アットウィキロゴ
<水汲み>

京太郎「よっと…」


京太郎は川で水を汲み帰路へとついた。


京太郎「何処行ってもこればかりは俺の仕事なんだな」


<由暉子登場>


京太郎「はぁ~…今日も誰も会わなかった」


人を探すがやはり誰も居らず途方に暮れながら拠点へと帰った。

今日も手がかりなしかと気持ちが落ち込む。

これほどに弱々しくなるのは、久々かも知れない。


成香「京太郎くん!京太郎くん!」

京太郎「元気だな、何かあったのか?」


拠点が見える位置まで戻ってくると成香が元気一杯に此方に手を振っている。

小さい体を命一杯見えように飛び跳ねていた。

歩きながら眼を凝らすと成香の隣に誰か居た。

その人影を見た瞬間京太郎は駆け出す。

成香の喜びようから敵ではないことは確かだ。



京太郎「はぁ……はぁ……成香、そっちの人は」

成香「ユキちゃんです!」

由暉子「……有珠山所属の真屋由暉子です」


そう言って成香の隣に居た由暉子はぺこりと頭を下げた。

その拍子に豊満な胸がむにゅっと潰れたのが見えた。


京太郎「えへへ……(スバラしい)」

成香「むっ……」


お辞儀をしていた由暉子からは京太郎の表情が見えなかったが

成香からは見ていたらしい、成香は頬を膨らませ京太郎を見つめた。


由暉子「……どうかしました?」

京太郎「な、なんでもない」

成香「……スケベ」


成香の言葉に由暉子は更に不思議そうにするのであった。


由暉子と合流

<由暉子 信頼度95>


由暉子「……須賀 京太郎」

京太郎「えっと…何かな?」


自己紹介をお互いにすると由暉子がじーと此方を見てくる。

先ほどのことがバレたのかと思い京太郎は少しばかり汗をかき苦笑した。

暫くすると満足したのか眼を離し此方へと手を差し出してきた。


京太郎「えっと…握手でいいんだよな?」

由暉子「はい、あと同じ1年生なので由暉子でいいですよ、京太郎君」

成香「むむ~」


そう言って由暉子は握手した手を両手で握りこみ笑顔でそういった。



<人食刀岩(エペタムシュマ)>


由暉子「なるほど」

成香「ユキちゃんは、知りませんか?」

京太郎「…」


あれから由暉子と合流し今の状況を伝えた。

京太郎と成香は判らなかったが由暉子なら知っているかもしれない。

二人は希望を胸に由暉子の言葉を待った。


由暉子「たぶん…エペタムシュマですね」

京太郎「エペタム…シュマ…何語だ?」


暫く考え込んでいた由暉子が聞いた事の無い言語でそういった。


由暉子「アイヌ語で人食刀岩っていいます」

成香「人食い…ですか?」


人食いという部分に成香は怯える。


京太郎「…知ってるなら早い、あいつの対処法はないか?」

由暉子「残念ながら…元の話でも封印が精一杯でしたから、それに封印するにも必要な物がここには足りません」


由暉子の話を聞くとどうやら封印には底なし沼の近くの巨岩に祭壇を作らなければいけないとのことだ。

勿論ここにそんなものがあるとは思えない。


由暉子「底なし沼だけでもいいのですが」

京太郎「……探すしかないのかな?」


結局の所対処法は判らなかった。

102日目を終了します。



京太郎「ん~……現実での中央の山ってこんなにも何も無かったかな?」


山の手前まで着て京太郎は見上げる。

山は見事に岩だらけで木の1本も見つからない。

姫子達と一緒に見た山はこんなに剥げてなく木々がしっかりと生え緑色をしていたのを覚えていた。


京太郎「とりあえず…登るか」


足元に注意しながら京太郎は山を登り始める。

少しばかり険しいが登れない事も無いぐらいだ。


京太郎「………」


順調に歩いていると崖に行き当たった。

どうやらこの道からだとこの先にいけないようだ。

崖を除くとかなり深く其処が見えない。

何か区切られているような感じさえした。


京太郎「戻るか」


暫く周りを探すも何もなく京太郎は諦め道を戻り始めた。



<爽合流>


『ミツケタ』

京太郎「!!!」


辺りを捜索していると突如、耳元で冷たい声が聞こえた。

体の奥から冷えるような感覚に一瞬だけ体が固まった。


京太郎「チッ!!」

『チョットー!?』


即座にしゃがみ後ろの人物へと蹴りをお見舞いする。

何やら京太郎の行動に相手は驚くも容赦はしない。

声を聞いただけで芯から冷えるような感覚を受けた相手だ普通じゃない。


京太郎「………っ」

『アブナー!』


後ろに居た相手は黒い影の人型だ。

声と体系的に女性だろう。

声では危ないと言っているが京太郎の渾身の蹴りが受け止められている。


京太郎(…いや、違うな受け止められたんじゃない 動きを制限された!?)


