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<帰る>

京太郎「帰るとして……この荷物どうするか」

姫子「怜ちゃんも本調子じゃなか」

怜「すまんな……竜華の膝枕もええけど姫子のもええな」


欲張り過ぎたのか大きな荷物を前に京太郎達は悩む。

距離も距離で正直往復するのは避けたい……が。


京太郎「流石に物理的に無理だな」

姫子「手が足りなか」

怜「はふ……」


3人でう~んと呻っていると遠くから何か音が聞こえてきた。

その音は無人島に着く前なら何時も聞いてる音だ。


京太郎「エンジン音?」

姫子「…なして?」

怜「……あっちやね」


車のエンジン音に驚きながら辺りを見渡すと遠くから砂埃が見える。

それは次第に大きくなり京太郎達の前に止まっ………船にぶつかって止まった。


京太郎「わははカー?」

姫子「なんだっけ?」

怜「なんやこれ」

智美「わはは……砂だから止まれなかったぞ」


車の扉が開き、鶴賀の部長である智美が降りてくる。


京太郎「なんでここに?」

智美「頼まれて迎えに来たぞ」

姫子「迎え?」

智美「いやー……あっちはあっちで問題が起きていてな。急いで連れてこいと」

桃子「私もいるっす」

京太郎「モモまで?」

怜「問題?」


ひょっこりと桃子が顔を出し荷物に近づくと自分の影に収納していく。

便利な能力だなと思いながら見つつ、京太郎達は問題起きているという拠点へと車に乗って帰ることになった。





<拠点>


京太郎「なんだこれ」

姫子「部長はっ!」

怜「竜華!!!」


荒々しい運転に耐え拠点へと戻ると最初に目に入ったのはボロボロになった柵だ。

石と木で作ったとはいえ固く固定し竹を刺し針上にしていのだが、跡形もない。

車から降りると姫子と怜は自分の大事な人の名前を呼ぶと拠点へと駆けて行く。

正直な所京太郎自身今すぐでも駆けて行きたい……だがそれより状況を判断することに回った。


京太郎「何が?」

智美「襲撃だな」

桃子「私達のところも受けて今この拠点に全ての高校の人が集まってるっす」

京太郎「襲撃……大人か?ルフクトゥか?」


京太郎の切羽詰った声に2人は首を横に振るった。

そして一言で襲撃してきた相手を言った。


智美&桃子『熊だな(っす)』

京太郎「………熊?」


京太郎の脳裏には最初に遭遇した熊が出てくる。

最初こそ苦戦したが今となっては1人でも勝てると思えるほどだ。

拠点にいるメンバーで十分事足りるだろう……それなのに何故。


桃子「歩きながらでいいっすか?」

京太郎「頼む」

智美「わはは…私は宮守を迎えに行ってくる」


歩き出した京太郎と桃子を見てから智美は車に乗ると直ぐに車を出した。


京太郎「それで?」

桃子「熊といっても普通の熊じゃないっすね」

桃子「毛並みが赤くとても大きく知識もすごいっす」

京太郎「……そんな熊いたか?」


京太郎は熊の種類を頭の中で考えるがそんな種類を知らない。


桃子「毛が赤い事から私達は『赤カブト』って呼んでるっす」

京太郎「………次から次へと問題が!」

桃子「一頭だけならいいっすけど群れで来るものだから皆防戦で必死っす」

京太郎「なるほどな…でもなんで行き成り襲いだしたんだ?」

桃子「部長たちの話では大人達を襲って味を覚えたのかと……」

京太郎「人食いになったか」


京太郎は顔を顰め拠点内部へと足を進めた。





京太郎「哩!」

哩「京太郎!」


拠点内部へと入ると各高校の部長が集まり相談をしている。

京太郎はすぐに姫子が寄り添った哩を見つけると名前を呼んで抱きしめた。


久「お熱いことで……できれば話をしたいのだけど」

菫「ごほん」

ゆみ「………(部長は睦月なのに)」

霞「あらあら」

智葉「はぁ……」

美穂子「………えっと」

灼「あつい」

恭子「チッ…」

透華「私達が目立ちませんわ!」

竜華「あはは……」

誓子「…ん」

京太郎「ごめんなさい」


各高校の部長に睨まれ京太郎は顔を赤くし隅っこで縮こまった。


久「それで須賀君も来たしこれからの相談なんだけど」

ゆみ「拠点を移すか……防衛して戦うかだな」

久「私は防衛かしら」

ゆみ「私もだな」

美穂子「私は…逃げた方がいいと思います」

霞「私も逃げかしらね」

灼「んっ……あれは無理、逃げた方が良いと思う」

誓子「負けっぱなしは嫌かな」

透華「勝ってこそですわ!」

竜華「ウチは逃げるやね、いつまで戦えばええかわからんし」

恭子「ウチもや、逃げた方がええと思う」

京太郎「………」

哩「京太郎に任せる」


今の話を聞くにここの拠点で相手と戦うか、遠くへ拠点を移すかの2択で揉めている様だ。

戦うとなると勝てば安全となる、しかし数で押され食料や備品が多く必要となり調達も容易でなくなる。

逃げるとなれば、移動は大変だが成功すればある程度時間が稼げて食料も調達ができるだろう。

だが、どちらにしろいずれ相手を倒さなければならない。


京太郎(どっちもどっちだな)


