【10月第一週木曜】
一昨日、昨日は多くの方にご心配、ご迷惑をおかけしました。
ご迷惑をおかけした方にはごめんなさい、ご心配くださった方にはありがとうと、この場を借りて述べさせていただきます。
特に、東京から足を運んでくださった方には、特別にお礼を。
無事に帰られたかどうかは、お迎えの方もいらしたので、心配はしていません。その方も、ありがとうございました。
さて、そんなわけで復帰一日目。
気合入れて重箱弁当を作ったはいいが、部活での差し入れで失敗してしまった。それが写真のマドレーヌである。
中にクリームを入れたかったのだが、材料の在庫確認を怠り、クリームの製作を断念せざるを得なかった。
先輩方には病気の間、あれだけ世話になったのに、ただただ後悔するばかりである。
挙句、帰りには皆さんに、買い物まで付き合っていただいた。本当になんとお礼を言えばいいか。
その際、ある先輩から課題を提示された。解けるまでは補習を命じられている、なかなか厳しい先輩だ。
とはいえ、皆さんは優しい先輩ということに疑いはない。
明日からは今日のような失敗がないよう、尽くしていく所存である。
それともう一つ。電話でも伝えたけれど、今日は俺の大切な友人の誕生日です。
この場でももう一度、お祝いを伝えたい。
誕生日おめでとう。
…………
ふぅ……あまり反省ばかりしていると、後悔ばかりで学習のないやつと思われてしまう。
明日はなんとか、上手くいった報告をしたいものだ。
『うちのバカが大変迷惑をかけた。二度はないように注意する、どうか許していただきたい』
『わたしはなにもわるくないすみれはうるさ――』
『お前は黙ってろ。そして反省しろ。今月はドラフト会議だというのに、いつまで落ち着きがないんだ』
いや、あの、ケンカしないでください……まぁ、弘世さんの気持ちもわかるが。
『あのねぇ、ああいうのは失敗って言わないの』
『そうだよ。あんまりそんなことばっかり言ってると、却って嫌味に聞こえるからね?』
普通の後輩ならそうかもしれない、けど……執事として派遣されている以上、最低限の執事レベルはこなさないといけないはずだ。
あれ、マネージャーだったか? ともかく、失敗なんてもってのほかなんだ!
とはいえ、先輩方の忠告は胸に留めておこう。ありがとうございます。
『和の誕生日だよね! 私たちもメールしたよ!』
『で、執事さんはメール以外にもなにかしてあげたのかな~? 和、寂しがってんじゃないの?』
『ななっ、な、なにを言いだすんですか! そんなオカルトあり得ません!』
その持ちネタはバレるぞ、和……。
『マドレーヌいいなぁ……早くうちでも作ってよ』
? 誰かわかんないけど、オファーくれてる学校かな。行けたらいいんだけど、上手く行けるかはわからないからなぁ。
――――――――
~清澄
「和ちゃん、京ちゃんから電話あったの?」
「え、ええ……やっぱりお誕生日だからと、気を遣ってくださったみたいで……咲さんも、今月お誕生日ですよね?」
「う、うん、そうだけど……えへへ、電話くれるのかなぁ」
「へっへー、私も先月メールもらったじぇ! ま、犬が主人の誕生日を忘れるはずないけどな!」
※送ったという設定です、なお好感度変動はなし
「……優希、あまり京太郎くんをそういう風に言うのは……」
「お、おぉ、そうだったじぇ……つい、クセで……ごめんだじぇ」
「私に謝ることはありませんが……とにかく、彼の前では口にしないようにしましょうね」
「……和ちゃん、京ちゃんのこと気にかけてるよね、前よりも……」
~白糸台
「ほんとにお前は! お前というやつはっ……金輪際、知らない土地に一人で出かけるな!」
「何度も言うけどちゃんと着いたから。迎えだって、別に頼んでない」
「あの宮永先輩、ちょっと……」
「なに誠子。いま邪魔しようとすると、特打ち十試合じゃ済まさない」
「いいから、ちょっと! 来てくださいって……」
「おい待て、亦野! まだ話は――」
「先輩はこっちです、少し冷静になってください……いつもの先輩らしくありません」
「先輩が怒るのもわかります。だけど、弘世先輩はおそらく、先輩が京太郎くんを心配するのと同じくらい、先輩を心配してたんです」
「っ……そんなの、余計なお世話……」
「だったら、実際に迷子で、あの人の手を煩わせた回数を数えてください。それを数えてなお、余計なお世話と言われるのでしたら、私はもう気にしません」
「――ただ、それを先輩が京太郎くんに言われたらどう思うか、それも考えていただきたいですが」
「っっ! 誠子、あなたっ……」
「い、言っておきますけどね、殴られたって意見は変えませんよ!」
「…………っっ」
「………………」
「……いや、いい……このことは、また話そう……」
(……心臓止まるかと思った……)
「お疲れ、誠子」
「そっちはどうだった、尭深」
「まぁ、なんとか……あとは先輩方の話」
「手のかかる先輩方だよ、ほんとに……まぁ、それ以上に世話になったから、文句なんてないけどさ」
「菫」
「なんだ……」
「……その……確かに、迷惑をかけたとは思ってる……ありがとう……」
「……そこはごめんだろう……まぁいい、私も少し構いすぎた……一年からの付き合いだからな、癖になっているんだ」
「そうだね、もうお互い三年だよ……」
「あぁ、いい加減、後輩に面倒はかけないようにしよう。お互いにな」
「そうだね……じゃあ、なにかあったら麻雀で決着つけよう。とりあえず今日は、誠子も入れて三人で」
「――だそうだ、亦野。卓について待っていろ」
「えっ」
「頑張って、誠子」
「えっ」
~永水
「今月の誕生日は……誰もいないわねぇ」
「十曽の湧がそうですよー」
「明星に聞いたけど、彼も二人の誕生日までは知らないそうよ」
「あの、それはそうと春ちゃんが……」
「……えへ、えへへ……っっ……///」
「な、なにか悪い物でも食べちゃったんでしょうか!」
「……あれは、まさか……」
「京太郎くんに、電話でももらったのかしらねぇ……ちょっと詳しく話を聞きたいわ」
~某居酒屋
「で? そろそろ口を割って欲しいんだけど? 誰が熊倉先生のいる岩手にまで行ったのかなぁ?」
「はやりは知らないぞっ☆ どうせお山にコネのある良子ちゃんでしょ? 従妹ちゃんも連れてったのかな?」
「前科!」プンプン
「いや、強者との対局を隠していたのは事実ですが……今回は本当に知らない、ノータッチです」
「じゃあ、咏ちゃんかなっ☆ 前に言ってたよね、ばったり会うかもって☆」
「いや、そりゃこっちで偶然~って話で……それに、大沼のじーちゃんもいそうなんでしょ? トシさんはいいけど、あっちは苦手なもんで~」
「――というか、気になるなら聞いてみたらどうなんです。彼の連絡先、知っているんでしょう?」
「できるわけないでしょ!」
「そうだぞっ☆ 彼女でもない女に素行問われるなんて、負担もいいとこなんだから!」
「迷惑!」
(妙なとこで分別あるよなぁ、この人たち……あぁ、以前迷惑かけたのが尾を引いてるのか)
「うぅ~、こんなことなら熊倉先生なんて気にせず、行っちゃえばよかったよ……でもなぁ……」
「見つかったら最後だよねっ☆」
「生き地獄!」
「ならもうずっと悩んでればいいじゃないですか……っていうか、毎度私も呼ぶのやめてくださいよ……」
「いい加減、私もなんだよねい……ま、けど実際のとこ、彼に興味は湧いてきたかもねー、わっかんねーけど」
京太郎「……昨夜は和とすっげー恥ずかしい約束をしたような……」
京太郎「あれ? これマジで? 夢じゃない? もしかして脈ありなのか!?」
京太郎「……なんて、以前までの俺ならはしゃいでるとこだが、いまは違う」
京太郎「派遣執事の俺に、そんな欲求なんて……(おもち)……欲求、なんて……」
京太郎「ふぅ……もう毎朝のことだけど、自分の分とシロ先輩の分、わけて用意するのもなぁ……」
白望の部屋
京太郎「おはようございます、今日は和食ですよ。魚、大丈夫ですか?」
シロ「うん……おはよう」
京太郎「すみません、気持ちよさそうに寝てたので、起こせなくて……」
シロ「いいよ……シャワー、浴びて来るね……」
京太郎「はい、出てくる頃には温かい物がおだしできると思いますので」
シロ(……意識されてないのかなぁ……あれ、思ったよりショックだ……)
シロ「お待たせ……」
京太郎「はい、それじゃ朝食に――」
シロ「どうして前かがみなの?」
京太郎「!? や、やだなぁ、そんなことは――」
シロ「うん。そんなことないよ。だけど……ま、いいか……」ダル
シロ「食べよ。お腹空いた」クゥ
京太郎「は、はい……」
シロ(……よかった……)
京太郎「お弁当、落とさないでくださいね」
シロ「そこまで子供じゃないよ……」
京太郎「じゃ、行きましょうか。部屋の鍵、忘れないでくださいね」
シロ(お母さんよりうるさいなぁ……優しいけど)
シロ「……ねぇ」
京太郎「はい?」
シロ「毎朝来てたら、ほかの皆に登校で会えないよ?」
京太郎「そうですね。それは残念ですけど……」
京太郎「シロ先輩のお世話ができるなら、俺はそれで構いません」
シロ(結婚したい……)
シロ「……いこっか」
京太郎「はい!」
シロ(……かわいい)
京太郎「大丈夫かなぁ、シロ先輩……お弁当なくしてないかな……」
モブ子「おめー過保護すぎんよ~。ちょっと落ち着けや、な?」
京太郎「いや違うんだって。ほら、シロ先輩ってなんか毎食お昼に誘う、ファンみたいな人いるじゃん」
モブ子「あー、いたねー。でも関係ないんじゃん? シロ先輩も、たまにしか受けないっぽいし」
京太郎「でも、俺の弁当のせいだって思われたら……」
モブ子(基本なんでもできんのに、こいつなんで小心者なんだろ……)
京太郎「あ、塞先輩。お昼はこちらですか?」
塞「ふぇっ!? あ、ああ、うん、そうなの……こんちは、きょ、京太郎くん」
京太郎「はい、こんにちは」
塞(名前呼びも呼ばれも慣れてないんだから、不意打ちしないでよっ///)
京太郎「えっと、すみません、お邪魔でなかったらご一緒しても……」
塞「いいよー。けど、あとでクラスの友達くるから……覚悟はしといてね」
京太郎「えっ」
「お待たー、あれ、男子? なんで? っていうか執事!?」
「ほら、あれっしょー? 麻雀部の新鋭」
「へー、結構イケメンなんだ……」
「ねーねー、名前なんていうのー?」
京太郎「あ、えーっと、はは、よ、よろしくお願いします……須賀京太郎です……」
京太郎「あ、あの、塞先輩……」
塞「なに?」ニコニコ
「うーわー、塞のこと名前で呼んでんの?」
「意味深、ちょー意味深じゃん!」
「イケメンとおばーちゃんのカプ……ありね!」
「ねーねー、髪は染めてんの? 地毛?」
京太郎「俺はパンダかなんかですか?」
塞「覚悟しなさいって言ったでしょ」シーラナイ
塞「ふふっ、まぁ美人の先輩とお昼できるなら、安いもんでしょ?」
京太郎(ま、まぁそうだが……いや、そうだ! ここは後輩として、先輩に恥をかかせられない!)
京太郎「えっと……どうもお見苦しいところを」
京太郎「あらためまして、こんにちは。麻雀部でご指導いただいてます、須賀京太郎と申します」
京太郎「お近づきの印と言ってはなんですが――どうぞ」
「!?」
「クッキー!? お茶!? どこから!?」
「おいしっ、焼き立てだし、なぜか!」
「ねーねー、どうやって作るの、レシピはー?」
京太郎「……執事ですから」ニッコリ
「」ポカーン ×4
塞「…………」カァー
京太郎(あ、あれ? 完璧だと思ったんだけど……)チラッ
塞(……止めなかったのは悪いと思うけど、巻き込むなんて聞いてないわよっ……)ゴゴゴゴゴ
京太郎(やっべ――)
「す、すごーい!」
京太郎・塞「は?」
「すごいすごーい! ねね、毎日麻雀部でこんなことしてんの?」
京太郎「は、はぁ、一応……」
「うっそ、うらやまー! ねね、塞! あたしらも行ったらおもてなししてもらえんの!?」
塞「えっ!? ど、どうだろ……」
京太郎「もちろんです、どなた様でも大歓迎ですから」
塞(余計なこと言うなっつってんでしょゴルァアアアアアアアアアアアアアアア!)ドスッ
京太郎(ありがとうございます!)