相手の能力に眼を開き驚く。

やはり油断できない相手のようだ。


京太郎「よっと!」


京太郎は足を動く事を確認し両手を地面につき脚を勢いよく上に伸ばし反動で遠ざかる。

その動きは軽くボールのように飛び跳ねた。


『エ、ナニソノウゴキ』

京太郎「………」


相手は此方の動きに驚きその場で固まっていた。

油断しているようだが罠かもしれない、相手を興味深く見ていく。


『テキジャナイヨー!テキジャナイヨー!』

京太郎「………」

『アーモウ!ワルフザケシタノハアヤマルヨ!』

京太郎「…本当かな」


慌ててこちらに敵意がないと訴えてくる影を相手に少し考える。

暫くの間、見るも本当に敵意はないみたいだ。


京太郎「あんた誰だ」

『ンーチョットマッテ、イッカイキエル、キエナイトホンタイウゴケナイカラ』


それだけ言うと影が消えた。



爽「やー悪かったな、まさかあんなに反応されるとは」

京太郎「…獅子原爽?」


暫く待っていると草陰から女性が出てくる。

その女性には見覚えがあった。

インターハイ準決勝で咲が戦った相手だ。


爽「そそ、姫子からの依頼で助けに来たってのに」

京太郎「姫子…から?」


どうやら爽は姫子と知り合ってるらしい。

少しばかり警戒を解き話を聞くことにした。


爽「えっとね…京太郎は数日前から眠ったままなんだよ」

京太郎「まてまて…俺はここで100日もの間過ごしたんだ」

爽「時間の流れが違うんでしょ」

京太郎「なんなんだここは」


改めて不思議な空間に頭を抱えるしかなかった。

暫し頭を抱えるも話を聞くのが先かと思い直し爽を見る。


爽「まぁ…京太郎はついでなんだけど」

京太郎「ついで?」

爽「そそ、ウチの成香とユキを迎えに来たんだ」


爽の話を聞くとどうやら現実の世界では自分と成香に由暉子が眠ったままのようだ。

他の人達と一緒に調べた結果、精神だけ別の世界に行ってる事を突き止め、能力的に強かった爽が迎えに来たらしい。


京太郎「なら、帰れるのか?」

爽「んっ問題ないな、ただゲートが開くのが夜だけなんだよね」

京太郎「……あーっ、あいつと遣り合う事になるかもしれないな」


爽の言葉に京太郎は落ち込むと同時に安堵した。

ようやくこの世界から抜け出せるのだ。

姫子に哩、煌に仁美に美子、早く皆の顔が見たいと思い微笑んだ。




<夜-帰還->

成香「爽さん!」

由暉子「先輩、ご無事でしたか」

爽「むしろ成香達が一番危なかったんだけどね」


拠点へと戻ると3人は喜び抱きしめあって喜びを表現した。

それを微笑ましく見ていた京太郎だったが日が暮れ始めているのに気づき声をかけた。


京太郎「そろそろ行かないと奴が現れるかもしれない」

爽「おっと…感動の再会は帰ってからだな、パーティーもその後だ」

由暉子「食料的に出来ませんけどね」

成香「……あぁ、そうでした」


じゃれ合いながら4人は帰還する為に歩き出した。



京太郎「山?」

爽「ん、この先の崖から飛べば戻れるよ」

成香「え~と…本当にですか?」


崖という言葉に全員が訝しげに爽を見る。

もし間違っていたら全員がそこでお陀仏だ。

爽はそんなことお構いなしに前と進む。

気が進まないが今は信じて着いていくしかない。




京太郎「あ~……やっぱりそうなるよね」

爽「ははは、お出迎えかな」

成香「どうしたんですか?」

由暉子「?」


山を順調に歩いていると京太郎と爽が立ち止まり後ろを向いた。

向いた先には1人の男性が立っており手には刀を持っている。


京太郎「3人は先に!」

成香「京太郎くんは!」

京太郎「俺はこいつをぶっ飛ばしてから帰るよ!」


そう言ってもはや愛武器と言ってもいいスコップを手に構えた。


京太郎「これでラストだ!」

人食刀岩「!!!」



京太郎「…まずは一発!」

人食刀岩「!!」


言うが早く京太郎は坂道を駆け下り相手へと近づく。

この100日もの間何度もこなしてきた動きだ。

瞬時に相手に近づくが、人食刀岩も心得たものですぐさま刀を振り京太郎の行動を防ぐ。

人食刀岩の前まで来ていた京太郎は、スコップを地面に刺し急ブレーキをかけ避ける。

止まっていなかったら真っ二つだろう。


京太郎「ふっ!」


横に転げ避けすぐさま相手へと拳を向ける。

人食刀岩は、返す刀の横で拳を受け止め押し返した。

ここで力比べをしてもいいが残念ながら相手のほうが力は上だ、京太郎は素直に諦め後ろへと飛ぶ。


京太郎「まったく、お前の御蔭で近接戦闘はお手の物になっちまった」

人食刀岩「……」


2人はお互いに視線を向け合い、行動を読み合う。


京太郎「!!」

人食刀岩「!!」


今度は同時に動いた、京太郎は腰に付けていたナイフを片手に刀と遣り合う。

2人の影が重なるごとにキンキンと甲高い金属音が鳴り響き火花を散らす。

時には足を使いリーチの差を覆しながら戦闘を続けていく。

既に2人にはお互いの事しか見えていない。


京太郎「……やべぇ、楽しいかも」

人食刀岩「!!!」


遣り合っていると自然と顔がにやける。

心なしか人食刀岩も笑ったように見えた。


京太郎は渾身の一撃を蹴り込み、その反動でスコップの方へと体を吹き飛ばす。

人食刀岩も負けじと吹っ飛ばされながら刀を鞘に仕舞った。




<攻撃VS必殺>


京太郎「おおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

人食刀岩「!!!!!」


スコップを手に京太郎は振り替えり真っ直ぐ相手に突っ込む。

その瞬間刀が煌き京太郎の少し上を光が掠める。

光に当たった何本かの毛が切られ宙を舞った。

坂道を駆け下りる為に身を縮めていたのが功を奏した。


京太郎「じゃーな!」

人食刀岩「………!」


駆け下りた速度を落さず勢いよく飛び空中で体勢を整え最後の一撃を脳天へと振り下ろした。

スコップが脳天に当たると同時に男性は煙のように消え持っていた人食刀岩は、力なくカラカラと下へと転がっていった。


京太郎「はぁ……これで俺の全勝だな」


人食刀岩が落ちていったほうへと向いて京太郎は笑顔で言った。




京太郎「………見覚えのある天井だ」

全員『『『『『京太郎ーー!!!!』』』』』


お決まりの言葉を言って眼を開けると懐かしい天井が見え、これまた懐かしい声を聞いた。

少しばかり鼓膜に来るほど声でキーンと耳が鳴る。

耳を押さえていると起き上がるのを待っていたであろう、姫子達に抱きつかれる。


京太郎「あー……ただいま」

姫子&哩「「おかえり!」」

煌「すばらです!」

仁美「やっとか」

美子「はぁ~無事でよか」


懐かしい面子に京太郎は頬を緩ませた。

どうやら無事に自分の日常へと戻ってこれたようだ。


<有珠山シナリオ カンッ>




  • 45日目(朝)-


透華「少しよろしくて?」

京太郎「んっ?」


現実世界に戻って来て体の調子を確かめていると透華が話しかけてきた。

珍しい事もあるもんだと思いながらいいよと返事を返した。


透華「そろそろ私達はお暇しようかと思いますの」

京太郎「うん?」

透華「この拠点も人が増えていっぱいいっぱいでしょ?」

透華「なので私達は十分休んだので出ようかと思いましたのよ」

京太郎「……」


透華の言葉に暫し考え込む。

確かに今の拠点は千里山に龍門渕、有珠山と人が多く部屋が足りていない。


京太郎(どうしようか)


透華達を引き止めれば有珠山が 引き止めなければ有珠山が

2択に1択 


<有珠山に残ってもらう>


京太郎「判りました」

透華「そう、良かったこれで引き止められたら私達の決意が台無しでしたわ」


京太郎の言葉に透華はふわっとした笑みを浮かべた。

こういうところでやっぱり透華はお嬢様なのだと思えた。


透華「でも…その…」

京太郎「?」


そんな事を思ってると透華が今度は顔を赤らめもじもじとし始めた。

何か他にもあるのだろうか?


透華「お、お風呂とかは借りに来ても」

京太郎「あぁ…全然いいですよ」


恥ずかしげに聞く透華に京太郎は軽く答えた。

確かにお風呂やトイレは他の拠点では辛いだろう。

助け合いの精神でこれからも龍門渕メンバーとは助け合っていきたいと思っていたので

此方としても問題なかった。


透華「助かりますわ、大事なことでしたので」

京太郎「ハハハ……」


確かにこれで断っていたら衣達から文句が来そうだ。


京太郎「気をつけてな」

透華「誰に言ってますの?」








京太郎「と言う事でこちらとしては残ってもらっても大丈夫なんだけど」

爽「あー助かるな、成香やユキのこともあるし」


透華達と別れた後、有珠山に残っても大丈夫な事を伝えると爽がほっとした。

鍛えている京太郎はまだしも成香や由暉子は体を動かしずらそうにしていた。

流石に3日もの間寝っぱなしになっていたので体調が悪いのだろう。


成香「うぅ……なんで京太郎くんは平気なんですか」

京太郎「鍛えてますから、夢の中でも」

由暉子「……物凄くダルいですね」


成香と由暉子の恨みがましい視線を浴びながら京太郎はワハハと豪快に笑った。


「なぁ…ちょっといいか?」

京太郎「うん?」


そんな心温まる交流?をしていると後ろから声をかけられた。

其方を見ると2人の女性が立っていた。

一人は黒髪で髪を後ろで縛りポニーテールにしている、身長も結構高かった。

もう一人は金髪のロングヘアーでまつげが特徴的な子だ。


揺杏「私は、岩館揺杏…んでこっちが」

誓子「桧森誓子です…よろしくね?」

京太郎「こちらこそ」


残りの有珠山メンバーが自己紹介をしてきた。


<阿知賀に会いに行く>


姫子「何処いくと?」

京太郎「阿知賀に会ってこようかなと」

哩「起きたばっかで」


提案に姫子と哩は心配そうに見つめてくる。

3日間も寝ていたのだ、何かあるかも知れないと思っているのだろう。

だが、此方としても早めに会っておきたいのだ。


京太郎「あの世界の事もあるし味方は多い方がいいだろう」

姫子「…むー」

哩「…んー」


これでも納得しないらしい。

京太郎はしょうがないと思い、2人に近づき抱きしめる。


姫子「ふぁっ…」

哩「きょ、京太郎!?」

京太郎「俺は1人じゃない、2人が居るからな大丈夫だ」

姫子「そいはずるか!」

哩「しょうがないな!」


その一言で姫子はため息をつき説得を諦め、哩は胸を張って張り切った。

少しばかりずるいかなと思ったが今回ばかりはしょうがないと割り切る。

その後、何やら戦っている煌達を観戦していた仁美達に一言断り拠点を離れた。




  • 砂浜-

怜「おろ、デート?」

姫子「うん!」

京太郎「……これもデートに入るのかな?」


阿知賀の拠点へと向かっていると砂浜で怜と出会った。

少しばかり顔は青いが前よりは全然元気になっている。


怜「ええな~ウチもしたいんやけど」

哩「こいばっかりは譲れん」

京太郎(………姫子と仲直りはしたけど俺の立場ってどうなってるんだろうか?)


