松実父「……すっかり新婚夫婦のようじゃないか、やはり――」
仲居頭「旦那さん、あまりそういうことをすると――お嬢さんに嫌われますよ?」
松実父「さーて、事務所に戻ろうか。書類仕事がたまっていかんなぁ、うん」
全員『いただきます!』
照「……この味噌汁おいしい。菫だね」
京太郎「ほんっとすごいですね、照さんの舌は」
誠子「意外ですね、先輩がこんなにお上手だったなんて」
菫「/// ま、まぁ……女の嗜み程度にはな」
尭深「そういえば、宥さんの実力はいかほどでした……?」
宥「わ、私はそんなに大したことは……」
京太郎「すごかったですよ。この肉じゃがは宥先輩ですから」
灼「えっ、それはすご……」
穏乃「すっごいおいしいですっ、宥さん!」
憧「……そういえば、料理教室のときも、なにげに手際が……」
玄「
お姉ちゃんはやればできる子なのです!」フンスッ
宥「ほ、ほめすぎだよ~」カァァッ
淡「さすが宥ちゃん先輩! スミレも上手だし、これは私も負けてられないかな~」パクッ
京太郎「お前は昨日、カレー手伝ってくれたろ」
淡「そうだった! ま、次は一人で作って見せるから、まぁ見ててよ」
穏乃「よーし、だったら私も!」
京太郎(とてつもなく嫌な予感がする……なぜだ……)
照「大丈夫、二人ともそれなりにできるよ……たぶん」
菫「お前、いい加減なこと教えて……残念だったら、京太郎くんが困るだろ」
尭深「妙に京太郎くんに優しい……ですね、先輩?」
菫「さてな……」フフッ
誠子「……もう元に戻ったか」ボソッ
灼「だから、その話はもう――」ボソボソッ
菫「聞こえているぞ、二人とも」
誠子「わわっ……そ、そういえばさ、午後は練習だったよね?」
玄「うん、そのつもりだったけど……」
淡「えーっ、せっかく旅行に来たのに、遊びたいよー!」
照「賛成」
菫「お前ら、遊びに来てるわけじゃないんだぞ。あくまで強化合宿――」
尭深「……という名目で、宮永先輩出資による旅行、でしたよね?」
菫「……まぁ、そうだが」
穏乃「そうだったんですか!?」
憧「意外ですねー、菫さんがそういうの許すって」
菫「……虎姫の卒業旅行、というつもりだったからな」
宥「優しいんですね」アッタカーイ
灼「となると……昼からはこの辺か、あるいは奈良市の観光に行ってみる?」
淡「いいねー、わくわくしてきた!」
玄「だったら赤土先生にも確認を――」
晴絵「その必要はないわ!」
淡「!?」
穏乃「ほむらちゃん! じゃない、赤土先生!?」
憧「あれ……そういえば、午前の練習にいたっけ……?」
晴絵「あっははは……ま、まぁいいじゃない。別に望と飲み明かしてたわけじゃないしさぁ」
京太郎「あっ……(察し」
※一日目の夜、三部屋のあとに入れる予定を忘れてた、てへぺろ☆
誠子「ということは、赤土さんもなにか考えてたってことですか?」
晴絵「そちらの渋谷さんから連絡をもらったとき、旅行だってことも聞いてたからね。午後は自由にしていいよ、市内だったらバスで回ればいいし」
晴絵「夜は車回してあげるから、遅くなっても平気だからねー」
照「ありがとうございます。さすが、阿知賀のレジェンドは格が違った」
晴絵「それほどでもない」
菫「助かります……さて、せっかくのご厚意だ。それなら奈良市のほうまで――いや、いいのか?」
尭深「なにがです?」
灼「あぁ、そうか……二人は来週、修学旅行で奈良を回るから」
誠子「まぁいいんじゃない? 京都と大阪もあるし、一度目ぼしいとこ見てれば、案内できるしさ」
尭深「うん、それに古都は何度見ても楽しめるから」
京太郎「いい……古都と女性、実に絵になります」ウンウン
憧「……いやらし」
京太郎「やらしくねーよ!」
玄「まぁ、それなら奈良に行くってことにしようか。それとも、吉野で山を回るのでもいいけど」
穏乃「うーっ……それもいいけど、山歩き用の靴がないと、大変だろうし……」
誠子「そうだね。私は大丈夫だけど、淡の靴だと厳しいかも。それにいまの季節、準備も大事だから」
宥「うん……ぼ、防寒具、足りなくなっちゃう……」ブルブル
照「誠子、宥を怖がらせちゃいけない」
誠子「む、無実です!」
灼「じゃあ奈良市に出よう。ハルちゃんは……?」
晴絵「ちょっと用事。まぁ夕方には奈良に行くから、好きに見て回っててー」
淡「そうだっ、晩御飯はどうするのっ?」
憧「せっかくだし、外で食べない? あ、せっかくって言うなら旅館のご飯のほうが――」
菫「いや、お昼まで提供してもらったんだ。そこは気にせず、観光の中で取るとしよう」
穏乃「決まりですね! んーっ、街のほうに出るの、久しぶりだなー」
尭深「そうなんだ……みなさんも?」
憧「私はたまーに。大阪、京都も行きますけど」
宥「私も久しぶりかも……」
玄「大丈夫、案内するくらいはできますので! どうぞ大船に乗った気持ちで、おまかせあれ!」
灼「玄が言うと不安……まぁ、私も大丈夫だと思う」
照「平気、いざとなれば京ちゃんがなんとかしてくれるから。ね?」
菫「おいおい、無茶を――」
京太郎「そうですよ、さすがになんでもは無理です」
誠子「だよね」
京太郎「奈良公園周辺と、ちょっと脚を伸ばして平常旧跡くらいなら、解説できますよ。あ、奈良町もだいたいは把握してますので」
菫「」
照「」
憧「」
穏乃「」
京太郎「?」
尭深「頼りになるね」ニッコリ
灼「あげないからね」
誠子「来月はうちかもねー」
玄「うぅ……お、お姉ちゃ~ん……」
宥「大丈夫だいじょうぶ」ナデナデ
淡「――というわけでっ、奈良市に着いたぞー!」ヤッフー
京太郎「さて、それじゃあどう回りましょう。最初に奈良町を見て、法隆寺、春日大社、東大寺と抜けるか――」
玄「反対に回って、奈良町を後か。食事は駅前か奈良町でと考えてますので。距離はほとんど変わりません」
灼「それと、平常旧跡を入れるなら最初か最後だね……ん、でも――」
菫「そうだな、京都から電車で吉野に来る途中、窓から少しだけ見えたからな」
尭深「ええ、ここは修学旅行でもスポットになる、この辺りを散策しましょう」
誠子「なら、コースはお任せしていいかな」
憧「んー、それだったら……あ、でもどっちでも……」
照「? どうしたの?」
穏乃「へへー、さっきから憧っ、甘い物のお店ばっかり考えてるみたいですよ! くいしんぼう~」
京太郎「お前、それは――」
憧「それ以上言ったら殴るから、ガチで」
京太郎「」サーセン
憧「じゃなくてー、照さんのため! 甘いもの、途中で買うならどっちがいいかなーって」
照「憧ちゃんは妹の鑑。望さんとかいうお姉さんが羨ましい」
京太郎「咲もいいやつだと思いますけど……」
照「否定はしない。だけど京ちゃんが言うと納得できない」
菫「複雑だな……まぁいい。それなら……うん、先に奈良町を回るとしようか」
宥「じゃあこっちだね。商店街を通って、その先に昔ながらの、格子の家並みが広がります」
~東向き・餅飯殿・下御門
照「!? このお店知ってる! 高速でお餅ついてるとこだ!」
憧「ここもおいしいですよー、あっ、いまやってるみたい」
穏乃「お正月じゃなくても、ここはおもちつきやってるんですよねー」
玄「突きたての、よもぎもちは絶品です。あとお隣では、おかきも焼いてますよー」
照「うん、たしかにおいしい」モチモチ
尭深「このおせんべいも、お茶に合いそう……買って行こうかな」ホクホク
菫「買うの早いな! 土産はあとにしたらどうだ。荷物になる」
京太郎「大丈夫です、俺が持ちますから」
菫「いや、しかし――」
京太郎「平気ですっ、みなさんのお役にたつことが、俺の役目ですから!」キラキラ
灼「……忘れてた、そうだ……」
淡「キョータローは、こういう状況でこそ燃える男なんだよね! かっこいー!」
誠子「でも気を遣いますよね」
京太郎「いえいえ、遠慮は無用です。どうぞこの執事を、遠慮なく使ってくださいませ」ニッコリ
宥「めっ!」
京太郎「はい、すいません」
菫「申し出はありがたいが、持ち歩いても照の餌にしかならないだろう。帰るときに、買うとしようか」
憧「お店、夜は閉まりますんで、それでも早めにお願いしますねー」
照「……餌はないと思う」
京太郎「お口にきなこついてますよ」フキフキ
照「ありがと、京ちゃん」
~奈良町、格子の家・音声館・あしびの里etc
尭深「うん、いいですね……綺麗な街並み」
灼「ここのお店、色んな玩具や……あと、お団子も売ってる」
照「うん、食べやすくていいね」モグモグ
憧「……ちょっと離れたところに、おすすめの和菓子が。さつま焼きって言うんですけど――」
穏乃「うー、春日庵さんだね……まぁ、奈良町に先に来たなら、仕方ないかー」
玄「東大寺から降りてくるのが先なら、あっちに行けたね」ヨシヨシ
誠子「なにかあったの?」
宥「ふふ、それはお楽しみです……明日もありますし、焦らないで大丈夫ですよ」
菫「これは……さるぼぼ?」
京太郎「目的としては同じですね。こちらのは形状が違い、軒先に複数吊るしてますけど」
淡「あははっ、家の中せまーいね! でもずーっと奥まで続いてる!」
灼「昔ながらの町屋造り、うなぎの寝床だからね」
尭深「あっちにカフェがあるみたいだね。カプチーノとかもあるし、抹茶もあるみたい……」
憧「そうですね。ちょっと休んで行きましょうか」
照「時間は大丈夫?」
玄「一時間くらいなら平気ですよ」
宥「ここが春日庵ですね」
誠子「へー、さつまいもの形の焼き菓子なんだ……中には、こしあん?」
穏乃「薄皮で、だけど甘さも上品で、おいしいですよ!」
憧「そういえばあっちに、揚げみたらしのお店も――」
照「すごい、食べ物に困らない。来てよかった」
菫「去年来たときは、まるで知らなかったな……」
尭深「来週は、クラスのみんなを案内できます」
京太郎「なんだったら、俺が案内しますよ」
宥「学校は?」
京太郎「奈良到着、午後からですよね? 終わってから来れば間に合いそうですけど」
誠子「そこまではさせられないなぁ、それに、ほかの学校からも来るんじゃない? 神代さんとかさ」
穏乃「あぁっ、そうだよ! 一緒に回って、どこかで打とうよ!」
京太郎「小蒔先輩か……お付の人いないだろうから、心配だなぁ……」
~浮見堂・飛火野・一の鳥居
穏乃「てっへへ、ごめんごめん……」
京太郎「いくら広い土地見たからって、いきなり走りだすなよ……鹿がすげービビってたぞ」
誠子「でもたしかに広いよね……歩くのは気を遣うけど」
京太郎「すみません、誠子さんだけお付き合いいただいて」
誠子「気にしないでいいよ、穏乃ちゃん可愛いからね」
穏乃「ウェヒヒ、ありがとうございます!」
京太郎「みんなにはバスで先に春日大社行ってもらったから、その間に東大寺に行って、そこで合流だな」
誠子「春日大社は来週、尭深に案内してもらうよ」
~春日大社・東大寺・二月堂
京太郎「さて、待ってれば来ると思うけど……」
??「た、助けてっ……」
京太郎「あれ、いまの声――」
照「だめっ、これはあげない! こらっ、ああぁぁっ!」
京太郎「はぁ……照さん、それは相手の見える位置に持ってちゃだめです」ヒョイ
照「京ちゃん!」
菫「お前、修学旅行でも同じことしてただろ」
宥「これはね、一枚だけ取って……あとは隠して、一枚だけあげるんだよ。たかーくあげて」フフッ
京太郎「そうすると、ほら」
菫「せんべい欲しさに――というわけではないかもしれないが、鹿が頭を下げるわけだな」
宥「はい、お食べ~……ふふ、よしよし」アッタカーイ
照「うう、菫と宥には懐くのに……獰猛な生き物……」ギュルルルルルル
京太郎「はいはい、威嚇しないで」
照「悔しいからこれ食べてみ――」
京太郎「原材料は主に糠です。おいしくありませんよ」
照「そうなの? だから菫が、前に食べるなって取り上げたんだ……」
菫「感謝しろよ?」
宥「うふふふふ、あったか~い」
京太郎「いつまで撫でてるんですか……さ、早いとこ回っちゃいましょうか」
菫「ああ、そうだな――」ヒョイ
照「!! あぶない菫っ!」
菫「えっ?」
シカ「おっ、こんなとこにせんべいカスみっけ。いただきます」パクッ
菫「えっ?」
京太郎(鹿が、菫さんのスカートの裾を咥えようと――くっっ!)
