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【12月第一週木曜】
 ――本日、私こと須賀京太郎は、東京のローカルテレビ放送にて、テレビデビューいたしました。
 その一部始終がこちらの動画です。友人が連絡し、その旨を知った一部の方のため、アップデートします。

 ただの料理番組ですので、さほど見せ場もありませんが――晩御飯の一品にでも加えていただけますと、出演した甲斐もありました。
 それでは、失礼します。
 お目汚し、申し訳ありませんでした。

 …………

 『このたびは番組進行にご協力いただき、さらには番組宣伝までいただき、ありがとうございました』

 えーっと、たしかテレビ局は、ここのパスあるんだっけか。
 ……スタッフさんかな? ってか早いっ!

 『オカンがなぁ……これ見てな、うちに作れっていいよんねん……料理の一つもできんで、嫁に行けるか言うてな……』
 『なに言うてんの。えらいおいしいのに、簡単な煮物やで。感謝せなあかんやろ』
 『そうやで、お姉ちゃん。私もさっき作ってみたけど、もうめっちゃ簡単でな――』
 『そういうことちゃうわ! うちが嫁に行ったら、誰が婿取るんやっちゅー話やろ!』
 『そらあんたの妹がおるわ。こっちのことは心配せんでええで』
 『』
 『そうやで、お姉ちゃん』

 親子ゲンカはよそでお願いします。

 『というか、一緒におられるの、瑞原プロと小鍛治プロじゃありませんか……』
 『ほんとに二人と知り合いだったのねー。あ、そういう伝手で出たのよね?』
 『清澄の部長さんですか? そうではなく、偶然お見かけした彼に声をかけて、こちらが無理を言って、出演していただきました』
 『上の方の言う通りで、京太郎くんから頼まれてはいません。私たちは善意で出演してくださったことに、感謝しています』
 『――失礼しました。当方としても、彼がそういった気持ちでなかったことは、確信しています。ご縁の関係を、茶化しただけですので』
 『ご不快にさせたなら、申し訳ありません。京太郎も、ごめんなさいね』

 ……まぁ、本人たちが言ってくれてるし、最初のスタッフさんのもあるし……荒れないよな?

 『あのさー、そういうの出るんならさぁ……私とも、その……あー、もうわっかんねー!』
 『日本各地に、そういった放送枠があることはご存知ですよね?』

 どういう意味ですか、おい。

 『動画の京太郎くんを、繰り返し見てるんだけど、あの子……目がキラキラしてるわ』
 『あの煮物、京太郎くんのオリジナルだったんだね!』
 『あれ、言わなかったっけ……そうだよ、こっちで作ってくれたの。教えてくれたよね、京太郎』
 『あんたの動画のせいで、あたしのベッドがあの子の涎塗れになったんだけど、どうしてくれんの?』

 知らんがな……。

 『板長さんたちが、あんな手抜きで作ってんじゃねえって怒ってました』

 うわあぁぁあぁっっっ!!!

 『っていっても、冗談半分だけどね。緊張しすぎだって笑ってたよ~』

 ホッ。

 『手際よかねー。今度私も作ってみっとよ』
 『これまでに派遣されたとこって、どこもこんなうまそうなん食えてるんか?』
 『はい』
 『うん』
 『そうだよー、ちょーおいしいよー』
 『お弁当とかね、あとパーティとか』
 『合宿でもね!』
 『普通にうらやましい』
――――――――


~清澄

「うう、私たちの京ちゃんが……全国の京ちゃんになっちゃったよぉ……」
「別に私たちのものではありませんが……どうしました、会長?」
「んー、ちょっとねー、自己嫌悪……人が見てるとこに、普段のノリはまずかったなーって」
「珍しいのう、あんたがそんなこと言いだすとは」
「失礼な。けどね、京太郎が自分への反応を気にしてたってことに、後から気づいたのが……わりと、自分でもショックでねー」ハァ
「周りの反応は悪くないし、先輩も気にしなくて大丈夫だと思うじぇ!」
「うぅ、京ちゃーん……」グスッ
「なんじゃあ、泣いとるんかい、咲は……まったく」
「気にしすぎだと思いますけど、咲さんは……」

~白糸台

「うぅ、私の京ちゃんが……全国の京ちゃんになっちゃったよ……」
「元からお前のものじゃないがな」
「うわー、ほんとに上がってるー。うーん、でも……やっぱりかっこいい」ボソッ
「淡ちゃん、なにか言った?」
「んーん、なーんにも」ブンブン
「これ、魚にも応用できそうですよね。へー、おいしそう……海行ったときでも、試してみたいなー」

~永水

「京太郎の、煮物ぉ……」ダラー
「春ちゃん、口元閉じてね」
「ああ、はるるは同じクラスでしたからねー」
「キーコン作ってきたの、何度ももらってたって目撃証言がありますよ……あーんもされてたとか」
「あ、あーんですかっ////」カァァッ
「えへへ……」テレテレ
「」ゴッ
「」ゴッ
「霞ちゃん、はっちゃん、落ち着いてね」

~宮守

「なるほど、これが……ずるいよシロ、早く教えてよ!」
「ごめん、忘れてた……っていうか、聞かれなかったし」
「まぁ、私たちもシロが煮物なんてした時点で、おかしいって思うべきだったのよね」
「ひどい言い様……」
「カンタン! オイシイ!」パクッ
「ご飯が進むよー、いくらでも入っちゃうよー」パクパク
「全員で作ったのは、やりすぎだったかしら……」
「みんなが覚えるためだもん、仕方ないよ!」
「キョータローノ、アジ! オボエタ!」ニコッ
「そ、その言い方は、なんか……だめっ///」カァァッ
「?? 塞、どうしたのー?」
「いや、なんでもないけど……////」
「……塞のムッツリ」ボソッ
「違うわよ!」カァァッ

~阿知賀

「うえー……はぁ、寝る前にシーツ変えなきゃいけないなんて、めんどくさいなぁ」
「ご、ごめん、おいしそうだったから、つい……」
「――というか、あのプロの二人はなにしてんだか……」
「麻雀では勝てそうにないけど……料理なら、勝てそうかな……」ボソッ
「もしもし晴絵ー? 小鍛治プロとか瑞原プロの番号知ってたらさー、憧からの宣戦布告なんだけどー」
「やめてよお姉ちゃん!!!!」
『……私も、ヒマじゃないからさー、姉妹ゲンカのネタにしないでくれる?』

「うふふ~、これよりおいしいの、食べさせてもらったもんね~、私たちは~」ニコニコ
「そうだよね~、お姉ちゃ~ん」ニコニコ
「……うらやまし……」
「次に来てもらったら、作ってくれるよ、たぶん」
「だといいけど……」フゥ


~某居酒屋

「ずるい!」ドンッ
「いや、私に言われても……っていうか、野依さんこっちにいたんですか……」
「遺憾!」プンプン
「だ、だーかーらー、私が一緒に出演したんじゃないんですから……あの二人、呼ばないんですか?」
「スルー!」プンプンプン
「ああ、携帯出ないんすか……また今度、なんかで一緒になればいいじゃないですか」
「なに!」
「なにかってなにって……まぁ、テレビとか指導とか……」
「ない……」シュン
「あー、いまテスト中ですから、呼ばれないんですよね……ま、まぁそのうち、きっと――」
「する!」シャキーン
「こっちで仕事いっぱい入れるんですか? いや、それだと会える機会が減るかも……」
「やめる……」
「えっ!? いやいやいや、別にプロやめなくてもいいじゃないですか、こっちに来るくらい……あっ、移籍とかどうです?」
「無理……」フルフル
「まぁ、世話になってるチームでしょうしねぇ、私もそーですよ」ウンウン
「飲む……」
「ビールにします? あ、お茶ですか、了解です。すいませーん!」



~12月第一週金曜

京太郎「まぁあれだよな、そうそう番組に当たることなんてないよな」

モブ子「あれじゃないの? プロ付き人派遣の実装準備とか……」

京太郎「いやー、それだとプロスレと被るし……さすがに、なぁ?」

モブ子「だよねー、もっと面白いネタでもないとねー」

京太郎「そうそう。俺はおとなしく、麻雀部で執事でもやってるのがいいよ、性に合ってる」

モブ子「なにいってだお前」

咏「ちょっと野依さん、なんでこんなとこで降りるんすか!」

理沙「白糸台!」

咏「だ、だめですって、さすがに迷惑が――」

京太郎「……咏さん、理紗さん?」

咏「!? ちょ、ま、京太郎!?」

理沙「!! 会えた!」ガバッッ

京太郎「!? り、理紗さんっ? どうしたんです、っていうか、なんでここに……」

咏「すまんねい、京太郎……昨日のあれ見て、二人が羨ましくなったってさー、野依さん」

京太郎「ああ……そうですね、すみません。阿知賀のときに会った以来、お会いしてませんでしたし」ナデナデ

理沙「~~~っっ、ごめんっ、なさい……」ギュゥッ

京太郎「いえ、こちらこそ……その、どうしたら……」

理沙「……なにも……」スッ

咏「会えたらスッキリしたっぽいねぃ……悪かったねー、京太郎。こんな朝っぱらから」

京太郎「いや、別に構いません。理沙さんに会えましたし、ラッキーでした」

理沙「……いってらっしゃい!」ニコニコ

京太郎「はい、いってきます……ところで、お二人はどうしてここに?」

咏「えっ」

理沙「えっ」

京太郎「いえ、お二人は横浜と福岡ですし……あ、わかりました!」

二人「」ビクッ

京太郎「お仕事で、局に泊まるとかホテルから移動中とか、そういうのですよね! お疲れさまです!」

咏「……あ、あー、うん、そう……い、忙しくってねー。ほんじゃまたー」タクシーノリ

理沙「お疲れ!」ブンブン タクシーノリ

咏「いやー、ヤケになったまま徹マとか……朝帰りと思われなくて、よかったすね」

理沙「反省!」

~お昼は編み物、大幅カット

京太郎「そろそろ淡も、やりたくなんねーか?」

淡「ならなーい。それ、私のだもんね♪」

京太郎「ランダム交換らしいから、誰のが来るかわかんねーぞ?」

淡「!?」

~放課後

京太郎「――とはいえ、再来週は淡の誕生日だ」

京太郎「様子を見て、なんとかしてやらないとなぁ……今度か、来週の休みにでも」

京太郎「さぁ、部活の時間だ。今日はさすがに、テレビになんて縁のない活動になるだろう」

京太郎「――ん?」

菫「ふぅ……」コキコキ トントン

京太郎「あの、菫先輩?」

菫「――っっ!! ど、どうした、京太郎くん?」

京太郎「いえ、あの……肩が、凝っているようですけど……」

菫「!? いいいい、いやっ、そんなことはない、べ、別にそんなっ……」

京太郎「えっと、俺のマッサージ……下手、ですかね? 正直なところ……」

菫「そんなことはない! むしろ、その……上手、すぎるというか……あぁっ、なにを言ってるんだ、私は――」

菫「とにかく! いまは別に……ひ、必要は……」

京太郎「なら――すみません、失礼します」サワッ グッ

菫「ひゃふっっ! んっ……ま、待たないかっ、きょう……くぅんっっ……んっ、はぁっ……」ビクッ

京太郎「……かなり凝ってるじゃないですか。どうして言ってくれないんですか?」

菫「~~~~っっ/// そ、んな、ことっ……わかっているだろう、その……」

菫「声、が……お、抑えられない、から……」

菫「君のが、気持ちよすぎるからっ……い、いけないんだ!」

京太郎「……そう、ですか。なら、こういうのはどうですか?」スッ

京太郎「菫先輩は座っててください。肩を揉むだけ……で、先輩がやめるように言えばやめます」ボソッ

菫「はぁんっ、あ、ふっ……ぅんっ……ち、近い、耳に、息ぃ……んくっ、うぅんっ……」ゾクゾクッ

京太郎「――っと、すみません。で、それならいかがでしょうか」

菫「あ、う……で、でも……ここだと、誰が入ってくるか……わ、わからない、し……」カァッ モジモジ

京太郎「じゃあこうしましょう」カチャッ

菫「」

京太郎「鍵もかけましたし、これで二人きりです……普段から牌の音がしないように、防音は効いてますよね」

菫「あ、あぁ……」ドキドキドキドキ

京太郎「それなら、えっと……しても、いいですか?」

菫「」ゴクリッ

菫「そ、う……だな……なら……」

菫「――お願い……しよう、かな……」ゾクゾクゾクッ

 最初に触れただけでわかった、やはり重みのせいで、相当に負担がかかっているようだ。
 それを解すために、ゆっくりと手を添え、指圧で肩から首元へと、圧力を滑らせる。

菫「くぅぅっ……んっ、あっ……はぁっ、あぅぅぅぅっ……」

 指を触れるだけで菫先輩の肩が、勢いよくビクンッと跳ねた。
 それを宥めるように今度は手の平を乗せ、先ほどよりも弱い圧力で首筋を擦る。

菫「はぁぁぁ……あぅっ、そ、んな……それは、ずるいっ……あはぁっ、あっ……ぁんっ……っ///」

 膝上に乗せ、キュッと握られていた手がスカートを握り、皺になるほど強く握られる。
 強すぎただろうかと思い、さらに弱い刺激に変えて、次は二の腕を外側から揉み解す。

菫「ひゃふぅっっ! んひっ、やっ、あぁあっ……そんなっ、そこぉっ……あっ、くぅぅっ……」ビクビクンッ

 椅子の上で腰を捩り、背中を反らせた先輩が、甲高く喘ぐ。いや、喘いだのではなく上擦っただけか。
 その瞬間、耳を赤く染めた彼女は、慌てて手の平を口に宛がい、声がもれないように抑える。