少しばかり拗ねる怜に哩は京太郎の腕を抱きしめ自慢げだ。

そんな哩を見て京太郎は改めて自分の立場が今どうなっているのかが気になった。

姫子の恋人なのは確かだ、だが哩とは友人?仲間?はたまた恋人なのだろうか?

その内はっきりさせないとな、と暢気な事を考えていると


怜「しゃーないな……あっー……怜ちゃん占い~」

京太郎「なにそれ」


怜が拠点の方向へと振り向くとそんな事を言った。

気分屋というか脈絡なく中々に掴めない人だ。


怜「阿知賀の拠点近くに行ったら少し大きな声で 清澄の須賀 京太郎です!って声出してな」

京太郎「それに何の意味が?」

怜「まぁまぁ…言ってみれば判るで~それじゃ気分悪うなってきたし戻るわ」


怜はほなな~と言ってふらふらと拠点へと戻っていった。

少しばかり、ふらふらな足取りに心配するも拠点は眼と鼻の先だ。

大丈夫だろうと思い先ほどの怜の言葉を記憶し歩き出した。



<阿知賀 拠点近く>


京太郎「さて…阿知賀の拠点はこの辺りと聞いたけど…」

姫子「叫ぶ?」


怜の言葉通りに声を出しているべきだろうか?

少しの間、考え京太郎は決めた。


京太郎「園城寺さんの言ったとおりにやってみるか」


京太郎は一息ついて大きな声で先ほど言われたとおりに自己紹介をしてみる。

暫く森の中を京太郎の声が反響し次第に静かになっていった。

そのまま数分待っていると何やら声が聞こえてくる。


姫子「なっなに?」

哩「敵か!」

京太郎「…ん~聞き覚えあるな、この声」


声が反響し四方八方から聞こえてきて姫子と哩は警戒の色を濃くし辺りを見渡す。

そんな2人と比べ京太郎は、聞き覚えある声にため息をついた。


「よっと、ほっ!」

姫子「何かおっと!」

哩「!!」

京太郎「元気だな」


木と木の間を滑らかな動きで素早く動く生き物が此方へと向かってきた。

猿でもここまで早く動けないだろう。

暫し警戒していたがその生き物は、京太郎達の近くに来たら突如此方へ飛んだ。


京太郎「よっと」

穏乃「わわわ…まさか受け止められるとは」


飛んできた穏乃をなるべく優しく抱きしめ受け止めた。

……受け止められるとは思わず飛んだのかと少しばかり頭を痛くし京太郎は穏乃を降ろす。


京太郎「久々だな、穏乃」

穏乃「京太郎!更に逞しくなったね!」


久しぶりに会ったのにその挨拶はどうなのだろうかと思った。


姫子「高鴨穏乃!」

穏乃「うん?………んっーとんっーと」


姫子が穏乃を見て少し顔を険しくして名前を呼んだ。

そんな姫子を見て京太郎はインターハイでぶつかったもんなと思った。

いろいろと思うところがあるのだろう。

逆に穏乃は思い出そうと必死になっているが、あの様子だと助け舟を出さないと思いださなそうだ。


京太郎「インターハイ決勝の」

穏乃「あーあー!鍵の人!」

姫子「か…鍵?」


小声で教えると思い出しようだ。

だが覚え方はどうなのだろうか?


京太郎「まぁ…いいや、穏乃他の人達は?」

穏乃「あっち!」


京太郎の言葉に反応し森の中を指差した。


京太郎「それだけじゃわかんないから…出来れば会いたいんだけど」

穏乃「判った、それじゃ行こうか」


特に京太郎達を警戒することもなく穏乃は拠点へと歩き出した。


<阿知賀拠点>


憧「ふきゅっ!?京太郎!?」信頼度:50

玄「京太郎君!」信頼度:???

宥「あったか~い、無事でよかった」信頼度:50

灼「元気そうだね」信頼度:95


拠点に案内されると阿知賀メンバーが揃っていた。

4人が座り焚き火の前で何かしらの作業をしていた。


京太郎「ども」

姫子「こんにちは」

哩「こんにちは」

灼「新道寺の?」


3人が挨拶しここに来た理由をみんなに話していく。

話した後、お互いに自己紹介し座ると改めて情報を交換することにした。



<大人達の集団の事>


京太郎「まずは…大人達の集団についてなんだけど」

灼「うん、此方も把握している」

玄「穏乃ちゃんが見つけてくれたからね」

穏乃「いや~な気配が森に入ってきましたからね」


どうやら大人達については把握をしているようだ。

聞いてみると穏乃のオカルトや玄のオカルトで入ってきた場合追い払っているとの事で

しっかりと対応している事にほっとした。


<ドッペルケンガーとスレンダーマンについて>

京太郎「他のところで聞いた情報なんだけど」

灼「んー……私達はオカルトと殆ど関わらないから」

宥「うん、特に変わった事は無いね」


2人の顔を見るに本当の事を言っていると判る。

白糸台では、現象が起きていたが此方は無いらしい。


京太郎(んー会った事があるのは白糸台だけか…どうしたものか)


スレンダーマンは龍門渕、ドッペルゲンガーは白糸台に姫松…何かしらの法則でもあるのだろうか?


京太郎「まぁ…そういうことがあるので注意してください」

憧「ありがと、気をつけてみるわ」


<何か困ってることはないか>


京太郎「何か困っていることはないかな?」

憧「お風呂…お風呂に入りたい」

玄「えーと、その匂わないよね?」

京太郎「…特には」


憧と玄の言葉で姫子と哩も自分達の服の匂いを嗅ぐ。

男である京太郎はあまり気にしないのだが、やはり女性である憧達には気になることのようだ。


穏乃「水浴びもいいんだけど…やっぱり暖かいお風呂が」

宥「…あったかくない」

灼「宥さん何時も震えながら入ってるしね」

京太郎「あー…苦労してんのね」


やはり自分達の拠点は、ここでは特別な所なのだと思った。


<晴絵について>


灼「ハルちゃんの事見てない?」

京太郎「んー残念ながら見てないですね」

灼「そっか」


灼は京太郎の言葉を聞いてシュンとした。

そういえば辺りを見渡しても顧問である赤土晴絵の姿が見つからない。

パーティーには参加していたので一緒に巻き込まれたはずなのだが…。


京太郎「えーと…」

灼「んっ大丈夫、ハルちゃんの事だし生きてるよね」

京太郎「………」


灼の言葉に京太郎は苦笑するしかなかった。

大丈夫だなんて根拠のない事は言えない。

ただただ無事を祈るしか出来なかった。



<拠点について>


憧「…見たところ、あんた達の服って結構綺麗だけど拠点ってどうなってるの?」

京太郎「えーと……」


<4・5・6>

京太郎「まずは…」

憧「お風呂!!??」


京太郎「それと…が」

宥「お、おトイレもあるの!?」


京太郎「最後は…かな」


穏乃「わ、罠!?引っかからないようにしないと!」


それぞれが反応し声を荒げた。

1人だけ何だか違った反応をしていたような気がしたが。


<二人は……>

京太郎「次は何を」

灼「えっと…「私が質問を!!」わっと玄?」


質問を聞いていると灼の言葉を区切り玄が何やら騒がしく入ってきた。

そんな玄に驚きながらも京太郎は玄へと向き何が聞きたいのかを聞いた。

玄「えっと…その!!!!!二人は付き合ってるのですだ!!???」

京太郎「……」

姫子「え?」


テンパっている玄の言葉に京太郎と姫子は目を見開き唖然とする。

玄の視線の先には京太郎の横に座り腕に抱きついている姫子に向けられている。

どうしてそんな事を知りたいのか判らないがどう答えようか?