結局その日は話を中断し後日もう一度決めることとなった。


京太郎「………」

姫子「京太郎……大丈夫?」

哩「………んっ」


夜の拠点で京太郎は膝を抱え座り込む、隣には哩と姫子も居て寄り添っていた。


京太郎「なんでこうなるんだろな…」

姫子「……」

哩「……」


京太郎のボヤキに2人は黙り込みぎゅっと京太郎を抱きしめる。

今まで何があろうと頑張ってきた京太郎だが今回ばかりは堪えた。

船に行って神話生物と戦い、SOS信号をつけ安堵した束の間、問題が起きた。


京太郎「……帰りたい」

姫子「………」

哩「………」


ぎゅっと膝を抱え弱音を吐いた。

元はただの高校生だったのだ、少しばかりお調子者で胸が好きで明るいだけの高校生。

それが無人島に辿り着いてなり振り構わず人を助け、生きる為に命を賭け戦い続けた。

姫子や哩…煌に仁美と美子、無人島で築き上げた絆で結ばれた人達の為に動いていたが精神がここで限界を迎えた。


京太郎「…………」

姫子「………」

哩「………」



煌「大丈夫でしょうか?」

仁美「ん~……休息が必要やね」

美子「……京太郎君」


3人が寄り添う後ろで煌達も心配そうに見守るのだった。


結局その後京太郎はふらふらと拠点に入り持って帰って来た布団に縋り付く様に眠りに入った。


姫子「………部長、熊はどんぐらい強かです?」

哩「………一頭で大盾ん英雄より少し弱か、ばってん数がな」

仁美「中には5Mとか7Mの奴が居てあれは怪獣やね」

煌「それが5頭も6頭もやってきて正直生きた気がしませんね」

美子「親玉を倒すしかない?」

哩「一番大きな固体ば倒しても他が居っと」

煌「……すばらくないですね」


姫子達はあれこれ考えるが、いまいちいい案が思い浮かばない。


姫子「……そもそもなんで今になって現れたとですかね?」

哩「そいは……人ば喰らって……」

姫子「そうじゃなかとです。今まで会った事すらなかったんに急にポっと現れて……」

煌「……そういえばそうですね、一頭ぐらい会った事があってもいい筈」

仁美「おかしいといえばこの島がおかしかね」

仁美「なんで日本の島に虎やコモドオオトカゲがおっと?」

美子「……現れた原因がある?」

姫子「可能性はあっと思います」

哩「そん原因ば潰せば……」

全員『助かる!』


姫子「かも知れんと思うとです」

哩「可能性はアリやね」

煌「では……まずは原因を探るべく時間を稼がなければいけませんね」

仁美「逃げるか」

美子「逃げようか」

姫子「京太郎もああですし、それがよかとです」

哩「んっ……逃げっなら北か?」

仁美「南はほとんど奴等の縄張りやし」

煌「そこしかないですが……他の人達が残るといったらどうします?」

哩&姫子「「京太郎が大事!」」

煌&仁美&美子「「「ですよね」」」


哩と姫子の言葉に3人は呆れつつも反対しなかった。

結局は想いは一緒なのだ。

京太郎が第一…それが今の新道寺だ。

哩「私達は逃げる」

久「う~ん……それは須賀君もなのよね?」

哩「京太郎は無理矢理でん連れてく、戦えっような状態じゃなか」

ゆみ「そうか…残念だ」

美穂子「ん~…どうしましょうね」

霞「逃げるか戦うかで新道寺は逃げると」

誓子「むむむ~」

哩「そん話だけど……」


哩は昨日の話し合ったことを皆に伝えていく。

暫くの間みんなは大人しく聞いており、1つの結論に達した。


竜華「逃げようか」

透華「無謀と勇気は違いますわね」

塞「それがいいかな」

智葉「…となると非戦闘員は車で移動だな」

久「念のため数人ほど戦える人も必要よ」

灼「荷物は東横さんに?」

恭子「そのほうがええやろ」

誓子「それじゃルートは……」

哩「2択やね」


全員『海!』

その日から皆に伝えて大慌てで準備を始めていく。


宥「あったかくない、温泉が」

憧「宥姉、その気持ちは判るけど命に比べたら…ね?」

宥「うん」


淡「熊なんて淡ちゃんがいれば……」

菫「ならお前だけ残るか?」

淡「逃げるが勝ちだよね!」


咲「京ちゃん大丈夫かな?」

和「どうかしたんですか?」

咲「なんか心在らずって感じで」


華菜「キャプテンは任せるし!」

美穂子「無茶はしないでね?」

未春「2人も無事で」


睦月「これは……そっちかな」

佳織「部長も板に付いてきたね」

睦月「う、うむ、まだ緊張するんだけどね」


智紀「海の中を歩く?」

浩子「その方がええわ、足跡も匂いもなくせるしな」

智紀「車はどうしようか」


洋榎「……皆と動けてよかったな~」

恭子「ウチの高校はオカルト持ち少ないですからね」

由子「良かったのよー」


塞「結構生き残り多いね」

胡桃「インターハイで戦った人達ばっかりだけどね」

豊音「あとでサインもらえるかな?」


怜「ごめんな」

竜華「別にええよ、先に待っといてな」

怜「うん、竜華も無事で」


爽「いてて……」

揺杏「爽も車組みかね」

誓子「怪我してるしね」


憩「怪我人は車乗ってなー」


智葉「面倒な事になった」

明華「車だけでは足りませんし、私も運びますね」

智葉「非常事態に秘密にしててもしょうがないからな」



姫子「私達はどうすっとですか?」

美子「京太郎君は歩きだよね」

仁美「出来れば乗せたいけど……」

煌「う~ん、元気ないですしね」

哩「どげんしよ」

京太郎「………」


姫子達の視線の先では京太郎が膝を抱えボーとしている。

心在らずといった面持ちであった。


姫子「一応車に各高校2名ほどは載せられっとです」

美子「非戦闘員優先だけどね」

仁美「こんなかじゃ私らになりそうやね」

煌「私も乗るように言われてますね」

哩「煌ん能力は役に立つしな」

美子「ということは…」


3人の視線が哩と姫子に向けられた。


姫子「私達が京太郎と一緒です」

哩「そうなっか」


京太郎と哩姫(恋人)は自動で歩きになります。


1日目


姫子「ぬっか」

哩「ぬっかにゃ~」

京太郎「暑いな」


3人は各高校の人と荷物を背負いながら海の端を歩く。

足元は冷たいが上から来る日差しに参りながら歩いている。


久「この辺で休憩しましょうか」

姫子「はふ~……」

京太郎「哩、姫子大丈夫か?」

哩「結構辛か」


海から上がり木の陰に入ると3人は座り込み、その場でぐったりとする。

京太郎が辺りを見渡せば同じように疲れてる人が多かった。

疲れていないのは男の京太郎ぐらいだ。


ゆみ「どうだ、久」

久「参ったわね、思ったより進行速度が遅い」

菫「もうすぐ進んで今日はおしまいだな」

誓子「まだ時間あるけど」

菫「食料の事もあるしな、誠子達に魚でも釣ってもらう」

恭子「森の中に入るのは危険やしな」

竜華「出来れば早めに行きたいけど無理やね」


京太郎「……」


京太郎達の近くで久達が今後の話をしている。

それを聞きながら改めで周りを見ると皆が皆不安そうな顔をしていた。

いつ襲ってくるか判らない相手に怯えているのだ。


京太郎「ままならねーな……」


京太郎は空を見上げ時折吹き通る風を受けながら休み始めた。





『今日はここで休み!!』


姫子「うぅ~……」

哩「ふぅ……」

京太郎「今日はここまでか」


日が海へと傾き始めた頃、声がかかりそれぞれが座りこんだ。

海から上がるとそのまま砂浜に倒れこむ人も多く、動く気配がない。

それでも中には動けるものが居てその人達は思い思いに泊まる準備を始めた。


京太郎「ほい、これ」

姫子「ん~飴?」

京太郎「疲れたときには甘いものだしね」

哩「姫子ん事頼む」

京太郎「どっかいくのか?」


ぐったりとしている姫子を膝の上に乗せ飴を与えていると哩がよろよろと立ち上がり何処かへ行こうとする。


哩「こいからの予定ば立ててくっと」

京太郎「………」

姫子「あまあま♪」


京太郎は哩を見送りながら姫子の頭をポンポンと優しく撫でると一息ついて海を眺め始めるのだった。



  • 1日目終了-


  • 3日目-

久「ムリねー」

哩「ムリやね」

智葉「それでもありがたい雨だな」

塞「匂いを消してくれるのはいいね」

美穂子「お水も補充できましたし、疲れてる子も多かったから」


そう言って部長勢は雨を凌ぐ為、木下で丸まっている子達へと視線を向ける。

この3日で大分疲れが溜まり口数も少なくなっていた。

どうにかしなければといけないという所でこの雨……幸運だった。


京太郎「なんだろな」

姫子「スー……」


膝の上で眠りに付く姫子を撫でながら今の状況を省みる。

船から戻ってからやる気がでない。

どうしても気持ちが沈み込んでしまう。

命の危険に晒されている今でも画面の外から眺めているような感覚だ。


  • 3日目終了-



  • 6日目-

あれから襲撃もなく熊自体嘘だったのではないかと思えるほど何もない。

緊張していた数人も落ち着きを取り戻し、歩くのにも慣れたのかペースが上がっていた。

この調子なら問題なく辿り着くだろうと思いのんびりと休憩をしている日のことだった。


京太郎「うん?」


京太郎が見張りをしていると草陰が動いたように見えた。

最初は気のせいかと思っていたが、数分後もう一度同じ箇所が動いた。


京太郎(何かいるのか?)


