですね」

「色々あったばい」


2人は美子を見てそんな会話をした。

仁美と2人で感傷に浸りつつのんびりしていると美子の体が大きくゆれ仁美の方へと傾いた。


「ふぐっ!?」

「……あっ」


身長差のせいで仁美は美子につぶれる。

仁美から変な声が漏れ美子の下から手だけが出ていた。


「……取り合えず運びましょうか」

「はよ…そーして」


手をばたばたさせ助けを呼ぶ仁美を少しの間見た後に京太郎は美子を抱きかかえおんぶする。

隣では仁美がふらふらと立ち上がっていた。

京太郎は苦笑しながら美子を連れ寝床へ戻っていく。


「……ぬっか」


京太郎の背中で美子が呟き、ぎゅっと服を握った。



<これで何回目?>


「あっ…」

「あっ…」


夜小雨になった事も有り京太郎と煌は魚籠の回収へと向かっていた。

そんな時、ある事があり2人の声が重なった。

京太郎の目の前で煌が消える。


京太郎は冷静に明かりを照らしながら煌が消えた所へ向かう。

向かうと大きな穴が空いていた、どうやら誰かが作った落とし穴のようだ。


「…煌さん無事ですか」

「……無事に刺さってます」


煌の言葉に京太郎は穴を覗くのをやめた。

言葉から嫌な予感しかしない。

見たら吐く事になりそうだ。


「1人でなんとかなりますか?」

「このぐらいでしたら……問、題…ないですね!」


煌が喋ると同時に何やらズチャ、ズブッと嫌な音も聞こえてくる。

下に獣用の針でもつけていたのだろう。

暫くその場で待っていると煌の手が穴から覗く。


京太郎はその手を掴むと思いっきり引っ張り上げた。


「いや~参りました!」

「ご無事のようで」


引き上げた煌の服はあちら此方穴が空き赤い血液で染められていた。

それを見て京太郎は顔を引きつらせた。


「……煌さん、この島に着いてから何回目ですか?」

「……覚えている限りで……108回目ですね!」


京太郎の言葉に煌は目を輝かせて答える。

煩悩退散ですよ!とポジティブな煌に京太郎は苦笑した。


<これで何回目? カンッ>


<羊ヘアー再び>


「所で……」

「んー?」


拠点に居る仁美に京太郎は前から思っていたことを聞く事にする。


「なんでその髪型にしてるんですか?」

「前にも言ったとおり、こん島着いてから……」

「あ~…そうでなくて、大会の時からその髪型でしたよね?」


京太郎が聞いたのは何故その髪型を選んだのかだ。

お洒落にしてももう少しこう…他になかったのかと聞きたい。

仁美にすごく合っている髪型なのは確かなのだが。


「あー……姫子達には内緒で」

「はい」


仁美は辺りを見渡し誰もいない事を確かめ真面目な顔で語りだす。

そんな仁美に京太郎も真剣な顔で頷いた。


「最初は普通ん髪型やった」

「へ~……最初って?」

「いぁ…高校2年ん時やね」


どうやら一年前までは普通の髪型だったらしい。

一体何が彼女を襲ったのだろうか?


「2年ん時に後輩の出来よるんばい」

「うん……もしかして後輩って姫子と煌さんですか」

「ん…そいで姫子と花田ん奴のこれまた強烈なキャラしていてな」

「あ~…」


京太郎は姫子と煌を思い出す。

確かに強烈的な性格を二人共していた。


『ぶちょうー!ぶちょう?ぶちょー♪」

『すばら!すばらです!スバッ!?』


うん……あの2人は強烈すぎる。

あの2人を思い出し京太郎は頭を抱えた。

そんな京太郎を楽しげに仁美は見ている。


「それで髪型とどう関係が?」

「キャラの薄くなるから、こん髪型にしたら気に入ったばい」チュー

「それだけかよ!?」


<羊ヘアー再び カンッ>


<先輩として>


「む~……」

「う~ん……」


現在拠点で京太郎と美子は悩んでいた。

悩みの原因は姫子と煌だ。


姫子の独占欲が強過ぎるのと煌の自分の体を大切にしない態度。

この両方が問題なのだ。

京太郎が拠点で悩んでいると美子がそれに気づき声をかけた。

京太郎は最初相談するか迷ったが解決策が思い浮かばないので相談をする事にした。


「どうしたものか…」

「姫子ちゃんは不安がってるせいだと思うばってん…元から強いとも考えられるね」

「あー……」


美子の言葉に京太郎は同意した。

最初から結構独占欲が強かった気がするのだ。

そうなると姫子の性格を変えなければいけない。

勿論2人にはそんな事が出来ず、取り合えず姫子は置いておく。


「煌ちゃんは…ちょこっとだけ対策あっけん」

「本当ですか?」


美子の言葉に京太郎は驚いた。

煌の対策もいい案がなかったのだ。


「京太郎君の煌ちゃんに服ばプレゼントすればよかと思う」

「服ですか?」


美子はこくりと頷いた。


「煌ちゃんん性格からして貰ったもんば大事にするから汚しちゃう様な事ばしなくなるはず」

「ふむ…」


やってみる価値があると京太郎は思った。

渡す時にもう一度心配してる事を伝えればと考えていく。

ある程度対策が整ったので美子に京太郎はお礼を言った。


「ううん、別によかよ、ばってんうちはあん2人ん先輩だから」

「…」


そう言って笑う美子の笑顔はとても眩しく綺麗なものだった。


(煌さんに渡す服を揃えるのと同時に美子さんにも渡そう)


