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京太郎「(無視だ、無視……) それじゃ、連荘です」

竜華「そういえば言うてたわ、白糸台の子らが。京太郎くんはドSやって」

怜「玄ちゃんらも言うてたなぁ」

セーラ「な、な、なんやそれっ……お前らなんの話しとんねん!」カァァッ

京太郎(無視だっ、集中しろぉぉぉっ……あと誰だよっ、白糸台でそんなこと言ってたのはぁっ!)

照「へぷちんっ」

菫「クシュンッ」

淡「へぶしっっ」

セーラ25000→24000→23700→23200→17100
竜華25000→24000→23500→35500→29400
怜25000→24000→23700→23200→17100
京太郎25000→28000→29100→17100→18600→36900


京太郎「……えーっと、ツモです」

竜華「はい、500オールやな」

セーラ「刻むなぁ」

怜「500オールやから、600オールか」

京太郎「違いますよ! 満貫です! 4100オールで」

竜華「ウソんっ、追いつかれた!?」

セーラ「おー、やるやん」

怜「……あれ? 裏、めくらへんの?」

京太郎「ぁ――わ、忘れてました! ありがとうございます!」

京太郎「ただ、こういうのって乗ったことないんですよね……特に、淡とか玄先輩と打ってたときなんて」

竜華(そらあの二人はあかんやろ)

京太郎「――っっ! きたっっ、跳満です! これで逆転ですよね!」

セーラ「うぉっ、ここで引いてきよった……ま、跳ツモやったら許したるか」

怜「ほいほい、おめっとー……あら、これでうちと竜華は二連敗か」

竜華「うーん、勝てへんなぁ……そうそう負けるつもりもなかったんやけど」

京太郎「お疲れさまでした。どうですか、ちょっとは強くなってますかね」

セーラ「俺も結構負けてるしなぁ……昔がどうやったかは知らんけど、いまの京太郎は、うちのレギュラーと比べても遜色ないで」

竜華「むしろ上かもしれへんしな」

怜「男子でこれなら、かなり強い言うて問題ないと思うけど……ま、そのへんは監督に聞いてみたらええわ」

京太郎「っっ……ありがとうございます!」

京太郎「くぁ~~~~~~~~~~っ、つっかれたぁ!」

泉「お疲れさん。調子ええみたいやん、京太郎くん」

京太郎「おう、サンキュ」

浩子「くっふふふふふ……ええデータやでぇ、さっきの卓は……」ベロォッ

京太郎「…………さ、さーて部活も終わりだな、掃除して帰るか」

泉「あ、私も当番やな……そ、そうしよか」

浩子「はぁ~、たまらんなぁ、データファイルが充実していくぅ~♪」

竜華「後輩二人、ドン引きしてるで」

怜「ほかの同級生レギュラーもな」

セーラ「フナQはあれさえなければ、監督にも似てるし、美人で通せるのになぁ」

京太郎「まあ、あれがあっても美人ですけどね (おもちはないけど)」

竜華「ほーん、ああいうんが好みか……」

京太郎「い、一般論ですよ」

泉「そんなん言うてんの聞こえたら、怒られますよ」

セーラ「平気やろ。データまとめに集中しとって、聞こえてへんわ」


浩子「……………………///////」カァァッ

雅枝「よう聞こえるええ耳やなぁ、浩子」

浩子「なっ、なんも聞いてませんから!」

雅枝「……美人やて、よかったなぁ、浩子」ボソッ

浩子「~~~~~~っっっ/// で、データまとめてきますんでっ、お疲れさんでした!」ダダッ

雅枝「――ま、うちの娘らには敵わんけどなぁ」

京太郎「親バカですね」

雅枝「ほう。なら京太郎は、どっちが美人や思た?」

京太郎「…………の、ノーコメントで」

~休日は登下校判定なしよ?


京太郎「――実際、浩子先輩も洋榎先輩も絹恵さんも、めちゃくちゃ美人なんだよなぁ……」

京太郎「ただ、絹恵さんはかわいいって感じが強いし、洋榎先輩は美人だけど時々かわいい……浩子先輩は美人だけど、時々変だ」

京太郎「監督も美人だし、あのおもちだし……小父さん、すげー羨ましい……」

愛宕父「せやろ。けどやらんで、あれは俺のおもちや。娘らは、まぁどうにでもしたらええわ」

京太郎「それが父親のセリフですか」

愛宕父「ただし、どっちか一人やで。ちゃんと決めたら、俺も反対はせんさかい」

京太郎「いや、どちらかを選ぶとか、まだそういうことでも……」

愛宕父「なんやてぇっ!? 俺とこの娘らのどこが不満や!」

京太郎「俺よりもっ、お二方のほうが俺じゃ不満でしょうが!」

愛宕父「ふむ、そやなぁ……いくら須賀の息子とはいえ、キヌもヒロもかわいいからなぁ」

京太郎(愛宕夫妻は親バカ、と……)

京太郎「ところで、お仕事中になんでこんなところに?」

愛宕父「いやいや、外回り中でな。見かけてしもたから、こら声かけなあかんな――と思て。ミナミとはまたちゃうし、困っとることとかないか?」

京太郎「そんな気を遣ってくださらなくても……ありがとうございます、けど大丈夫ですよ」

愛宕父「そうか、ほなええわ。ま、なんかあったら言うてき、ほなな」

京太郎「はい、失礼します」


京太郎「うちの親父と友達にしては、いい人だよなぁ……」シミジミ

京太郎「さて、今日の午後は久しぶりの自由時間だ。なにをしようか――」

京太郎「――さて、久々に買い物だな。いや、バレンタインの材料買いには来たけど」

京太郎「そういえばあの店、潰れたっていうか移転したっぽいな」

京太郎「なら安心して、別の店を探すとしよう……」


京太郎「ほう、和菓子の店か……いや、呉服屋?」

「どっちもやってますよー」

京太郎「おみやげの和菓子とかってあります?」

「ようけ取り揃えてますよー。どうぞ、中へお入りくださいなー」

京太郎「それじゃ、お邪魔します」

「お客さんやろ? ゆっくりしていってねー。はい、お茶やよー」

京太郎「ありがとうございます」

「よかったら、和菓子の喫茶もやってるからねぇ。あっちのカウンターのとこが、そうやから」

京太郎「雰囲気のいいお店ですね」

「おおきに、これからもごひいきにー」

京太郎「さて――とりあえず、一通り見て回ってもいいですか?」

「どうぞ、お気軽に。なんや困ったら、遠慮のう聞いてちょうだい」

京太郎「ご丁寧に、ありがとうございます」


京太郎「なるほど、和菓子に和風小物、あとは着物や巾着か……」

京太郎「まずは、誰に買うか決めないとなぁ」

京太郎「――あ、そうだ」

「お、なんかお気に召しましたぁ~?」

京太郎「は、はい、まあ……すみません、決まったらお願いします」

「おおきにです~」

京太郎(危ない、声に出てた……前に、パンツ見ようとしたお詫びしねーとなぁ、憧に)

京太郎(――いや、パンツ見ようとしたんじゃなくて、胴上げしようとしただけなんだけどな、うん)

京太郎(そもそも、あいつのパンツなんか見たところで、なんも嬉しく――)

京太郎(すみません、嘘つきました。見られたらめちゃくちゃ嬉しいです)