襲撃かと思い立ち京太郎は、スコップを取ると膝の上の哩と姫子を優しく枕の乗せ代え歩き出す。


京太郎「………」


緊張する中、近づき草を手で取り払うとソイツと目が合った。

太陽を思わせる金色に輝く目に月の光を浴び銀色に見える見事な毛並み……オオカミがいた。


京太郎「………」

オオカミ「………」


京太郎とオオカミは暫くの間、何も言わず見詰め合った。

なんとなくこのオオカミは危険がないと判ったのだ。


京太郎「………お腹空いてるのか?」

オオカミ「………」


見詰め合ってるとオオカミが鼻を高く上げ匂いを探り始めた。

それを見て京太郎は夜食代わりに食べていた干し肉を思い出す。

確か慌ててポケットにしまったなと思い手を伸ばし肉を取り出した。


京太郎「………」

オオカミ「………」


肉を降るとオオカミの視線も肉を追った。

どうやらこれが欲しいらしい。


京太郎(どうしよう)




<渡す>



京太郎「ほれ、これ食ったら離れてくれよ」

オオカミ「………」


京太郎が差し出すとオオカミは嬉しそうに尻尾を振り干し肉を食べていく。

それを微笑ましく見てから京太郎は火の番へと戻っていった。


京太郎(そういえば……オオカミって群れで行動するんだっけか)


見張りに戻った京太郎はやる事無くオオカミの事を思い出す。

先ほどのオオカミを見る限り一匹狼みたいだった。

何処かに群れでもいるのだろうかと思いつつ京太郎は交代し眠りに付いた。


  • 6日目終了-



  • 8日目-

哩「京太郎は」

姫子「………」


休憩中、久達とこれからについて話し合っていた哩が座っている姫子へと声をかける。

最初に口にしたのは京太郎の事だ。

姫子は哩の問いに首を横に振ってから視線を京太郎へと向ける。

視線の先には京太郎が体育座りでボーと海を眺めていた。


哩「原因はやっぱり……」

姫子「燃え尽きたとです」

哩「そっかー……」


2人をはため息をついてどうしようかと悩む。

原因は判っているのだ。

この無人島という特殊な場所で唯一の男性として頑張ってきた。

様々なオカルトと遭遇し乗り越えてきた京太郎には、自分が特別な存在なんだという気持ちが少なからず持っていた。

これは当たり前といえば当たり前のことでもある。

実際に京太郎は特別な存在だと姫子も哩も特別だと思っている。

皆が京太郎を頼り、京太郎が皆を守り頑張る、ずっとそうしてきていた。

所が人数も増え京太郎以上に凄い人もチラホラと出てきた、京太郎自身が自分の役目が終わったと感じたのだ。

何より最後の止めが船でのSOS信号だ。

いつ救助が来るか判らなかった時は京太郎にも役目がまだ残っていた、しかし今となっては皆を引っ張るのは

京太郎でなくてもよくなった、それが燃え尽きた原因だ。


哩「どげんしよ」

姫子「傍に居って支えっしかなかとです」

哩「んっそれしかなかね」


2人は頷くと立ち上がり京太郎の傍でただただ寄り添うのだった。


  • 8日目終了-



  • 9日目-


京太郎「ごめんな」

姫子「よかよか♪」

哩「好いとーでやっとっとことやし」


何時も通りに歩いているときに京太郎がポツリと謝罪する。

京太郎自身これでは駄目だと判っているのだ。

他の人達に役目が取られていてもまだ役目が残っているのもこの9日で再確認できた。

まだ不完全であるが少しばかり立ち上がる。


京太郎(姫子達がいてよかった、恋人がこの2人で本当に良かった)


情けなく俯いている自分をも愛し傍に居てくれている2人に感謝する。

自分の横で笑顔を絶やさず傍に寄り添ってくれる姫子

何があろうとも何ともないとクールに自分を支えてくれる哩

この2人を何としてでも守り抜かなければいけない、それが自分の残った役目だと認識できた。


京太郎(……いや、二人だけじゃなく煌さん達もだ)