京太郎「あの、辛かったらやめますけど……」ボソッ

菫「~~~~~~~~~っっっ!?!? ふぇっひっ……へい、きぃっ……あぅっ、んっ……だか、らぁぁ……」

 耳元にささやきかけると、スカートを揺らめかせて彼女の脚が擦れ合う。
 そうしたまま身を竦め、さらに涙目になりながらも、先輩は僅かに振り返って、そう言ってくれた。

菫「つ、づ……けてっ……続けてっ、いいっ……すごく、いいのっ……肩、いいのぉっ……」フルフル

 耳元に顔を寄せていたせいで、揺れた髪からこぼれる香りがまともに鼻腔に吸い込まれた。
 甘い花のような、それでいてほんのりと汗が混じっているような、本能に訴えかける香り。
 しかも振り返った唇までが、目の前で小さく動いている。
 熱い吐息をもらし、時折ピチャリと濡れた音を響かせて、艶めかしく彼女が繰り返す

菫「してっ、もっと……揉んで……いっぱいしてっ、気持ちいいの……ギュッ、て……してよぉっ……」

 その声に誘われるまま、小さく頷いて手の平を動かす。もちろん指先も、凝りに押しつけて揉みほぐす。

菫「ひゃあぁぁんっっ! はぁっ、ふぅぅんっ……んくっ、くぁっ……はぁっ、あぁぁぁんっ!!」

菫「だ、めっ……やめちゃ、いやっ……こ、声、抑えるから、ちゃんとぉっ……んくっ……ぁんっ///」

 懸命に手の平で唇を覆っても、それでももれる声に、先輩の白肌が赤く染まってゆく。
 見ればしっとりと汗まで掻き、ブラウスが濡れてしまいそうだった。
 放っておけば、このままではブレザーまで濡れてしまうかもしれない。
 だから俺は、提案する。

京太郎「――汗、掻いてますよね。ブレザー脱いだほうがいいですよ……あ、脱がないならここでやめますので、安心してください」ニコッ

菫「――っっっ!? そ、んなぁ……ひ、きょうっ……君は、卑怯だっ……そんなの……っっ」

 そう告げられ、赤く染めた顔を伏せた彼女は、小さく震えながら、ブレザーを脱ぎ、畳んで机に置いた。

菫「お……願い、つ……続けてっ……もっと、して……くれ……くださいっ……」ギュウッ

 スカートを握り、恥ずかしそうにつぶやいた先輩は、そう言ってもう一度、椅子に腰かけた――。

菫「……っっ……んくっ、あっ……~~~~っっ」ゾクッッ ビクビクンッ

京太郎「す、すみません、やりすぎましたか……?」

菫「そん……ぁっ……そんな、ことは、ない……けど、その……っ///」

菫「す、少し、あくっ……は、肌が、過敏でっ……しばらく、ブレザーが、羽織れないんだ……」

菫「そっとしておいて、もらえるかな……それと、あとでお茶を頼む……」

菫「できるだけ渋いのを、な」フフッ

京太郎「はい、失礼します……」

菫「――言っておくが、マッサージはとてもよかったよ……またお願いしたい」

菫「それじゃあ、ありがとう……とても、楽になったよ……んっ、ふぅっ……」ビクッ

京太郎「――お茶が入りました……」

菫「あ、ありがとう////」アセッ

誠子「…………」ジー

尭深「…………/////////」

照「…………ずるい」ジトー

淡「あわぁっ、あわわわわ////////」


京太郎「すみませんでした……」


京太郎「……勉強でも、してます……」

京太郎「はぁ……ん?」

淡「……と、隣……いい?」チラッ

京太郎「ああ」

淡「ありがと……」

京太郎「…………おう」

京太郎(空気が重いよぉぉぉぉぉっっ!)

菫「…………」ソワソワッ

菫「っ…………」スッ

菫「あ、あの……すまないっ……」

京太郎「うぇっ!? す、菫先輩、どうしましたかっ」

菫「……えっと、なんだ……」

京太郎「なにか、わからない箇所でも?」

菫「!!! あ、ああ、そう、えっと……こ、ここなん、だが……」

京太郎「……いいですよ、座ってください」

淡「!!!」

淡「きょ、キョータロー! こ、ここ……この問題……教えて?」チラッ

京太郎(なんだこの空気は……二人して、気を遣ってくれてるのか……?)

京太郎「じゃあ、その……先に、やっちゃいますね」

菫「やっっ……あ、ああ、教えて、ね……うん、ありがとう」

淡「むー……ま、いっか……」

京太郎「て、手短に済ませます、いいですよね?」アセッ

菫「そ、そうだな、効率第一でいこう」キリッ

京太郎(……さっきの、マッサージ中の菫さん……)

京太郎(こう、いつもと違って淑やかというか、弱きというか……あれが、素なのだろうか……)ボー

菫「――くん? 京太郎くん? どうした?」

京太郎「……はっっ! す、すいません、えっと……」

菫「いや、知りたかった箇所は、解いてくれてるが……過程もわかりやすいし。ただ、説明がないので――」

京太郎「す、すんません! じゃあ最初から――」

菫「いや、意識が戻ったならいい。こっちはわかったから、淡を見てやってくれ。そっちのほうが、危ういはずだろう?」

京太郎「――そうでした」

淡「ほい、よろしく」

京太郎「よし、厳しくやるか!」グッ

淡「ひっっ、や、やだぁ……」ビクビクッ

京太郎「……いや、自分に厳しくってことな? お前には優しく教えてやるから、うん」

淡「……そっか、ならいいか……ほっ」

京太郎「……悪かったな、気ぃ遣わせて」

淡「べっつにー? 私はいつも通りだよー」

淡「んぉわったぁぁぁぁ~~~~~~っっっ! もう今日は勉強しない!」ノビー

京太郎「ういー、お疲れさん」

淡「さ、かーえろっと。キョータローは?」

京太郎「もうちょいやっていくかな。お疲れ」

淡「んー、そっか……じゃねー」

京太郎「先輩方もどっか行っちゃったし、あとで鍵だけ閉めとかないとな」


~下校時刻

京太郎「さーて、帰るかぁ……」

照「お疲れさま、京ちゃん。一緒に帰ろう?」

京太郎「っっ! お、おぉ、照さんでしたか……いいですよ、帰りましょう」

照「はい」スッ

京太郎「……甘い物なら持ってませんが」

照「…………むー」ムスッ

京太郎「冗談です、すみません」キュッ

照「よろしい///」


京太郎「……なんか、怒ってました?」

照「菫に、したでしょ」

京太郎「や、その……えと、肩を、少しだけ……」

照「……いやらしい」

京太郎「や、やましい気持ちはありませんっ……」

照「ほんとに?」

京太郎「ほんとです」

照「なにに誓う?」

京太郎「む、難しいですね……じゃあ、えーっと……清澄麻雀部と、うちのカピバラに誓います」

照「……ならいいよ。信じた」

京太郎「あっさりですね、いいんですか?」

照「大事なモノに誓ったみたいだから、ね。そこで私の名前だったら、たぶん怒ってた」

京太郎「――照さんも大切ですよ?」

照「一番じゃないでしょ。わかってるからね」

京太郎「……はい」

京太郎(その次には――って感じなんだけどなぁ……あ、いや、親が先か)

京太郎「そういえば、番組のあれ、見たのかな……」

京太郎「できれば見てないでくれっ……」


『見たよ、すっごくかっこよかった』

京太郎「」


『料理もおいしそうだった……私も作ったよ』

『おいしかったし、簡単で便利だよね』

『だけど……京太郎が作ってくれたキーコンは、もっとおいしかった』

『今度は私が、作って食べさせてあげる』

『待っててね』

京太郎「珍しいな、いつもならねだるのに」

京太郎「料理に目覚めたか? 前の料理教室でも頑張ってたし」


『ふふ、そうだよ』

『京太郎に食べてほしいから、一生懸命勉強してるの』

『それで、ね……』

『いつか、京太郎のこと――』

『京ちゃんって、呼びたい』

『だめかな』

京太郎「料理がうまくなったら、か……」

京太郎「なら、そのときにな。ちゃんと食わせてくれよ」


『うん、約束!』

『嬉しい、目標が一つ増えた……』

『頑張るね、京太郎!』

『連絡くれて、ありがとう』

『おやすみなさい』


京太郎「……なんか、ずいぶんと落ち着いた感じだな……」

京太郎「俺も負けてられないな、もっと成長しないと」

京太郎「あとは……みんな、どうしてるかな……」

京太郎「……シロさんに教えた煮物、テレビでも作っちゃいました。すみません」

京太郎「毎日繰り返すと、それだけ上手になりますから。頑張りましょう」

京太郎「テレビ、もしかして見たか? 悪いな、プロとの対局、なかなか組めなくて」

京太郎「日誌のコメントは、俺は気にしてないので大丈夫です。部長も気にしないでください」

京太郎「前の合宿みたいにこちらに来られたら、今度はホストとしてお迎えできそうです」

京太郎「憧に謝っとけよー。そしたら、あの煮物作ってやるから、な」


~12月第一週金曜終了


【12月第一週金曜】
 今日は勉強。AもS先輩も、よく励んでいたと思う。以上。

 あとは、そうだ――昨日の動画についての反応、ありがとうございました。
 トッププロとの共演をさせていただいただけでも光栄なのに、料理を作った方も多かったようで、とても嬉しかったです。
 もうこうした出演の機会はないかと思いますが、よろしければ派遣でお世話になる折に、別の料理を召し上がっていただけたらと思います。

 …………

 『ラーメン、作れますヨネ?』
 『それもよいですが、やはり中華料理がよいです。私の知っている味をお教えしますので、試していただけたら』
 『洋菓子はとてもお上手でいらっしゃいますが、フランス料理のほうはいかがでしょうか?』
 『コースばかりが有名ですが、家庭料理も素朴ながら味わい深い物ばかりですよ』
 『……和食が得意なはずだな。それは、嬉しいかもしれない』
 『お金かからないならなんでもいいよ』
 『お好み焼き作れるか? ま、無理やろなー、しゃーないから教えたる! 煮物のお返しやで!』
 『お姉ちゃんは危ない返し方するからなぁ。もうからあげ作ってもろたほうがええんとちゃう?』
 『からあげか! それもええなぁ!』
 『……須賀がおったら、前みたいに行く店で会議せんでええやん!』
 『ほんまやな、部室でも食べられるし』
 『いや、さすがにそれはあかんと思いますけど……』
 『部活外ならよしとしましょう、新部長が許可します。ついでに、うちも中華が好きなんで』
 『本場の味は地元人にしかだせんもん。やけん、その……お、教えたってもよかよ』
 『京太郎の料理は本場以上。キーコンの味、まだ覚えてるからね』
 『こっちは汁物多いからなぁ……京太郎のお味噌汁のほうが、おいしいよ。今日も作ったから』
 『北海道は食材が豊富ですよ。素材の味を活かして、腕を振るってください』

 なんだこれ。リクエストだらけじゃないか……たまげたなぁ。
 腕が鳴るぜ、ふっふっふ。

 『……日誌短くない? なんかあった?』

 ギクッ。

 『……まさか……いや、やめておきますのだ。私の勝手な想像で、混乱を招いちゃよくないよね?』
 『それが、想像ではなかったり……』
 『ふきゅっ』
 『え、ほ、ほんとに?』
 『はっきりとは言ってないけれど、おそ』
 『こちらの勘違いです。そんなことはありませんので』
 『その通りだ。憶測だけで判断するのは禁物だぞ』
 『な、なーんだ、そうだよね、あははは』
 『……あとで、メールして確認す……』

 誓ってマッサージしかしてませんけど……。
 あと尭深さんは大丈夫だろうか。

 『タコス、待ってるじぇ、いつまででも……』
 『その、本当に肩が重くて……お願いしますね』

 ――やっぱり、あのとき無理にでも顔だすべきだったかもしれないな。

 『テレビの京ちゃん、前とは全然違ってた……でも、変わってなかったね。嬉しいけど、寂しいよ』

 咲、悪い……けど、寂しいのは俺もだ。
 ずいぶんと、距離が開いちまったからな。お前にはまるで手が届かない……いまは、な。

――――――――


~清澄

「……すっかり、人気者だよね、京ちゃん」
「平気ですよ。彼は清澄の麻雀部員です。きっと戻ってきますよ……そう、約束しましたから」
「でも動画じゃ……シラタキ糸コンニャクの制服だじぇ……」
「元気だしんさい。三人がそんなじゃと、京太郎も帰ってきづらいけえのう」

(…………はぁ。ダメね、私……)