京太郎「その後もキャイキャイと騒がれパンダ気分だったが、塞先輩は諦めたようながら、笑ってくれていた……はず」
京太郎「――なんで俺、あのときお礼なんて言ったんだろ……」
京太郎「変な趣味とかついたらやだなぁ。人に従うとか、虐げられて悦ぶとかゴメンだぞ……」
モブ子「えっ」
京太郎「えっ?」
モブ子「お、おう……」
京太郎「――という会話があったんですが、なにかおかしかったですか?」
五人「」
京太郎「なぜか先輩方から、不憫なものを見る目で見られた……」
京太郎「なんとか挽回できないものか」
京太郎「お二人とも、お疲れさまです。どうぞ」コトン
豊音「わ、ありがとー」
シロ「ありがと……三人は?」
京太郎「コタツに捕まって動けそうにないです」
シロ「四人以上は狭いしなぁ……入れないか……ダルいなぁ……」
豊音「すぐ戻ってくるよー。そのとき交代しようよー」
京太郎「そうですね。それまで勉強しましょう。俺も横でやってていいですか?」
シロ「……ん、どうぞ」
豊音「そっかー、今月末はテストだもんねー。なにかわからないことあれば、教えるよー」
京太郎「ありがとうございます。じゃあ――」
京太郎「じゃあこれなんですけど……」
豊音「うん、いいよー。ここは……あれ?」
京太郎「先輩方のテスト範囲です」
豊音「わ、わたしたちのことはいいよー」
京太郎「いえ、これらの範囲はすでに、師匠から教わってできるようになってますので」
豊音「」
京太郎(びっくりしてる先輩の顔、かわいい)
豊音「す……すごいよー! そういえば、英語だっていっぱい話せるもんね、かっこいいよー!」
京太郎「永水で言われるまで、まったく気づかなかったんです……で、気づいてからも、それを隠すほうが嫌味かと思って」
京太郎「先輩方に聞かれることは、丁寧に説明させていただいてきました。ですから、なにかあれば、遠慮なく聞いてください」
豊音「うん、ありがとー! いまは大丈夫だから、詰まったり、テスト間近になったら教えてねー!」
京太郎「はい、喜んで!」
シロ「……ほんとに? こことかわかる?」
京太郎「お任せください。ええと、ここは……引っかかるの、ここの訳し方じゃありません?」
シロ「まぁ……迷っても、解答には辿りつけないっぽい……選択ならなぁ」ハァ
京太郎「ここは覚えるしかないと思います。ここが熟語になってますから。で、前後の単語と繋げると――こう」
シロ「……っ……ここは? あと、ここも」
京太郎「ええと、ここは……で、これは……」
豊音「……はっ! だ、だめだよー、いくら教えてくれるからって、ちゃんと考えないとー!」
京太郎「はっっ! そ、そうですよ、考えてから聞いてください!」
シロ「ダル……あっ、そうだ……」
京太郎「なんですか?」
シロ「夜も、たまに勉強してるから……できたら、教えに来てほしい」
京太郎「……ちゃんと考えますか?」
シロ「…………ん」コックリ
京太郎「だったら、了解です」ニコッ
シロ「……ありがと」
豊音「わ、わたしもー、電話で聞くねー?」
京太郎「お待ちしています」ニッコリ
京太郎「で、まぁ……豊音先輩にはお茶を淹れて、たまにわからないとこを聞かれて――」
京太郎「シロ先輩には、いつの間にか枕にされてた……毛布かけて寝かせておいたけど、大丈夫かな」
豊音「放っとくと、本能でコタツに転がっちゃうから、気をつけてあげてねー」
京太郎「なにそれこわい」
京太郎「よし……久しぶりに麻雀しようかな!」
塞「そういえば、初日にトシさん、次に大沼プロと打って以来だねー」
胡桃「指導は一応、私と塞、あとトシ先生にお願いする形かな!」
シロ「……ごめん、教えるの下手だから……」
豊音「わ、わたしも独学だからねー、ごめんねー!」
エイ「(若葉マーク)」カキカキ バッ
京太郎「ありがとうございます……実力がついたら、一緒に打ってくださいね」
京太郎「塞先輩、よろしくお願いします」
塞「ん、いいよー。それじゃ、こっち座って……あ、どうしよ……」
京太郎「どうかしましたか?」
塞「んー、いや、いい。二人打ちでしよっか。皆、それでいい?」
胡桃「いいよ、疲れたら交代したげるから!」
豊音「面子がほしくなったら、いつでも呼んでねー」
塞「ごめんね、皆の勉強時間、削るのも悪いからさ……」
京太郎「いえ、全然問題ありません。塞先輩の時間をいただけるだけで、十分です」
塞「……///」
塞「た、たまにさー、君はすごいことを言うよね。自覚してる?」
京太郎「へ?」
塞「……ま、そうだよね。してたら今頃、彼女の一人もできてるだろうし」ボソッ
京太郎「えっと、なんでしょう?」
塞「べ、別になんでもないわよ! あーもう、ちょっと厳しくいくから!」
京太郎「ええええ……(理不尽だ……なぜだ……)」
塞「文句でも?」ギロッ
京太郎「ノーウェイ」
塞「ほっほー、やるねー」ワクワク
京太郎「楽しそうですね、塞先輩」
塞「んー、まぁねー。やっぱ後輩に教えるっていうのも、一つの憧れだったし」
塞「だから京太郎くんが来てくれて、ほんとに楽しいよ……あ、ロンで」
京太郎「……はい」
塞「はい、じゃあ検討しよっか。あはは、いいとこまでは来てたんだねー」
京太郎「捨て牌、筋に頼るのってあんまりよくないですかね……」
塞「悪くはないけど、頼りすぎると……準決勝の、どこかの副将さんみたいにさ……」
京太郎「ふぅっ……くぅっ、今日は随分と充実してたな」
京太郎「お昼にはクッキー焼けたし、お茶もいっぱい淹れたし、勉強もできたし、あと麻雀も打てたし」
胡桃「……なにか間違ってないかな、須賀くん?」
京太郎「? そうでしょうか?」
豊音「それよりー、クッキーが気になるなー。どうして焼いたのー?」
京太郎「えっと、塞先輩とお昼を食べてたんですが、そのとき三年の方が――」
塞「ちょあっっ! きょ、京太郎くん、それ言っちゃうの!?」
京太郎「え、はい……なにか問題ありました?」
塞「や、別に……ない、けど……」
エイ「アヤシイ!」
塞「!? あやしくないから、なーんにも!」
シロ「ちょいタンマ…………ん、クロで」
胡桃「豊音、捕獲して!」
豊音「りょーかーい。私もクッキーほしいよー」
塞「ちょわぁぁっっ! も、持ち上げないでよ! 京太郎くんに言いなさい、そういうのは!」
京太郎「仲良しだなぁ、先輩方……」
エイ「英)きょーうーたーろー!」パンッ
京太郎「おうっ! 英)あ、エイスリン先輩。お疲れさまです」
エイ「英)ふふー、驚いた? 今日はごめんね、麻雀を教えられなくって」
京太郎「英)いえ、そんな。というか、初心者だっていうなら仕方ないですよ……」
京太郎「英)むしろ、それでも全国レベルの打ち手になった先輩は、俺の目標ですよ」
京太郎「英)先輩を目標にして、俺もっと上手くなりますからね」
エイ「英)うふふ、そっかそっかー。京太郎はいい子だね、よしよし」
京太郎「英)ちょ、子ども扱いは……ふむっ!」
エイ「英)子ども扱いはしてないよ。だからこうして、指で唇を塞いでやりましたー」クスッ
京太郎「英)はっ、わっ……せ、先輩、そういうのはっ……」カァッ
エイ「英)ごめんごめん、からかってるつもりじゃないからね。ただ、私を目標には、しないほうがいいかなって」
京太郎「英)どうしてですか?」
エイ「英)私の失点で、二回戦負けしたって……思ってるから。もちろん、通過点にはしてくれるなら嬉しい」
エイ「英)京太郎には、私よりもっともっと、もーっと上手くなってもらいたいの」
エイ「英)それで、あの人……眼鏡かけたワカメみたいな人に、リベンジしてもらうの! 京太郎に!」
京太郎「英)あの人は染谷先輩ですよ、染谷まこさん……でもそっか、染谷先輩に勝つとなると、頑張らないといけませんね」
エイ「英)まこ、ね! 打倒まこよ、京太郎!」
京太郎「英)はは、わかりました……」
京太郎(同じ清澄なんだけど……それは言わないほうがいいかな、うん)
京太郎「今日は買い物は大丈夫なんで、早めに帰れたか」
京太郎「……あんまり遅くなると、先輩方も夜道で危ないからなぁ」
京太郎「そろそろ、買い物は一人で行くようにしてもいいかな、うん」
京太郎「誰かに連絡してみるか……電話だと悪いし、適当に返せるメールにしとこう」
京太郎「よし、前のリベンジだ!」
京太郎「……けど、紳士的にいかなくていいのか? それとも、本能剥きだしのワイルドさが受けるのか?」
京太郎「ぬわぁぁぁぁっ、わかんねぇぇっ! 魔性すぎるよ、霞先輩!」
京太郎「と、とりあえず……そうだな、風邪のときのお礼とかでお茶を濁しつつ……」
『ふんふむ、春ちゃんには電話なのに、私にはメールなのね』ニッコリ
京太郎「」
『まぁだけど、一番仲の良かった春ちゃんの次にくれたんだから、まずはよしとしておこうかしら』
『それで、本当に大丈夫なの?』
『治りかけに買い物にでかけて、途中で鼻血だして帰ってきて、そのまま風邪悪化させた>>1みたいになってない?』
『治りかけが一番大切だから、無理をしてお風呂に入ったりしないこと』
『少しでも寒気を感じたら、すぐに厚着をして……あとは、温かい飲み物でも飲みましょうね』
京太郎「生姜湯なんていいですよね。ポカポカしてきて」
京太郎「あとは柚子茶とか……冬になれば、柚子のお風呂もいいですよね」
『冬至の柚子湯ね、素敵な風習だと思うわ』
『大社や実家の湯船は檜風呂だから、絵的にも映えるのよね』
『うふふ、お風呂って言われてちょっとドキッとしたのではない?』
『いまの気持ち、正直に教えてくれるかしら?』
京太郎「きっっ……たあああああぁぁぁぁぁぁっっっ!」
京太郎「霞先輩に、会いたくなりました……っと」
『…………』添付写メ、画面いっぱいの肌色と谷間
京太郎「………………」
京太郎「………………!?!?」
京太郎「こ、マ……こマ、こ、これ……えっ、まま、マジで!?」
京太郎「え、だって……え、どう見ても、え……かか、霞先輩の、おも、おももも……」
『なんて、驚いたかしら?』
『残念だけれど、ただの肘の曲げた部分よ♪』
『でも……少しは期待してくれたなら、嬉しいわね』
『写真はさすがに恥ずかしいから……』
『見たくなったら、帰ってきてちょうだい。皆、いつでも待ってるからね』
京太郎「はぁっ、はぁっ、か……霞先輩の、おもちぃぃっ……」 ←見てない
京太郎「ふぅ……落ち着いて残りの文面見たら、すっきりしたぜ……」
京太郎「まぁ、これが霞先輩の身体の一部なら、なにも問題はないな」
京太郎「俺は紳士として、霞先輩に敬意を持って、心の目を研ぎ澄ませるのみだ……」
京太郎「さて、それはあとでするとして……ちょっとした連絡くらい、誰かにしておかないとな」
京太郎「照さん……せっかく来てくれたし、お礼のメールしとかないと。弘世さんにもよろしくお伝えください、と」
京太郎「あと、塞さんにも連絡しないと、教えてもらったしな」
京太郎「あー、エイスリン先輩もなんだけど……あの人、帰りによく話すから、すっかり忘れてるや。また学校で伝えておこう」
京太郎「……あ、清澄で染谷先輩だけ送ってねーぞ。やべえ……い、いまからでも遅くないかな……」
京太郎「エイスリン先輩に頼まれたので、いつか先輩に勝たないといけなくなりました、と」
京太郎「よし、終わりだな」
~金曜日終了
【10月第一週金曜】
唐突に永水に行きたくなりました。
…………
――はっ! い、いま俺はなんて打ってた!? あ、これはやばいっ……。
…………
えー、こほん……入力途中のミスです。
そして正確には、懐かしく思う、という感じです。
永水に行きたいという気持ちは偽りではありませんが、もちろん、いま通っている宮守女子にも愛着はあります。先輩方も優しいし。
一ヶ月しっかりと通い、教えを乞い、できるだけの奉公を望むところです。
本日の報告は……先輩方と、テストに備えての勉強ができた。
今月末はテスト、よそでは違う学校もあるようだが、ここでは今月末にも一度行われる。
先輩方は定期テストと受験勉強、どちらも並行しなければならず、大変そうだ。
糖分、水分、ほどよい休憩時間、そして……席を立つことが少ないよう、ホットココアをおだしする。
喜んでいただけたならいいのだが。
あとは、部長の臼沢先輩に麻雀をご教授いただいた。
すごくわかりやすいのもそうだが、とても楽しそうに教えてくれたことが印象的である。
理由を聞けば、後輩に教えられて嬉しい、とのことだ。
先輩方は三年ばかり。後輩のいない三年間は、どんな気持ちだったのだろう。
ただ俺は、同級生の部員が一人もおらず、一年を過ごした人も知っている。
孤独に牌を並べ、磨き、一年後に後輩を得た人。
次年に想いを馳せ、失望し、最後の年に輝いた人たち
どちらの気持ちも知っているだけ、理解をすることはできない。
報われているといいのにな、と切に願う。
…………
結論から言おう――遅かった。
『やっぱり……京太郎には鹿児島が一番だと思ってた、いつでも帰ってきて。家の部屋を用意しておくから』
『どうして京太郎くん! なにか嫌なことあった? 私の指導が悪かったのかなぁ、ねえ!』
『そうよね、そちらでは体調を崩すこともあったようだし……部員の方はいい人たちだと知っているけれど、気候に馴染めないことも、あると思うわ』
『キョータロ……イカナイデ……』
『エイちゃん泣いちゃってるんじゃないの! どうするの、須賀くん! 明日お説教するからね! いや、嘘だから! 帰っちゃだめだよ!』
『そう言ってくださると、思っていました。いつでもお帰りをお待ちしています』
『……行かないでほしい。いまいなくなられると……ダルい……』
『そんなにこちらが恋しいとは知らなかったですよー。もちろん大歓迎です、部員も皆、大喜びだと思いますよー』
『や、やだよー、まだ一週間しかいないのに、そんなの……や、やだよ……帰っちゃやだー!』
『あのね……こちらが言うのもなんだけど、さすがにひどいと思うよ?』
すみません、ほんとすみません……愚かな本能が勝手をしたことです。
二回目の投稿読んでもらって、納得してもらおう。うん。無理なら明日謝ろう。
というか……携帯に連絡がこないで、俺が見てるであろうこっちにっていうのが……本当に申し訳ない。
でも、それだけ大切に思ってくれているのは、すごく嬉しい。やっぱり謝ろう。
――って言ってる間に、また来た。
『な、なーんだ、もう、脅かさないでよね……はは、はぁ……』
『バカ、京太郎のバカ、バカ……期待だけさせて、そんなこと……だけど、待ってるのは、本当……だからね……バカ』
すみません、心から申し訳ない。
あとは短く罵りのお言葉が大量だ……そしてさっきから、壁がドンドンされてる。謝りに行こうか。
他のメッセージでも、そういうことは口にするなだとか、色々とお叱りをいただいている。
だってさぁ……あのおもちなんだよ、どうしようもなかったんだよ……いや、肘だったんだけどさぁ……。
――いや、言い訳は男らしくない。
もう一度日誌を投稿しておこう。ん……その前に、メール……がっ……っっ!?