京太郎「……ふぅ」

京太郎「さて、どれにしようか」

京太郎「すみませーん、この……詰め合わせの、春の小箱っていうの、お願いします」

「おおきにです~。梅には少々早いですけど、大丈夫でしょうか~?」

京太郎「んーと、たぶん大丈夫です。そこまで気にするやつでもないので」

「はいはい、お包みしときます~。あ、配達でしたら、請け負いますけども~」

京太郎「それじゃ、ついでなんでお願いします」

「こちらにご記入を~」


京太郎「無駄に張り込んだような……まあ、憧にはクリスマスも安かったからな、これくらいでいいだろう」

京太郎「あとは、そのことでフォローしてくれた玄先輩にも、なにか送っておこう」

京太郎「ふーむ、そうだな……せっかくだし、松実館全体で食べられるのがいいだろう」

京太郎「……へえ、この丸房露はうまいな。上品な味だし、数も揃ってる……これなら、板長たちの口にも合いそうだ」

京太郎「とはいえ、いつも高鴨堂のを食べてる人たちだからなぁ……いつか、感想が聞けそうなら聞いておこう」

京太郎「すいません、これも包んでくださーい。あと、配送の手配も」

「はいはい、おおきにです~」

京太郎「よしよし、わりといい買い物ができてる……ここはいいお店だな」

「そらどうも~。よかったら今後とも、ごひいきに~」

京太郎「はい、もちろんです」

京太郎「あとはどうする?」

京太郎「うん、誕生日も近いし、咏さんになにか買おう……せっかくの和物店だしな」

京太郎「着物だけど、扇子をもらったからって扇子を送るのもどうか……」

京太郎「綺麗な髪だから、櫛とか髪飾りでもいいだろうけど、あの人も人気者だし……目立つもので、妙な噂が立ったら申し訳ないな」

京太郎「別の物を探してみるか」

京太郎「――あまり大きい物は目立つな、それに……あの人、あんまり荷物を持ち運ぶイメージがない……」

京太郎「こっちのバッグのほうが合いそうだけど、小さい巾着のほうがいいか」

京太郎「すみません、ちょっといいですか?」

「はいはい、なんでもどうぞ~」

京太郎「えーっと……こういう柄の着物とか、こっちのに合いそうな巾着なんですけど――」

「はぁ、ええセンスの着物でいらっしゃいますねぇ。それでしたら、こっちのか……お若い方なら、こちらとかもええかと」

京太郎「ふんふむ……それじゃ、これお願いできますか?」

「毎度、おおきにです~」

京太郎「……やっぱり、張り込んで帯留めを……いやぁ、それこそ本人のこだわりがあっただろうし……」

京太郎「なにより、財布の中身が……さて、残りは――」

京太郎「……そういえば、バレンタインには部長とか染谷先輩には会えなかったからなぁ」

京太郎「なにか送ったほうがいいと思うけど、直接ってのも急すぎるか……」

京太郎「和に言づけて、部活ででも配ってもらおう……毎度、迷惑かけて申し訳ないな」

京太郎「――へえ、こういう名前の和菓子もあるのか」

京太郎「すみません、この……大納言清澄(だいなごんせいちょう)っての、お願いします」

京太郎「それと、こっちの絵葉書もいただけますか」

「はい、毎度です~」

京太郎「――改めて手紙、というか葉書ってのも……文面に悩むな」

京太郎「バレンタインの――あとは、誕生日のお礼だな。いつもありがとう、愛してるぜ」

京太郎「――待て、冷静になれ。愛してるはだめだろ、普通に引かれそうだ」

京太郎「いつもありがとう……先輩たちに、謝っといてくれな」

京太郎「よし、こんなもんだろ」

「それも一緒に入れてしもて、大丈夫ですか~?」

京太郎「はい、お願いします」

京太郎「うん、これくらいでいいだろう。さて、帰るか」

京太郎「ありがとうございました、また機会があれば寄らせていただきます」

「おおきに、またよろしゅうに~」


~2月連休初日、夜

京太郎「そのあとは、まあ買いだしとか、色々と――」

京太郎「それに、明日の買い物とかもして、結構充実した……」

京太郎「……明日は、竜華先輩とデートだっ……ひゃっふぉおおおおおおおおおお!」

京太郎「やべえ、テンション上がってきたぁ! 誰かに連絡とかしてみるかっ、どうだ!」

京太郎「よし、せっかくだし誰かに電話してみよう」

京太郎「……しかし、ずいぶんと増えたなぁ、連絡先」

京太郎「さて――玄先輩に電話、と……」


京太郎「もしもし、こんばんは。京太郎ですけど、いま大丈夫ですか?」

玄『きょ、京太郎くん!? はいっ、へへ、平気だよ!』

京太郎「まずは……あ、バレンタインのときは、どうも。チョコレート、おいしかったですよ」

玄『いえいえ、こちらこそ!』

京太郎「それにあのあと、送ってもくださいましたし……そのお礼をお送りしましたので、そのうち届くかと思います」

玄『ええ! そんなわざわざ……気を遣わなくっていいんだよ?』

京太郎「まあ、松実館の方たちにはお会いできませんでしたし、チョコも渡してませんから。その代わりと思ってください」

玄『そっかぁ……うん、ありがとう』

京太郎「いえ、玄先輩には……それに松実館にも、ずいぶんとお世話になりましたから」

京太郎「受けたご恩は、忘れずお返ししますよ。なにかあれば、遠慮なくおっしゃってください。なんでもしますよ……」

京太郎「……できることであれb――」

玄『ん? いま、なんでもするって言ったよね!?』

京太郎「え? まあ、言いましたけど――」

京太郎「――エッチなことはダメですよ?」

玄『ふぇぇぇっっ!? え、ええええ、ええっ……エッチ、な……』カァァァッッ

京太郎「……あの、冗談――」

玄『そそ、それは、その……まま、まだ早いっていうか……う、ううん! いやなわけじゃないんだよっ?』

玄『でも、まだよくお互いを知らないし、まずはどこかデートして、それからお泊りして、できれば綺麗なホテルとか旅館で――』

玄『りょ、旅館っていっても松実館はダメだからね!? 知ってる人ばっかりだし、それに……お、お父さんと、お姉ちゃんがいるしぃ……』カァァッ

京太郎「」

玄『あ、で、でもそうなったら、すぐに報告できるからいいのかぁ……えへへへ、困ったなぁ、どうしよう……』

京太郎(あかん)

玄『ね、京太郎くん! 子供は何人くらい――』

京太郎「――玄先輩っっ!」

玄『はひぃっ!?』

京太郎「落ち着いてください……いや、冗談言った俺が悪いですけどね?」

京太郎「エッチなこと以外で、なにかお願いがあればってことです。もちろん、できる範囲で」

玄『は、はい……』

京太郎「よろしい……で、なにかあるんですか?」

玄『えっとねぇ……あ、でもできる範囲か……だったら、無理だよねぇ』

京太郎「――というと?」

玄『明日からね、私たち合宿なんだぁ……それにね、ついてきてもらえたらなって、思ったんだけど』エヘヘ

京太郎「ああ……そうでしたか。でも、すみません。さすがにそれは……」

玄『だよねっ。大丈夫だよ、仕方ないもん』

京太郎「合宿は、どちらに?」

玄『今回はねぇ、愛知県だよ。知り合いの紹介で、個人戦に出場しない人たちと、打つんだ~』

京太郎「そっか、今大会の阿知賀は、全員個人戦ですもんね」

玄『そう。私と穏乃ちゃん、あと三箇牧の荒川憩さんは、もう決まってるからね~』

京太郎「あとは憧と灼先輩ですか……」

京太郎「俺も負けないって、伝えておいてください」

玄『はーい、言っておくね~』

京太郎「けど――愛知県にも知り合いがいるんですね。晴絵先生の知り合いですか?」

玄『違うよ~。夏の大会で、私たち団体戦しか出てなかったから……そこで憩さんに、個人戦だけか、出場してない子を紹介してもらったんだ~』

玄『準決勝前の特訓でね、とってもお世話になったんだよ』

京太郎「憩さんも、ずいぶん顔が広いですね」

玄『……憩さんって、親しげだけど……知り合いなの?』

京太郎「ええ、前に大阪で会いまして……」

玄『あ、そうか。北大阪だもんね。うーん、それなら普通……なのかな?』

京太郎「?」

玄『あ、ごめんね。なんでもないんだぁ……それで、愛知県では東海チャンピオンの対木もこちゃんが、紹介してくれるの』

京太郎「へー、チャンピオンか……やっぱすごい、雰囲気ある感じですか。照さんみたいな」

玄『宮永さんみたいな、クールでかっこよくて、ちょっと怖そうな人とはタイプが違うかなぁ』

京太郎(クールでかっこよくて、怖そう……誰のことだろう?)

玄『もこちゃんはねぇ、ちっちゃくてフワフワしてて、動物さんみたいにかわいいんだよ~』

玄『おもちは全然だけどね、そこはまだ一年だから、これから期待かなぁ~って』

京太郎「そういうこと、面と向かって言っちゃだめですよ?」

玄『もうっ、失礼だよ! そんなこと言いません!』

京太郎(言いそうだから注意してるんですが……)

京太郎「――っていうか、一年で東海チャンピオンなんですか……」 

 ※そういえば、どういう流れで東海チャンプなのかな。とりあえず、一年の夏までになにか、小規模大会があったということで。

玄『そうだよ。夏には出場してなかったけど、秋大会では優勝したみたい。それ以外にも、静岡の百鬼さんも、部員と一緒に来るんだって~』

京太郎「知らない人ばっかりだ……さすが、阿知賀は全国経験者だけあって、色んな知り合いがいますよね」

玄『えへへ、まぁね! あとは霜崎さんとか、九州の藤原さんとかも来てくださったら、嬉しかったんだけどね~。そのお二人は、来年からプロだから』

京太郎「ああ、利仙さんはそうですよね。霜崎さんは直接は知りませんが、ドラフトで名前だけ拝見しました」

玄『――藤原利仙さんは、知ってるんだ』

京太郎「永水にいたときに、お世話になったんです」

玄『むぅ~、京太郎くんこそ、全国の女の子とどんどん親しくなっていくよね!』

京太郎「まあ……そういう仕事というか、企画ですからね」

玄『赤山高校は派遣先じゃないでしょ!』プンスコ

京太郎「ええ、そうですけど……近隣校とは仲良くしないといけませんし、お会いすることもありますよ」

京太郎(利仙さんは、そういう出会いじゃなかったけど……)

玄『まあ、たしかに……晩成の人たちもよく知ってるみたいだもんね』

京太郎「できたら、もっと色んな人と打ちたいくらいですよ。だから愛知遠征も、羨ましいですね」

玄『もう! そんなこと言って、もこちゃんに会いたいだけでしょ?』

京太郎「いや、そんなこともなくはないですけど……」

玄『そう、ならいいけど……』

京太郎(あ、部分肯定したの気づいてない)

京太郎「とにかく、いまの目標は全国です――女の子がどうのっていうのは、その次に落ち着いて考えることですよ」

玄『そっか……うん、そうだよね! 私も、団体がない以上は個人で優勝しないとっ』ゴッ

京太郎「その意気です、応援してますよ……まあ、ライバルは憩さんとか咲ですけど」

玄『うぅ、み、宮永さんだぁ……』ガクガクガク

京太郎「大丈夫です! 咲は照さんと違ってポンコ――いや、どっちも同じか……けど、照さんのほうがまだしっかりしてるかな……」ブツブツ

玄『やっぱり同じタイプなのぉっ!?』

京太郎「いえ、大丈夫ですって! あいつは普段は、物腰柔らかいですし……まあ、卓上では別人ですけど」

玄『』

京太郎「だ、大丈夫ですよ?」

玄『う、うぅ……お……お姉ぢゃあぁぁ~~~~~~~んっっっ!』ブワァッ

『わっ、どうしたの玄ちゃん! 誰と電話?』
『く、玄、どうしたんだい。電話の相手は誰だ――おや?』
『……京太郎くん?』

京太郎(あかん)

