京太郎「――――――」
宥『これは合宿でもしたけどね。だけど、もっと小さな……お家のお台所で、隣に立って、お料理して……』
宥『私と、京太郎くんと、玄ちゃんと……灼ちゃん、憧ちゃん、穏乃ちゃん……赤土先生や望さんも入って、一緒にご飯……』
宥『ふわぁぁ……あったかぁ~い……』
京太郎「……そうですね、温かいです……」
京太郎「いまのうちに、宥先輩のお好きな料理を練習しておきます」
宥『わぁ、嬉しい……でも、練習する時間はあんまりあげたくないなぁ』
京太郎「えっ、ど、どうしてですか?」
宥『だって……すぐに、会いたいんだもん』
京太郎「――っ」
宥『年明けに会えたら、ね……練習する時間なんてないよ、どうする?』
京太郎「練習なんて、必要ないですよ……」
京太郎「一秒でも早くそちらに行って、お会いしますからね」
宥『えへへ、どうなるかはわからないけど……そうなったら、とぉってもあったかいな~』
京太郎「……そうですね。俺も楽しみにしています」
宥『うん、ありがとうね……電話のおかげで、あったかくなれたよぉ』ホコホコ
京太郎「それなら、なによりです……また電話してもいいですか?」
宥『もちろんだよ……楽しみにしてる、それじゃ……おやすみなさい』
京太郎「おやすみなさい」
京太郎「すっげー、癒された……よく眠れそうだ」
京太郎「……このまま、もう寝ちゃおう……おやすみなさい」
京太郎「みんなで俺を肴に、食事会をしたと聞きました。いつも俺を想ってくれて、ありがとうございます」
京太郎「元気にやっていますから、また麻雀しましょう。楽しみにしています」
京太郎「今週は何度か練習に来ていただき、ありがとうございました」
京太郎「なんだかんだで、プロプレイヤーで一番の師匠は、最初に教えてくれた良子さんですよね」
京太郎「良子さんがいたから、いまの自分がいます。これからも、よろしくお願いします」
京太郎「さて、あとは電話を……そうだ、宥先輩にかけよう――」
~電話、電話後に続く――
~日曜終了、次回はクリスマス
【12月第三週日曜】
朝ご飯つくって、ぜんざい作って、買いだし行って、カツ丼作って――。
麻雀はなしだけど、久々にとても充実した気分だ。
特に、白糸寮の立派なキッチンを使ってご飯が作れるのは、なによりも幸せだ。
丼物は何度か作ったが、カツ丼はあまりしたことがなかった気がする。
いい豚が手に入ったので、筋を切り、叩き、柔らかく噛み切れるよう丁寧に下処理。
あとは卵、小麦粉、パン粉をつけて……揚げていく。
業務用のフライヤーはありがたい、温度を下げ過ぎずに、ある程度の枚数を揚げられるからな。
その一方で、割り下と野菜の準備も。
ダシに砂糖を溶かし込み、みりんに酒と醤油で味付け(内容は企業秘密)、炒めた玉葱と人参を煮ながらさらに軽く炒める。
揚げたカツを切り、割り下にイン。卵でとじて、蒸らすのは数秒――丼に盛って完成だ。
もちろん、待ってくださってる方々の分は同時に作る。なぜか? みんなで食べると、なおうまいからだ。
衣や卵についてどう思われるか心配だったが、カツ丼の第一人者とも言えるあの方にも、満足いただけた――と思う。
感想を聞きそびれたのは後悔だ。
久々に、料理と正面から向き合えた、そんな気がした。
ありがとうございました。
あ、こちら写真です。
…………
『飯テロやめーや』
『これ唐揚げでもできんの?』
『あかんで
お姉ちゃん、衣べちゃべちゃなってまう』
『せやんなぁ、唐揚げは丼にできん……これは中々難問やで』
……えっ、課題!?
前日に作って余った唐揚げを、おいしくアレンジする――とかじゃだめですかね、わかんないですけど。
『感想を伝え忘れていたか……まぁ、それだけ満足したということだよ。本当にうまかった、ルーフトップのものに勝るとも劣らずだ』
『やーっぱあんたっすか、カツ丼の第一人者って……』
『おいしそう……うらやましいから集合ね。っていうか、なんでこっちに?』
『いや、仕事ですから。会ったのはたまたまで……』
『これは怪しい、ギルティの臭いがプンプンします』
『完全に誤解なんだが……まぁうまいカツ丼の対価ということにしとこうか、それだけの価値があったよ』
大絶賛だっ……ありがとうございました!
『お、おいしそうっ……』
『今度は私のノーパソに、この子の涎が……もうやだ、弁償してよ京太郎……』
前はシーツだっけか。
しかしどうしろってんだ、食べ物描写あり、閲覧注意とでも書けばいいのか?
『板長さん、上出来だって褒めてくれてるよ!』
『Aさんたちは、カツの断面も見せてみろ、だって~』
いよっしゃ! 手抜き煮物以外もやってるって、証明できたかな。
『タコスはまだか!』
作って見せてもいいけど、食えないぞ? 余計にきついんじゃないのか……。
『丼って、男の料理ってイメージだから、こっちでは作りにくいな……』
『一人前半分ずつにして、夜食にしてよ』
『夜にこんなおいしそうなの、太っちゃうよー?』
豊音さんは、もう少しお肉つけても大丈夫なんじゃ……細すぎて心配になるよ。
――――――――
~清澄
「タコス普及委員会、直属コックとしてなっちゃいないじぇ!」
「なんの委員会ですか……」
「委員長誰なの、それって……」
「私に決まってるじぇ! 会員は私と京太郎だけだがな!」
「しっかしうまそうじゃあ、確かに……」
「まこのと同じくらいだって、常連取られちゃうんじゃない?」
「ほんなら、うちのコックとして雇うちゃるかのう」
「だったら毎日通います」
「タコスもメニューに加えてほしいじぇ!」
「コックさんは、打ち子にもしてもらえますか!?」
「あんたら……普通に通うてくれんか、頼むけえ……」
~白糸台
「…………じゅる」
「キーボード!」
「うわー、またテルーの涎爆撃で被害がー」
「予備増やしたから大丈夫だよ」
「おいしかったですよね、お昼」
「藤田プロが練習に付き合ってくださったのも、あれがあったおかげだろう」
「あのカツ丼プロも、ちょーイケてたね!」
「最下位で最終局に入ったら、止められないね、あれは」
「宮永先輩の連続和了に似てるかな」
「打点制限もないみたいだし、あれは参考になりそう」
「いい収穫になったな、うちにとっても照にとっても、藤田プロにとっても」
~永水
「……丼、好きなのかな……練習しなきゃ……」
「それがいいですねー。こっちにはいい豚さんも、牛さんも鶏さんもいますからー」
「京太郎くんが戻ってきたら、とっておきを料理してもらいたいですね」
「でも、なんだか料理させているみたいで、悪いわ……」
「で、では、その……私たちで、食べさせてあげるのはどうでしょう///」カァッ
「小蒔ちゃん」
「は、はい!」ビクッ
「名案ね」
「そ、そうですか!」ワーイ
「それは……私の、仕事なのに……」
「帰ってきたら、何回でも機会はありますよー」
「……全部、担当したいなぁ……だめだめ、わがまま、だもんね……ごめんね、京太郎」コツン
~宮守
「…………なに?」
「いや、京太郎くんだったらさぁ。そういう話してたら『作りました、どーぞ!』ってなるじゃない」
「私はしないよ……」ダル
「ですよねー」
「シッテタ!」
「カツ丼の写真を見ながら、おにぎり食べるしかないなんて……」
「ウナギノカギチン!」
「あったねー、匂いでご飯……絵でご飯よりは食べた気になりそう」
「……割り下、煮詰めてみる?」
「カツは面倒だけどさ、卵も落として、卵丼にするとか――」
「あーもー! 明日のお昼、カツ丼にしましょ!」
『さんせーい』
~阿知賀
「うー、起動大丈夫かな……」
「ご、ごめん、ほんとにっ……」
「いや、久々にご飯画像だったから、油断したわ……なに、お腹空いてんの?」
「じゃ、若干……///」グーグギュルー
「若干って音じゃないわよ、それ……はぁ、まぁいいや……カツ丼、食べる?」
「あるの!?」
「いや、作るのよ……ソテー用のお肉も買ってたし、それで作ったげる」
「作れんの!?」
「れ、練習中なだけっ! だから、まぁ……味見してってよ」
「やったー、憧ありがとー!」
「はいはい……あーあ、参ったなぁ……全然追いつけないよ、こんなに差があるんじゃさぁ……」ショボーン
「やっぱり、うちに務めてほしいなぁ……」
「まったくでさ。俺の後釜は、あいつしかいませんよ」
「早急に、お嬢さん方との仲を深めさせないと……」
「コーホー」
「……なんの話をしてるのかなぁ?」ニコニコ
「」
「」
「」
「もう! 余計なことはしなくていいのです!」
「大変だね、玄も宥さんも……」
「もう慣れたよ~。でも、お父さんの言うことももっともなんだよね……」
「えっ」
「うちに、来てほしいな……傍で、お料理……」ポワー
~某居酒屋
「実においしかったですよ。評判になるわけです」
「ほかに、彼の手料理をご馳走になったのは?」
「初めて会ったときと、その翌日に☆」
「私も!」
「あれは作らせたようなものだよね、悪いことしたなぁ……あ、私はそこにお鍋追加で」
「参ったねぃ、私と良子だけか~」
「咏ちゃんは先月会ったばかりだし、わかるけど……良子ちゃんもずいぶん前に会ってるのに、意外だよね」
「……べ、別に私は……そう言うことが、目当てではありませんし……」ブツブツ
「羨ましいなら素直に言っていんだぞ☆」
「――っっ! そ、そもそもっ! パーティ用の食事や鍋を、手料理として扱っていいのでしょうか!」
「おこなの?」
「怒っていません、別にっ……それに、酔いどれた姿でツマミを作らせたことを、快く思ってるとは思えませんし……」
「」
「」
「」
「良子、そりゃ言っちゃだめだろ。ところでカツ丼は料理に入れていいよな?」
「ぐっ……そ、それは……まぁ……」
「出会って一ヶ月の私でも、まぁこのくらいはできる。要はタイミングということだ、咏もだぞ」
「へいへい。けどいーんすよ、私は麻雀教えられたら、それで……あいつとの麻雀は、楽しいからねぃ」
「同感です。なにしろ、最初に教えたのは私ですから。私が一番の師匠だそうですよ、プロの中では」
「も、妄想は見苦しいぞ★」
「まだ立ち直ってないね、星が黒いよ……」
「ドス黒い!」
「彼本人が言ってくれました、証拠のメールです」
「」
「」
「」
「」
「……良子、そんなに料理のことで怒ってるのか」
「お、怒っていませんっ」
~12月24日
京太郎「今日はクリスマスパーティーか……」
淡「あれ、明日じゃないの? だって今日イヴだよ!」
京太郎「正確にはまだ、イブでもない……クリスマスイヴってのは、クリスマスの夜って意味だ」
京太郎「だから今日の夜にパーティーするのが普通なんだが……」
誠子「お昼から食事を置いて、夜まで騒ぐ感じになったんだよね、今年は」
京太郎「はい。ってわけで、俺はその準備に行ってきます」
照「ケーキ忘れないでね」
京太郎「メインですからね。でもだすのは夜です」
照「」テルーン
京太郎「それ以外のお菓子なら、食事と一緒に並べておきますから。自由に摘んでください」
照「やった!」
菫「いつもは寮母さんに管理をお願いして、ケータリングが多いんだが……今年は、手作りで楽しめるんだな」
京太郎「菫先輩のお口に合えばいいですけど」
菫「君が作るものなら、なんでもおいしい……というのは、失礼に聞こえるかな?」
京太郎「いえ……期待に背かないよう、がんばりますよ」
尭深「男女逆転したような会話ですね……」
淡「キョータローはスミレにだけ甘い気がする!」
菫「そ、そんなことはないだろう……どちらかというと――」チラッ
照「そう、京ちゃんは私に優しい。なぜなら私が大好きだから」
京太郎「はいはい、好きですよー」
照「えへへ」
誠子「うーん、たしかに好きって感じなんだけど……なにか違うような」
尭深「深く踏み込んじゃダメ、ギリギリのラインなんだよ」
京太郎「それじゃ、行ってまいります」
京太郎「――あ、まずい……まいったな、これは買い足さないとやばそうだ」
京太郎「間に合うかな、ちょっと行ってこないと」
京太郎「まぁ、パーティーは昼からだし、まだ間に合うよな」
照「どうしたの? おでかけ?」
京太郎「!! あ、ああ、照さん……いえ、ちょっと足りないものがありましたので、買い足しに」
照「私も行く!」
京太郎「いえ、悪いですから……」
照「一緒に行こう。それで、一つの袋を二人で持って帰ったりしよう」
京太郎「はぁ……わかりました。じゃあ、よろしくお願いします」
照「任せて」
京太郎「照さん、そっちじゃないです、こっちです」
照「……ごめんなさい」
京太郎「大丈夫ですよ、時間はありますから。でも迷って探してたら、時間通りに戻れなくなりますので――」キュッ
照「っっ……きょ、京ちゃん……///」