自分を犠牲にしてでも他人を守る煌

マイペースながらも役割を全うし見守ってくれる仁美

自分達が孤立しないように注意を促してくれる美子


新道寺の全員を守るのだ。


京太郎「本当に良い人達に恵まれたな」


京太郎はぎゅっと2人の手を握り久々に笑顔で上を向き空を見上げた。


  • 9日目終了-

  • 10日目-

煌&仁美&美子「「「京太郎君!」」」

京太郎「お久しぶりです!」

姫子「ぶー私達は?」

哩「名前も呼ばれんかった」


ようやく仮拠点に着くと煌達が出迎えてくれる。

辺りを見渡すとそれぞれが自分の高校の人と無事を確認しあっていた。


煌「やー……お2人に何かあるってことはありないですし」

仁美「ん、そん通り」

美子「あははは……」

姫子「よかですけど」


3人の言葉に姫子は拗ねるも嬉しそうに頬を緩めている。

哩も腕組みをして呆れるも嬉しそうだ。


哩「そいにしても……」


哩が回りを見渡しため息をついた。

車を中心に仮拠点が作られているが前の拠点に比べると生活基準を落さなければならない。

必要な物が多すぎて頭を抱えるほどだ。


姫子「また初めっからですね」

煌「これでもだいぶマシになったのですが」

仁美「ん~……温泉に入れんのは痛い」

美子「近くにあればいいけどね」


5人が5人それぞれ名残惜しそうに前の拠点を思い出す。





哩「京太郎?」

京太郎「ここら辺で良いかな」


これからどうするか相談しようとしていると京太郎が居ないことに気付いた。

どこへ行ったのかと思い辺りを見渡すと皆とは離れた場所で何やら地面を調べている。

不思議に思い皆で近づくとしゃがんでいた京太郎が立ち上がり、手を叩く『二拝二拍手一拝』を行なった。


姫子「あわわわわ!?」

哩「敵襲か!」

煌「地面がゆれれれれ」

仁美「ん~……山でも噴火するのかね」

美子「そんな暢気な」


突如地面が揺れだし慌ててしゃがみ込んだ。

ゴゴゴゴゴと地鳴りが鳴り響き、地面が揺れる。

暫くすると地震が収まり顔を上げ全員が唖然とし口を開いた。


目の前には前の拠点が鎮座していたのだ。


京太郎「こんなもんか」

姫子「きょ、京太郎?」


他の高校も流石にこの光景には驚きを隠せない。

唯一拠点を見ても驚いていない京太郎に声をかけるとぱんぱんと手の砂を払い振り向いた。


京太郎「さぁ……ここからまた始めようか」


京太郎はニカっと笑いそう宣言した。


  • 10日目終了-




京太郎「はぁ……」


新しい拠点を建ててから怒慟の日々を送る。

拠点内部を確認し高校ごとに部屋を分けた、もちろんその作業は自分だ。

部長達で話し合って決めるとばかり思っていたら自分が決めろときた。

優先順位的に京太郎がいる新道寺が先らしい。

所属しているのが清澄なのにどうやら自分は新道寺と思われてるみたいだ。


京太郎「まぁ…どっちを選ぶかと言われれば…」


正直な話、清澄の一員だという自覚もある。

だが、京太郎の心の拠り所は新道寺になっていた。


姫子「京太郎!」

哩「また……姫子は」

煌「仲良しすばらです!」

仁美「ん、何時も通りやね」

美子「ははは……ほどほどにね?」


声をかけられ振り返れば走ってきた姫子に抱きつかれた。

驚くのも束の間、何時もの4人が呆れながらも近寄ってきて囲まれる。

騒がしくも大事な日々を噛み締め姫子の頭を撫でるのであった。


<川道具>

京太郎「だいぶなくなっちまったな」

姫子「柵までは無理やけんね」

美子「こいばかりはね」


姫子と美子に話をかけながらも石を集めていく。

この拠点に来てから改めて柵を作った為足りなくなったのだ。

近くに川があって良かった、大きな石材などを集めるにはうってつけだ。


京太郎「周りは……大丈夫そうだな」


遠めに見えたほかの高校の人達の影を見ながら呟いた。

あれから自分が出した拠点は大きくなり、今では全ての高校の人を匿えている。

何処となく胸に刺さっていた棘が抜けた気分だ。


姫子「あっ……」

美子「あれ?」


そんな事を考えていると後ろからバシャーンと音が聞こえてきた。

振り返ってみると美子が目をパチクリと瞬きし唖然としていた。

隣にいた姫子にも水がかかり透けている。


京太郎「……えーと」

姫子「よかよか」

美子「暑いしね」


2人の服はYシャツ一枚と薄いもので水に濡れたお蔭で下着が見えている。

顔を赤らめ逸らすと姫子達のほうから楽しげな声が聞こえ、ついでに水も顔にかかった。


京太郎「……気にしないのかよ!?」

姫子「もっと恥ずかしか事してっし」

美子「私は水着着てますから」

京太郎「………ならいいか」

姫子「休憩に遊ぼう」


その後、姫子達と暫くの間遊んだ。



<煌とお見舞い>

京太郎「どうも」

煌「大丈夫ですか?」

爽「ひまー!」


熊との戦闘で怪我を負った爽のお見舞いにきたのだが、包帯だらけの見た目と違い元気そうだ。

今もぶすーとした顔で両手を布団に叩き突けている……何となく小学生みたいだと思った。


京太郎「それにしても爽さんが怪我するなんて……」


影の世界で少しばかり戦った事があったが実力は高かった筈。

煌ともよく訓練をしていたところも見ているので尚の事怪我したのが不思議だ。


爽「私の能力は回数制限あるからな。あーん」

煌「守る人も多かったですしね」

京太郎「そっちもそっちでやっぱり大変だったんだな」


持ってきた見舞い品を机に置いて話し込む。

歩いているときは他の人と会話する時間もなかった為、こうやって話し込むのも久々だ。


爽「あのくまごろう強かったしな。あーん」

煌「私のパンチでも沈まなかったですし」

京太郎「……あのパンチで?」


脳裏に煌と戦闘を行なった時の光景が思い浮かんだ。

空を切りながら髪の毛を持っていく力強い拳を思い出し些か脂汗が出てきた。


京太郎「俺がいても変わらなかったかな」

煌「そんなことは……」

爽「………いい加減、食べ物くれない?」




<哩姫と散歩>


姫子「えへへ~♪」

哩「~♪」

京太郎「……落ち着くな」


右に姫子、左に哩、2人と手を繋ぐ砂浜を歩く。

こうしているだけなのに気持ちが落ち着き安定する。

2人の横顔を見ると姫子は嬉しさを隠さないで笑って、哩は澄ましているものの口元を嬉しそうに緩めた。

自分自身何もしていない。

会話を振るでもなく、ただただ手を繋ぎ歩いているだけだ。

それでも大事な人が嬉しそうにしてくれるのは嬉しい。


京太郎「……♪」

姫子「京太郎も嬉かと?」

京太郎「あぁ…一緒に居られるのがとても嬉しい」

哩「まったく」

姫子「部長も嬉しか癖に」

哩「………」


姫子の問いに答えると哩が自分は関係ないとばかり声をあげた。

それにたいして姫子がくすくすと笑い哩へと問いかける。

心を見透かされたせいか哩は顔を赤らめそっぽ向いた。


京太郎「……あぁ、いいな」

姫子「よかね」

哩「……嫌じゃなか」


3人はその後も体が冷えるまで散歩を続けた。



<哩と会話>


京太郎「ほい」

哩「よか?」

京太郎「問題ないだろ」


お風呂から上がると岩の上に座り月を眺めている哩を見かけた。

哩を見てからの行動は早かった。

昼前に水の中に入れていたジュースを取り出すと彼女へと渡す。

そしてそのまま哩の隣に座った。


哩「大丈夫そうやね」

京太郎「ご迷惑おかけしました」


哩が自分をじろじろと眺め頷く。

言っていることは自分が落ち込んでいる時のことだろう。

今更ながらあの時の自分はどうかしていたと思い出す。


哩「うん、もっと頼ってよかよ」

京太郎「……あぁ、これからも頼らせてもらう」


素直にそう言ってくれるのが嬉しくて素直な気持ちを伝えてから哩の手に自分の手を重ね、一緒に月を眺めた。




<船の確認>

京太郎「そうだ、船に行かないと」

姫子「!!」


夜のミーティングの時に話していると船のSOS信号を思い出す。

あれから14日もの時間が経っているしっかりと信号を発しているかを確認しなければいけない。

そんな事をボヤくと姫子が反応しビクっと体を震わせた。


姫子「いや!絶対行きたくなか!」

京太郎「………おぅ」

怜「………私が」


姫子は両手で自分を抱きしめ震え、寝込んでいた怜はゾンビのように這い出てくる。

姫子は怖がり、怜はどう見ても行ける状態ではない。

京太郎は仕方がなくほかの人に頼む事にした。

改めて回りを見渡しホラーに強そうな人を選択する。


京太郎「哩と煌さんと……「私も行きます!」……」


いつでもクールな哩に精神的に最強な煌…そして……。


京太郎「何でいきたいの?」

由暉子「ホラーとかオカルトとか興味あります」


手を挙げて飛び跳ねる由暉子の胸に視線がいく。

そのことがバレたのか姫子にわき腹を抓られた。

地味に痛い。


京太郎「それじゃ……この3人でいきましょうか、智美さん車出してもらえますか?」

智美「別の構わないぞー!」

桃子「え?あれにまた乗るとか正気っすか」

哩「……え?」

煌「なんだか嫌な予感がしますね」


69日目 午前・午後を使い船を確認します。

<バカップル(宮守編)>

(私はミスをした)


朝が来て起きると真っ先にそれが思い浮かんだ。

此処最近の日課のようなもので最近は気にしなくなってきた。

あるのは他の人達に迷惑かけてるなと言うことだけだ。


事の始まりは、赤カブトに追われ他高校の人達と移動し、唯一の男性である須賀君が拠点を作った時だ。

各高校の部屋を決める際に何故かお風呂にも近く外へと出やすい部屋が残っていた。

もちろん怪しいとも思ったがなんてことない、新道寺の近くと言うことだけで問題がなさそうだったので取ってしまった。

それが間違いだった。


「……あぁ、またか」

「イツモドオリ」

「見せられるこっちのみにも…」

「あっつあつだよー!」

「だるっ……」


朝起きて顔を洗いに出るとタイミングが良いのか悪いのか、例の2人に会った。


「おはようございます!」

「おはよう……須賀君」


今の私は顔を引きつかせてないだろうか?

確認したくても出来ないのがもどかしい。


「ほら、姫子」

「んっ~~…ふぁ、おふぁようございます」

「……うん、おはよう」


彼は眠そうに自分の手に抱きつき捕まっている新道寺の2大エースの鶴田姫子を支えた。

その手は優しく軽く頭を撫でられると鶴田さんは嬉しそうに頬を腕に摺り寄せる。


「見てるだけで顔真っ赤になるんだけど」

「あ~~……」


隣に居た胡桃が暑そうにし顔を仰いだ。

更にその隣に居たシロは何時も以上にダルそうな声を挙げている。

私達宮守女子は女子高校だ、碌に男性と触れ合わないせいかこういうのに耐性がなかった。


「京太郎♪」

「おはよう姫子」

「おはよう」


「わ!わ!朝からすごいよ!」

「フツウジャナイ?」

「………(またかー!)」


ある程度覚醒したのだろう鶴田さんがバッチリとした目を開き須賀君を確認すると甘えるような声を出した。

そして……その場で口付けを交わす。

豊音は両手で顔を隠すもしっかりと興味津々に隙間から見ている。

逆にエイスリンは外国生まれのせいか慣れているみたいだ。

私としては勘弁してほしい。

そして………最後に一番困るのが……。


「あん♪」

「声大きいんだけど……」

「えー……んっ♪」


(微妙に聞こえてくるんですけどー!!!)


彼氏彼女なら当たり前の行為だろう、だが少しばかり配慮して欲しい。

千里山や有珠山、龍門渕と言った一緒に住んでいた人達が何故避けるのか身をもって体験する。


(彼氏いない私達は何処で発散すればいいの!?)