宥『――玄ちゃんに、なに言ったのかなぁ?』ニッコリ

京太郎「イエソノ」

??『こ、これは……娘を泣かせた責任を取らせるべきか……?』

宥『お父さんは黙っててね?』ピシャッ

松実父『』

京太郎「あの……えっと、全国に向けての激励を……優勝狙うなら、咲に勝たないとですね、とか……」

宥『そうなの、玄ちゃん?』

宥『……そ、そっかぁ、えへへ……ごめんね、京太郎くん。うん、ありがとう……玄ちゃんのことは、私が宥めておくからね』

京太郎「わかっていただけてよかったです……あ、合宿頑張ってくださいって、お伝えください」

宥『うん、わかった……あ、玄ちゃんが変わるんだって』

玄『……ご、ごめんね、急に泣いちゃって……ありがとう、電話くれて……頑張るね、私』

京太郎「はい、一緒に頑張りましょう――おやすみなさい、玄先輩」


~in 宮守

トシ「あら、こんなおばあちゃんにまで用意してくれなくてよかったのに」

京太郎「お世話になった先生にもお渡ししてますから……あ、でも糖分とか大丈夫ですかね」

トシ「ラーメンのスープを飲み干しても平気なくらい、身体は健康よ」

トシ「それに、甘い物は好きなのよ。これでも女の子だものね」

京太郎「では、どうぞ……こちらにいた際は、ご指導いただきありがとうございました」

トシ「いえいえ、どういたしまして」


トシ「……うん、おいしいわねぇ。これなら、あのコたちも喜ぶんじゃない?」

京太郎「先生もやっぱり、プロの方たちみたいに、おいしいもの食べ慣れてそうですね」

トシ「これでも、タイトルホルダーだったからねぇ。それなりに、美食は経験してるわよ」

トシ「その結果たどりついた味は、カップ麺だけどね」

京太郎「うーん、そういう人においしいと言ってもらえたのは、いいのか悪いのか……」

トシ「こらこら、失礼なことを言わないの。カップ麺が好きだからって、フレンチのコースがそれに劣るなんて思ってないのよ?」

京太郎「では、ありがとうございますと、素直に……そういえば先生、来年はどうされるんですか?」

トシ「そうねえ、豊音とシロが個人でいいところまで行ってくれたから、あちこちで監督やコーチ、スカウトのお招きはあるけれど――」

トシ「少し、ここで教鞭を取って、後輩の誰かが麻雀部を作らないか、待ってみるわ」

トシ「――なければ、夏までにはまた、別の土地に行くでしょうねぇ」

京太郎「そうですか……」

トシ「高校生を指導することになったら、また全国で会えるわよ、ほほほ」

京太郎「……そのときまで、また会えるかはわかりませんから。先にひと言だけ」

京太郎「――お世話になりました、トシ先生」

トシ「ええ……これからも、頑張りなさいな」


望「あら~」

望「……あ~こ~、なんか荷物届いてるわよ~」

憧「はぁーい、持ってきてー」

望「甘えないの。ちょっとは動いて、取りに来ないと太るわよ」

望「愛しの彼に、嫌われるわよ~」ニヤニヤ

憧「ばっっ……そういうこと言わないでって、言ってるでしょ、もーっ」

憧「……だいたいアイツは、その……こう、もうちょい肉がついてるほうが好きみたいだし……」

憧「おもに、おもちに、だけど……このぉぉっ! なんでっ、あとっ、ちょっとが育たないの! 淡に先越されるじゃない!」フニフニ

望「廊下でなにしてんの、欲求不満?」

憧「!? なっ、なんでこっち来てんのっ、荷物は!」

望「持って来いって言ったの、あんたでしょ。はい、ちっちゃいお荷物~」

憧「はいはい、どーも……ん?」

望「なに?」

憧「いや、剥きだしでお菓子の箱だけもらっちゃっても……包みとか、配送表とかは?」

望「お姉さんが回収しておきました」ピランッ

憧「……誰からよ。相手がわかんないと、気持ち悪いじゃない。食べ物は特に」

望「え~、いらないなら、お姉ちゃんがもらっちゃおっかな~」

憧「いいからそれっ、こっちに渡してってば!」

望「わおっ……も~、我が妹ながら凶暴ね」

憧「誰のせいよ! ほら、やっぱりっ……」

望「そだよ~、京太郎少年からの贈り物。いや~、なんか可愛らしい箱だし、そういやクリスマスにもお菓子もらってたわよね~」

憧「……ま、まあ、あれでしょ。お中元みたいなもんでしょ」

望「かもしれないし~、腹ペコの食いしん坊キャラと思われてるのかもしれないわね~」

憧「そ、そんなシズじゃあるまいし……」

望「ほんとにぃ?」

憧「うっ……」

望「確信できるぅ?」

憧「うぅぅ……」

望「京ちゃんの前でぇ、がっつくシーンとか見せちゃってなぁい?」

憧「うぅぅぅっっ……うるさぁぁぁ――いっっ! ばかっ、お姉ちゃんのばーかっ!」ダダダッ

望「あらら……しっかし、京太郎少年も少年よねぇ……」フゥ

望「今日のはともかく、クリスマスくらいさぁ……もーちょっと、色気あるもの贈ってあげなさいよねー」



玄の場合 in 松実館

玄「――あ、届いたよー。お姉ちゃん。前に言ってた、京太郎くんのお届けもの~」

宥「ほんと~? あ、お菓子だね、和菓子の老舗みたい~」

松実父「ほうほう、高鴨さんに悪いなぁ……おや、丸房露みたいだね、これは」

板長「どれどれ……なるほど、駄菓子のとはまるで違いますな、こいつぁ」

A「部屋の茶請けに置くなら、こういう菓子が受けそうですね」

B「懐かしい味がするってのは、旅先で味わうと、なおうまいっていいますからね」

玄「もうっ! 三人だけ先に食べちゃって!」

宥「あったかくない……」

板長「す、すいやせん、お嬢さん」

松実父「まあまあ、せっかくだしお茶を淹れよう。仲居さんたちも呼んで、向こうで食べようか」

宥「はぁ~い」パタパタ

玄「お姉さんたち、呼んでくるね」スッタンペッタン


松実父「……さて、二人とも行ったようだが……これは、どう思うかな」

板長「色気のねー贈りもんだ、こいつぁその気はなさそうですが」

A「いやいや、あの京坊がそこまで気ぃ回さんでしょう。送ってきただけで、上々じゃないですかね」

B「色気はねーけど、気は回りますからね……ただのみやげって可能性も、捨てきれねーですよ」

松実父「ふむ……いましばらく、様子を見るしかないか」

板長「なぁーに、お嬢さん方にはたまに電話してるみてーですし、あっちの合同練習に誘ったりしてるんでしょう。それなりに好意はあると見て間違いありゃあせんね」

A「まっ……どちらにも電話をしている、というのは問題ですが」

B「……もしや、京太郎のやつ……姉妹ど――」

松実父「――Bくん、今月の給料は2割カットだね」ニッコリ

B「」

A「お前が悪い、あきらめろ」

板長「いつまでたっても空気読めねえなぁ、おめーは」

B「めげるわ……」


玄「おいひいのれす」ポリポリ

宥「あったか~い」ボリボリ、ズズー



和の場合

和「――ということで、私たちが勝手なことをしたお詫びにと、京太郎くんからお二人におみやげです」

咲「京ちゃん、優しいなぁ♪」

優希「ま、私ならタコスを送ってくるとこだがな!」

久「……まあ、それはいいんだけど――」

まこ「なーんでわしらに直接送ってこんのか」

和「どちらかに送ることで、片方に届かない可能性を考慮したのではないでしょうか」

久「……いや、さすがに独り占めしないわよ? こんな上等そうなお菓子、しかも量多いし、わけないと食べきれないわよ」

まこ「ほうかのう、久は京太郎からもろたと、喜んで食いそうじゃあ」クック

久「……どーいう意味よ」

まこ「いやぁ、思うただけじゃけえ、気にせんでくれ」

久「言っときますけどねぇ! 私は別に、あの子のことは――」

和「お茶、淹れますね……」スタスタ


咲「大納言清澄だってー」

和「せいちょうですよ」

優希「ほう、なかなかいけるじぇ」

和「先輩方が手をつけるまで待ちなさい、ゆーき」


久「直接送れっていうまこのほうこそ――」

まこ「こまめに電話しとるんは久のほうで――」

久「あれは連盟からの通達を知らせないと――」


和「……やっぱり、先にいただいておきましょうか。お茶が冷めるのもよくないですから」

咲「そういえば、ほかにはなにもなかったの?」

和「――っ!! ほ、ほかにもっていうのはっ?」ドキドキ

咲「んー? わかんないけど、手紙とか?」

優希「タコスとか?」

和「て、手紙はメールがあるから、お、送らないんじゃないでしょうか! あと、タコスは傷みそうですし、ないと思います」

咲「そっかー。メールは気づかなかったり、通知が消えちゃったりするからなぁ……」

優希「咲ちゃん、変な操作するからだじぇ」

咲「ふ、普通に押してるだけだよっ」


和(……た、ただのお礼状でしたから……別に、見せなくてもいいですよね、ハガキ……そ、それに、私宛……でしたから……)////


~2月連休二日目

京太郎「……今日は午後から、竜華先輩とデ――」

京太郎「――いや、迂闊な期待はしないでおこう。とりあえずは、先輩の受験終了の慰労会だ、うん」

京太郎「とりあえず昼食の店、カフェに中華にイタリアン、フレンチランチにスペイン、メキシコ――」

京太郎「もちろん和食も、一通りは調べておいたし……あと、もし俺の料理を所望された場合の準備もしてある」

京太郎「肉も魚介も野菜も、だいたいはあるけど……あー、しまったな。こんなことなら、先輩の好みを聞いておけばよかった」

京太郎「まあ、今日のデ――慰労会で、そういうところも知っていこう」

京太郎「あとは、部活中に人に知られないようにしないと……さて、行くとするか」


~千里山女子、麻雀部部室

京太郎「…………あ」

竜華「あ…………」

怜「スガキョンおっはー……あら? どしたん竜華」

竜華「へっ? な、なんでもないてっ、お、おはよー、京太郎くん!」

京太郎「はい、おはようございます、竜華先輩。怜先輩」

怜「ああ、うん……んー?」

京太郎「なにか気になります?」

怜「…………一巡先っ……」ギュウン

怜「…………いや、特になんちゅうことはないか……」

京太郎「えっ、それそういう使い方もできるんですか」

怜「できへん」

竜華「脅かしなやっ」

怜「ほう、未来を見られると困ることでもあるんか?」

竜華「そ、そんなんないけどもっ」ドキドキ

京太郎(うーん、怪しさ大爆発ですね、この人)

怜「……まあけど、スガキョンはなんも知らんみたいやし、ええかな」

京太郎「なんのことですか?」

怜「いやぁ、気にせんでええて。ほな、今日も打つでー」

京太郎「そーですねー。そういえば、先輩は大学でも?」

怜「うちはもう、インカレとかはええわぁ、しんどいし。竜華には頑張ってもらいたいけど」

竜華「私がついてなくても、怜が平気そうなら続けてみるけど。どっちかいうたら、怜優先にしたいなぁ」

怜「心配性やなぁ……好きなことしてくれて、ええねんで?」

京太郎「仲良いですね、お二人は」

怜「なんかあったら、スガキョンにでも電話して、飛んできてもらうやろし」

京太郎「おいっ」ビシッ

怜「先輩に、おいっ、かぁ……」フゥ

京太郎「た、ただのツッコミです」

怜「キレが足りへんなぁ」

京太郎「精進します」オッス

セーラ「おーっす! 早いなぁ、お二人さん! お、京太郎もおるやん。今日は負けへんで!」

京太郎「いやー、俺もこのところ調子いいですからね。この調子でいきますよ」

浩子「威勢がええのはええこっちゃ……さて、そろそろ始めますか」

京太郎「あれ、泉は?」

浩子「監督とこや。ちょっと話したら戻ってくるやろから、とりあえず始めんでー」

泉「おはよーございますっ」ガラッ

セーラ「言うてたら来たなぁ」

浩子「ほな、ほんまに始めよか」

京太郎「ですね――お、泉ちょっと」

泉「はい?」

京太郎「スカーフ曲がってるぞ」シュルッ スッ

泉「!? はっ、あっ……うん、おおきに」カァッ

怜「……いや、女子のスカーフといて結び直すて、犯罪やろ」

京太郎(…………ネクタイやら着物の帯やら、結び直してたとはいえない)