<正直に答える>


京太郎「はい、付き合ってます」

姫子「~♪」


特に問題もないだろうと正直に答える。

そんな京太郎の言葉に姫子は嬉しがり上機嫌に腕を抱きしめた。


憧「熱い、熱い」

宥「あったか~い」

穏乃「???」

灼「ご馳走様」


玄の反応が一番酷い、何やら震え既に何言ってるか理解できなかった。

京太郎の言葉でショックを受けたらしい。


京太郎「えーと?玄さん?」

玄「だ、大丈夫」

京太郎(大丈夫そうに見えないんだけど)


玄の目には見る見る涙が溜まり今にもこぼれそうだ。

流石にそんな反応をされるとは思わなかったので京太郎はどうしようかと辺りを見渡す。


宥「ここは私達に任せて?」

京太郎「はぁ……」


京太郎が出来る事は無く宥達に任せて今日は戻ることにした。

後日、お風呂を借りにいくからと念を押されもした。


玄「…ぐすん」


<曖昧に濁す.Ver>


京太郎「えーと……仲はいいです」

姫子「………」

玄「そ、そうなんだ!」

京太郎(痛い)


玄が何故そんな事を聞いたのか少しばかり理解した上で濁した。

正直に答えたらどうなるか目に見えてるためだ。

姫子には、ギロっと睨まれ、わき腹を抓まれて些か痛たかった。


玄(これは…まだ間に合うはず!)

姫子(はぁ……なんて事思ってるんやろな)

京太郎(なんか選択肢ミスった気がする)


嬉しそうにする玄とため息をつく姫子を見て京太郎は、やってしまったと思った。

後悔が胸に押し寄せてくるが、まだ挽回は可能だろうと思いなおす。


京太郎「あー玄さん」

玄「なーに?」

京太郎「あ……いや、なんでもないです」


玄の笑顔に押され何もいえなかった。

隣には不機嫌な姫子、前には幸せそうな玄と2人に挟まれ京太郎は居心地悪く座りなおした。


京太郎(はぁ……正直に話したらさ…胃が痛い)


胃がギリギリと鳴ってるような気さえした。

<曖昧に濁す.Ver カンッ>



<if ストーカー玄>

京太郎「………」

姫子「京太郎、どげんしたと?」


京太郎と姫子がお風呂に入っていると京太郎が何やら別の方向をじーと見ている。

その視線は、凄く真面目で何かを見つめていた。


姫子「…?」

京太郎「………」


姫子も同じく其方を向くと何やら黒く蠢くものが居た。

それは10cmほどの大きさで黒く光るトカゲであった。

トカゲは京太郎と姫子を……否、京太郎をじっと見つめている。


姫子「トカゲ?」

京太郎「んー……最近よく見かけるんだよな」


姫子の言葉に京太郎は、頷き不思議そうに首を傾げる。

最近京太郎の周りで爬虫類をよく見かけるのだ。

しかも全てが京太郎を静かに見つめると不思議な行動を取る。


京太郎「んー……スサノオに関係あるのは…八岐大蛇なんだけど」

姫子「???」


自分自身のオカルトを把握していると思っていたがまだまだ秘密が多そうだと思い、お風呂に浸かった。




  • 阿知賀-


玄「うへへへ……」

憧「……玄が怖いんだけど」


同時刻、阿知賀の拠点では玄が岩の上のトカゲを見ながらニヤニヤ笑っている。

正直気味が悪くてしょうがない。

灼も穏乃も憧も玄から離れヒソヒソと話をしている。

今現在で普通に玄に接しているのは宥ぐらいだ。


玄「……隣に居る人は邪魔ですけど、京太郎君の裸は良い物ですのだ」

宥「………」


玄は自分のオカルトを使い契約した爬虫類の視界を自分で見ている。

玄の目には、今現在京太郎達がお風呂に入っている様子が写っており、玄は大変満足していた。


玄「うへへへ……あっー!あっー!そこは私の場所なのに!?」


暫くだらしない顔で見ていた玄だったが突如騒ぎ始める。

視線の先では姫子が京太郎に正面から抱きついていた、勿論裸である。


玄「むむむ……やはり排除しなきゃいけないね」


玄は光の無い目でそんな事を呟き指をパチンと鳴らす。

少しばかりしょぼい音であったが相手には聞こえたのだろう、草むらがガサガサと動き

とある生物がのそのそと歩いてくる。





玄「コモドさん!GO!!……ふぎゅる」

宥「……流石にそれは駄目かな」

玄「!?……!!!?」


玄が威勢よくやってきた-コモドオオトカゲ-に命令を出そうとすると後ろから宥に首を絞められ落された。

笑顔で妹を絞め落す宥を見て阿知賀メンバーは震える、コモドオオトカゲも震える。

宥「ごめんね、さっきの命令はなしで大人しく警護に戻ってね?」

コモド「コクコクコクコク」


にっこりと笑いかけてくる宥にコモドさんは、何度も頷きドタドタと走り去る。

宥の笑顔に押され恐怖したのだ。


穏乃「宥さん、すげー!」

憧「最強は宥姉か」

灼「むしろ裏ボス」

玄「ふぁ……温泉に浸かる裸の京太郎君は?」

宥「夢じゃないかな…いい夢見れて良かったね、玄ちゃん」


暫くし起き上がった玄に宥は、何事もなかったかのようにそう言った。


<ストーカー+ヤンデレクロ カンッ>



<清澄と交流>


京太郎「あっ」

久「あっ」

京太郎が清澄と交流しに足を向けると久とバッタリと出くわした。

お互いがお互いに固まりその場で呆然と立ち尽くす。

この前の事が有ってどうにも声がかけずらい……というより久に嫌そうな顔をされた。


京太郎「ども」

久「………」


取り合えず挨拶をすると一歩後ろに引かれた。

正直泣きそうになった。


京太郎「………」

久「………」


その後、特に会話もなく二人して無言で立ち尽くす。

どうにもやりずらくて堪らない。

京太郎の知る限りここまで大人しい久を知らないからか違和感が強いのだ。

その為、非常に対応に困った。


京太郎「えーと…その、聞きたいこととか渡したい情報が有りまして」

久「………」


このままでは、埒が明かないので正直に訪問の内容を言ってみる。

すると久は少し考える動作をした後、後ろを向いて歩き出す。


京太郎「あーと…?」

久「……こっちに着なさい」


久の行動に戸惑っているとそんな言葉を投げかけられた。

どうやら拠点の中へと入れてくれるらしい。


京太郎「……本当に何やったんだよ…俺はよ」


訳が判らずそう呟くしか出来なかった。


  • 清澄+風越拠点-


拠点は何やら植物によって出来たドーム状の物で出来ていた。

周りにはこれまた花の壁が出来ており頑丈そうだ。

久は拠点の中を覗くと誰かと話し始める。

京太郎は辺りを見ながら大人しく少しは離れ待つことにした。


暫くすると他のメンバーもやってきて一人一人京太郎に挨拶をする。

咲はおどおどと反対に優希や和に池田達は好意的に風越のキャプテンである美穂子とまこは少しばかりきつめだ。

久は相変わらずと言った形でじとーと此方を見ている、やりずらい。


京太郎「えーと……(どうしようかな)」


先に情報を渡すか…それとも先に情報を貰うか、さてどうしようか?