私達だって女性だしそういうのに興味もあるお年頃だ。

だが、お相手がいない私達にどうしろというのだろうか。

今日も今日で鶴田さんの喘ぎ声を聞いてしまい顔を真っ赤にさせ体を火照らせ行き場のない熱に困るのだった。


<勘弁しろよ!バカップル! カンッ>



69日目-朝-快晴 


智美「わはは……またぶつかったぞ」

京太郎「何でこの人免許取れたんだ」

由暉子「きゅ~……」


ぶつけた頭を手で撫でつつ辺りを見渡す。

一緒に来た煌に哩と由暉子の3人もそれぞれ車の中で引っくり返っていた。

見えてはいけないものもチラホラと見えるが頭の中で姫子と哩を思い出し我慢する。

………あぁ、哩のは見てもいいのか。


哩「………何考えてっか判っとっとよ」

京太郎「えー……」


哩の声に振り向くと既に服装を整えている哩が目に入る。

残念そうな声をだすと哩はいつもこれ以上の見ているくせにと言うが違うのだ。

それはそれこれはこれだ、と言っても理解してもらえないだろう。


智美「それじゃここら辺をぶらぶらと……」

煌「熊に会いますよ?」

智美「わはは……大人しく拠点に戻るか」


智美は引きつった笑顔を浮かべ車を動かすとそのまま来た道を戻っていった。

ここは元の拠点に近い場所だ、用心に越したことはない。

全員を見渡し準備が整っている事を確かめてから船を登っていく。

登ると言っても船はデッキ部分以外砂に埋もれている、手を伸ばせばすぐにデッキだ。

撮り合えず、荷物を前の休憩室に置いてから船長室へと足を向けた。




煌「どうですか?」

京太郎「問題なく動いてる」

由暉子「よかったです」


船長室で信号を確かめると問題なく動いていた。

ただ、1つだけ気になることも出来てしまった。


哩「どげんしたと」

京太郎「電気が……な」


予備の電力を使っていたがだいぶ消費され残り僅かとなっている。

それを皆に伝えると全員が全員どうしたものかと悩んでしまう。


煌「うーん……予備ってことは元の発電システムはあるんですよね?」

京太郎「見る限り在りますね」

煌「それは動かないのでしょうか?」

京太郎「うーん」


煌の言葉に考える。

一度は沈んだ船だ、水に濡れた形跡はないが一度でも濡れていたら駄目になってそうだ。

それでも確認して見るのもいいかも知れないなと思い、地図を確かめる。


京太郎「機関室か……どうしようか」


機関室に行ってみてもいいし、他に行きたい所があったらそちらを優先しても良いかもしれない。


京太郎(今回は目的もはたしてるし自由に動けるな)




<機関室へ>


京太郎「機関室かな」

哩「行くか」

煌「レッツラゴーです!」

由暉子「ごー!」


呟くと後ろで地図を覗いていた哩が返事を返してくれた。

その言葉に煌が手を挙げ張り切ると由暉子もマネをした。


京太郎(由暉子ってあんな子だったかな)

由暉子「~♪」


ほとんど由暉子と言う人物を知らないが大人しい性格と思っていた。

だが、今の由暉子は元気にハイテンションで楽しんでいる。

船が好きなのだろうか?





<廊下>


京太郎「………っ!」


廊下を歩いていると後ろから気配を感じる。

前と同じく何者かの気配が自分達を着けて来ていた。


京太郎「またか……だっ…「誰でしょうか!」……ちょっと!?」


京太郎が振り向くより先に煌が持ち前の能力で駆け出す。

その速さは京太郎の声を置き去りにし風だけが残った。




煌「ありゃ……うーん?」

哩「煌?」


曲がり角を曲がった煌が不思議そうな声を出す。

不思議に思い皆で一緒に煌を迎えに行くと煌は曲がり角の先で首を傾げていた。

声をかけ近寄ると更に不思議そうな表情をした。


煌「誰かにぶつかったような気がしたんですけど……誰もいないんですよね」

京太郎「うーん?」

由暉子「幽霊ですかね!」

哩「気のせんやね」


煌は不思議がり由暉子は喜び、哩は興味なさげだ。

特に何かがあるわけでもなく機関室へと進んでいく事にした。


<機関室>


京太郎「さてと……どれだろう」

哩「判らんね」

煌「こういうのはさっぱりです」

由暉子「オカルトとかなら力に慣れるんですが」


機関室へ来るもどれがどれの機械なのかが判らない。

取り合えず、それらしき物を探そうとなり辺りを探索することにした。


京太郎「これっぽいな」

哩「……判っと?」

京太郎「わかんねー」


見つけたはいいものの使い方がさっぱり判らなかった。

ヘタに弄って壊してもしょうがないと諦め、機械に詳しい人を連れて来ようと思った。


煌「おや?」

哩「煌?」


どうしようかと悩んでいると煌が何やらドアのほうへと視線を合わせる。

何だろうかと思っていて前の出来事を思い出す。





ガンッ ガン     ガンガンガンガンガンガン  ガンガンガンガンガンガ

        ガン      ドタタタ


ダダダダダダ  

           ガンガン


ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン


                           ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン


           ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン



   ダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダンダン





慌ててドアの鍵を閉め離れる、その瞬間大きな音が聞こえドアの前に着くと何度も何度も叩く音が着こえてくる。

一瞬にして空気が変わり唾がのど元をすぎる音さえ聞こえて来るほどの静寂が降りた。


京太郎「………っ」


由暉子「えいっ」

京太郎「は?」


後ろから青白い光が漏れだし京太郎を照らす。

その光を見ようと後ろを見ると由暉子の左手が青白く光を帯びている。

よく見れば掌の甲に紋章らしきものが見えた。

それを翳すと扉へと向ける、その光は真っ直ぐに伸びていきドアに当たると呻き声が聞こえた。


京太郎「なにそれ」

由暉子「さー?1日1回光るときがあるんですけど……神のお導きでしょうか」


由暉子は青白い光を放つ手をじろじろと見ながらも嬉しそうにする。


由暉子「かっこよくありません?」

京太郎「かっこいいけど……」

煌「誰もいませんね」

哩「んー……不審者かな」


気付けば煌と哩が扉を開け外を調べていた。

何もいないようだ。



京太郎「さてと…どうしようかね」

哩「やっ事なくなったな」

煌「んー……?」

由暉子「案外何もなくてしょんぼりです」


いっぱいあった様な気がするのは俺だけだろうか。

なにやら人選を間違った気もしないでもない。


京太郎(………どうしようかな)

<室内プール>


京太郎「誰もいねーな」

哩「居たら居たらでどげんすっと」

京太郎「それもそうだな」


プールに着いて辺りを確認するも何もなく不気味な静けさだけが残っていた。

ここも少し前までは人が多く居て賑わっていた場所だと思うと少しばかり寂しい気持ちになる。


由暉子「ここを拠点にするのもいいかも知れませんね」

煌「う~ん、電気が使えて、京太郎君の拠点を此方の前に持ってくれば完璧ですね」

京太郎「……それもありかな」

哩「取り合えず船ば使えっようにせんと」

京太郎「その為にも電気系統と熊かね」


未だに京太郎は熊と戦闘を行なっていない。

どれほどの脅威なのか知るべきなのかもしれないと思いついた。


哩「駄目」

京太郎「………判る?」

哩「んっ、行かせん」


そんな事を思っていると哩がぎゅっと京太郎を逃がさないとばかりに手を握ってきた。

……断言されたら無理するわけにもいかない。

出来る限り無茶をしない方向でいこうと決める。





京太郎「……全てが終わったらさ、プール行きたいな」

哩「……皆で?」

京太郎「……哩と姫子と」

哩「……馬鹿」


それだけ呟くと哩は手を放し水で遊んでいる二人の下へと歩いていった。


京太郎「駄目だったかな」


握られていた手を見つつ上へと翳すも天井が邪魔をして透けて見えなかった。





京太郎(………どうしようかな)



<特等室>

京太郎「駄目だ、鍵がかかってる」

煌「これは硬いですね」

哩「特等室やけん」

由暉子「厳重ですね」


特等室へと来るも鍵がかかっていて開けれなくなっていた。

扉も頑丈で壊すのには一苦労しそうだ。

現に全力で殴った煌が掌をぶらぶらと痛そうに振っている。

ここを調べるには姫子の力が必要だと思い、その場を後にした。


探索を終了します。




<休憩室>


京太郎「取り合えず……現状で判った事は」


1:信号を送る電力が少ししかない
2:機械室に発電機がある物の機械に詳しい人が必要
3:プールは特に異常なし
4:特等室を開けるには姫子が必要
5:廊下と機関室の現象が止んだ


哩「やね」

煌「んーお役に立てずスミマセン」

京太郎「やー……謝る事では」


煌が申し訳なさそうにするも煌のせいではない。

頭をなんとか上げさせると交換交換でベッドで寝てから車に乗り拠点へと戻った。


<宮守と交流>


京太郎「どうも」

塞「………」


歩いていると宮守の人達と出会ったので挨拶をかわす。

かわすと何やら皆して辺りを見渡し誰もいない事を確認するとほっと息をついた。

なんだろうか、誰か会いたくない人でもいるのだろうか?