~龍門渕

「すごい! 牌のお姉さんだ! 京太郎が牌のお姉さんと料理しているぞ!」
「小鍛治プロまでいるじゃねえか……ってかこの人ら、なにやってんだ」
「冬は年末年始の特番もあるし、トッププロはタレント活動中……」
「まぁ一部の芸達者な人たちくらいだけどね――どうしたの、透華?」
「こ、ここ、これですわぁ――っっ! テレビ番組に出れば、私たちも当然、目立ちましてよ!」
「そりゃそうだけど……どうやって出るんだよ」
「……ス、スポンサーになって、なんとか……」
「いくらスポンサーになっても、タレントじゃないのにそうそう起用できないでしょ。ねえ、萩原さん?」
「そうですね。それに加え、家のお力で出演を果たしたとて――それで、お嬢様は満足なさいますか?」
「ぐぬぬ……わ、わかっていますわ、そのくらい! ちょっとした冗談ですもの」プンッ
「だが京太郎は出ているぞ? 研鑽次第で如何様にでもならないか?」
「――彼の研鑽は、人のそれを凌駕しております、衣様」
「なにモンだよ……」
「でも8月まではただの雑用だったのに、そこから四ヶ月でテレビ出演だよ?」
「あながち、間違いでもない……」

~白糸台

「渋谷ぁぁぁ――っっっ! 渋谷はどこに行った!」
「せ、先輩、落ち着いてください!」
「落ち着いていられるか、あ、あんなっ……~~~~~~っっっ//////」
「名前をだすつもりはなかったと思う。それに――自分で受けた、菫が責められる?」
「うぐっ……い、や……だ、だって! 仕方ないだろう!?」
「なにが?」
「そ、れは、その……」ゾクゾクッ
「――クセに、なったんですよね?」フフフ
「~~~~~~~~~~~っっ!? し、渋谷っ、お前――」
「そうなの、菫?」
「そうなの、スミレ?」
「ハモるな! そういうことではっ……っ――いや、もういい……ただ、その……」
「どうしても、忘れられない――それだけは言っておく」スタスタ
「……ガチですね」
「まぁ仕方ない。でも尭深、あんなところで言いふらしちゃだめ」
「すみません、つい」
「羨ましかったとかー? なーんてっ……」
「……うん、そう。だからつい、ね」
「あわぁっ!? あ、わぁぁ……あわわわわ……」
「ふーん。私は肩凝らないからなー、どうしようもないよ」アッハッハ
「誠子、残念だね。私も凝るから大変」ギュルルルルル
「えっ」
「こら淡! そ、そうですね……大変ですよね、先輩も」
「お茶、淹れてきます……」


~永水

「……うん、おいしいわね。でもどうしたの、はるる。最近よく作ってるけど」
「京太郎に、た……食べてもらうの……///」
「そうなんだ……偉いね、はるる」ナデナデ
「私も食べます、春ちゃん!」
「いままでは巴か霞の料理がほとんどでしたからねー、はるるにもおいしいですよー」
「……合宿、かぁ……いいのかしら、うーん、だけど……」ブツブツ
「? どうしたんですかー、霞。ぼーっと携帯持って」
「!? う、ううん、別に……」

(会いたいけれど……ここで会いに行って、春ちゃんは抑えられるかしら……)チラッ

「待っててね、京太郎……次に会えたとき、おいしいの作るから……た、食べてね……はふっ……///」
「……大丈夫そうね」
「なにがですかー?」
「こっちの話よ」ウフフ
「春ちゃんのもおいしいです! これは私も負けていられません!」グッ
「じゃあ今度、みんなでお料理しましょうか?」
「いいですねー。とっておきの豚さんを――」

~宮守

「……あー、京太郎からメールだ……」
「はいはい、今度はなに? 皆さんの様子はどうですか、みたいなのー?」
「いや……教えた煮物、テレビにだしてごめんなさいって。可愛いなぁ……」ドヤァ
「!? なにその甘いメール!」
「可愛いけども! 納得いかないなぁ!」
「英)私は故郷のチキンスープ教えたもの!」
「エ、エイスリンさん、英語になってるー。あ、でもいまのわかったよー。奴を弱虫にして、故郷のスープにしてやる! だねー」ニコー
「チ、チガウ!」アセアセッ
「冗談だよー」ニコニコ
「うー、納得いかない……」
「仕方ないよ、お隣さんでずっとお世話してたんだもん」
「そうそう。みんなも作れるようになったって、メールしとく……あー、やっぱダルい……」
「いいよ! 私が送っとくから!」

~阿知賀

「……どうだった、灼?」
「んー……なんでもないです、勘違いでしたって」
「そっかー。あれ、でもどうして憧ちゃんが気にしてるの?」
「えっ!? い、いいじゃない、別に。ちょっと、えっと……きょ、京太郎が白糸台で、変なことしてないかって思っただけよ」
「変なことって、なぁに~?」
「ふっきゅ! ちょっ、宥姉!」
「冗談だよ~」ニコニコ
「でもよかったですよね、なんにもなかったみたいで!」
「……穏乃は素直ないい子だね」ナデナデ
「へ? え、えへへー///」


~某お茶屋

「――ということで、野依さんがお怒りです」
「おこなの?」
「おこだよ!」プンプン
「ごめんね~☆ 偶然撮影中に会っちゃったから、つい☆」
「瑞原プロ、煽らないで」
「んじゃま、あとはみなさんで……ってことで私は帰るねぃ。良子、あとよろしく~」ヒラヒラ
「三尋木プロ、それはテリブルです」
「……あのね、私は昨日付き合って、徹マのあとだっつーの。仕事もあったし、もうヘトヘトなんだよねぃ、もうわけわっかんねーってくらい」ヒソヒソ
「――まぁそれは置いておきましょう」
「置いとくなっ」ビシッ
「それで、この会はなんのために?」
「そりゃあれでしょ、野依さんが京太郎ともっと仕事なりなんなり、できるようにって――」
「違う!」
「そう、そうじゃないんで――え?」
「京太郎くん!」
「……あ、あー、なるほど、そういうことっすか」
「よくわかりますね、三尋木プロ」
「まぁなんとなくねぃ……えーっと、要するに――」


「――これこれこういうことで」
「あぁ、そっかぁ……うーん、確かに……テレビ出演は、可哀想だったよね」
「反省はんせい☆ いや、冷静にならなくても、普通そうだよね……京太郎くんのスペックがあまりに凄まじいから、忘れてたけど……」
「彼は普通の高校生ですからね。あの動画の公開も、ひょっとするとお二人に気を遣ったのかも――」チラッ
「」
「」
「ま――まぁ、いーんじゃねっすか? 本人も承諾したんですし、そうでもしないとお二人ヤバかったんなら――」
「いや、うん……でも……お詫びは――」
「そ、そうだよね☆ まだ言葉でしかできてないし、こう……大人ならではの、あれこれを――」
「ひ、卑猥!」////////
「ちょちょ、ちょい待ちなって! 相手は学生! 高校生っすよ!」
「そうです、彼には春がいます。そういうことは決められた相手と――」////
「なに勘違いしてるの!? そういうことじゃなくて、おいしいお店とかってこと!」
「はやりはアイドルだぞ☆ 将来のダンナ様としか、そういうことはいたしませんっ☆」
「――で、そのハズバンドというのは、どこに?」
「★」ゴッ
「ここお茶屋だからね! 落ち着いてね!」
「あー、もうめちゃくちゃだよ、私ゃ知らんしー」
「ファイッ!」カーン
「煽らないで! あとどこからだしたのそのゴング!」
「置いてた!」
「どんな茶店!? っていうかほんとに茶店なの!?」


~12月第一週土曜

京太郎「……昨日の感触が、手に残ってる……」

京太郎「凝りの部分は硬いんだけど、肌とか、その……普通に柔らかいから、焦る……」

京太郎「……ふぅ」

モブ田「朝食中に賢者タイムとは……業の深いやつだな、お前は」

京太郎「ちっげーよっっ! どんな高等テクだ……あれ、モブ子どうした?」

モブ子「ふぇっ!? やっ、うんっ……べ、別に////」

京太郎「?」

モブ田「……あいつもあれで純情なんだ、妙なことは言わないでおいてやろう」ヒソッ

京太郎「……なるほど、デリカシーに欠けていたな。けど、純情なやつが賢者タイムとかわかるか?」

モブ田「純情ムッツリ……ありだな」ガシッ

京太郎「ぜひ開拓していこう」ガシッ

モブ子「いい加減にしろよおめーら、乙女扱いしてよ」


京太郎「――なんて不毛な会話してないで、さっさと学校行くかな」

モブ子「ムダだと!?」

モブ田「ムダだろ?」

モブ子「万理ある」

~登校後

京太郎「おっす。今日は早かったんだな」

淡「!!! ま、まぁね!」ササッ

京太郎「……なんで距離を取る?」

淡「そ、そんなことないから」

京太郎「まぁいいけど……」ガタン

淡「!?」ビビクンッ

京太郎「……椅子、座っただけな。落ち着け」

淡「おおおお、落ち着いてるし!」アセッ


~昼

京太郎「そろそろ半分ってとこか……だいぶ慣れてきたし、これが終わったら一週間くらいで作れるかもな」アミアミ

「はやっ!?」「私の、まだこれだけ……」「間に合うの? マジで?」
「俺は京太郎よりちょっと遅れてるくらいか」「俺はそれよりは進んでるな」
「なんで男子のが……」「まさか、執事系男子ブーム!?」

淡「あわぁぁ……」ジー

京太郎「……おっと(棒」コロン(毛糸玉を転がす)

淡「わふっっ!」パシッ

淡「へっへっへー、返さないよ!」コロコロ

京太郎「お前は猫か。まぁいいけど、引っ張るなよー」

淡「わかってるもーん」コロコロ

京太郎(……朝のはなんだったんだ)