京太郎はそう考え寝室へと向かった。


<先輩として カンッ>



<防護服作成>

「防護服を作ろう」

「防護服?」


京太郎の言葉に姫子達は不思議そうにしている。

そんな姫子達に京太郎は説明をした。


「なっほどな、雪ん対策か」

「確かに寒そうやった」チュー


京太郎の言葉に哩と仁美も納得した。

仁美は一緒に見ているので納得もしやすかったのだろう。


「ん~材料はどうします?」

「……探してみる?」


煌と美子はどうやって作るかを話し合っていた。

確かに…毛皮を使ってもいいが砂浜を探してもありそうだ。


「両方……とか?」

「それがいいか」


姫子の言葉に京太郎は頷きみんなをまとめ始めた。

「……」

「な…すごいだろ?」


京太郎はボーと雪を眺める哩にそう言った。

哩は何処となく楽しそうに嬉しそうにしている。

好奇心を押さえられないような子供のような表情だ。


「もっと近づくか…」

「いいの?」


京太郎の提案に哩は目を輝かせる。

元よりそのつもりで来たのだ。

あそこに何があるのかを調べる為に京太郎達は向かう。


「寒いな」

「寒いな」


2人はそんな事を言った。

近づくにずれ少しずつ気温が下がり周りを雪が囲う。


「……これはしっかりと防寒服を用意しないと無理だな」

「…んっ凍えっばい」


京太郎の口から白い息が出てくる。

喋るだけでも寒くて辛い。

哩も言葉少なめにし自分を抱きしめた。


「帰るか……」

「まって…あそこ何かあっ」


帰ろうと踵を返す京太郎を哩が服を引っ張り押さえた。

哩が指差す先に確かに何かが有った。

2人は顔を見合わせて頷くと慎重に近づいていく。




「これは…」

「扉やね…大きいけど」


2人が見上げなければいけないほどの氷の扉が建っていた。

京太郎は手でコンコンと叩くと硬い音が聞こえてくる。

次に押してみるもビクともしない。


「せーの!!」


持ってきたスコップで思いっきり当てるも割れる様子も無い。

京太郎の手が痺れただけだ。


「無理やね」

「……ん~姫子なら開けられるか?」

「……かもね」


京太郎の言葉に哩は一瞬顔を曇らせる。

扉を見ていた京太郎には哩の顔を見ること叶わず判らなかった。


「戻るか」

「そいがよか」


そう言って二人は来た道を戻っていった。


※扉を発見しました。

哩のイベントまで(5/5)




<新道寺シナリオ3章-仲間割れ->

<憩と砂浜探索>


「よっす、憩」

「こんにちは~♪」


京太郎が砂浜で拾い物をしていると憩が前から歩いてくる。

手を上げて挨拶をすると憩も挨拶を返してくれた。


「何かあったか?」

「ん~これと言って流石に日にち経つと何もないなー」


そういうと憩は苦笑した。

京太郎はそうそう上手くいかないかとため息をつく。


「あーでもあっちにコンテナあったなーぁ」

「コンテナ?」

「んっうちの力じゃ開けれんかったんやけど…姫子ちゃんなら開けれるかもなー」


「どっちだ!?」


京太郎はそう言って憩の肩を掴む。

憩はイヤンイヤンと頬を染めややわ~と暢気に恥ずかしがっていた。


遠くから誰かが走ってくる……京太郎が責められるまで5秒前…



<姫子と煌>


「よっす!」

「京太郎~♪」

「こんばんはー」


京太郎がお風呂へ向かっていると姫子と煌に出会った。

姫子達は仲良く談笑していたらしい。

2人に挨拶をすると姫子は京太郎に抱きつく、そんな姫子を見て煌も嬉しそうだ。


「何の話をしてたんだ?」

「んーとね、出会った時ん話かな」

「すばら!あの出会いは衝撃的でした!」


2人の出会った時の話か…仁美から少しだけ聞いてはいたがどの様なものだったのだろうか。

少しばかり興味がわき、京太郎は2人の話を聞く事にする。


「それで2人の出会いってどんな感じだったんだ?」

「そうですねー最初は色々噂があったもので少々話ずらかったですね」

「あーあん噂かー大変やったばい」


どうやら2人の出会いは少々悪かったらしい。


<姫子と会話>


「ちょうどいいし…このままで」

「あい?」


京太郎は丁度いいと姫子を抱えお風呂へと向かう。

驚く姫子を横に煌はいい笑顔で手を振り見送っている。


「てい」

「やん♪」


姫子の服を剥きそのままお風呂へ放り込む。

自分の体を洗うと姫子の所に行くと後ろから姫子を抱きしめた。


「お疲れー?」

「お前や煌さん…哩…もか色々とな」


そう言うと姫子は少しばかり居心地が悪いのかもぞもぞと動く。

それを京太郎は逃がさないとぎゅっと抱きしめた。


「ごめんね?」

「はぁ~まぁ別にいいけど…ちゃんと仲直りしろよ?」

「…んっ」


京太郎がそう言うと姫子は小さくだが頷く。

ある程度日数が経って少しだけ落ち着いたのだろう。

まだ少しかかるがちょっとずつ縮まっているらしい。


とりあえず…姫子と哩…それに煌の事が落ち着いたら皆でピクニックでも行きたいなと思った。

<諦めない>

「…」


皆が眠る夜中に哩は1人目を覚ました。

暫くの間、ボーとしているとむくりと起き上がる。

眠気が来ないのだ。


「はぁ~…」


哩はしょうがなく外へ出ると空を見上げる。

空は雲ひとつ無い満点の星空だった。

普段なら見入るような星空を哩は少しだけ眺め2階へと上がった。


「…」


2階に行き、窓の縁に座るともう一度星空を眺める。

憎いぐらい綺麗だった。


(…どげんしよ)