京太郎「――おいたが過ぎるな、そこの鹿」
シカ「えっ、ちょっ、まっ……あ、あれ?」
シカ「あっ、こっちか……なんや、まともなせんべい落ちてるやん、ラッキー」パクンチョ
京太郎「ふぅ……危なかったですね、菫さん」
菫「あ、うっ……////////」
京太郎「どうかしましたか?」
宥「いつまでスカート握ってるのかな、京太郎くん?」ニコニコ
照「このままだと通報しないといけなくなる。京ちゃんにそんなことはしたくない」
京太郎「――っっ! す、すいませんでした! そそ、そういうつもりではっ、あのっ、鹿がですね!」アセッ
菫「わわ、わかっているさっ……その、不注意だった。すまない、助かった……」
京太郎「なら、よかったです……あの、照さん、宥先輩、そういうことですから――」
照「? 知ってたよ?」
宥「ごめんごめん、ちょっとからかっただけ。やりすぎちゃったね」ヨシヨシ
京太郎「はぁ……趣味悪いです」
菫「わ、わかったから、その……いい加減、スカートを離してくれないか……///」
京太郎「」
~手貝門(転害門)
誠子「へー、東大寺って南大門ばっかり有名だけど、反対側にも門があるんだね」
穏乃「ここはネコの溜まり場になってるんです。お昼はよく、昼寝で溜まってるんですよ」
宥「ポカポカしてそう……でも、夕方からは寒いね……」ブルブル
尭深「この季節ですから……よければお茶、いかがですか?」
宥「あったか~い」
京太郎「!? くっ、しまった……俺としたことがっ……」
尭深「油断大敵、だよ?」ナデナデ
菫「……尭深もあちら側の人間だったか……」
憧「その前に、なんで湯呑入りのお茶があるのか、疑問持ちましょうよ……」
淡「ずるーい、タカミー! 私もノドかわいたー!」
京太郎「どうぞ、お嬢さま……淹れたてのオレンジペコーでございます、どうぞ」スッ
淡「ありがと、キョータロー♪」
玄「そろそろ夕飯の時間だね、なに食べよっかなー」
灼「動じないね、玄……」
菫「そういえば、近くには大学もあると聞いたが……」
宥「あっ、そうだよ~。ちょっと離れたところ、奈良女子大があるんだ~」
玄「お姉ちゃんはそこを目指しているのです!」
誠子「そういえば、先輩もですけど合宿中、練習ばっかりになってないですか?」
宥「うん、合間を見て勉強してるから~」
淡「だめー! 勉強の話禁止!」ガオー
憧「そういや昨日の夜も、あんたそうやってたわね……そんなに勉強いや?」
某七人「…………///」
憧「…………ふ、ふきゅっ……」
誠子「昨日の夜って単語もだめなんだ……」
尭深「本格的に興味湧いてきたかも……」
京太郎「なんもかんも俺の手が悪い」
~夕食はカット(奈良町の豆腐料理か、駅前のオムライスか中華、まぁ好きなの食べた感じで)
淡「ふぃー、まん……コホン、お腹いっぱいになっちゃった……///」
尭深「言わなくてもいいけど……慎みを持ったからよしとしましょう」
菫「そろそろ帰ったほうがいいと思うが……お土産は大丈夫かな」
京太郎「はい、全員分持ってます!」ドチャッ
宥「ごめんね、持たせちゃって」
京太郎「余裕です!」
灼「むしろ、生き生きしてるし……」
玄「赤土先生から連絡きましたー。マイクロバスだしてもらったって、駅前に来てるそうです」
晴絵「おー、どうやらお腹いっぱいって感じね。外もいい感じに暗いし……さて、そろそろ行きますか」
玄「どこ行くんですか?」
晴絵「着いてのお楽しみってね……あ、運転お願いしまーす」
運転手「コーホー」
京太郎「!? 一人抜けてて、板場の夕食は大丈夫だったんですか?」
宥「私たち11人が抜けたから、大丈夫だと思うよ」
京太郎「……ま、そうだよな」
照「えへへ、京ちゃんの隣確保」ギュッ
憧「じゃあその隣、わったし~」チョコン
淡「反対側は私がキープ!」エヘヘー
穏乃「えーっ、ずるい! じゃあ私は膝の――」
京太郎「乗るか? いいぜ、こいよ」スッ
穏乃「――っっ/// や、やっぱり、いいっ……誠子さん、お隣失礼します!」
~若草山ドライブウェイ、若草山頂
晴絵「この先だよ~、ちょっと暗くなるけど、行ってみるといい」
運転手「コーホー」
晴絵「ってことで、あとは若いもんたちだけで――ほい、そこであんたの出番」
京太郎「なんすか!」
晴絵「……誰か一人誘って、エスコートしてやんなさい」ヒソッ
京太郎「え、全員連れて行くんじゃだめですか?」
晴絵「別にいいけど、それじゃつまんないでしょー。個別に好感度、上がんないよ?」
京太郎「なんの話ですか……」
晴絵「えーっ、いーじゃん! ちょーだいよー! 今夜、望と飲むときの肴くらい、提供してよー!」
京太郎「最低の教師だな、あんた!」
晴絵「――ってのは冗談半分。まぁあれよ、世話になってる人に感謝するには、結構いい場所だと思うのよね。ほい、いってらっしゃい」
京太郎「強引に押しだされてしまった……」
~駐車場から山頂までの道、暗いよ!
宥「うぅぅぅ……あったかくない……」ブルブル
京太郎「――どうぞ、宥先輩」フワッ
宥「あ……あったかぁ~い」ポワァ
京太郎「薄手のコートですけどね。俺はちょっと暑いくらいですから、どうぞ」ブルッ
宥「…………」クスッ
宥「無理しないの……って言っても、男の子だもんね……じゃあ、こうしようか」キュッ
京太郎「!!」
宥「ふふ、これでお手てもあったか~い、ね?」ニコニコ
京太郎「……ですね。ほんと、宥先輩には敵いません」
宥「そうかなぁ。私もいつも思ってるよ、京太郎くんはすごいなぁって」
宥「お料理もお掃除も、勉強もそれ以外も――どれも、誰よりも上手にこなしてるよね」
京太郎「俺以上はたくさんいますし……俺なんてまだまだです。麻雀だって、下手くそですからね」
宥「でも努力はしてる、それに実を結んでるよ……大丈夫、京太郎くんはもっと、上を目指せるよ」ナデナデ
京太郎「……あったかいですね、宥先輩は……」
宥「えっ? そ、そんなことないよっ……私なんて、いつも寒くって震えてるし……」
京太郎「……そんなことなくないです。宥先輩は、誰よりも心が温かいと思います」
京太郎「そうやって、俺のことをいつも見て、慰めて、支えてくれてます……」
宥「そ、れは……違うよ、いつも助けてくれるのは、京太郎くんのほうでっ……」
京太郎「少なくとも俺は、そう思って……今日まで、助けてもらいました。学園祭のときもそうです」
京太郎「部のみんなも、玄先輩も、赤土先生も――そう思ってるはずですよ、宥先輩に助けられてるって」
宥「うぅ……そう、なのかなぁ……だとしたら、嬉しいけど……でも、やっぱり――」
京太郎「俺は宥先輩の温かさに、助けられてます」
宥「――っっ!」
京太郎「先輩、俺のこと寒いですか?」
宥「そんなことない! あったかい……とっても、あったかいよぉ……」
京太郎「俺は、そんな風に思ったことはないです。でも、先輩はそう言ってくれる……だったら――」
京太郎「俺は、先輩が温かいと思ってくれる俺は、誰かを温められてるんだと信じます」
京太郎「だから先輩も、自分が俺を温めてくれてるっていうこと、信じてください」
宥「う、ん……わ、かったよ……」
京太郎「本当に?」
宥「は、はいっ……」
京太郎「だったら――どうぞ、気をつけてください」
宥「――うわぁ……」
※若草山山頂からの光景、奈良から生駒まで見渡せる夜景です
京太郎「この光を見ながら、誓ってください」
京太郎「私は自分が温かい子だと信じます、はい復唱!」
宥「はひっっ! わ、私は自分が温かい子だと信じます!」
京太郎「はい、よくできました」ニコッ
宥「は、うぅぅ……ずるいよぉ、そんないきなり……」
京太郎「はい、俺って案外、ずるいんですよ。寒くなりましたか?」
宥「……ばかぁ、そんなわけないでしょ……」ウデギュッ
宥「ほら、とぉ~っても……あったかぁ~い」
京太郎「ありがとうございます――」
~松実館、大浴場
京太郎「ふぅ、すっかり遅くなったけど、宿の温泉は遅くまで入れるからいいなぁ……」
京太郎「ん? なんだか気配が……」
京太郎「ほかの男性客が――は?」
憧「へ――?」
玄「ふぇ……?」
京太郎「」
憧「」
玄「」
京太郎「――っ――な、なにっ、なにやってんだああああああぁぁぁぁっっ!」
憧「こっちのセリフよこのヘンタイいぃぃぃぃっっっっ!」
玄「きょきょきょきょきょ、京太郎くんっっ!? ここ、こっち女湯だよ!?」
京太郎「はぁぁっっ!? あいっ、いてっ、桶投げんじゃねえ、憧ぉっ!」
京太郎「いやいやいや、こっち男湯ですって! まだ10時前ですよ! 入れ替え前じゃないですか!」
玄「…………あれ?」
憧「バカッ、こっち見んなぁぁぁあぁぁっっ!」
京太郎「バスタオル巻いてんだからいいだろうがっ!」
憧「よくないわよっ! あんたアレよっ、透視とかできそうだもん!」
京太郎「できねーよ、まだなぁっ!」
玄「――ごめん、憧ちゃん」
憧「まだってなによっ、やっぱりでき――え?」
玄「あはっ、あははははっ……い、入れ替え、一時間勘違いしてた☆」
憧「――――そっ――ッ……それ、なら……あ、あははは、お邪魔し――」
京太郎「おう待ったらんかい」
憧「ご、ごめーんね☆」
玄「ごめんなさいですのだ」ペッコリン
京太郎「謝って済むかああぁぁあぁぁっっっ! こっちは実は心臓バックバクだったんだぞ、やっちまったかと思ったんだぞ!」
京太郎「なっ、泣きっ……泣きそうだったんだからなぁっ……」ボロボロッ
憧「ちょっ、泣いてるっ、あんた泣いてるからっ! ごめんってばぁ!」
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど、なるほどー」
憧「ちょっと玄っ、あんたも謝って――」
玄「じゃあ、あの……お詫びとして、こ、ここ……混浴する! っていうのは……ど、どう、かなぁ?」テヘッ
憧「」
京太郎「」
京太郎「ほかの男性客が――は?」
菫「は――?」
玄「ふぇ……?」
京太郎「」
菫「」
玄「」
京太郎「――っ――な、なにっ、なにやってんすかああああああぁぁぁぁっっ!」
菫「こっちのセリフだ!!!!!!! えっ、おっ、あっ、えぇえええぇっっっ!?」
玄「きょきょきょきょきょ、京太郎くんっっ!? ここ、こっち女湯だよ!?」
京太郎「はぁぁっっ!? あいっ、いてっ、いたいですっ、桶投げないでっ、菫さん!」
京太郎「いやいやいや、こっち男湯ですって! まだ10時前ですよ! 入れ替え前じゃないですか!」
玄「…………あれ?」
菫「バカ者ッ、こっ、こっちを見るなぁぁぁあぁぁっっ!」カァァァァッッ タオルギュゥゥゥッ
京太郎「バ、バスタオル巻いてますしそれでなんとか……」
菫「なんともなるかぁぁっっ! ともかく、向こうを向けっ、目をつむれぇぇぇっっっ!」
京太郎「伏せてますっ、閉じてますから!」
玄「――ごめんなさい、菫さん」
菫「向こうを向けと言っているだ――え?」
玄「あはっ、あははははっ……い、入れ替え、一時間勘違いしてました☆」
菫「――――そっ――ッ……それ、なら……あ、あー、うむ……なんだ、京太郎くん……じゃ、邪魔をし――」
京太郎「それだけですか?」
菫「す……すまないっっっ!」フカブカー
玄「ごめんなさいですのだ」ペッコリン
京太郎「謝って済みますかああぁぁあぁぁっっっ! こっちは実は心臓バックバクだったんですよ、やっちまったかと思ったんですよ!」
京太郎「なっ、泣きっ……泣きそうだったんすよぉっ……」ボロボロッ
菫「なな、泣くな! 頼むから、泣かないでくれっ……私たちが悪かった、この通りだ!」ザバァッ ジャバジャバ ヨシヨシ
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど、なるほどー」
玄「――で、ですね。いまはこっちが、女湯なのです!」
菫「ほう、こちらの景色も味わえるのは嬉しいな」
憧「みんなも来ればいいのにねー、あれ、先客が――」
京太郎「――は?」
憧「へ――?」
菫「なっ――」
玄「ふぇ?」
京太郎「」
憧「」
菫「」
玄「」
京太郎「――っ――なっ……ん、でっ……」
憧「――ぁ――」
菫「――っっ……~~~~~~っっっ」
玄「…………あれれ~?」
京太郎「なにやってんすかあんたがたあああああああぁぁぁっぁあぁぁぁぁぁあっっっっ!」
憧「それはこっちのセリフでしょうがああああああああああぁぁぁっっっ!」
菫「きょ、きょきょきょっ、きょうっっ、たっっっ……なななっ、なにをしているお前はぁぁぁっっ!!」
玄「こっち女湯だよおぉぉぉぉぉおっっっっ!?!? なにしてるのっ、ははっ、はやく出てぇぇっっ!」
京太郎「はあぁぁっっっ!? ちょ、なにをかんちが――あいっ、いたっ、いてぇっ! 憧っ、こらっ……菫さんもっ、痛いです!」