浩子「これは前科ある顔ですわ」

京太郎「し、失敬な……悪かったな、泉。今後は気をつけるからよ」ポンッ

泉「え、ええけどっ、別に」

セーラ「まんざらでもなさそうやな」

竜華「…………ほらっ、いつまで遊んでんの。始めるんちゃうかったか?」

京太郎「あ、すいません」

浩子「ほな、男子部員の邪魔が入ったけど……各自対局してや。私はちょっと、二軍・三軍のリーダーと話してくるわ」

京太郎「ええええ……なんかナチュラルに、俺のせいにされた……」

京太郎「さて――ひとまず、なにから始めるかな」

京太郎「――おっと、そうそう。菓子の材料がそろそろなくなりそうだった、買いだしに行かないと」

京太郎「ほかにはたしか、掃除用の洗剤とか、調子の悪かった雀卓のパーツが届いたって連絡が――」

京太郎「よし、行ってくるか」

京太郎「誰かに言づけて……おっ」

京太郎「すまん、泉。ちょっといいか?」

泉「はい?」

京太郎「パーツとかお菓子の材料とか、ちょっと買いだしに行ってくるんだけど――」

泉「うん……っっ!! ほ、ほな私も――」

京太郎「誰かに聞かれたら、そう言っといてくれないか?」

泉「……あ、ああ、うん……わかったわ」ハァ

京太郎「? なんでため息?」

泉「別に……麻雀部員の買いだしで、なんでお菓子の材料やと思うはずやのに、思わんかった自分に呆れてなぁ」

京太郎「おっ、それは嬉しい」

泉「なにがやのん」

京太郎「いや、それだけ俺がお菓子作るってのが、日常になってるってことだろ? あの泉がそう思ってくれるのは、なんか嬉しくてな」

泉「あの泉て……私をなんやと思てるん」

京太郎「だって先週とか、結構距離あったと思うぞ?」

泉「そら初対面の男子と、そんなベタベタできへんやろ、普通……」

京太郎「クラスの女子とか、二軍三軍の女子部員たちは、かなり優しかったけど」

泉「っっ! わ、悪かったなぁ!」

京太郎「や、悪くはねーって。実際、泉の反応は普通だと思うし。つっかかってくる感じとか、なんかかわいかったし」

泉「かわっ――な、なにを言うてるんや!」

京太郎「まあとにかく、俺は買いだし行ってくるけど――あ、なんか買うもんあったら言ってほしいんだけど」

泉「なんもないわ、アホッ! そんなん気にしてんと、はよ行って、はよ帰ってきぃや!」

京太郎「へいへい、そんじゃ行ってくるわ」

泉「はぁ……ほんま、疲れるわ……」

泉「しゃべっとるだけやのに、いまだに緊張しよるし……」ドキドキ

泉「よその子ぉらは、よう普通にできるなぁ」フゥ

京太郎「よーし、街まできた。さっさと買い物済ませて帰るかな」

京太郎「そういえば、あんまりこっちでは買い出ししてないからな……効率よく回らないと」

京太郎「パーツは卓一つ分だけだし、それほど多くもないからな。さきに回収して――と」

京太郎「それから隣の店で掃除用品も揃えて、あとはお菓子の材料だけだ。これは電話で注文しといたから、受け取りと支払いだけ――」

京太郎「――うん、まあ……重いことは重いんだけどな。とくに小麦粉と砂糖……でかい麻雀部だと、大量にないと間に合わないからなぁ」

京太郎「店の人にはそろそろ、業者と思われてそうだ……店長さんによろしくね、とか言われたし……」

京太郎「よっと……さ、急いで帰るかな。泉にも早く帰れって言われたし――」

京太郎「オタッシャデー!」

京太郎「……さて、バカなことやってないで帰るかー」

京太郎「ただいま戻りましたー」

浩子「遅い!」

京太郎「ええええ……」

セーラ「さっきから探しとったんや、フナQのやつ。京太郎くんどこや、肝心なときにおらんでほんま――とか言うて」

京太郎「げっ、なんか用事でした?」

浩子「いや、お茶淹れさせようと思て」

京太郎「」

浩子「京太郎くんのお茶が、一番おいしいんやけどなぁ……」

京太郎「――っっ! 申し訳ありません、すぐに淹れて参ります!」ダッシュ

浩子「おおきに~」

怜「ええように使われとるなぁ」

竜華「かわいそうちゃう?」

セーラ「そもそも別の用事やったやん」

浩子「そっちはもう済みましたし……せやからて、もう済んだて言うたら、そのほうがあの子、へこむでしょ?」

怜「ああ、なるほど」

竜華「浩子にしては、ええ配慮やったんやな」

浩子「清水谷先輩、私をなんやと――」

京太郎「淹れてまいりました!」スッ

浩子「早い!」

京太郎「みなさんもどうぞ!」スッ

セーラ「お、サンキュー」

京太郎「なんてことないですよ! さーて、このまま部活の続き、頑張ろう!」


京太郎「まだまだだなぁ、師匠ならどこにいても、お嬢さまに呼ばれたらすぐに馳せ参じるってのに……」

京太郎「気合が足りねーぞ、俺っ!」パァンッ

京太郎「よし、今日も対局だ! 大会に向けて、ちょっとでもうまくならないと」

雅枝「うむ、その意気やで。精進しい」

京太郎「オッス! さて、どこに入れていただこうか――」

京太郎「――今日は、泉の特打ちですか」

竜華「そうやでー♪」

怜「セーラ、そしてうちの後をしっかり継いでもらわんとなぁ」フフフ

泉「はいっ、もちろんです!」

怜「……固いなぁ」

竜華「泉は真面目やねん」

京太郎「でも三人ですか?」

竜華「さっきまではセーラがおったで。さっき休憩に抜けてったわ」

京太郎「それじゃ、入っていいですか?」

怜「ええよー。よっしゃ、昨日のリベンジやな」

竜華「私も、今日はちゃんと勝たなあかんわなぁ」コキンッ

泉「京太郎くんか……負けへんで、京太郎くんにも!」

京太郎(すげえ気合だ……)

京太郎「俺も――負ける気はねーよ」ニヤッ

京太郎「では、よろしくお願いします」

竜華「サイコロ回すで~」

怜「なるべく見やへんように、打っていかんとなぁ」

泉「そう言いながら見ますよね」

怜「まぁなぁ」

京太郎(うーん、鬼畜)

竜華「ほんまええ性格しとるわ」

怜「いやんっ、そんな褒めんといてぇ」

泉(……この緩さからはわからんくらいの鋭さがある、注意せな……)

京太郎(泉……いや、お二人もだけど、連続だからな……気ぃ張りすぎてなきゃいいけど)

京太郎「……なんて、人に気を遣える立場じゃないな、俺も」

泉「ん?」

京太郎「いーや、なんでも」

竜華25000→24000
泉25000→
怜25000→
京太郎25000→26000


竜華(よーし、張った!)タンッ

泉(この気配……くっそ、追いつかへん……)トンッ

怜(うーん、ずらせへんな……スガキョンよろしゅう)トンッ

京太郎(っ……二人ともベタ下りか……こいっっ!)スッ

京太郎「……ぐっ……無理か……」トンッ

竜華「一発くるでー……あら、あかんかった」

京太郎「洋榎先輩だと、体感四割くらいで来ますよね」

竜華「さすが、プロになる子はちゃうなぁ」アハハッ

京太郎「おっ。ロンです、1000点で」

泉「っっ!」

怜「グッジョブやb」

竜華「あちゃ……もー、イケズやわぁ」

京太郎「す、すいません……」

竜華「ジョーダン♪ それされると勢い折れるから、その調子でなぁ」

京太郎「はい、ありがとうございます!」

竜華25000→24000→22500
泉25000→23500
怜25000→26500
京太郎25000→26000→27500


泉(……あかん、さっきは上がれそうやったのに、ずれて……逆に振りかけて打ち回して、手牌グチャグチャや……)

竜華「…………ノーテン」

京太郎「テンパイです」

怜「うちもテンパイ……なあ泉?」

泉「っっ……はい……」

怜「まあ、たまたまうちやったからずれたけど……普通にやっとったら、上がれてた思うで?」

泉「……そんな、気休めなんか……いま打ってるんは、園城寺先輩ですし……」

竜華「泉、たしかにいまは私らが相手や。負けへんように打ってるから、こういうこともある」

竜華「せやけど、あんたが勝つべき相手は皆が皆、こんなバケモノ級とちゃうで」

怜「こんな美少女捕まえて、バケモノて……」

竜華「あんたにできる打ち回しに、自信持ったらええ。怜かてずっと見れるわけやないし、意識して怜に勝とうとして、崩れていくほうが問題や」

竜華「いま勝てんくても、その調子でええ……堅実さは、あんたの武器やからな」

泉「……っ……はいっ……」

京太郎(……さすが、前の部長なんだもんな……)



竜華25000→24000→22400
泉25000→21800
怜25000→23600
京太郎25000→26000→32400


京太郎「――ツモ、1600、3200です」

竜華「っ……こら、今日も流れ最悪やなぁ……」ウーン

怜「ずらしたおかげで、上がらへんかった?」

京太郎「一発消えたって感じですかね。あとから来てくれました」

怜「うーむ、ツイとった……で、ええんかな」

京太郎「そりゃそうでしょう?」

怜「色々あるねんで、ツキだけやないことが……泉、おとなしいな」

泉「へ……はい、ちょっと……やっぱ強いなぁ思て」

京太郎「まあ、たまたま――」

泉「このメンツ相手にそれで、たまたまはないて。けど、まだまだこれからや――ちゃんと、私のことも見とってや」

京太郎「いや、見てるっつーの」

泉「ふぇっ……あ、ああ、そ、そうか……って、そういう意味とちゃうで!」

京太郎「どういう意味だよ……」

竜華「むー……」

怜「はいはい、妬かんと」

竜華「やっっ……だ、誰がや!」

怜「サイ、コロ、回れー♪」

京太郎(あ、衣様っぽい)

竜華25000→24000→22400
泉25000→21800→20800
怜25000→23600
京太郎25000→26000→33400


泉(よし、絶好の一向聴……からの、聴牌!)

泉「…………」トン

京太郎「ロン」

泉「ぶふっ」

怜「っっ……なんちゅう声を……」ブルブル

泉「だ、だって、しゃーないですやん! すごいよかったのに……」

京太郎「なんかすまん」

泉「だから謝んなー!」

竜華(むー……けど、泉も元気になってきたし、ええか……)


竜華25000→24000→22400
泉25000→21800→20800
怜25000→23600→26800
京太郎25000→26000→32400→33400→30200

京太郎「よし、このまま行けば――三連勝だ!」

竜華(それはフラグとちゃうかなぁ)