京太郎「手を繋いでおきましょう、迷子にならないように」
照「……思ってたのと違う。これじゃ子ども扱い」
京太郎「照さんがいなくなると困るからなんですけど」
照「……いなくなると困る?」
京太郎「はい、パーティーだって始められません」
照「私が必要なんだ……なら仕方ないね。ちゃんと繋いどこう、離さないようにしてね」
京太郎「はい、もちろん」ギュゥ
照「京ちゃんの手、あったかいなぁ……///」
京太郎「照さんの手は小さくて可愛いですね」
照「//////////」
照「と、ところで、なに買うの?」
京太郎「お酒です」
照「っっ! だ、だめだよ、それはっ……」
京太郎「冗談です。シャンメリーですよ、アルコールが入ってない、子供用のシャンパンです」
照「驚いた……そういう冗談はよくない」
京太郎「すみません」
照「反省しなさい」
京太郎「しました」
照「じゃあお菓子買って」
京太郎「それとこれとは話が別です」
照「」テルーン
淡「ふわぁぁぁぁ……しゅ、しゅごい、ご馳走……食べていいっ? ねっねっ、食べていいよねっ」
菫「寮長の挨拶のあとだ、もう少し待て」
照「このシャンメリーは私が京ちゃんと買ってきた」ムフー
尭深「お疲れさまでした」
誠子「言ってくれれば買ってきたのに」
京太郎「そんな、先輩をパシらせるなんてとんでもないことですよ」
菫「淡、見習え」
淡「結局コンビニには自分で行ったでしょー!」
寮長「そこの麻雀部、ちゃんと聞いててください。まぁ……ともかく、羽目を外しすぎないよう、大いに楽しみましょう」
全員『かんぱーい!』
京太郎「……ふぅ、たしかに。これはジュースだよな」
菫「ほう、酒の――本物のシャンパンの味がわかるのか」
京太郎「……わかりませんよ?」
誠子「なんで目逸らすの?」
京太郎「うそっぽいかなーと思いまして。でも、本当に飲んでませんよ。ただ、アルコールの香りはわかりますからね、これは全然だなーって」
淡「小っちゃい頃に舐めたことあるよ! ゲーッてなった!」
尭深「子供の舌には苦いよう、できてるからね」
照「淡にはまだまだ早い」
菫「甘い物好きのお前にもそうだろうな、おそらくは」
京太郎「……やっぱり、キッチンに戻ったほうがいいかな、俺……」ソワソワ
誠子「大丈夫だよ。下拵えしたのを、寮母さんと栄養士さんとで、調理してくれるんでしょ?」
尭深「今日は、ちゃんと休んでもらおうって思ってるから……はい、座って」
淡「そしてお膝に私!」
照「阻止」
菫「お前が懐いていると、京太郎くんも気が休まらないだろう」
京太郎「俺なら大丈夫ですけど」
淡「ほらー!」
照「京ちゃん、淡を甘やかしすぎ……前の、誕生日でも……」
京太郎「いやー、あれはほら、こいつが主役でしたから」
菫「今日は違うんだ、必要以上に甘い顔しなくていいさ。まぁ……その、君が……淡を、だ……抱きたいなら、話は別だが……」ボソボソ
淡「あわぁっ!? なな、なに言ってんの、スミレのバカ! ムッツリ!」
菫「誰がムッツリか! お前、誕生日にしたこと思いだしてみろ、私の指摘が間違っているか?」
淡「う、う、うぅぅ……」
照「淡劣勢、菫優勢、だけど菫はここぞで詰めを誤るクセがある」
京太郎「さりげなく膝に乗らない、照さん」
照「椅子がなくって」
誠子「こっちにいっぱいありま――」
尭深「だめ誠子、巻き込まれる……こっちに」
誠子「ん、どうしたの?」
尭深「寮長が、なにか思いつかれたみたいだよ」
誠子「……嫌な予感しかしない」
寮長「えー、なにやらヒートアップしてきたようなので、ここらで一つ趣向を――」
寮長「白糸寮カップ、麻雀部最強は誰か! 実況は私、白糸寮寮長がお送りします。解説はこちらのお二人」
誠子「麻雀部部長、亦野誠子です。よろしく」
尭深「副部長の渋谷尭深です、クリスマスもやっぱり緑茶がおいしい」
寮長「さて、簡単に説明すると、京太郎くんの膝をかけて、賞品も含めた四人での麻雀なわけですが」
誠子「はい」
寮長「一人は言わずと知れたインハイチャンプ、そして一人はその後継者、さらには先代部長シャープシューター」
寮長「同じチームとして大会を戦ったお二人の予想では、どなたが有利でしょうか」
誠子「お世話になった弘世先輩を推したいところですが、本命はどう考えても宮永先輩です」
尭深「プロ入りも決まって、練習の濃度も上がってますから……ただ、私は商品の京太郎くんを推します」
寮長「ほっほー、それはまたどうして?」
尭深「彼は――三人を虜にする武器を持っていますから」
寮長「なんとぉーっ! なんとも意味深な発言が飛びだしたぞ、大丈夫か麻雀部ー!」
菫「……大丈夫なわけがあるか……なにを言ってるんだ、あいつはっ……」
照「どうしてこうなった」
淡「二人のせいでしょー! ま、決着方法が麻雀だし、別にいいけどねー♪」
京太郎「俺完全にとばっちりじゃないですか……っていうか、なんてメンツで打たせるんだよ……」
菫「私だって相当厳しいぞ、引退してほとんど牌にも触れてないっていうのに……」
淡「じゃあ私とテルーの勝負だね!」
照「油断はよくないって、何度も教えてるでしょ……誰が相手でも、私は全力を尽くす」ギュルルルルルル
寮長「景気よく腕が回りだしたところで、いよいよゴングが鳴るぅーっっ!」
誠子「サイコロが振られましたねー」
尭深「なお、判定は一回のみとなっております、ご了承ください」
照「……ツモ、6000オールは6300オール」
菫「……残念だ、↓1なら勝てたものを」
淡「うぐぐぐぐ、また勝てなかった……」
京太郎「ロンで睨むのやめてください、怖いです」
照「ご、ごめんねっ」オロオロ
京太郎「冗談です。あのくらい強気なほうがプレッシャーになりますね、勉強になりました」ペッコリン
照「プレッシャー……そんなつもりは……見つめただけなのに……」テルーン
菫「京太郎くんの役に立ったんだ、喜んでおけ」
照「それとこれとは別」
淡「膝取られたー! くやしー!」
京太郎「あっ」
照「そうだった! やった、京ちゃん! 私の膝!」
菫「ああ、そうだったな……なら、勝てなくてもよかったか。大勢の前で座るなんて、恥ずかしいだけだろう」
寮長「順当な勝利、というところでしょうか」
誠子「本人もおっしゃってますが、コンマ判定をたまにはとずらした結果がこれだよ! というところですね」
尭深「なお、賞品を勝ち取っても座る必要はなかった、ということに気づいていないもよう」
寮長「そこは座らないのも無粋、盛り下がること必至でしょうから――おっと、照選手が須賀選手の膝にパイルダーオン!」
誠子「ご満悦ですね。まぁ誕生日のときは、相当悔しがっていましたから」
尭深「そして京太郎くんも、なんだかんだで嬉しそうです。やっぱり宮永先輩には甘いみたいですね」
寮長「それでは、興奮冷めやらぬ白糸食堂より、お別れいたします。我々も食事に戻りましょう」
誠子「そうですね、なんか観戦中に、だいぶ減っちゃったみたいですけど」
尭深「寮母さんが追加持ってきてくれたよ、行こう」
照「えへへ、座り心地最高」
京太郎「よかったです。なにかリクエストありますか?」
照「ちょっとね……ギューッてして?」
京太郎「はい……うー、恥ずかしいですね」
照「平気へいき、気持ちいいよ」
菫「………………」
淡「………………誕生日では調子に乗りました、ごめんなさい」
菫「ならよし」
モブ田「――というわけでー、次なる催しはこちら!」
モブ子「はい、ドーン! カップルで風船を抱こう! 一分で10個割るまで、帰れま10!」
菫「……帰れませんって、どこに帰るんだ」
誠子「部屋じゃないですか?」
尭深「実家の可能性も」
照「っっ! じゃあ京ちゃんもこっちに残れるの!?」
モブ田「あー、帰れま10は関係ないです、まぁ最速で10個割った人には、ちょっとした豪華賞品がございますってことで」
京太郎「なんだよ、ちょっとしてんのか豪華なのか、はっきりしろよ」
モブ子「こまかいことは気にすんなー! ではさっそく、エントリーナンバー1は、一年生の初々しいカップルだ!」
「どーもー、よろしくお願いしまーす」
「私たち、須賀くんが教えてくれた編み物がきっかけで――」
モブ子「うるせぇぇぇぇっ! リア充爆発しろ!」
京太郎「司会が荒ぶってどうすんだよ……ん?」
照「京ちゃん、私たちも出よう!」キラキラ
淡「膝上で我慢しなよー! ここは私の出番、一年同士だし、あいつらに対抗だー!」
京太郎「あいつらって、同じクラスだろうが……」
誠子「でも面白そう。私も出たいんだけど」チラッ
尭深「……ふむ……あ、それじゃ私も」
京太郎「え、と……これは……」
菫「誰か一人選べばいいだろう。それとも、クジで引くか?」
京太郎「……選ばないと、怒られますかね?」
菫「決めきれないなら、運命を紙片に委ねるのも一興だ」
京太郎「……じゃあ、誠子先輩。一緒に出ていただけますか」
誠子「えっ……わ、私!? いいの?」
照「よくない」
菫「黙ってろ、京太郎くんが決めたことだぞ」
淡「えーっ、なんで亦野先輩?」
京太郎「………………えーと…………こ、好みです」
尭深「わお」
誠子「いや、言い淀みすぎでしょ。まぁわかるけどね、だいたい」
誠子「起伏が少ないからね、抱き潰して密着しても、どうってことないもんね」ブツブツ
京太郎(それもあるけど…………それだったら、照さんでもそうなんだけどなぁ……)
京太郎「まぁ、その……ほかの人は、風船の音で驚きそうですから。誠子先輩なら、勢いよくやってくれそうなので」
誠子「ひどいなぁ、私だってか弱い乙女なのに」
京太郎「では勇気がある、ということで。物おじせずやってくれそうな、胆力に惚れました」
誠子「女子への口説き文句じゃないよ、それ……ま、いいや。お願いして受けてくれたのに、ごねるのも悪いよね」
誠子「よろしくお願いします、京太郎くん」
京太郎「はい、エスコートはお任せください」
菫「……なかなか絵になる二人だな、こうして見れば」
尭深「なぜか耽美に見えるのは……気のせい?」
照「うらやましい……ああ、私の椅子が……京ちゃんの膝が、行っちゃう……」
淡「仕方ないよ、キョータローが選んだんだもん……ふーんだ、バーカ!」
菫「……ちなみに、私も選択肢に入っていたんだぞ?」
尭深「自分でアピールもせず選ばれようなんて、怠慢です……」
菫「ごもっともだ」フッ
モブ子「さーて、今度のカップルはー……な、なんとぉ!」
モブ田「淡か? 宮永照か? いや違う、本命はぁぁぁ――っ! なんと、亦野誠子だぁーっ!」
京太郎「ちっげーよ!」
誠子「違うの? なーんだ、残念」
モブ子「あー、すいませーん。この企画、カップル以外立ち入り禁止なんですよねー^^」
京太郎「うっぜぇ……っていうか、明らかにさっき、カップルじゃなさそうな二人が参加してたじゃねーか!」
モブ子「カップルと言い張ってさえくれれば、問題はありませんので」キリッ
誠子「ふんふむ、なるほど……それじゃ――カ、カップ……ル、です……////」
モブ田「亦野誠子のカップル発言いただきましたー!」
照「………………」ギリギリギリギリ
淡「あわあわあわあわあわ」
尭深「誠子かわいい」パシャパシャ
菫「……うらやましいな」ボソッ
京太郎「せ、誠子先輩……」
誠子「ははっ、恥ずかしー」テレテレ
京太郎「――っ……えー、カップルです。頑張りましょう、誠子さん」ニコッ
誠子「――――」キュン
誠子「……は、はい……うん、頑張ろう!」
モブ子「……いまの発言、合意と見てよろしいですね?」
モブ田「それでは、ロボトルぅ――っっ……じゃない、風船割り、スタートォ!」
京太郎「大事なのは潰すのを躊躇わないこと、瞬時に抱き合って、密着しても気にしないことです」
誠子「ん……うん、わ、わかってる……」
京太郎「大丈夫です、俺がサポートしますから……抵抗しないで、任せてください」
誠子「っっ……うん、お願い……」
パァンッ パァンッ パァンッ パァンッ
モブ田「これはなかなかのハイペース、先ほどのチームに負けない勢いですねー」
モブ子「そのようですねー……おっと、ここで速報です。参加したカップルの一つが敗北を機に、別れてしまったようです」
モブ田「なん……だと……」
モブ子「はっはっは、リア充ざまぁみろって感じですねー。さて、そうこうしてるうちに、10個目に差し掛かったぞ、亦野京太郎ペアー!」
誠子「ちょっっ……な、なんかいま、婿入りしちゃったみたいに呼ばれたよ!?」
京太郎「気にしないで、俺は嫌じゃないですから……」ギュゥー
誠子「えっ……そ、それって、その……どういう……」
京太郎「誠子さん、もっと強く……して、いいですか?」
誠子「っ……は、はいっ……あっ……んぅっ!」
パァンッ!