憧「痛がってないでとっとと出て行きなさいよっ、バカァァッ! あとこっち見んな! 目隠ししなさい!」
京太郎「バスタオル巻いてんだからいいだろうがぁっっ!」
菫「いいわけないだろう、この痴れ者ッッッ! 向こうを向けっっ! そのままこちらを見ずに出て行けぇぇぇっっっ!」
京太郎「見てませんっ、伏せてますから!! っていうか玄さんっ、なに勘違いしてんです! まだ10時前ですっ、入れ替え前でしょ!」
玄「………………(脱衣所の時計を遠目に)」チラッ
菫「言い逃れをするなっっ!」
憧「そうよそうよ! 玄はこう見えても、ここの娘なのよ! いまさら間違ったり――」
玄「ご……ごめんなさいっっ! 菫さん、憧ちゃん!」ペッコリン
憧「まち、がっ……た――り?」
菫「………………おい」
京太郎「………………」ボロッ
玄「い、入れ替え時間……一時間、勘違いしてましたのだ……てへっ☆」
京太郎「…………わかってもらえましたか」
憧「………………あー、うん……ま、まぁ、そうよね! そういうことなら……し、仕方ない、かな?」タオルギュッ
菫「そ、そうだな……なんだ、えーっと……じゃ、邪魔をしたな、京太郎くん。それじゃ――」
京太郎「――それだけですか?」
菫「――っっっ! も、申し訳ないっっ! 本当にすまなかった!」フカブカー
憧「ごめんなさいっ、京太郎! その、つい……あぁぁっ、違う! ごめん、ほんっとごめん!」ペコー
玄「すみませんですのだ!」ペッコペッコリン
京太郎「あ――」
京太郎「謝って済むかぁぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁ――――――っっっっっっ!!!!!」
京太郎「おっ、俺っ、また――またやっちまったかって、やらかしたかって思っでぇ……ひぐっ、えぐっ……」ボロボロッ
憧「ちょっ、な、泣かないでよ!」オロオロ
京太郎「ほんとは俺がミスったんじゃないかって、何回も仲居さんに確認したのに、それでも間違ったんじゃないかって、心臓バクバクでっ……」シクシクッ
菫「わ、悪かった、この通りだ、謝るっ! 泣かないでくれ!」バシャッ ジャバジャバッ ヨシヨシ
玄「ふぅ~む、なるほどなるほど、なるほどぉ~」ホムホム
菫「お前はなにを感心してる!」
憧「そうよ、元は玄の勘違いからでしょ! あんたも謝って――」
玄「――じゃあ、あのっ……」
玄「お、お詫びにだよ! こ――混浴、するっていうのはどうかな!!!!」カァァッ
京太郎「」
憧「」
菫「」
憧「なんで……」カァァァァッ
菫「こ、こんな、ことに……」フルフルフル
玄「ご、ごめんなさいです……」モジモジ
京太郎「……あ、あのー、でしたらやっぱり――」
憧「……あんな満面の笑みでさぁ、はいもちろん! 喜んでー! なんて言ったやつのセリフぅ?」
京太郎「や、その、はい、まぁ……あれは、男のサガというか……チェーンソーで真っ二つっていうか……」
菫「い、いや、大丈夫だ……冷静に考えれば、しっかりタオルを巻いていればどうってこと――」
玄「そうですよ! それに、昨日のことを思えば、このくらいのこと――ぁ」
菫「~~~~~~~~~っっっっっ//////////」プシュゥゥゥゥッ
京太郎「――あ、の……やっぱ俺、もう上がりますんで――」
菫「っっっ! ま、待て! それはだめだ!」ガシッッ
憧「そうよ! その……私たちだって、追いだしたとなったら後味悪いしさぁ……ほんと、悪いと思ってるから……」
玄「も、もう、黙ってますから……三人で、ゆっくり浸かっててください……」ショボン
京太郎「俺は大丈夫ですから……その、菫さんも……」
菫「――ああ、そうだ。もちろん私も、誰かが悪いとは思ってない……昨日のことは、私の不徳が致すところだ。言い訳のしようもない」
憧(……ほんと、なにがあったっていうのよ……)
京太郎「だったら、その……一つだけいいですか、菫さん」
菫「なんなりと聞こう」
玄(ん? いまなんでもするって――)
憧(言ってないから! ちょっと黙ってて!)クワッ
京太郎「あの、気にしないでとは言いませんから……俺のこと殴って、気持ちだけでもすっきりさせてください!」
菫「!?」
京太郎「菫さんは自分のミスと思ってるみたいですけど、あれは……俺が、マッサージに集中するって思い詰めたことが、逆に招いたことだって思ってます」
京太郎「普通の男だったら、あの状況はやばいと思って、部屋を出たと思います。でも、俺はそうしなかった――どうしてだと思います?」
菫「……君が紳士だからさ。そして私は、どうしようもなく……あ、浅ましくて――」
玄「私も……反省、してます……」
憧(なにがあったのか、わかないのが逆にぃぃぃっっっ……ふきゅぅぅぅっっ////)
京太郎「逆です。そうならないように意識したのは、その――そ、そういう気持ちが、めちゃくちゃでかかったからです!」カァァァァッ ムクムク
菫「!!!! や、そ……それ、は……つまり、そういう……き、気持ちで、マッサージ……を?」
京太郎「じゃ、なくて……その、すげー反応はしちゃってたんですけど……それを絶対に意識しないで、仕事に徹しようと決めたんです」
京太郎「でも結局、そのせいでみんなに恥をかかせてしまった……ん、ですよね……だから、俺が悪いっていうか……」
菫「――そうか、わかった」
玄「す、菫さん、でも――」
菫「大丈夫だ、殴ったりはしない……なぁ、京太郎くん」
京太郎「はい」
菫「……君が悪いと思うのと同じように、私も……そしてほかのみんなも、自分の反応を恥じているはずだ」
菫「ただ、私だけが君を……その、なんだろう……と、特別に、強く意識しているんだ。その……か、顔を、正面から見られたから……な……」カァァァッッ
京太郎「」ムクムクムク シャキーン
菫「君は自分を悪いと思う、私たちは自分を恥じる。そこで終わらせよう。いや――私が終わらせればいいんだな。こうして……」スルッ
憧「ちょっっっ!?」
玄「おもちっっ! へぶっっ!」
憧「黙ってなさい!」
京太郎「」スタンバーイ
菫「は……はは、は……露天が、暗くて助かったよ……その……あまり、見ないでもらえると……助かるな……」
京太郎「~~~~~~~~っっっ!?!? なんっ、なっ、ななななっ、なにしてっっ……」グルンッッ
菫「凝視さえしなければ、こちらを向いていても構わないが――」
京太郎「けけ、結構ですっっ!」
菫「そうか……まぁ私の身体は、それほど魅力的ではないからな。そうもなるか……」ハァ
玄「とととと、とんでもございませんですのだ! でで、できれば質感などを――きゅっ」ハァハァ…キュッ
憧「――黙って、ね?」
玄(あい……)
京太郎「その、本当にっ……タオルを、巻いてくださいっ……」
菫「――そう思ってくれる気持ちが、本当の君の気持ちなんだろう。ならそれで十分だ……君を殴る必要もない、悪いと思われることもな」
菫「私も……うん、少しすっきりした……これだけ恥ずかしい思いをすれば、過去のことなど笑い話にできるよ……さ、戻したぞ」ジャバッ
京太郎「……本当に、大丈夫ですか?」
憧「さ~、どうかしらねぇ? 振り返って確かめてみれば~?」ニヤニヤ
玄「あぁぁ……おもち、おもちぃ……」シュン
京太郎「ありがとうございます、玄さん。おかげで助かり――」クルッ
京太郎「」
玄「あ、あはは……み、見ないでね、あんまりね?」
憧「~~~~~~~~~っっっ……こ、れは……結構、ふきゅぅぅぅっ……////」
憧「は、ずっ……ご、ごめん、あたしもう限界っ……」ギュゥッ
菫「君は昨日のことがないのに、無理をすることはないだろう(憧を自分のタオルでガード)」
憧「や、その……菫さんが、そう思うだけのことがあったんなら……女として、庇ってあげないとー、みたいに……あはは」
玄「やっぱり憧ちゃんは優しいね……さて、京太郎くん?」
京太郎「」
京太郎「」
憧「いつまでどっか行ってんのよ! も、も、戻ってきなさいよっ////」ベシンッ
京太郎「はっっ! あ、あぁ……うん、その……ありがとうございましたぁぁぁっ!」バシャンッッ
玄「水中土下座!?」
憧「こっち見ないでよ!?」ザババッ ギュゥゥッ
菫「ふふ、純情なものだ……まったく、こんな子供に動じていたなんて、我ながらまだまだ――」
玄「顔真っ赤ですよー、菫さん?」
菫「……こ、子供ではあるが、男性だからな、彼も……」
玄「……本当は、子供とも思っていないでしょう?」ボソッ
菫「~~~~~~~~~~~~っっっっっ///// んなっ、なにっ、をっ……いい、言ってるんだ!」
玄「真面目でー、紳士でー、色々できてー、マッサージも……とっても上手ですし」ボソボソッ
菫「ひっ、ひゃっっ……や、やめ、ろ……んくっ、くぁぁっ……」
菫(やめ、ろ……思い、だしてしま……うぅっ、あぁぁっ……)ゾクゾクッ
玄「――そんな彼が、私たちは好きなんです……阿知賀女子麻雀部も、そして……永水や宮守も」
菫「――ぁ……あ、あぁ、そうだな……照や、清澄の麻雀部もな」
憧「あれ~? 菫さんは入らないんですか?」
菫「からかうな、憧……そういう君はどうなんだ?」
憧「の……ノーコメント、で……」フキュゥゥ
玄「よしよし、憧ちゃん頑張ったもんねー」ナデナデ
菫「さて、そろそろゆっくり浸かって――おい」
玄「……あれ、そういえば……」
憧「ちょっっ! あ、あんたいつまで――いい加減に起きなさいよ!」
菫「まずいぞっ! おい、京太郎く――」
玄「京太郎くん、大丈夫! あ、わ、私誰か人を――」
京太郎「――っっっ、ぷっっっっっはあああああぁぁぁぁぁぁっっっ!」ザバァァッ
玄「」ゼンラー
菫「」ゼンラー
憧「」タオルオトシテゼンラー
京太郎「あー、すんません! 湯船に潜って、スッキリさせましたんで! もう大丈夫で――」パチクリ
京太郎「」
京太郎「あ……えっと、じゃ、そろそろ俺は――」ジャバッ
京太郎「失礼しました。そろそろ入れ替えの時間だと思いますので、ごゆっくりどうぞ。では」ペコリ
京太郎「(前屈みで退場)」コソコソ
憧「ふっっっ……ふきゅぅぅぅぅぅぅぅっっっっ///////////////」
憧(見られた見られた見られた見られた見られた見られたああああああああああああああ!!!!!!)フギュゥゥゥゥ
玄「はぅっ、はっ、うっ……あうぅぅぅっっっっ//////////////」
玄(お、お、およ、お嫁にいぃぃぃぃっっ……どどどど、どうしようっっっ、お姉ぢゃぁぁぁ~~~~ん)ブワァッ
菫「…………くっ、ふっっ……ははははっ、あーははははははっっ!」
菫「本当に、君はっ……あぁ、本当に……君には、恥ずかしいところばかり見せてしまう……楽しくて仕方ないよ、ふふっ……」
【二日目】
~一年
「あ……あぁ……あああああぁぁぁぁぁぁぁ……」フキュゥゥゥゥゥッ
「な、なにがあったんだろ……」
「さー? どーせまた、キョータローがなんかやったんでしょー? なーんちゃっ――」
「~~~~~~~~~~っっっっ///////// ふっっっっっきゅぅぅぅぅぅ~~~~~~~~っっっ!!!」
「」
「」
「………………」
「ね、寝ようか、ね?」
「そ、そだねー。ああ、明日も、ほら、はは、早いし! 寝ないと! ね!」
「…………そ、そうね……おやすみっ……」モジモジ
「おやすみ~」ゴソゴソ
「は、早寝は肌の味方だよねー」モゾモゾ
(……や、ばっ……お、思い、だしちゃ……ふきゅぅっ……)
(……き、昨日の……あんなの、憧にも……したのかなぁっ……うぅぅぅ……)
(キョータローのバカ! またやるんなら、わ……わたしにもさぁっ……)
~二年
「いやー、今日はありがとね」
「いえいえ、なんの」
「東京、案内してあげられないのが悪いなぁ……」ズズ
「その分、菫さんたちに案内してもらうから、大丈夫」
「宮永先輩、ちゃんと案内できるかなぁ」
「いっそ、弘世先輩だけにお願いしたほうが……」
「あははっ、尭深って結構い言うこときつ……」
「そうなの、このコ毒舌なんだけどねー。おとなしいし口数少ないから、私たちくらいしか気づいてないよ」アハハッ
「沈黙は金、と申しまして……」フフッ
「でもいい子だよね、見てればわかるな。ちゃんと部全体を見て、調停してる感じする」
「まーね。それで助けられてる、いつもありがと」
「どういたしまして。誠子も、いつもお疲れさま」
「はうぅぅぅぅぅぅぅぅ……おねえ、ぢゃあぁぁぁぁん……」
「……あれ、どうするの?」
「宥さん呼ぶわけにもいかぬ……ほっとこ」
「なにがあったのかなぁ」ワクワク
「尭深」
「……冗談だよ?」
「ここは私の顔に免じまして」スッ
「承知しました」
「さ、寝ようかー」
~三年
「なぁ照……」
「なに?」
「京太郎くんは……いい男だな」
「!?」
「菫ちゃんもそう思うんだ~、ね~? 素敵な男の子だよ……可愛くて、かっこいいもん」
「!?」