何やら先輩達に信用されていないとなと思い信用を得る為に情報を先に渡すことにした。

正直先に渡すのは嫌だがこの際しょうがない、話が進まない事にはどうしようもないのだ。


京太郎「まずは俺から情報を………」

和「いいのですか?」

京太郎「問題ない」


京太郎が切り出すと和が心配そうに声をかけてくれた。

そのことに少しばかり心が救われた。


京太郎「まずは……」


さて何の情報を渡そうか?

<123>

京太郎「まずは……各高校から聞いた話ですが瓜二つの人を見るそうです」

久「!」

京太郎「ドッペルゲンガーのオカルトだそうで」


京太郎の言葉に久がいの一番で反応する。

眼を見開き驚いている。

そんな久を見て京太郎は心の中でため息をついた。

予想はしていたがやはり何かしらの被害を受けていたらしい。


京太郎(大方偽者の俺がなんかしたんだろうな)


この島に着いてからオカルトの被害にあってばかりだと思った。


京太郎「ちなみに…このオカルトについては宮永照…咲のお姉さんから貰った情報だから信用性は高いです」

咲「お姉ちゃんに会ったの!?」


今度は咲が反応した。

反応するのもご尤もだろう、インターハイを通してようやく仲直りをした姉妹(家族)なのだ。

心配でしょうがなかったに違いない。


咲「お姉ちゃんは無事なの?」

京太郎「…体は無事かな」


記憶喪失の事をどう話そうかとしていると咲が詰め寄り今にも泣き出しそうになっている。

そんな咲を見て京太郎は正直に話すことにした。


京太郎「数日前から記憶喪失らしい」

咲「……記憶を?」


京太郎の言葉に眼を見開き此方も驚いている。

無理もないだろう、ようやく仲直りできたのに肝心の照が記憶をなくしているのだ。

咲は、気丈にも泣きそうになるのを我慢しているが今にも涙はこぼれそうであった。


京太郎(無人島に着いてから咲を泣かしてばかりだな)


そんな事を思ってしまった。


京太郎「………後は阿知賀に会ったぐらいかな」

和「あぁ……皆も無事だったんですね」


気を取り直し最後に阿知賀の話をしておく。

これには和が反応した。

元より阿知賀のメンバーとは和を通じて仲良くなったのだ。

どれほどの絆で繋がっているか知っている。

その御蔭か和の反応にもすんなりと納得できた。


渡す情報としてはこのぐらいだろうか?

さて…清澄+風越からは何を聞こうか?