モブ子「決着ぅ――っっ! おめでとうございます、2秒差にて勝利を果たしたのは、亦野京太郎ペアだー!」
モブ田「こちらが賞品となっております、なんと――白糸台の学食、金券3000円分だー!」
京太郎「」
モブ子「こーれは嬉しい! しかし、京太郎は今月、残り数日で派遣となってしまうぞー?」
誠子「……あ、しかも期限が2月いっぱいになってる……いる?」
京太郎「……いります」
誠子「えっ」
京太郎「……誠子さんと、カップルになって勝ち取った賞品です。記念に残しておきますよ」
誠子「……そっか、じゃあ……はい、あげる」
誠子「期限までに戻ってきたら、それで奢ってよ。無理だったら、大事に持っててね」
京太郎「はい……ありがとうございます、誠子……先輩」
誠子「はは、カップル終了だね。お疲れさまー」
~幕間、白糸村
「昨夜は犠牲者がでませんでした」
京太郎「これは狩人GJ?」
菫「狐もあるがな」
淡「ほーい、占い結果だよー。尭深は狼だってさ」
尭深「というのがウソとわかったので、淡ちゃんは偽ですね。本物の占いは誰?」
「投票の結果――モブ田さんが吊られました」
モブ田「貴様ら……後悔するぞ、この俺をよくもっ……ぐああぁあぁぁっっっ!」
照「凄惨な光景だったね……」
京太郎「真に迫りすぎだろ。っていうか人狼くせーよ」
誠子「といって油断を誘う、京太郎くんこそ、そうなのかな?」
京太郎「勘弁してください……」
照「そんな、嘘だよね……京ちゃんが人狼だなんて、私――」
京太郎「俺じゃありません! 信じてくださいっ……」
菫「この状況だ、言い逃れはできないだろう……残念だよ、私も」
「村人陣営の勝利です」
京太郎「いよっしゃあぁぁぁっっっっ! 照さん、ありがとうございます!」
照「京ちゃんが私を庇ってくれたから、いまの私がある。それだけだよ」
菫「……ちょっと待て、なんであの状況で私に投票した!」
照「ゲームだし間違っても菫なら許してくれる。それなら私は愛に生きる」
菫「ふざけるな、おい」
淡「菫がしっかりやんないからー!」
菫「お前の占いCOと報告がうさんくさいからだ!」
尭深「霊CO前に噛まれてごめんなさい」
誠子「最終的に村人二人しか残らなかったけど、勝利なんだよねぇ……大丈夫なの?」
照「子孫は私たちが増やすから大丈夫」テルテル
~人狼リプレイ、白糸村、エンド
京太郎「はぁー、思った以上に頭使った……ちょっと休憩するか」
京太郎「食堂が思った以上に暑いな、頭冷やしがてら、廊下にでも――あれ?」
京太郎「おう、淡」
淡「んー、なんだ椅子かー」
京太郎「おい」
淡「にゃははー、冗談じょうだん」
京太郎「はー、しかし……なんだかんだで、外も暗くなってきたな。だいぶ盛り上がったし」
淡「だねー。でもメインがまだ残ってるでしょー?」
京太郎「晩飯は別に用意しないっても、結構ダラダラ食べて、遊んでたろ? ケーキ入るのかな、みんな」
淡「甘いものは別腹!」ポンッ
京太郎「どれどれ」フニッ
淡「!?」
京太郎「おっまえ、細いな……もっと食わねーとだめだ――」
淡「あっわ……わああぁぁぁぁっっ!? なな、なにしてくれてんのっ、乙女のお腹に!」
京太郎「いや、突きだして叩いて見せるから、触れってことかと」
淡「んなわけないでしょ! もー、信じられないっ」
京太郎「んー、なら俺の腹も触らせてやろう。特別だぞ」ヌギッ
淡「ふぃっ!? いいいい、いらないっ、バカッ、しまって!」/////////
京太郎「おかしい、女子は腹筋好きだって師匠の言葉を信じて鍛えたのに……触るどころか見てもくれないなんて……」
淡「腹筋!? 割れてんのっ?」
京太郎「おう、体脂肪率もすげー低いから、筋肉ポッコリだぞ」
淡「みせてー♪ わーお、サイヤ人みたい! ねね、触っていい? いいよねー」
京太郎「触っちまったからな、好きにしていいぞ」
淡「ふへへへ……わ、カチコチだ……でも、熱いね」
京太郎「そりゃ血が通ってんだ、熱いだろ」
淡「そっかぁ……ふわっ、ビクッてした」
京太郎「ああ、ちょっと力入れるとな」
淡「すごーい、こんな熱くて硬くて……ね、痛くない?」
京太郎「ああ、もっと強くても大丈夫だぞ」
誠子「……淡が、なにかいかがわしいことを……」
菫「と、止めて来い! 部長だろ!」
照「私が行く。一年生にはまだ早い、それを教えるのも先輩の務め」//////
尭深(……勘違いなんだろうけど……止めなくても大丈夫だよね?)
モブ田「えー、宴も酣ではありますが、ここらで――」
京太郎「盛り上がってるからわかるんだが、そう言われると締めに聞こえて仕方ない」
モブ子「クリスマスのメイン食料、ザ・ケーキ! 入場でーす!」
京太郎「はい、というわけでケーキのほう、そろそろお披露目とカッティングに入りますね」
京太郎「三種類、普通のデコレーションケーキ、定番ブッシュドノエル、シュークリームタワーのクロカンブッシュをご用意してます」
照「全部食べていい!?」
京太郎「大き目に作りましたし、カットすれば人数分よりは多くなると思います。でも、全員が一切れは食べたのを確認してからお願いしますね」
照「わかった!」
京太郎「いい返事ですね」
菫「保育園か」
誠子「でも楽しみです」
尭深「たしかに……」
淡「ふへへへへ、カッチカチだったなぁ~」
菫「そんなに腹筋が好きか……」
京太郎「――こほん、それでは開けますねー。写真撮る人は言ってください、そのあと切りますのでー」
一同『おおおおおぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!』
パシャッパシャッパシャッ
京太郎「写真、そろそろいいですかー? じゃあわけますので――」
京太郎「あ、クロカンブッシュのシューは、上から順に取ってくださいね。多少は崩れにくくしてますが」
照「上がパイ生地のシューだ! サクサク、でもクリーミー!」
誠子「はやい!」
淡「わーい、私もー。んぅぅっ、おぉいひぃぃぃ……」
菫「やれやれ……せっかくだし、ブシュドノエルをいただこう。せっかくのイベントだ、定番は外したくない」
京太郎「粋ですね。どうぞ……一番乗りなので、このチョコスティックもどうぞ」
菫「ありがたいが……その、最近……ウエストが、気になって……」モジモジ
京太郎「そうですか? 見た感じ、わかりませんけど……」
菫「み、見えない部分がっ……こう、色々と……あの……本当に、わからない、か?」
京太郎「ええ、むしろ細く見えますけど」
菫「……そ、そうか……うん、なら……いただこうかな」
尭深「……気をつけろ、その一口が、甘い罠……」
菫「や、やっぱりやめる!!」
京太郎「大丈夫ですから!!! 尭深さん、ひどいですよ……」
尭深「すみません、冗談です。弘世先輩は背丈がありますから、多少は余裕がないと、やせ過ぎに見えますよ?」
菫「……信じるからな」モグモグ
京太郎「大丈夫ですってば……尭深さんもどうですか?」
尭深「私はダイエット中だから」
菫「」
尭深「これも冗談……デコレーションのほう、もらえるかな。クリームいっぱいで」
京太郎「はい、どうぞ……って、なぜ指で」
尭深「このたっぷりのを、こう……んちゅ、れろぉ……ふふ、こうやって食べるのが好きなんだぁ、変かな?」
京太郎「……いえ、大変……結構ではないかと……」
菫「……スケベ」ボソッ
京太郎「ご、誤解です(震え声」
京太郎「まったく、俺は紳士的に振舞っているのに……おっとお茶のお代わりを見に行かないとな」
京太郎「お茶のお代わりどうぞ、誠子先輩」
誠子「んー、ありがと。おいしいよ、京太郎くんのケーキは最高だね」
京太郎「喜んでいただけてよかったです。ちなみに、どれを」
誠子「シュークリームの――ごめん、なんだっけ」
京太郎「クロカンブッシュ、ですね。ゴツゴツした木という意味で、フランスではウェディングケーキにもなるとか」
誠子「へー。でね、このシューの生地がおいしいのと、上から垂らした……飴? このパリパリ感がさー、クセになっちゃった」
誠子「実はもう三個目。一応、みんなが一つは食べたの確認してるから、許してね」
京太郎「思った以上に多く作っちゃった感じですね。まぁ照さんがいますから、安心して作ったわけですが……」
京太郎「喜んで食べていただけたなら、俺には文句なんてありません。ありがたい限りです」
誠子「そう? ならもう一個~っと」
京太郎「誠子先輩も、甘い物いけるんですね。嫌いではないと思ってましたけど、そこまでお好きとは、思ってませんでした」
誠子「甘いものは女の子ならみんな大好きだよ、まぁ例外的に苦手な子は、置いといて」
誠子「こんなにおいしいのなら、なおさら……んぅ~、幸せ♪」
京太郎「……やっぱり好きなもの……それも甘いものを食べて笑ってるのを見ると、こっちも幸せになりますよ」
誠子「あんまり見ないでよ、食べてるとこ///」
京太郎「あ、すいません……あんまり可愛かったので、つい」
誠子「~~~~~っっ!? だ、だから、そういうっ……もうっ、知らないっ」パクッ
京太郎「でも食べるんですね……っと、失礼」
誠子「うにゅ……あっ」
京太郎「上から散らした粉砂糖ですね、ほっぺについてました」ペロッ
誠子「/////////////// あ、あり、がと……」カァァッ
京太郎「いえ、お気になさらず。さ、もう一杯どうぞ……温まりますよ」
誠子「うん」
~メインイベントその2、プレゼント交換
モブ子「いよいよこのときがやってきたぁー! さぁ皆さん、円になって!」
モブ田「そしてぇ――ミュージック、スタート!」
モーイッポフーミダセルー ワターシマッテタヨー
菫「なんだこの曲は……クリスマスソングだろ、普通」
モブ子「細かいことは気にしない! さぁ、演奏が止まるまでプレゼントを隣へ回すんだー!」
京太郎「お前らも入れよ、ほれ、ここ空けたから」
モブ田「おっと、しのびねぇな」
京太郎「構わんよ」
誠子「おもっ! なんかこれ、ズシッてきたんだけど……」
淡「予算決まってるからねー、考えるの大変だったんだよー?」
照「私のは京ちゃんに、京ちゃんのは私のとこに……」ブツブツ
尭深「あまり祈ると逆効果ですよ……こう、自然に任せて……」ズルッ
京太郎「あぶなっ! 尭深さん、大丈夫ですか?」
尭深「う、うん、ごめんね……落ちなかった?」
京太郎「はい、ちゃんとキャッチしてます……おっと」
モブ田「ミュージック、ストォーップ!」
モブ子「よっしゃー! 包み開けろぉ、お前らぁーっ!」
寮長「テンション高くて礼儀を知らない一年生ねー」
京太郎「さて、俺のは――っと」
淡「……っっ……いやっほぉぉぉぉぉっっっ! やったよ、キョータロー、これ!」ババーン
京太郎「おう? あ、俺のマフラーか……ま、大事に使ってくれ。気に入ってくれたんならな」
淡「もっちろん♪ えへへー、あったかーい……ふふ、どうかな?」シュルッ
京太郎「……うん、似合う……ってのもおかしいか、自分で作ったの褒めるなんて」
淡「そだねー。じゃ、モデルのほうを褒めてもいいよ?」エヘンッ
京太郎「淡が可愛いから、マフラーも似合ってるよ。ありがとな」ナデナデ
淡「えへへへへ……」テレテレ
照「ぐぬぬぬぬ……どうして、回転が甘かったから……」
京太郎「だめですよ、そのプレゼントくれた相手に失礼じゃないですか」
照「これは気に入ったよ。素敵な写真立て」
京太郎「よかったですね。さて、俺のは――」
照「――――――」
京太郎「お菓子作りの本と、これは……」
京太郎「照さんですね」
照「えへへ、バレちゃったか。お菓子の本だもんね」
京太郎「こっちは、差し入れの参考にさせていただきますけど――わかったのは、こっちのおかげです」
京太郎「小学校の頃、肌身離さずって感じで持ち歩いてましたよね。俺もそのおかげで、読みましたから。よく覚えてます」
照「っっ……覚えてて、くれたんだ……嬉しいっ」
京太郎「照さんが言ったんですよ、一緒に読まない? って……」
照「うん、そうだったね……」
京太郎「こんな感じでしたね。あのときは照さんのほうが大きかったですから……俺が隣で、照さんにもたれてました」
照「京ちゃん、大きくなったもんね……いまじゃ逆になっちゃった」コテン
京太郎「このまま、ちょっとだけ読みましょうか」
照「寮長が締めの挨拶してるからね……それが終わるまで」
~クリスマスパーティ、終了。夜行動はないよ!
京太郎「ふぅ、片づけ終わりっと……」
京太郎「お、食堂も綺麗になってるな。みんなは終わったから戻ったんだっけか」
京太郎「さて、俺もそろそろ――ん?」
京太郎「あれは誠子先輩……?」
京太郎「誠子先輩っ」
誠子「っっ! あ、ああ、京太郎くん……えっと、お疲れさま」キョドキョド
京太郎「……? どうかされましたか?」
誠子「へっ!? う、ううん、別に! 片づけ終わったかなーって、点検にきただけで――」
誠子「だ、大丈夫そうだよね。じゃあ、私も戻るから!」
京太郎「……あっっ! ちょっと待ってください、先輩!」
誠子「っっ! な、なにかな……」
京太郎「……こんな日に言うのもなんですけど、あの約束……まだ、有効ですよね」
誠子「――っ」ゾクッ
京太郎「よかったら、なんですけど……なんでしょう、クリスマスプレゼントってことで。日頃疲れてる先輩に、マッサージを……」
誠子「――ぁ」
誠子(これは、違うよね……き、期待して、来てたって……思われてないよね!?)