「ああ、思うさ……来月は、うちに来てくれないものかな」
「な……なにが、あったの……!!!! なにしたのっ、京ちゃんに!」
「さて……ふふ、ちょっと裸の付き合いをしただけさ」
「!?」
「!? あ、あったか……ぁ、い?」
「あったかくない! あったかくない!」
「騒ぐな照、夜中だぞ。さて、そろそろ寝るか」
「待って菫、まだ話は終わってない」
「安心しろ、取ったりはしない」
「……信じるよ?」
「ああ、構わない」
「……わかった。なら、それでいいよ」
「ほっ……じゃ、電気消すね~」
(……まだお前のものではないからな、お前から取ることはできないんだ……なんてな)フフッ
(京ちゃんは……誰のなんだろう……私は京ちゃんが好き、だけど……京ちゃんは、どうなのかな……)ゴロゴロ
(京太郎くん……あったか~い……京太郎くんが言ってくれたこと、信じるからね……)スヤスヤ
~新子家
「――でさぁ、あんたはいまのとこ、誰有利って見てる?」
「そうねぇ~、誰かな~」グビィィィィ
「ふーん、なら私かもねー」ケラケラ
「いやそれはない」ズバァッ
「飲みながら真顔で言うな! んで、マジで誰っぽい? 憧? 穏乃ちゃん?」
「憧はねぇ、たしかに学園祭で色々あったけど――近いのよねぇ」
「おぉぉぉぉっっっ!」
「近すぎるってことよ? ちょっと離れたほうが見えるかもね。そういう意味では、年上有利かも」グビグビ
「あ、やっぱ私――」
「だからないっての。ってかあんた、まだ須賀くんに会ってないでしょうが」
「だってー、憧が連れてきてくんないんだもーん」ムシャムシャ
「なら素直に憧に頼めばいいでしょ、それか穏乃にでも」
「おお、その手が――って、話逸らすな!」
「どっちがよ……まぁ、さっき言った通りよ。もっと言えば、あの子の初恋は年上でしょうねー、だから年上に弱いっぽい」
「宮永の咲ちゃんは?」
「あれはまぁ……あっちとも色々あったかもねー。ま、そういうわけで……うちじゃ一番有利なのは、宥だね」
「あ~、宥ちゃんかぁ~、なるほどぉ~」
「なによ、そのリアクション」
「いや、お目が高いって思ってねぇ。いいとこの長女だし、なにげに家事スキル高いし?」
「いざとならないと、動かないけどねー」
「そこがまた、お姫さまらしいっていうかお嬢さま気質っていうか、京太郎少年が好きそうじゃないの」
「あー、かもねー」
「さっきから、かもねかもね、そーかもねーって、そればっかりじゃない」
「だってあてずっぽうだし。私が思うだけだもん」
「えー、なーによそれー。役に立たない顧問ねー」グビッ
「うっさいなー。結局そういうのは、本人にしかわかんないんだから、仕方ないでしょー」
「つまんない答えー、教師にでもなりなさいよ」
「私は教師!」
「二日酔いで、合同練習の監督サボる教師ぃ?」
「誰のせいだと思ってんのよ!」
「飲むために合宿中の宿を、旧友の家にするあんたの自業自得」
「そーでした」アハハ
「……ま、なーんでもいいんだけどさー。憧には泣いてほしくないのよねー」
「憧はねぇ、ちゃっかりしてるからねー……持っていきそうでもおかしくないけど……持ってけなくても、泣かないタイプだわ」
「わかる、すっげーわかるわ」
「なら協力したげなさいよ、憧が笑えるようにってさー」
「そのために連れて来さそうとしても、しないから……あー、もう知らん! なんもなんも憧が悪い!」グビグビ
「ちょっとここでペースあげないでよ、また二日酔いしちゃうでしょ!」
「自分が飲まなきゃいいんでしょうが!」
ギャーギャー ヤーノヤーノ
~二日目深夜
コンコン
京太郎「ん……はい、どうしました?」ウトウト
京太郎「――っていうか、どちら様で?」
尭深「え、と……し、渋谷です、少し……いいですか?」
京太郎「渋谷さん? は、はい、どうぞ……いま開けますので」ガチャッ
京太郎「――は?」
尭深「……もう一度、説明しましょうか?」
京太郎「あ――あぁ、いえ、大丈夫です……えと、つまり……渋谷さんも、マッサージしてほしい、と?」
尭深「……///……ぁ、ぅ……は、はい……///」
京太郎(……ドッキリかな?)キョロキョロ
尭深「??」
京太郎「……俺のマッサージのこと、誰かに聞きましたか?」
尭深「はい、灼さんにいくらか……あと、玄さんにも」
京太郎「――その上でってこと、ですよね?」
尭深「……っ……は、はい、その……少し、興味が湧いてしまって……」ゾクッ
京太郎(……なら、下手だったってことはないのか……色々大変だったけど、仕事に徹したのも間違いではなかったのかな……)
京太郎「まぁ、それなら構いません。ちょっと待ってください、未使用のタオル持ってきますから、くつろいでてください」
尭深「は、い……」ドキドキ
京太郎「では、横になってください……失礼いたします」
尭深「よろしく、お願いします……んっ……」
なんということはない、まだ肩に軽く触れただけだ。
そこから手の平を伸ばし、肩から背中の上側をなぞり、往復しながら下に滑らせているだけ。
なのに――。
尭深「んふっ、あっ……はぁっ、ふぅ……っっ……ぁっ、くぅっ……んっ……」
京太郎「……一応、くすぐったかったら言ってくださいね。配慮しますから」
尭深「へい、きっ……です、た……た、だぁ……ぁうっ、んはっ……そ、想像、以上でぇ……っ……」ピクッ
肘を引いて、肩を持ち上げ、なにかを堪えるように彼女の身体が身悶える。
その度に浴衣の襟元から彼女の白い肌が覗き、浴衣が肌蹴るにつれて、その範囲が次第に広くなっていった。
京太郎「一応、全体を見てからパーツごとにマッサージしますので……このまま腰と、脚を失礼します」
懸命に白肌から目を逸らし、浴衣に浮かぶ彼女の肢体に集中する。
だが背中に少し触れただけでわかったが、少し外側の、身体の横のラインに触ったことで、それは確信に変わった。
尭深「ふぁっ……あぅっ、はっ……んくっ、うぅんっ……ぁっ、ふっ……んぅっ、へい、き……あぁっ……」
エロい(確信)
菫さんも相当だったが、この人は全体的に――とても男受けするスタイルをしているようだ。
菫さんのバストに照さんのお尻、そして全体にも満遍なく肉をつけながら、まるで太ってはいないという、恐ろしいまでの魔性の肉体。
菫さんが女性垂涎の身体とすれば、この人は男性垂涎――まったく意味は異なるが、そういった身体なのだと思う。
東京ではこの人を電車に乗せないほうがいい、犯罪者が増える
尭深「あ、の……んくっ、いっ……ふぁ、はぁぁ……わ、たしの……か、身体……どう、ですかぁ……?」
京太郎「――どう、とは?」
変な声が出そうになった、堪えたのはどこぞの誰かがいつもふきゅふきゅ鳴いているせいだろう。
サンキューアッコ。
尭深「いえ、その……私っ……ひぐっ、あっ……ん、んぅっ……///……あまり、動かないからぁ……ふ、太って、ないかなって……やっ、ふぅんっっ……」ビビクンッ
京太郎「……そんなことはあり得ませんから、誰かの前では言わないほうがいいです、嫉妬されますよ。とても柔らかくて、素敵な身体です」
あれ、この発言はギリギリじゃないか?
ギリギリアウトだろう、でも怒っている感じはしないので、ノーカンで。
尭深「……それなら……ぁっ、ひゃうっ……よ、よかっ……あっ、あはぁぁっ……」
背中を満遍なくなぞっていた手が、いよいよ腰の柔肉を圧迫し、手の平の動きだけで揉み解していく。
尻房とショーツの皺が浮かんだ浴衣を直視しないよう、腰のみに集中してそのラインを下回らないように、少しだけ手の平を浮かせる。
指先だけでその部分を圧迫、押し込み、微かに円運動を加えて、奥の血行を促してやる。
尭深「はふぅぅぅんっ……んっ、ひぅっ、ひぁっ……あくっ、あうぅぅんっっ……」
円運動を繰り返していると、時折腰が浮き上がってお尻が突きだされ、その柔らかそうな弾力がタプッと揺れて視線を誘う。直視したら終わっていた。
フリッ、フリッとリズミカルに左右に振られるそこから視線を背け、腰と大腿を繋ぐ身体横のラインを押し込みながら、マッサージの施術を脚へ向かわせる。
親指が少し触ってしまったかもしれない。まるでマシュマロでも突いたかと思うような柔らかさに指が沈み、彼女がひと際甲高く声を響かせた。
尭深「あふぅぅぅんっっ!! いっ、はぁぁっ……な、なんで、もっ……/// ふぁっ、ひぃんっ……」
すみません、と心の中で謝罪し、太ももに手を乗せる。
背中や腰なんて比較にならない、下手をすればおもち以上ではないかと思えるほど、ムッチリとしながら柔らかい感触が、手の平いっぱいに広がった。
それでもけして、太いなんてことはない。
浴衣で包むように手を添えて揉み込むと、指先を沈めてたわみ、手の指で包み込めそうだった。
尭深「あぅっ、ふっ……ひぃぃっんっっ……んっ、そ、そこっ、そん、らぁぁ……ひぅんっ、いっっ、ひぃぃぃ……」
少し強めに押し込んで指を掠らせながら、包むようにした手で太ももを扱く。上下に何度も。
その度に彼女は甘く声を上擦らせ、背中を反らせながら、布団の上にバタバタと悶えていた。
時折、腰も浮かせて、またあの魅惑的な膨らみを眼前に押しつけようとしてくる。
それから逃げるように下方に身体をずらし、指圧の手を太ももから膝裏、そしてふくらはぎ、足裏へと移動させた。
尭深「んひゅぅぅぅっ……いぃっ、あっ、はあぁぁぁぁっ……はふっ、あぁっ、あっ……そこっ、そこぉぉっ……ひゃうぅぅんっ……」
全身で身悶えながらも、彼女はほかの誰かと同じように、口を手で押さえようとはしない。
むしろ手は解放し、枕をパタパタと叩いて、声は自然に溢れるまま、垂れ流しにして部屋中に響かせている。
たまに、唇に唾液が絡むのか、ピチャ、ニチャ……と少しくぐもった水音まで聞こえる始末だ。
尭深「ふぁぅぅぅぅっ……はぁっ、あぁぁ……んっ、あ、つい……んねぇ、京太郎、くん……」
京太郎「――っっ! え、は……な、なんでしょう、渋谷さん……」
突然、名前で呼ばれて反応に困る。
とっさに名字を呼び返すと、火照った桃色の顔にほつれ髪をまとわりつかせ、振り返った彼女が艶やかに微笑んだ。
尭深「尭深で、いいよぉ……ごめん、ちょっと暑くって……浴衣、緩めていいかなぁ……?」トローン
京太郎「」
尭深「…………んっ、しょ……ふぅ、これで、少しは……はい、続けて……?」クスクス
返事もできずにいると、勝手に帯紐を解いた彼女が、浴衣を随分とラフに――ほぼ留めるものがない状態にして、再び寝転んだ。
蠱惑的な笑みを口元に湛え、濡れた眼差しでこちらを眺めながら。
京太郎「――っ……ぁ――し、失礼、しました……」
雰囲気に呑まれかけたのを、奥歯に舌を噛んで、なんとか堪える。
片脚は終わったので、次はもう片方――この人、なんでこの寒いのに足袋ソックス穿いてないんだ。
尭深「ひゃふっっ! あっ、んぅっ……んっふ、あっ、はぁぁ……」ゾクゾクッ
少し強めに足裏を刺激しても、痛がるどころか艶めかしい声を上げて、何度も下半身をヒクつかせている。
その反応を全力で無視し、必死になって左脚のふくらはぎと、太ももの指圧を終える。
京太郎「――全体的に凝ってますね。あとで下半身も念入りにやりますから……えっと、時間は平気ですか?」
尭深「はふっ、あぅ……ん、うん……平気、夜は長いから……ふふっ、うぅんっ……んぁっ……」
腰を捩って布団に擦りながら、熱く息を吐いてそんなことをささやかれる。
――とりあえず、時間はしっかりかけて、全身を見てあげたほうがよさそうだ。
京太郎(マッサージ視点から見ても、さっきのあまり動かないっていうのは納得がいく……色々と疲れが溜まってるのが、よくわかるなぁ……)
だからこそ、使わない部分はたまに使うだけで、非常に凝って血行がよくなるようだ。
だが彼女があまり動かないのも仕方はない、それほど重い物を、身体にくくりつけているようなものだから。
京太郎「……それじゃ、その……一番凝ってそうだったので、肩、から――」
尭深「~~~~~~~~っっっ!!! ふぁっ、い……はい、お、お願いしますっ……」
京太郎「やっていきますね……」
気を遣うように言ったが、大丈夫だった。気にしていないようなら、こちらとしてもありがたい。
最初に少し触っただけで、その荷物と麻雀のせいで、肩がガチガチなのは明らかだった。
ここと腕をしっかりとやり、それから脚、最後に腰と背中で仕上げとしよう。
大まかに手順を決め、肩から二の腕を撫でる。
強く、けれど優しく、指先を押しつけるようにして、繰り返し――。
尭深「いっっ……ひぃぃぃっっ、あふっ、ふぁうぅぅぅっ……んふぅっ、はっ、あぁぁぁんっっ!」
京太郎「」
なんて声をだすのだ、本気で。
尭深「あふっ、んっ、ご、ごめっ……んぅぅぅぅっ! ご、ごめんらっ、ひゃっっ、はひっっ!!」
京太郎「」
誤解ないように言っておくが、腕を揉んで軽く扱いただけだ。