哩は星空を見ながら考え込む。

思考したのは勿論、姫子と京太郎の事だ。

あの告白があってから姫子とまともに話をしていない。


一番の親友と呼べるほどの姫子との喧嘩…それがここまで堪えるとは思わなかった。

むしろ喧嘩するとは思ってもみなかった。

今まで通り仲良くずっとずっと喧嘩する事無くやっていくものと考えていたのだ。


それがたった一言でここまで簡単に壊れるものかと考える。




「判ってっ…悪いんは私だ」


誰に言うでもなく呟く。

理解しているのだ。

悪いのは横槍入れた自分だと……。


「ばってん…諦めなか」


哩はそんな事を呟いた自分に苦笑した。

こんな事があっても諦めきれないらしい。

哩は暫く苦笑していたが徐にため息をつくと項垂れる。

諦めきれないのだが、具体的な解決策が思い浮かばないのだ。


「……姫子、京太郎」


2人の顔が星空に映る。

2人の顔は幸せそうに笑っている顔だ。

そんな事を思い出しているとふいに涙が出てくる。


「………寂しか」


今ここで1人で居るのが悲しい。

哩は蹲るように膝を抱え込むと暫く泣いた。



<諦めない カンッ>


<トイレの作成>


「ん~……」

「どげんしたと?」


皆が集まったミーティング時間に京太郎が悩んでいる。

そんな京太郎に姫子は話しかけた。


「温泉の有効活用がしたい」

「…どんなんよ」チュー


京太郎がそんな事を言い出した。

そんな京太郎に仁美が相変わらず飲み物を飲みながら聞いてきた。

仁美の言葉に京太郎はう~んと悩み始めた。

暫くして京太郎はポンと手を叩き思いついた。


「トイレとかどうだろ」

「なん…だと…!?」

「…はよ!はよ!」

「……すぐに作くったい」

「スバラです!!」


哩に仁美、美子に煌はすぐに反応し同意した。

姫子は恥ずかしそうに俯いている。

とりあえず許可が下りたことにほっとし誰が作業するかを話し合った。



<龍門渕とイベント>


「ん~、京太郎…?」

「…」

朝、姫子が起きると京太郎が既に起きている。

姫子は迷う事無く京太郎の腰へとそのまま抱きついた。


「ぬっか♪」

「…」

「……?」


姫子は抱きつくと少しばかり不思議そうにする。

京太郎が反応しないのだ。

ただただ一点を見つめ続けている。

その顔は鋭く険しい顔をしていた。


「京太郎?」

「…皆を起こして武器と盾を持って油断するな」

「え?」


京太郎はそれだけ言うとポンと姫子の頭を軽く撫で立ち上がった。

姫子の制止の声の前に止まる事無く走っていく。

そんな京太郎に姫子はポカーンと京太郎が走り去った入り口を見つめていた。











「確かこっちか?」


スコップ片手に飛び出した京太郎は先ほど感じた場所へと向かう。

非常に嫌な予感がある方向からしたのだ。

体力をあまり使わないように進む。

たぶん戦う事になるだろうと京太郎の勘が告げていた。


「……どっちだ」


暫くすると場所が判らなくなった。

京太郎のオカルトの範囲外に出てしまったらしい。

しょうがなくその場で目を瞑り耳を澄ます。


「………」


「…くそ、駄目だ聞こえない」


京太郎は苦味潰した顔をして悔しがる。

残念ながら聞こえるのは波の音だけだ。

しょうがなく京太郎は注意深く辺りを見渡しながら拠点へと戻る。


暫く辺りを見渡しながら戻っていくとふと目に入ったものが気になった。

それは木の枝にくっ付いている布だった。

辺りを見渡し罠が無いかを確認しながら少しずつ近寄り布を手にする。

それは誰かのハンカチのようだ。

綺麗な刺繍で名前が縫っており、手触りなどからも高級感が漂う物であった。

京太郎はそれを黙って読む。


「…龍門渕…透華?」


その名前に京太郎は覚えがある。

衣に一それに純の所のお嬢様だ。

その人のハンカチが何故ここにと思いつつ辺りを見渡す。



「これは……!?」


京太郎が辺りを見渡すと幾つ物草が踏み潰されている。

それを注意深く見ると何人かの足跡が残っていた。

京太郎はしゃがみ込み、しっかりと見る。


その足跡は大きさ的に少女達の物のようだ。

それに混じり何やら細長い足跡もあった。

人間の様な形をしているが大きさが50cmと細長かった。


「なんだこれ…」


こんな足跡をした動物が居たか京太郎は記憶を探るがそんな生物は思い浮かばなかった。

京太郎は足跡を一旦見るのを止めもう一度辺りを見渡す。

すると木に何本かの木で出来た矢が刺さっている。


「…何かと戦ったのか」


そう京太郎が呟き黙るとシーンと耳が痛くなるほどの静けさだけが残る。

何処か別の場所に取り残されたような気がして背筋にゾクリと来る物があった。

何となく此処に居ると悪い事が起きそうな気がする。


今現在出来る事は二つ、此処に残り手がかりを探すか仲間を呼びに戻る。

この2択だ。


(……どうするか)



(……いや、姫子達に危険が及ぶかもしれない、もう少し手がかりを探そう)


そう思うと京太郎は嫌な気配を感じながら辺りを探索していく。

暫く木を見たり地面を見たりと様々なものを見終わり京太郎は情報をまとめる。

  • ここに居たのは龍門渕 透華
  • 残っている手がかりは<ハンカチ>と<木に刺さった矢>
  • 足跡から複数の人が居たと推測できる
  • 足跡に人以外の者が混じっている(足跡は細長く50cmぐらいだ)