永水に――ち、違う! 騙されるな! これは肘、もしくは膝だ!
ええっと……
「このたびは、俺の心無い発言で多くの関係者にご迷惑、ご心痛をおかけ致しました。謹んでお詫び申し上げます。本当にごめんなさい」
「許していただけるよう、これからはより一層の誠意を持って、派遣業務に臨む所存です」
「特に、名前を挙げた宮守・永水の両校には、心よりの償いをしたいです」
「すみませんでした。俺が、悪かったです」
――あぁ……清澄の評判まで、下がらなきゃいいけど……。
もう疲れた、電源落としとこ……。
『じょ、冗談やで、そない本気にならんでも……』
『わ、私たちも言いすぎたよー、ね、水に流そうよー』
『そうですよー。京太郎がそんな誠意のない人間だとは、誰も思ってないですよー』
『そうだな。君の働きを間近に見れば、そう思う者はいない』
『なんもかんも政治が悪い』
『心まで病まんよう、注意しとってよーぅ。なんやったら、カウンセリングもしますからねー?』
『ミ、ミスだってわかってるんだし、誰もそこまで悪く思ってないんじゃない? 気にしすぎないほうがいいわよ、うん』
『原因……たぶん、私のせいよねぇ……どうしましょう……』
――――――――――
~清澄
「なんじゃあ、久。やけに嬉しそうじゃの」
「ん……ま、ちょっとだけね。申し訳ないってほうが強いけど。そういうまここそ嬉し――複雑そうね」
「まぁ、な……連絡が来たのはええが、わしに麻雀で勝つと宣言されての」
「あら、強くなりに行ったんだもの。そう言われるのはいいことじゃない?」
「他人事や思うて……ま、ええわい。戻ってきたら、ちいと揉んでやるかのう」
~白糸台
「お前の見た限り、宮守女子の環境はどうだった?」
「いい子たちばっかりだったよ。菫よりは優しい、誠子よりは厳しい、淡よりは遥かに真面目」
「京太郎くんが嫌になりそうではない、と……って、私甘いですか?」
「玉露の五万倍は甘い……弘世先輩を少しは見習ってもいい」
「私はこのままでいいけどなー。楽になったしー」
「……誰か、部長の人……鷺森さんとか、相談乗ってくれないかな……そういうタイプじゃないか」
~永水
「霞、なにか言うことはありますか?」
「ここには私とはっちゃんしかいません。おとなしく言ってくれれば、怒りませんよ」
「さぁ、なんのことかしら?」ニコッ
「この途中のメッセージ、原因だって書いてるのは霞ですよねー?」
「そんな証拠があるの?」ニコニコ
「どうあっても話しませんか……」
「知らないことは話せないわ」
「はるるや、姫様の前でもそう言えますかー?」
「っ……ええ、言えるわよ」
「……はぁ、どうします、はっちゃん?」
「強情ですが、証拠がないのは事実ですー。本人が反省してると信じて、収めておきましょう」
「……悪いわね」
「そう思うなら、京太郎に謝罪すべきですよー」
「……もうしたわよ。本物の谷間で」カァッ
(それにあんな……はしたない真似したこと、皆に言えるわけないものっ……)カァァァァァッッ プシュー
~宮守
『……大丈夫だよね。二回目、三回目の書き込みくらいじゃ……』
『たぶんね……だけどエイちゃん、心配だなぁ。電話じゃどうにもならないし……』
『そっちは豊音が行ってくれたみたい。二人とも、一人暮らしだからね』
「エ、エイスリンさん、もう泣き止んだー?」
「(連続したイラスト)」カキカキ バッ
「え、えーっと……最初は悲しかった、次は怒った、けど京太郎くんが残ってくれて嬉しい……かなー?」
「」コクコクッ
「……きっとだけど、本当に悪いと思ってるよ、京太郎くんはー」
「ワカッテル!」
「明日、謝ってくれそうだけど……私たちは、笑顔で許すだけのほうが、正解だよねー?」
「」コクコクッ
「……今日、泊まっていっていいかなー?」
「モチロン!」ニコッ
「京太郎は……たまに思慮に欠けるよね」
「はい……猛省してます」
「明日、みんなに謝って……わかった?」
「わかってます……」
「みんなが謝ってきたら?」
「許します……」
「みんなが謝らなかったら?」
「気にしません……というか、元からなにも気にしてないですし。全部俺が――」
「私はもうわかったから、それ以上謝らなくていいよ……ダルくなる」
「はい……」
「でも……すごくショックだったから、今夜はそっちに泊めて」
「はい……えっ」
「なにもしないでしょ? 私もさせないから……この状態で一人は、さすがに辛いし」
「……わ、わかりました……」
「よろしい」
春「巴ちゃん……」
巴「なぁに、春ちゃん?」
春「昔ははるるって呼んでたのに、どうして春ちゃんになったの?」
巴「えー? うーん、深い意味はないけど……ほら、子供っぽいし、もうそろそろ嫌かなって思って」
春「ちゃんづけでも変わらないし……はるるでいい、前と同じで」
春「そのほうが、いい……」
巴「……そっか、ならそう呼ぶわね、はるる?」
春「ん……」ニコッ
春(……それに、京太郎にも……は、はるるって……呼んで、もらえるかも……///)
巴「はるる?」
春「ん……な、なんでもない……///」
~10月第一週土曜
京太郎「朝だ……そしてやっぱり、夢じゃなくシロ先輩がいる……」
シロ「んみゅ……ん……あぇ、きょう、たろう……?」
京太郎「お、おはようございます……」
シロ「……なんでいるの? 朝這い?」
京太郎「ここ俺の部屋です、先輩がこちらに来ました」
シロ「……色々、まずいこと?」
京太郎「どうして来ることになったか、覚えてませんか?」
シロ「…………」ボー
京太郎(まだ寝ぼけてるのかな……)
シロ「……あっ……ああ、そうだっけ……」モゾモゾ
京太郎「ちょちょちょっ、寝ないでください!」
シロ「ダル……もうちょい、タンマ……」
京太郎「シャワー浴びて、目でも覚ましてきてください! 使っていいですから!」
シロ「んー……いや、いい……帰って、浴びて、それから来るから……ご飯作ってて……」
京太郎「寝直さないでくださいよ」
シロ「平気……たぶん……」
京太郎(不安だ……)
シロ「お待たせ……」
京太郎「はい、朝食準備できてます」
シロ「……覗きにこなかったね」
京太郎「!? あ、当たり前でしょ! だいたい、鍵かけてるんじゃないんですか、部屋!」
シロ「いや……京太郎が来るなら、困るかと思って……」
京太郎「困りませんよ! ちゃんとかけてください、危ないですから!」
シロ「あれ……鍵、京太郎に渡してたかなぁ」
京太郎「もらってません! っていうか行かないからですよ!」
シロ「……どうして?」
京太郎「……シャワー浴びてたはずでしょ、シロ先輩……それ知ってて、上がり込めませんよ」
シロ「……ふーん」フッ
京太郎「な、なんですか……」
シロ「別に?」ニヤニヤ
京太郎「…………」
シロ「スケベ」
京太郎「っっ! し、仕方ないじゃないですか……っ」カァッ
シロ(……かわいい)
京太郎「その、ぶっちゃけますけど……シロ先輩、魅力的ですから……」
シロ「!?」
京太郎「意識するのは、ある程度仕方ないです……だから、その……添い寝は、かなり精神力使うんで……できれば……」
シロ「わ……わかった……」ポッ
~登校後、お昼
京太郎「先輩方を傷つけてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
胡桃「ほんとだよ! これからは気をつけてよね、ああいう発言!」
京太郎「返す言葉もないです、ほんとに……」
塞「ま、まぁ誤解でよかったよ、うん……本当に、嫌になったりしてないよね?」
京太郎「当たり前です! 皆さん優しいですし、困ったことなんてありませんから! むしろ、ここが好きになってく一方です!」
エイ「ダッタラ、ドウシテ……」
京太郎「う、ぐっ……そ、それは、その……ほんの、出来心というか……気の迷いというか……」
シロ「迷ったら……ちゃんと考えて、辿り着かないと……」
豊音「なにがあったのー? よかったら、教えてほしいよー」
塞「そうね、再発を防ぐ意味でも、ある程度のことは知っておきたいわ」
京太郎「――というわけでして……」
胡桃「バッッッッッッッッ……ッッッッカじゃないの!」
エイ「(親指を下に向けてる絵)」カキカキ バッ
豊音「ぐすっ……ご、ごめんねー、私が身長ばっかりで、おもちがなくってー……」
京太郎「そんなことないです! 俺が悪いんです! 本当にっ……それに、豊音先輩はそれ以外が十分魅力的です! 気の迷いを起こすくらいです!」
塞「でも、石戸霞のおもちには迷ったんでしょ、変態執事」
京太郎「……こんな俺を、執事と呼ばないでくださいっ……変態で十分ですっ……」ドゲザ
シロ(うーん、さすがになぁ……あれには……神代小蒔にだって届かないのに……)モニュモニュ
塞「……はぁ、まぁいいわ。男の子だし、そういうもんなんでしょ、よく知らないけど」
胡桃「……そりゃ塞はいいよ、あとシロも! 私たちはどうなるの、すっごいショックなんだけど!」
エイ「英)ちょっと京太郎! 私だって……い、いまはちょっとあれだけど……ま、ママはすごく大きいのよ! 数年後にはバインバインになってるんだから、後悔するわよ!」
京太郎「英)マジですか!? あっ……い、いえ、その……女性の魅力は、そこだけじゃなくて……ですね……」モニョモニョ
豊音「そ、そうだ、こういうのはどうかなー?」
シロ「……なに?」
豊音「えへへー、ちょーいい考えだよー。シロとね、塞のおもちを触らせてあげるんだー。そうしたら、どこか行きたいなんて言わなくなると思うのー」
塞「」
シロ「」
京太郎「」
胡桃「それだ!」
エイ「ソレダ!」
塞「それじゃないわよっっっ! と、豊音、それはさすがに……っていうか、あり得ないわ、うん」
京太郎「どうしてですかっ、すごくいい考えじゃないですか!」
塞「」ギロッ
京太郎「」スイマセン
シロ「……京太郎」
京太郎「は、はい……」
シロ「……反省してるよね?」
京太郎「海よりも深く!」
シロ「……じゃあ、許してあげる。二度とあんなこと言わないなら」
京太郎「言いません、絶対に!」
シロ「ならいいよ……これ以上はダルいから……」ハァ
塞「私も忘れることにするわ……とにかく一ヶ月、ちゃんとここにいてちょうだい。その……こっちは、京太郎くんのことを嫌ってるわけでもないんだからね」
エイ「ムシロスキ!」
豊音「そーだよー。そのためにいてもらってるんだから、一緒に過ごそうねー」ニコー
胡桃「まぁ、みんなが言うならいいよ。それに京太郎くん、時々そんなだけど、基本的に礼儀正しい、可愛い後輩だからね」
京太郎「み、みなさん……」ハラハラ ボタボタ
塞「ちょっ、な、泣きすぎ!」
京太郎「ありがとうございます! 俺っ……この学校来て、よかったです……心の底からそう思います!」
エイ「(六人で手を繋ぐ絵)」カキカキ バッ
豊音「仲直りだねー、よかったよー」
京太郎「……あの」
塞「!? な、なにかなぁ?」
京太郎「……その、露骨に身体を背けないでくだ……いえ、いいです、すみません……」
シロ「……塞」
塞「なによ……だって仕方ないでしょ! その……私だって、女だもん……」
塞「見られたら……は、恥ずかしいし……」
シロ(……そうやって意識すると、余計に見られるって思うけど……まぁ、ダルいし言わないでいいか)ダル
京太郎「傷つくなぁ……けど、先輩方はもっと傷ついたはずだ」
京太郎「これからしっかり、フォローしてかないとな」
京太郎「先生っ……麻雀が、したいですっ……」
塞「……トシさん、呼んでくる?」
京太郎(……まだ警戒されてるのか……)
塞(……だって、先生って言ったわよね?)