それだけで腰を大きく浮かせて、柔らかい感触が太ももを撫でてきた。
跨っているのはまずい、身体の横側に移動し、まずは片腕の処置に集中する。
尭深「はぁうぅぅぅ……んふぅぅっ、はぁっ、あぅっ、んぅっっ! はぁぁぁ……あきっ、き、もちっ……いぃぃ……はぁっ、あうぅんっ!」
布団に置いて、指で押しながら二の腕、肘、その先の前腕へと移動する。
――余談だが、現在広く二の腕と呼ばれる、肩から肘の部分を昔は一の腕と呼び、肘から手首のほうを二の腕と呼んだそうだ。
誤用され、いまに至った理由や経緯は不明らしい。
閑話休題、そうしているうちに、人形の行進のような指圧を与えていた腕が、次第に弛緩していく。
だが代わりに、その他の部位が強張り、ピンと張りつめる。よく見れば微かに痙攣し、ヒクヒクとわなないているのがわかった。
最後に腕全体を手の平で何度も圧迫、擦過し、本当に微かな揉み刺激を送っておく。
尭深「いっひぃぃぃぃんっっ……ひはぁぁっ、あっ、ふぅっ……んふっ、いふぅっ……」
その刺激に彼女の腰がビクッビクッと小刻みに跳ね、やがてクタァッと布団の上に崩れ落ちた。
少しヒクついてはいるようだが、身体の異常ではないはず。
筋肉の猛烈な異常の場合は、微かな反応ではなく、もっとわかりやすい反応を見せるからだ。
京太郎「じゃあ、反対に移動しますので……」
尭深「~~~~~っっ/// は、ひっ……んぅっ、も、もうっ、いいからっ……好きに、してえっ……///」
京太郎「」
おいやめろ、理性が千切れる。
とりあえずゲス顔の本能をボコボコにして棺桶に沈め、マッサージ師としての職務を全うしなければ。
尭深「あひぃぃぃ……んふぅっ、はふっ、いっ……あぁっ、いいっ、す、ごぉっ……あくぅぅうぅっ!」
腕を揉みしだく、指で押す、それだけなのに――それも逆腕で体感したばかりなのに。
そのときよりもわかりやすい、快感に悶える反応を見せて、豊かな膨らみを跳ねさせて彼女が腰を振る。
その度に、肌蹴た浴衣がヒラヒラと揺れ、乱れはどんどん大きくなり、その中にこもっていた熱気と空気が、こちらにまで漂ってくる。
尭深「あぐっ、くっっ……ご、めぇ……んっ、ねっ……あ、あせ、す……すご、いっ、のっ……あぅんっっ!」
その言葉通り、浴衣の下の白肌は、汗でびっしょり塗れていた。
敷いたバスタオルもグチャグチャになっているかもしれない、それくらいの汗が流れている。
蒸れた匂いが部屋中に広がり、浴衣もベッタリと身体に張りついて――あれ。
京太郎「あ、の……いや、やっぱり――」
尭深「ぁ――んっ、その……/// こ、ここに、来る前に……は、外したから……///」
ノーブラだよ、しかもわざとだよ、マジかよ。
そりゃこの大きさだ、寝る前はつけないと形が崩れるだろう。
なら着けててくださいよ、なんでマッサージの前に外すんだよ。
尭深「ごめ、ん……着け直そうにも、お……置いて、きちゃってぇ……ひゃっ、あぁんっ……」
京太郎「――だ、いじょ……ぶ、はい……大丈夫、です……」
逆に考えよう、締めつけられて苦しくなることはないから、多少強くマッサージして暴れても平気だと考えるんだ(錯乱)
尭深「あ、りが……んっくぅぅぅっっっ!!」ゾクゾクゥッッ
腕を揉みながら、さりげなく首筋を剣菱で押す。さすがに声を気にした彼女が、唇をキュッと引き結び、瞳を固く閉じて背中を震わせた。
長い睫毛がフルルッと揺れ、やがて――マッサージの心地よさを受け流した瞳が、涙を浮かべながら開く。
尭深「い、まのぉ……はっ、は……反則、でしょぉ……///」
すみません、と小さく謝ってから肩への刺激に移ることを伝える。
が、本当にいまのは手順だから仕方ない。腕を終わらせながら肩の具合を確認しないと、影響がどれくらい出ているかわからないからだ。
尭深「ん……ちょっと、待ってね……っしょ……」カチャ
眼鏡を外し、持っていたケースに戻す尭深さん。
眼鏡美人の彼女がそれを外すと、大きな垂れ目の妖艶な黒さが目立ち、引き込まれそうだった。
尭深「じゃあ、お願い――はゅっっ!! んっくぅぅっっっ、くひっっ、いあぁああぁぁっっっ……」
うつ伏せた彼女が言うのとほぼ同時に、肩と首筋の中間を押し込む。
ひどい凝りだから、少し強めに刺激していくしかない。声が上がるのは仕方ないから、ある程度終わるまでは我慢してもらおう。
尭深「んぐぅぅぅっっ!? んまっ、まっ……あひぃぃっっ、はぁんっ、あっ……ま、待ってぇっ……ひふゅっっ、ふぁぁあぁんっっ!」ゾクゾクゥッ
刺激にもれる声を恥じ、珍しく取り乱した彼女が両手で口を押さえ、枕に顔を埋める。
けれど――首筋と背中、両方から指を押しつけると、簡単にその抵抗は剥がれ――。
尭深「ふやぁあぁぁぁんっっ! あひっ、はっ、ふぐぅぅっ、んむっ、んふっ、はひぃぃぃっ……」ガクガクッ
白い喉を晒すように顔が上がり、背中が反り、ガクンッ、ガクンッと布団の上で彼女は身悶える。
押しつけたまま、グリグリと指を回転させると、今度は背中を丸めて震え、口を押えながら涙目になる。
尭深「あふっ、はあぁぁぁあぁっっ……あぁぁぁぁ、だっ、めぇ……だめっ、だめだめぇっ、あぁぁあぁぁぁっっ……んふぅぅぅっっ!」
そのまま腰が浮かび、お尻を振って、彼女の脚がはしたなく開く。
跳ねる腰が布団を叩き、足先をキュッと丸めて痙攣し、肩指圧を堪えながら、彼女は声を溢れさせ続けた。
尭深「だっ、めぇぇっ、きょっ、たろうぅっ……んくっっ、くふぅぅんっっ……あぁぁぁっ、たまっ、ん、にゃいぃぃっ……いひぃぃっ……」ビクビクッ
尭深「いいっ、いいからぁっ! そのっ、ままぁぁっ……もっとっ、もっと強くぅぅっ! くひぃっ――んああぁぁあぁっっ!」
苦悶の声に、もしかして――と思い、耳へ唇を寄せる。
京太郎「あの、苦しかったら上向いてみますか……? あ、浴衣は正していただきますけど……」ボソッ
尭深「~~~~~~~っっっっ//////」ゾゾゾッ
赤く染まった耳朶を震わせ、けれども唇を嬉しそうに――まぁ錯覚だろうけれど――歪ませた彼女は、濡れた瞳を伏せ、頷いた。
尭深「あ、ひ……お、おぇ、がい……ひ、ひま、ふぅ……」
京太郎「」
浴衣を正そうともせず、惰性のような動きでコロンッと。
寝返った彼女の柔肌に、慌てて予備のバスタオルを被せた。
――そのあとめちゃくちゃマッサージした。あ、すごく丁寧にね。
~11月第二週連休三日目、合宿最終日
~朝食
京太郎「……寝不足だ」
B「また京太郎が別の女を部屋に連れ込んだと聞いて」
京太郎「仕事です」
仲居2「今度はメガネのおもちっ娘と聞いて」
京太郎「仕事です」
A「今朝は山菜の炊き込みご飯だ、ダシ任せるぞ」
京太郎「Aさん一生ついていきます!」
板長「おめーらもさっさと仕事に戻れや!」
B・仲居2「ちぇー」
京太郎「よしっ……どうすか、板長! Aさん!」
板長「おう……うん、蒸らしも申し分ねえな」
A「ほかの釜も大丈夫そうだ、冷めねぇうちに運ぶぞ」
B「へい、こっちもあがりました! 京太郎、盛り手伝え!」
京太郎「了解です!」
仲居2「つまんないなぁ」
仲居1「あんたも仕事戻りなさい、はよ」
仲居頭「連休最後よっ! 頑張りなさい!」
~朝食配膳
京太郎「よし、こっちもお膳はオッケー、ご飯と汁と、温かい分は板場から持ってくるとして……」
京太郎「お、そろそろみんな起きてきたころだけど――」
京太郎「おはようございまーす」
憧「っっっ! はよっ……」ダダダッ
京太郎「…………はぁ」
穏乃「昨日からああなんだけど……なにかあったの?」
淡「ま、また……なにか、その……そういうこと、したんでしょ!」ガーッ
京太郎「あいつにはやってねーよ!」
淡「……なら、いいけどさぁ……ん?」
穏乃「……には?」
京太郎「」ギクッ
京太郎「あ、宥先輩、菫さん、照さん! おはようございます」
照「おはよう、京ちゃん!」
菫「やあ、昨夜は世話になったね」
照「……京ちゃん、どういうこと?」
京太郎「一昨日のことを許してもらったというだけです」キリッ
宥「おはよう……」ブルブル
京太郎「宥先輩、お茶淹れてますから、どうぞ。二年生を呼んできたら、温かい味噌汁持ってきますからね」
宥「はぁい……ありがとう、京太郎くん」
京太郎「宥先輩、朝はいつも以上に寒そうなんだよなぁ……さて」
京太郎「――昨日は起きてたし、声かけながら入っても大丈夫かな?」
京太郎「おはようございまーす……あれ?」ガラッ
京太郎「……待て、鍵開いてたよな? それでなんで、全員寝てるんだよ……あっ」
京太郎(昨夜、最後に戻ったのは……あのあとの、尭深さんだ……鍵、かけ忘れたのか……)
京太郎「……このまま声かけてもいいんだけど……どうしよう、起こさないとまずいけど、声だけじゃ起きそうにないよな」
京太郎「一人だけ起こして、ほかの人も起こしてもらおうかな……なら……」
京太郎「マッサージした三人は騒がれるかもしれない、誠子さんだったら大丈夫かな?」
京太郎「……誠子さん、起きてください。朝ですよー」ユサユサ
誠子「んー……んっ、あ……あれ、京……っっ!?」ガバッッ
京太郎「おわっっ!」
誠子「ちょっ、な、なにっ……?」カァッ
京太郎「落ち着いてください、その……朝食です、起こしに来たんですが……」
京太郎「声をかけても誰も起きませんし、大声もまずいかと思って……」
誠子「あ、あぁ……そうか、ごめん……ありがと、ちょっと取り乱したよ……」
誠子(びっくりした……いや、さすがに驚くよ? 私だって女の子だしさ、起きていきなり男の子の顔があったら……は、恥ずかしいしっ///)
京太郎「本当にすみません、それじゃ、広間で待ってますので……三人をお願いします」
誠子「ああ、了解。けど、おかしいよね……鍵、なんで開いてたんだろ……」
京太郎「たぶん、尭深さんが戻ったときに、鍵を忘れたんじゃないかと……」
誠子「そうなんだ、わかった。あとで注意して――ん?」
京太郎「――っっ! そ、それじゃ、失礼します!」
誠子「……なにがあったの……こらっ、尭深ぃっっ! 起きろ!」ガバァッ
尭深「ひゃいぃぃっっ! だ、だめっ、京太郎くんっっ/////」
誠子「」
~朝食後、午前練習
照「おいしいご飯、これで練習もはかどる」ギュルルルルル
淡「いつもより余計に回っておりまーす」
憧「テキトー言わないのっ」テイッ
玄「」カタカタカタカタ
灼「大丈夫だからっ、今回は25000で即終了できるから!」
誠子「そ、そのフォローはどうなの……気持ちはわかるけど」
尭深「…………」ポー
菫「どうした渋谷、調子でも――」スッ
尭深「くひんっっ! い、はっ、いえ! 平気れしゅ!」
菫「あ、ああ」ドンビキ
穏乃「……あっ」
宥「……あっ」
菫「? ……あぁ」
京太郎「ふう、朝食の片づけ終わりっと……すみません、お待たせしました」
誠子・憧以外「……………………」ジー
京太郎「なんでしょうか?」
『別にぃ?』
尭深「/////////////////」
京太郎「なんだかよくわからんが……最後の練習だ、気合入れるぞ!」
京太郎「よぉし! 気合を入れてお菓子作りだ!」
松実父「で、うちの台所なの?」
京太郎「すんません、旦那さん……板場に甘い匂いがつくと、色々大変でしょうから……」
松実父「うん、まぁいいんだけどね。どうせ将来も使ってもらうんだし、いまのうちに慣れてくれればいいからさ」
京太郎「」
京太郎「よし、渾身の出来だ! 旦那さんの視線を気にしながらだったけど、上手くできたな」
松実父「目の前で言われると、さすがに傷つくよ?」
京太郎「あ、旦那さんもどうぞ。甘いもの、お嫌いじゃないですよね?」
松実父「ふむ……うん、なかなかいいね。洋菓子ながら、あのくどい甘さがない……これなら、旅館のデザートにもなりそうだ」
京太郎「マジっすか! ありがとうございます!」
松実父「玄でも宥でもいいんじゃよ?」チラッ
京太郎「じゃ、俺は差し入れに戻りますので! お邪魔しました!」
京太郎「ってことでー、甘さ控えめにしたタルトでーす。今回は柿とカスタードのクリームにしてますので」
照「あぐあぐあぐあぐっ、はぐっ、ムグムグムグッ」
菫「落ち着け。だが……うん、実においしい。毎日食べても飽きないだろうな」
憧「っっっっ! おいっっっっ……しぃぃぃ~~~~~~っっっ!」キラキラキラ
穏乃「はふぅぅっ……すっごい、染み込んでくる……」トロー
淡「やれやれ、みんなお子ちゃまなんだから~……はひぃぃ……」トロー
尭深「やっぱり、洋菓子には勝てなかったよ……うん、おいしいね。緑茶にも合う、濃くないほうがいいかな?」
京太郎「そうですね、このくらい。少し短めに蒸らすといいかもしれません……どうですか?」
尭深「おいしいよ、ありがとう」ナデナデ
誠子「――京太郎くんって、わりと撫でられること多いよね。宥さんとか特に」