(ん~…これだけじゃ判らないな、それに嫌な気配も心なしか大きくなっている)

「戻るか」


京太郎はこれ以上ここに居てもしょうがないかと思い踵を返す。

まだ踏み荒らされていない草を踏みつつ日が当たっている砂浜へと足を向けた。


「あれ……?」


京太郎が砂浜へ後一歩で出るところで気分が悪くなる。

視界がぐにゃりと歪みあまりの気持ち悪さに京太郎はその場で蹲る。

気分は時間が経つと共に悪くなり最後には倒れてしまった。




















「くっ……」


意識が覚醒する。

京太郎は眼を開けると痛む頭を押さえる。

そのまま自分の状態を確認する。

異常が無いかを確認し上半身を起した、どうやら体調は戻ったようだ。

先ほどの体調が悪くなったのは何だったのかと気になりながら辺りを見渡す。

辺りは暗くなっており大分時間が経っている事が判った。


(……朝に起きて直ぐここに来たから12時間位此処で倒れてたのか)


姫子達が心配しているだろうと思い京太郎は立ち上がり拠点へと戻る。

星の光と月の明かりを頼りに京太郎は誰も居ない砂浜を歩く。


「あれ…?」



「……可笑しい、なんで<満月>なんだ?」


京太郎は上を向いて月を眺める。

月は真ん丸い満月をしていた、昨晩見たときは下弦に入っていたはずだ。

京太郎は嫌な予感がし拠点へと急いだ。

体力など気にせず走り続ける。



「………ない?」


暫く走っても拠点に辿り着かない、周りを囲んでいる柵があるので直ぐ判るはずなのだが、それが見つからない。

京太郎は焦る気持ちを抑え目を瞑り自分の<オカルト>を発動する。

京太郎のオカルト<須賀の地>は京太郎自身と大切な人を守る為の拠点を作成する能力だ。

その能力に気づいてからは拠点周りをある程度知覚出来るようになった。

知覚の御蔭で今回の騒動を知ったのだが今はその力が使えない。


拠点が無いという事は、姫子達は何処へ行ったのだろうか?

京太郎の胸に得体の知れない不安感が増し苦しくなってくる。


「姫子ーー!!!哩ーー!!!煌さーーーん!!!仁美さん!!!美子さん!!!!!」


不安を消すかのように大声を上げる。

大声を上げた後、耳を澄ます………返事は無い。


「……」




「落ち着け…まずは休もう」


京太郎は精神を落ち着かせるとその場で少しだけ休んだ。

焦ると碌な事にならないと自分に言い聞かせ木の下で座り込んだ。

走ったせいで少し喉が渇いたが拠点が無いので水が確保できない。


(姫子達より俺の方がやばいかもな)


冷静にそんな事を考えた。

拠点を出るときに持ってきたのはスコップだけだ。

水や食料を持って来ていない。


(水と食料の確保……ヤシの実を確保できれば……いや、ナイフがないな)


考え込んでいると京太郎はある事に気づいた。


「月が動いていない?」


京太郎が空を見上げると満点の星空が広がっている。

あれから大分時間が経ったのに月が動いていないのだ。

京太郎は暫く唖然と月を眺める。

その間も月はぴくりとも動かなかった。

どうやらこの空間はずっと夜らしい。


「何がどうなってるんだ……」


京太郎は次々に起こる現象に着いていけず、疲れた。

そして……気がつけば寝てしまっていた。





「ん……やっぱり夜か」


起きると変わらずの星空が広がっている。

京太郎は体をぐぐ~と伸ばし一息つくと歩き出す。

ここに留まっていてもどうにもならないと思ったからだ。


(歩いても同じ砂浜だ、同じ無人島なのだろうか)