京太郎「無理に深くは聞きませんが、『俺』が何をしでかしたんです?」

久「………」

まこ「あー……そこまで知ってるか」

京太郎「正確には憶測ですが」


もしも何かしていたのならソレを知りたい。

知った上で誤解なら解いておきたい、その一身で京太郎は真面目な表情で久達を見つめ続けた。

その状態でどの位経ったろうか、久が困ったような表情を浮かべため息をついた。


久「これよ」

京太郎「………っ」


久は自分の右手の包帯を取り京太郎に見せる。

其処には傷跡がクッキリと残っていた、傷が塞がってはいるが傷は残り続けているのだ。

医者も碌に居ない無人島だ怪我をした場合綺麗に治るとは限らない、むしろ化膿などで

最悪命を落すだろう、その点で言えば久はまだ運が良かった…傷だけで済んだ。


京太郎「…その傷は?」


京太郎は自分の声が震えていることに気づきながら声をだす。

何がどうであれ、これは聞いておかなければいけない。


久「あなたに付けられた物ね」


久の言葉で京太郎はやっぱりかと思い同時に目の前が暗くなったように思えた。

偽者とは言え自分の姿をした者が久(親しき人)を騙し傷物にしているのだ。

顔を真っ青にし京太郎はどうすればいいのかと考え込む。



久「まぁ……京太郎君の偽者にかしらね」

京太郎「………」


そんな京太郎を見つつ久は相手が偽者だと発言した。

今の今まで京太郎を疑っていたが京太郎の話と反応でよく理解できた。

目の前の京太郎が本物で自分を襲った相手は偽者だと…。


京太郎「………」

久「……私も信じてあげれなかったし御相子ってことじゃ駄目なのよね」


久としては信じてあげれなかった分で御相子でいいのだが目の前の京太郎は、それでは納得できてないようだ。

髪の毛や風貌と反して本当に真面目な後輩だ。

暫し久も考え1つに結論を出した。


久「動かないでね」

京太郎「……何を?」


久はゆっくりと京太郎に近づき抱きしめる。

其れに対して周りも少しどよめくも久が何をしようとしているのか判らず押し黙る。

そして久は京太郎の顔近くへと口を持っていき………



思いっきり噛んだ。


京太郎「……っ!!」

久「……うげぇ、人の肉を噛み千切るって嫌なものね」


肩に走る痛みに一言も声を発せず耐え抜く。

久が肩を少しだけ噛み千切ったのだ。

これでお互いに傷物で御相子と言う事なのだろう。

京太郎が納得しなかったとは言え力ずくな対応だ。


まこ「おんしは…無茶するのぉ」

久「しょうがないじゃない、京太郎君納得してなかったんだし」

和「…それでも噛み千切るのはやりすぎかと」

咲「きょ、京ちゃんこれタオル!!」

京太郎「ありがと……すげー痛い」


タオルで肩を抑えながらも京太郎は涙眼だ。

声を出さなかった自分を褒め称えたいぐらい。


久「タオル外して?」

京太郎「はい」


暫くの間、押さえていると久がやってきて肩を眺めた後、何かを塗った。

何かの葉っぱのようなもので傷口に染みる。

つけたあと包帯を巻いていき処置を完了させる。


久「これでお互い様に傷物ね♪」

京太郎「なんか嫌ーな響きなんですが」


久々に見た久の笑顔に京太郎はため息をつきつつ口元を緩め笑った。

何がともあれ誤解が解けて何よりだ。




京太郎「……これ拠点に戻ったら姫子にどう言おう」

優希「きっと浮気者ー!って喧嘩になるじぇ」


優希の言葉に京太郎は顔を先ほどと同じように真っ青にさせた。

姫子に泣かれ誤解される様子が様々に思い浮かべる事が出来る。


京太郎「言い訳…いや正直に話してなんとかなるか?」

華菜「そうしたほうがいいし、下手に言い訳すると後が面倒だし」

未春「…男の子も大変だね」

美穂子「もう、久が無茶するから」

久「はいはーい、私が悪いです。反省してまーす」


なんとも反省してるとも思えない反応だ。


京太郎「あー……そうだ、もう1つ聞きたいんですけど何か困ってる事ってあります?」


全員『お風呂!!!』


京太郎「ですよねー」


後日、お風呂を借りに行くと約束をさせられました。






<器用度を鍛える>


京太郎「はぁ…ようやく姫子に納得してもらえた」


あれから拠点へと戻ってくるとやはり肩の怪我について根掘り葉掘り聞かれた。

そのことで姫子の機嫌が悪くなり今の時間帯までかかってしまった。


京太郎「……それにしてもドッペゲンガーか」


新たに出てきた敵に京太郎はため息をついた。

次から次へと厄介ごとが舞い降りてくる。

早く帰りたいものだ。


京太郎「取り合えず何があってもいいように体を鍛えるか」


<姫子と煌と会話>


姫子「むー」

煌「スバラくないですね」

京太郎「……あー」


ふらふらとお風呂へと向かっていると二人と出くわした。

出くわした途端に姫子は頬を膨らませそっぽ向く。

それを見て煌がまたかとジト眼で此方を見てくる。


京太郎「今回は…どうしようもなかったし」

姫子「判ってる、ばってん納得できなか」


京太郎の言葉で姫子は罰悪そうな顔で拗ねる。

姫子も事情を知っており京太郎を攻めてるわけではないのだ。

ただ、他の女性とそういうことがあったのが納得できないのだ。


煌「まぁ…時間が解決するでしょう」

京太郎「それしかないな、フォローお願いします」

煌「しょうがないですねー…少しばかりお高いですよ?」

京太郎「……なるべく俺が出来る限りでお願いします」


姫子達とそんな事を話しつつ京太郎はお風呂へと向かった。





<依頼 素材集め>

京太郎「明日なんだけど素材を集めて欲しいんだけど」

姫子「あー木材とかないからね」

哩「問題なか」

煌「お任せあれ!」

仁美「ん、なら川でも探してみようかな」

美子「私は竹とかば」


明日一日を使い皆に素材を集めてもらうことにした。



<姫松来訪>


京太郎「うん?」

仁美「どうかした?」

美子「また大人達?」


朝食を終えこれから何をしようかと悩んでいると誰かが拠点近くまで来たらしく京太郎は気配を感じた。

その気配には覚えがあり特に構えることもなく立ち上がる。


京太郎「姫松の人が着たみたいなので行って来ます」

仁美「気をつけてな」チュー

美子「よろしく言っといてね」


2人の言葉に軽く手を振り京太郎は、姫松メンバーの下へと向かった。





  • 拠点前-


京太郎「どうもー」

姫松「………」


拠点の外へ行くと恭子達が何やら呆然と拠点を見上げていた。

大きな岩で作られた洞窟でありながら形が整っており2階に上がる階段まであった。

2階からはなにやら湯気が出ており温泉か何か沸いているのが判る。

途中であった柵も石造りの丈夫な物で大抵の動物や人は苦労する仕組みだ。

聞いてた内容と些か違い……いやだいぶ違う事に驚き声が出なかった。


恭子「………なぁ須賀」

京太郎「なんでしょ」


呆然とするも京太郎が来たので聞いておかないといけない。

恭子は2階に視線を向けながら京太郎へと声をかけた。


恭子「あれって何や?」

京太郎「あれは……」


2階から上がる湯気を指差しそういった。



京太郎「温泉です、常時沸いてるので掃除とか面倒なんですよね」

姫松「………」


呆気らかんと言った京太郎に姫松メンバーは、口が大きく開けた。

こちとら暖かいお風呂に入るのにも一苦労で毎日入れないのに……。

とでも言いたそうな視線を向けてきた。


郁乃「なぁなぁ♪」

京太郎「なんです?」


そんな中何やら考え込んでいた郁乃が京太郎へと声をかける。

その時に恭子は嫌な予感し止めようとするも後ろから洋榎に押さえられ止めれなかった。


恭子「ちょ!主将!?」

洋榎「大人しくしててなー」

由子「私達がお風呂に入れるか係ってるのよー」

絹恵「さすがに足を伸ばしてお風呂入りたいし」

漫「……大事な所なんで」


京太郎(息あってんなー)


息が合った動きに京太郎は恭子達を生暖かい眼で見守った。


郁乃「お風呂入らせてくれへん?」

京太郎「ほうほう」


郁乃の直球な言い方に少し苦笑しながら京太郎は話を聞いていく。




郁乃「御代は恭子ちゃんで」

京太郎「頂きます」

恭子「ちょっと!?」

由子「早速入りにいくのよ~♪」

洋榎「ついでに服も洗ってくか」

漫「着たきり雀ですしね」

絹恵「やった!お風呂にのんびり入れる♪」


それぞれが暢気に温泉に向かいその場には、恭子と京太郎だけが残された。

暫しの間、恭子も京太郎も沈黙しお互いがお互いに反応を待った。


恭子「……ウチ貰ってどうするん?」

京太郎「や…いらんですけど、ああ言わないといけない気がして」

恭子「そっか…取り合えずしばいてくるわ」

京太郎「いってらっしゃい」


怒りながらも嬉しそうにする恭子を見送りながら京太郎は手を振った。

何だかんだ言って恭子も温泉に浸かれる事が嬉しいのだろう。


京太郎「貸し1つかね」



<煌と爽>


今現在砂浜では、暴風が吹き荒れている。

お互いが動くたびに砂が舞い辺りを覆い隠した。


煌「はぁ!!」

爽「なんの!」


煌が自分の力を利用し普通の人では出せないほどの速度で爽を肉薄にしていく。

右左と連続でジャブを撃つとその度にゴォっと風鳴り響いく、どう考えてもジャブの音ではない。

当たったらただで済まなそうなジャブも爽はしっかりと目に収めジャブを上から叩き落す。

煌が力で攻めるなら爽は力を流しながら戦っている。


何度か手を打ち払うと爽は、タイミングよく煌の拳を掴み受け止めた。

と言っても力で言えば煌のほうが圧倒的上ですぐに押し負かされる。

それを判った上で爽は煌の腕を掴み一瞬の硬直を利用してオカルトを使用した。


  • 寿命の支配者-


爽の影が蠢き煌へと巻きつく。

煌にはそれが見えていないのか爽を押し返そうと力を入れた。

だが………。


煌「またですか!?」

爽「油断大敵って奴だね」


力で勝ってる筈の煌の方が押し負けている。

何度も力を込めても力が抜けていくのだ。


爽「よっと」

煌「スバ!?」


頑張って押し返そうとしている煌の足を刈り取り転ばせると爽は上から煌を押さえ込んだ。

……この勝負は爽の勝ちだ。


煌「うーん、すばらくないですね」

爽「こっちは一発入ったらやばいから必死なんだけどね」

京太郎「………」


京太郎は自分とはまた違った化け物具合を見て黙ってその場を後にした。


京太郎(修行しよう)