京太郎「えーと」

胡桃「気にしないで」

白望「あー………今日はか、もが」

塞「何でもないよ」

京太郎「はぁ…?」


何が何やら意味が判らない。

不思議そうにしていると白望さんが塞さんに口を塞がれた。

一体彼女は何を伝えようとしたのだろうか……謎だ。


豊音「お風呂入らないの?」

京太郎「まだ入ってる人もいるので」

エイスリン「ナガブロ?」人が風呂に入っている絵

京太郎「ですです、姫子とか長いから」


絵を描いて見せてくるエイスリンにほっこりとしながら答える。

そんな会話をしていると何やら宮守メンバーが集まり話し合う。

……さっきからなんだろ、何かしたかなと考えるも特に思い浮かばない。


塞「以外だね」

胡桃「一緒に入らないんだ」

豊音「あっつあつなのにねー」

白望「だる……入ってるときに来られても困るけど」

エイスリン「ん!」牢屋に入っている京太郎の絵



京太郎「……なんなんだろうか」


首を傾げるも謎は解けそうにない。



<哩姫と会話>


姫子「部長、どうでした」

哩「んー……特に何も」

京太郎「………」


湯上りに少しばかり体を冷やす為、外にシートを引き座っていると会話が始まった。

内容は今日の船の事だ。


姫子「こう……幽霊とか」

哩「いや、何も居なかった」

京太郎(いや、心霊現象はあったんだけど)


廊下の出来事に機関室での出来事は哩の頭の中から抜け落ちているようだ。

以外にホラーとかに強いのだろうか。


京太郎「……哩ってホラー系に強い?」

哩「?」


言っている意味がよく判らないのか脈絡なく言ったせいか首を傾げられる。

仕方がなくもう一度しっかりと説明し伝えるも同じように返された。

………からかわれているのだろうか?




哩「………ひゅーひゅー」

京太郎「いや……吹けてないし、なんで視線を逸らす」

姫子「部長はホラーとか駄目やけん」

京太郎「は?」


姫子の言葉に目が点となった。

船であれほど冷静に動いていた哩がホラーを苦手としている?