京太郎「誰に指導してもらおうかな……」
塞「で、また私が教えるのでいいのかな?」
京太郎「いえ、その……日誌のこともありましたし、一応、指導者の方を朝から頼んでおいたんです」
京太郎「そろそろ来られるかと思うので、ちょっと迎えに出てきますね」
塞「うん……」
塞「ねえ、誰だと思う?」
シロ「んー……大沼プロじゃないの、前も来てたし」
胡桃「そうだよねえ。それ以外だと、私たちの知らない人になるかなぁ?」
エイ「(ローブを着た顔のわからない巨体)」カキカキ バッ
豊音「わー、フェニックスチームのミステリアスパートナーだよー」
シロ(よくわかるなぁ……)
京太郎「すみません、戻りましたー。さ、どうぞ入ってください」
塞「あ、おかえりー……って、えぇっっ!?」
胡桃「う、嘘でしょ、その人って――」
豊音「!?!? わ、わぁぁっっ! ちょーすごいよー、すっごいひとだー!」
健夜「お、お邪魔します……あ、熊倉先生いらっしゃらないんだ、よかった……」
シロ「……小鍛治、健夜……」
エイ「プロ!」
健夜「あ、はい、どうも。つくばブリージングチキンズの小鍛治です、よろしくお願いします」
健夜「熊倉先生にはお世話になったことがあります、また後ほどご挨拶に伺いますが……とりあえずは、京太郎くんの指導をさせていただきますね」
塞「は、はぁ……えっと、よ、よろしくお願いします!」 (どういう関係なんだろ……)
胡桃「お会いできて光栄です!」 (私たちこそ指導していただきたいよ!)
エイ「????」
豊音「すっごい人だよー、日本で一番麻雀が強い人なんだー」
エイ「!? チャンピオン! チャンピオーネ!」
健夜「英)い、いえ、そんな大層なものでは……どうぞよろしく」
シロ「……私たちも、打っていいですか?」
健夜「はい、遠慮なさらないでください……もちろん、加減はさせていただいますので」
シロ「いえ……本気で、お願いします」ゴッ
京太郎(……? 珍しいな、シロ先輩……)
豊音「あっっ! そうだ、サイン! サインいただけませんか!」
健夜「ええ、構いませんよ。……はい、どうぞ」
豊音「うわぁぁぁぁ……ありがとうございます! 家宝にします!」
健夜「あはは、大袈裟だよ」
京太郎(忘れがちだけど、永世七冠なんだよなぁ……)
健夜「なるほど……そっちのあなた、面白いね。色んな引き出しがあるんだ。だけど、まだ開いてないのもあるね」
健夜「それも開ければ、プロでも十分以上に活躍できると思うよ」
豊音「そ、そうですかー? 嬉しいですー」テレテレ
健夜「マヨヒガの子も、すごくいいね。長考の瞬間なんて、久しぶりにゾクッてしちゃったよ」
シロ「……どうも」
シロ(……迷ったのに、辿りつけなかった……こんなの初めてだ……)
シロ「……もう一度、お願いできますか?」
健夜「よろこんで。だけど、他の子とも代わってあげてね?」
健夜「それで……あ、あの、京太郎くん、大丈夫っ?」
京太郎「あっはい……え、なんですか?」
健夜「ご、ごめんね、手加減なしでって言われて、つい……気分悪くない?」
京太郎「ああ、そういうのはまるで……やっぱり健夜さんは強いなって、放心してました」
健夜「ありがとう。さて、まだいけるならもう一回やろっか。入れる子は、どんどん入ってね」
トシ「あらあら、お久しぶりね、健夜ちゃん。教え子の指導に来ていただいてたなんて、知らなかったわぁ」
健夜「」
健夜「うっ、うっ、怖かったよぉ……」ガクブル
京太郎「な、なにがあったんですか、熊倉先生との間に……」
健夜「なにがっていうわけでもないけど、その……色々敵わない人だからね、麻雀以外では」
健夜「だけど、京太郎くんが呼んだって言ってくれたから、助かったよ。ありがとうね」
健夜「熊倉先生に言われたし、みんなの練習にも付き合っているから。指導が必要なら声かけてね」
京太郎「はい、ありがとうございます」
京太郎「と、言われはしたものの……」
京太郎「先輩方が打っている間に声をかけるのは、さすがにない……かな? どうしよう」
京太郎「お、対局終わったみたいだな……」
京太郎「どうぞ、皆さん……お茶を淹れ――」
京太郎「塞先輩っ、大丈夫ですか? すごい汗ですよ……」
塞「ん……? あぁ、大丈夫よ。いやー、塞ごうとしたんだけどね、ちょっとどころじゃなく足りなかったみたい」アハハ
塞「ま、さすがに疲れたし休んどこうかな」
京太郎「わっ、ちょっ……ふらついてますよ、立てますか?」
塞「そのくらいは平気だってば……ま、らくしょーってことで!」ガッツポ
健夜「ふぅ……なるほどなぁ、熊倉先生、あのコにアレ伝えたんだ……」
健夜「もう少し伸びそうだし、先生みたいに塞がれることもあるだろうなぁ……まぁ、簡単にはさせないけどね!」
京太郎「あ、あの……健夜さん、いいですか?」
健夜「はい、どうしたのかな?」
京太郎「指導……よろしくお願いします!」ゴッ
健夜「おお、燃えてるねー、いいよ! さ、座って座って!」ワクワク
京太郎「先輩方に負けてられないですからね、お願いします!」
京太郎「……っ……こ、これでどうですか!」
健夜「……うん、当たってない。いいね、だけど……」
健夜「……カン!」
京太郎「っっ!」ゾクッ
健夜「――嶺上開花、だよ?」
京太郎「……はっ、ははっ……さすがです、ありがとうございました」
健夜「うん、お疲れさま。頑張ってたね、それに最後――」
健夜「ゾクッていうの、感じなかった?」
京太郎「ありました!」
健夜「そっか、よかった……大丈夫、京太郎くんはまだまだうんと伸びるよ。絶対にね」ニコニコ
塞「はい、今日はここまでにしよっか。小鍛治プロ、お忙しいところ、ありがとうございました」
全員『ありがとうございました!』
健夜「いえいえ。こちらこそとても楽しかったです。またいつでも、ご招待ください」
健夜「それでは、私はこれで――」
京太郎「……あっ!」
健夜「? どうしたの、京太郎くん?」
京太郎「あーっと、その……いえ、前の……約束、などを……」
健夜「!!! あ、あれ……えっと、いいの?」
京太郎「はい。せっかくの機会ですし、ぜひ」
塞「なんの話かな、京太郎くん?」
胡桃「聞いてる分には、すごく意味深なんだけど!」
豊音「ま、まさかー、お二人は……」
エイ「デキテル!?」
健夜「!? ちち、違います! ただ、その……」
京太郎「いえ、以前に鍋をご馳走するお約束をしていたのを、思いだしまして。この機会に果せたらなということです」
塞「なーんだ、つまんないのー」
胡桃「永世七冠、秘密のコイビト! とか新聞に載るかと思っちゃったよ」
健夜「あ、あはは……そうなればいいけどね」ボソッ
エイ「??」
塞「ま、それなら早く帰りましょっか。京太郎くん、材料とか買いに行きたいでしょ?」
京太郎「そうですね……あ、せっかくだし、皆さんもいかがですか?」
シロ「……ん、いいね。私は行く」
健夜(う……二人っきりじゃ、ないかぁ……さすがにね)
塞「シロは家隣だもんねー……あっ」
健夜「!? どど、どういうこと、それは! が、学生の不純異性交遊は、さすがにっ……」
京太郎「違いますって、落ち着いてください! ただ、俺の入ってるアパートの隣の部屋に、たまたまシロ先輩が下宿してただけです」
健夜「と、隣の部屋って……えっと、学校の方はご存じなのかな? 熊倉先生とか……」
塞「うぁ、ごめん……あの、小鍛治プロ。このことは一応、内密にしていただけませんか?」
塞「二人のことは、私たちも気にかけて監視してますし、念のため、熊倉先生にだけはご報告してあります」
塞「ただ、学校に言うと色々面倒なこともあるかと思いまして……熊倉先生の胸のうちに、留めている状態でして」
塞「勝手にお知らせしてなんですけれど、他言なさらないよう、お願いしたいと……」
健夜「うーん……まぁ、私がどうこう問題にする話じゃないだろうからね。それに、熊倉先生がご存知なら、私は言うことないよ」
シロ「……話、まとまったかな?」
胡桃「シロのことでしょ! もー!」
京太郎「じゃあ、ほかに来られる方はいますか?」
塞「ん、もちろんオッケー」
胡桃「私も問題ないよ! ちょっと家に電話するね」タタッ
塞「あ、私もだ。ごめん、先行っててくれるかな」タタッ
エイ「英)私も平気よ、一人暮らしだからね。お友達とお鍋なんて初めて、刺激的だわ!」
豊音「わーい、もちろんいくよー! 小鍛治プロとお鍋なんて、素敵な思い出になるよー!」
健夜「そ、そうかな? ありがとう、姉帯さん」
京太郎「じゃあ買い物行きましょうか」
シロ「ん……おんぶして……」
京太郎「おっと、久しぶりですね……いいですよ、どうぞ」
健夜「えっ、なにそれ!? きょ、京太郎くん、小瀬川さんとはどういう関係なの?」
京太郎「どういうと言われても……あれ、どういう関係だろ……」
シロ「……こういう関係です」
京太郎「こう、執事と主のような……」
健夜「」
健夜(はわわわわわ! さ、最近の高校生ってすごいっ……ここ、恋人なんて関係じゃなくて、執事とご主人さまなんて、アブノーマルなっ……)
健夜「だだ、だめだよ! そんなのっ……」
京太郎「まあ冗談ですけどね」
シロ「おんぶはしてもらうけどね……」
健夜「へっ……冗談、なの?」
京太郎「関係って言われると難しいですけど、まぁお世話したりされたりって関係です。シロさん、家事が苦手みたいで」
健夜「そ、そうなんだ! ちなみに私も苦手だよ!」
京太郎「あー、仕事が忙しそうですもんね」
健夜(うっ……そ、それだけじゃないけど……)
京太郎「よかったら――」
健夜「!!」キター
京太郎「効率のいいやり方とか、教えましょうか? 今度メールで、ポイントなんかまとめて送りますよ。料理のレシピとかも」
健夜「」コナーイ
健夜「えと、うん……あ、ありがとね」
京太郎「お、そろそろスーパーですよ。シロ先輩、店では降りてくださいねー」
シロ「ダルいなぁ……」
胡桃「あー! こらシロ! また須賀くんに甘えて!」
塞「追いついたとおもったら、なにしてんのよ、あんたは……あら、小鍛治プロ、どうしました?」
健夜「ううん、なんでもないよ。お鍋楽しみだねー」
京太郎「……お酒はなしです、すみません」
健夜「わかってるよ! さすがに高校生の前では飲まないよ!」
京太郎「はい、オッケーですよ。どうぞ、召し上がってください」
塞「すっご……普通の鍋なのに、香りとか見た目とか……全然違う……」
エイ「オイシソウ!」
豊音「いっただっきまーす……んふー、春菊、白菜ー」
シロ「……お豆腐、取って……」
胡桃「こら! 自分で取りなさい!」
京太郎「あ、いいですよ。みんなで箸を入れても取り辛いでしょうから……どうぞ、シロ先輩。ほかにも適当に取っときました」
塞「なんていうか、みんな野菜系に行くのね……ごめん、お肉取っちゃうね」
京太郎「鶏と団子は、まぁ基本ですよね。さすがに牛は高くつきますし……」
健夜「私がだすって言っても、みんな聞かなかったもんね。だけど偉いよ、金銭感覚がしっかりしてて」
豊音「えへへー、これでも一人暮らしですからー。ね、エイスリンさん?」
エイスリン「ハフハフ」コクコク
エイスリン「エノキ! オイシイヨ!」
京太郎「えのきは万能ですよね。炒めても鍋でも味噌汁でも、それにチーズやベーコンに合いますから、洋食にもいけますし」
健夜(……ほんとにすごいなぁ。いい年して実家暮らしで、こーこちゃんとは前にだしてもらったから次はーとか、奢ったり奢られたりだし……)
健夜(いまでさえこれだよ? 学生の頃って、どうだっけ……あぁ、なんか思いだせないや、牌しか見えない……)
京太郎「健夜さん、どうしました? お口に合いません?」
健夜「ううん、とってもおいしい……お出汁もしっかり効いてて、食材も形が揃ってて、しかも野菜は飾り切りだし……だから落ち込むっていうか……」
京太郎「さっきの家事の話ですか?」
シロ「……気にしなくても、なんとかなるかと……」
胡桃「シロは須賀くんに甘えすぎなの!」