~放課後

京太郎「テスト前になると、授業中の空気が濃くなるな……」

照「うちは進学校でもあるから。普通科より特進科のほうがすごいらしいけど」

菫「テスト内容は同じだがな。彼らはすでに、テスト範囲外の分まで進んでいるそうだ」

京太郎「大変ですね、それは」

誠子「おまいう」

尭深「京太郎くん、はい……鏡貸してあげる」

京太郎「使いませんけど?」

淡「ふっふーん、今回の学年一位は普通科のものだね! 京太郎の独壇場だよ!」

京太郎「それ、なんかいいことあんのか?」

淡「えっとねー……廊下ですれ違ったとき笑ってあげたら、悔しがらせられるよ!」

京太郎「陰湿!」

菫「さて、バカなこと言ってないで部活にするか」

誠子「まぁ勉強ですけどね」

京太郎「なに言ってるんです、部活だってしますよ!」キラキラ

照「差し入れ? お買いもの?」

尭深「掃除も、あります……よければ、誠子の部屋とか」

誠子「なんで私……淡でしょ、それなら」

菫「それよりは照の部屋だ、本を整理してほしい」

京太郎「付き添ってくださればやりますよ!」

淡「一人で入らないのー?」

京太郎「お前の可愛い部屋で懲りたからな」

淡「っっ/////」

京太郎「まぁいいか。それじゃ、先に準備してきますね、お茶の」

照「!!!!」

京太郎「あ、今日は甘いのじゃないのもありますからね。色々練習したいので」

誠子「へー、ちょっと楽しみ」

京太郎「すみません、試食させる感じになってしまって」

尭深「気にしないで? おいしいものを作ってくれるのは、わかってるから」

京太郎「期待してもらえると、やる気が出ますよ。じゃ、行ってきます」

京太郎「さて、頑張ろう!」

京太郎「……うん、いい出来だな。おいしそうに蒸し上がってる……」

京太郎「しばらく保温して、揚げ団子も……うまく油を落としておこう」

京太郎「で、烏龍茶もオッケーだな。よし――」


京太郎「――というわけで、飲茶風です、今日は。揚げ団子と桃まんは甘いので、お好みで」

淡「桃まんじゃな♪」

尭深「……心じゃよ?」

菫「わけのわからないことを……しかし、饅頭にしても色々あるんだな、皮や、中身も違うのか」

京太郎「基本は中華まんで、肉類もありますが野菜、あるいは魚介メインのも。サイズはかなり小さ目ですので」

誠子「いいなぁ。桃まんもそうだけど、色合いも違って華やかだね」

照「あちゅいっ」

京太郎「気をつけてください……常温の烏龍茶も用意しておいてよかったです。ところで――」

「おいひいおいひい」「こっちは小龍包みたい、スープが入ってるー」
「こっちはスープじゃなくて餡だ!」「エビまん、プリプリだぁ♪」

京太郎「――部員、多くないですか?」

菫「練習以外では、出入り自由にしてるからな。さて、我々もいただこうか」


京太郎「……ちょっと感想を聞いておきたい」


京太郎「――照さん、お口は大丈夫ですか?」

照「うん。餡子が熱くて危なかったけど、もう平気。いっぱい食べたよ」ニコニコ

京太郎「ご満悦ですね。クリームとか小麦粉じゃなくても大丈夫でした?」

照「京ちゃんのは前に羊羹も食べたし、私は和菓子とかの餡子も好きだからね」

京太郎「よかったです。で、桃まんはどうでした? 餡とカスタードにしましたけど」

照「このタイプだとやっぱり餡のほうがいいと思う、皮との相性もあるけど、クリームの状態の差かな」

京太郎「ふんふん、なるほど……」

照「あと、お茶は緑茶のほうがいいね、餡子には」

京太郎「そっちも準備してよかったです。尭深さんには感謝ですね」

照「揚げ団子もよかったよ。少し冷めても、油がいやにならないように、切っておいてくれてよかった」

照「でも揚げたてのほうがおいしいから、これは揚げながら食べられると嬉しいかも」

京太郎「――ありがとうございます」

照「……いっぱい言っちゃったけど、平気?」

京太郎「むしろ助かったくらいです。照さんは感想も詳しく言ってくれますから、試食をお願いしてよかったといつも思いますよ」

照「なら、またお願いね?」ニコニコ

京太郎「こちらからお願いしたいくらいです」

照「♪」


淡「楽しそうだねー」

菫「この手の感想は、さすがという感じだな」

誠子「この適切な説明は、麻雀には活用されないんでしょうか」

尭深「能力的なことはいいけど……打ち筋となると、途端に難解になるものね」

京太郎「……ふぅ、うっかりしてたな」

京太郎「中華系は、後始末も大変だな、やっぱり」

京太郎「料理の分はとっくに終わってたからいいんだけど、持って行った蒸篭や皿や茶器が多すぎたな」

京太郎「とはいえ、男子ならいいけど女子にでかい饅頭渡すのもあれだし……その辺も改善していくとしよう」

尭深「……洗い物なら、手伝うよ?」

京太郎「全部終えるまでが料理です。それに、執事たるもの主の手を煩わせはしません」

誠子「私たちも主なんだ……」

京太郎「もちろんです、お嬢さまがた」ニコッ

誠子・尭深「……////」

菫「また口説いてるのか、君は」フフッ

京太郎「ご、誤解ですから!」

淡「いつものことだよね……ふーんだ!」

照「妬かないの」ナデナデ

京太郎「汚名返上のために、このあともしっかりしよう、うん!」

京太郎「――そういえば」

菫「どうした?」

京太郎「照さんは、どうして勉強を?」

照「? テスト前だから……」

京太郎「えーっと……こういうのを言っていいのかわからないんですけど――」

京太郎「プロ入りが決まったなら、こういうのもなるべく削って、練習するべきなのか、なんて色々と考えちゃいまして」

照「ああ……たぶん、そのほうがいいと思う。だけど、麻雀しかできないおバカさん、と思われても困るから」

菫「京太郎くんが思うより、こいつは負けず嫌いなんだ。そして見栄っ張り」

照「菫に言われたくない」ムスー

菫「なんだとっ、私のどこが見栄を――」

京太郎「ああもう、ケンカしないでください……それならいいんです。余計なこと言ってすみません」

照「気にしてないよ。京ちゃんが気にしてくれて、むしろ嬉しいくらい」テルテル

菫「まったく、単純だな、お前は……ん……」

京太郎「どうかされましたか?」

菫「ああ、すまない……ちょっとここがな」

京太郎「どこですか……? ふんふむ……」

照「……前言撤回」

菫「どうした急に」

照「見栄っ張りだけど、京ちゃんにだけは弱みを見せるよね。むしろ嬉々として」

菫「なっっ!? ばば、バカなことを言うな! 誰が――」

照「菫はわからない問題を誰かに聞くタイプじゃない。私にも聞かないじゃない」

菫「……そ、そうだったか……?」

照「まぁいいけどね。京ちゃん、私はここがわからない。できれば早く教えてくれると嬉しいんだけど」ムスー

京太郎(菫さんに先に頼まれたけど、そこはかとなく照さんの機嫌が……わる、い? そこまでではないか……でも構ってほしそう)

京太郎「……はいはい、ではお先にしましょう。すみません、菫さん……」

菫「あ、ああ、構うことはない……私は、その……そいつほど嫉妬深くはないつもりだよ」

照「それだとまるで、私が菫に嫉妬したみたい」

京太郎「してくれないんですか……?」シュン

照「してる、すっごいしてる。先に教えてくれてありがとう、京ちゃん」ニコニコ

京太郎「じゃあやりましょうか。でも照さんは、学年でも十位以内に入るくらいできるって聞きますけど」

照「それでも、詰まった問題を考えるより、教わったほうが早いよ」

照「京ちゃんなら教えるのも上手だし、自分で考えるのと変わらないし」

京太郎「そうまで褒められてもむず痒いですね……では、ご期待に添えるように頑張りますから」

京太郎「――菫さんは、のちほどゆっくりと。あ、これが終わったらお茶淹れますね」ニコッ

菫「……ありがとう。なにか、気を遣わせたかな?」

京太郎「いえ、まったくです」

菫「……ふふ、そうか……相変わらず優しいな、君は」ニコッ

照「京ちゃん、余所見しないで」

京太郎「照さんにも、これが終わったらお淹れしますからね」

照「甘くしてね」

京太郎「了解です」

菫「……京太郎くんは十分甘いよ、お前には特にな」ボソッ

~部活終了

京太郎「今日もかなりやったなぁ……そういえば、淡がいない……」

京太郎「――ま、まぁ気にしないでおこう、うん。それに、今週は二回ほど、俺の問題やってくれてるし」

京太郎「これなら、赤点スレスレとかってことはないな。平均もいくつかは超えるはず……」

京太郎「さて、帰るとするか。あ、調理室の掃除確認だけはしておこう」

京太郎「――んで、お前か」

モブ子「まーいいじゃんよー、たまにゃーさー」

京太郎「まぁいいか。しっかしお前……」

モブ子「なに? 寒そう? コートとかマフラーとか手袋とか、貸してくれたくなった?」

京太郎「なるか。どこのエスキモーかと思う重装備じゃねーか」

モブ子「そうかな?」モコモコ

京太郎「っていうかそれ、どこで買ったんだよ」

モブ子「手製だよ?」

京太郎「マジか」

モブ子「阿知賀女子学園祭のメイド服、誰が作ったのかな?」

京太郎「そうだったな……じゃあ、その……み、巫女服とか、作れんのか?」

モブ子「んー、まぁね。なに、着てほしい?」

京太郎「いや、お前はいい。似合うとは思うけど」

モブ子「ばっっ//// 急にデレないで、対応に困る////」

京太郎「めんどくせーやつだな、おい」


~夜

京太郎「久々にカレー食ったな……そういえば、ホルモンカレーってあるのかな」

京太郎「どっかでは見た気もするけど……自分では作ったことないし、試してみるか」

京太郎「さて――」

京太郎「週末だし、のんびり電話――できんのかな、テスト前に」

京太郎「……シロさん……まぁ、受験生じゃないにしても、テスト勉強はしてるかな……」


京太郎「もしもし、勉強してますか?」

シロ『……開口一番、それ? なにかないの、ほかに』

京太郎「お元気そうでよかったです……家事、やってますか?」

シロ『……やってる。そうじゃなくて、もっと優しい会話がしたい』

京太郎「うーん……身体、疲れたりしてません? 勉強も練習も、大変でしょう?」

シロ『ちょっとマシになったね……んー、肩が重いかも。揉みにきて』

京太郎「すいません、すぐには無理です」

シロ『冗談だよ。でもすぐにはってことは……そのうち、してくれるの?』

京太郎「……あまり、お勧めはできないんですけど」

シロ『そうなの? 意外……京太郎にも、苦手なことってあるんだ』

京太郎「苦手、か……ええまぁ、そうだと思います。誰も、下手だったとは言ってくれないんですけど」

シロ『じゃあ上手なんじゃない? どっちにしても、普通ならいいと思うけど……じゃあ、機会があったらお願い』

京太郎「はい、わかりました」

京太郎「――それにしても、シロ先輩……今日、ちょっと饒舌じゃないですか? いつもより」

シロ『――そう、かな……?』

京太郎「口数が多いっていうか、いつもより長文ですよね」

シロ『んー……自分では、わかんないなぁ……』ダル

京太郎「そうそう、それなんです、いつものシロ先輩のテンションって」

シロ『むっ……私が元気に話してると、おかしいってこと?』

京太郎「いえ、いい兆候っていうか……いい変わり方だと思います」

シロ『……そう?』

京太郎「はい、以前の……気怠そうなシロ先輩も魅力的でしたけど――」

シロ『――っ……ふ、ふーん……///』

京太郎「やる気になってて、色々話そうとしてくれてるのは、嬉しいって思いますよ」

シロ『そっか……あぁ、そうか……うん……』

京太郎「どうしたんですか?」

シロ『ううん、いまのでね、わかった……』

京太郎「なにがです?」

シロ『――私は、京太郎と話せたのが嬉しくて、逸ってたんじゃないかな。たぶん』

京太郎「……そう、でしたか……」

シロ『……嬉しくない? 迷惑だった?』

京太郎「……なんか、申し訳なくって……」

シロ『――それは――』

シロ『それは……私を変えちゃったのが、悪かったっていうこと……?』

京太郎「あっ――ではないです! それはいいんですけど……」

京太郎「俺の電話が少ないばっかりに、そう思わせてたなら……すごく、申し訳ないなって」

京太郎「ゆっくり話せるように、ゆっくり聞けるように、もっと連絡しなきゃいけなかったかと――」

シロ『――バカ』

京太郎「えっ?」

シロ『京太郎はさぁ……時々、すっごくかっこいいけど……』

京太郎「はぁ、どうも……」

シロ『時々、すっごくバカだよね。いや、いつもバカかもだけど……』

京太郎「えっと……俺、怒られてます?」

シロ『そうだね。本当はダルいから、あんまり怒りたくないけど……』

シロ『まず、申し訳ないって思われると、私が連絡少ないって京太郎を責めたみたい。それがいや』

京太郎「っっ!! 違いますっ、そういうことじゃ――」

シロ『わかってる。でもいま京太郎がした勘違いを、私もしたんだってことは、わかる?』

京太郎「ぁ――はい、そう、ですね……」

シロ『ならいいよ。それで……うん、私は、それに――京太郎と連絡できる、ほぼ全員がだと思うけど……』

シロ『みんな、京太郎が忙しいことは知ってる、頑張ってるのも知ってる。だから、こまめに連絡してなんて、絶対に思わない』

京太郎「……はい……」

シロ『それでもさぁ――たまに電話きたり、メールきたりしたら、嬉しいから……すごく、すごく嬉しいから……ダルく、なくなるから……』

シロ『少しでもいっぱい話そうって、考えるんだよ……』

京太郎「……ありがとう、ございます」

京太郎「そんな風に言ってもらえるなんて、思ってもみませんでした……すげぇ、嬉しいですっ……」

シロ『……反省した? 変な勘違いしたこと』

京太郎「しました……それを教えてくれたことにお礼言って、そのこと謝って、ご馳走作ってあげたい気分です」

シロ『……まぁ……うん、わかったならいいよ。言いすぎじゃなかった?』

京太郎「逆です……感謝してます。ほんとです……」

シロ『ならお礼して?』

京太郎「ありがとうございます……なにすればいいですか?」

シロ『添い寝』

京太郎「えっ――」

シロ『添い寝。次に会ったとき、一泊できるときでいいから。絶対して』

京太郎「――――」

シロ『返事は?』

京太郎「――はい、必ず。お約束します」

シロ『……約束、したからね? じゃあこれで許します。その日を楽しみにしてるよ、おやすみ』

京太郎「はい、おやすみなさい……」

京太郎「シロ先輩、そんな風に……思って、くれてたなんて……」

京太郎「はぁ……ほんと、悪いことしたな。次に話せるときは、なにか楽しい話をしよう……プロ入りに向けてのこととか」


京太郎「さて、あとは誰かに、メールだけでも――」

京太郎「飲茶のときは、差し入れのお茶をありがとうございました。やっぱり餡には緑茶ですね」

京太郎「松実館の名前をお借りするときは、手軽じゃない本格な煮物を披露します、絶対に。ダシもしっかりこだわりますから!」

~土曜、終了


~12月第一週日曜

京太郎「――休日は、普通なら朝から部活だけど……」

誠子「テスト前だからね。ないよ。まぁお昼から……対局はできないけど、雀荘とかに行くなら止めないからね」

京太郎「そうなんですか……」

誠子「ごめんねー。先輩たちが成績優秀だったから、私たちもプレッシャーがあってさ……」

尭深「テスト明けの三週からは、ちゃんとお付き合いするからね? 色々と……」

淡「色々ってー?」

菫「い、色々は色々だろうっ……」

照「なに焦ってるの? 33分なあれのオマージュ?」

菫「わ、わけのわからんことを言うな!」

誠子「弘世先輩、ゲームとかテレビとか詳しくないですもんね」

尭深「世俗から離れた乙女……といえば、すごく清らかな感じになります」

菫「まるで私が清らかでないとでも言いたげだな」

尭深「……と、誠子が」

誠子「言ってません」

照「菫の髪は綺麗だよ。あと肌も」

京太郎「わかります」

淡「……どーしてー?」ジトー

京太郎「」

菫「バッ……カ……者……///」

照「いまのは京ちゃんが悪い」

誠子「そうですね」

尭深「異議、ありません」ニコッ

京太郎「罠だ……」

京太郎「さて――それなら、色々と買い物行ってこようかな」

照「甘いの?」キラキラ

淡「蕩けるように?」キラキラ

京太郎「……私物の、日用品とかです」

てるあわ「…………」ションボリ

京太郎「まぁ……食料品も、よくて安いのがあれば」

てるあわ「!!!!」パァァッ

菫「子供か!」

誠子「可愛いですね」

尭深「可愛いです」

京太郎「それじゃ、いい子で待っててくださいねー」

てるあわ『はーい』テルアワ

京太郎「やばいな……お菓子の材料が、まるで安くない……」

京太郎「ま、まぁ……買い置きの分もあるし、そっちで作ることにしよう」

京太郎「果物系も、いいのはなかったし……すみません、照さん。あと淡もな」

京太郎「さて、帰るか――」

京太郎「あっ」

健夜「あっ」

はやり「あっ」

京太郎「――今日も、なにかの……?」

健夜「ち、違うよ!? 今日はオフ! なにもないからね!」

はやり「そうだぞ☆ でもラッキーだったな、こんな偶然出会えるなんて☆」

はやり「これも……運命かなぁ?」

京太郎「だったら素敵ですね」ニコッ

健夜(動じない! そしてすかさず執事スマイル!)