怜「――ふぅ、やっと出てくれたかぁ」

京太郎「えっ」

怜「ロン……色々乗って、5200や。ほい、逆転なー」

怜25000→23600→28800
京太郎25000→26000→32400→33400→28200

京太郎「うそおおおおおおおおんっっっ!」

怜「ほんまやでー。はいはい、お疲れ~」

京太郎「ぐっはぁぁぁ……」

怜「ふふん、これでも夏のエースやで。舐めてもろたら困る……」

怜「格が違うわっ!」ドンッ

京太郎「くっそぉぉぉ……っていうかなんですか、千里山は洋榎先輩ネタ、よく使うんですか……」

泉「つこたら江口先輩怒るから、煽りに使う先輩方が……」

怜「格が違うわ!」

竜華「もうそれはええから……ほな、忘れんうちに検討しとこかー」

怜「ちょい待ち。竜華はなんや、浮き足立って集中できてなかったようやけど……なんか気になることでもあるんか?」

竜華「……………………ナイケド?」メソラシー

怜「ふむ……さっきの牌譜、取れてる?」

モブ子「へい! もうバッチリ!」

京太郎「お前いたのか……」

モブ子「失敬な! 麻雀部員だぞ!」プンスコ

怜「ほなモブ子ちゃんと泉、スガキョンはそっちで検討しとって~。うちは竜華とゆっくりお話しとくからな」

竜華「は、話すことなんかあらへんやろ」

怜「なんや水臭い。うちらの間なら、話題なんてなんぼでもあるやん」フフフ

竜華「そういうんはちゃんと、休憩のときに……ひやぁぁぁぁぁっ!」


京太郎「――さて、検討しとくか」

泉「ドライやな」

京太郎「俺は先輩方を信じてる」キリッ

モブ子「便利な言葉だよねー」

京太郎「最後に油断、一番やっちゃダメなパターンってことだな」

泉「かといって警戒しすぎて、最後まで上がることもできひん……それもあかんなぁ」

京太郎「けど、安価処理外の部分ではちゃんと上がれてるじゃん」 ※という設定です

泉「ま、まあ多少は……けどあかんわぁ! こんなんやと、次の一年にえらいのんおったら、エース取られてまう!」

京太郎「大丈夫だと思うけど」

泉「他人事や思て……」

京太郎「泉なら負けねーって思ってるからだけど」

泉「っっ……そんなん、言うて……来年入ってくるんが、宮永とか大星とか、穏乃ちゃんみたいなんやったらどうするん……」

京太郎「……あ、あんなのがそうそう、ゴロゴロしてねーだろ……だろ?」

泉「やとええなぁ……」

浩子「あほ、うち的には入ってくれるほうがええやろ、そういうんは」

泉「うぐっ……」

浩子「――もっと望ましいんは、それくらいあんたが強うなることや」

泉「……はい!」

浩子「さて――キリもええし、ちょっと早いけど終わりにしよか」

京太郎「はい、お疲れさまでしたー」

泉「掃除しなや?」

京太郎「今日は買い出しの分、片づけないといけないからな。掃除はまた明日だ」

浩子「明日も、あんた当番とちゃうはずやけど?」

京太郎「――じゃ、失礼しまーす!」ダッシュ

泉「あ、逃げた」

浩子「ほんまに……あ、先輩方もお疲れさまです。ありがとうございました……って、どないしたんですか」

竜華「怜はほんまにやらしいで……」グスッ

怜「ちょっと太もも撫でただけやん」

セーラ「相変わらずのエロ親父やなぁ」

怜「いつもは頬擦りしてんねんで? 手やったらマシや思うけど」

雅枝「どうでもええけど、自分らの会話おかしい思いや?」

泉・浩子・セーラ・竜華『巻き込まんといてください(迫真)』

怜「ま、うちは気にせぇへんけどな」ドヤァ

竜華「……あれ? そういえば京太郎くんは?」

浩子「買いだしの片づけ言うて、どっか行きましたわ。調理室とかちゃいますか?」

竜華「ふーん、そうか……ま、掃除してへんならええか。さ、帰ろかなぁ。今日は忙しいし」ルンルーン


怜「……あんだけ太もも責めても言わんいうことは、ほんまになんもないか――よっぽど大事なことやねんやろなぁ、しゃーない。見逃したろ」


~調理教室にて

??「………………」コソーリ

京太郎「竜華先輩? どうされました?」

竜華「!!!!!」ビックーン

竜華「きょ、京太郎くんかっ……脅かさんといてや、もう……」

京太郎「すみません……えっと、もしかして午後のことですか?」

竜華「う、うん……ごめん、邪魔した?」

京太郎「いえ、大丈夫ですよ。そうですね、それじゃ……一回帰って、着替えますよね?」

竜華「そやな……制服でもええけど、目立つんもなんやし」

京太郎「それじゃ、着替えてから待ち合わせしましょう。それから、まず食事しましょうか」

竜華「うん、それでええよ。場所はどうする?」

京太郎「駅前にしましょうか。どっちの家にも近いですし、食事の選択肢も増えますから」

竜華「わかった。じゃあ、ええと……ま、またあとで、ね?」ニコッ

京太郎「はい。楽しみにしてます」

竜華「ふふっ……私もやで? ほなな、京太郎くん♪」


竜華「はぁぁ……あかん、ほんま……顔ニヤけてまうぅ……」ニヘー


~午後行動

京太郎「いつも思うんだけど、私服の幅が狭すぎないか……?」

京太郎「実家から持ってくる分、もう少し増やしてもいいかもしれないな」

京太郎「ともかく、今日はこれで……うん、こんなもんか」

京太郎「さて、遅れないように出発しよう」



京太郎「で――駅前にはついたけど、先輩はまだ来てないみたいだな」

??「………………」

京太郎「まあ、まだ10分前だし、女性は準備に時間かかるもんだからな」

??「……あ、あの……」

京太郎「とりあえず、一時間くらいは遅れても気にしないでおこう、うん」

??「そ、そんな遅れへんわ!」

京太郎「はい? あの、どうかされま――」

??「……あ、気ぃついた?」

京太郎「――竜華先輩?」

竜華「ほ、ほかにどう見えんの」

京太郎「ですよね……いやっ、だって先輩、髪っ……結んでるじゃないですか」

竜華「お、大袈裟やて。ちょっとまとめてみただけで……」

京太郎「結婚してください」

竜華「!?」

京太郎「幸せにします」

竜華「え、う……やっ、あの……その……でも……」

京太郎「式はハワイで挙げましょう」

竜華「まだ、私学生やし……京太郎くんかて……」モジモジ

竜華「せ、せやけど……京太郎くんが、言うてくれるなら……その……」

竜華「私は……それでも、ええかな――なんて……」

京太郎「……………………」

竜華「…………あれ? きょ、京太郎くん……?」

竜華「おーい、聞いとるかー?」ペチペチ

京太郎「……………………はっっ!」

竜華「あっ、戻ってきた。よかったぁ……ほんで、さっきの話やけど――」

京太郎「す、すいません、ちょっと意識が!」

竜華「えっ」

京太郎「なにか、失礼なこと言いませんでしたか!?」

竜華「」

京太郎「あっ……や、やっぱり、なにか失礼なことを!?」

竜華「――あ、ああ、うん! いや、ううん! 大丈夫やで、なんも言うてへんから!」アセッ

京太郎「それならいいんですが……えっと、髪型……とてもお似合いです。可愛くて」

竜華「お、おおきにっ……////」

京太郎(ぐうかわ)

竜華「ほ、ほな……まずはお昼食べよっか」

京太郎「そうですね。こっちでいくつか調べてきましたけど、なにかお勧めとか――あとは、食べたい物とかありましたら」

竜華「…………なんでも、ええんかなぁ?」

京太郎「まあ……あまりコアなものは、調べてないですけど」

京太郎「それやったら――」

竜華「その……きょ、京太郎くんの……ご飯、食べたいなぁて」

京太郎「えっ、俺の料理なんかでいいんですか?」

竜華「……あかんかなぁ?」(上目遣い)

京太郎「オールオッケーです」キリッ

竜華「ほ、ほんまにっ? よかったぁ……」

竜華「日誌とかで、時々ご飯の話とかしてるやん? 前に、戒能プロにお弁当作ってたこともあったし……」

竜華「いっぺん、ちゃんとしたご飯食べてみたいなぁて思ててん」ニコニコ

京太郎「そうでしたか……わかりました、なら――」

京太郎「俺の家、行きましょうか」

竜華「…………う、うん……お邪魔、します」

京太郎「どうぞ、狭いとこですけど」

竜華「……お邪魔します……へぇ、綺麗にしてんねんな」

京太郎「ちょちょちょちょっ! なんでいきなりベッドの下見てるんですか!」

竜華「だって……男の子は、こういうとこにって……怜が……」

京太郎「園城寺いいいいいいいいいいいいい!」

京太郎(だが残念だったな! そういうのは本棚に収納してんだよ! 木を隠すなら森の中だ!)

竜華「あとは――本棚に堂々と隠してるのもいるって、浩子が――」

京太郎「船久保おおおおおおおおおおおおお!」

京太郎「――えっと、その……へ、変なとこ見ないでくださいね?」

竜華「見ぃひんよー。大丈夫だいじょうぶ」

京太郎(なにが大丈夫なのか……)

京太郎「それじゃ、俺は飯作りますので……あ、嫌いなものとかありません? 食材アレルギーとか」

竜華「ううん、それも大丈夫」

京太郎「了解です。なら、せっかく来ていただいてるんですし、ご飯も炊いてちゃんと作りますね……30分くらいは見といてください」

竜華「……和食寄りにする?」

京太郎「そうですね。炊き込みご飯にして、あと何品か作ろうかと」

竜華「あっ、それやったら、私にも……お味噌汁くらい、作らせてもらえへん?」

京太郎「いいんですか?」

竜華「うん……だって、私も……京太郎くんに、料理食べてもらいたいもん」

京太郎「」キュン

京太郎「じゃあ……一緒に、作りましょうか」

竜華「!! うんっ、そうしよ♪」

京太郎(ああ、カピー……俺いま、新婚気分味わってるよ……)

京太郎「――竜華先輩は、よく料理は?」

竜華「怜シフトのときとかになー。その前からも、家ではよう作ってたけど」

京太郎「なるほど。道理で、手際いいですよね。野菜切ってるときのリズミカルな音、気持ちいいですもん」

京太郎「結婚して、キッチンからこういう音が聞こえてきたら幸せですよね」

竜華「けっ――」ボフンッッ

竜華「そそそそっ、そなっ、そんなん! まだっ、まだ……先のことやし……」ザクザク

京太郎「ちょっ、手元見てください! 手元!」

竜華「ふぇ?」スパッ

竜華「――――っっ!」

京太郎「あっ……だ、大丈夫ですか!?」

竜華「う、うんっ、平気っ……ふ、深い傷とちゃうから……」ダラダラ

京太郎「…………確かに、そうですけど……ひとまずこれで、血を止めましょう。向こうで手当てします、来てください」

竜華「ご、ごめんな、どんくさいことしてしもてっ……」

京太郎「いえ、俺が変なこと言ったのが悪いんです……それより、早く治療したほうがいいです」

京太郎「痕なんて残ったら、一生の問題ですし」

竜華「大袈裟やって、軽く切れただけやから」

京太郎「大袈裟だとしてもですよ、大事にしないと――」

京太郎「先輩の指なんですから――絶対、痕なんて残させません」

竜華「京太郎くん……」

京太郎「俺、好きなんです」

竜華「!?」

京太郎「竜華先輩の指、すげー綺麗ですから」

竜華「」

竜華(指かい!)

京太郎「麻雀してるときも、指がまっすぐ伸びてて見惚れますからね。今後、先輩が麻雀続けるなら、傷があったら気になるでしょうし……綺麗に治しましょう」

竜華「はぁ……ん、そうやな」

京太郎「……ちょっと染みますよ、痛かったら言ってくださいね」チョンチョン

竜華「――っっ……ぅっ……んぅぅぅっっ……い、たっ……あぅっ……」グググッ

京太郎「最初だけです。もうすぐ終わりますから、我慢してください」

竜華「痛い言うてて言うたやん!」

京太郎「痛かったら言ってくださいね(やめるとは言ってない)」

竜華「や、やっぱりドSやっ、白糸台の子らが言うた通りや!」

京太郎「ええええ……めっちゃ優しくしてるじゃないですか……はぁ、わかりました」スッ

竜華「ほっ……」

京太郎「……消毒の代わりに、ちょっと舐めますけどいいですか?」

竜華「いいわけないやろ、あほぉっっ!」

京太郎「じゃ、代わりにおまじないです……痛いの痛いの、とんでけー」

竜華「あははっ、子供だましやなぁ」

京太郎「とんでけー……ちゅっ」

竜華「!?」

竜華「ちょっ、あっ……い、いまっ! さ、先っぽに、ちゅって――ちゅ、チューしたやろ!?」

京太郎「えっ、俺がですか? そんなことしました?」

竜華「し、したやろっ! って、なんで聞いてるんっ? あれっ、したっ……ように、見えたけど……」

京太郎「してないと思いますけど」

竜華「そ、そうやった、かなぁ……あれ、でも……たしかに、ちゅって……」

京太郎(さ、いまのうちに消毒消毒……)チョンチョン

竜華「い、いや、見間違い……いうか、ちょっと寝てしもてたとか……」

京太郎(絆創膏貼ってー、ん、血も止まってるな。これなら、二、三日で傷も塞がるだろ……)