塞「それでなくても、一人暮らし始めてから、私たちで順番に世話しに来ちゃってたもんね……卒業したら、どうするの?」
シロ「んー、まぁなんとか……」
京太郎「大丈夫ですよ。最近は洗濯機の使い方を覚えましたし(やるとは言ってない)、ゴミだしもやってもらってますから(まとめるのは俺ですが)」
塞「食事は……ま、すぐには難しいよねえ」
豊音「いざとなったら、また私たちがお世話するよー、大学も、同じところ目指してるんだしー」
京太郎「そうなんですか?」
胡桃「うん! 全員がライバルって形になっちゃうんだけどねー」
エイ「ダイジョブ! ガンバレバ、ミンナ、ゴウカク!」
シロ「…………ん、そうだね」
健夜「大学かぁ……私、高卒でプロ入りしちゃったから、キャンパスライフの思い出ないんだよねえ」
豊音「初年度でタイトル総なめ、最年少の天才美少女雀士、でしたね!」
健夜「美はつけてもらえなかったよ……それに、当時は最年少でも、いまは……」ドンヨリ
京太郎「えっ、そうなんですか? 健夜さん、すごくお綺麗だと思いますけど」(酒癖はひっでぇけど)
健夜「!? そ、そうかな!? あっ……いや、そんな、持ち上げなくって大丈夫だよ?」エヘヘ
塞「いや、普通に綺麗だと思いますよ。肌とかもすっごいモチモチですし」
健夜「うう、現役女子高校生、しかも東北美人に言われても実感が湧かないなぁ……でも、ありがとうね、臼沢さん」
胡桃「あのっ、小鍛治プロ! よかったらプロ雀士のお話とか、聞かせていただけませんか! デビューしたころのとか!」
京太郎「面白そうですね。あー、でも……オフに仕事の話って、平気ですか?」
胡桃「あ、そっか……す、すみません! 舞い上がっちゃって、無神経に……」
健夜「ううん、平気だよ。鹿倉さんも気にしないで?」
シロ「……そういうことなら、ぜひ……聞かせてもらいたいです」
エイ「(蚊取り線香の絵)」カキカキ バッ
京太郎「……キンチョーしたりしましたか? 小鍛治プロなら、そうでもないかと思ったりするんですけど」
健夜「あははっ、いくらなんでも緊張するってば。そうだなー、あのときの相手は――」
京太郎「ふいー、ただいまっと」
京太郎「断られたけど、無理に送らせてもらってよかったよ。結構暗くなってたし」
京太郎「さて、夜はどうしようかな……」
京太郎「まずは誰に送ろうか。時間はまだそこそこあるから、長く付き合ってもらえると嬉しいな」
京太郎「……大丈夫だ、俺は惑わされないと誓った」
京太郎「ゆえに、いまから送るメールはなんの邪念もない」
京太郎「ただ尊敬する先輩に、連絡するだけのものだ」
京太郎「……そうだな、でも本気で……日誌を見たみんなの反応とか、聞いとかないと……あと、謝らないと」
『うん、まぁ……春ちゃんは少し気にしてたけど、いつも通りよ』
『期待しただろうから、がっかりも大きいのは仕方ないわね』
『あまり軽々しいことを言わないようになさい』メッ
『でも、こちらはみんな信じてるわ。京太郎くんがまた、帰ってきてくれるって、ね?』
京太郎「こっちの学校も、いい場所だしな……けど、いつかまた、永水が当たれば」
京太郎「……今回のことで、みんなが怒ってなければいいですけど、と」
『大丈夫、みんなわかってくれてるわ』
『ただ、あまり無理をしないでって心配してるの』
『えーと、だから、その……昨日、日誌を書いてるときに送った、メールは……』
『その、心配の証というか、惑わせたお詫びというか……なのだけれど……』
『や、やっぱり消しておいてもらえないかしら!? あの、無理にとは言えないけど……』
『お、お願い、します……』
京太郎「……上目遣いの自画撮り顔写真、だと……?」
京太郎「……美人なのに、かわいい……すげー、かわいい」
京太郎「……え、ってことは……」
京太郎「あれ、本物……?」
京太郎「…………」
京太郎「…………ふぅ」
京太郎「すみません、さすがに消せません」
京太郎「でも悪用は絶対にしません。
霞さんだと思って、大事にします」
『も、もう、恥ずかしいこと言わないで!』
『だけど……まぁ、仕方ないわね、諦めるわ』
『……あんなの送ったの、京太郎くんだけなんだからね』
『はしたない女だと思わないでもらえると……嬉しいです』
『おやすみなさい、いい夢を』
京太郎「思うわけないじゃないですか……」
京太郎「さて、あとは何人か、ひと言くらい送っておこう」
京太郎「よう咲、元気か。今日は先輩たちと鍋したぜ、しかも驚くなよ? 小鍛治プロまでいたんだぜ、すげーだろ、と」
京太郎「春は……う、やっぱ謝っとかないとな。悪かった、だけどお前に会いに、絶対帰るから……待っててくれよ」
京太郎「ちょっとキザだな、やめやめ、書き直し……あぁぁっ! ミスって、送っちまった……ま、しゃーないか」
京太郎「初美先輩にフォロー頼んどこう……なんか、先輩の話し方が懐かしい今日この頃です、と」
~土曜終了
京太郎「明日は秋季大会だ」
京太郎「申し込みは――」
京太郎「当然してるよな、明日は俺の実力を確認する、いい機会だ」
京太郎「ま、明日は予選だけ……本選はそれに勝てば、再来週の日曜だ」
京太郎「ただ、予選で勝てたら連休に、先輩方が合宿を組んでくれるって言ってたな……」
京太郎「頑張ろう、東北とまではいかなくても、県での上位入賞は目指したい」
~今度こそ、土曜日終了
【10月第一週土曜】
突然だが、俺は麻雀部だ。
だから、麻雀の指導をしてもらうのは間違ってない、うん、間違ってない……よね?
ということで、今日はほとんど麻雀をしていたように思う。
しかも、お忙しいところプロ麻雀プレイヤーをお呼びして、指導をしていただいた。
名前は伏せておくけれど、かなり高名なプロ雀士だったこともあり、先輩方も同卓することとなる。
あの強い先輩方でさえ、なすすべもなく一人、また一人と倒れていく。
それを笑顔で見つめ、ひと言投げかけてゆく姿は、魔王でも大魔王でもない――あれは、魔神だ。
いえ、すみません、冗談が過ぎました。
実際は和やかに対局していたのですが、まぁ先輩方が軽くあしらわれたというのは事実。
倒れるということはなく、彼女から励ましや賞賛の言葉をいただき、皆さん満足しておられたようだ。
なお、俺はあしらわれたどころではなく、華麗に飛びまくっていた。
それでも、最後まで食らいつこうと、懸命にあがいたとは思っている。
そのとき見せてくださったあれは、長野から離れている俺のことを、想ってのプレイなのだろう。
人の心を汲んでくれる、とても優しい先生だと思う。
その後は、先輩方とプロを招いて、少し早いが
鍋料理をご馳走できた。
熊倉先生は先約があるとのことだったが、教師がいては楽しめないだろうと、気を回してくださったのかどうか。
先輩方は、そうしたことを気にする方たちではないので、これは自分の考えすぎだろう。
…………
ふぅ……明日は秋季大会の予選だ。
各校の三年が引退され、次代を担う一、二年が主役となる初舞台である。
とはいえ、夏の大会で猛威を振るったルーキーたちが、ここでも大いに活躍するだろうけど。
「俺は、どれくらいやれるんだ……まぁ、男子は女子ほど魔境じゃないって聞くし、いいところまで行ければいいな」
『京ちゃん、麻雀頑張ってるんだね! 明日は秋季大会の予選でしょ? きっと勝てるよ! 信じてる!』
『きょうちゃんのおなべおいしそう。ふゆになったらいっしょにたべようね』
『ちょっと
お姉ちゃん! 明日の大会の激励するほうが先でしょ、いっつも食い気なんだから!』
『きょうちゃんならぜったいかてるからひつようない。さきこそまーじゃんかほんしかわだいがないのはどうかとおもう』
『あとわたしはおねえちゃんではないし、こういうこうきょうかつとくめいのばでなまえをだすのはよくないとすみれがいってる』
『だから名前をだすなと言ってるだろう、バカもの!』
『す、すみません、お姉ちゃんがいつもご迷惑を……』
『いや、妹さんが謝ることではないさ』
『お、サキーなのー? やっほーサキー! 淡ちゃんだぞー!』
『お前も名前をだすな、このバカ!』
弘世さん、お疲れさまです。あとの三人は反省しろ。
『……私も出場する。来年の全国大会は、地方チャンピオン同士で行こうね、京太郎』
『ふーん、そちらさんも出ると? 私も出っし、先輩にええとこば見せんとね』
『私かて……もう高一やとか、驕ったりしーひん! まずは大阪最強や、三箇牧にも姫松にも負けるかい!』
『あはは、一年生は元気やねー。ほなうちも、ボチボチがんばろかなぁ』
『私も、お姉ちゃんには負けたないっ……全力でやるんや!』
『主将になったからには、誰にも負けへんもん! 爆発するで!』
『大阪大会にはさせないよ! 近畿は私たちだっているんだから!』
『……魔物に混じるのは気が滅入るんだけどね、ま、うまくだし抜いてやるわよ』
『わ、私も! 夏みたいなことにはならないからね!』
『関西もそうだけど、関東も濃いよねぇ』
『千葉の霜崎絃がいなくても、十分なメンツ……』
『これで勝ってアピールできれば、もっとお金になるよね、頑張るよ』
『あら生々しい。ですが私も、前は誰にも譲りませんから』
『そうですね。チームメイトとも当たれるのは楽しみです』
……気のせいかな、みんな予選じゃなく、本選の話してるような……。
やっぱり目線が違うってのを実感するな、はやく追いつきたいぜ。
――――――――
~清澄
「団体は残念だったねー、あと一人入ってくれればなー」
「うぬぬ、ムロが私らと同い年だったらなーってとこだじぇ」
「仕方ありません。ともかく個人戦です、明日は敵同士ですね」
「うん、夏のときみたいで、ワクワクするよね!」
「楽しそうねー、一年生は」
「また天江衣は出んらしいから、うちの一年ズが暴れそうじゃ……やれやれ、相手するのは骨が折れるの」
「本命はうちの子たちに龍門渕さん、あとは風越の池田さんと……」
「また出てくるんじゃろ、平滝の――南浦数絵もな」
「あとは鶴賀の東横さんかしら。美穂子とゆみと、他にも大勢で応援に行くからね」
「受験勉強はええんかい……鶴賀の、元部長さんが大変らしいて言うとらんかったか?」
「ゆみが言うには、息抜きだそうよ。息抜きのほうが長いってこぼしてたわ」
~龍門渕
「必勝! それ以外の言葉は、私には似合いませんわ!」ビシィッ
「うむ、油断大敵とは言うが、団体戦を制した我々に敵はない! 透華の勝利を信じているぞ!」
「東横やら原村にひっかかって、悪い癇癪起こさなきゃいいがな」
「ご心配なく、一の言う……冷えた私、でしたか。あれの御し方も問題ナッシングですもの! 団体戦以上に目立って魅せますわ!」
「重畳! ハギヨシ、前祝いといこう! 準備はできているな!」
「隣室に整ってございます。お嬢さま、どうぞこちらへ」
「うーん、逆に不安になるくらいの盛り上がりだなぁ……」
「鶴賀の溺愛された初心者もいるから、要注意……」
~白糸台
「明日はまだ予選だ。とはいえ全国区の相手は少なくない、気を引き締めてかかれ」
「わかってますよ、腕が鳴るくらいです」
「ならもう少し打とうか、誠子。卓について」
「ぜ、前日は身体を休めたいなーって……は、はははは」
「冗談だよ。気負いすぎないよう、リラックスしてね。尭深も。淡はいつも通りでいいから」
「あったりまえー! へへーん、この高校100年生が負けるわけないもんねーだ!」
「あ、また戻った……」
~永水
「春ちゃん、明日は負けません!」
「私も……京太郎のためにも、絶対に勝つっ……」
「どうしたのかしら、はるる……いつもよりすごい気合いだけど」
「あー、京太郎からラブメールが来たみたいですよー、まったく……それを私に伝えるなんて、肝心なとこで抜けてますねー、あの男は……」
「あら、はっちゃんもメールもらったのね」
「こういう形よりは、普通にもっと送ってほしいものですねー。霞にしてるみたいに」
「な、なんのことかしら……」
「隠さなくてもわかりますよー、時々携帯を見て、ニヤけてればねー」
「」カァァッ
(私、まだもらってないなぁ……誰かに送れば、全員に伝わるって思ってるのかな?)