<千里山と姫松>


怜「んぁ……」

京太郎「あれ…園城寺さんだけか?」


何やら昼間に千里山と姫松が集まって会談していたのでその事について聞こうかと思ってきたのだが

拠点には怜しか居らず、怜自身も今まで寝ていたようだ。


京太郎「すいません、起しちゃって」

怜「別にええよ~うとうととしてただけやし」


寝転びながらものんびりとそう答えてくれた。

相変わらず具合は悪そうだ。


怜「ちょうどええわ、竜華達お風呂はいってて暇なんよ。話し相手なってな」

京太郎「聞きたいことあったので丁度よかったです」

怜「あぁ…昼の事やな」

京太郎「判りますか」


聞きたいことを当てられ京太郎は苦笑した。

どうも怜が苦手でしょうがない、此方の思考を読み取られているようで落ち着かないのだ。

怜自身は此方を気に入ってくれてるようだが雲や霧を相手にしてるようで本音が掴みにくい。


怜「教えてもええけど…今度から名前で呼んでくれへん?」

京太郎「あー……判りました、怜さん」

怜「怜さん…ね、まぁええわ」


特に反論せずそう答えた。

さん付けに少し不服そうにしているがこればかりはしょうがない。

呼び捨てにしたら姫子や哩の頬が膨らんでしまう。

あの二人は嫉妬深いのだ。




怜「私らってここに住まわせてもらってるやろ?」

京太郎「はい」

怜「毎日お風呂に入れる上こないな頑丈で立派な拠点に居れてずるいと」

京太郎「はぁ…」


もっとこう……大人達とかオカルトについてとか自分達への情報収集かと思っていたが

どうも違うらしい、少しばかり肩透かしな内容だった。


怜「そんでな、ずるいずるい言うから話がヒートアップしてな」

京太郎「あぁ…(あの2人かな)」


京太郎の脳裏に洋榎とセーラの顔が浮かんだ。

きっと2人だろうな確信さえあった。


怜「でも拠点には他の洞窟無いし無理や言うたら『同じ大阪組みやし一緒に住めばええやん』と」

京太郎「……(うちの拠点なんだけど)」

怜「まぁ…私らも住まわせてもらってる側やし、何ともいえへんって事で終わったんやけど」

怜「何かしら姫松の方から提案あるかも知れんな」

京太郎「……はぁ」



<3章-仲間割れ->


京太郎「いい機会かもしれない」

姫子「何が?」

京太郎「信頼できる人も多いしそろそろあの氷の扉の奥を調べようかなと」

哩「あれか…何があっやら」


思い出すのは氷で覆われた遺跡のような場所だ。

今現在スレンダーマンことルフクトゥが生き延びている。

南や西の遺跡であいつの事が判ったのだ、東の遺跡でも何かしらの痕跡が見つかるかもしれない。

そんな淡い期待を胸に京太郎は進言する。


煌「私は特に反対とかはないですね」

仁美「京太郎が行きたいって言うなら別に」

美子「私も特には」


他の面子も特に反論せず頷いてくれた。


京太郎「よし…行く人は新道寺の皆として千里山と有珠山の人何人かに挨拶しておくか」


<由暉子と会話>


由暉子「はぁ…そんな所に行くんですね」

京太郎「ん…すまないけど留守番お願いな」


由暉子の頭を軽く撫で頼んだ。


由暉子「……女性の頭を気安く撫でるのはどうかと嬉しいですけど」

京太郎「あーごめん、丁度いい具合な所に頭があったんで」

由暉子「デリカシーないとか言われません?」

京太郎「たまに」


その後、二人は軽く会話をして判れた。




<怜と会話>


怜「いってらっしゃい」

京太郎「まだ、何も言って無いんだけど」


千里山の拠点へと行くと怜と眼が合いそんな事を言われた。

相変わらず一歩先を歩む少女だ。


怜「えっとな……げほ」

京太郎「怜さん?」


京太郎が見えている先で怜の顔がどんどん青くなっていく。

そんな怜の様子に慌てて近寄り抱き起こすと大きく叫んだ。


京太郎「憩!!!!清水谷さん!!!」

怜「しっかり聞いて覚えてな、何があろうと大切な人を信じて…げほげほ」

京太郎「何を……」

怜「迷う事や疑問に思うことがあったら立ち止まって……し、しっかりと後ろを振り向いてな、進む事より戻る事も大切やから」

京太郎「怜さん?」


それだけ言うと怜はゆっくりと眼を瞑り意識を失った。

その後、すぐに来た憩に見てもらい。

怜の容体は暫しの間、油断ならない状況となった。




<爽と会話>


爽「やぁ…少年!」

京太郎「獅子原さん?」


千里山の拠点から追い出されるように出ると爽と会った。

先ほどのことがあり元気が無い京太郎と対照的に爽はお風呂上りなのか上機嫌だ。


爽「どうかしたのか?」

京太郎「実は……」


京太郎は先ほどの話を話すことにした。

暫しの間、爽は相槌を打ちながら聞いていく。


京太郎「…怜さんの事もあるし行かない方が」

爽「やーそれは違うと思うぞ、園城寺さんは自らの命をかけ背中-助言-押してくれたんだろ?」

京太郎「…」

爽「君はそれに答える義務が出来たわけだ」

京太郎「そうなんですかね?」

爽「そうだよ…まぁ園城寺さんの事は任せておけ幸い-寿命の支配者-もあるし」


そう言って爽は自分の影を軽くトントンと足で叩き-寿命の支配者-を起した。

確かに-寿命の支配者-は病気や寿命を司る神と言われている。

この人-獅子原爽-以上に適した人物はいないだろう。


京太郎「お願いします」

爽「うん、任された!京太郎は1人じゃないからな!」


爽と会話をしました。


爽「それと困った事があったら自分の影を3回足で叩いてくれ」

京太郎「……はい」


最後によく判らない助言を貰った。


<新道寺シナリオ 3章 -仲間割れ->


京太郎「これはいるな」

姫子「これは?」

京太郎「あー………」


氷の遺跡へと足を進めるにあたって準備をしていると姫子が赤い液体の入った瓶を持ってきた。

前に憩にもらったものだが結局なんの用途に使うのか判らなかった。

憩に聞いても危ないときに飲んでなとしか言ってくれないのだ。


京太郎「……なんの薬だろうな」

姫子「憩が飲んでよかって言うんだから平気だと思う」


得体の知れない薬を前に二人はどうしようかと悩む。


京太郎「持っていくか」

姫子「何かに使えっかもね」


カバンの中に瓶を放り込み姫子と2人必要な物をそろえていく。






京太郎「準備はいいか?」

姫子「問題なか」

哩「何時も通りやね」


姫子は薄いピンク色の防寒服にふわふわの帽子を被っている。

胸元には黄金に輝く鍵をぶら下げている。

哩は、白の防寒服と耳宛をつけた。

腕に鎖を巻きつけたらりと下げていた。


仁美「武器とかいらないの?」

煌「この体で十分ですから!」

美子「無茶だけはしないでね」


仁美は黄色の防寒服でフードを被っている。

煌は赤い防寒服で頭には何も被っていない。

腰にはパチンコと弾が入っている袋をぶら下げている。

美子は緑色の防寒服だ、頭には毛糸の帽子を被っていた。

背中には木の盾と斧をつけており準備万端だ。


京太郎は黒の防寒服に耳宛、装備はスコップに左手に盾、腰にはナイフをつけた。


京太郎「いくか」


全員の準備が整った事を確認し京太郎達は歩き出した。


<扉前>


哩「寒か」

京太郎「寒いな」


大きな氷の扉を前に5人が一息つく。

吐いた息は白く防寒服に身を包んでいても軽く体が震えた。


煌「開きそうですか?」

姫子「うん、問題なかよ」


姫子が扉の前で黄金の鍵を1回転させるとゴゴゴと音を立て扉が開いていく。

最後まで開ききるとガンっと音を立て扉が全開になる。

扉の外から中を覗くと何処までも白く輝く氷の遺跡が続いていた。


京太郎「……行くか」


嫌な寒気を感じつつ京太郎は言葉を発すると皆が頷き歩き出した。


<遺跡内部>


姫子「……気配がなかね」

仁美「う~ん、代わり映えのない景色ばかり」


ひたすら歩くもただただ通路が続いてるだけで代わり映えが無かった。

一体何の為にこんな遺跡が建っているのか検討もつかない。






京太郎「うん?」

哩「これは」

美子「霧?」


暫く歩いていると次第に目の前がかすんでくる。

白い景色ばかりで気づけなかったが霧が出ていたようだ。


京太郎「皆で手を……」


京太郎が後ろを振り向き注意を呼びかけようとすると後ろには既に誰も居らず

ただただ白い霧だけが残っていた。


京太郎「……一本道で迷うか?」


すぐに冷静に思い返す。

ここまで一本道でただ歩いていれば逸れるはずがないのだ。

確実に意図した何者かの動きを感じて京太郎は腰のナイフへと手を伸ばす。

何時でも抜けるように反応できるようにした。