京太郎「す、すいません、不躾でしたよね! なに言ってんだ、俺……それじゃ、これで――」
誠子「ま……待って!!!」
京太郎「えっ」
誠子「えっと、その……そう、だね……もう、みんなも部屋に戻っただろうし……」
誠子「こんな日に、誰も……来ないと思うから、さ……」
誠子「――ジムで、お願いしてもいいかな」
京太郎「……かしこまりました。えっと、それじゃどうしようかな……」
誠子「服装?」
京太郎「ええ、汗をかくと思いますから、できれば運動しやすい格好でお願いできましたら」
誠子「わかった……あ、けどお腹いっぱいだから……あと、心の準備もしたいし……い、一時間後、くらいでどうかな」
京太郎「わかりました。それじゃ、ジムでお待ちしてますので」
誠子「……うん……よろしく、ね」ドキドキ
京太郎「さすがに冬休みの夜、しかもイヴ――あれだけ騒いだパーティーのあとだと、誰もいないですね」
誠子「そうだね……汗かいてもすぐにシャワーで流せるし、よさそうかな」
京太郎「ええ。けど……その格好は……寒くなかったですか、ここまで?」ジー
誠子「寮内とジム、どっちも空調しっかりしてるからねー、つい」アハハ
スポーツ用のタンクトップとジャージ、そして下半身はスパッツだ。
そうスパッツ、ピッチリと誠子先輩の脚に密着し、引き締まった美脚をこれでもかと浮かび上がらせる。
だけど筋肉質なんてことはまるでない、特にすごいのは太ももだ。
太過ぎず細過ぎず、それでいて女性らしい柔らかな丸みを帯びて、ヒップから膝へのラインを形成している。
そこから足首まで、白い肌――ではない。少し焼けた肌が健康的で、目に眩しかった。
誠子「それじゃ、お願いしようかな……みんなが虜になったっていう、須賀京太郎のマッサージをね」
京太郎「そんな大それたものじゃ……でも、誠子先輩は日頃からよく動いてらっしゃいますし――」
京太郎「事務作業も多くて、趣味もアウトドアですから。すごく――」
誠子「――――っっ」ゾクッ
京太郎「――マッサージのしがいがありそうですね。念入りにさせていただいていいですか?」
誠子「……ぁ……あ、うん……ごめん、ボーッとしてて……ここ、寝たらいいかな」
ストレッチ用のマットに彼女が腰を下ろし、普段のクセからか脚を開いて、軽く柔軟をする。
ピッタリのスパッツは太ももだけでなくお尻にも密着し、座り込んだことで、肌への締めつけはさらに強くなったようだ。
お尻の丸みがマットを潰し、そこになにか――うっすらと三角のラインが浮かんで、彼女が身体を捩るたびに、その形はスパッツへ刻まれる。
ラインは太ももを跨ぎ、彼女の開かれた脚の間へ、すなわちデリケートな部分へ向かい、それ以外の部分と同じく食い込んでいる。
よく動くからこそ、密着感で服を選んでいるのだろう。それだけに、少しの動きでも布地は身体を締めつけ、彼女のあらゆるラインを浮き上がらせていた。
誠子「よっ、ほっ……はぁ……あっ、つい。ごめんね、お待たせ」
京太郎「――いえ、大丈夫です。じゃあ、うつ伏せで横になってください」
誠子「りょうかーい」ゴロン
危なかった、と切に思う。
彼女の健康的、かつ美しい肢体に見惚れていたとはとても言えなかった。
こちらの視線を気にした様子もなく、無防備にゴロンと寝転がった彼女が、そこでようやく布地の食い込みを気にしたようだ。
誠子「ん、しょっ……はは、ごめんね、はしたなくて」
まったくである(憤慨)
もっと慎みを持ってくれないものか――理性の負担が大きすぎる。
膝上のスパッツ裾を引っ張って、さらにはお尻の布地を摘んで整え、あろうことか――その布地越しに、下着のラインまで直す誠子先輩。
うつ伏せに寝たまま、両手で左右のラインを引っ張り、伸ばして食い込みを直している。
その度に腰がヘコヘコと動き、引き締まった身体なのにそこだけはミッチリと肉のついた、安産型のヒップがクイッと持ち上がり、揺れている。
誠子「はい、お待たせ。じゃあ改めて、よろしく」
京太郎「……それでは、失礼します。上半身から施術しますので」
視線を釘付けにしてくる誘惑から意識を逸らす、それだけで体力と精神力の半分を持って行かれた。
しかし困ったことに、この人――柔軟な身体を見せつけてでもいるつもりだろうか。
両脚を大きく開き、その間にしか座り込む隙がない。
お尻を跨いでもいいのだが、そうすると背中から腰へ移動するとき、スムーズな施術が行えないのだ。
とはいえ、この姿勢がリラックスするということなら、無理に脚を閉じさせるほうがよくない。
俺のほうがいくらか身体が大きいから、ここからでも手は届くだろう。
京太郎「触ります。痛かったり、くすぐったかったりしたら、言ってくださいね」
誠子「はーい、お願い……んっ……します……」
やはり――想像していたのとほぼ同じ、しっかりとした硬さが指先に奔る。
腕のストレッチはこなしているのか、上腕部は大丈夫そうだ。
問題は、肩から首筋へのライン、その少し背中側。肩の裏、とでも言う部分だ。
肌が張り、指先で押すだけでは簡単に解れてくれそうにない。
誠子「ふぁっ……くっ……はは、こうなるってことは……相当、だよね……くぅっ……」
京太郎「はい……よく我慢してこられましたね、いままで」
誠子「普通にしてる分は平気だからね。こういうのって、自覚症状ないものでしょ?」
確かにそうだ、だけどこれだけのものが解れれば、相当楽になるだろう。
誠子先輩にはお世話になっているんだ、なんとしても楽になっていただきたい。
とはいえ、いきなりキツくするのは無茶だろう。
京太郎「――先に、下腕部のほうを揉み解させてもらいますね。竿を握るとき、酷使してると思いますから」
誠子「最近はそうでもないからね、どうだろう――」
そう言われるのを聞きつつも、身体を彼女の横に置いて腕を預かり、肘から手首にかけて優しく解す。
誠子「はぁぁ……うん、いい……これいいね、人にやってもらうと……んくっ、あぁ……すご……はぁ……」
手を取ったときは僅かに強張ったが、手の平を添えて肌を擦り、指先を補助程度にしかしないことで、その緊張が取れてゆく。
触れている分にはわからないが、重かったりだるかったり、少し痛みもあったのだろう。
そんな筋肉の疲れを、彼女の身体の反応から読み取り、痛みがないように施術する。
誠子「んぅ……くっ、あぅ……んっふ、ふふ、ちょっとこそばゆいかな……ああ、平気……続けてよ……っ……はふっ……」
触れていない手が時折ピクンッと跳ね、指を開いたり閉じたり、少しだけわなないていた。
開いた脚も何度か膝を曲げ、腰がマットに擦られるように、前後に揺れる。
そのことでまた、スパッツとショーツが尻谷間に食い込んだのか。
空いた手が気にする素振りを見せて、現在施術中の腕も、クッと力が入った。
誠子「あんっっ……あ、ごめん……大丈夫、ちょっとね……っ……はぁっ……んっ、あ……ご、ごめん……」
マッサージされているのを思いだしてか、手を押さえようとしているのがわかる。
だが動きたいのに動けないという状況が、心に焦燥感を与えるのだろうか、彼女の身体にほんのりと、汗が滲み始めた。
誠子「んっ、くふぅぅ……あんっ、ん……いいよ、すっごい、気持ちいいっ……け、けど……くふっ……こ、声、出ちゃう……///」
同時に、施術の効果か。
少しずつ彼女の肌も温まり、見れば吐息も荒くなっていた。
それと同時に腰の動きも大きくなる。
優しい刺激のときはなにもないが、指先だけを動かし、少し力を込めて小刻みに振動を送ると、動けない腕の代償のように、腰がカクンッと大きく跳ねた。
誠子「んくっっ……ぁ、うっ……くぅぅっ……/////」
その行為をこちらが見ていたかどうか――それを気にしたように、彼女の顔がチラリとこちらを見た。
視線が腕に向いていることを確認し、僅かに安堵してため息をもらす誠子先輩。
だが自分の行為が恥ずかしかったらしく、自己嫌悪のように、真っ赤になった頬を隠して、マットに顔を埋めていた。
京太郎「――声、なんですけど……」
誠子「ふぇっっ!? あ、やっ、ごめんっ、なにっ?」
京太郎「出来る限りだしてくださいね、緊張しないで済みますから」
これまで、何人もの方に告げたのと同じことを、伝えておく。
言葉に詰まったように、ヒュッと息を吸い込んだ音が、誠子先輩の喉奥から響いた。
誠子「――あっ……う、うん……けど、恥ずかしい、か……ぁっ、んくっっ……ほ、ほらぁ……////」
話そうとする瞬間に、少し凝りのひどかった部分――けれど、手をつけていなかった患部を、わざと強めに擦って声を上げさせる。
意地が悪い気もしたが、これも先輩の緊張を解すため、やむを得ないことだ。
京太郎「それでいいんです。恥ずかしくないですよ、先輩の声、可愛いですし」
誠子「はひっ!? ひっ、やっ……そん、なっ……ぁうっ、んっっ……こ、こと……なっ、ひ……ひぅっ……」
思ったままを口にすると、裏返った声のあとに、甘く蕩けた声が流れた。
それを口にさせた患部を、左右の親指の腹でコシコシと交互に往復させ、血行を正してやる。
誠子「ちょっ、ちょっとそ――んふぅっっ! い、やっ、だからぁ……あんっ、あっ……う、そ、こんなっ……あぁぁっ……」
会話で気を逸らしたおかげか、我慢することを忘れたように、誠子先輩は何度も声を跳ねさせ、愛らしく腰を躍らせる。
それがよほど恥ずかしいらしく、必死で腰を押さえつけている。けれど――。
誠子「~~~~~っ、ふっ、ふぅぅっ……んぐっ、くっ……ぁっ……んきゅっ、くぅぅっ……んひっっ!」
患部はいくらでもあるから、少し触れていなかった部分に指を伸ばせば、すぐにリラックスした声に戻ってくれた。
それを何度も繰り返し、ようやく我慢を忘れ、彼女が好き放題に声をだしてくれるようになったのを見計らい――。
京太郎「反対側も、やりますね」
誠子「はっ、ふっっ……んぅっ、あ、い……よ、よろひく……んふぅぅっ……」
マットに縋りついて、密着したままの腰を回転させるように振っていた彼女の、反対の腕を施術する。
だがこれはまだ準備だ。さっき感じた肩の凝り、それを解すための下準備に過ぎない。
誠子「あぁぁぁ……はぁぁぁ……ふぅ、はぁぁ……んっ……はぁ……すぅぅぅぅ、はぁぁぁ……」
快感にも慣れてきたらしく、反対の腕を終わる頃には、身体中がかなり柔らかくなっていた。
それでも妙な声――こちらにしてみれば、可愛らしい蕩けた声なのだが――を聞かせた羞恥から、肌を赤く火照らせ、彼女の目が睨んでくる。
誠子「もうっ……は、恥ずかしいんだからね、こっちはさぁ……」
京太郎「大丈夫です、すぐにそんなの気にならなくなりますから」
誠子「え――」
おかしい、へんなことを言っただろうか。
瞳を見開き、ビクッと身体を強張らせた彼女が、さきほど尖らせた視線を怯えたように竦ませ、曲げた腕を僅かに引いた。
京太郎「? すみません、どうかしましたか?」オドオド
誠子「……考えすぎ、だよね……いいや、ごめん。ちょっとビックリして……んぅっ……こーら、いたずらしないの……」
すぐに柔和に微笑んだ彼女が、マットに身体を横たえる。
その凝りを確認するために腰から背中を撫でると、嗜めるように笑い、先ほどより軽くなったであろう腕で、こちらの手を阻止した。
京太郎「じゃあ、肩にいきますね」
誠子「うん、おねがーい……ぃくっっ、あっ……うっ、んぐっ……んんぅぅぅぅっ……」
今度は指ではなく、曲げた指の平たい部分を押しつけ――あるいは間接を押しつけて。
ガチガチに硬く張った、彼女の肩の患部へ円を描いてゆく。
誠子「はっっ、おぉぉっっ……くっ、ふぅぅぅんっっ……」
京太郎「痛いですか?」
誠子「んんぅっ……へい、きっっ……はぁうぅぅっ……あっ、ぐぅぅぅっ……」
実際、痛みはないはずだ。
全身への緊張緩和によって、僅かにマシになった凝りへ、指が沈み込んでいるだけ――そしてそれは、凝りを解される快感に満ちている。
ただ、余りに快感の勢いと量が増しているせいで、それを受け入れる先輩が、反応をうまく処理できないでいるわけだ。
誠子「け、どっ、ちょ……ひょっ、あっ……んぐぅっ、あはぁぁっ……あ、や……ら、こ……この、声っ、あぁぁぁっ!」
さっきまでの跳ねるような声ではない。
重く響く、人間の――獣の本能を訴えるような声を響かせて、女性としての羞恥に塗れる誠子先輩。
誠子「おね、がっ、ひぃぃ……きょう、たろ……京太郎、くぅぅぅんっっ……んっ、ぐぅぅっ……あはぁぁぁぁっっ……」
制止を訴えているのだとはわかるが、ここでやめてはせっかく解したさっきの準備が台無しだ。
恥ずかしいのはわかるが、こちらはプロだ、気にしない。
けれど患者の苦痛を和らげるのは、施術士の責任――せめて気持ちが楽になるように、上半身を倒して耳元にささやきかける。
京太郎「大丈夫です……気持ちを楽にして、そのまま……誠子先輩の声、全部聞かせてください……全部、見せてください」
誠子「んにっっ!? ひっっ……~~~~~~~~~~~~っっっ、んっ、もっっ、あおぉぉっっ……」
相変わらず脚の間に膝を置き、そこから身体を倒すせいで、まるで身体を抱えてのしかかっているような体勢になってしまう。