京太郎「――さて、と。これで大丈夫だと思いますので……俺は、料理の続きに戻りますね」

竜華「ふぇっ!? あ、い、いつの間に……っと、それやったら私も――」

京太郎「いえ、先輩には十分手伝っていただきましたから……あとは俺が、責任を持ってご用意いたします」ニコッ

京太郎「竜華先輩はここで、ごゆっくりおくつろぎください。どうぞ、お茶でもお飲みになって、お待ちいただけましたら」

竜華「せやけど……京太郎くんに、あともう一品くらい……」

京太郎「それは、また今度にしましょう……今度は俺が、先輩の家に遊びに行きますから、ね?」

竜華「え――」

京太郎「だめですか?」

竜華「う、ううんっ、そんなことあらへん、大歓迎や!」

京太郎「では、そのときに食べさせてください。約束です」

竜華「わかった……約束やで?」

京太郎「はい。それじゃ、もう少しだけ待っててください」

京太郎「うん――おいしいです、竜華先輩の味噌汁。毎日飲みたいくらいですね」

竜華「!?」

京太郎「あ、すみません、俺ばっかり食べちゃって」

竜華「い、いや、そういうことやなくて……いまのは、その……つまり――」

京太郎「はい、竜華先輩もどうぞ……あーんしてください」

竜華「じ、自分で食べられるて、ほんま……///」カァァッ

京太郎「利き手は大丈夫ですけど、茶碗やお椀は持てないでしょう? 遠慮なさらず、甘えてください」キリッ

竜華(遠慮ちゃうわっ、恥ずかしいんや! ……とは、言えへん……)

竜華「ぅ……ぁ、あー……」カァァァァァッ

京太郎「はい、どうぞ」

竜華「……んむ、もぐ……っっ!? うわっ、すごっ……めっちゃおいしい……」

京太郎「ありがとうございます。でもこれは、竜華先輩が切ってくださった野菜ですよ」

竜華「炊いたんは京太郎くんやんっ……あかんなぁ、これは自信なくなってまうわ。うちに来てもろても、満足できるもん、出されへんかもしれへん」

京太郎「そんなことないですって……このお味噌汁、すげー、うまいですから」

竜華「……ほんまに?」

京太郎「はい、毎日でも――」

竜華「も、もうそれはええから!」

竜華「でも、そっかぁ……よう考えたら、食通のプロが満足する料理やし、旅館の板場で働いとることもあったんやしなぁ……」

京太郎「まあ、追い回しでしたけど」 ※追い回しの立場なのに焼き方、煮方までやってる

竜華「――よし、決めたで!」

竜華「今日から、料理も真面目にやるわっ! そんで……京太郎くんに、毎日おいしいもん食べさせたる!」

京太郎「毎日食べられるんですかっ、やったー!」

竜華「そうや、まいに――あっ……ちゃ、ちゃうわ! いまのなし!」

竜華「そのっ……た、食べに来てくれたら、毎日でもっちゅうことで……そういう意味とは、ほんまに違て……あぅ、あうぅっ……」/////

京太郎(ぐうかわ)

竜華「はぁ……なんや、変なこと言うてしもてるわ……」

京太郎「――大丈夫です、変なんてことないですから……俺は嬉しかったくらいです」

京太郎「お料理、頑張ってください。俺も負けないよう、もっとうまくなりますから」

京太郎「次の機会があったら、食べさせ合いましょうね(料理を交換する、的な意味で)」

竜華「た、食べさせ合――え、ええの?(互いにあーんする、的な意味で)」

京太郎「はい、もちろんです。じゃないと、意味ないですからね」ニコッ

竜華「~~~~~っっ……ほ、ほな……そうしよかっ」ニコォッ

京太郎「それじゃ――今日のところは、俺の作ったのをどうぞ。お味噌汁は、竜華先輩のですけど」

竜華「はーい……んぁー、はむっ♪」

京太郎「どうですか? 味の好みがわからなかったので、いつもやってるのに合わせてみたんですけど」

竜華「うん、おいしい……塩の加減も、めっちゃ上品やし……感動的なほどやで」

京太郎「お、大袈裟ですってば」カァッ

竜華「大袈裟やないよ……ほんまに、すごいおいしいわ……」

竜華「――私こそ、こんなん毎日食べたいくらいや……」

京太郎「さて、洗い物も終わったし……食後のお茶で、思った以上にのんびりしちゃいましたね」

竜華「そうやねぇ」

京太郎「……あ、あの……どこか、出かけません?」

竜華「なんでぇ?」

京太郎「や、その……そ、そう! 俺の部屋、なにもありませんから……退屈かなーって思いまして」

竜華「ううん、そんなことないよ。京太郎くんの部屋いうだけで、すごい居心地ええもん」ゴロゴロ

京太郎「うっ……でも、ですね……えーっと、先輩ならなにか、行きたいところとか考えてたんじゃないかなーって」

竜華「んー、なくはないけど……こういう機会でもないと、この部屋も来られへんからなぁ」ゴロリーン

京太郎「うぐぐぐぐっ……あぁっ、もう! なんでもいいですからっ、外行きましょうよっ、デートしましょう!」

竜華「デッッ……そ、そそ、そんなこと言うてっ……あれやろ? その……そういう本とか、探されたないだけちゃうん?」ジトー

京太郎「………………ソンナコトナイデスヨー」

竜華「………………」

京太郎「ほ、ほんとですよ?」

竜華「……正直に、一個だけ答えて」

京太郎「なんなりと」

竜華(ん? いまなんでも――)

竜華「……や、のうて……」ブンブン

京太郎「?」

竜華「……そういうのん、持ってるん?」

京太郎「――え、と……そりゃ、まあ……はい……俺も男ですので、一応……」

京太郎(ぐああああああああああっ! なにこれっ、なんでこんなこと言わされてんの!?)

京太郎(新手の羞恥プレイかよ、くそう)

京太郎(あー、これあれだ……咲連れて部屋に入ったら、おふくろが机の上に広げてやがった、かなりやばいエロ本見られたのと同じくらいのプレイだよ!)

竜華「それは、どんな内容の――」

京太郎「質問は一つでしょう!?」

竜華「正直に答えるんは一つでええ!」ドンッ

京太郎「なんだと!?」

京太郎「最近は、あれですね……背の高い人っていうか、そういうのです……」

竜華(163)「」ガタッ
浩子(165)「」ガタッ
絹恵(165)「」ガタッ
シロ(166)「」ガタッ
晴絵(174)「」ガタッ
菫(176)「」ガタッ
豊音(197)「」ガタッ

竜華「」ストンッ

京太郎「……ど、どうかしました……?」

竜華「いや、なんでもあらへんよ……私では、全然あかんねんなぁと思て……」フフフ

京太郎「えっ」

竜華「だ、だって――背ぇ高いコがええんやろっ!? わ、私なんか、全然やしっ……京太郎くんと比べたら、20センチほども低いて……」

京太郎「お、落ち着いてください! そのっ……女性にしては背が高いっていう、そういう本ですからっ!」

京太郎(……ああああああ、もう死にたいっ……なに言わせんだこの人はぁぁぁっ!)

竜華「つ、つまり……?」

京太郎「いや、だから自分より大きい人になにか、とかじゃなくて――背の高い女性が、こう……短いスカートで脚をだして、とかそういう……」

京太郎(もういや、助けて……いっそ殺して……)

京太郎「だからその、脚が綺麗なのがいいというか……あと、バランス的にやっぱりおもちも……」

京太郎(いつまで続くの? 俺、いつまで言えばいいの……?)

竜華「……せやったら、私くらいの背は……平均よりは、高いほうや思うけど……」

京太郎「普通にありです……むしろ、20センチくらいの差なら、一緒に歩いててバランスいいんじゃないかと」

竜華「……ほんまに?」

京太郎「ええ、もう本当に……ですから、そろそろ外に……」

竜華「…………そっか……えへへ、そっかぁ……」ニマー

竜華「んっ、わかった♪ 外行こか、せっかくええ天気やし」

京太郎(やったああああああああああああああ!)

京太郎「はい、行きましょう!」

京太郎(――でもよく考えたらあれだな、俺……結局、現物見られてないのに、中身把握されたんだよな……)