宥「うーん、そうかなぁ……でも、なんだか可愛くて、つい」
灼「わかる。犬っぽいっていうか、犬っていうか」
玄「時々、捨て犬の目で見てくるよね! すっごく放っておけなくなる」
憧「……わかんないなぁ」
淡「もっと獰猛だよ、狼とか、虎とか……」
穏乃「野生の動物より、冷静なのが怖いよね……でも、かっこいいかも……」ゾクゾクッ
京太郎「年上には可愛いと言われる、これはモテないわけだ(確信)」
京太郎「さて、せっかくだし学年絞ってお話してみよう」
京太郎「どうぞ、紅茶追加です」スッ
宥「ありがと、京太郎くん」アッタカーイ
照「おいしかったよ、京ちゃん。久々だから、すごく嬉しかった」ニコニコ
京太郎「ならよかったです」ナデナデ
照「えへへ」テルテル
菫「――前から思っていたが、お前は京太郎くんにだけは甘えているな」
照「仕方ない。京ちゃんは頼りがいあるから」
京太郎「恐縮です」
宥「それもわかるけどね……でも可愛いから、私は撫でたくなるほうかな」ナデナデ
菫「私も宥に乗る。京太郎くんはなんというか、撫でてあげるとすごくいい顔をする」ナデナデ
京太郎「……ふぅ」
照「むー……京ちゃん! 京ちゃんはどっちがいいの!」
京太郎「えっ……どっちと言われましても。照さんの頭撫でるのも、二人に撫でられるのも好きですけど、いけませんかね?」
照「……優柔不断」
京太郎「ごふぅっ!」
菫「年下をいじめるな……よしよし、大丈夫だぞ、京太郎くん」ヨシヨシ
宥「怖くないよ~」アッタカーイ
京太郎「すいません、お二人とも……はぁ、癒される……」
照「………………」ムゥー
照「わ、私も撫でる!」
京太郎「無理しなくても……」
照「そ、そんなことないもん!」プゥー
菫「くふっっ……ふふ、面白い顔を見せてくれるな、照……」
宥「だめだよ~、京太郎くん。照ちゃんも撫でたいんだから、撫でさせてあげなきゃ……ね?」ナデナデ
京太郎「宥さんが言うなら……じゃあ照さん、そっとですよ?」
照「任せて!」ガシッ グリグリグリグリッ
京太郎「いだっ、いだだだだだだ! 強いっ、もっとゆっくりして!」
菫「ふふふ、やはり照には無理かな? ほら、こうするんだよ……」ナデナデ
京太郎「はぁぁぁ……」ホッ
照「……こう、かな?」ナデッナデッ
京太郎「……悪くない、です……」
宥「可愛いね~」
京太郎「あれだな、赤ちゃんに初めて触る子供って感じだった」
宥「なら京太郎くんは、赤ちゃんさんだね~」ナデナデ
菫「……あれがお好きなようだしな、その評価も致し方ないか」フフッ
京太郎「」
~昼食準備
京太郎「さて、休憩も終えてまた打って――まぁ、俺は片づけしてたんだけど」
京太郎「そのうちにお昼になってしまった。そろそろ支度にかからないとな……」
京太郎「穏乃、あと誠子さん! お昼のお手伝い、お願いできますか!」
誠子「ん、もうそんな時間か……了解、行こうか」
穏乃「えっ、私でいいの?」
京太郎「前の盛りつけは上手かったからな、サラダ作りを手伝ってもらう」
誠子「それで、今日のメニューは?」
京太郎「まぁ、以前に日誌で書いたら、照さんが食べたいって言ってくれましたので――」
京太郎「ビーフストロガノフ、作りたいと思います!」
穏乃「うはーっ、おいしそーっ!(どんなのかわかんないけど!)」
誠子「じゃあ、そっちは京太郎くんに任せたほうがいいかな。私はご飯の用意して、穏乃と一緒にサラダ作るよ」
京太郎「はい、ありがとうございます。小エビ、卵、レタスにベビー水菜、あとは色々と、こちらの冷蔵庫に用意していますので」
京太郎「ある食材、自由に使ってください」
誠子「了解。じゃあお米洗ってくるから――穏乃ちゃん、サラダの野菜決めよっか」
穏乃「了解です!」
京太郎「――よぉし、完成! そっちはどうですか?」
誠子「バッチリだよ。大皿に盛ってもよかったんだけど、えり好みしそうなのがいるからね、個別に分けておいた」
京太郎「あー、淡か……まぁでも、好き嫌いなさそうですよ、あいつ」
誠子「あはは、それは京太郎くんの料理だからだよ。でもこれなら、あいつも満足するだろうね」
京太郎「はい、さすが穏乃です。いい色彩バランス、それでもって食材もおいしそうに映えてます」
穏乃「ウェヒヒ、そ、そうかなぁ……ありがと!」
~昼食後、白糸台帰校
灼「二泊三日の合宿、お疲れさまでした」
灼「これにておしまい、名残惜しくはありますが、解散いたしたいと思います」
灼「駅までのお見送りはさせていただきます、そしてその前に――」
穏乃「はい! お土産をお求めの方は、ぜひ! 私の実家でお買い求めください!」ペッコリン
誠子「実家? なにかお店やってるの?」
穏乃「はい、うちの実家は和菓子屋と土産物屋でして――名前は、高鴨堂っていうんです!」
淡「タカカモ! そうだ思いだした、しずのんの名前だよ! タカカモ!」
照「ま、まさかこんな……こんなところに……」
尭深「本家のお嬢さまがいらしたなんて……予想外でした」
穏乃「ぅ?」
菫「いや、すまない。ここに到着して早々に、照がその店での買い物を希望していてな」
憧「あちゃー、だったら奈良町じゃなく、県庁近くの支店に連れてってあげればよかったかぁ」
尭深「あぁ……それで穏乃ちゃん、ちょっとがっかりしてたんだね」
照「そうなんだ、ありがとう。だけど本家で帰るなら、それが一番うれしい。ありがとう、穏乃」ナデナデ
穏乃「あ、ありがとうございます!」///
※原作では土産物だけっぽいですが、ここでは和菓子屋もです。モデルは吉野葛で有名な天極堂ってことで
~穏乃実家~駅
照「最高の買い物ができた、ありがとう」ホクホク
尭深「葛餅、葛きり、それ以外の和菓子も豊富……茶葉まで置いてあって、また来たいですね」ニコニコ
穏乃「お買い上げありがとうございました! またの起こしをお待ちしております」ペッコリン
玄「皆さま、この度は松実館をご利用ください、ありがとうございました」
宥「従業員一同、無事のご帰宅を願っております。そして、またのご来店も……また、来てくださいね」
憧「はぁ……終わっちゃうかぁ、なんかさみしー」
菫「すぐに会えるさ。春でも夏でも、東京に来れば……いつでもな」
灼「そうだね。インハイでもう一回、東京に行こう」
淡「そのときこそ、私たちが優勝するもんね! 阿知賀には負けないよ!」
誠子「それ以上に清澄に、だね。京太郎くん、あっちの皆さんに宣戦布告よろしく!」
京太郎「はは、戻れればって感じですけどね」
晴絵「さて、名残は尽きないけど、もう電車の時間だよ。白糸台のみんな、今回は本当にありがとう」
照「こちらこそ、いい思い出ができました。また来ることもあるでしょうから、そのときはよろしくお願いします」
阿知賀『みなさんお元気で、ありがとうございました』
白糸台『お世話になりました、また会いましょう』
~合宿最終日、終了 ※別れ際、全員の連絡先を入手しました
おまけ
京太郎「ふぅ、まさか照さんが忘れ物してるなんて……駅まで届けるはめになるとはな」
京太郎「……? あれ、誰か待ってたのか? おいおい、もう暗くなってるってのに……」
京太郎「灼先輩! どうしたんですか、こんな遅くまで」
灼「いや、部長だし……その、放っておいて、帰れないでしょ」
京太郎「……ほら、こんなに身体が冷えてるじゃないですか。あぁもうっ、これ着てください」ササッ
灼「かたじけな……」ブルッ
京太郎「それじゃ、帰りましょうか」スッ キュッ
灼「!? ちょ、ちょっと……」
京太郎「手、すげー冷たいです。罰として、家まで握っていきますから」
灼「……なんの罰か、わからな……」
京太郎「この寒いのに薄着で、遅くまで待ってて身体冷やして、俺を心配させた罰です」
灼「はぁ、子供じゃあるまいし……」
京太郎「子供じゃないからですよ。変な男が寄ってきたらどうするんです」
灼「外見小学生にしか見えないっぽいし、平気だと……」
京太郎「俺だったら、先輩に声かけますよ」
灼「はぁ……?」
京太郎「だって灼先輩、可愛いじゃないですか。そんな子が駅で待ちぼうけてたら、普通声かけますよ?」
灼「なっ……で、でも、こんな見かけだしっ……」
京太郎「気づいてないなら言いますけど、髪も顔立ちも綺麗で、可愛い感じでクールで、放っておけない系ですから、灼先輩は」
灼「~~~~~~~っっ!?」
京太郎「だから、気をつけてください。心配ですから、今日は送りますので」キュッ
灼「う……うん、まぁ……わかった、感謝す……」キュゥッ
【11月第二週連休】
連休中は過酷な合宿が行われた、以下はその大まかな記録である。
初日
昼食はカレー、淡と玄先輩が手伝ってくれた。
その後練習、照さん、淡、穏乃という高校生垂涎のメンツだ。
東一局で親の三倍満に振り込み、最下位。穏乃は強い。照さんも目を丸くしていた。
夕食準備に板場に入る、言い忘れたが、合宿所は松実館だ。いい旅館です、ぜひ皆さんお越しください。
準備中、女性陣は入浴だったとか。それはともかく、板場の兄さん方と交流を深めた。超人さんとも。
夕食中、菫さんの箸使いの美しさに驚く。上品な育ちだというのがよくわかった。
夕食後、入浴。星を見て長野を思いだす、玄先輩は素敵な人でした。
その後麻雀をしたり、卓球をしたりし、もう一度入浴。
部屋に戻ると宥先輩が訪ねてきた。マッサージの依頼があり、6人と宥先輩に施術。
上手くできたかは自信がない。
二日目
朝食準備に板場に入る。職場に悪い噂が流れていた、原因は推測によるもの。俺のせいなのか、一理ある。
二年生が寝坊。起こしに行くと、散歩に行ってたと聞かされた。
朝食後、午前の練習で対局。
菫さん、玄先輩、灼先輩だった。また最下位。序盤の振り込み分が、そのまま差に繋がって負けた。
少し菫さんの機嫌が悪かった。罪悪感を覚える。
昼食は肉じゃが、大和肉鶏の串、山菜のおひたし、味噌汁。宥先輩、菫さんが手伝ってくれる。
お二人とも、いつでもお嫁にいけるくらいの手際だった。菫さんは外で働くのも似合いそうだが。
午後は観光。菫さんを鹿から救う。
夕食後は山から夜景を見た。宥先輩は、あの約束を忘れずにいてくれるだろうか。
帰宿し、入浴。大変だった。
部屋に戻る。さらに大変だった。
三日目
朝食、またも二年が寝坊。誠子さんを起こし、全員に声をかけていただく。ありがとうございました。
差し入れをする。柿は初めて使ったが、とてもデザートに使いやすい。
お茶に合う洋菓子にピッタリだ。ゼリーにするのもいいらしい、なるほど。
照さんにようやく、お菓子を焼いてあげられた。あのときは言わなかったが、嬉しくて泣きそうだった。
昼食はビーフストロガノフ、これも照さんのため。
お手伝いの誠子さん、穏乃、ありがとうございます。今度は川釣りか海釣りで、食事にしましょうね。
解散。寂しい。
お土産は高鴨堂。照さん、尭深さんを筆頭に、全員がよい買い物をしたようだ。
照さん忘れ物をする。追いかけて、新幹線のお見送りもすることができた。嬉しかったです。
帰ったら灼先輩が待っていてくれた。すごく冷えていた。心細そうだった。思わず手を握ってしまう。
危ないことはしないでくださいね。
…………
なんかすげー危ないとこまで書いたような……いや、もう知らんし。
『……菫の名前、多くない?』
『気のせいだろう。お前のために二つも調理をしている、礼を言っておけ』
『淡ちゃんとカレーの歌の話、書いてないよー!』
『あのこと、内緒にしてくれたんですね。ありがとう』
『すっごい意味深なことを……まぁいいか。今度は白糸台に来てよね』
歌、歌ったなぁ……あの歌はやっぱり最高だ。おいしいカレーが作れる。
あと尭深さん、爆弾落とさないでください。
『初日、玄となにがあったの?』
……あ、お風呂のか。やばいな……でも、あの言葉には感動したから否定しない。
『えへへ、照れますのだ……あ、宣伝もしてくれてありがとう!』
『約束、忘れてないよ……ずっと覚えてるから、安心してね』
『えっ、なんですかそれ! 気になりますよ! あ、うちの宣伝もありがとう! お母さん喜んでる!』
『鷺森ボウルは……なんてね、冗談。あそこは地元民の憩いの場だから……その、あのときはありがとう』
これは……色々と学校で聞かれるかな。いや、大丈夫だろ。
そういうのを深く聞かない、いい人たちばかりだからな。
『……弘世菫、宮永照、松実宥、松実玄、それに渋谷尭深……やっぱり年上好きだね、京太郎は』
『宮守は三年ばっかりだったもんねー、また戻ってきてくれていいよー。大歓迎だよー』
『あら、うちも三年が三人もいるわよ? ね、京太郎くん?』
『小さい年上も好きなようですからねー、鷺森灼、ですかー……いい所を狙います、さすが京太郎』
『そういえば私! 来週は奈良に参ります! 春日様へのご挨拶もありますので、よろしければご案内ください!』