(私ももらってないです)シュン
~某居酒屋
『……でねー、すっかりご馳走になっちゃった。もう京太郎くんの手料理、最高って感じでー』デレデレ
「」イライラ
「」イライラ
「……まぁ、春にもフォローはしているようです、許しましょう」
『熊倉先生にも、また暇があったらお願いするわね、なーんて頼まれちゃうし、嬉しいなぁ』アハハッ
「……茨城、滅びないかなぁ☆」ボソッ
『!? ちょっと、いま怖いこと言ったでしょ、聞こえてるからね!?』
「天罰!」
『ふ、ふふーんだ、私が京太郎くんにお呼ばれしたからって、妬かないでほしいなー』
「……麻雀指導のついででしょ。別にデートでもないし、ほかの部員もいたみたいだし……」
「普通!」
「――まぁ、特別な関係とは言えませんね、おそらく」
『ふふっ、誘われないよりは百倍マシだと思うけどなぁ?』
「」ブチッ
「」ブチブチッ
「」ノーウェイ
「あ、おにーさーん? この店の酒、片っ端からもってきてー!」
「飲むしか!」
「……京太郎くんとのプロミスはいいのですか?」
「やっぱ瓶ビールで☆」
「一本!」
小蒔「あっ、そういえば私、携帯電話を持っていません!」
小蒔「これだと、京太郎さんからめぇるをもらえないんですけど……」チラッ
霞「……お父様に、相談されてはいかがでしょう」
小蒔「そうします!」
初美(……無理でしょうねー)
巴(ご当主、姫様溺愛してますもんね……)
春(というか、霞ちゃんが丸投げした……)
霞「なんのことかしら」ニコニコ
~10月第一週日曜 秋季大会予選
京太郎「朝だ……そして大会だ」
京太郎「先輩たちは出ないけど、俺は男子個人に出場……宮守女子に恥じない打ち方を見せないとな」
京太郎「そして必勝を誓い、朝はカツサンドだ!」
京太郎「うん、衣はサクッとしていて、中は非常にジューシーだ」
京太郎「カツサンドといえば普通はポークカツだけど、これはビーフカツ、それもミルフィーユビーフカツをサンドにしている」
京太郎「柔らかく口に入れやすいが、重厚な肉の味がして、ガツンとパンチがある」
京太郎「ソースは二種類、ウスタータイプと中濃タイプ、中濃にはマスタードも絡めていて、いいアクセントになってくれてる」
京太郎「ソースの絡んだキャベツの千切りは、脂ぎったお口の清涼剤だな」
京太郎「一つ食べたらスープを啜って、食べながらもスープを啜る」
京太郎「啜るっていうより食べるだな、これは。ポタージュはトロトロで、砕いたコーン粒と玉葱のみじん切りが、小気味いい食感を返してくるぞ」
京太郎「うん、うん……いい、カツとの相性も悪くない」
シロ「…………あのさぁ」
京太郎「……はい」
シロ「緊張してる?」
京太郎「若干……」
シロ「……緊張解くいい方法、教えよっか?」
京太郎「そんなのがあるんですかっ? ぜひ!」
シロ「耳貸して」
京太郎「はい!」スリヨッテク
シロ「…………」
京太郎「で、どうするんで――」
シロ「」チュッ
京太郎「!? なっ、ななな、なっ……」
シロ「ほ、ほっぺたくらいどうってことないでしょ……」カァッ
シロ「子供にお母さんがよくしてるし……リラックスできた?」
京太郎「は、はぁ……まぁ……」
京太郎「少なくとも、大会のことは頭から飛びました……」
シロ「……今日は、お昼はどうするの?」
京太郎「大会のお昼って、なにがいいかわからなくて……消化とか頭の回転とか、優先順位もわかりませんし」
シロ「悩むより、食べたいものでいいよ……まぁ、作ってないならいいか」
シロ「じゃあみんなで食べに行こう。大丈夫、奢ってあげるから」
シロ「豊音か塞なら、美味しいお店知ってるよ。会場近くの」
シロ「それを楽しみに、午前は頑張ってね」
京太郎「了解です!」
京太郎「会場に入った、もうすぐ始まるな……」
京太郎「あれ、携帯が……誰だろう」
『そちらも大会が始まる頃だと思います』
『落ち着いてください、といっても落ち着けないと思います』
『そういうときは……その、わ……』
『私の、顔を……』
『や、やっぱりなんでもありません! お互い頑張りましょう!』
『健闘を祈っています』
京太郎「……照れてる和、可愛いんだろうな……」
京太郎「ありがとな、緊張取れたぞ。そっちも頑張れ、応援してる……っと」
京太郎「うん、よし……おお、それ以外にも続々と」
京太郎「……ありがたいし、すげー嬉しい……」
京太郎「よぉし! 期待に応えるためにも……絶対に負けられねぇ!」
~予選大会、一回戦
京太郎「よろしくお願いします!」
A「ふっ、一回戦から俺と当たるとは運のないやつ……」
B「すまんが勝ち抜けはいただくぜ」
C「やれやれ、弱い犬ほどよく吠えるもんだ」
A25000
B25000→18600
C25000
京25000→31400
京太郎「そいつだ、ロン! 64000!」
B「なん……だと……」
A「くっくっく、デカい口叩いてもうそれか」
C「そっちのお前も、勢いだけはいいようだがいつまで続くか……」
C「ロ、ロン! 32000!」
B「」
A「」
京「」
Bが飛びました、試合終了です
京太郎「………………」
京太郎「……はっっ!」
京太郎「なんだ夢か……試合前にうたた寝してしまった、寝汗が気持ち悪い……」
京太郎「さて、気を取り直して出陣だ!」
~予選大会、一回戦
京太郎「よろしくお願いします!」
A「ふっ、一回戦から俺と当たるとは運のないやつ……」
B「すまんが勝ち抜けはいただくぜ」
C「やれやれ、弱い犬ほどよく吠えるもんだ」
京太郎「……またお前らか」
A「えっ?」
B「えっと、どこかでお会いしましたっけ……」
C「すいません、覚えてなくて」
京太郎「あ、なんでもないです」
京太郎(キャラ作ってんのかよ……)
A25000→26500
B25000
C25000
京25000→23500
A「ロン、1500です」
京太郎「あ、はい……あの、演技は」
A「いや、実際恥ずかしいんで、あれ……」
京太郎「そっすか」
A26500→28500
B25000
C25000
京23500→21500
A「ロン、2000です」
京太郎「くっ……」
京太郎「いかん、ジワジワ削られて……なんとかしないと」
A28500→26500
B25000→33000
親)C25000→21000
京21500→19500
C「やった、ツモ! 満貫、2000、4000!」
京太郎「!! まずい、このままじゃ……」
本来なら打点上昇判定ですが、流局しても京太郎ノーテンにつき終了
Bの一位抜けが決まりました
京太郎「…………」
コンティニューされました
A25000→17000
B25000→21000
C25000→41000
京25000→21000
京太郎「親でなかっただけマシ……切り替えていく」
A17000 →15700
B21000 →18400
C41000 →39700
京21000 →26200
京太郎「よし、上がれる! ここからだ……」
A15700 →9700
B18400 →12400
C39700 →57700
京26200 →20200
京太郎「倍満以上を、直撃させるしかっ……」
京太郎「……まだだ……」
C(もう勝ったも同然だな、やったぜ。)
京太郎「…………っ……」
A「くそっ……」
B「もう、終わりかよ……」
京太郎「…………っっ……」ゴッ
C「!?」トン
京太郎「……ロンだ」
C「えっ」ゾクッ
京太郎「清一色一通、ドラ乗って倍満です」
C「あ、あぁ……」
京太郎「ありがとうございました」
A9700
B12400
C57700→23700
京20200→44200
一回戦勝利
~大会予選二回戦
D「Aたちがやられたようだな」
E「やつらはアルファベット高でも最弱……」
F「漢字名にやられるとは英字の面汚しよ」
京太郎「お前らみんな同じ学校かよ」
D25000→26500
E25000→23500
F25000→26500
京25000→23500
D26500 →22600
E23500
F26500
京23500 →27400
京太郎「このまま、落ち着いて……」
D22600→21100
E23500→22000
F26500→28000
京27400→28900
京太郎(欲はだすな、二位でいい……けど、気持ちは負けないで……)
京太郎「よしっ! 二回戦も抜けた……」
~お昼休憩 試合再開
京太郎「なんだかよくわからない力に、二回ほど救われた気もするが……ともかく二回戦突破だ!」
塞「おーい、京太郎くーん!」
胡桃「やったね! 決勝進出おめでとう!」
豊音「ちょーすごかったよー、一回戦の逆転倍満!」
エイ「カッコヨカッタ!」
シロ「……おめでとう、はまだ早いね。でもよく頑張った」
エイ「英)京太郎、とっても素敵だったわ!」ダキッ
京太郎「!?」
四人『!?』
エイ「英)あの逆転手もそうだけど、二回戦は防御に徹して、通過することに専念してた……」
エイ「英)熱い姿もよかったけど、あのクールな顔も、最高に魅力的よ」
京太郎「え、お……えっと、あ、あー……英)あ、ありがとうございます、エイスリン先輩、けど……」
エイ「英)ん? どうかしたの?」ムギュゥ、スリスリ
京太郎「英)み、皆さんが、見てますけど……」
エイ「!!!!! ソウダッタ!」バッ
京太郎(あぁぁ……惜しいことをした……)
エイ「ミンナ、ゴメン……ツイ……」カァァッ
塞「べべべべべべ、別に、あああああ謝らなくてもいいじゃない! ちょちょ、ちょっと驚いただけだから!」
胡桃「塞、落ち着きなってば!」
豊音「わー、情熱的だよー、エイスリンさーん」
シロ「まぁ……抱きつかれた京太郎が鼻の下伸びきってるし、いいんじゃないかな」ムスー
塞「……ともかく、気を取り直して……うんっ、とりあえずお昼にしよっか」
豊音「そうだねー、京太郎くんも、お腹空いたでしょー?」
エイ「キョウハ、オベント?」
京太郎「えっ」
胡桃「えっ」
シロ「あっ」
京太郎「えっ?」
塞「シロ……あんたってコは……」
シロ「ごめん、つい……ちょっと緊張してて、伝え忘れた」
豊音「珍しいねー、シロが緊張してたなんてー」
胡桃「おまけに試合に見入ってたなんてね」
京太郎「仕方ないですよ。というか、むしろ嬉しいです。そこまで俺の応援しててくれたんですから」
エイ「(席から乗りだすように、前のめりなシロ)」カキカキ バッ
シロ「っ……そんなには、熱中してなかったはず……」
塞「してたわよね?」
豊音「してたよー、手も握リ締めてたよー」
シロ「……覚えてない」カァッ
胡桃「まーまー、それよりお店、決めないと」
エイ「タベタイモノ、アル?」
京太郎「あとは決勝だけですし、そこまで腹持ちがいいものじゃなくていいですね。あと、甘いものは欲しいかもです」
塞「じゃあ喫茶店でいいかー。このへんだと……」
豊音「あー、それじゃリクエストしていいかなー? すぐ近くに、イタリアンテイストな、ランチカフェがあったと思うよー」
京太郎「構いませんよ。それじゃ、そこにしましょう……さ、シロ先輩?」
シロ「……なに」ダル
京太郎「おんぶさせてください、いっぱい応援してくれたお礼です」
塞「あら、私たちもしたわよ?」
胡桃「そだねー、ハラハラもさせられたし」
エイ「オンブ、シテ!」