はやり(グラついちゃうぞっ☆)

京太郎「ならお二人でお出かけですかー。気をつけてくださいね」

健夜「大丈夫だよー、私なんてもう、一部リーグの前線からはだいぶ遠ざかってるし」

はやり「今日は地味目の服装だからね、堂々としてればバレないもんだよ☆」

京太郎「いえ、そうじゃなくて――こんな綺麗な方が女性同士で歩いてたら、ナンパとかもありそうですから」

すこはや「」

京太郎「そういう意味で、気をつくてくださいねってことで――」

健夜「う、うぅ……うわぁぁぁぁぁ――んっっっ!!」ギュゥッ

京太郎「!?」

はやり「だめだよすこやん! 気持ちはわかるけど、落ち着いて!」グスッッ

京太郎(はやりさんまで!? えっ、なんで、なんで泣いてんの!? 俺が悪いの!?)


京太郎「――落ち着いてくださいましたか」

健夜「ごめんなさい、取り乱しちゃって……そんな心配したり、そもそも声かけてくれたりするのも――」

はやり「京太郎くん、くらいだからね……ぐすんっ☆」

京太郎「世の男の見る目がないか、二人が綺麗すぎて近寄りがたいかってことですよ」

すこやは「/////////」チョーウレシイヨー

京太郎「でも、そう考えると俺はラッキーですね。そのおかげでこうして、二人とお茶ができましたから」

京太郎「しかもここ、いい雰囲気のお店ですし……さすが、大人の女性って感じですよね。憧れます」

健夜「そ、それは、つまり……そ、そういう?」モジモジ

はやり「おおおおお、落ち着いてはやり☆ まだだよ、まだ探りの段階だから、ここからだから!」

京太郎「……?」

健夜「ああああ、なんでもないっ、なんでもないからねっ、うん! これはほら、前のお礼だからね、気にしないでっ」アセアセッ

はやり「そうだぞ☆ あれだけ助けてもらったのに、言葉だけのお礼じゃ申し訳ないもん。大人として、簡単にご馳走くらいさせてよ☆」

京太郎「ありがとうございます……では、お言葉に甘えまして」

京太郎「もう少しだけ、お話しててもいいですか?」ニコッ

すこはや『も、もちろんです/////』

京太郎「――すっかり話し込んでしまった……そろそろお昼だぞ?」

京太郎「お菓子の材料も買ってないし……見つからないように、こっそり部屋に戻るか」

京太郎「まぁ、そうは言ってももう少し時間はある。なにかやっとこうかな」

京太郎「それじゃ、今日は落ち着いて部屋で勉強するかな……ん?」

ガチャッ ドーン
淡「ふはははーっっ! まさか部屋に来るとは思わなかったでしょーっ! 淡……さんっ、じょう!」シャキーン

京太郎「」

菫「よさないかバカッ……すまないな、少しいいか?」

京太郎「あ、ああ、菫先輩……それに淡も、どうしたんだ。そんなキャンディー目に当てて、カメレオンか?」

淡「!!!! 正解! はい、賞品のキャンディーだよ! 一本あげる!」キラキラキラ

京太郎「お、おう、サンキュ……悪いな、買いだしでなんにも買ってやれなかったのに」

菫「気にしなくていいさ。普段から君は、色々なものを差し入れてくれるんだからな」

菫「私的な買い物で、それを気にかけてくれただけで十分だろう……なぁ?」

淡「うん、もっちろん♪ それにカメレオン当ててくれたしさー、ちょー許すよ♪」

京太郎「ありがとよ」ナデナデ

淡「ふふー、それじゃあそぼっか♪」

京太郎「よしっ……ってなんでだよ。俺はいまから勉強……あれ、もしかして、菫先輩も……」

菫「ふふ、そうだと言ったらどうする? 実は、君と遊びたくてな」

京太郎「遊びましょう、全力で」キリッ

淡「!? なにその扱いの差!」

京太郎「冗談だよ、そう怒るなって」

菫「こちらも冗談さ。まぁ、この時期でなければいくらでも――という感じだがな。それで……」

菫「ここで、一緒に勉強させてもらっていいかな? 君の傍だと、捗りが格段に違うんだ」

京太郎「構いませんけど……いいんですか? 掃除も適当にしかしてませんし……」

淡「えっ……こ、これで?」

菫「君の適当は、よい意味での適当だな……私の部屋より綺麗なくらいだ、問題ないよ」

京太郎「それならよかったです。あ、すみません、クッションどうぞ……ほら、淡も」

淡「えっ、私もいいのっ?」

京太郎「ちょうどいいから、最後の問題やっていけ。わかんないとこ――っていうか、まぁ……一緒にやろうぜ」

淡「わーいっ! ありがと、キョータロー♪」

菫「よかったな……では、昼までだがよろしく」

京太郎「……ん? どこか詰まりました? ああ、ここは……」

菫「――――」

京太郎「どうされました?」

菫「ああ、いや……なにも言ってないのに、よくわかったなと思って……」

京太郎「最近、よく一緒にやってますからね……雰囲気で、なんとなく」

菫「そっ、そうか……/////……なんというか、その……面はゆいと、いうか……照れるな、少し……」カァァッ

京太郎「恥ずかしがることないですって。麻雀できない分、知識を詰め込んだってだけですから」

京太郎「わかる相手にわからないことを聞く、普通のことです」

菫「そういうことではないんだが……まぁいいさ。その鈍さも、君の可愛いところだ」フフッ

京太郎「……年上によくそう言われますけど……可愛いんですか? 恥ずかしいんですけど」

菫「恥ずかしがることないさ。可愛い相手は男だろうが可愛い、年下ならなおさらな」ナデナデ

京太郎「うぐっ……あーあ、二年差ってのはでかいですね、ほんと……」

菫「……たいした差ではないよ、安心しろ」ナデナデ

淡「こっちも撫でてよー、終わったんだからさー」

京太郎「よしよし、俺が撫でてやるよ……どれ、採点するぞー」

京太郎「ふんふむ……お、いいじゃん。7割取れれば十分だぞ」

淡「えーっ!? 9割はできてた手応えなんだけどーっ!?」

京太郎「お前、落ち着きないからか、微妙なミス多すぎ……はい、見直しするぞー」

淡「ふぁーい」

京太郎「お疲れさま。もうお昼過ぎちゃいましたね」

菫「おっと、そんな時間か……少し遅れたが、食堂に行こうか。時間はまだ大丈夫だ」

淡「お腹すいたぞーっ♪」

京太郎「はしたない」

淡「空腹ですわっ」

京太郎「お嬢さまはそんなこと言いません」

淡「めんどくさいなー」

菫「午後からはどうするんだ?」

京太郎「まだ決めてないですね……」

菫「そうか。ここに来て初めての休日だ、のんびりと過ごすのもいいものだぞ」

京太郎「そうですね。ありがとうございます」


京太郎(そういえば――再来週は淡の誕生日だな)

京太郎(来週の連休がどうなるかわからないなら、先に買っておくのもありか)