その状態でささやいた瞬間、誠子先輩がピンッと背中を張りつめて、直後――思いきり腰を浮かせて、腰にお尻を押しつけてきたのだ。
非常にまずい、そこは僅かな刺激でも、臨戦態勢になってしまうデリケートな部分だ。
誠子「そん、なっ……い、いったら、もぉっ、もぉぉおっっっ……んんぅぅっっっっ!!」
京太郎「っっっ……そ、そのまま……いいです、声……すごく、素敵ですから……(錯乱)」
だが幸いにも、彼女は自分の行為に気づいてないようだった。
おそらく肩からの刺激に意識を張りつかせ、自然な身体の反射に任せて身を捩らせているのだろう。
柔らかな感触が腰を、そして僅かに股間を撫で、擦り、押し込み――捏ねる。
その部分に触れないように、少しずつ位置を調整して逃げながら、指関節の刺激を肩へ浴びせ続ける。
誠子「おっ、ぐっっ、んぁぁぁぁっっっ!」
誠子「はぁっ、あぁぁぁっ! んふぅぅぅっっ……こぇぇっ、いいっ! あぁぁぁっ、いいよぉぉおっっ……」
その間――彼女は、諦めたように唸り、官能的な声を響かせて、尻を振り続けていた。
京太郎「――こことか、どうですか? まだ少し、凝ってる感じですけど」
誠子「そこっっ、もぉぉぉ……すごっ、ひぃぃんっっ! あぁぁぁぁっっ! いいのぉぉっっ!」
片方ずつ念入りに刺激した部分を、今度は同時に――。
左右の手で関節を立てて、体重を重めに乗せて肌を押し込んでやる。
誠子「くふぅぅぅぅ~~~~~~~っっ! はぁぅっ、あっ、ぐぅぅぅっ……」
パンッパンッと音を立てて、彼女の腰とマットもぶつかり合う。
こちらは刺激を避けようと身体を浮かせるのだが、それを追って彼女は、わざと突き上げるように高々とお尻を突き上げていた。
円を描くように腰をくねらせて、フリフリとお尻が揺れているのを、空気の揺れが感じさせてくる。
京太郎「気持ちいいですか、誠子先輩?」
誠子「んぅぅっっ! いいっ、すごくぅぅ……きょうっ、たろうっ……くんのっ……さい、こぉぉ……はぐっっ、あうぅぅんっ!」
快感を訴える声に満足し、さらに体重を乗せながら指先を動かして、凝りを拡散するように肌を刺激し、血行を促進させる。
京太郎「ここが終わったら、背中と腰――そのあとは脚です。先輩の全身が満たされるまで、たっぷりとさせていただきますから」ボソボソッ
誠子「ひぃんっっ! んっ、ふぅぅぅ……んぅっ、あぅっ、うんっっ……うれ、しっ……うれしぃぃ……あぁぁぁっ!」
お気に召したことに安堵しながら――。
用意したタオルで、彼女の全身をずぶ濡れにする汗を、ゆっくりと噴き拭っていった。
誠子「……ふぅ……んっ……ぁっ……」
京太郎「大丈夫ですか? ちょっと張りきっちゃいまして……痛くないですか?」サワッ ※首筋です
誠子「ひゃうんっっ!! んっ、あぅっ……だ、だい、じょうぶ……っ……////」
誠子「それより、さぁ……また、お願い……どこか、別のとこに行っても……機会見つけて、戻ってきて……っ」
誠子「う、ううん! 私が行くからっ……またして、お願いっ……」
京太郎「わわ、わかりましたから……どうしたんですか、いつも冷静な誠子さんが」
誠子「えっ……わっ! ご、ごめん、つい……そ、それじゃ、ありがと……」
誠子「……京太郎くんの手、おっきくて……荒々しかったな……~~~~っっ……思いだしちゃう、まずい……」ゾクッ
~イヴの憧、灼
憧「クリスマスだっていうのにさー、女ばっかりで集まって、しかも練習?」
灼「グチらないで……晩成の方たちも来てるのに、失礼……」
由華「別に構わない。新子さんの気持ちはわかる。ね、初瀬」
初瀬「わかりやすいですからね、憧は……京太郎くんがいないから、だよね~?」
憧「ち、違うもんっ……」ポリポリ
穏乃「あー、お菓子だ! 憧だけずるい!」
憧「欲しいんなら摘んでいいわよー。あんまり数ないから、一人で取りすぎないようにね」
玄「どうしたの、これ」
憧「――――ま、まぁいいじゃない……」カァァッ
宥「………………京太郎くん?」
憧「っっっ!」ビックゥッ
宥「やっぱり……」
穏乃「えー? でも味が違いますよ、京太郎のとは、全然!」
灼「たぶん、既製品……保存が利くように、だと思うけど」
玄「なるほどね! さすが、抜け目ないのです!」
穏乃「でも、なんで憧に?」
宥「クリスマスプレゼント、かなぁ~」
憧「……ち、違うんじゃない? 前の玄のと同じで、お土産でしょ、たぶん」
憧(……外の容器が……籐籠の、可愛い小物入れだった、けど……言わないほうがいいわよね、たぶん……)
憧「だと思ったから持ってきたの。どうぞって言う前に、シズに見つかっちゃったけど」
灼「…………ほかには、誰かもらった人、いるの……?」
宥「うちは来てないよ~」
穏乃「私ももらってませんよ!」
由華「当然私も」
初瀬「いいなぁ、憧……」
憧「だからお土産だってば!」カァァッ
灼「……そっか……」サスッ
玄「んん? 灼ちゃん、いまなにか――わっ、すごい! かわいいブローチなのです!」
灼「えっ!? ちょ、ちょっと玄、そんな大声でっ……」
憧「えぇ~、灼がそんな――わっ、ほんとだ! なにそれ、かっわいい! どこのっ?」
灼「――っっ!? え、えーっと……ちょっと、用事で……大阪に行ったとき、偶然……露天、みたいな店で……」
穏乃「へぇ~。綺麗ですねー、ウサギの形かな……」
宥「イミテーションだけど、宝石の瞳なんだね~、かわいい~」
憧「高かったんじゃないの~?」
灼「う、うん……たぶん……あっ、やっ……そう、結構した……かな」
玄「だろうねー。ふふー、ちょっと心配してたけど、灼ちゃんのセンスも磨かれてきて、なによりなのです」
灼「えっ、ちょっと、それ……どういう意味――」
穏乃「いつも着てるシャツ、か、可愛いですけど……こう……ば、万人受けする感じじゃありませんからね!」
灼「」
憧「シズきっつ……」
穏乃「えっ」
宥「わ、私はかわいいと思うよ~」
灼「」ズーン
玄「あわわわわ、た、大変なことをしてしまったのです……」
由華「楽しいなぁ、阿知賀の人たちは」
初瀬「そうですね。うちは大所帯で、上下関係もはっきりしてますから。それもよさの一つだと思いますけど」
灼「はぁ……もういい、練習しよ……次は、入れ替わって対局で――」
灼「……えへへ、そっか……ありがと、京太郎……」サスッ
憧「クリスマスの、お菓子かぁ……ほか、誰に送ったんだろ……ううん! いっぱい知り合いいるのに、私にくれたってだけで十分よ!」
憧「ありがとね、京太郎♪」
【12月最終日】
京太郎「――それじゃ、お世話になりました」
菫「寂しくなるな……」
京太郎「それは言わない約束ですよ」
尭深「仕方ないよ、京太郎くんにはいつまでもいてほしかったから」
誠子「うん、本当にね……なんだか便利に使っちゃってるように思われたかもしれないけど、私は……君のこと、とても信頼してたんだ」
京太郎「そんな風に思ったことはないですよ。白糸台のためになにかできたなら、俺はそれだけで満足です」
誠子「また来てね……絶対に。今度は大会のときがいいな」
尭深「そうだね、私たちの全国制覇を、一番近くで見てもらいたい」
京太郎「……俺も、全国に出られるよう、頑張ります」
菫「その意気だ。大丈夫……君の成長は私たちが保証するよ。なぁ、照」
照「うぐぅぅぅっっっ……ぐすっ、ひっく……京ちゃん、ほんとに……帰っちゃうのぉ……?」
京太郎「すみません、照さん……こればっかりは、どうしようも……」
京太郎「だけど照さんが望む限り、必ずまた会いに来ますから……それにプロになれば、その……指導に、来てただいたりも……できませんか?」
照「!! そうだった、泣いてる場合じゃなかった!」ケロッ
菫「立ち直り早いな、おい」
誠子「それが宮永先輩のいい所ですよ……でもそれだと、先輩一人だけで会いに行けるってことですか? ずるいなぁ」
照「なら誠子もプロになればいい」
誠子「簡単に言ってくれますね……」
尭深「頑張って、誠子。それでそのときには、私も連れて行ってね」
菫「お前はちゃっかりしすぎだ」
京太郎「大学なら、同じ大学に入れば二年は同じキャンパスってことになりますね」
照「プロ行きやめよう。京ちゃん、どこの大学受ける?」
菫「おいこら」
京太郎「――照さんの活躍、テレビで見せてくれないんですか?」
照「見せる。勝ったら、京ちゃんに捧げる勝利ですって、インタビューで応えるから」
京太郎「あっはははは……それは恥ずかしいですね、でも嬉しいです」
菫「京太郎くんが扱い上手で助かった……」
京太郎「名残は尽きないですね……でも、そろそろ新幹線に間に合わなくなりそうです。行かないと……」
京太郎「……淡、そろそろいいか?」
淡「……………………もうちょっと」ギュー
京太郎「駅まで、一緒に行ってもいいんだけど……」
淡「それはだめ。ちゃんとここで別れるって……迷惑かけないって、決めてたから……」ギュゥー
京太郎「――それで、こんなベアハッグしてんのか?」
淡「ベアハッグじゃない! お姉ちゃんの――違う……私の、抱擁だからね……」
淡「キョータローが寂しくないように、私の成分……補給しといてあげる」ギュムー
京太郎「――なら俺も」ギュゥッ
淡「!?」
京太郎「京太郎分、補給しといてやるよ……」ギュー ナデナデ
淡「ひゃわっっ……わっ、もっ……もも、もういい、もういいでしょっ、これで十分!」カァァァァッッ
淡「いい! よそに行っても、毎日ちゃんと、私のこと思いだして!」
京太郎「はいはい」
淡「もっと真剣に!」
京太郎「……ああ、わかった」
淡「それと……元気で、いて……」
京太郎「ああ」
淡「連絡とか……時々で、いいし……なくっても、怒らない、から……」ボロボロボロッ
京太郎「…………」ギュッ
淡「……怪我とか、ビョーキとか、しないで……ぐすっ……ひっく……」ボロボロボロボロッ
京太郎「……約束する。心配はかけない」
淡「うん、約束……はぁ……それじゃ――」グズグズッ
淡「またね、京太郎! 元気でやるんだよー」
京太郎「ああ、お前もな――みなさんも、お元気で」
照「いつまで続くのかとハラハラした」
誠子「淡のことはちゃんと見ておくから、心配しないでいいよ。身体に気をつけてね」
尭深「日誌、楽しみにしてるから……」グスンッ
菫「……っっ……また、会おっ……うっ……ひぐっ……すまない、急にっ……」ボロボロッ
淡「スミレもギューってしてもらえば?」
菫「バ、バカっ! そんな、こと……」
京太郎「――いいですよ」ギュゥッ
菫「!?」
照「」
誠子「わーお」
尭深「大胆……」
菫「あ、や……な、なに、をっ……ひゃ、ひゃめ、にゃい、かっ……」カァァァッッ
京太郎「泣き止んでくれましたね。それじゃ、笑顔で見送ってください」ニコッ
菫「――ふっ……ふふ、まったく……そういえばそうだ、君は……思いだしたよ……そうやって、いつも……」
菫「私に、恥ずかしい想いをさせるんだ……困った後輩だな、本当に」ニコッ
京太郎「すみません」
照「ずるい」
京太郎「なら、照さんも……」
照「やった!」ギュゥー
京太郎「また、会いましょうね」
照「うん……」
菫「二人はいいのか?」
誠子「お三方と違って、羞恥心がありますので……」
尭深「こういうのは、二人っきりのときのほうがいいですから」
照「それじゃ、京ちゃん――気をつけて」
京太郎「はい、それでは――行ってきます、みなさん」
~4ヶ月目(白糸台)、終了
【12月最終日、報告】
白糸台のみなさんとは、これまでの二回の合宿で会っていたこともあるし、なにより旧知の照さんがいた。
おかげで初対面の緊張なんかもなく、すんなりと内に入っていけたと思う。
とてもよくしてくださって、みなさん――ありがとうございました。
だからこそだろうか、別れの辛さも、いつもの倍くらいだった気がする。
そんな俺よりも、さらに辛そうなあいつがいなかったら、俺が泣いてたかもしれない。
俺の代わりに泣いてくれて、ありがとな。
それと、こちらはテレビ局なんかもあるからだろう。
プロの方々やアナウンサーさんにも、お世話になりました。
別の土地でもお会いする機会がありましたら、よろしくお願いします。
さて、しばらくは実家で休養し、正月明けからは新しい学校でお世話になる。
新天地でも、みなさんの支えになり、自分を成長させたいものだ。
――――――――
~白糸台
「別にっ……辛くも、ないしっ……代わりに、なんて……えぐっ、えうぅぅぅ、うぇぇぇぇぇ……」
「よしよし、大丈夫だいじょうぶ……」
「卒業前なのに、卒業式の気分ですよ……別れるのって辛いですね、ほんと……」
「相手が京ちゃんだからなおさら……あっ、そうだ」
「どうした、なにか思いついたか」
「誠子、覚えてる? 2月に私の誕生日があるけど――」
「はい、覚えてますけど……」
「京ちゃんも2月だから。そのときも絶対、うちに呼んで」
「」
「お前、無茶言うな……」
「誠子、ファイト」
「……は、はい……」
「えっっ! 再来月も、キョータローと会えるの! やったーぃ!」
「決まったわけじゃない……おい亦野、無理はするな」
「いえ、でも……前と違って、私も積極的に会いたいって思ってますから……やれるだけ、やってみますよ」