京太郎「……まあ、最近のヘビーローテってだけだし……いいか。」

竜華「なんか言うたかー?」

京太郎「えっ? いえいえ、なにも……それじゃ行きましょうか。どこか、行きたい場所あります?」

竜華「えっとなー……」

竜華「輝いてー、ここいちばーん、自分の直感を信じてー」


竜華「――受け取ったー、ミーラクルラッシュ、いま最高の、きーせきにのりこめー♪」

竜華「ふぅ……」

京太郎「――――――」

竜華「あ、あれ? どないしたん、京太郎くん」

京太郎「…………はっ! いえ、すいません、思わず聞き惚れてました……最高です!」

竜華「そらよかった。んー、カラオケとかめっちゃ久しぶりやなー」ノビー タユンッ

京太郎「そうなんですか?」ジー

竜華「受験生やからなぁ。前も、泉と浩子とセーラは、行けへんかったからなぁ。宥ちゃんと一緒に、怜の家でお勉強や」

京太郎「ああ、執事カフェのあとに、みんなで行ったあれですか」

竜華「……楽しかったやろ」フーン

京太郎「俺も行ってないんですよね、あのあとすぐ帰ったんで」

竜華「そ、そうなん?」

京太郎「お忘れですか? 俺、みんなのデザート奢って、すっからかんだったんですけど」

竜華「――ごめんな、私のせいで……」シューン

京太郎「わーっと! 違いますって、そういうつもりじゃないですよ……まあとにかく、そのとき行ってなかったんで、俺も久しぶりだってことです」

京太郎「そもそも歌も苦手ですし……だから、竜華先輩と来られたのはラッキーでした」

竜華「え、なんで?」

京太郎「苦手だからってのもありますけど、歌わないでいればその分、先輩の歌が聞けますからね」

京太郎「すげー上手ですし、声が綺麗なんで、幸せなくらいですよ」

京太郎「アイドルのライブみたいです」

竜華「」

竜華「はっ、う……そんなん、褒めすぎやって……」モジモジ

京太郎「褒めすぎなんてことないですよ。よく言われませんか? 上手だって」

竜華「いや、そんな経験ないけど……京太郎くんが言うてくれたんが、初めてやわ」

竜華「……もしかして、歌いたないから適当なこと言うてへんか?」ジロッ

京太郎「そんなことないですって! 本気で先輩の歌が、気に入ったんですよ」

京太郎「なんだったらもう、家でオールナイトでコンサートしてほしいくらいで」

京太郎「先輩の歌だったら、夜通しでも平気ですね」

竜華「オッッ……ル、ナ、ナイト……よ、夜通しっ……ああああ、あかんで! あかん!」

京太郎「え? ええ、まあそれはさすがに……先輩の都合とかもありますし、ご近所の迷惑もありますからね」

竜華「ごきんっっ……ど、どど、どんなプレイするつもりや! 近所迷惑て、そ、そんなっ……」

京太郎「冬ですから、さすがに窓は閉めてますけど、壁とか薄いですからね。大きな声だと、反響して壁越しでも聞こえちゃうらしくて」

竜華「こ、声っ……お、抑えられへんかったら、大変やなぁ……////」

京太郎「まあ歌わなかったら平気ですよ。俺はそもそも苦手ですし、歌うの」

竜華「――――歌?」

京太郎「はい、歌……あの、なんの話――」

竜華「あああああっっ! いやっ、うん、そうや! 歌やっ、歌やんなぁ!」

竜華「まあ、そやな……家でうとたら迷惑なるし、ここでいっぱい歌っていこか、な?」

京太郎「はい。あ、でも俺は聞いてるだけで――」

竜華「えー。私も京太郎くんの歌きいてみたいし……これとか、一緒に歌われへん?」

京太郎「んーと……あ、これなら大丈夫ですけど……えっと、本気ですか? 下手ですよ?」

竜華「ええよ、そんなん……京太郎くんとうとて、京太郎くんの歌が聞きたいんやもん」

京太郎「わかりました、なら一緒に歌いましょう」

 ――そのあと滅茶苦茶カラオケした。


京太郎「――ふぁー、歌った歌った……ちょい休憩します」

竜華「だらしないでー、若いのにー♪」

京太郎「はは、すいません……あ、飲み物入れてきますね。先輩は同じのでいいですか?」

竜華「うん、おねがーい。歌うときは柑橘系がええらしいから」

京太郎「わかりました」

京太郎「ふぅ……というか、いまさら気づいたけど……」

京太郎「カラオケって、暗いし……狭いんだよなぁ。あんな状況で、あんな綺麗で、しかもおもちが……な人と一緒って……」

京太郎「……あ、やべ……意識したら、なんか……」

京太郎「……………………」

京太郎「戻りましたー」

竜華「あっ……おかえり、京太郎くん」パタパタ

竜華「こっち、私の?」

京太郎「すいません、同じのにしたらわかんなくなっちゃいました」

竜華「」

竜華「……じゃあ、えっと……こっちもらうわ」

京太郎「はい」

竜華「……そっちが私のやったとしても、京太郎くんは平気?」

京太郎「そりゃもう。だって先輩のコップですもん」

竜華「そ、そうか……/// もうっ、ヘンタイさんやなぁ」

竜華「怜も言うとったで、スガキョンはどうしようもない、ヘンタイさんなのですねって」

京太郎「なぜ敬語ですか……あれ、次の曲は入ってないんですか?」

竜華「私もちょっときゅうけーい」ポスンッ

京太郎「そうですね、いっぱい歌ってましたし……」ギシッ

竜華「っ……う、うん、そうやし……ちょっとゆっくり、しよか……」

京太郎(……しかも先輩、俺のこと全然意識してねーのか……近いし!)

竜華(……近づいてんねんけど、この子はあれか、まるで意識せんのかいっ!)

京太郎「………………」

竜華「………………」ムー

京太郎「……あの、先輩……」

竜華「な、なにっ?」キラキラッ

京太郎「えと、その……ちょっと、近く……」

竜華「ん?」

京太郎「距離が……」

京太郎「………………」

京太郎「…………いえ、なんでもないです」スッ ギシッ

竜華「――――っ」ドキッ

京太郎「……えと、狭かったり……暑かったり、しません?」

竜華「ん……平気……私も、ちょっと寄っかかってしもて、ええかな……」

京太郎「どうぞ……」

京太郎(……やっべぇ、先輩の髪……すげーいい匂い……)

京太郎「あの……」

竜華「…………なに?」ニコッ

京太郎「…………いえ」ギュッ

竜華「っ…………」キュッ

 ※手を握ってるだけです

京太郎「…………しばらく、歌わなくてもいいですよね」

竜華「そやな……疲れたし、のんびりしとこか」

京太郎「…………先輩の手、あったかいですね」

竜華「京太郎くんのもやで」

京太郎「……俺、結構緊張してんですけど……先輩、落ち着いてますよね」

竜華「そらもう、先輩やからなぁ」

京太郎「……それは、経験が色々と……」

竜華「あほいいな、千里山は女子校やで? しかも三年間、色気もそっけもない麻雀生活や」

京太郎「そうでした……」

竜華「そうや」

京太郎「すいませんでした」ギュゥッ

竜華「怒ってしもたでー、先輩は」

京太郎「許してください」スリスリ

竜華「触り方、やらしーで」

京太郎「許してくれないとやめません」

竜華「そっかぁ……ほな、許さんとこかなぁ」

京太郎「…………じゃ、許してもらえるまで、握ってます」キュッ

竜華「…………えへへー」ギューッ

 ※手を握ってるだけで(ry


京太郎「…………いやー、なんか……雰囲気に呑まれてましたね」

竜華「そ、そうやったなー」/////

京太郎「あれですね……店員が、すげー目で見て来たんですけど」

竜華「……気のせいと、ちゃうやろか」

京太郎「いま思いだしましたけど、カラオケってだいたいの部屋に監視カメ――」

竜華「わああぁぁああっっっ! もうええっ、もうええからっっ……ああああ、なんであんな……」

京太郎「部屋が暗かったから、ですよ……そ、それにほら、手を握ってたくらいで――」

竜華「当たり前やあぁぁっっっ! そんなっ、それ以上とかっ……す、するわけないやろ!(あんなところで、的な意味で)」

京太郎「うっ……そ、そうですよね、すいません……するわけないですよね(俺なんかに、的な意味で)」

竜華「そ、そうやでっ、ほんま……するんやったら、色々考えるわ(場所や時間、的な意味で)」

京太郎「ですよね……はぁ……考えないといけませんよね(相手を、的な意味で)」

京太郎「はぁ……」ガッカリーン

竜華「………………」ジー


竜華(……この子は、たぶん……えらい勘違いしてるんやろなぁ)


竜華「はぁ……ほんま、あんたはぁ……」

京太郎「すいません、俺ごときが調子に乗って――」

竜華「……あほ、そんなわけないやろ」グイッ

京太郎「わっ……と、竜華先輩? あの、腕……」

竜華「こ、こういうんとか……手とか、い……嫌やったらしやへんし、そもそも一緒に出掛けへんやろ?」

京太郎「――――――えっと、はい……えっ?」

竜華「そういうことやからっ……ほらっ、とりあえず移動しよ! まだまだ行きたいとこはあるんやからっ」

京太郎「――はい! 色々回ったら、また家に寄ってもらいますけどね」

竜華「あぁ、絆創膏?」

京太郎「それもありますけど、夕食もご馳走しますから。食べてってください、ね?」

竜華「……ん、おおきに。ほな、今日は夜まで……付き合うてもらうで?」

京太郎「もちろんです、お供します」


竜華(――――あれ、いまえらい大胆なこと言うたような……?)

竜華(……ま、ええか♪)