京太郎「――さーて、昼も食ったし、どっか行こうかな……どうしよう」

京太郎「ほい、到着――と。まぁさっきも来た場所だけどな」

京太郎「色々と店に目星もつけといたし、いいものがあればいいけど」

京太郎「まずは、とにもかくにも淡だ――地元だし土産はないな、プレゼント一択」

「あらいらっしゃい、煮物のお兄さん。ゆっくり見てってちょうだいね」

京太郎「に、煮物……あ、テレビですか」

「あれ、おいしかったわよ……ありがとね」

京太郎「いえいえ。それで――」

「ごめんね、値段のサービスはできないの」

京太郎「――ではなく、女の子に送るとしたら、どういうのがいいですかね」

「小物ならあっち、装飾品ならこっちの棚ね……お好きなものをどうぞ、ご覧になってください」

京太郎「ありがとうございます……さて」

京太郎「……せっかくの誕生日だしな」

京太郎「すいません! こっちのこれ、包んでもらえますか?」


京太郎「さて、これは当日(第三週月曜、連休はカレンダーの日付から除外なので)に渡すとしよう」

京太郎「まだ買い物はできるな、残り5000円」

京太郎「――そうだな。玄さんに……まぁ、松実館の皆さんにってなるか」

京太郎「お世話になりっぱなしだったし、お土産送っておかないとな」

京太郎「……なにかを一緒に送ったとしよう」

京太郎「玄先輩が開けて、お菓子を置く……でも、一緒に送ったものに気づかず――」

京太郎「それが誰かに――もしも、旦那さんにでも見られたら……」


松実父『松実京太郎、待ったなし!』


京太郎「」ブルッ

京太郎「お、お土産だけでいいよな、うん」

京太郎「さて、あとはどうするかな――」

京太郎「――そうだな、宮守の……豊音先輩に送っておこう」

京太郎「みんなで一緒に食べてくれるよな、たぶん……うん、大丈夫だろう」

京太郎「さて、どれにするかな……」

京太郎「……よし、これだな。東京といえばって感じで……」

京太郎「一応、皆さんでどうぞ……っと、よし」

京太郎「残り3000円……さて」

京太郎「清澄のみんなにも、なにか……さて」

京太郎「……和に送る、ってことで……けど、部にも届けばって感じで……」

京太郎「家族で食べるって機会もないのかな、どうなんだ……このくらいの数がいいかな、たぶん」

京太郎「ふぅ……どうしてるかな、和は。あいつらのテストの面倒見て、大変なんだろうな」

京太郎「……おっと、そろそろ帰らないとまずいな。夕飯に間に合わなくなっちまう」

~昼行動終了


~日曜、夜

京太郎「――余った2000円、思わずこの座布団に使っちまった……」

京太郎「しかし、これは……いいものを買った、井草の感触……いいなぁ、やっぱり」

京太郎「さーて、そろそろ門限だな。なにかできるかな?」

京太郎「こまめに電話をしないと、少しでも多く、長く……っと」

京太郎「――お茶だけで失礼したけど、ほんとはランチも誘われたしなぁ」

京太郎「お断りしたこと、もう一回お詫びしとこうかな」

京太郎「……もしもし、須賀です。健夜さんですか?」

健夜『は、はい! どうしたのかなっ? もしかして、その――』

京太郎「ええ」

健夜『――っっ!!』

京太郎「お昼をお断りしちゃったので、そのお詫びを改めて、と」

健夜『――だよね、うん。わかってた、うん……いいんだよ、気にしなくっても』

健夜『テスト前に、お茶に付き合ってくれただけでも、申し訳ないくらいだからね』

京太郎「いえ、そんな。いい気分転換になりまして、ありがたかったです」

健夜『よかった……だけど、もし気を遣ってるなら、正直に言ってくれていいからね?』

京太郎「気を遣うのは苦手ですよ、俺」

健夜『えー、そうは見えないよ。いつも周りに気を配ってるし、相手を傷つけないように配慮してるでしょ?』

京太郎「えーっと、なんていうか……まぁ、意識してそうしよう、とはしてます」

京太郎「でも本当に得意なら、意識しなくてもそういうことができるって思いますけど」

健夜『なるほどね。私は逆だなぁ……苦手だったら、意識してもそれが上手くいかないって思うんだ』

京太郎「あ、そういう考え方もありますよね」

健夜『そうそう。だからね、気を遣うのが得意なら、私たちに気づかれないようにそうしてるのかなーって』

京太郎「そう繋げますかー。でも本当に、あのお茶のお誘いは嬉しかったですから」

健夜『ならいいんだけど。それより、あのテレビのことは、本当にごめんね?』

健夜『動画まで公開してもらっちゃって、なにか迷惑とかになってないかなぁ』

京太郎「特には……それに、こういうのも調子がいいって思われるかもしれないですけど……」

京太郎「わりと、楽しかったですからね。頻繁には困りますけど、たまにでしたら」

健夜『あはは、嬉しいなぁ。一応聞いとくと、どんな番組がいいかな?』

京太郎「うーん、やっぱり前みたいな料理系番組ですかね。わりと反応もよかったですから」

健夜『う、うぅ……そっかぁ……わ、わかった! じゃあ私も、もっとそういうのに出るね! それで声かけるから!』

京太郎「いや、無理にってわけじゃなく……」

健夜『ふふっ、冗談だよ。だけど……ああいうのを通じて、京太郎くんに料理を教えてもらえたら、嬉しんだよね』

健夜『前の煮物、もう手順も結構覚えたんだよ。お母さんも喜んでくれてさ』

京太郎「そうなんですか……ありがとうございます」

健夜『えっ? どうして京太郎くんがお礼を言うの?』

京太郎「いえ、教えた料理を作って……練習してくださってるなら、嬉しいですから」

健夜『だったら――また、教えてよ。もっといっぱい、色んな料理……』

健夜『よかったら、食べてほしいなって思ってるんだ。もちろん、京太郎くんの味には敵わないけどね』

京太郎「わかりました。だけど俺の評価は、厳しいですよ?」

京太郎「これでも経験は豊富ですからね」

健夜『ふぎゅっ!?』

京太郎「――料理の……って、どうかしましたか?」

健夜『えっ? う、ううん、なんでも……はい、覚悟してます、京太郎先生』

京太郎「任せてください。あ、でもそこまで厳しくはしませんからね?」

健夜『だめー、厳しくしてもらわないと、私って甘えちゃうからね』

京太郎「あー、だから……麻雀指導も、かなり厳し――」

健夜『』

京太郎「……じょ、冗談ですからね!?」

健夜『ううん、いいの……わかってる、私が麻雀で妥協しない女だって……』

健夜『そのせいで実家暮らしのアラサーだし、彼氏いない歴お察しだし、同級生もいっぱい結婚しちゃってるし――』

京太郎「落ち着いて! 冗談です、本当です! 健夜さん可愛いですし、優しいですから!」

健夜『うぅ、もっと褒めて……』

京太郎「麻雀してる姿かっこいいですし、物腰丁寧で親しみやすいですし、お酒さえ控えてれば最高の女性ですよ!」

健夜『ふぐっ……う、うぅ……まぁ、うん……そう、だよね……あれを見ても相手してくれてる、京太郎くんが言うなら……』

健夜『ありがとね、そう言ってもらえると、少しは元気出たよ』

京太郎「はぁ……よかったです、それなら」

健夜『それじゃ、次の機会があればまた、お願いするかもしれないけど――いい?』

京太郎「はい! それに俺、料理教えるのって、結構好きみたいですから。もちろん、作るの自体好きですけど」

健夜『それならよかった……じゃあね、おやすみなさい』

京太郎「はい、おやすみなさい。お疲れさまでした」

京太郎「――健夜さん、大丈夫かな……」

京太郎「まぁ、あの人も大人だし……お酒の力でなくても、立ち直る……よな?」

京太郎「いやいや、あまり気にするのも失礼だ。ここはおとなしく、誰かにメールして気を逸らそう」

京太郎「料理のライバル、増えてるぞ。でも春なら一番うまくなれる、料理する姿綺麗だったからな」

京太郎「お前にタコスを覚えたほうがいいんじゃないかって気がしてきたよ、最近」

~日曜終了

【12月第一週日曜】
 こっちにきて初めての休日だ、たまには外出してみよう。
 そう思って買い物に。まぁ別の目的もあったが、それは置いておく。

 すると街で偶然、トッププロにお会いした。私服も素敵です、とても。
 周囲から見られていたのはやはり、俺のような若造が美人を二人も連れていたからだろう、反省。

 帰ってからはさすがに少し勉強。S先輩は熱心だと思う、今週はほとんど勉強していた。
 やはり受験生は大変だ。俺も去年は経験したが、大学受験ともなればまるで違うんだろう。
 できる限り力になりたいが、俺に出来ることなんて大したことではないし。見ているだけなのは辛いな。

 午後からはまた買い物に。大事なものを買い、あとは各地にお土産を送る。
 とはいえ、俺もしがない学生。予算の都合ですべての学校には送れないんです、申し訳ない。

 …………

 『君にはとても助けられているよ。大したことじゃない、なんて思わないでくれ』
 『そう、菫は甘え過ぎてるくらい。京ちゃんは見てるだけなんかじゃないよ』

 照さん、名前は……今頃揉めてるんだろうなぁ……。

 『ふーん、大事なもの買ってたんだ……大事なものってなに?』
 『……ああ、そういうことか。ずいぶんマメなのね、京太郎』
 『えっ、えっ、どういうこと?』
 『ふふ、京太郎くんはしっかりしてるよね』
 『なるほどね、私もわかった。なにかしないと、あいつも不機嫌になるだろうからなー』
 『当日も、頼りにしちゃうから……よろしくね?』
 『なんでみんなはわかるの! キョータロー、私にも教えて!』

 お前には教えない。まぁ再来週を楽しみにしててくれよ。
 というか、白糸台じゃなくてもわかるとは……本当に仲良くなってんだな、阿知賀と白糸台。

 『お茶に付き合ってくれてありがとうね☆ 次の機会には、また別の店も紹介するから』
 『どうして私は一緒じゃないんでしょうか……難しいですね、偶然っていうのは』
 『ほ、本当に偶然なんだよ? 狙ってとかいないからね?』
 『それは墓穴を掘っているだけでは?』
 『濡れ衣だよ!?』
 『わっかんねーからねー、お二人の場合。あ、私とあの人が前会ったのは、偶然だから』

 ……ぐ、偶然ですよ?
 俺が追っかけしてるなんて思われたら、お二人に迷惑がかかりそうだな。気をつけよう。

 『連休の……ごめんなさい、うちは別の用事ができてしまって』
 『こっちはよろしく、だね。遠いところありがと、京太郎くん』
 『わしらも頼みはしたが……まぁ先約ならしゃーないわな。こっちは気にしとらん、気遣いは不要じゃけえ』

 話が見えない……連休? また明日、先輩方に聞いておこう。

――――――――


~清澄

「はぁー……」
「ふぅ……」
「じぇー……」
「……まこのせいじゃないわよ?」
「わかってます……」
「わかっていますから……」
「わかってるじぇ……」
「……わしらも宮守まで行くか?」
「学校に泊まるらしいじゃない。泊まれる部屋も限られるでしょうから、五人も増えたら大変でしょ」
「……ほうじゃの」
「ひ、一人くらいなら……」
「咲さん? どうやって一人を決めるんですか?」
「……決まってるじぇ。私らは麻雀部……」
「……そうしよっか」ゴッ
「――なら、私が入るわね。私が勝ったら、あんたたちはしばらく、特訓と勉強だから」
「とりあえず、テストが終わってからにせえ……」

~龍門渕

「……買い物の予算に困るようなお給料を渡しまして?」
「いえ、労働に見合う対価をお支払いしましたが――なにぶん学生です。月々の額を制限するのは、考えられるでしょう」
「真面目だねぇ、こいつは」
「普段の頑張りからすると、月々にお給料が出ててもおかしくないんだけど……」
「その分は、他校の学費になってるのかも……」
「散財を覚えても仕方あるまい。身の丈に合わせた節制は大事だ」
「左様でございます」
「なら衣もそうだな」ニヤニヤ
「身の丈とはそういう意味ではない! 子ども扱いするなー!」プンプン
「はいはい、ケンカしないの……それにしても彼、アルバイトとかしないのかなぁ」
「そういえば、以前の番組……出演料は?」
「トッププロとの共演でチャラ……にはなりませんわね、そもそも知り合いですし」
「つくづく欲がねーなー、こいつ」

~白糸台

「――名前をだすな、と何度も言ってるよな?」
「どっちにしてもばれてるよ。ここのS先輩って、京ちゃんがよく書いてるし」
「亦野も同じだということを忘れるな?」
「……誠子、どう思う?」
「え゙っ……の、ノーコメントで……」
「ねー、それより大事なものってー?」
「そのうちわかるよ、いまは忘れて……合宿のことに集中しよう?」
「今回の目的は東京五位の小瀬川さんと……過去にいくつものタイトルを持っていた、熊倉先生だね」
「プロになるにあたっての、ご挨拶もかねて……私たちも、ご指導いただけるし」
「なーんかめんどっちーねー、プロって」
「お前もそのうちプロになるなら、そうも言っていられないぞ」
「あれ、ケンカ終わりました?」
「あんなものはケンカじゃないだろう、いつものことだ」
「そういうこと」
「なら私に話振るの、やめてくださいよ……胃が痛いんですから……」
「宮永先輩は、もう少し悪びれてもいいと思いますよ?」


~宮守

「やったね! 来週の連休、楽しみだな~」
「名目は麻雀合宿と勉強合宿だからねっ? う、浮き足立ってちゃだめよ?」
「名目とか言っちゃってるし……」
「キョータロ、アエル……タノシミ……」
「久しぶりに会えるねー、ちょーたのしみだよー」
「そういえば先生はどうするんだろ……」
「初日は宮永照も来るから、挨拶には行くっていってたけど……練習とかは、知り合いを呼んだって言ってたけど?」
「それ以外でも、仕事で学校にいるらしいから、なにかあったら行けばいいみたいだよー」
「ま、私たちがしっかりしてれば問題ないよ! あっちの前部長さんもいるしね!」
「sharp shooter!」
「サインもらえるかなー、えへへー」

~永水

「……あの、ごめんなさいね、春ちゃん……」
「ううん、平気。お仕事はちゃんとするって、約束したから……がんばろ?」ニコッ
「はるる、立派になって……」ウルッ
「これも私たちの指導の賜物ですよー」ウンウン
「京太郎さんのおかげだと思うんですけど……」
「ここでそう言わないのが、空気を読むということですよ、姫様?」
「は、はい! 勉強になります!」
「小蒔ちゃんに変なこと教えないの」ニコニコ
「あ、あはは、ごめんなさい……」
「でもはるるの変わり方は立派ですねー、霞も見習いましょうかー」
「!? わ、私は別に、そんな……お、落ち込んでるわけじゃ……」カァッ
(わかりやすいなぁ……)
「大丈夫ですよ! 京太郎さんにはまたきっと、会えますから!」グッ
「うん……いつになるかわからないけど……京太郎に会っても恥ずかしくないように、がんばる……」

~阿知賀

「淡にプレゼントかー……いいなぁ……」ボソッ
「ちなみに憧ちゃんの誕生日は5月だよ!」
「うちはみんな、3~5月に集まってるからね、宥さん以外……」
「宥さんは8月でしたよね!」
「うん、まだそんなに寒くない時期で、よかった……」ポワワッ
「そ、そうですね……」
「さすがに3~5月まで独占……なんてできないわよね……」
「可能性としてはあるよ?」
「とはいえ低い確率だろうし……誰の月になっても、ならなくても……恨みっこはなしで、いい?」
「わかってるわよ、そんなことに文句言わないから」ヒラヒラ
「4月は私と灼さんの二人だから、可能性ありますよね!」
「わ、私の3月も、憧ちゃんのお姉さんと一緒だもん!」
「」
「大丈夫だよ、憧ちゃ~ん」ナデナデ
「うぅっ、宥姉だけよ、私の味方はぁ……」シクシク

~おまけ、某居酒屋

「――で、結局のところはどちらなんです?」
「偶然だよ!」
「決まってるでしょ☆」
「疑惑!」
「確かにねぃ……まーでも、ストーカーなんてリスク高いこと、アイドルはやりさんはやらないっしょ?」
「いやいやわかんないですってー、三尋木プロ! すこやんなら十分――」
「人聞き悪いこと言わないで! っていうかなんでこーこちゃんいるの!?」
「私がえりちゃん呼んで――」
「私が彼女を誘いました。プロへの礼儀を勉強させようと」
「だったらちゃんとさせてくださいね……まぁいいけどさぁ……」
「そういう接し方をするから、福与さんも甘えるのでは?」
「一理ある!」
「……そちらは逆に、野依プロが村吉アナに甘えてますね」
「そ、そんなことない!」
「野依プロは普段から、一生懸命ですよ?」
「ほら!」
「いやー、みさきちゃんは優しいねぃ。えりちゃんももっと柔らかくていいんだぜー?」
「三尋木プロがもう少ししっかりしてくだされば、私もグチグチ申しません」
「でも最近の三尋木プロ、なんだかんだで真面目にやってますよね。局でも絡んだアナウンサーが、色々褒めてるの聞きましたよ?」
「ほー、そりゃ嬉しいねぃ」
「――先月の末から、じゃないかな☆」
「」ギクッ
「ああ、奈良に行った頃ですね……アイシー」
「ち、違うし、知らんし」
「真っ赤!」
「わかりやすいね、咏ちゃんは」
「では今日は、そのお話を肴にしましょうか」
「えりちゃん性格変わってね!? 夏ンときはもっと遠慮あったし!」
「存じ上げません」キリッ
「うーわー、針生アナもわかってますね♪」
「あなたと小鍛治プロを見て、考えが改まったんでしょう」
「プロへの礼儀を勉強させようと――ではなく、しにきた感じですね」
「そうかもしれません」クスクス
「おい咏、どこへ行く?」
「靖子さんひでぇっ! あっ、ちょっ、やめ――あぁぁあぁぁぁあぁっ!」