「祈るくらいしかできないけどね」
「まぁそうか……なら私も、祈っておくとしよう」
【1月、正月休み】
京太郎「あけましておめでとう、カピー」
カピ「キュイ! (ご主人様と一緒、うれしい!)」
京太郎「今年もよろしくな……っていっても、また月イチでしか帰ってこられないけど」
カピ「キュイ…… (寂しい……でも、わがままは言いません……身体に気をつけてください)」
京太郎「お前も連れてけたらいいんだけど、我が家ほど環境が整ってないからなぁ……この家ごと、派遣先に移動できたらいいんだけど」
カピ「キュゥッ、キュッ! (そのくらい容易いぞ? 叶えてやろうか?)」
京太郎「えっ」
カピ「キュィ~ (冗談です、それよりももっと撫でて! お風呂も入れて!)」
京太郎「びっくりした……なんか急に雰囲気が変わったからな。まったく、脅かすなよ?」
カピ「キュウキュウ~ (ごめんなさい、ご主人様……)」
京太郎「さて、それじゃ久々にお風呂……というか、プールの掃除するかな」
カピ「キュイィ? (今日はお泊りですか?)」
京太郎「一緒に寝ような、ちゃんとあったかくするんだぞ」
カピ「キュウイッ! (やった!)」
須賀母「……いつもながら、カピーとお話ししてる姿、ちょっと不気味よ」
京太郎「!? なんだ、母さんか……いいだろ、可愛いんだから」
須賀母「カピーは可愛いわよ、当然でしょ。不気味なのはあんた」
京太郎「」
須賀母「それより、せっかく家にいるんだからゴロゴロしてないで、うちの手伝いでもしなさいよ」
京太郎「おい、疲れて帰ってきた息子にそれか」
須賀母「いつもと変わらない実家を体験させる、それが母の優しさです」
京太郎「もっと労わって、お願い!」
須賀母「孝行したいときに親はなし、っていうでしょ。できるときにやっときなさいよ」
京太郎「縁起でもねぇ……へいへい、わかりましたっと。カピーのプールと、部屋の掃除してからな」
須賀母「よしよし。夜は正月料理じゃなくて、ハンバーグ作ってあげるからね。キリキリ働きなさい」
京太郎「うひょうっ! テンション上がってきた!」
須賀母「まったく、あんたはいつまでたっても成長しないわねー。咲ちゃん見習いなさいよ」
京太郎「お、俺はまだこれからだから(震え声)」
京太郎「しかし、せっかくの正月だってのに家でゴロゴロしてていいもんか……」ゴロゴロ
カピ「キュキュイ、キュイ (いいではないですか、普段からご主人様はがんばりすぎです、もっとご自愛ください)」ゴロゴロ
須賀母「ゴロゴロしないの、掃除機かけらんないでしょ」ゴツゴツ
京太郎「俺は休日の親父か! あれ、親父は?」
須賀母「親戚の挨拶周りよー」
京太郎「おふくろはいいのかよ」
須賀母「あたしがいなくなったら、誰があんたの世話すんのよ」
京太郎「お、お母さま……」ブワッ
須賀母「まぁそれを言い訳に残ったの。向こう親戚の一部が、気難しいからねー」アハハー
京太郎「ひどい! いや、けどそうだったか……? 俺が昔行ってたとき、そんなでも……」
須賀母「曽お祖父さまが、あんたを可愛がってたから、その親のあたしたちに口だせなかっただけよ」
須賀母「あの方が亡くなってから、親戚の力関係も変わってねー……って、そんなことはあんたに関係ないわね」
京太郎「まぁそりゃ――いや、親戚関係だし、大事にすべきじゃないか?」
須賀母「いまさらあっちの家業とも絡まないだろうし、絡んでも利権がどうのってややこしいだけよ」
京太郎「なんだそれ、すげーな……え、うちってひょっとして金持ち?」
須賀母「なわけないでしょ。それだったらあんたの月の小遣い、あと1000円くらいアップしてあげてるわよ」
京太郎「そこはせめて、5000円くらいアップしてくれよ……いまでもきついんだぞ」
須賀母「いやー、一人暮らしの費用も麻雀協会が負担してくれて助かるわー。あんた、部長さんに感謝しときなさいよ?」
京太郎「してるっつーの」
須賀母「そんなことより、どっか出かけたらどうなの。初詣とかさぁ」
京太郎「うーん、そうだな……あれ、電話が」
須賀母「おっ、なになに、女の子っ?」
京太郎「食いつくな! あーもう、ちょっと出てってくれよ、電話出るから」
須賀母「彼女だったらちゃんとうちに連れてくんのよー。ま、あんたモテないだろうし無理かー」
京太郎「くそう、言いたいこと言いやがって……でも否定できないのが悔しい」ビクンビクン
京太郎「……っと、それより電話だ。いったい誰だ?」
シロ『もしもし、私だけど』
京太郎「詐欺ですか?」
シロ『サギ? 誰、また新しい女?』
京太郎「そういうのじゃなくて……まぁいいです。シロさん、あけましておめでとうございます」
シロ『うん、おめでとう。それより、いまヒマ?』
京太郎「すっげーヒマでした。危うく掃除機で吸われるとこでしたよ、ほんとうちの母親って――」
シロ『お義母さまには、いずれご挨拶に伺うとして――ヒマならよかった。ねえ、いまからうちに来れない?』
京太郎「えっ」
シロ『……急すぎて無理だったかな』
京太郎「いえ、えーっと……岩手、ですよね?」
シロ『うん。旅費は協会から出るみたいだから』
シロ『初詣しようよ。あ、私がそっちに行くのでもいいけど、なんだったら』
京太郎「ダルくないんですか!?」
シロ『失礼な……ダルくないよ、京太郎のためだったら』
京太郎「シロさん……ありがとうございます。では、すぐそちらに向かいますね」
シロ『ありがとう。その返事を聞いたから、いまごろポストにチケットが入ってると思う』
京太郎「……麻雀協会って、なんなんですかね」
シロ『知ろうとしたジャーナリストが行方不明になったって、都市伝説を聞いたことがある』
京太郎「わかりました、なら俺も追及しないでおきます。んーと、いまからなら……お昼過ぎくらいには着きますかね、たぶん」
シロ『帰り遅くなるだろうから、うちに泊まっていけばいいよ』
京太郎「ははは、それは母親にぶっ飛ばされます。まぁ、夜中でも帰りますから安心してください」
シロ『逆にがっかりだよ……まぁいいや。それじゃ、待ってるから』
京太郎「ってことで、ちょっと岩手に行ってくる」
須賀母「はいはーい。今日中に帰ってくる?」
京太郎「朝までには帰る、なんとかして」
須賀母「たまには朝帰りする姿見せてよー」
京太郎「なんだと!? くっそ……お断りしなきゃよかった……んじゃ、行ってきます」
~岩手
京太郎「――聞いてた話だと、シロさんの実家はこっちのほうだったな……小瀬川、ここか」
ピンポーン
京太郎「……あ、恐れ入ります。私は須賀京太郎と申します、白望さんの後輩の者なんですが――」
小瀬川父「……………………」
京太郎「」
小瀬川母「まぁまぁ、遠いところをようこそ……あ、よかったらおせち食べてね」
京太郎「きょ、恐縮です……」
小瀬川父「……………………」
京太郎(めっちゃ睨まれてるよこええええええええええええええええ!!!!!)
小瀬川母「もうっ、お父さん! そんな怖い顔しないの、須賀さんが怖がってらっしゃるじゃないの」
京太郎「い、いえ、そのようなことは……げ、厳格そうで、素敵なお父様で――」
小瀬川父「お――お前にお父様と呼ばれる筋合いはないっっっ!」ドンッ
京太郎「ひっ」ビクンッ
小瀬川父「ききき、貴様っ……よくもうちのシロちゃんを毒牙に――」
京太郎「ごご、誤解っす!」
小瀬川父「五回もしただと!? ゆゆ、許さん、責任を――」
シロ「父さん、いい加減にして……すこぶるダルいから、黙って。あと息もしないで」
小瀬川父「ひどいよシロちゃん! おお、振袖似合うじゃないか、うんうん。可愛いぞ、さすが私の娘だ」
シロ「うざい」
小瀬川父「」
小瀬川母「あらシロちゃん、よく似合うわね」
シロ「ありがとう、母さん」
京太郎「シロさん――」
シロ「……どうかな、京太郎」
京太郎「綺麗です、とても」
シロ「――――――」
シロ「あ……あり、がと……/////」カァッ モジモジ
京太郎「でもお父さんにそんなこと言っちゃだめですよ、シロさんをここまで育ててくださったんですから」
シロ「……ごめんね、父さん」
小瀬川父「いいんだよ、シロちゃん! だがそっちのお前っ! お前にお父さんなんて呼ばれる筋合いは――」
シロ「…………」ジロッ
小瀬川父「――で、でも、注意してくれたから見逃してやる。かか、勘違いしないでよねっ、別に認めたわけじゃないんだからね!」
京太郎「はぁ……」
小瀬川母「はいはい、支度できたなら行ってらっしゃい」
小瀬川父「うぅぅぅぅぅ、認めん、認めんぞぉぉぉぉっっ!」
シロ「行こう、京太郎」
京太郎「はぁ……それでは、行ってまいります」
小瀬川母「気をつけてね~」
小瀬川父「許さん、貴様だけはぁぁぁぁっっっ……」
京太郎「いいんですか?」
シロ「いいよ、いつものことだから……本当に、いつものことだから……」ハァ
京太郎「いつも……そんなに、その……男の人と?」
シロ「男の子と出かけるのも、家に呼んだのも、父さんに会わせたのも、京太郎が初めて。当然でしょ」
京太郎「……光栄です」
シロ「いつもっていうのは……こう、私を必要以上に、なんていうか……」
京太郎「親が子供を大切にするのは、当たり前ですよ」
シロ「……まぁ、ありがたいけどね……ちょっと、ダル……」
京太郎「娘さんを持つお父さんは、だいたいああなんでしょうか」
シロ「胡桃の家は違ったじゃない。歓迎されてたよね……はぁ、うちはどうしてああかなぁ……」
京太郎「俺が至らなかったからですよ」
シロ「京太郎が許されないなら、私は一生独身で過ごすしかないよ……」
京太郎「シロさんならいい人が見つかりますよ、俺が保証します」
シロ「…………本人の保証か……なら、うん……効き目ありそう」
京太郎「縁結び祈願もしときますか? せっかく初詣なんですから」
シロ「そだね……あ、ここだよ」
京太郎「立派な神社ですね」
シロ「偶然にも、縁結びにご利益があるから。ほかのも見てくれるけど」
京太郎「まずは参拝ですかね。あ、参道の真ん中は神様の通り道ですよ」
シロ「詳しいね」
京太郎「神社関係者に知り合いが何人か」
シロ「……永水、行ってたもんね、そういえば」
京太郎「阿知賀にもいましたよ」
シロ「その子もオカルト?」
京太郎「いやー、どうでしょう……デジタルっぽいです」
シロ「子を否定しない、やっぱり女か……ライバル多いなぁ」ダル
京太郎「? プロ入り決まったシロさんなら、ライバルはもっと多いじゃないですか」
シロ「そういうんじゃなく……もう、いい……でも、絶対に渡さないから。覚悟してて、京太郎も」
京太郎「は、はい……なんだかよくわかりませんけど……」
シロ「さて、どうしようかな……お賽銭、ちょっと奮発しよう」500円
京太郎「おお! それはすごいです、じゃあ俺も……」1000円
シロ「むっ……な、なら、私は……これ、を……」ブルブル 2000円
京太郎「2000円札!? レアなもん持ってますね……なら俺は――」新渡戸稲造
シロ「旧札!? じゃ、じゃあ――」
京太郎「――や、やめときましょう。俺も500円にしときますから」
シロ「……そうだね」
「ちくわ大明神」
京太郎「!?」
シロ「どうしたの?」
京太郎「いや、いまなんか、神様の声が聞こえたような……」
シロ「疲れてるの? どうする、やっぱりうちに泊まっていく?」
京太郎「あのお父さん見て、その勇気はないです」
シロ「ならお父さん追いだすから」
京太郎「可哀想ですよ!? ともかく、お祈りしちゃいましょう。後ろの人が困りますから」
シロ「うん……二礼、二拍手……ささやき、いのり……」
京太郎「えいしょう、ねんじろ……」
京太郎(――麻雀の技術が磨けますよう、もっと集中力を……)
「その願い、叶えてしんぜよう」
京太郎「お、おぉぅ?」
シロ「? どうしたの、変な声だして」
京太郎「いや、なんかご利益を感じて……ともかく、あとは一礼ですね」
シロ「よろしくお願いします」ペッコリン
京太郎「ありがとうございました」ペッコリン
「ええんやで」
「ちくわ大明神」
京太郎「……やっぱり聞こえたような……」
シロ「後ろの人の声じゃないの? さて、それじゃ……初詣だし、外せないかな?」
京太郎「出店のたこ焼きですよね!」
シロ「……おみくじだよ」
京太郎「……はい」
シロ「どうする? お腹空いてるなら、おみくじはやめておくけど」
京太郎「引いていきましょう。今年の指針になりますから」
シロ「うん、あっちだよ。行こう」
京太郎「着物ですから、慌てないでくださ――危ない!」
シロ「……っっ……」グラッ
京太郎「シロさん!」ガシッッ ギュゥゥッ
シロ「ぁ…………/////」
京太郎「ふぅ……大丈夫ですか? お怪我は? 足とか、捻ってないですか?」
シロ「ん……うん、平気……ありがとう」////
京太郎「よかったです……念のため、手を繋いで行きましょう。ゆっくりね」
シロ「……ナイス神様、来年も来てあげる」
京太郎「? さて、おみくじ……なにが出るかなーと」
京太郎「凶か……気をつけて生きないとな、この一年は」
シロ「交換する? 私の、中吉だけど」
京太郎「それはシロさんの運勢ですよ。俺はこれを、戒めとして大事にしますから」