『……京太郎、年上好きなの? ごめんね、同級生で』
いや、俺はおもちが好きだぞ(断言)
けど……まぁ、うん……年上に惹かれるのは事実かもしれない。初恋があの人のせいだ。
その影響で、二番目の恋愛はあれだ。自分のヘタれさのせいで、全部終わったけど。
『私たちも旅行は奈良方面なんですが……面識もありませんし、お会いすることは叶わないでしょうね』
『素敵な出会いにはなりませんね、残念です』
『いやー、偶然会うってのも素敵じゃないかなー?』
『逆にうちらは東京ですからね……まぁ縁があれば、学校で会えるでしょうけど』
『私はすばらなことに関西ですね。後輩二人という共通の知り合いもおります、上手く会えればすばらですね!』
『んー、そこまでやらんちよかとやろ? うちは普通に観光ばしたかよ』
修学旅行、来られるのは染谷先輩、小蒔先輩、あとは誠子さんと尭深さんか。
玄さんと灼さん、菫さんが案内してくれるなら安心だな。
――――――――
~清澄
「……そっかぁ、お姉ちゃんたちと合宿かぁ……うちは無理だったんですか?」
「ンな予算はないわい……なぁ久?」
「え゙っ! わ、私!? そ、それは、ない……かなー、なんて……あ、あはははは」
「春は、あんなに何度も合宿しましたよね……」
「全部、京太郎はいなかったじぇ……」
「先輩はいいですよね、来週奈良ですもんね」
「……な、なんもかんも久が悪い」
「あーはいはい、悪かったってば。ちゃんと戻ってくれるように、オファーだしてますーってば」
「こう、所属校権限で戻したりできないんですか?」
「抽選に関しては連盟に任せる、それが決まりなの。ほんとごめんね、みんな」シュン
「!!! す、すみません、そこまで本気で責めてはっ……」アセアセッ
「そ、そうですよ! その……し、信じてますから、京ちゃんがいつか戻ってきてくれるって!」
「ぶちょ……会長はいつもらしく、ドーンと構えてればいいんだじぇ!」
「……ありがと。あんたたちはほんと、いい後輩だわ。みーんなね」
~龍門渕
「オレらの修学旅行って?」
「海外だよね。今回はどこ?」
「イギリスで小規模な麻雀大会がありますの。日程も含め、そこに合わせましたわ」キリッ
「……やりたい放題……」
「ふふんっ、いいではないか! 外つ国人に我らの強さを、存分に見せつけてやろう!」
「――さしでがましいようですがお嬢さま」
「どうしましたの、ハギヨシ」
「選抜の国際大会などを考慮し、高校麻雀部員による独断の海外大会参加は、禁止されているようです」
「なっ……」
「あ、固まった」
「規則なら仕方ないかな」
「むむぅ、口惜しいっ……」
~白糸台
「……尭深、なにがあったの」
「な、なんでもありません///// ふ、二人の秘密です」
「安心しろ。京太郎くんの様子からしても、なにかあったわけじゃないさ。せいぜい、マッサージどまりだろ」
「……あれが、せいぜい?」
「うっ……ま、まぁ、なんだ……彼が紳士だというのは、お前もわかっていることだろう?」
「まぁね。そうじゃなかったら、私がとっくに手をだされてる」キリッ
「また先輩は……淡、静かだね、どうしたの?」
「ふぇ? う、ううん、なーんでも///」カァァッ
「……淡も女の子なんだねー」ナデナデ
「は、はぁ? なんです、それー? 淡ちゃんは昔っから、超絶美少女レディだもんねー!」
「――にしても、私だけかぁ。例のやつ、受けられなかったの……」
「すっごいよ? 絶対忘れられなくなるから……受けるなら、覚悟したほうがいい」ボソッ
「へ、へぇ……」ゾクッ
~永水
「あらまぁ。京太郎くん、マッサージもできるなんて……それだったら、お願いしておけばよかったわねぇ」
「そうですね。お勤めは足腰に来ますから……それに、なんといっても――」
「……すごく、肩が凝る……」コキッコキッ
「ぐぬぬ、ですよー」
「ぐぬぬ、だわ」
~宮守
「星かぁ……こっちも露天風呂、多いから……どこか行けばよかったなぁ、連休に……」
「連休かぁ……うちで麻雀したの、楽しかったな……あーあ、思いだすと色々きちゃうね!」
「誘惑は敵、いまは勉強……だけど、白糸台の人たちも、三年は……宮永照は別としても……あぁぁっ!」
(ニュージーランドも、星がとても綺麗よ……いつか一緒に見ましょうね、京太郎?)
「えへへ、年上好きなんだー。宮守は全員三年だから、一番だよねー。トシさんもいるしー」
~阿知賀
(……初日の玄、二日目の宥姉……あの夜景、すっごかったしなぁ……一緒に、隣で見たかった……かも)
「季節が夏だったらなー。山でキャンプとか、渓流釣りとかもできたのにっ!」
「……あ、でもテントだったら……あ、の……ま、マッサージは……無理、だよ……ねっ……/////」
「お姉ちゃん、京太郎くんのこと――」
「……うん。ごめんね、たぶん……玄ちゃんよりも、だと思う……」
「ううん! 謝ることはないのです! それにどっちがそうなっても、姉妹だもん!」
「お兄ちゃんか弟になって、一緒にいられるね~、あったか~い」ポカポカ
「負けないからね、お姉ちゃん!」
「私もだよ~、玄ちゃ~ん」
「娘たち……父さん嬉しいぞ!」
「……娘の会話盗み聞きなんて……」
「お父さん、ひどい……」アッタカクナイ
「」
「なんてね、冗談ですのだ!」
「お父さんも、京太郎くん気に入ってくれてるもんね~、よかった~」アッタカーイ
(よかったあああああああああああ、嫌われたかと思ったあああああああああああ)ガクブル
「……家まで、送ってくれて……は、はは、少し恥ずかしかったなぁ……えへへへっ///」
「また来ないかなぁ……お祖母ちゃんも、気に入ってたみたいだし……」
京太郎「今週は執事として頑張ろう、俺はマッサージ師じゃないんだからな」キリッ
京太郎「というわけで、連休も明けたし今日からまた学校だが……」
京太郎「――そうだな、昨日の帰りに言っておいたし、今日は学校に行こう」
京太郎「あー、普通の弁当持っていくのも久しぶりだな、こうしてこうして……よし、完璧!」
京太郎「……誰かと会いそうだけど、どうなるかな」
モブ子「なにを言ってる、私と会ってるじゃないか」
京太郎「お前ではなく」
モブ子「照れんな照れんなー、はっはっは」
モブ子「そしてお前は次に――うざぇ……と思う」
京太郎(うぜぇ……)
京太郎「……ハッ!」
モブ子「んまぁ~たまたやらせていただきましたぁ~ん♪」
京太郎「遊んでねーでさっさと行こうぜ」
モブ子「最後まで乗ってよ//// 途中で相方に冷静になられると恥ずかしいじゃん///」
京太郎「誰が相方だっての……」
??「あっっ……」タタタタタタッ
京太郎「ん?」
穏乃「おっはよーっ、京太郎ーっっ!」ドーン
京太郎「おわっぷ! すげージャンプ力だな、ちょっ、首締まるっ……」
穏乃「いやー、だってさぁ! 京太郎って朝は松実館ばっかりで、全然会えなかったもん! 嬉しくて!」
京太郎「そっか、なんか悪いな。んじゃ、一緒に行くか」
穏乃「うん!」ニッコニッコ
京太郎「そういやさぁ……」
穏乃「なに?」
京太郎「阿知賀って体育ないのか? 俺受けたことないんだけど」
穏乃「あるけど? 京太郎、5時間授業の日とかなかった?」
京太郎「あー、あったなぁ……って、まさか……」
穏乃「そう、その時間に体育してるんだよ、私たち!」
京太郎「ブルマで!?」
穏乃「違うよ、スパッツだよ……あとジャージ」
穏乃「10年くらい前は、あったらしいけどね、ブルマ」
京太郎「レジェンドのブルマとか誰得――いや、ありだな」
穏乃「赤土先生綺麗だもんねー」
京太郎「お前のが可愛いけどな」
穏乃「ふぁっ!?」
~月曜、昼休み
モブ子「お前がブルマフェチだったとはなー。んー、どうだい、見るかい?」
京太郎「やめろ、恥じらいのねぇ……そういのは隠そうとするからいいんだろうが、わかってねーな」
憧「…………うわぁ」ドンビキ
京太郎「はいはい、好きに引けよ。どうせ女子に理解してもらおうとは思ってねーし」
京太郎「……そういや、もう3ヶ月も男子と会話してないんだな、俺……」
憧「いいじゃない、別に……こ、このままずっと、ここでもいいわけだしさぁ……」ボソッ
京太郎「――それも悪くねーかもなぁ」
憧「!? な、なんで聞いてんのよ!」
京太郎「そりゃ聞こえるだろ」
憧「いっつも聞こえてないフリするでしょ!」
モブ子「え? なんだって?」
憧「ほら、あんな感じで!」
京太郎「でも聞こえてるし――」
憧「うっ、う……うぅぅぅぅっっ……バカァッ!」
京太郎「理不尽な……」
京太郎「そういや、弁当ばっかで学食来てなかったな……あっ!」
京太郎「灼先輩っ、お昼ここだったんですか!」
灼「ああ、京太郎……そうだよ。お味噌汁安いから、お弁当とそれで」
京太郎「味噌汁、よかったら作りますよ? 調理室で作って、クラスに配ったことありますし」
灼「……うちのクラスの、私の席に持ってくるの? 味噌汁?」
京太郎「はい!」
灼「……クラスの子に、どんな関係って聞かれちゃうよ?」
京太郎「……あっ」
京太郎「そうか、灼先輩のクラスの人たちって、あの……」
灼「……いい子たちなんだけどね」
京太郎「――いや、でも気にしませんよ。それくらい!」
灼「えぇぇ……」
京太郎「どんな関係か聞かれたら、灼お嬢さまに仕える執事だって、胸を張って――」
灼「やめて、本気で」
「……あれが噂の執事クン?」
「へー、あらたその執事なんだー、かーわいい」
灼「ほらぁ、もうっ……うあぁぁぁあっっ……///」カァァッ
京太郎「須賀です! 灼先輩の執事の、須賀京太郎です!」
灼「やめなさいって言ってるでしょ!」カァァァッ
京太郎「お昼に灼先輩にすげー説教された……部室行きづらいなぁ」
憧「どうせあんたが悪いんでしょ、謝りなさいよ、素直に」
京太郎「決めつけんな! まぁ、謝ったけどな、もうかなり……」
穏乃「だーいじょうぶだって! 灼さん優しいから、もう許してくれてるよ!」
京太郎「ならいいけどな」
「あ、あらたその執事だー」
「おーい、今日も元気にお仕えかねー?」
京太郎「はい、もちろんです!」ペコリ
穏乃「……なにがあったか、だいたいわかっちゃった……」
憧「そりゃ灼も怒るわよ、完全に自業自得ね」
京太郎「灼先輩が、いまだに口きいてくれない件」
灼「いや、しゃべるくらいはしてるでしょ……でも、もうああいうのはやめて」
京太郎「了解です!」
晴絵「いやー、躾が行き届いてるねー」ウンウン
宥「あったか~い」ホコホコ
玄「それはどうなんだろ……」
京太郎「ご機嫌伺いに、差し入れするぞ!」
京太郎「ふふふ、最近寒いからな……今日は、これだ!」
京太郎「ま、ちょっと早いかもしれないけど、寒い日にはいいもんだからな」
京太郎「お待たせしましたー、休憩しましょうか」
穏乃「今日はなにっ?」
憧「落ち着きなさいよ、はしたない」
穏乃「まーまー、そういう憧だって楽しみにしてたでしょ?」
憧「べ、別に、そういう……ま、まぁ、少しはね……」
京太郎「ふふふ、今日は……ぜんざいを炊いてみた!」
宥「ふわぁぁ……あったか~い」
玄「しかも抹茶ぜんざいなのです!」
灼「そして、白玉もたっぷり……ごくっ」
晴絵「ん、おいしい。はぁ~、部室で甘い物食べられるなんて、いい時代になったわねー」
憧「ハルエ~、代謝も落ちてるんだから、ウェスト気ぃ遣ったほうがいいんじゃない?」ニヒヒッ
晴絵「」
灼「だ、大丈夫だよ、ハルちゃん! まだ痩せてるよ、同じ年代の人と比べても!」
京太郎「……健夜さんもはやりさんも、細かったなぁ」ボソッ
晴絵「」ボロボロボロ
京太郎「冗談です! マジ泣きやめて! 赤土先生も細いですから!」
憧「さいってー」
京太郎「お前が言いだしたんだよおおおおおおおおっっっ!」
京太郎「まだ少し残ってる、お代わりいる人いるかなー?」
京太郎「どうぞ、灼先輩……」
灼「え、いいの?」
京太郎「はい、灼先輩が一番おいしそうに食べてくれてましたから」
灼「うっ……ご、ごめん、がっついてたかな……」カァッ
京太郎「あー、いえ、そういうことではなく……食べ方だけなら、とても上品でした」
灼「そう、ならい……///」
京太郎「ただ、あんまりこういうものは召し上がらないのかなと思いまして」
灼「あぁ、そうかもね……せいぜい、玄とたい焼き買い食いするくらいで」
京太郎「いいですね、それも今度焼いてみようかな……」
灼「それで? どうしてあまり食べてないかもってわかったの?」
京太郎「それは――」
京太郎「口元にですね――」スッ
灼「はぇ? あっ……///////」
京太郎「あずきの皮、ついてますからね。気をつけてください」ニコッ
灼「ば、かっ……そういうこと、指摘しないの!」
京太郎「指摘せずに取ったら、もっと怒るじゃないですか」
灼「そりゃそうっ……も、知らな……」プイッ