豊音「おっかけるけどー?」
京太郎「じゅ、順番で……(震え声」
~お店到着
京太郎「ふぅ……まさか本当に、みんなを背負うことになるとは……」
塞「させてないでしょ!」
京太郎「すみません、冗談です」
豊音「えへへー、でもいつかはしてほしいなー。そのときはおんぶじゃなくて、お姫様だっこがいいよー」
エイ「!!! ソレ、ワタシモ!」
胡桃「あー、それはちょっと憧れるよね。須賀くん背も高いし、軽くやってくれそう」
京太郎「実際できますよ」
シロ「……誰に?」
京太郎「えっ?」
シロ「誰にしたの、お姫様だっこ」
京太郎「……さぁ?」
胡桃「はーい、みなさーん。学級裁判です」
京太郎「まま、待ってください、俺はそんなこと――」
京太郎「事故というか、人命救助です! 中学のとき、咲が貧血で倒れて……」
胡桃「えっ、長野の魔王が!?」
エイ「オニノカクラン!」
豊音「そ、そんなこと言っちゃ悪いよー。宮永さん、線が細くて儚い感じだもんねー」
京太郎「いや、それが違うんですよ。あいつ、その日身体測定だからって、朝飯抜いてきたっていうんですよ」
京太郎「で、そのまま朝礼で立ってたら、気分悪くなったらしくてフラフラと……」
塞「あー、それはあるわね。朝はしっかり食べるべきだし、測定の朝だけご飯抜いても意味ないって、わかってるんだけど」
シロ「……それで、どうだった?」
京太郎「まぁ、保健室で寝かせてやったんで、なんとか。泣きそうになりながらゴメンって連呼するんで――」
シロ「?」
京太郎「――いえ。そのまま袖引っ張って離そうとしなくて、授業にも遅刻したはずです。ヒデー目に遭いました」
胡桃「わー、乙女だねー、宮永さん」
塞「体調悪いと不安になるからねー」
シロ「そうじゃなくて……彼女は軽かったの?」
京太郎「んー、たぶん軽かったですね。普通に運んでた記憶があります。けどいまは、昔より腕力ありますからね。咲だったら三人は抱えられそうですよ」
シロ「ふーん……なら、私もいけるね、よかった」
京太郎「おんぶとだったらどっちがいいですか?」
シロ「ちょいタンマ……んー……じゃあ、普段はおんぶで。たまにお姫様だっこ」
胡桃「贅沢だなぁ」
エイ「アマエスギ!」
塞「京太郎くん、もうちょっと厳しく躾けてちょうだい」
豊音「でもシロ見ると、つい甘やかしちゃうよー、すっごくかわいいからねー」
京太郎「わかります!」
シロ「ダルい……」
京太郎「――そんな感じでお昼を終えて、そろそろ決勝が始まるっぽい」
京太郎「ちなみにコンティニューはその日に2回だから、決勝でのやり直しはきかないはずだ」
京太郎「……俺はなにを言ってるんだ、コンティニューってなんだよ……」
~秋季大会予選 決勝卓
G「よろしく」
京太郎「皆さんは、別々の学校ですか?」
H「? まぁ、そうだけど……」
I「なんでそんなことを?」
京太郎「あ、いえ……よろしくお願いします」
親)G25000→36600
H25000→21100
I25000→21100
京25000→21100
京太郎「ふぅ……落ち着いていこう、ツキさえあれば、チャンスはつかめる!」
G36600 →39200
親)H21100 →18500
I21100
京21100
京太郎「っ……大丈夫だ、ツモは親でかぶらなければOK。放銃だけはしない、河に気を配れ……」
G39200
H18500
親)I21100→24000
京21100 →18100
京太郎「ぐっ……まだだ、諦めない!」
決勝卓敗退となりました
京太郎「はぁ……まだまだだな、俺は……」
京太郎「でも、夏の予選よりは遥かに伸びた実感がある」
京太郎「まだまだ、俺は成長できるかもしれないんだ……」
京太郎「そのために必要なことは――」
京太郎「もっともっと、執事としての腕を磨かなくては!」
塞「なーに言ってるのよ、あんたは」ペシッ
京太郎「あたっ! さ、塞先輩、聞いてたんですか……」
豊音「塞だけじゃないよー」
エイ「英)残念だったわね。だけど、最後に攻めようとした心は、とても勇敢だったわ」
胡桃「落ち込んでるかと思ったのに、まったくそんなことないね、君は!」
シロ「……さ、帰ろっか」
京太郎「……あ、あの、先輩方!」
五人「?」
京太郎「俺……先輩たちに、もっともっと尽くします!」
京太郎「ですから、今回の結果に呆れてしまったとしても……どうか見捨てないで、指導してください!」
京太郎「よろしくお願いします!」ペコッ
塞「…………はぁ、本当に京太郎くんは……」
エイ「ホウシ、イラナイ!」
豊音「そうだよー、同じ部活の仲間で、私たちは先輩なんだからねー」
シロ「……教えてほしいことは、教えてあげる……」
胡桃「見捨てるわけないでしょ、大切な後輩なんだから!」
京太郎「せ、先輩……」グスッ ダバー
塞「うわぁぁぁっっ! あいっかわらず、よく泣くわねー」
エイ「ヨシヨシ、イイコイイコ」
京太郎「ぐすっ、エイスリン先輩……英)その胸で、泣かせてください」
エイ「英)いいわよ、と言いたいところだけど……石戸霞くらいになるまで我慢してね。その頃には京太郎も、大会優勝できてるでしょ? そのときお祝いでさせてあげるわ」
京太郎「英)マジですか! やったー!」
胡桃「うう……やっぱりなに言ってるかわかんないや……」
豊音「でも仲良さそうだし、大丈夫だよー」
シロ「京太郎」グイッ
京太郎「わっ……おっ、おぉっ?」フニ
シロ「……頑張ったね、偉いよ」ムネウズメー ナデナデ
京太郎「ふぁっ、ふっ……ほぉぉぉっ……」
塞「ちょっっ! なな、なにしてんのよシロ! 京太郎くんも、すぐに離れなさい! 早く!」
エイ「(子供を引き合う母親二人の絵)」カキカキ バッ
豊音「それは大岡裁きだよー、それじゃ京太郎くんが引き裂かれちゃうよー!」
胡桃「いや、違うからね? 離した方が本当の母親だっていう話で――」
――こうして、一年の秋が終了した
【10月第一週日曜】
地方大会県予選、決勝卓までは残れた……けど、そこまでだった。
悔しくて仕方ないが、気落ちはしていない。
初心者が6ヶ月で――うち、数ヶ月はまともに麻雀していないが、それはさておいて――そこまでになれたんだ、次は決勝も突破して見せる。
目標も見えて、やる気が出てきた。
大会後は、残念会ということで食事会を開こうとしたが、リクエストにあってお茶会に。
時間も時間なので、夕飯が入らなくなりますよとお伺いしたが、それでも構わないとのことだった。
せっかくなので、今日まであまり焼いてなかった焼き菓子を、皆さんに振舞う。
レモンタルト、スコーン、果物の一口パイ、焼きドーナツにも挑戦、あとはお決まりのクッキーやフィナンシェを。
こちらは写真。 ※量はありますが、完食されています。
たくさん焼いたせいで、皆さんは無理をして食べてくださったのかもしれない。
綺麗に食べてもらえたのは嬉しいが、そこだけは気になっている。
四人をお送りすると、帰路は若干肌寒さを感じた。
まだ秋の半ばだが、やはり北の地は冬の予兆が早いのだろうか。
…………
終わった――。
次の大会は、3月の最初と後半。どちらにしても、先輩方は卒業後だ。
「予選か本選かのどっちかでも、優勝するとこは見せてあげられなかったな……」
色んな人から勝利の報告メールや、こちらの結果を気にする連絡が来ていたが、日誌で報告すると言って、伝えられなかった。
これを見た人から、すぐにメッセージが届くかもしれないが、今日はそんな気分じゃないな。
「勝った人には、祝福メール返しておいたし……ひとまずゆっくり寝よう、うん」
そこまで大きなショックはない、だけど夏の一回戦負けよりも、遥かに悔しい。
俺はこの先、あいつらみたいに全国で輝くことができるのだろうか。
『えーっ! キョータロー負けちゃったのー、ダメだねー! 私なんてもう――』
『すまない須賀くん。あのバカはうちのエース……いや、前のエースがしっかり教育し直している。今回の結果は立派な成績だ、胸を張るといい』
『残念やったなぁ。でもあんたはまだ一年、来年もあるからね。あんま気ぃ落としたらあかんよ』
『そうですよ、私も勝ちはしましたけど、運に助けられたとこもあります。お互いまだまだやし、頑張りましょう、同じ一年同士!』
『そっかー……だけどここからまた頑張れば、春に全国で会えるかもしれないよ! ひとまずお疲れさま!』
『あんまりクヨクヨしてもしかたないってば。切り替えていきましょうよ、ね?』
『はぁ……私も今回はダメでした。ですが、すばらな対局をできたとは思っています。これを糧に、成長いたしましょう』
『私も部長とん繋がりばなかったけん、いつもより厳しか。そん中で頼れっとは、普段の積み重ねやろね。やっぱ練習ば大事にせんとよ』
『……大丈夫。春は……あ、私じゃなくて、季節のほうで……ああ、じゃなくて……とにかく、春の大会までは私と練習しようね。待ってる』
『ごめんなさい、私の指導力不足でした。でもきっと、来年にはもっと力がついています、ここで足を止めないでください』
『そうそう! 初心者が半年で予選決勝なんて、それだけでもすごいことだと思うぞっ☆』
『麻雀初めて五ヶ月で東海チャンピオンになった高校生がいるらしい、ちな西愛知』
『中には例外的に強い人もいます。けれど往々にして、麻雀は運の要素も強いゲームです。反省は大事ですが、必要以上に落ち込む必要はありませんよ』
――――――――
~清澄
「京ちゃん、残念だったね……」
「あら、そうかしら。決勝に残れたなんてすごく強くなった証拠じゃない。うちにいたときより、よっぽどね……はぁ」
「そこで会長までため息つかないでください。ともかく、私たちが落ち込んでも京太郎くんの負担になるだけです。普段通りにしましょう」
「最後で数絵に捲られた私には、京太郎の気持ちがわかるじぇ……ぐすっ」
「お前さんもそう落ち込むな。夏と違って最初から東南戦の中で、よう頑張ったわ」
~龍門渕
「………………」ホーシン
「……声、かけづらいね、どうしよっか……」
「そっとしておきましょう、いまは。明日にはいつものお嬢さまに戻られるはずです」
「初っ端で初心者の役満、そのまま東横に翻弄されて、冷える暇もなかったな……」
「……さすがに、見かねる……」
「大丈夫だ! 透華ならすぐに立ち直る、それが衣の知っている強い透華だ!」
~永水
「落ち込んでるでしょうか……」
「かもしれないわね。だけどそれは、彼が麻雀に熱意を持ってくれたということだわ」
「雑用や奉仕に明け暮れるより、プレイしてくれるならいい兆候ですよー」
「そうなれば、こちらに戻ってきたとき一緒に打てる機会も多そうですし。ね、はるる?」
「ん……」ニコッ
~某居酒屋
「結局さぁ……強い人は教えるのが下手なんだよねっ☆ その点はやりは牌のお姉さんだから、初心者相手もお得意だよっ☆」
「……ごめんね、私のせいで……」
「え、えっと、そんな風に言われるとちょっと困るぞっ……じょ、冗談だからね、ほんとにね」アセアセッ
「空気!」
「まぁ……普段の彼は麻雀部ながら、やっていることは執事業ですからね。むしろこの結果は上々ですよ」
「はぁぁぁ……もういい、私、麻雀教えるのやめる……」
(落ち込みすぎだぞっ☆)
(本人以上に落ち込んでませんか……)
(激励!)