~12月第二週、連休初日

菫「――私は麻雀は打たない。そちらのことは任せるぞ、亦野」

誠子「了解です。けど、残り二人の新虎姫は連れてこなくてよかったんですかね」

尭深「……本来なら三日目は練習休みだから……無理に連れてはこられないよ」

淡「二人とも用事あるって言ってたしねー♪ なにより今回は、キョータローメインだし!」

照「京ちゃん、おミカン剥いて」

京太郎「もう剥けてますよ、あーんしてください」

照「あー……もぐもぐ、おいしい」

菫「……遊びじゃないんだぞ、わかってるのか?」

誠子「まぁまぁ、移動中くらいは」

尭深「あちらに着けば、先輩も真剣になりますよ。ね、宮永先輩?」

照「わかってる。連盟にも顔が利く熊倉先生にはしっかり挨拶するよ。あと小瀬川さんにも……ちゃんと言っておきたいからね」

淡「んー、知り合い?」

菫「前に京太郎くんが風邪を引いたとき、会ったらしいからな」

淡「……ああ、あのとき!」

京太郎「…………」ドキドキ

照「大丈夫だよ、あのことは言ってないからね」

京太郎「!?」

尭深「あのこと……なんでしょう、気になります……」ズズ

京太郎「そ、そんなことよりそろそろお昼ですよ! ほらー、お弁当作ってきたんですからー」

誠子「露骨に誤魔化してる……あっちにも長いこといたし、色々あったんだろうねー」

淡「や、やらしい!」

京太郎「やらしくっっ……ね、ねーし……」

淡「」

尭深「意味深……」

菫「いい加減にしろ、京太郎くんも困ってるだろう」

照「それよりお弁当、食べよう」ギュルルルルル

京太郎「お腹すごいですね。腕と同じ音鳴ってるじゃないですか」

京太郎「ふぅ、お気に召したようでなによりだ……さて、お茶を淹れて回ろうかな」

京太郎「お茶です、どうぞ――」

菫「っっ……ぅっ、んっ……」ゴクゴク

菫「……はぁっ……すまない、助かった……」

京太郎「ふふ、珍しいですね、菫先輩がそんなになるのは」ニコニコ

菫「からかわないでくれ……」カァァッ

京太郎「失礼しました。どうでしたか、なにかお嫌いなものとかは……」

菫「まさか、とてもおいしかったよ。だからこそ、その……つい、がっついてしまった……あぁ、みっともない……」

京太郎「ならよかったです。おいしそうに食べてくれる女性、好きですから」

菫「――っっ! バッッ……か、からかう、なぁ……/////」

京太郎(マジなんだけどなぁ……)

菫「特にこの煮物だ……飾り切りも見事だが、味には目を見張るものがあった。テレビでしていたのとはまるで違う」

京太郎「……お弁当は、やっぱり冷めてから食べるものですからね。一品一品、工夫してます」

菫「全体の見栄えも美しかったからな……本当にありがとう。目でも口でも、楽しめる食事だったよ」

京太郎「お褒めに預かり、光栄です」

菫「その、だな……んんっ……」

菫「また――作って、くれるだろうか? お弁当を……」

京太郎「――もちろんです」ニコッ

菫「ありがとう、とても嬉しいよ」ニコッ


~岩手到着


~宮守女子

シロ「久しぶり」

塞「あ、会いたか――」

豊音「会いたかったよぉぉぉっ、京太郎くぅぅぅぅんっっっ!!」ガバァッ

エイ「ワタシモ! ズットマッテタヨ、ウレシイ!」ガバァッ

胡桃「うわー、二人ともすごいなぁ……あ、久しぶり京太郎くん。会えて嬉しいよ!」

塞「」

京太郎「はい、みなさんお元気そうでなによりです……塞さんも。少し痩せましたか? 無理しないでくださいね」

塞「!! あ、ありがとう……私も、会いたかったよ、京太郎くん」ニコッ


淡「……感動の再会だぁ」

尭深「こら、だめだよ……ちゃんとしてて」

誠子「この度は、合宿の場所を提供してくださり、ありがとうございました。白糸台女子麻雀部、部長の亦野誠子と申します」

トシ「いえいえ、こちらこそありがとう。宮守に泊まるように提案したのは、うちの子たちみたいだしね?」

トシ「はじめまして、熊倉トシよ。あまり練習には顔をだせないけど、指導者は手配しておいたから、安心してちょうだい」

誠子「ありがとうございます。それと――」

照「はじめまして、熊倉先生。白糸台麻雀部の宮永照と申します。来年度より、恵比寿でお世話になり、プロリーグに入ります……よろしくお願いします」

トシ「畏まらないでちょうだい、役員でもない、しがない老指導者だもの。うちの白望とも、仲良く、鎬を削ってもらえると嬉しいわね」

照「ご期待に添えますよう、努力いたします」

トシ「しっかりした子みたいね。そんな子がプロになってくれて、日本麻雀界の未来も安泰だわ」ニッコリ

菫(相変わらず、凄まじい外面だな……)

トシ「まずは荷物を置けるよう、部屋に案内させるわ。学校の茶室――いまはない茶道部の部室だけれど、10人くらいは入れるから安心してね」

菫「お気遣い、痛み入ります」

塞「――で、こちらが茶室です。だいたいの道具はなくなってて、畳の部屋ってだけだから、気軽に使ってね」

照「ありがとう、塞」

胡桃「いつの間にか仲良くなってるね……」

シロ「前に会ってるからかな」

豊音「サインもくれたもんねー。あっ、そうだ弘世さん!」

菫「私か? なにか用か?」

豊音「よかったらサインくださーい! お名前書くだけでいいので!」

菫「構わないが……私のサインでいいのか?」

淡「私のはー?」

胡桃「あとで書いてあげてね、よかったら」

淡「……あれ、一年生もいるの?」

胡桃「~~~~~~~っっ! 私は三年生!」

京太郎「お前っっ! し、失礼しました、胡桃先輩!」

胡桃「うっ……ま、まぁいいよ。この身長だもんね、仕方ないから……」

京太郎「淡、謝って」

淡「……はーい。すみませんでした、クルミさん」

エイ「スナオガ、イチバン!」ナデナデ

尭深「あら、外国の方ですか……お茶、お好きですか?」

エイ「キョータローガ、イレタノナラ!」

尭深「わかります」ニッコリ


塞「あのー、仲良くなるのもいいんですけど、荷物置いたら部室きてくださいねー。隣ですから」

京太郎「俺が案内します、大丈夫ですよ」

塞「……そっか。ならよろしく、今回はちょっと、頼らせてもらうから」

塞「どっちにも顔が利くの、京太郎くんだけだからね」

京太郎「任せてください。塞先輩にお願いされたなら、気合入れますよ!」

塞「ふふっ、ほどほどでいいからね」


~初日午後

塞「――さて、今回はシロと弘世さんを――いえ、菫さんを交換する形で、勉強合宿組と麻雀合宿組でわけますね」

誠子「勉強組はエイスリンさん、胡桃さん、塞さん、豊音さん、それと弘世先輩――」

淡「麻雀組はテルー、タカミー、亦野先輩、私、それとシロちゃん先輩だね!」

京太郎「なんで誠子先輩だけ亦野先輩なんだ」

淡「かっこいいから!」

京太郎「よくわからん……」

胡桃「そこ、ちゃんと聞く!」

菫「――とはいえ、せっかくの機会だ。初日の最初くらいは、少し打たせてもらおうかな」ウズウズ

尭深「先週、今週は練習できませんでしたからね……」

豊音「じゃあなるべく混ざったほうがいいよねー、ちょーたのしみだよー」

エイ「ヤルカラニハ、カツ!」

誠子「こっちも負けませんよー。なにしと現役ですから」

京太郎「じゃあ俺は、久しぶりに掃除でも――」

シロ「だめ。京太郎と打つのも、みんな楽しみにしてたんだから」

京太郎「はい」

シロ「素直でいい子」ナデナデ

京太郎「よかったんですか、シロ先輩。照さんとじゃなくて」

シロ「うん……ところで京太郎」

京太郎「はい?」

シロ「照は……照先輩じゃないの?」

京太郎「あー、はい……そう呼ぶと怒られちゃうので」

シロ「んー……なら、私も」

京太郎「えっ」

シロ「私が勝ったら……京太郎より順位上なら、シロさんって呼んで」

豊音「おおっ、勝負だねー、楽しそうー」

誠子「京太郎くん、責任重大だね」

京太郎「これは勝てってことですかね、負けろってことですかね」

誠子「そりゃもちろん――」

豊音「やるからには勝たないと、だよー」

京太郎「ですよね……なら、一位を目指します!」


豊音25000→25500
誠子25000→23500
シロ25000→23500
京太郎25000→26500


豊音「……リーチしたけどー」

シロ「あれ、不発?」

誠子「……危なかった、かな」

京太郎「誠子先輩、うまい……けど、ノーテンですね」

誠子「まぁ振るよりよかったと思っとくよ」


豊音25000→25500→21600
誠子25000→23500
シロ25000→23500
京太郎25000→26500→31400


シロ「誰もリーチしないね……」

京太郎「警戒してますから」

豊音「追っかけられないかー」

京太郎「ロンです」

誠子「えっ!? 驚いたな……先月より強くなってるね。来週からが楽しみだよ」


豊音25000→25500→21600→20300
誠子25000→23500→22200
シロ25000→23500→20900
京太郎25000→26500→31400→36800


京太郎「――ツモです、1300、2600」

シロ「……っっ……はい」

誠子「気合入ってるね、どうしたの?」

京太郎「シロ先輩にあそこまで言われたら、俺だって男見せないといけませんからね」

豊音「ちょーかっこいいよー。シロも負けないでー」

シロ「……当然だよ……絶対、勝つから……っ」


点数処理省略
トップ:京太郎


京太郎「――お疲れさまでした」

シロ「……おつかれ……」

豊音「強くなったねー、前よりももっとー」ニコニコ

誠子「……私、大丈夫かなぁ……」

京太郎「大丈夫ですって。俺も今回は運がよかったです。あとは、気合のノリの問題じゃないかなと」

シロ「――そんなに……」

京太郎「えっ」

シロ「そんなに、呼びたくなかった……?」

豊音「シロ……」

京太郎「――まさか。逆ですよ。というか、呼ばされたくなかった、という感じですね」

シロ「……どういう意味?」

京太郎「俺が勝って、先輩じゃなく――シロさんって呼ばせてもらいたかったんです」

シロ「――――」

誠子「う、わ……////」

豊音「ふわぁぁぁっっっ! ちょちょちょ、ちょーかっこいいよーっっっ//////////」

京太郎「ってことで……シロさんって、お呼びしてもいいですか?」

シロ「……っ……バカ、聞かなくてもわかるでしょ……//////」

京太郎「ちゃんと言ってほしいんです」

シロ「はぁ……京太郎、シロさんって呼んで?」

京太郎「はい、シロさん」



~夕方

塞「おっと、そろそろ夕飯にしないとねー」

菫「……ん、もうそんな時間だったか。いけないな、つい楽しくて時間を忘れてしまった」

京太郎「じゃあ、買い物行ってきますね」

エイ「ダメ! キョータロハ、オルスバン!」

胡桃「夕飯前に、両方のお布団準備しときたいからね。力仕事になるし、お願い!」

京太郎「なるほど……そういうことなら、お任せください! 布団敷くのなら、松実館の仕事で慣れてます!」

シロ「ちょろいなぁ……」

京太郎「はい?」

豊音「な、なんでもないよー」

誠子「ま、こうでもしないと、働きすぎるからねー」

尭深「それでは……双方の半数ずつでお買いもの。残りは一緒に、お布団敷きですね」

淡「はい、クジがあるからねー、引いて引いて!」

照「麻雀しながら作ってたの?」

淡「だって待ってる間ヒマだったんだもん!」

塞「じゃ、せっかくだし引いちゃおっか。ありがとねー、淡ちゃん」ナデナデ

淡「あわぁ♪」

京太郎「もうそれ、なんかの鳴き声みたいになってんな」


京太郎「で、残ったメンバーが」

照「頑張ろう!」キリッ ←ポンコツ

淡「やるよー♪」 ←遊ぶ

胡桃「布団敷くの、初めてだなぁ」 ←小柄

エイ「ワタシモ! ベッドバカリダカラ!」 ←敷布団不慣れ

尭深「重い物を持つのは、苦手ですが……」ズズ ←非力?