シロ「真面目だね……それじゃ、なにか食べて行こうか」
京太郎「甘酒買ってきましたよ、どうぞ」
シロ「」
京太郎「どうかされましたか?」
シロ「……ううん、ちょっと油断してた……これが京太郎だったよね」
シロ「あったかい、それに甘いね……あぁ、酔っちゃったかも」フラフラ キュッ
京太郎「ノンアルコールですよ……」
シロ「でも酔っちゃったのは仕方ない……しばらく腕貸してて」ギュー
京太郎「それは大歓迎ですけど……」
シロ「……スケベー」
京太郎「ち、違いますからっ」
シロ「着物だと潰れて、苦しいんだよね……ねえ、京太郎は着付けできる?」
京太郎「もちろんです」
シロ「なら、多少緩めても大丈夫かな……あとでどこか、お店入ろう。食事して、ちょっと着物緩めるから」
シロ「緩みすぎたら直してね」
京太郎「はい……あ、いや、まずくないですか?」
シロ「なんで?」
京太郎「いえ、その……緩めて、帰ったら……誤解を……」
シロ「なんの?」
京太郎「えっと、それは……ですね……なんと申しましょうか……」カァァッ
シロ(かわいい)
~初詣、終了
憧と灼は誰に送るかって選択で、ゾロ目だったからサービスよー
でもあれだね、せっかく初詣で会ったんだから、会話に絡めてもよかったか
シロ「……そういえば、さ……あの、クリスマスの……」
京太郎「あ――すみません、突然送っちゃって。好みとかわからなくて、ああなりましたけど……」
京太郎「ひょっとして、趣味じゃありませんでした?」
シロ「っっ! そんなことないよ、とても……嬉しかった、ありがとう……」
シロ「アパートのほうに飾ってるから……でも、なにかお返ししないとね」
京太郎「構いませんよ。俺はシロさんに色んなものをもらいました、お世話にもなりましたし」
京太郎「そのお礼も兼ねてますから」
シロ「お礼、か……そもそも、こっちのほうが京太郎に、色々もらってると思うんだけど……」
シロ「……そうだ、それなら、これから部屋に寄って行かない?」
シロ「前に行ってた甘辛煮、作ってあげる」
京太郎「材料買えませんよ?」
シロ「……あぁ、そうか……スーパーお休みなんだった」
京太郎「それに振袖じゃないですか。そんな高い物、染みでも作ったら大事ですよ」
シロ「脱いで料理するから大丈夫だよ」
京太郎「!?」
シロ「……別の服着るよ。あとエプロンもあるし」
シロ「ああ……裸にエプロンのほうがいいかな?」
京太郎「」
シロ「そうだね、お返しならそれくらいのほうが……」
京太郎「いえいえいえいえいえ! やや、やっぱり、その……脱ぐのはよくないですから、またの機会に……」
シロ「わかった。じゃあまたの機会にお礼するね、裸で」
京太郎「そうじゃないですから!」カァッ
シロ(やっぱりかわいい……ありがとね、大事にするから)
~派遣先決定
京太郎「初詣も終わって、とんぼがえりで実家で一泊……親父が帰ってきて、成績の話とかして……まぁ、怒られなくてよかった」
須賀母「麻雀ばっかりしてるかと思ったけど、ちゃんと勉強もしてるのね、感心かんしん」
京太郎「じゃあお小遣いアップを――」
須賀母「母さんね、お金で釣って成績上げさせるのって、子供のためにならないと思うの」
京太郎「だめか……」
須賀母「まっとうにアルバイトしなさい、学生らしくね」
京太郎「そんな時間ないんだよ……正月の間だけでも、龍門渕で雇ってくれないかな……いや、師匠にご迷惑だし、それは無理か」
モーイッポフーミダセルー ワターシマッテタヨー
京太郎「また電話か」
須賀母「今度こそ女の子っ?」
京太郎「いいから! っつか、昨日のも女の子だっての……」
須賀母「まーた見栄張っちゃって。さっさと彼女の一人も紹介しなさいよー」
京太郎「くそう……俺だって頑張ってんだよ、なぁ、カピー?」
カピ「キュキュイ? (電話、出なくていいんですか?)」
京太郎「おっとと、電話がかかってたんだった……もしもし」
久『やっほー、正月気分はどうかな、楽しんでる?』
京太郎「おかげさまで。派遣先を教えてくれなかったのは、くつろげるようにっていう優しさですか?」
久『まぁそんなところよ。そろそろお正月も明けて学校始まるし……ってことで、次回の派遣先は――』
京太郎「………………」
久『大阪っ、姫松高校でーす! いやー、OPで言ったっきり、とんと当たらないから大変だったのよ?』
久『毎月さぁ、洋榎から電話かかってくるの。どないなっとるんやーってさぁ』
京太郎「姫松か……二回戦から、長い付き合いになりましたよね」
久『その縁かしらねー、洋榎とはよく話すの。あっちはプロ入りも決まってるし、色々教わることも多いと思うわよ』
京太郎「俺に教えるよりは、練習されるほうが多そうですね」
久『なるべく、練習相手を紹介してあげればいいんじゃないかしら。それ以外でも、京太郎は十分役に立てると思うけど』
京太郎「そうあるよう、努力はします。向こうの学校はどんなもんですかね」
久『制服は男子もあるから。いまの時期なら学ランだったかしらねー』
久『あ、住むとこはさすがにアパートだから。寮暮らしに慣れて、実家で怠惰に過ごした京太郎なら、一人暮らしは辛いんじゃない?』
京太郎「そんなことじゃ、執事は務まりませんよ」
久『あら頼もしい。なら、よろしくね……頑張りすぎないよう、頑張って、あと……』
久『身体に、気を遣ってね……なにかあったら、連絡ちょうだい』
京太郎「……ありがとうございます。それでは、行ってきますね」
久『まだ日程に余裕はあるから。登校初日にさえ間に合えば、怒られないわよ』
久『それじゃ、またね。バイバイ、ダーリン』
京太郎「またな、ハニー」
須賀母「んまっ、本当に女の子?」
京太郎「部長だよ、あのネタ気に入ってるだけ」
須賀母「なーんだ」
久「……はぁ、顔あっついわね……////」
~1月、正月休み明け、大阪入り
京太郎「荷解き完了……いやー、人多いな。しかもみんな、歩くのがはえーこと」
京太郎「しかし来る途中に見た、あれが……噂のあべのハルカスか、機会があったら入ってみたいとこだ」
京太郎「学校の位置も確認したし、朝もそこまで早起きする必要はなさそうかな、ありがたや」
京太郎「麻雀部のパンフレットによると……なんだこのパンフ」
【今年こそVやねん! 名門姫松、目指せ全国一特集!】
京太郎「地域色がすごい……」
京太郎「ここの学校はエースが主将で、中堅に入るんだっけか。今年の主将は上重漫さん……ああ、シロさんと神代先輩、優希と当たった相手か」
京太郎「で、副主将として大将に座るのが、前主将の妹さん……愛宕絹恵さんか。これは和と初美先輩、塞先輩の対戦相手だったな」
京太郎「二回戦メンバー、全員顔見知りになるのか。なんか感慨深いもんだな」
京太郎「……なんだこの後半の、天王寺の新星って……ああ、これが前主将の愛宕洋榎さんだな」
京太郎「胡桃先輩はうるさい人って言ってたな……春は、なんだっけ……特に感想言ってなかったか」
京太郎「旧友が語る、愛宕洋榎――真瀬由子さんと末原恭子さん、か。次鋒と大将のお二人だな」
京太郎「レギュラーが三人抜けた姫松、今年はどんなメンバーなんだろ……先鋒が大事って聞くけど、そこはいまの二年なのか、一年から誰か抜擢されるのか……」
京太郎「明日から……いや、今日から俺は姫松の部員だ。その人たちのために、できる限りのことをしないと」
京太郎「新生姫松の育成には、引退した三年も積極的に絡んでくれてます、か――これは監督代行の、赤阪郁乃さん」
京太郎「……美人で優しそうだな。なんか隣の末原さんが、くっつかれてすげー嫌そうだけど……」
京太郎「咲が一番手強かったって言ってた相手だ、末原さん……あの豊音先輩や霞先輩よりも手強いなら、相当だろうな……」
京太郎「どうしてこの人はプロに行かないんだろう……指名がないなんてあり得ないだろうし、志望しなかったってことだろうけど」
京太郎「なにか理由があるのかな……解決しようなんて大それたことは考えないけど、部活にも顔をだされるなら、少しでも力になれればいいんだが」
京太郎「二回戦は、まこさんの圧勝だったからな……真瀬さんの情報が少ない」
京太郎「けど、準決勝では臨海の留学生を相手に引いてなかった……この人もやっぱり強い」
京太郎「主将さんにエースの役割がある以上、指導してくれるとしたら――真瀬さん、末原さん、赤阪監督……もしかしたら、絹恵さんも――」
京太郎「……いいおもちだなぁ」
京太郎「はっっ! 俺は、なんて失礼なことをっ……そういえば、上重さんもすごいんだよな……」ゴクリ
京太郎「だぁぁぁぁっっ! やめやめっ……だめだな、部屋にいると変なことを考えちまう」
京太郎「せっかくだし、近くの店でもチェックしとくか。買いだしでお世話にもなるし、挨拶も兼ねて、と」
京太郎「結構品揃えはいいな……店の人も愛想いいし、小さい店だけど贔屓にしよう」
京太郎「さーて、暗くなってきたし、急いで帰らないとな。明日の準備もあ――」
「……っと……にを……やめっ……」
「まぁまぁお嬢ちゃん、そう言わんと」
「そうそう、ちょっと一緒に呑もうやってだけやん。ほれほれ、おっちゃんらとええとこ行こうや」
「なぁスケベしようや……」
「そらあかん、お縄やで」
「じょじょ、冗談やから(震え声)」
京太郎「――コントかと思ったけど、女の子の声は嫌がってんだよなぁ……仕方ない、行くか」
京太郎「はいそこまでー。そういうのよくないっすよ?」
「!? な、なんやねん、お前!」
「ひぃっ、金髪やで、不良や! おーこわ」
「ちゃちゃ、ちゃうねん! あんまりかわええ子がおったから、飲み直しに誘うとおもただけで――」
京太郎「いや、不良じゃないんで……これ、地毛ですから」
「なんやと!? 外人かいっ……だだ、誰か英語話せるか!?」
「えー……じ、じすいずあぺん、はうわーゆー」
京太郎「Fine,thank you.And you?」
「ああああ、あかん、通用せーへん!」
「すす、すまんかったな、姉ちゃん、ほな!」
京太郎「……おかしい、英語で聞かれたから英語で返しただけなのに……あ、大丈夫でしたか?」
京太郎「お怪我はありませんか?」
恭子「……ええ、まぁ……すんません、助けてもろて」
京太郎「とんでもありません。それでは、俺はこれで――」
恭子「そうですね、ありがとうございました。ほんならこれで……」
恭子「……ってなんでですの! 危ないとこ助けてもらってそれは、さすがに悪いでしょう」
京太郎「いえいえ、困ったときはお互い様です。では……」
恭子「……あれ、ちょっと待ち……そちらの顔、見覚えありますね」
京太郎「まぁよくある顔ですからね」
恭子「そんなはずないですやろ、えらい整った顔立ちしてますし……んー、あれ、ひょっとして……」
京太郎「……実を言うと、俺もあなたの顔には見覚えがあります。ナンパとかではなく」
恭子「こっちもそんな気ぃはないですけど……はっきり言わせてもろてええですか?」
京太郎「……どうぞ」
恭子「そこ女に任せるんですか、まぁええけども……須賀京太郎くん、ですよね」
京太郎「――お察しの通りです。はじめまして、須賀京太郎と申します。清澄から――あと、白糸台から参りました。明日からよろしくお願いします、末原恭子さん」
恭子「やっぱりなぁ……って、うちの名前知ってるん?」
京太郎「お世話になる学校の、麻雀部のことを調べるのは当然ですから。それに、清澄と試合もありましたからね」
恭子「せやったな……まぁ、知ってはるなら構わんかもですが、一応ごあいさつを」
恭子「姫松高校三年、現在は引退で受験勉強中の――麻雀部OG、末原恭子です」
恭子「……あー、その……改めて、ほんまおおきにです。助かりました」ペッコリン
京太郎「いえいえ、本当に無事でよかったです。では、俺はこれで――」
恭子「あ、ちょっと待ってください」
京太郎「はい――あ、いや、その前にいいですか?」
恭子「なんでしょう」
京太郎「えーっとですね、そのほうが呼びやすいならいいんですけど……年上の方に敬語で話されるのは、得意じゃなくて……」
恭子「……せやけど、恩人ですからね……」
京太郎「だからって、学校でもその状態だと、周りの方が変な風に見てくると思うんですよね。今後の関係のためにも、ここはぜひ――ビシッとお願いします!」
恭子「……まぁ、京太郎くんがそういうなら……それやったら、普通に話させてもらうわ」
京太郎「ありがとうございます。それじゃ、これで――」
恭子「いやいや、だから待ちて言うたやろ。あんたなぁ、か弱い乙女が夜道に一人なんを、放って帰る気ぃかいな」
京太郎「――滅相もございません。でも、さっき男に嫌な思いをさせられて、初対面の男に送られるのも気分がよくないかと――」
恭子「はぁ……執事やなんやて言うても、まだまだお子様ですね……」
京太郎「申し訳ありません」
恭子「あのなぁ、見知らぬ酔っ払いのオッサンと、日誌で頑張ってるとこ何度も見てる、年下の男子。それもちょっとかっこ――」
京太郎「…………かっこ?」
恭子「……かっこ、つけの……子供とやったら、また違うやろ。受ける感じが」
恭子(あぶなかったぁぁぁぁぁっっ! なにを言おうとしたんや、私は!)