<砂浜を歩く>


「………」


京太郎は黙々と砂浜を歩き続ける。

砂浜には漂流物もなく人の気配もしない。

ただただ静かに波が寄せては引く…寄せては引くと繰り返しているだけだ。


「ん~……こうしていると1日目を思い出すな」


そんな事を呟きながら砂浜を歩いていく。

勿論、その言葉に返してくれる人はいない。

ただただ歩き続けるそれだけだった。




「あれは………」


京太郎が歩いているとある物を見つける。

それに少しばかり走って近づく。


「これって……」


近づくと見覚えがある物が落ちていた。

京太郎達が使っているライターだ。

注意深く見ると確かに同じ所に傷がついていた。

間違いないだろう。


「拠点にあった物がなんで砂浜なんかに」


ソレを見て少しばかり考えるも情報がなくこれ以上考えても無駄だろうとポケットにライターを仕舞った。


<ジッポライター>を入手しました。


「あー…わかんねーまったくわかんねー」


そんな事を言いつつ京太郎はまた歩き出す。


<砂浜を歩く>


「まだ何か落ちているかも」


ライターを手に入れ京太郎は星明りで明る過ぎる砂浜を歩き続ける。

何やら何処かでおまかせあれと聞こえた気もしたが空耳だろう。


何も無い砂浜を歩き続ける。

静かな所でデートスポットとしては満点なんだけどなと下らない事を考えた。

今ままで1人になることが無かったので何だが無性に寂しかった。


何か…何かないかと辺りを見渡していると……


「あれ?」


少し遠くに人影が見える。

京太郎は逸る気持ちを抑えゆっくりと相手を刺激しないように近づいていく。

ここで驚かせて逃げられた目も当てられない。


歩くと大分近づいてきた。

もう声も届くだろう。


「おーい!!!」



<哩と合流>


「京太郎……?」

「哩!!」


近づくと京太郎がよく知っている人物だった。

京太郎は眼を輝かせて哩の元へと駆け寄る。

哩も京太郎を見て目をパチパチと開け閉め驚いていた。


「無事やったと?」

「あぁ、そっちも大丈夫か?」


2人は少しずつ理解し笑い出す。

まさか最初に会う人が大事な仲間の1人とは運がいいと思った。


「それで何で哩はここに?」

「んー拠点で警戒しとったらいつん間にか…」

「俺とは少し違うのか……それでそっちは1人か?」

「せやね」


京太郎の言葉に哩は頷く。

それに少しばかり落胆しつつ京太郎は先ほどより前向きになった。

1人より2人…京太郎と哩は再開を喜び前に進む。



<森の中へ>


「……森の中でも月明かりのせいで明るいな」

「便利でいいんやけど…」


2人が森に入ると其処は夜でありながら明るく普通に歩ける。

それに安堵しながら進んでいく。

途中で果物を見つけその場で少し食べ手に持てる程度を持っていく。


「鞄とか欲しいな」

「ん~手やと足りなか」


2人は果物を持つも残念ながらそれほどの数を持てなかった。

それでも水分も補充でき二人は満足して先に進む。

暫く進んでいると…………




「待って…」

「どげんしたと?」


京太郎が哩に静止をかけ止まると京太郎は耳を澄ます。

何かが聞こえる。

京太郎の耳は微かに聞こえたソレを聞き逃さなかった。

哩も耳を澄ますと確かに微かにだが聞こえる。

2人は顔を見合すと頷き近づいていく。


「誰か居るのか」「誰か居っと?」

「ぴぃ!?」


2人が茂みから顔を出し声をかけると相手は驚き後ろへ下がる。

京太郎は哩に目で伝えると哩は静かに頷いた。


「よか……だ、大丈夫敵やないけん、たぶん?」

「本当か?」


哩の言葉に相手は少しばかり警戒を解いたようだ。

それに安堵し2人は相手に見えるように自分達を晒す。

月明かりが3人を照らし姿が見えた。


「天江…さん?」

「知り合いばい?」

「衣を知っているのか」


京太郎は相手に見覚えがあった。

龍門渕の天江衣 長野県決勝で清澄と戦った人物だ。


「清澄高校麻雀部の須賀です」

(あー…去年んMVPんやった人やね)

「………」


京太郎の言葉に一生懸命思い出そうとしているのだが一向に衣は思い出せない。

そんな衣を見て京太郎は苦笑してしょうがないかと思った。


「それでこんな所で一体……」

「……衣にも判らぬ、気づいたらここに」


京太郎と哩はお互いに顔を見合わせた。

どうやら本当の事を言ってるようだがまだ何か情報がありそうだと思い一旦どこかで休憩をとる事にした。


天江 衣と合流しました。



「…衣?」

「知り合いばい?」

「京太郎か?」


京太郎は相手に見覚えがあった。

龍門渕の天江衣 長野県決勝で清澄と戦った人物だ。

あの後の合宿以来何かとハギヨシさんと一緒に居たのでその切に仲良くなった。

今ではたまに衣の執事を任されるぐらいだった。


「龍門渕のエースの」

「あー…去年んMVPんやった人やね」

「…無事だったか」

「それでこんな所で一体……」

「……衣にも判らぬ、気づいたらここに」


京太郎と哩はお互いに顔を見合わせた。

どうやら本当の事を言ってるようだがまだ何か情報がありそうだと思い一旦どこかで休憩をとる事にした。


天江 衣と合流しました。


こうで


<休憩>


「落ち着いたか?」

「大丈夫だ、衣はお姉さんだからな!」

「どげん見ても…もごもご」


哩が衣に対して何か言いそうだったので京太郎はすぐに口を塞ぐ。

意外な所で抜けているので油断できない。


「それでここの原因って衣だったりするのか?」

「…何故そう思う」

「…もごもご」


京太郎は哩の口を塞ぎながら衣に聞いてみる。

ここの空間はやけに月が強調されている気がするのだ。

衣の能力は月に関するオカルトだ。

この島ではオカルトが現実に作用するようになっており、衣が関係するのではと思った。


そんな京太郎の問いに衣は黙り込んだ。

それを見て京太郎は質問を変える事にした。



「こうなったきっかけに心当たりは?」

「……遺跡に近づいた時、変な奴に触られた」


「変な奴?」

「真っ黒い人型の影だ、魑魅魍魎の類だな」


京太郎はそれを詳しく聞いていく。

  • 遺跡とは大盾の英雄の遺跡
  • 相手は実体はない
  • 影のような黒い人型
  • 触られると力が体から抜けるような感覚がした


「………(まさかな)」


その話を聞いて京太郎は1つ思いついたがソレはないと頭を振った。

アイツはあそこで倒したのだ。

それでもあの下種な笑い声が聞こえてくるのはどうしてだろうか?