~白糸台
「菫、これはどういうことだと思う?」
「東北は寒い、ということだろう?」
「違う、そこじゃなくてその上。宮守女子は女子部員が五人、一人だけ送らないなんてことは、京ちゃんならまずあり得ない」
「……たしかに、四人をお送りしたというのは違和があるな。一人は早く抜けたか、誰かが迎えにきたんじゃないか?」
「京ちゃんの残念会で、あのメンバーが抜けるとは思えない。迎えが来た、っていうならいいけど……」
(あのパジャマの……小瀬川白望、だっけ……少し気になる)
~宮守
「惜しかったなぁ……だけど、実力的には届いてたと思うんだよね……もっと麻雀、打たせてあげたいなぁ」
「明日から連休だよね、どうしよう……部室に集まって、いつもの部活と同じようにしたほうがいいかな」
「英)電話、したいけど……迷惑かなぁ、きっと一人になりたいわよね……」
「うぅー、やっぱり残念だよー。京太郎くんの地方大会、見たかったよー」
「…………大丈夫かな……そっとしとこうって、思ってるけど……うーん……」
シロ「そういえば京太郎」モキュモキュ
京太郎「はい?」
シロ「私たち、部活は引退したけど……基本的に休みは、部室にいる」
京太郎「ええ!? シロ先輩、休みに学校行ってるんですか!?」
シロ「……そうだけど、その反応はいらなかったなぁ」
京太郎「……ダルくないんですか?」
シロ「ダルい、けど……そこじゃないと勉強しないし、しないともっとダルくなるからなぁ……」
京太郎「――で、俺にも休日は、部室に行けってことですよね」
シロ「そう。一応、午前中だけの予定だけどね」
京太郎「午後は勉強しないんですか?」
シロ「……どうかな。私はしない、みんなはしてると思う」
京太郎「その間、先輩はなにしてたんです?」
シロ「んー……色々、ボーっとしたり、ダラダラしたり、ゴロゴロしたり……」
京太郎「勉強しましょう(切実」
シロ「冗談……だけど、みんなもしばらくは、午後を空けてると思う」
京太郎「えぇぇ……どうしてですか、そんな……」
シロ「わからない?」
京太郎「ええ」
シロ「……ちゃんと考えたほうがいいよ」ハァ
京太郎「なぜか怒られた……理不尽だ」
京太郎「で、部室には来たわけだけど……おはようございます」
シロ「おはよ……ふぅ、こたつこたつ」モゾモゾ
塞「こら! 入るの早い! 先に勉強!」
京太郎「お手伝いします!」
胡桃「須賀くんはいいから! もー、やることやろうよ、ね?」
京太郎「やること……そうか!」
エイ「(麻雀牌の絵)」カキカキ バッ
京太郎「掃除ですね! あと、皆さんのお茶とお菓子のご用意を――」
豊音「わーん、全然わかってないよー!」
京太郎「ため息をつかれた、なぜだ……」
京太郎「とりあえず、朝のお茶をご用意しよう。それと、お菓子は――」
京太郎「昨日、結構たくさん食べられたみたいだし、軽いものにして……」
京太郎「クリームなしのマカロンなら、軽くて小さくて、手頃かな」
塞「……いつの間に用意したの?」
京太郎「え、ついさっきですけど」
エイ「サッキ、ココニイタ!」
胡桃「ちょっと勉強に集中したらこれだよ……もー!」
豊音「ふわー、マカロンおいしいよー」
シロ「こたつもお菓子もお茶もあるって、快適な部室になったなぁ……」
京太郎「さて、せっかくだし疲れた方に給仕させていただこうかな」
京太郎「一番疲れてそうなのは……この人か」
京太郎「英)どうぞ、エイスリン先輩……粗茶ではございますが」
エイ「アリガト! マカロン、オイシイ!」
京太郎「英)……そういえば、ちょっと調べてみたんですけど、エイスリン先輩ってパブロバは召し上がったことありますか?」
エイ「!! モチロン! 英)私の国のデザート、調べてくれたのね、嬉しいわ!」
京太郎「英)ええ、まぁ……で、その……試作品、みたいなものをちょっとご用意したので……味見していただけませんか?」
京太郎「英)菓子としてはできたんですけど、本場のものと同じかわからないので……」スッ
エイ「!? イ、イイノ……?」
京太郎「……はい、エイスリン先輩のために、ご用意しました」ニコッ
エイ「イタダキマス……」モグモグ
エイ「…………!!」コクン
エイ「…………っ」ポロポロ
京太郎「!? 英)す、すみません、おいしくなかったですか!? も、もういいですから、本当にごめんなさい! すぐお口直しを――」
エイ「! チガウ! ソウジャナイ!」
京太郎「えっ?」
エイ「……スゴク、オイシイ……ナツカシイ、アジ……」
エイ「英)本当に、あっちに帰ったみたいな気持ち……懐かしくて、心が温かくて……えへへ、感動しちゃったわ」
エイ「アリガト、キョータロ……英)また作ってくれるかしら?」
京太郎「英)はい、よろこんで……お茶、お代わりご用意しますね」
京太郎「……エイスリン先輩を泣かしたと、塞先輩と胡桃先輩にひどく叱られてしまった」
京太郎「お茶の時間は主人を笑顔にするもの、涙を流させてはいけない、か……俺もまだまだ修行が足りないな!」
京太郎「よし、続いて修行だ!」
豊音「……麻雀、しないのかなー」
胡桃「ま、まだ連休は始まったばかりだから(震え声」
シロ「京太郎……麻雀したら?」
京太郎「……ですよね。先週のこと、いつまでも引きずってられませんし」
塞(……やっぱり引きずってたんだ、当然だよね)
胡桃(一回戦負けより、決勝で負けたほうが辛いか……無理強いは、しなくてよかったのかなぁ)
京太郎「あ、そんなに気にしてたとかじゃありませんから、先輩方が気にするようなことでは……」
エイ「ゲンキ、ダシテ!」
豊音「そ、そうだよー! その、やりたいと思えばやればいいんだし、無理にしなくても……」
京太郎「うおぉぉぉぉぉっっ! 俺は今、モーレツに! 麻雀がやりてえええええええええええ!」
五人「」ビクッ
京太郎「だ、誰か指導してくれないかなー、誰に頼もうかなー」
京太郎「で、できたら美人の部長さんに教えてもらいたいなー、なんて……」チラッ
塞「…………」
京太郎「そ、そのほうがはかどるし、力になると思うんだけど……」チラチラッ
塞「………………」
京太郎「えっと……塞先輩、ご指導お願いしてよろしいですか?」
塞「いや、私はいいんだけどさ、京太郎くん……無理しなくていいんだよ?」
京太郎「……本当のこと言っていいですか?」
塞「うん、言って」
京太郎「マジで麻雀したいです、あと塞先輩に教えてほしいです」
塞「……そっか……ん、なら仕方ないわね、任せない!」ニヘー
胡桃(塞って案外ちょろいね……)
エイ(シンパイニナル!)
シロ「…………いいなぁ」ムスー
豊音「どっちがー?」
シロ「さぁね……」ダル
塞「さぁーって、やるからには徹底するわよ! 座りなさい、今日はしっかり攻めてもらうからね!」
京太郎(塞先輩を攻める、か……ふぅ……)
塞「うーん、だめかぁ……攻めるとどうしても、守りが薄くなっちゃうわねぇ。どうしましょ」
京太郎「すみません、集中力なくて……」
京太郎(腰に見惚れてたとか言えない)
塞「慣れてないからよ、心配いらないってば。ともかく打ちましょう、経験を増やせば見極めができるようになるからね」
京太郎「見極め、ですか?」
塞「攻めるべきとき、オリるべきとき、その判断のね。さ、続けるよ」
~部活終了
胡桃「……わっ、もうお昼だね! そろそろ撤収しようか」
塞「え、もうそんなに……うわやばっ、京太郎くん、片づけましょ」
京太郎「了解です! あ、牌磨きと掃除はやっとくので、皆さんお先に――」
エイ「ダメ! ミンナデスル!」
シロ「……えー」
豊音「掃除は楽しいよー、ほらー、シロも立ってー」
シロ「んー……しょうがないなぁ……」
京太郎「午後は皆さん、どうされるんですか?」
塞「とりあえず、家で食事して――ま、あとは自由よ」
胡桃「勉強することもあるけど、息抜きに出かけたりもするしね!」
シロ「京太郎も、好きにすればいいよ……私は寝るし」
豊音「皆で出かけることもあるよ!」
エイ「ヨテイ、アッタラ!」
京太郎「なるほどなぁ……」
京太郎「あっ……それでしたら、お願いがあるんですけど!」
豊音「わー、なにかなー?」
京太郎「特打ちっていうんですかね……午後から、練習に付き合っていただけないでしょうか。対局方式で」
エイ「イイヨ! ウチタイ!」
シロ「……そうだね。塞と胡桃以外は、指導に付き合えなかったし、いいかも」
塞「おっ、シロがダルがらないのは珍しい」
胡桃「夏の大会で、塞の様子見に行ったとき以来かな?」
シロ「ほかにもあったよ、たぶん……あと、それはお小水のついでで……」
塞「そこはお小水をついでにしてよ、お願いだからさぁ……」
京太郎(異性がいるのに、お小水はやめていただけないだろうか……)
エイ「ソレデ、ダレ?」
京太郎「えっ?」
豊音「メンバー入れ替えでもいいんだけど、待ってるメンバーが暇になっちゃうからねー」
シロ「その間寝てても、交代が入ると落ち着かないし……」
塞「まぁそうね。勉強でも同じか」
胡桃「ということで、メンバー固定でしっかり打ってきてちょうだい! さ、誰にする?」
シロ「じゃあ……胡桃の家行こうか」
胡桃「えー! なんで私の家!? 部室でいいじゃない!」
シロ「使ったら、また掃除だし……ダルい……」
エイ「クルミノイエ! ヒサシブリ!」
胡桃「んー……それもそっか、さっき掃除したのに、もったいないもんね」
京太郎「えっと、いいんですか、そんな急に……なんだったら、俺の部屋でも」
胡桃「須賀くんの部屋だと、須賀くんが家事始めちゃうでしょ。はい、それじゃ行こっか」
胡桃「どうぞ、適当に……って言っても、机囲んでもらったほうがいいよね」
エイ「ジュンビスル!」
シロ「……よろしく」
京太郎「シロ先輩、自分の山積んでくださいねー」
シロ「ん、了解」
胡桃「お茶淹れてくるねー」
京太郎「!! お手伝いを――」
胡桃「お客様は誰かなー?」
京太郎「よろしくお願いします……」
胡桃「ふんふむ、じゃあ東風戦で何回も回すって感じにしようか」
シロ「了解……」
エイ「オネガイシマス!」
京太郎「よろしくお願いします!」
シロ25000→24300
エイ25000→24600
胡桃25000→24600
京太郎25000→26500
京太郎「ツモです、400、700」
シロ「……あれ?」
胡桃「おー、さすが現役! ま、私たちもここからだよ!」
エイ「ワザマエ!」
京太郎「ツモです……っと、上がり止めで」
シロ「お疲れ……」グデー
胡桃「……すごいね、ちょっと本気でびっくりしちゃった」
エイ「アイエエエ……スゴイ、キョータロ!」
京太郎「いや、俺こそびっくりしてるっていうか……」
京太郎「塞先輩の指導が、効いてるのかなぁ……」
シロ「」ピクッ
胡桃「」ピクッ
エイ「」ムムゥー
シロ「ちょいタンマ……ん、ここから集中する」
胡桃「そうだね、やる気出たよ……勝負だ、京太郎くん!」
エイ「(角が生えたエイスリンの自画像、かわいい)」カキカキ バッ
京太郎(なぜか怒ってる気がする……どうしたんだろう)
京太郎「あの、鹿倉先輩、どうしたんで――」
胡桃「胡桃先輩と呼びなさい、京太郎くん!」
京太郎「は、はい……」
京太郎(逆らってはいけない雰囲気だ……)
胡桃「おっと、そういえばあれ、今回も東風戦でいいのかな?」
京太郎「お、お手柔らかに……」
シロ「悪いけど、今回は無理……」
胡桃「そうだよ、先輩の威厳見せてあげるから!」
エイ「マケナイ!」
シロ25000→21100
エイ25000→28900
胡桃25000
京太郎25000
エイ「ロン! 3900!」
シロ「……はい」チャラ
胡桃「うー、やっぱりエイちゃん強いなぁ」
京太郎(エイスリン先輩も、麻雀覚えて一年弱くらいだっけ……すごいな)
京太郎「………………あの」
シロ「」
胡桃「」
エイ「」
京太郎「お、お茶淹れてきますね……」
シロ「……やばい」
胡桃「なんだろうね、あの引き……しかも怖いとかじゃなくて……」
エイ「ウッテテ、アッタカイ!」
シロ「……うん」ドキドキ
胡桃「……顔、熱くなってきた……」カァッ
エイ「キョータロ、カッコイイ!」ニコニコ
京太郎「お茶が入りました……どうぞ」
京太郎「すいません、勝手にキッチン使うのもあれだったんですけど、いいオーブンだったのでつい……カップケーキなど」
京太郎「たまたま材料を持ち歩いてて、今日は抹茶もあったので抹茶カップケーキです」
胡桃「どうしてたまたまそんなのを!」
シロ「うん、うん……おいしい」
エイ「ステキナアジ!」
胡桃「自然に受け入れてる! 順応ってすごいなぁ……」パクッ
シロ(……っていいながら、食べるんだ)
エイ「(☆☆☆)」カキカキ バッ
京太郎「ありがとうございます」
最終更新:2026年01月15日 22:28