京太郎(一人なんてお茶飲んじゃってるし……ま、ここは俺の役目だよな)

京太郎「――さて、こんなもんかな。昨日のうちにわかってれば、シーツももっと糊を効かせてアイロンを――」

胡桃「十分だよ!」

エイ「フトンホシ、シーツノセンタク!」

淡「わーい、私ここー♪」ゴローン

京太郎「せっかく敷いたのに、乱すなよー」

照「そうだよ、淡。みんなが帰ってきたら、ご飯の支度だから」

尭深「そろそろ帰ってくるそうなので、調理室に移動しておきましょうか」

京太郎「懐かしいなぁ、宮守の調理室……」

淡「ここではどんなの焼いてたのー?」

京太郎「色々だな。ケーキ焼いた回数なら、よそより多いと思う」

淡「なにそれずっこい!」

照「ずっこい」

エイ「キョータロノケーキ、セカイイチ!」

照「それには同意する」

京太郎「安心してください。白糸台では絶対、焼く予定がありますから」

尭深「……あぁ、そうだったね」ニッコリ

エイ「クリスマス……」ショボン

胡桃「来年があるよ。そのときは東京だけどね」

尭深「今年は私たちの、独占です」ホクホク

淡「…………」

照「淡、どうしたの?」

淡「えっ? ん、んーん、なんでもない!」

照「……大丈夫だよ、安心してて」ナデナデ

淡「へぅ?」

照「京ちゃんは……淡が思ってる以上に、ちゃんとしてるから」

淡「……な、なんのことかなー?」

照「さぁ? わからないならいいよ、行こっか」スタスタ

京太郎「照さん、そっちじゃないです。こっちですよ」

照「」テルーン


~夕飯、カレー

京太郎「カレーですか……合宿といえばこれですね!」

菫「君が以前作ってくれたものがおいしくてな……帰ってからしばらく、淡と照がうるさかったものだ」

照「そんなことないよ」

淡「ないよ」

塞「仲良いわね、二人とも……姉妹みたい」

淡「サキと私は義姉妹みたいなものだからね! テルーの妹になってあげてもいいよ!」

胡桃「宮永三姉妹……照、淡、咲……」

エイ「コワイ!」

誠子「同じ学校にいるなら、相手校が悲惨ですね……」

豊音「バランス悪いよー、二年生に神代さんと天江さん入れようよー」

シロ「……対局するの、ダルそうだなぁ……」

尭深「勝てるチームを考えましょうか……」

菫「辻垣内と荒川、それに臨海のネリーは外せないな」

誠子「わ、私たちは……」

尭深「まだこれからだから(震え声」

菫「春の個人で荒川に勝ってこい。そうすれば入れてやるさ」

誠子「――頑張ります、絶対」

菫「その意気だ」フッ

胡桃「いいなー、こういう先輩後輩」

塞「うちには京太郎くんがいるでしょ」

淡「ちょっとまったサエちゃん先輩! キョータローはうちの子だよ!」

エイ「ウチノコ!」

京太郎「誰が子ですか」

シロ「じゃあ京太郎が決めてよ」

京太郎「」

豊音「シロが無茶振ったー!」

照「わかりきったことを聞くのは可哀想」キリッ

塞「さて、それはどうかしらねー」フフフ

胡桃「遠慮なく選んでいいよ!」

尭深「そう、遠慮はいりません」

京太郎「……お、俺は、その……き、清澄の……えっと、部員で……」

誠子「……あーあ」

胡桃「それはないなぁ」

塞「まぁ京太郎くんだもんね、そんなとこかー」

菫「ここで照がひと言」

照「清澄は許さない」

淡「結局サキーの一人勝ちだった!」

豊音「原村さんもいるよー」

エイ「マコ……マタマケタ……」

京太郎「で、ですけど! 俺、どこの学校のことも大好きですし、愛着持ってますから!」

尭深「……と、言ってますけど?」

菫「まぁここらでやめておいてあげよう。どこも好きなら、波風が立たなくていいじゃないか」

京太郎「菫先輩! 一生ついていきます!」

菫「!?」

シロ「そうやって持っていくのか……勉強になるね」

照「でしょ」

菫「妙な風評を広めるな!」

誠子「そろそろできますよー」

胡桃「お皿だすねー」

塞「菫さんも、いつまで遊んでるんですか」

菫「いまのは私か!? 私のせいなのか!?」

淡「卵剥いたよー。キョータロー、これどう?」

京太郎「どれ……うん、うまいな」ハグッ

淡「あーっ! なにかじってるのさー!」

京太郎「俺のやるよ、あとで」

エイ「英)じゃあこれもどうぞ……チュッ」

京太郎「!?」

エイ「英)あら、見られちゃった……ふふ、これはまたにするわね」パクッ

尭深「……エイスリンさん、実はかなりしたたか……?」

エイ「ソンナコト、ナイヨ!」ニッコリ

京太郎(この二人がかなり魔性だと思うのは……俺が未熟だからだろうか……)


~お片付け中

京太郎「鍋はしばらくつけておいて、汚れを浮かせてからにしましょう。先にお皿とスプーンを」テキパキ

京太郎「で、こっちは調理器具のほうですね」テキパキ

塞「」

胡桃「ちょっと目を離すと働いちゃうね」

菫「まぁ、役割分担してくれてるんだ。とにかくかかろうか」

誠子「淡もちゃんとやるんだよ」

淡「わかってるよ!」

エイ「イッショニヤロウ、アラウカラ、ススイデ!」

淡「ラジャー!」

シロ「……ダルい……」

尭深「お茶どうぞ」スッ

シロ「ありがと……」

豊音「シロー?」ニコー

シロ「わ、わかってる、やるから……」

尭深「では参りましょうか」

豊音「尭深さん、胸おっきいですねー。洗い物のとき邪魔じゃないですかー?」

尭深「ま、まぁ……普通に、できます……/////////」

京太郎(純粋っていいなぁ……さて――)


~食事中

塞「――で、さっきの続きなんだけど――」

京太郎「まだやるんですか……塞先輩、信じてたのに……」

塞「じゃなくて! 寝る前に敷いてもらったの、お風呂が銭湯だからなんだよねー」

誠子「そっか。学校だとお風呂ありませんしね」

胡桃「戻って敷いてたんじゃ、身体冷えちゃうかもしれないしさ」

塞「まぁそういうわけで、食べ終わったら少し休んで、銭湯に案内するからね」

京太郎「なら、片づけはやっておきますよ」

豊音「みんなでやるよー?」

シロ「それくらいはできるようになったよ、私も」

淡「テルーは?」

照「私もできるよ」

菫「……まぁ、できなくはないよな」

エイ「スミレハ、カッポウギ!」

尭深「たしかに、似合いそうです」

京太郎「同意します」

胡桃「黒髪綺麗だもんねー……って、そうじゃなくて!」

塞「じゃあお片付けして、それから準備してお風呂ってことで。みんなでだから、京太郎くんもね」

京太郎「混浴!?」

胡桃「違うから! 男女別に決まってるでしょ、銭湯だよっ?」

淡「エッチー」

シロ「スケベー」

菫「い、いやらしいっ」

誠子「男の子だもんね」

京太郎「」

照「私は信じてるよ」

京太郎「ありがとうございます。やっぱり照さんがいてよかった」ニコッ

豊音「綺麗に拾っていったねー」

エイ「ワザマエ!」

京太郎「あれ、エイスリンさんだけですか? 淡は?」

エイ「トヨネニ! モッテイカレタ!」

京太郎「あー、懐きそうですね、あっちも……なら、手伝いますよ」

エイ「アリガト!」

エイ「英)……こうしているのも久しぶりね。とても懐かしくて……寂しかったけど、いまはとても嬉しいわ」

京太郎「英)宮守にいたのは、二ヶ月前ですけど……随分前のようにも思えますね」

京太郎「英)でもこうしていると、みなさん変わってなくて……いえ、違いますね」

エイ「?」

京太郎「英)お綺麗になりました」

エイ「!? ハ、フ……ソ、ソウカナ?」///

京太郎「英)目標に向かって頑張ってるからですよ。魅力的になるのは当然です」

エイ「英)……ふふっ、上手ね、京太郎は。でも嬉しいから、お礼は言っておこうかな」

京太郎「英)でも、あんまり根を詰めないで、息抜きもしてくださいね」

エイ「……アリガト、ウレシイ」

京太郎「……応援してます。どこにいても」

エイ「オレイ……」ギュッ

京太郎「あの、洗い物が……」

エイ「スコシダケ、ダカラ」

京太郎「……はい」キュッ

 ※手を握ってるだけです

~寝床

京太郎「――は?」

塞「いま言った通りです。京太郎くんはどこで寝ても構いません」カァッ

豊音「そういうことにされました」

照「さっき対局で勝ったからね。私が決めました」ブイッ

淡「……どこでもって……茶室、でも?」

誠子「そうなる、の……?」

シロ「一応言っとくと……一人で寝られる部屋もあるから」

胡桃「選ぶのは京太郎くんだよ。その……わ、わかってるよね!」

エイ「ワタシタチハ、マージャンブ! ソッチニ、シヨ!」

尭深「茶室、おすすめですよ?」

菫「渋谷、余計なことを言うな……ほんとに」

京太郎「――じゃ、じゃあ、えっと……」チラッ

シロ「………………」ジー

京太郎「……」ハァ

京太郎「えーっと……麻雀部で、いいですか?」

塞・胡桃「」

エイ・豊音「//////」

シロ「……っ……」ガッツポ

照「おかしい、こんなはずでは……」

誠子「でもよかったですよね」

菫「ああ……いや待て、普通は宿直室を選ぶだろう! 京太郎くん!」

淡「あわぁぁぁ……ま、まぁいいじゃん、茶室じゃなかったらどこでも!」

尭深「残念です……でも、明日もあるものね」ニコッ

京太郎「――で、麻雀部でいいんですか?」

シロ「歓迎する……一緒に寝るの、久しぶりだもんね」ボソッ

京太郎「ちなみに、一人で寝てたらどうしてました?」ヒソッ

シロ「? 行ったよ、コッソリね」ヒソッ

京太郎「……最良の選択を取ったと、思いたいです」ヒソッ

塞「あぁぁっ、もう! いいわよ、決まったらな覚悟するから!」

京太郎「ちゃんと離れますから……あと、なんだったらシロさんをバリケードに挟んでくださればいいです。俺端っこにして」

エイ「イギアリ!」

胡桃「却下!」

豊音「ま、まぁそれが妥当だよねー」

シロ「窓際が寒いから……そこから順番に京太郎、私、エイスリン、豊音、塞と胡桃でいいんじゃないかな」

塞「まぁ、うん……あ、でも一つだけ!」

京太郎「わかってます、起きたらすぐに着替えに出て、寝顔は見ないようにしますから」

塞「は、はは、はっきり言わないで!」

胡桃「でも察しがいいね。どこかでなにかあった?」

淡「!? な、なんにもないよ!」

エイ「アワイ、ミラレタ!?」

淡「見せてないもん! ノーカンだよ!」

塞「……やっぱり、よそで……」

京太郎「いいですけど?」

シロ「いいの?」

京太郎「お願いします、麻雀部室に置いてください!」ドゲザッ

胡桃「なんか、必死だね……まぁいいかな、私は。京太郎くんはなにか、別の理由がありそうだし」

豊音「みんなで仲良く寝られるよー、うれしいよー」

塞「うぅ……わ、かりました……」ガクッ

~深夜、シロ→京太郎の布団

京太郎「…………本当に入ってくるんですね」

シロ「約束したでしょ? すぐでよかった」ヌクヌク

京太郎「言っときますけど、俺、男ですからね?」

シロ「知ってる。だからやってるの……ちなみに私は、女だから」ムニュムニュ

京太郎「……十分すぎるくらい、わかってます」

シロ「どうしたの、腰引いて?」スリスリ

京太郎「わかっててやってます?」ムクムク

シロ「まぁね。だけど……みんながいるから」

京太郎(これが生殺し……地獄か!)ムラムラムラムラ

シロ「京太郎のことを信じてるから……っていうのは、あるよ」

京太郎「はいはい、ヘタレですよどーせ」

シロ「そうじゃなくて……無理やり、したりはしないでしょ。好きな子以外に、したりしない……」ズキッ

京太郎「――まぁ……仮にするなら、ちゃんと……付き合ってる彼女か、結婚相手にしますよ」

シロ「結婚するまで、しないの?」

京太郎「あの、あんま意識させるような言い方は……いや、わかりませんよ。彼女ができてから考えが変わるかもしれませんし」

シロ「……彼女ができたとして、別の女性とは?」

京太郎「浮気はしません」

シロ「……なら、彼女になるしかないか……」ボソッ

京太郎「シロさん?」

シロ「ううん、誠実でよかったって……いいね、それ」

京太郎「なにがですか?」

シロ「さん付け……年下の彼氏ができた気分」ポスッ

京太郎「プロに行って、活躍したりしたら――男子高校生は誰でもファンになりますよ。シロさん綺麗ですから」

シロ「そう……」

京太郎「あれ、興味なしですか? 年下のって言ってたのに」

シロ「京太郎以外は、特にね。よく知らない相手とかどうでもいいよ、ダルいから」

京太郎「そこまで言っていただけると……後輩冥利につきます、本当に」

シロ「わかってないなぁ……まぁいいかな。勝負はこれからだから」

京太郎「はい……応援してます」

シロ「!?」

京太郎「まずは新人賞ですよね。ライバルは多いですけど」

シロ「あ、あぁ、そっち……まったく、京太郎は……」

京太郎「あれ、なにか変でした?」

シロ「ううん、らしいよ……頑張るね。じゃあ……」ギュゥッ

京太郎「……正面からってだけでもすごいんですけど、これ以上さらに密着しますか」

シロ「添い寝、でしょ?」

京太郎「俺の知ってる添い寝と違う」

シロ「私の知ってるのはこれ。ほら、京太郎もして。肩から背中抱いて……そう」

京太郎「腕が痛いんですけど」

シロ「私もだよ。我慢して、男の子でしょ?」

京太郎「……はい」

シロ「いい子……それじゃおやすみ、京太郎」

京太郎「おやすみなさい……」

京太郎(寝られるのか、俺……)

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最終更新:2026年01月17日 00:03