京太郎(かっこいいかと思ったらかっこつけだった……めげるわ……)
恭子「それに、明日からは同じ学校に通うんや。家に来ることかてあるかもしれへんもん……ええやん、送ってや」
京太郎「……わかりました。そう言っていただけるなら、喜んで送らせていただきます……では行きましょう、末原先輩」
恭子「恭子でええよ。こっちは京太郎くんて呼んでしもたし、さっき」
京太郎「はい、恭子先輩」
恭子「う、うん……よし、ほな帰ろか。うちはこっちやで」/////
京太郎「あ、危ないですよ。こけたらどうするんですか」
恭子「子供か! あほ、こんな道、歩き慣れて――わっ」コケッ
京太郎「ちょちょっ……なにやってんですか」ガシッ
恭子「ご、ごめん、平気やった?」
京太郎「おっちょこちょいですね、恭子先輩は」
恭子「はぁっ? せ、先輩になに言うんや、あんたは――」
京太郎「でも可愛いです」
恭子「」
京太郎「行きましょうか。あ、手繋ぎます?」
恭子「け、結構や! ほな、いこか……」カァァッ
京太郎「思ってたより優しくて気さくで、あと可愛い先輩だったな……さて――」
京太郎「日誌は明日からだ……とりあえず明日に備えて、ゆっくり寝よう」
~姫松初日編、末ちゃんちょろくてごめんなさいの巻、終了。でもまだデレないから安心して
~おまけ
~末原宅前
京太郎「それじゃ、俺はこれで失礼します」
恭子「うん、おおきにな。家までの道、わかるか?」
京太郎「ええ、大丈夫です。では明日また、学校で」
恭子「そや――連絡先交換しとこうや。道迷ったら、連絡して、な?」
京太郎「そうですね。では……うん、できました」
恭子「……こっちもよし。じゃあ、今度こそまた明日」
京太郎「はい、お疲れさまでした」
恭子「……えへへ、連絡先交換してもうた……」
【1月第一週月曜】
京太郎「……まぁ、なんとなくわかってたよ。有名どころの一年がいないからな、姫松は」
モブ子「おー、照れんな照れんなー。朝から私に会えたのが、そんなに嬉しいからってよー?」
京太郎「ありがたいんだがうざい」
モブ田「また共学でよかったぜ、一ヶ月よろしくなー」
京太郎「お前もかよ……ま、いいか。数少ない一年の顔見知りだ、仲良くやろうぜ」
モブ子「……悪いけど私ら」
モブ田「一年に友達多いからな。ぼっちのお前とは違うんだ、すまん」
京太郎「」
「おっはよー、モブ子ー」
「モブ田ー、借りてた円盤、返すわ。サンキュな」
「俺も見たンゴwwwwwww抜きどころ多すぎンゴwwwwwwwww」
「おいおい、学校に持ってくんなよ……見つかったらマジでやべーな」
ワイワイ キャーキャー
京太郎「…………めげるわ」
~クラス朝礼
「――そんなわけで、各校を渡り歩く転校生を紹介する。長野から――ここの前は東京にいた、須賀京太郎くんだ。仲良くするように」
京太郎「鹿児島永水、岩手宮守、奈良阿知賀、東京白糸台でお世話になりました、長野清澄高校の、須賀京太郎と申します」
京太郎「麻雀部の方も、そうでない方も、短い間ではありますが、どうぞよろしくお願いします」
京太郎「ご存知の方もおられるかと思いますが、執事の修行中でもあります。ご用の際は、遠慮なくお申し付けください」
「普通のあいさつやなー」
「なんやつまらん」
「ドッと沸かせてみーや」
京太郎「なんという無茶振り……じゃあ、そうですね。こちらのリンゴをですね――」
「!? どこからリンゴが……」
「あかん、早くて見えんかったで」
「なんやて工藤!」
「俺は工藤ちゃうで、服部」
京太郎「――握りつぶします」グシャッ
「!?」
「」
「なんでやねん」
「マジでいった!?」
京太郎「いかがでしょうか」ニコニコ
「よ、よろしくな……」
「握力やばいで、あいつ……」
「お、怒らせんようにせな(震え声」
「ワイルドやわぁ……」
「かっこいい……」
「危ない雰囲気やけど、そこがまたええなぁ」
「やばいけど……ま、まぁええヤツそうやん」
「せやな、なかようせんと」
「あ、俺は麻雀部やからな。よろしゅう頼むで」
京太郎「ほっ……リンゴ潰し、受けてよかったぜ」
『そういうんとちゃうから、あれはむしろ引いた』
京太郎「……はい」
~部活
郁乃「は~い、ほんなら注目やで~。みんなも知ってるかと思うけどぉ~、今日から麻雀部にマネージャーが入ってくれるで~」
恭子「マネージャーやないですよ、代行。試合にも出られます、れっきとした選手です」
郁乃「扱いはなぁ? けど所属的には女子麻雀部やし、マネージャーなんよ~」
恭子「……わかってますけど、しょっぱなからマネージャー扱いしたら、なんや気の毒いうか……」
京太郎「平気ですよ、恭子先輩。俺はそもそも、そのつもりで来てますから」
郁乃「あらよかったわ~。京太郎くんは話のわかる、ええ子やね~……まぁ、ところで――」
郁乃「末ちゃんとは知り合いなん? いきなり名前で呼んで、えらい仲良しさんやけど~?」
京太郎「あっ……」
恭子「」
京太郎「……昨夜偶然、お会いしました。困ってるところを案内していただき、その際にご挨拶を」
恭子「はっ……そ、そうです! ああ、いや、そうやないです! むしろ助けてもろたんは私のほうで――」
京太郎「いいですから、ここは俺のほうが助けてもらったってことで――」
恭子「そ、そういうわけにもいかへんやろ。実際あれは私、危ないとこやったし」
郁乃「あらあら、ほんまに仲良しさんで~。まぁかめへんよぉ、なんでも……ほな、そろそろ自己紹介頼もかな~」
京太郎「あっ……こほん、失礼しました」
京太郎「ご紹介いただきました通り、女子麻雀部のマネージャーとしてお世話になります、須賀京太郎と申します」
京太郎「練習のほうも参加させていただける、とのことですが――本来の役目もきちんと果たしますので、遠慮なく使ってください」
京太郎「こちらも気の回る範囲は、雑用周りを担当させていただきますので」
京太郎「どうぞ――よろしくお願いします」
漫「……へぇ……思てたんより、かなり好青年な印象ですね」
京太郎「ありがとうございます、上重先輩」
漫「!! えっ、もう名前覚えてくれてるん?」
京太郎「ええ、こちらの紹介パンフレット……Vやねん姫松特集で、下調べしておきましたから」
漫「!? そっ、それっ……どういうことですか代行! あれ発禁にしたはずですやん!」
郁乃「え~? せやったかなぁ……まぁええやん、主将特集で可愛い写ってるし~」
京太郎「そうですよね。ちょっと緊張してる感じも残ってて、でも目にはなんていうか炎があって……すごくかっこよくて、可愛いです」
漫「なっっ……か、からかわんといてっ!」プイッ
京太郎「う……すいません、調子に乗りました……」シュン
恭子「漫ちゃん、いじめたあかんで。相手は一年生やねんから」
漫「えぇっ!? ちゃ、ちゃいますって……ごめんな、京太郎くん」
京太郎「えっ……許していただけるですか?」
漫「いや、許すもなんも……私が、変な態度取ってしもて……」
京太郎「とんでもないです! 先輩に可愛いなんて、失礼なこと言いましたから……申し訳ありませんでした、上重先輩」
漫「だから気にせんでええねんて……あと、うちも名前でええから、な? これで仲直りにしよや」
京太郎「あ……ありがとうございます、漫先輩!」
漫「ん……よ、よろしゅうな」///
絹恵「なに赤ぅなってんの、漫ちゃん」
漫「いやいやいや、赤ないから! っていうか、絹恵ちゃんこそ赤いで」
絹恵「うそやん!?」
京太郎「いえ、本当にちょっと……熱とかありませんか?」スッ
絹恵「ひぅっ!」
京太郎「……平熱、より少し高いくらいですかね。寒気とか頭痛とかは?」
絹恵「やっ、ひゃっ……な、ないて、そんなん……」
京太郎「ならいいですけど……あ、愛宕先輩――えっと、お姉さんもいらっしゃいますし、名前でお呼びしても大丈夫でしょうか」
絹恵「あ、ああ、そやな……うん、ええよ。私も京太郎くんて呼ぶから。よろしくな」
京太郎「はい、よろしくお願いします。絹恵先輩のことは、よく覚えてますよ」
絹恵「えっ、そ、そうなん?////」カァァッ
京太郎「やー、だっていきなり、アレでしたから。和のエトペン、思いっきり蹴り上げて――」
絹恵「」
洋榎「だーっはははははっっ! 絹はサッカー部やったからなー、あれはほんま、大受けやったで」クククッ
由子「ヒロー、笑っちゃ可哀想なのよー」
京太郎「だ、大丈夫ですよ、インパクトが強かったってだけですから……あのあと、和も謝られて恐縮してましたし、エトペンも無事だったんですから」
絹恵「はぁぁ……ほんま、えらい恥ずかしいとこを……あの、原村さんにもまた、謝っといてください」
京太郎「本人はもう気にしてないですし、大丈夫ですよ。っと……すいません、洋榎せんぱ――いえ、愛宕プロと、そちらは真瀬先輩ですね」
洋榎「おー、なかなかわかっとんなー、自分。せやで……天王寺の超新星、南大阪期待のルーキー、愛宕洋榎とは……うちのことやで!!」ズバーン
京太郎「うるさいそこ!」
洋榎「」
京太郎「あ、すいません。胡桃先輩から、まずはそう言っておけとアドバイスをいただきまして……部長からも、ぜひやってあげてと――」
洋榎「あんのドチビぃぃ……しかも久もかっ! 揃いもそろて、うちのことコケにしよってからに……」
京太郎「洋榎ならノリがいいから、受けてくれるわよー、なんて言われたんですが……あー、やっぱり失礼でしたよね、すみません」
洋榎「えっ……あ、アホなこと言いなや! 失礼なわけあるかいな、こんな……こないなもん、大阪じゃあいさつみたいなもんやろ!」
洋榎「いやー、なかなかええタイミングで入れてくるやん。ええでー、そのキレ……なかなかの掘り出しモンやなぁ、京太郎!」
京太郎「あざっす! あ、いえ、ありがとうございます!」
洋榎「そんなかったい言い方いらんて。うちのことも洋榎でええし、プロもつけんで構わんからなぁ」バシバシ
京太郎「はい、よろしくお願いします、洋榎先輩!」
由子「はぁー……ヒロはその調子のよさが、弱点にならなきゃいいのよー」
京太郎「あははは……これまでに、こういう先輩はいらっしゃいませんでしたから。新鮮ですね、とても」
由子「京太郎くんは大物ねー。あ、私のことも由子でいいのよー」
京太郎「了解しました。ところで、その……」
由子「なんやろかー?」
京太郎「いえ……制服のリボン、なんで金色なんですか……しかも折り紙で……」
由子「あー、これねー……前に失くしちゃったときに、折り紙で作ってもらったんやけど……」
由子「それ以来ちょっと気に入っちゃって、こうしてつけてるのよー」
京太郎「可愛いとは思いますけど……怒られないんですか?」
由子「もう卒業間近やしねぇ……そもそも、先生がつけてくれたものやから、注意はされにくいかなー」
郁乃「ちなみに作ったんはうちやで~」ハーイ
京太郎「赤阪監督……代行、とおつけしたほうがよろしいでしょうか」
郁乃「うーん、そやね~……善野監督も退院されて、しばらく療養したら復帰されるいう話もあるしぃ、代行でかめへんよ~」
郁乃「一応、ちゃーんとした監督さんなろ思て、がんばっとるんやけど~」
京太郎「そうなんですか……では、赤阪代行――」
郁乃「ん~、みんな名前やのに、うちだけ名字なん? 寂しいな~」
京太郎「……郁乃、監督代行……」
郁乃「もっとフレンドリーに、いくのんでもええで~」
恭子「代行、年齢考えてください。京太郎くんも、あんまりあの人を信用したらあかんで。変な格好させられたり、大変やからな」ウンウン
京太郎「はぁ……あ、もしかしてそれって、準決勝のあれ――リボンと、スパッツじゃなくスカートだったときのことですか?」
恭子「!? ちょ、なに言うてんのっ……お、思いだせんといて……」カァァッ
京太郎「あー、すいません……二回戦のときと違う姿で、ちょっと画面越しに見惚れてたんです。それで、よく覚えてたんですが……」
京太郎「ご本人的には不本意だったんですね、以後気をつけます」
恭子「――っっ! あ、そ……そう、なん? うん、まぁ……そういうことやったら、別に……」ゴニョゴニョ
洋榎「なんや恭子、やっぱり京太郎にお熱なんか~?」ニヤニヤ
恭子「はぁっ!? な、なに言うてるんですかっ、そんなんちゃいます!」
絹恵「真っ赤になってるやないですか、末原先輩……」
漫「珍しいですね。真瀬先輩、写真撮っといたほうがよくないですか」
郁乃「あ、カメラやったら持ってるで~」
恭子「っっっ……やっっめぇぇぇ――いっっっ! ええからっ、そろそろ練習に入りや!」
漫「は、はい!」ビクゥッ
最終更新:2026年01月17日 00:04