京太郎「えっ! ちょ、ちょっと待ってくださいよ、灼先輩!」
晴絵「……灼、わかりやすいくらい恥ずかしがってるわね」
憧「見てるこっちが恥ずかしいわよ、イチャイチャと……」
穏乃「私も口についてたけどなー」
玄「穏乃ちゃんは、いつもだからねぇ……」フキフキ
宥「はぁ、あったかかったぁ~」
京太郎「灼先輩は許してくれたけど……あの場合、どうするのが正解なんだ?」
憧「そうね……誰か、別の女子部員に伝えます」
京太郎「なるほど」
玄「それを、さりげなくその女子から、当人に伝えてもらいます」
京太郎「なるほど」
宥「その際、自分が教えたことは伝えないよう、釘を刺しておこうね?」
京太郎「わかりました!」
穏乃「なんでだろ……」
晴絵「あははっ、穏乃にはまだ早いかなー?」
穏乃「いえ、そういうことじゃなく……マッサージほど、恥ずかしくないって思って……」
晴絵「え?」
穏乃「~~~~っっ!! い、いえっ、なんでもないです! 練習しましょう!」
京太郎「そういや、来月頭にテストですよね?」
憧「そういえばねー。まぁ日頃からしてれば、たいして難しくもないわよ」
晴絵「あ、そうそう。赤点だったら冬休みに恐ろしいことがあるから、練習したかったら勉強してね」
宥「恐ろしいこと……あったかくない……」ブルブル
玄「やめるのです先生! お姉ちゃんを怖がらせないように!」
晴絵「ええええ……」
灼「まぁ冗談は置いておいて、ちょっとだけ勉強の時間も取ろうか」
穏乃「えーっ、一週間前だけでいいじゃないですかー!」
灼「……京太郎がいるうちに、進めておきたいから、少しでも」
穏乃「あっ……」
京太郎「――来月のことなんてわかりませんよ。まだ時間はありますし、やれるだけやりましょうか」
宥「そうだねー」
晴絵「わかった。ならいまからちょっとだけ、勉強タイムね」
憧「さて、それじゃ穏乃はこっちにいらっしゃい」
玄「わからないところは、お姉ちゃんか先生に聞けばいいかな?」
晴絵「……す、須賀くんに聞いてね」アセッ
京太郎「おい教師」
晴絵「た、担当科目以外はってことだから(震え声」
灼「……ん、ここむずかし……ねぇ、玄?」
玄「んー……ごめんね、わからないなぁ」
京太郎「俺の出番ですね!」キラキラ
灼「嬉しそう……私たちがわからないのが、おかしい?」ムスッ
京太郎「はい! 先輩方のお役に立てるなら!」キラキラキラッ
灼「……はぁ、なんの嫌味もなく、すごいね……まぁいいや。ここ教えて」
京太郎「ふんふむ……なんだ、途中までできてるじゃないですか」
灼「ここで数字がおかしくな……」
京太郎「ケアレスミスしてるからですよ、ここの足し算が間違ってるだけです」
灼「あ……/// ご、ごめん、ありがと……」
京太郎「恥ずかしがらなくていいですって。よくあることです、俺も何回もやらかして、見直し覚えたんですから」
灼「……ふふ、ありがと。気を遣ってくれて」ナデナデ
京太郎「そ、そういうことでは……」
穏乃「京太郎ーっ、私も! 私にも教えて!」
京太郎「あれ? 憧は?」
穏乃「さっきトイレ行くって、行っちゃった」
京太郎「……それ、俺に言ったってことは内緒だぞ、絶対な?」
穏乃「ぅ?」
京太郎「はぁ、まぁいいか……どれ……ふむ、なるほど」
京太郎「……いいか、穏乃……こういう形の式は、まずこれを思いだせ……」
穏乃「これ? だけど……」
京太郎「で、これがこうなるってことは……ほら、この部分が同じ状態だろ?」
穏乃「んー? あ……あぁっ! そっか!」
京太郎「あとはわかるか?」
穏乃「うん、京太郎! ありがと!」
京太郎「……あれ? ぜんざい作って勉強してたら……部活が終わった、なぜだ」
玄「ふぅ、結構はかどったねぇ。そろそろ帰ろっか」
灼「じゃあ戸締りするから、みんな撤収準備」
憧「りょうかーい。あ、ハルエに声かけてくるわね」
宥「そういえば先生、いつの間にか……」
灼「まぁハルちゃんだし」
憧「灼さぁ、結構ハルエ離れしたよね。夏まではベッタリって感じだったのに」
灼「来年にはいないかもしれないから、いつまでも依存してられないよ」
宥「えらいね~、灼ちゃん」ナデナデ
灼「ちょっと、宥さん……///」
玄「お姉ちゃん、私も~」
宥「はいはい、玄ちゃんもえら~い」ナデナデ
京太郎「無視しないで……あの、俺も……」
穏乃「明日は麻雀しよ、京太郎っ?」
京太郎「穏乃、お前最高」ギュッ
穏乃「ふぁあぁぁっ!?」
憧「やめんか、ヘンタイ!」ペシッ
穏乃「はぁっ、はぁっ……あ、ありが、と……憧ぉ……」バックンバックン
京太郎「今回俺が学ぶべき教訓は、みだりに女子に抱きついてはいけないということだ」
京太郎「さて帰ろう、一人寂しくな……」シクシク
京太郎「……はぁ」トボトボ
玄「おぉ~いっ……」タッタッタ
玄「どうしたの、京太郎くん! 一人で先になんて……」
京太郎「あ、玄先輩……いえ、ちょっと一人になりたくて」
玄「もう、拗ねないのっ」ギュゥッ
京太郎「はふぅっ……」
京太郎(腕に、おもちの感触が……無だ、無心になれ……)
玄「京太郎くんは、自由に行動できるでしょ? 麻雀するのもしないのも、自由!」
京太郎「はい……」
玄「それを自虐ネタにしないのっ、返事しづらいからね。ああいう場合は……」
玄「今日は麻雀できなかった、明日は頑張ろう。これでいいんだよ?」
京太郎「うっす……すいませんでした」
玄「それか――えへへっ」
玄「――みんなの役に立ててよかったって、思ってくれたら嬉しいな」
京太郎「それは思ってます。すみません、ちゃんとそう言うべきでした」
玄「だったらいいよ。だけど、無理に執事らしくしなくても、いいんだからね」
玄「京太郎くんは京太郎くんの、やりたいことをやってくれるのが一番かなぁ」
京太郎「――いつもそうです。俺は、やりたいことやらせてもらってます」
京太郎「みんなに感謝してます」
玄「ありがと。私たちも、京太郎くんに感謝してるよ、毎日ね」
~月曜、夜
京太郎「ううむ、いけないな……合宿明けで、少し気が緩んでいたみたいだ」
京太郎「こんなことでは、師匠のように立派な執事にはなれないな、うん」
京太郎「夜も常に、自覚を持って行動しよう」
京太郎「――よし、ちょっと走ってくるか。買い物ついでに」
京太郎「なんでだろうなぁ、夜中にコンビニのジャンクフードが恋しくなるのは」
京太郎「……よし、決めた。すいませーん、ピ――」
??「ピザまん、いただけますか」
店員「ッシャーッス、アザーシャー、マシャッサッセー」
京太郎「ぐっ、ラス一か……あー、それじゃチンジャオまんで」
??「…………あっ、派遣執事」
京太郎「へっ?」
??「……いや、ごめん。なんでもないよ」スタスタ
京太郎(……たしか、麻雀関係者の、高校生以上しか見られないはずだよな?)
京太郎「それにあの制服……あぁっ!」
京太郎「ちょっと待って、そこの――ピ、ピザまんの人!」
??「…………私?」ピタッ
??「変な呼び方、やめてもらえるかな」クルッ
京太郎「はぁっ、はぁ……すみません、その――」
京太郎「制服、見覚えがあったもので……えっと――」
京太郎「阿知賀女子の方ですよね?」
??「……本気でそう見えるなら、君は通ってる学校の女子をよく見たほうがいいかな」
??「それとも、そういうナンパのつもり? 思ったより軽い人だったんだね」
京太郎「あぁっ……じゃない、すみません……えっと、晩成の方ですよね?」
??「なんで言い間違えたのかわからないけど……そう。けど、よく知ってるね」
京太郎「それも麻雀部の方ですよね、俺のこと知ってるってことは」
??「まぁね。最近は初瀬や、あとやえ先輩が君のことよく言ってる、モテモテだね」
京太郎「やっぱり……えっと、二人にはこちらの学園祭で、お世話になりました。はじめまして」
京太郎「長野県清澄高校から参りました、派遣執事の須賀京太郎と申します」ペコリ
??「……名乗られたからには、返したほうがいいよね」
由華「晩成高校二年、巽由香だよ。よろしく――」
由華「――京太郎くん?」
由華「最初の軽いのには驚いたけど、写真で見るよりいい男だね」ニコッ
京太郎「いや、最初のは言い間違いで……写真?」
由華「学園祭で、すごく撮られてたみたいだよ。晩成の女子麻雀部で、高値で取引されてる」
京太郎「盗撮は犯罪ですが……」
由華「そっちの写真部がスナップで撮ったの、覚えてない?」
京太郎「いえ、それは許可されてましたから――まさか」
由華「そう。それが知り合いを通じて、こっちに流れてる。すごいよ、執事スマイルのやつ、一万円超えてるから」
京太郎「――や、やえさんや巽さんから、注意していただけないでしょうか」
由華「由華でいいよ、私も京太郎くんって呼ぶからさ。でも注意は無理」
由華「やえ先輩も、あと初瀬も、それに――」
由華「私も持ってるからね」ニコッ
由華「(定期入れを開いて写真見せる、執事京太郎、給仕中の横顔)」パカッ
京太郎「…………おぉ」カァァッ
由華「かわいい反応するね。それじゃ、またどこかで会えたら……あっ、そうだ」
由華「携帯の連絡先、交換しようよ。初瀬とやえ先輩とは、してるんでしょ?」カチカチ
京太郎「あ、えっ……はい、じゃあ……」
由華「うん、ありがとう。それじゃ、またね」フリフリ タタッ
京太郎「え、ええ、また……」
京太郎「――綺麗な人だな。クールだけど、どこか可愛らしい感じだし」
~月曜、終了
~11月第三週火曜
京太郎「……晩成高校麻雀部と、三人も知り合いに……」
京太郎「これ、いいのかな。あっちは派遣先にないみたいだけど……まぁ、いいか、な?」
京太郎「じっとしてると色々考えてしまう、とにかく動こう」
京太郎「ちはーっす! よろしくお願いします!」
A「おう、待ってたぞ。汁のほう頼む、ほかはだいたい手が回ってるからな」
京太郎「了解です! 今日は……茸汁ですね! やるぜっっ!」
板長「気合入ってんなぁ、よっしゃ、追い込みかけんぞ!」
B「うぃっす!」
京太郎「完璧ですよ、今日のは」
B「ふーん、悪くねぇ……だが」
A「茸のダシの分、元のダシの風味が負けてるな」
板長「精進しろよ」
京太郎「おうふ……頑張ります」
板長(まぁ十分うめぇんだが)
A(ここで満足されては困るからな)
B(これも愛のムチってやつよ)
~お昼
京太郎「――というわけでリベンジに作った。はーい、欲しい人挙手ー」
ノ ノ ノ ノ ノ ノ ……
憧「私もー。京太郎、はやく持ってきてよー」
京太郎「ちょっとくらいでも意識して動かねーと……」
憧「動かないと?」
モブ子「ふふふ、この憧のパーフェクトスタイルを見て、そんなことが言えるかな?」ニヤァ
憧「ちょっと//// きょ、京太郎は見ないで!」バッ
京太郎「っつーか、なんでお前が偉そうなんだよ」ビシッ
モブ子「はぐっ」ドサッ
憧「モブ子っ!?」
京太郎「安心しろ、当身だ」
憧「女の子になんてことすんのよ!」
京太郎「冗談だっての、空振りだし……っていうかいつまで寝てんだ!」
モブ子「ハッッ! いかん、味噌汁のうまさに意識が危うく――」
憧「……食べ過ぎないように、しなきゃね」
憧「んー、おいしかった……ねぇ、料亭とか開いてみない?」
京太郎「んな金もコネも、あと腕もねーよ」
憧「えー、いけると思うけどなー。それか定食屋でもいいよー?」
京太郎「なんでそんな、食べ物屋ばっか推してくるんだよ……腹減ってんのか?」
憧「いま食べたばっかよ、そんなわけないでしょ」
京太郎「おや、なぜかこんなところにプリンが」
憧「…………ゴクリ」
京太郎「季節のカボチャプリンかぁ、おいしそうだなぁ」チラッ
憧「(お腹見て、軽く触って)」チラッ
憧(が……我慢、絶対こいつ、部活中もなにかしら作るもんっ……)
京太郎「なら俺が――あれ?」
モブ子「いただいたぞ、このプリンはを食うのは憧ではない! このモブ子だあぁぁぁぁぁっっ!」ビシィッ
京太郎「……すまん、憧」
憧「あー、いや……別にいいわよ、うん」
憧「部活中に、なんか作ってくれるんでしょ?」
京太郎「だなー。なんにするか……あ、久々にちゃんとしたケーキ焼きたいな」
憧「……ケーキ屋とか、お菓子屋でもいいのよ?」
京太郎「だから、なんでそう店を構えさせたがんだよ」
憧「そ、れは……こっちに店だせば、あちこち行かないだろうから……」ブツブツ
京太郎「あ?」
憧「っっ!! ま、また聞いてたのっ!? さいってー!」
京太郎「聞こえてないから聞き返してんだよ!」
憧「いつもそれで聞いてるじゃないっ……もうっ、なんでもないわよ!」
憧「ただ、お店があったらそこで、京太郎になにか作ってもらえるって思っただけよ!」
京太郎「……言ってくれたら、作りに行くぞ?」
憧「ふぎゅっっ!?」
モブ子「おーい、ほったらかしかーい」
最終更新:2026年01月17日 00:01