京太郎「さて…どうしようか」

<待つ>


京太郎「どうせ後ろも前かも判らないんだ、待つか」


一番前を歩いていたのだ。

このまま待てば誰かしら追いつくだろうと思い留まる。

時間の概念を感じられない霧の中で京太郎は、ひたすら待ち続ける。

すると……。



京太郎「っ!!」


待っていると突如後ろからトンと誰かに抱きつかれた。

注意をしていた筈が霧のせいでぼーとしていたらしい。

京太郎は背中を取られたことに悪態をつきながらも勢い良く回転し相手を弾き飛ばす。


哩「あたたっ」

京太郎「哩?」


ナイフを逆手に抜き取り構え、相手を注意深く見ると知り合いだった。

そこには、しりもちをつき痛そうにする哩が居た。


哩「行き成りひどか」

京太郎「あぁーごめん、敵かと思っちまった」


哩のふくれっ面に京太郎は苦笑し座り込んでいる哩に手を差し出した。

その手を取り哩が起き上がるとお互いに微笑みあった。

京太郎「………」

哩「京太郎?」


哩の手を取ったまま、京太郎が哩の顔をじーと眺める。

不気味なぐらいに動かない京太郎に哩は少しばかり恐怖を感じた。






哩「京太郎!」

京太郎「ッ!!!」


哩が大きな声で叫んだ瞬間、銀色に輝く刃が煌めき哩の首を掻っ切った。

一瞬の出来事に何が起きたか判らない哩は、自分の首元を伝う黒い液体にてを触れた。


哩「なして?」

京太郎「俺が哩を見間違うかよ、偽者」


その言葉を聞いた哩は眼を見開いた後、口を三日月の様に曲げ笑うと黒い液体となり地面へと消えていった。


京太郎「……はぁ、行き成りこれか、皆は無事だろうか?」



<ホール1の扉>

京太郎「あっ」

姫子「あっ」

哩「なるほどな」

煌「ありゃりゃ」

仁美「………」

美子「うーん?」


偽者を倒し歩いていると急に霧が晴れ始めた。

霧が晴れるとホールような広い場所に立っている事が判った。

目の前には姫子達が居てお互いがお互いに見合って反応した。


姫子は京太郎を見て嬉しそうに

哩は納得し頷いた

煌は、この中で一番驚いていた

仁美はゆっくりと何時も通りの表情で飲み物を飲んでいる

美子は盾を構え首をかしげた



姫子「京太郎!」

京太郎「わっと」


全員が暫しの間、そこで止まっていると姫子が駆け出し京太郎へと抱きついた。

そんな何時も通りの光景に少しばかり呆れながら皆が近づいてきた。




京太郎「あー…そっちも?」

哩「やっぱりかー」

煌「あー…偽者でましたか」

仁美「もうちょい遅ければ終わってた」

美子「いきなりはちょっとね」


情報を交換していくとそれぞれの所にも偽者が現れたらしい。

先ほどの戸惑いは、本物かを確かめていたのだろう。


京太郎「…無事でよかったよ」

仁美「ん、それはいいけどアレはどうする?」


京太郎の言葉に頷きながら仁美が一角を指差す。

そこには入り口同様の扉があり閉まっていた。

少しばかりソレを見て考えるも扉を開けることにする。


京太郎「さてと……」

姫子「駄目やね」


扉の前で姫子が鍵を回すも今回は開かないようだ。


煌「こっちに!」


その扉を前に京太郎が考えて込んでいると何やら煌に呼ばれた。

皆でなんだろうかと見合わせ煌の元へ行くと何やら絵が描かれている。


5人の人が扉らしき物の内側に1人は扉の外で泣いている絵だった。






暫しの間眺め1つの結論をだした。


京太郎「…誰か1人置いてけってことか」

煌「…すばらくないですね」

仁美「………」

美子「……さっきの偽者がまた来るかも」

姫子「誰が残っと?」

哩「………」


どうやらこの先に行くには誰かを置いていかないといけないようだ。

皆が皆その絵を見たまま動かない。

誰が此処に残るのか?

自分かもしくは他の誰かか…。


京太郎は論外だ、この中で誰よりも先に進まなければならない。

それなら新道寺の中からの誰かになる。

それを理解したのか姫子は泣きそうな顔でみんなを見渡した。

全員が全員姫子の顔を見て気まずそうに視線を逸らす。

誰だってこんな所に残りたくない。

襲われる可能性もあるのだ。







哩「なぁ…残るにしても扉ば開けるにはどうしたらよか?」

京太郎「あぁ…そっか」


腕を組みながら哩が冷静に此方を見てくる。

確かに残るにしてもどうやって扉にそのことを認識させればいいのかが判らない。

京太郎はもう一度注意しながら絵を見ていく。

暫く見ていると描かれた一人の下に円が書かれていることに気づいた。


それを見た後、辺りを眺めると視線の先に円が書かれている箇所を見つける。


京太郎「あそこに立てばいいんだと思う」

哩「そっか」

姫子「部長?」


京太郎が指差した所に哩が歩いていくとそのまま円の中に入った。

どうやら哩は此処に残るらしい。

哩が円の中に入ると扉が勝手に開きはじめた。


京太郎「哩!」

哩「少し疲れた、此処で待たせてもらうたい」


それだけ言うと哩は後ろ向き背中を見せひらひらと此方に手を振った。

言葉を区切りこれ以上話すことは無いとばかり黙り込む。

それを見て少しの間、戸惑うも京太郎は、足を進めることにした。

煌達も哩のほうへと振り返りながら扉の内側に入る。


そして……哩が円の外へ出ると静かに扉が閉まった。


<1の扉 クリア>





京太郎「………」

姫子「………」

煌「………ん~」

仁美「はぁ……」

美子「………」


先に進むも皆の間には会話らしき会話がない。

先ほどの事を気にしてるのだろう。

無理に元気付けようとするも京太郎自身元気が沸かないのだ。

皆の気持ちが落ち着くはずもなく嫌な雰囲気のままだ。




<ホール 2の扉>


京太郎「またか」


暫し歩くと先ほどと同じようにホールがあり扉があった。

今度も壁画があり絵が描かれていた。

先ほどと同じ絵が描かれている。

また……また……誰かを置いていかなければならない。


京太郎「………」

姫子「……なして?」


姫子の信じられないといった呟きに誰も答えない。


仁美「……ジャンケンかな」

美子「……判った」

煌「こればかりは、しょうがないですね」

姫子「………」





<美子を残す>


美子「あっ……」

仁美「………」

煌「あー……」

姫子「うぅ……」

京太郎「………」


ジャンケンの結果美子が負けた。

負けた美子は、その瞬間に思わず声を出す。

自分の手を見て悲しそうな顔をした。





美子「後はよろしくね」

仁美「判った」

煌「お気をつけて」

姫子「………」

京太郎「早めに済まして戻ってこよう」


円の中で手を振る美子に言葉をかけ京太郎達は歩き出す。

寒さのせいか、それ以外のせいか…体が知らず知らずのうちに震えた。

またもや京太郎達が扉の中に入るとバッタリと扉が無情にも閉じた。


<2の扉 クリア>

<ホール 3の扉>



京太郎「またかよ!!!」

仁美「しょうがないな」


歩いているとまたもやホールがあり扉が備え付けられている。

それを見た瞬間、京太郎は壁を拳で殴る。

氷で出来た壁に少しばかり罅が入るも扉を開けるには程遠い程度だ。


煌「今度は絵が違いますね」

姫子「!誰も残らなくてよか!?」


煌の言葉に姫子は喜び絵を見た。

その絵は3人が扉を内側に居て残りの1人が通路に戻るという絵であった。

絵を見てすぐに理解する、またもや誰かが残らなければいけないと…。


姫子「ジャーンケン…「いらない」……」


姫子達がジャンケンで決めようとすると仁美が止める。

止められた事に害した様子もなく姫子は力なく腕を下げた。


京太郎「仁美さん?」

仁美「……さっさと行け」


仁美が歩き出し通路へと戻っていく。

それを止めようとするも京太郎は言葉が出ない。


仁美「もう誰かが残る、残さないといけないとか見たくない」

京太郎「……」

姫子「……」

煌「あー……うん」


仁美の呟きに力なく京太郎はうつむいた。

仁美の言葉は今まで誰も言わなかったが誰もが思ってた言葉だ。


煌「………この先に行く事に何の意味があるんでしょうか」

京太郎「煌さん?」

煌「江崎先輩が心配なので追っかけますね」

姫子「あっ……」


それだけ言うと煌は仁美を追いかけて通路に入っていく。

残された二人は暫くの間、そこに立ちつくすも気を取り直して歩き出す。

前へと………。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2026年01月14日 21:54