心の奥で何かが蠢くのを感じた。


「……ずっと一人だったのか?」

「いや、透華達と一緒だった」


京太郎は考えを振り払うかのように別の質問をする。

今度の質問にはすんなり答えてくれた。


「透華さん達とは…?」

「黒い影から離れる時までは共に…」


「ん~……なら人以外の足跡があったが何があった?」

「……何と言えばいいだろうな」


衣はしばしの間考え込む、あれをどういえばいいのかと悩んでいるようだ。

それを我慢強く待っていると衣が口を開く。


「……黒く細長い人影の様な者だった」

「ん~黒い細長い人影ね」



「…ノッポだったりするか?」

「…知っているのか!?」


京太郎は顔に一筋の汗をかく。

確かに1つだけそのような者を知っている。

海外での有名な都市伝説なのだから……


「゛スレンダーマン ″とかじゃねーだろうな」

「…何だそれは」


スレンダーマン

細身で異常に背が高く、黒い背広を着た、無表情ないしのっぺらぼうの男として描写される。
者によっては手足が影のように幾つものに分かれており、異様な蜘蛛のような姿の場合もある。
主に見ただけで死ぬというの系統もあり、中には血を噴出し死ぬなど血に関しても多い語られていた。
スレンダーマンの近くにいると「スレンダー病 (Slender sickness)」を引き起こし、偏執、悪夢、妄想に襲われ
鼻血を出すとされている、瞬間移動もするらしい。


「いや…ないか?あれは海外の都市伝説の上最近のものだ」

「……衣はそれを知らぬから何ともいえんな」

「……もごもご」

(あれは長い足を持っているが長さで大きさではない別の奴か?情報が足りないな)



京太郎と衣は暫くの間唸りながら考え込んだ。

そんな間、哩は手をジタバタさせ目を回しながら暴れていた。





京太郎と衣は暫くの間唸りながら考え込んだ。

哩は京太郎の腕の中でぐったりとしていた。


「さて…これからどうするか」

「相場では影を倒せば戻るはずだが……」


よく物語では怪しい相手を倒せば元の世界に戻ると相場が決まっている。

とりあえず3人は襲ってきた相手を倒す事に決め森の中を歩く。



歩いていると突如背中に悪寒が走る。

3人はすぐさま其方へと視線を向けた。

先ほどまで明るかった森が突如暗闇広がる森へと変わる。

影が蠢くように脈動し奥から寒い風が吹いて来る。


「奴だ」

「…思いっきりスレンダーマンだな」

「あいが…」


衣の呟きに京太郎が答えた。

背が高く黒いスーツにのっぺらぼうな顔…背中からは暗い影のような腕が何本も生えている。

足を使わず後ろの影でのっそりと此方へと近づいて来た。

あれが足跡の正体だなと京太郎は確信する。


「どうすっと?」

「どうするか」


<戦う>


「倒さないとどうせ進まないだろ」

「援護すっと」

「衣は力を奪われている……邪魔にならぬよう隠れてよう」

「そうしてくれ」


京太郎はスコップを構え、哩はジャラリと腕にあった鎖を地面に垂らした。

油断なく構え少しずつ近づいて来る相手を待ち構える。

スレンダーマンは京太郎達の事を気にせず、無防備に近寄ってきた。


「……最初はどうするか」



<攻撃VS無防備>


「おらっ!!!」

「はっ!!!」


京太郎と哩は無防備に近づくスレンダーマンへと攻撃を仕掛けた。

京太郎はスコップで正面から哩は後ろから鎖で援護をする。


スレンダーマンはその攻撃に対して何もせずに淡々と此方へ歩いてきた。


「もらった!」


京太郎の攻撃が当たる瞬間、スレンダーマンが煙のように消える。


「なに!?」「哩後ろ!!」


前もって衣から情報を貰っていた京太郎はすぐさま自分の死角へと攻撃を変更する。

そこにはスレンダーマンが立っている。

攻撃が当たる瞬間に瞬間移動をしたのだろう。

知識でその情報を得ていた京太郎には効かなかった。

京太郎の攻撃が見事にスレンダーマンへと当たり相手は吹き飛ばされる。




「よし!畳み掛けるぞ!」「ん!」


「何をやっている」


衣は木を後ろで京太郎達を見ていた。

視線の先では京太郎と哩が空中を相手に戦っている。

スレンダーマンはそんな2人を横目にするすると衣のほうへと近寄ってきていた。


スレンダーマンの能力には近づく者に「スレンダー病 (Slender sickness)」を引き起こし

、偏執、悪夢、妄想に襲われ鼻血を出すとされている。

今回のは妄想の類で惑わされているのだろう。


京太郎達は今もいない敵相手に奮闘を繰り返していた。





「……何かおかしい」

「何が?」


京太郎が戦っている最中にそんな事を呟いた。

哩は相手を見据え油断せず、京太郎の傍に寄り添う。

相手は相変わらず無防備に此方の攻撃を受けては瞬間移動を繰り返す。

それを見て京太郎は何かを見落としがあったのではと疑問に思ったのだ。



「……あれ?」

「………」


京太郎が何かを思い出そうとしていると何やら胸から何かが生えていた。

それをおそる、おそる触ってみる。

銀色に輝く鎖が胸から生えており次々と赤い血が流れ服を赤く染め上げる。


「……哩?」

「……すまん」


京太郎はそれだけ聞くと地面へと倒れこむ。

次々流れ出す血が地面を濡らすのを見ながら京太郎の意識は暗い底へと沈んでいった。




「…」


ゆっくりと目を開いた。

目の前には草が生い茂っており風が吹くたびに顔を草がくすぐる。

京太郎はゆっくりゆっくりとボーとする頭を押さえ体を起した。


「……胸に穴は空いてないな」


最後に見た光景を思い出し、胸に手を当てる。

そこには穴も空いてなければ血で汚れてもいない。


「あー……悪夢を見せられたか」


近くの木に体を寄せ背中を預けると辺りを見渡す。

辺りには京太郎以外の誰も居らず1人だけだった。


(……力のない衣に逃げ切れるわけが無い、哩と共に攫われたか)