何の冗談だろうか。


姫子「正確には作り物が駄目やね」

京太郎「なんじゃそりゃ」

哩「……本物なんか居らんし」

姫子「本物は根っこから信じてなか、作り物とかは見た目で駄目」

哩「………」

京太郎「………どちらにしろ本物に会ったら駄目じゃね?」

姫子「駄目だと思う」

哩「本物なんて、い、いなか」


じーと見ているとそそくさと立ち去ってしまった。

どっちにしろ船の中では哩は役に立ちそうにない。


京太郎「……船は姫子担当かね」

姫子「泣いてよか?」

京太郎「泣いても連れて行くけどな」

姫子「oh………部長恨むとです」

<怜の一周占い>


怜「でれでれでれでれで~ん♪」

京太郎「………」

怜「おきのどくですがぼうけんのしょは、ばくはしました」

京太郎「木っ端微塵!?」

怜「勇者京……太郎やっけ?」

京太郎「しっかり覚えてあげて、王様」

怜「残念!魔王や」

京太郎「魔王にすらしっかりとおぼえられてない勇者ぇ……で気が済んだ?」

怜「うん。なんかようか?」


助言が欲しくて怜の部屋まで来たのだが来た瞬間これだ。

布団に入りながらもこれだけボケをかませるなら元気なのだろう。


京太郎「助言が欲しくて」

怜「助言……な、どれの助言が欲しいん?」

<熊についての助言>

京太郎「赤カブトをどうにかしたい」

怜「熊達か……ん~……熊といえば犬やね」

京太郎「いきなりなんだ」


脈絡なく怜が犬を連呼した。

何か意味があるのだろうか。


怜「セーラが犬飼ってたなと」

京太郎「へー……それがどう関係するんだ?」

怜「セーラが……ぐー」

京太郎「寝るのかよ」


すぴーと寝始めた怜を見てどうしようか悩んでいると薄っすらと目を開けている怜と目が合った。

……無駄に元気だ。


怜「取り合えずセーラに話を聞いてみるとええな。オオカミにも会ってるし問題ないやろ」

京太郎「…なんでそのことを?」

怜「膝枕って便利なんよ?」

京太郎「意味判らん」


怜「まぁ熊はそないなもんで……まだ占い聞く?」


<やめておく>

京太郎「いや、いい。体力使わせた俺が言うのもなんだけど体大事にな」

怜「こんぐらい平気や、大事な人達の為に命を削るなら本望や」

京太郎「………」

怜「死ぬ気はないで~?」

京太郎「死んだら困る」

怜「……友達として?」

京太郎「友達として」


怜の言葉に迷わず頷く、それを怜は呆れながら嬉しそうし同じく頷いてくれた。


怜「でもいざって時はここ着てな」

京太郎「助言以外にも遊びに来るよ」

怜「それもええな、いっぱい来てな。ほなな~」


怜と別れ頭の中で助言を確認して眠りに就いた。



棘に覆われた植物のドームの周りを熊達が囲む。

熊と言っても全てが大きく小さいものでも4Mほどあった。

それが十頭近く居りうろついている。


そのうちの一頭が植物に近づくとぶしゅっと何かが弾ける音がして植物が弾ける。

弾けた植物からは煙が立ち熊はすぐに離れた。

どうやら毒性の物らしく迂闊に近寄れない。


この中から人の臭いがするのに破れず苛立ちだけが募っていく。

それでも諦められないのかうろついていると一番大きな固体が鋭く鳴いた。

その鳴き声にどんな意味が込められているか判らないが声に反応し熊が動き出す。

近くの一番大きな木を引っかき叩き折るとゆっくりと植物へと倒れた。


その1本では駄目だったのか少しばかり弛む程度で終わってしまう。

それでも先ほどより植物が崩れている。

後はこれを繰り返せばいい……赤カブトは森へと向かうと手ごろな木を引っ張ってくるのであった。




<仁美と美子と食料調達>

京太郎「結構時間くうな」

仁美「何処に何があっか知らないから」

美子「こっちに果物の木があるね」


前と違い、何処に何かあるか判らず時間ばかりがなくなっていく。

悪戦苦闘しながらも何とか集め終えることができた。

こればかりは2人が居て助かった。


京太郎「ほい」

仁美「いいの?」

京太郎「1個ぐらいな」

美子「うん、美味いね」


木下の木陰で足を休めている2人にヤシの実を開け渡す。

そして京太郎自身、仁美の隣に座った。

時折ふく風が動いたせいで暑くなった体の熱を奪っていった。


京太郎「ここだけだと平和だな」

仁美「ん、チュー」

美子「飲み過ぎだよ?」


そよ風に揺られながらのんびりと3人で過ごした。



<森で道具を探す>


京太郎「………」


ざぁざぁと草木が擦れる音が聞こえてくる。

木材を集めている時にふっと上を見上げた。

緑々しい草木が空を覆い青色の天井を作り上げていた。


京太郎「………」


上を見ていると何処となく寂しい気持ちになってしまった。

今思えば1人になるのは久々だ。

いつも誰かが傍に居てくれたので寂しくなってしまった。


京太郎「帰るか」


木材を集めると早々に切り上げ騒がしい拠点へと戻っていった。



<姫子に話を聞く>


京太郎「そういえば……昼間は何してたんだ?」

姫子「………」


お風呂から上がった京太郎に素早く抱き付く姫子を撫でながら聞いてみた。

拠点から戻ると何やらちょっとした騒ぎになっていたのを思い出す。

姫子と淡が……と耳にした。

気になり聞いてみると擦り寄っていた姫子がビシリと固まった。


京太郎「姫子?」

姫子「……大星ん奴め」


ボソリと呟いた声は冷え切っていて恐ろしさが伝わってきた。

姫子の手に力が入って痛い。

事の始まりは姫子と淡が鉢合わせた事からだった。




淡「あっ」

姫子「大星?」


2人は鉢合わせるやいなや、お互いに距離を取った。

元々準決勝で戦った相手だ。

新道寺は負け、白糸台は勝った、そんな間柄であった為2人の間の空気は悪い。


淡「ねぇ……」

姫子「………!」


意外にも最初に会話を持ちかけたのは淡からだった。

喋らず通り過ぎようとしていた姫子の背に声をかける。

驚いて後ろを振り向くと淡はニヤニヤと笑っていた。

何がおかしいのだろうか?


姫子「なに?」

淡「私と京太郎って同じ金髪でしょ?」

姫子「?」


意味が判らない、確かに京太郎と大星は同じ髪色だ。


淡「これって運命だよねー♪」

姫子「………!」


自分の中でぴきっと音が鳴ったのを聞いた。

頭の中で何かが切れ、手が自然と腰元へと伸びた。



姫子「運命……ありえなか」

淡「そうかな?」

姫子「お前ば選ばず、私ば選んだ事が何よりと証拠やけん」

淡「………」


勝ち誇る姫子に今度は淡がムっとした。

姫子から見ても先ほどの余裕がなく頬を膨らませている。


淡「ふ、ふん、私の方が胸が大きいもんね!!」

姫子「………っ!」


淡が胸を自慢するように押し上げた。

それを見て更に自分の中で何かが切れる。

本気で盗ろうとしているのだろうか?


姫子「本気……か?」

淡「やるの?」


姫子の呟きに淡は髪をうねらせ、姫子は座った目で腰にあった物を手に取る。

そして………。




「なにをしているっ!」

淡「あわーー!?!」

「姫子も」

姫子「ふみゃ!?」


淡の頭に菫の拳が落ち、姫子は後ろから美子に首元を掴まれた。

頭がと痛がる淡が転げ回り、それを見た姫子は呆れ熱が引いて行った。


菫「こいつがすまない」

姫子「別によか、私も大人げなんやった」

美子「お互い様ってことで」

淡「いたーい!いたた!」


姫子と美子はそのまま立ち去り、地面に横たわる菫と淡だけが残った。






美子「それ本当に撃つ気だったの?」

姫子「ん~」


美子に聞かれ姫子は手に持っていた物を改めて眺める。

手には黒を主体に所々に金色の細工がされている拳銃が握られていた。


姫子「試したか事あったけん抜いたけど撃つ気はなかとです」

美子「あまり人前で抜かないでね?」

姫子「あいあいさー!」


そう言って姫子は握っていた銃をホルスターに戻すと一撫でする。

すると金色に装飾されていた所が動き姫子の手に収まると1つの鍵になった。

実験は成功だった。


姫子(こいでもっともっと京太郎ん役に立てる)


姫子は先ほどの件を忘れ機嫌良く拠点へと戻って行った。



姫子「って事があった」

京太郎「………頭痛い」

姫子「大丈夫?」


姫子の話を聞き終えると頭が痛くなってきた。

抑えていると姫子は心配そうに頭を撫でて来るが原因は姫子なのだ。


京太郎「あまり心配かけんな」

姫子「あいあい♪」


後で白糸台に謝りに行かなければと思いつつ姫子の頭を撫でる。

撫でられた姫子は嬉しそうに頬を緩ますのだった。




  • 白糸台-

菫「まったく、お前がハンドサインで助けを呼んだと思ったら」

淡「えへへ……結構やばかった」

菫「そんなにか?」

淡「うん」


菫の問いに淡は真面目な顔を作り頷く。

姫子が居たので実力を調べる為に煽ったが予想以上だった。

あのまま撃たれたら自分のオカルトでは防げなかっただろう。


淡「動きとオカルトを封じられた」

菫「それは………」

淡「素人でもあの距離で動きが止まった相手なら当てられるよね」

菫「鶴田……姫子か、要注意だな」

淡「だねー♪」




<哩と会話>

京太郎「はぁ……」

哩「姫子ん事?」

京太郎「あぁ…」


外で涼んでいると後ろからぎゅっと抱きしめられた。

そして考えている事を当てられる。


哩「ん~人が多くなったからな」

京太郎「……合わない人も出てくるか」

哩「なるべくお互いに刺激しあわなかほうがよかね」

京太郎「部長達にも伝えておかないとな」

哩「こっちからも言っとく」

京太郎「頼む」


何か考えないといけないかなと思っているとぎゅーと力を入れられた。

苦しさと温もりを味わいながら考え直す。


京太郎「……俺が考えなくてもいいか」

哩「んっ、人ん事は任せとけ」

京太郎「おう」


他の人達を纏めるのは他の部長に任せよう。

抱えすぎて潰れるのはごめんだ。

哩のぬくもりを感じながらゆっくりと目を閉じた。


<大人達を調べる>

京太郎「大人達はどうなってるんだろうか」

姫子「あー……」


皆で集まり話し合っていると思い出し呟いた。

他の人も思い出したかのように顔を見合わせる。


哩「んー……」

姫子「全滅とですかね?」

美子「それは……」

煌「ありえなくはないですかね?」

仁美「一番大きい」

京太郎「1度見に行くか」


提案をしてみると姫子達は考えて考えて静かに頷いた。


京太郎(……熊に襲われたかも知れないと言うことから熊に会うかもしれない)

京太郎(ここは戦闘メインのメンバーで行くか、それとも探索メインで行くか)

京太郎(さぁ―――どうしようか)



京太郎「出来れば…セーラさんと爽さんに明華さんでお願いしたいのですが」

セーラ「俺はええで」

爽「う~ん、怪我治ったばかりだから戦闘は無理だぞ?」

京太郎「そうか……そうだった」

爽「一応フォローできるから後ろは任せろ」

京太郎「お願いします」

明華「……(どうしましょう)」


明華は京太郎を見つつ考える。

彼とは親しいわけではない、彼の性格上別に断っても嫌な顔はされないだろう。


明華「私は―――」



明華「一緒に行きます。私のオカルトならすぐに逃げれますから戦闘は避けれます」

京太郎「ありがとうございます!」


気付けばそんな事を言っていた。

なんとなく信用できると勘が告げている。

何より、彼を危ない目に合わせると黙っていない人も多そうだ。


71日目-元大人の集落-


京太郎「これは……」

セーラ「むごいな」

爽「うげ……」

明華「………」


明華の風に乗り大人の集落があった所へと向かい降り立つと悲惨な光景が目の前に現れた。

小屋は無残にも壊され所々に黒い染みが多くついている。

辺りを見渡していくと布着れや生活の跡が所々に残ったままだ。

遺体こそないが何があったかは見ればわかる。


京太郎「生存者はなし」

明華「やはり襲われたみたいですね」

爽「熊は怖いなー」

セーラ「んー……本当に漫画に出てくる赤カブト見たいな奴等やな」


4人でかたまり見て回っているとセーラが気になる発言をした。

漫画に出てくるとはどういうことだろうか?