京太郎は驚くほど冷静に状況を確認する。

周りに争った形跡も血も無かったので2人は無事だろうと思ったのだ。


これからどうするかと考えながら自分の荷物を確認した。

結果的に言えばスコップ以外の荷物がなくなっている。

戦闘の最中に落としたのか持っていかれたか、そのどっちかだろう。


「取り合えず…どうするか」


考えただけでもコレだけの対処が必要だ。

京太郎1人ではどうやっても手が回らない。

知らず知らずのうちに京太郎は上を向き星空を眺めた。

星空は憎いほど満天の星空だった。



「まずは…行動するか、人か情報を探さないと」



<純と遭遇>

「!」

「ちっ!!」


森の中を歩いていると行き成り嫌な気配を感じる。

反射的にしゃがむと京太郎の頭の上を拳が通り過ぎた。

京太郎は地面に手をつくとすぐさま手を軸に足を相手に向かって跳ね上げる。


「はっ!!」「くっ!?」


それに相手は驚き大きく仰け反った。

相手が大きく動かせ、京太郎は体制を整える時間を作ったのだ。

暫く2人は睨み合う。


「大丈夫そうだな」「そっちこそ」


2人はお互いに歩み寄るとコツンと拳を合わせた。

「久しぶりだな、京太郎」「純さんこそ」




実況「圧倒的強さ!かつて見たこともないパワー!!」

実況「まさに圧殺!!」


GHI「「「」」」 シュウウウゥ……

京太郎「」 ニヤ


実況「強い!本当に強い!!」

実況「地獄から舞い戻った須賀京太郎、ここに復活!!」

実況「ヘルカイザー京、この強さは本物だーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」



「……なるほどな」

「ごめん」

「しょうがないさ、相手も相手だしな」


京太郎が衣の事を話すと純はニカっと笑って背中を叩いた。

少し力が強かったのか京太郎はゲホっとせきが出た。


「あぁ…悪い悪い、この島ついてから力が強くなっちまってな」

「純さんもか」


やはりこの島の影響か他の人も何かしらの力を手にしているらしい。

一体何がそうさせているのか気になるが今はそれ所じゃない。


「衣と哩?って人を助けたいが…どうするか、京太郎何か無いのか?」

「……そうだな」


純が此方に話を振ってきた。

ソレに対し京太郎はしばしの間考え込む。

純と会えたことで気持ちに余裕が出来た。



『……遺跡に近づいた時、変な奴に触られた』


京太郎は衣の言葉を思い出す。

あぁ…そっか、もしかしたらアイツの仕業かもしれないんだ。

あそこなら人を集めるのにも便利だろう。


「遺跡…大盾の英雄の遺跡だ」

「大盾の英雄?」


京太郎の言葉に純は不思議そうに呟いた。


「まぁいいや…どうする?すぐに向かうか」

「あーどうしよう」


何故人を集めるのか解らないが急いだ方がいいかも知れない。

だが2人でなんとかなるのだろうか?



<大盾の英雄の遺跡>


「ここか?」

「あぁ」


2人は遺跡の前へとやってくる。

前に来た時と全く変わっていない。

ここに衣達が居るのだろうか?


「さぁ…殴りこむか京太郎!」

「おぅ!」


2人は並ぶとお互いに手を伸ばし、もう一度拳を合わす。

これが2人の挨拶なのだ。





<遺跡内部>


「暗いから結構危ないな」

「ライターでもあれば良かったんだけど…」


……ライター?