京太郎「漫画って……?」

セーラ「なんや、京太郎は見たことないんか」

京太郎「漫画に出てくるんですか?」

セーラ「せやせや、丸っきりそのまんまで驚いたわ」

京太郎「………」


からからと笑うセーラを横目に考える。

赤カブトは漫画に出てくる熊だとセーラは言った。

となると元は存在しない生物のようだ。


京太郎(ポっと現れた想像上の生物に日本に居ない生物達…これは)


『GAAAAAAAAAAAAAAAAAA』



爽「やー……見つかったね」

セーラ「やばっ……逃げんで!」

明華「早くこっちに!」

京太郎「くそっ!あと少しなのに!!」


結論が出そうな時に襲撃に合ってしまった。

焦る3人の元へと走るとそのまま飛び込むように足を踏み入れた。

するとふわっと重力から開放された妙な感覚を味わい空へと舞い上がる。

見る見るうちに地面から離れ空へと浮かんだ。


その瞬間森から大きな熊が現れた。

熊は暴れに暴れ、京太郎達を見ずにのた打ち回る。


京太郎「なんだろう?」

セーラ「俺らを追ってきた訳ではなさそうやな」


全員が全員その熊を見ていると………。


京太郎「おいおい……」

爽「やー……バイオハザードだね」


顔を青くしながらそんな事を爽が呟く。

いつも元気な爽もあの光景を見てると元気もでないらしい。

熊のお腹の部分が裂け人が出てきたのだ。

お腹から腕がない者、顔が半分欠けている者などが次々と出てくる。

次第に数が増え合計5人ほどのゾンビが出現した。


明華「大人……達でしょうか?」

「………」


明華の呟きに誰も答えられない。

視線の先ではゾンビが熊を食い散らしかしている。

目も当てられない悲惨な光景が広がっていた。

その後、誰も言葉を発せず無言のまま拠点へと戻っていった。




『………』


戻ってきた4人の言葉に一同は黙り込む。

聞かされた内容が内容なのだ、しょうがない。

そのことを理解している為、京太郎も黙り込み待つ。


久「困ったものね」

哩「むむむ」

ゆみ「ゾンビかー……荒川?」

憩「……何とも言えないんよ。調べなあかんなー」



姫子「……京太郎、京太郎」

京太郎「なんだ」


大人しく話を聞いていると姫子に服を引っ張られ傾く。

姫子のほうに倒れこまないようにバランスを取りつつ傾いたまま話を聞く。


姫子「調べなって何と話し?」

京太郎「あぁ……感染するかしないか調べないとって話だな」

仁美「なるほど……」

美子「時間が惜しいからね」


時間が欲しい為、所々省いている為判りにくい。

なんとか着いていけてる人達で話しを勧めている。

格高校で1人は話に着いていけているから問題ないのだろう。


京太郎「場所が遠いとしてもいずれ此方に来るだろうしな」

煌「噛まれたり、怪我を負わされて感染しないかですね」

京太郎「そういうこと……煌さんも気をつけて不死身とはいえあれはどうなるか判りません」

煌「……感染したら不死身のゾンビが」

姫子「うわーうわー……最悪」

仁美「考えたくないね」

美子「煌ちゃんはすぐに逃げるように」

煌「判りました!」


話は長引くようなので各部長達を残し作業に戻っていった。

心なしか皆の不安が募ったのか空気が悪かった。

<水汲み>

姫子「よいしょ、よいしょ」

京太郎「……気をつけろよ」

姫子「はーい」


よちよちと歩く姫子を見守りつつ自分もまた水を汲んでは運ぶ。

回数も重さもある為、こればかりは京太郎の役目だ。


姫子「はふ……部長達まだお話ししとっとね」

京太郎「そりゃなー……ある意味熊以上に手強い」

姫子「熊よい?」

京太郎「あぁ…空気感染なんかしたら全滅だしね」

姫子「あーあー……」


京太郎の言葉に納得したのか姫子は気まずそうに頷く。


京太郎「ゾンビを駆逐するにしても火が必要だしな」

姫子「火?」

京太郎「腕もぎ取ろうが這いずるからね、燃やして灰にしないと」

姫子「人ば燃やすって何処にそぎゃん火力が」

京太郎「宥さんなら燃えるけど人が足りないしな……酒とかアルコールでもいいかもだけど」

姫子「う~ん、船?」

京太郎「あるかもな」


水汲みをしていても話の内容は其方へと傾いてしまう。

問題なさそうにしていても心の何処かで不安なのだろう。



<哩に内容を聞く>

京太郎「んでどうだった?」

哩「あー…現状維持」

京太郎「まじで?」

哩「正確には力強か人達でゾンビば一体確保やって」


昼間の話が気になって話を聞いてみるとそんな事を言われた。

空気感染は大丈夫なのだろうか?


哩「明華って人が風操っとオカルト持ちやけん、そいで防ぐ」

京太郎「なるほど」


京太郎の心の内を読み取り疑問に答えてくれた。

確かに人を浮かせ運ぶほどの力なら問題ないだろう。


京太郎「メンバーは?」

哩「私に憩、雀明華、宮永姉、東横か」

京太郎「憩は怪我を治したりで明華さんで空気を遮断、照さんで状況を見て哩が鎖で動きを止め桃子の影で運ぶか?」

哩「んっ正解」

京太郎「うーん……」


哩の話を聞いてどうしようかと悩む。

気になるのだが自分が行って何かの役に立つかと言われればない。

それでも気にはなる……さてどうしようか。



<着いていく>

京太郎「俺も着いていっていいか?」

姫子「私も!」

哩「………一応話ばつけっと」


流石に哩の一存では決められないか。

少し残念に思うものの話次第ではついていけそうだ。

暗い話題をそこら辺にしといて普通の話題へと変えて行く。



<セーラと会話>


セーラ「話って何や?」

京太郎「昼間の赤カブトが出てくる内容の漫画を…」

セーラ「あぁ…そういえば途中やったな」


あの時、途中で思考がなくなり終わってしまったので改めて聞きにきた。

自分が一番今の状況を理解しているだろうと自覚している為だ。


セーラ「えーとな…題名は忘れたけど内容は―――」


セーラの口から語られる一匹の犬の物語――

人間の手によって撃たれ脳に障害が起き異常な大きさと凶暴さを得た熊との死闘。

一頭の犬と一頭の熊の戦いのお話――


セーラ「というわけやな」

京太郎「なるほど……」

セーラ「帰ったら読んでみるとええで」

京太郎「そうします」


セーラの話を聞き終え別れると考えを纏める。


京太郎(聞くとまさに一致するな)


他の人との話とセーラから聞いた漫画の内容は同じなのだ。

つまり――

漫画の中の生物――人の記憶だけに存在する生物。

他にも日本に居ない生物もここには存在する。

しかも前者はポっと出て現れた、それこそ行き成り作られたように。


京太郎(………元々おかしかった)


この島は、誰も居ない事から遠の昔に滅んでいるのだ。

なのに何故最近のオカルトが現れた?

ドッペルゲンガー、スレンダーマン、ゾンビだってそうだ。


京太郎(―――つまり)

そういうことなのだろう……たぶん、俺達が流れ着くまではここには最低限の生物しか居なかった。

だが、俺達がここに漂着した時に何者かによって記憶を見られそれを元に生物達が作られていた。


京太郎(とすれば納得できたし、対応策も判った)


つまりは、倒せば言いのだ、壊せばいいのだ―――その相手を。

そうすれば異常な熊もゾンビも消えうせるだろう……たぶん。


京太郎(問題は何故そんな事をするのかってことだ)


漫画とかで言うならば、弱い相手を当てて此方を強くしているようなもの……それに何の意味があるのだろうか。

まだまだ……謎を解くにはヒントが少なすぎる。

京太郎はぎゅっと手を握り締めるとポケットに突っ込み空を見上げた。

雲ひとつない空には満点の星空が広がっている。


京太郎「もう一踏ん張りだ」



怜「パンパカパ~ン!」

京太郎「………」

怜「72日目は晴れやね」

京太郎「………」

怜「それはそうと詫び品の怜ちゃんの一周占い特別編や!」

京太郎「………」

怜「聞きたいことあるー?」

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最終更新:2026年01月14日 21:56