京太郎は自分で呟いた言葉で思いついた。

京太郎のポケットからライターが無かった理由が解ったのだ。


「衣達は絶対ここに居る」

「言い切るな」


「俺からライターを取ったのは明かりを確保させない為だ」

「だから此処にいると?」

「あぁ…」


純は京太郎の言葉に少し考えるも納得した。

2人は更に注意深く奥へ奥へと進んでいった。



※遺跡内部で迷い中


「わかんねー」

「こう暗いとな……」


「さて…どこに行こうか」


<広場>

「純、京太郎」

「うぉ!」「っ!?」


通路を歩いていると目の前からぬるっと人影が出てくる。

長い髪の女性で京太郎と純はついつい構えた。


「……私」

「ん……?あー智紀か?」

「智紀さん?」


純が目を細め相手を見る。

雰囲気と髪の毛のせいでお化けにしか見えなかったが確かに沢村智紀だ。

2人は顔を見合わせると智紀に近づいた。


「お化けかと思ったぜ」

「同じく」

「流石にそれはひどい」


純の言葉に京太郎も同意する。

それに対し智紀は若干不機嫌そうにした。


「それにしても智紀も無事だったか」

「透華と一も一緒」

「衣以外は無事なんですね」


智紀は京太郎の言葉にピクっと反応した。

衣の所に反応したのだろう。


「とりあえず合流すっか」

「…そうだね」


純の言葉に智紀が頷き前を先導する。

それを京太郎は黙って着いて行った。



<6・教会>

「あれ?純くん無事だったんだ」

「なんだ、その残念そうな感じは」


智紀に案内された場所は教会の部屋だった。

部屋に入るとメイド服を着た一が出迎えてくれた。


「京太郎?」

「ども…無事で何よりです」


純と話をしていた一が此方に気づき声をかけてくる。

京太郎は軽く頭を下げて挨拶をした。

和やかな雰囲気が流れる中、更に奥の部屋から誰かが出てきた。


「まだ衣は見つかりませんの!?」

「おっ透華か」

「あら…純も無事でしたのね」

「よぉ」


金髪でいて頭の上に特徴的なアホ毛を持っている女性が出てくる。

京太郎の師匠にして友達のハギヨシが仕える家のお嬢様である、龍門渕透華その人だ。


「あなたは……」

「あー清澄の須賀京太郎です、ハギヨシさん達の友達の」

「あー…そうでしたわね」


京太郎を見て考え始めた透華に京太郎は簡潔に自己紹介をした。

今は時間が惜しい…少しでも短縮しなければいけない。


「そろそろ…お話を…」

「そうだった」

「話ってなんですの?」「取り合えず静かにしておこうか」

「だな…大事な話だ」


そう言って京太郎はこれまでの経緯を説明する。

衣が攫われたと言った際に透華が怒り心頭になったが一達が抑えた。




「…守れなくてすみません」

「あぁ…別にあなたに怒っているのではなく、相手に怒ってるのですわ」

「…透華らしいね」


腕組みをしてプリプリと怒っている透華を眺めながら皆で話をしていく。

話の中心は勿論京太郎だ。


「まずは……衣達は此処にいると思うな」

「さっきの話のあれね」

「ならさっさと助けようぜ」

「相変わらず脳筋だね、純くんは」「なんだとー!」


一と純がじゃれ合い始めたので京太郎はごほんとわざとらしくセキをして話を戻す。


「スレンダーマンの対処法を考えないといけないですね」

「瞬間移動とスレンダー病ね」

「あーはいはい!瞬間移動ならボクがなんとか出来るよ!」


そう言って一が元気に手を挙げた。



「スレンダー病は透華が居れば平気」

「……些か不満ですわ」

「どういうこと?」「あぁ…透華の力は『冷たい透華』だから」


よく解っていない京太郎に一は小声で教えてくれた。

それを聞いて相変わらず派手な事が好きだなと少々呆れた。



「なるほど…だけど1人か」

「オレは遠くから石でも投げて援護するさ」

「私は分析」


「…これならいけるか」

「…ん、京太郎には前線に出てもらう事になる、ごめん」

「別に構いませんよ。この島に着いてから修羅場をいくつも潜り抜けて来ましたから」


智紀の申し訳なさそうな言葉に京太郎は力瘤を見せアピールをした。

智紀はそれを見てクスリと笑った。


「さぁ!助けに行きますわよ!」

「おー」


「あっ!」

「どうかしたの?」


さぁ行くぞ!となった時に京太郎が声を出した。

その声に一が反応し京太郎の顔を覗きこむように見上げてくる。

あざとかった。


(……この裏手にお墓があったけどどうするか)


<墓参り>

「………」



<医務室>


「此処?」

「えぇ…」


京太郎達はゆっくりと階段を下に降りていく。

大盾の英雄の記憶を辿りあの場所へと急ぐ。

暗い暗いジメッとした通路を抜けると大きな扉に行き当たる。

京太郎が後ろを向いて皆に頷き確認を取るとゆっくりと開けた。


「やっぱりか」

「衣!!!」

「…倒さないと駄目みたいだね」


京太郎達の視線の先には丸い赤い赤い物で書かれた魔法陣の真ん中に寝かされている、衣と哩が居た。

その近くにはスレンダーマンが立っている。


「返してもらうぞ!」

「容赦しませんわ!」

「悪いけど消えてもらうよ!」

「情報分析開始」

「さぁ…ぶっ叩くか!!」


5人が一斉に行動を開始した。




「さて…どうするか」

「真っ直ぐ行って!叩くそれだけですわ!」


京太郎の呟きに透華が答える。

それを聞いて京太郎は苦笑しつつ相手の動きを窺う。

スレンダーマンは此方に対して意識を向けているが動こうとしない。

お決まりの瞬間移動で攻める気をしているのだろう。


(……無防備に見えて防御も完璧か)


厄介だと京太郎は苦笑すると手で合図を送り前へと出た。


「無駄だよ」

「!?」


京太郎がスコップを振りかぶったと同時にスレンダーマンがゆらりと揺らめく、瞬間移動の前兆だ。

だが、無駄だった京太郎の後ろから一が姿を現すとスレンダーマンへ向かって指を鳴らす。

たったそれだけでスレンダーマンは瞬間移動が出来なくなった。


「まずは一撃!!」


油断したスレンダーマンの横っ腹に最初の一撃が入った。

相手は吹っ飛ばされ転がるも直ぐに瞬間移動で体勢を整える。


「…厄介だなー」


相手はまた同じく無防備に立っていた。


(さぁ…どうするか)

『治水』

「これは!」「やっとだね」


幻覚や奪われていく体力に苦しんでいると不意に楽になった。

一の視線の先では透華が静かに立っている。

透華が冷えたのだ。


「ほいっと!」

「これで!!!」

「!?」


スレンダーマンに純の投げた石が当たる。

少しばかりスレンダーマンがよろけた。

それを京太郎は見逃さずにすかさず攻撃を加えた。


「いける!」


透華達の援護もあり、京太郎はいけると確信する。

そんな京太郎たちを見てスレンダーマンは大きく手を広げるとその体勢で止まった。


(なんだ?)


「次の一手は……え、なにこれ」

「智紀さん?」




「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA」

「なにこれ!?」「くっ」「あっ…」「おいおい」「うそだろ!?」


あと少しで倒せると感じているとスレンダーマンが狂ったように叫びだす。

その叫びはありとあらゆる憎悪が込められており、京太郎達の体を震わせる。

5人は苦しそうに呻きながらスレンダーマンへ視線を向けると……


「はぁ…!?」


京太郎の目の前には5人に分裂したスレンダーマンが居た。

驚愕な自体に京太郎は眼を見開いた。


「おいおい…どうなってる」

「はは…流石にこれはきついね」


何時もなら軽口を叩いている純と一も顔を真っ青にさせた。

智紀は顔を伏せ、透華は悔しそうに相手を睨んだ。

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最終更新:2026年01月14日 21:53