~2月連休二日目、夜


京太郎「竜華先輩をお送りして、夜も更けて――と」

京太郎「なんか、色々と諭されたなぁ……優しい人なんだ、俺のこともよく考えてくれてるし」

京太郎「……来年は、大学生になんのか……高校生の俺とじゃ、時間も合わないかもしれないなぁ」

京太郎「うう、ちょっと辛い……」

京太郎「……あ、もしもし? 竜華先輩、いま大丈夫ですか?」

竜華「ん、平気やでー。どうしたん、さっきまで一緒におったのに」

京太郎「……まあ、なんとなくです。先輩の声が聞きたくなりまして」

竜華「あははっ、ほんまにー? 嬉しいわぁ」

竜華「でもほんまに、さっきまで一緒やったのに、どうしたんよ」

京太郎「えっとですね……その、先輩が卒業なんだって考えてたら、来年のこととか気になってきて……」

竜華「ふむふむ。せやなぁ、京太郎くんも二年になるし、後輩が入ってくるんやもん。これまでみたいに、指導されるだけの立場やないんやし――」

京太郎「や、じゃなくて……来年、先輩は大学生なんだなって思って、その……」

京太郎「そうなったら、会う機会も減るのかなって……そう思ったら、声が聞きたくなったんです」

竜華「あぁ……ふふっ、そうかぁ」

京太郎「すんません、なんか女々しくて……かっこ悪いですよね」

竜華「そんなことないで。大丈夫……ようわかるは、私も――」

竜華「大学生になっても、京太郎くんは私と会うてくれるかなって……時々考えるもん」

竜華「ただでさえ、あっちこっちの学校に行っとって、千里山なんてめったに来やへんやろうし……そこで勉強して、部活して、後輩の面倒見て――」

竜華「そんなことしとったら、私と会う時間なんて、あらへんやろなぁて……そう思たら、やっぱりさびしなるもん」

京太郎「そんな……そんなこと、ないですよっ」

京太郎「ちゃんと時間作って、先輩の都合が合うんだったら……俺だって、会いたくなりますもん」

京太郎「――嬉しいっす、先輩が、そんな風に思っててくれたなんて」

竜華「……安心したか?」

京太郎「しました……先輩は、どうです?」

竜華「うん……私も、ホッとした……」

竜華「嬉しいよ、すごい……ありがと、京太郎くん」

京太郎「こちらこそ……それに、今日も。とても楽しかったです……また、遊びに行きましょう」

竜華「そうやね……私も楽しかった。またどっか――あ、その前にも一つあったやん」

京太郎「えっ?」

竜華「ふふ~、忘れとるやろ、もうっ……私の家で、私の手料理食べるんやろ? ちごたか?」

京太郎「――そうでした」

竜華「もう、なんで忘れるかなぁ」

京太郎「すいません……次はなにをご馳走しようかなって、そればっかり考えてたので」

竜華「調子ええなぁ。ま、ええわ……それやったら、今度はこっちで、一緒に料理しよな」

京太郎「はい、楽しみにしてます」

竜華「お母さんにも紹介するからな」

京太郎「はい、楽しみに――えっ」

竜華「ふふっ、約束やで? ほな、また明日……おやすみ、京太郎くん」

京太郎「あっはい、おやすみな――いやっ、あのっ、ちょっと!?」


京太郎「切れた……え、紹介って……紹介ってことは……紹介ってこと、だよな?」

~2月連休三日目、学校

京太郎「昨日しっかり楽しんだおかげで、今日も元気に部活だ!」

怜「張り切っとんなぁ、えらい元気やけど」

京太郎「怜先輩っ、おはようございます!」

怜「はよーさん。あ、そうそう、元気やいうたらな――」


竜華「――さて、今日も張り切っていくで! 浩子っ、準備ええか!」

浩子「はぁ……監督がまだですけど」

竜華「あかんなぁ、たるんでるわ」

セーラ「怖いもんなしやな、竜華」

泉「なんでか顔だしてくれてますけど、引退してますからね」

セーラ「言うてもあれやで、先生やで?」

泉「まあ、もう卒業間近ですから……なんや、寂しなりますね」

セーラ「泣き言いうてる場合ちゃうやろ、来年頼むで」

泉「っ……はい!」


怜「――とまあ、竜華もえらい元気やねんけど……」

京太郎「いやいやいやっ、いまの注目するとこそこですか!? もっといい話なとこあるんですけど」

怜「あんなんええやろ、どうせ卒業式にはいやってほど見るんやし」

京太郎「なんてドライな……」

怜「それでや、竜華も元気やねんけど――」

京太郎「あ、そろそろ監督きますよ。準備始めときますねー」ソソクサ

怜「…………ちっ、逃がしてしもたか」


京太郎「――まあ、バレてもいいとは言われてるんだけど。積極的に広めることでもないよな、うん」

京太郎「――なにやら、無言のプレッシャーを感じる……」

京太郎「……差し入れの支度に行ってくるか」

セーラ「♪」

京太郎「バレンタインもあったし、毎日の差し入れも、行動選択外でしてるんだけどな……」

京太郎「いやいや、それだけ俺の差し入れを楽しみにしてくれてるんだ。気合入れないとな」

京太郎「――うん、こんな感じか」

京太郎「お昼前の軽食にもって感じで、ちょうどいいかな」

京太郎「本日の差し入れです――」

セーラ「!! たこ焼き!?」

京太郎「――ではなく、ホットケーキです」

泉「たこ焼きに見えるんやけど」

京太郎「よく見てくれ、ソースがかかってないだろ」

竜華「それに甘い匂い……」

浩子「たこ焼き器で焼いたんか」

京太郎「生地は俺が作りましたので。中にはクリーム、カットフルーツ、フルーツのジュレソースなんかが入ってますね」

京太郎「あとは、生地自体にドライフルーツを混ぜたりしてます」

京太郎「チョコはさすがに、先日のイベントで飽きられてるかと思いましたので、外しておきました」

怜「――そういうたら、誰やったかレーズン嫌いやて……誰やっけ?」

京太郎「え、マジですか」

竜華「ここの部員とちゃうんちゃう?」

怜「うん。前にようさん来たとき、誰かに――」

京太郎「ああ、それなら淡ですね。高校生にもなって、困ったやつですよ」

浩子「ほう、ええデータが……これはレーズン持って、大将戦行こかな」

雅枝「食べさせるわけにもいかんやろ」

セーラ「パチンコみたいなんで、こう口めがけて――」

京太郎(淡、逃げろ! 超逃げろ!)

竜華「……しかし、あれやなぁ。えらい淡ちゃんと仲ええやん。好き嫌いまで把握してるなんて」ニコニコ

京太郎「……い、いえ、たまたまで……そういえば、みなさん好き嫌いは?」

怜「うちはなんでも食べるで、健康第一や」

竜華「私もだいたいそうやな。セーラも、聞くまでもないやろ」

セーラ「」

京太郎「いいことですよ。あ、泉は?」

泉「んぐっ、急に振らんといてや……えーっと、山芋やろか」

浩子「白くてドロドロしてねばっこいもんが苦手、と」カタカタ

泉「ちょちょちょ、なにデータ入れてるんですかっ!」

京太郎「わりと苦手な人いますよね、とろろは」

セーラ「俺は好きやで、麦飯と合うねんなー」

浩子江「白くて――」

雅枝「二度目は許さんで」

京太郎(スルーしたのは優しさだったのか……)

京太郎「セーラ先輩、お茶のお代わりです。どうぞ」

セーラ「おっ、サンキュー。んぐっ……ふぅ」

京太郎「おいしそうに食べてくださるので、作り甲斐ありますよ」

セーラ「事実うまいからなぁ」

京太郎「さっき、苦手なものはないって聞きましたけど――」

セーラ「うぐっ……掘り返さんでもええやろ、いけずやなぁ」

京太郎「いや、そうじゃなくてっ……特別好きなものとか、なにかありましたらと思って」

セーラ「えー、それ答えるんも、なんかがっついてるみたいやーん」プー

京太郎「俺が参考にしたいんですけど……まあ、でもそうですね。それでステーキとかしゃぶしゃぶとか言われると、ご用意できませんし」

セーラ「せやろ?」

セーラ「……って、ちゃうわ! 誰がそんなん言うかいっ、空気読むわ!」

京太郎「はは、そうですよね」

京太郎「やっぱり、女の子らしく甘い物ですかね」

セーラ「おんっ……そ、そんなわけあるかっ、アホ!」

京太郎「えー、でもホットケーキもおいしく召し上がってくださいましたし」

京太郎「これまでにも色々、甘い物ばっかりお出ししてきましたけど」

セーラ「まぁ……そら、嫌いなわけとちゃうしなぁ」

セーラ「京太郎の作るもんはうまいし、なんちゅーか……元気になるからな」

京太郎「――ありがとうございます」

セーラ「そやから、ほんま……なんでも、かまへんねん」

京太郎「うーん……」

セーラ「あ、これはあれか。そういうんが一番困るとかいう――」

京太郎「いえ? レパートリー少なければ、それが困るってのはありそうですけど――」

京太郎「幸い、俺は先輩にまだお出ししてないものが、たくさんありますから」

セーラ「ほな、なに悩んでたんや?」

京太郎「いえ、悩んでたんじゃないです、さっきのは」

京太郎「ちょっと照れながら、なんでも大丈夫って言ってた先輩を見て、うーんかわいいなー、と思って」

セーラ「なっっ……」

京太郎「でもそうですね、甘い物ばっかりとか、たこ焼きばっかりっていうのもなんですし。サンドイッチとか簡単な揚げ物とか――」

京太郎「こう、小腹が空いてるときに食べるとおいしいもの、お惣菜シリーズとかもだしてみましょうか、ね?」

セーラ「~~~~~っっ」プルプルプル

京太郎「セーラ先輩?」

セーラ「し、知るかっ、好きにせえ、アホ!」

京太郎「あっ、セーラ先輩……顔真っ赤にして行ってしまった……」

京太郎「……でも最後、好きにせえって……」

京太郎「危うく誤解しそうになるセリフだな……かわいいのに、隙が多くて困るなぁ、ほんと」


セーラ「……あああっ、ほんま京太郎はっ……」

セーラ「不意打ちでかわいいとか、やめーやっ……あほっ……」


泉「……あのー、なんか江口先輩が、顔真っ赤にして顔洗ってたんですけど」

浩子「ほほう、ちょっと写真撮ってこな」

怜「ええ趣味しとるなぁ」

雅枝「やめとき、あほ」

竜華「………………」ジー

京太郎「……な、なんでしょう」

竜華「ベーツニー」

竜華「……ただ、ちょっと……さっきまでなんや、仲良うしゃべっとったなーってだけや……」プクー

京太郎「そりゃ、セーラ先輩とは仲悪くない……はずですから、一応」

泉「えっ」

京太郎「えっ」

浩子「……まあ、思うんは自由やし」

京太郎「ちょっと!?」

怜「けど、それを押しつけたらあかんで?」

京太郎「なんですか!? 俺っ、セーラ先輩に嫌われてるんですか!?」

竜華「……ふふっ、ほんま……からかい甲斐ある子やなぁ」

京太郎「もうやだ、この学校……意地悪な先輩多すぎる……かわいいけど」

京太郎「ま、部長ほどじゃないし、気にするほどでもないな。残りの時間もしっかりやろう」

京太郎「あ、そうだ監督。ちょっとお伺いしたいことが」

雅枝「んー? なんやの、娘らのスリーサイズは自分で調べや」

浩子「データありますけど、いります?」

京太郎「自重しろよ、母親と従姉妹……いえ、そうじゃなくて」

京太郎「このあたりで、健全な雀荘ってあるんですか?」

浩子「なんや、妙な言い回しですね」

雅枝「健全いうか、学生が入れるとこっちゅうことやな? それなら何軒か知っとるけど……行ってみるか?」

京太郎「そうですね。よかったら、場所か店名を教えていただけますと――」

雅枝「――そうや、うちや。ああ、教え子がいまから行くから、まあよろしゅうしたってや、うん、ほな」

京太郎「」

雅枝「よっしゃ、アポとったで。店名と住所、電話番号はメールしといたった、いまから顔だしてき」

京太郎「…………はい」

京太郎(休みの日にでも行ってみようと思ってた……なんて、言えない……あ、休みの日は今日だった)ハハハ


京太郎「――ってことで来てみたけど、まあたしかに……綺麗な店だな。あ、しかも禁煙だ……へー、珍しい」

京太郎「まあ学生でも入れるようにっていうなら、そんなもんなのかな……けど、碁会所なんかは煙草のケムリすごいって聞くけど」


京太郎「さて、店長さんにご挨拶もしたし、どこか卓についてみるかな」

京太郎「お、あそこなんてよさそうだな。ちょうど3人みたいだし」

京太郎「――いや、やめとこう。すごいオーラを感じる、あっちの優しそうな……お姉さんが三人いる卓に――」

良子「おや、誰かと思えば京太郎くん。これは偶然ですね」

健夜「えっ、京太郎くん? ほ、ほんとだっ!」

大沼「須賀か、久しいな」

京太郎「うっ……」

京太郎「お、お久しぶりです、大沼プロ……それに健夜さん、良子さんも」

大沼「ほう、二人とも知り合いだったか……ふむ、それは好都合だな」

良子「ええ。ということです、京太郎くん。座ってください。さ、遠慮なく」

京太郎(遠慮したい……)

健夜「大丈夫だいじょうぶ、今日は仕事の息抜きで来てるだけだからね」

大沼「まあ、指導でないなら加減はしよう……」

良子「勝てばキスしてあげますよ」

京太郎「わかりました、やりましょう」キリッ

健夜「!? じょ、冗談だよねっ、良子ちゃん!?」

良子「え、ええ、もちろん……」

良子(――本当に、想定外です……京太郎くんが、こういうのに乗ってくるなんて……)

京太郎(……やばい、思わず本能に忠実に……)

大沼「……若いな」

健夜「と、とりあえず、始めよっか?」

良子「――そうですね、打ちましょう」

京太郎「わかりました……では、よろしくお願いします」


京太郎(――そうだ、さっきのを冗談っぽく流せるように……)

京太郎「そ、そういえば、さっきの……勝てばキスってのですけど――」

良子「っっ!」

健夜「そ、その話はもう……ほら、大沼プロもいらっしゃるから、ねっ」

大沼「まあ……俺のことは気にせず、話しているといい。若いうちは、色々あるからな」

京太郎「は、はあ……じゃ、俺ら三人での賭けになりますね」

京太郎(軽く、冗談っぽくっ……)

良子「そ、そうですね……」ソワソワ

京太郎「俺が勝てばしてもらえる、なら俺が負けたら、勝った方にしてあげられるのかなー、と思いまして」

京太郎「どっちにしても俺が得しちゃいますね――なーんて……はっ!」

良子「…………そうですね、それは面白い提案です」ゴゴゴゴゴゴゴ

健夜「…………ふふっ、そうだね、仕方ないね。ゲームみたいなものだもんね、軽い賭け事だもんね」ゴッ

京太郎「」

大沼「……自ら虎の尾を踏む、か……須賀、大物だな」

京太郎「たた、助けてください……」

大沼「そういう責任は自分で取るのは男だ。さて……お嬢ちゃんたちが本気なら、俺もそれなりにやってみるか」ゴッ

京太郎()オワタ


健夜25000→36600
良子25000→13400
大沼25000→
京太郎25000→


健夜「――ロン、11600です」

京太郎(アカン)

良子「おとなげないですよ、小鍛治プロ」

健夜「ごめんね、麻雀だと手は抜けないんだぁ」

大沼「ふぅ、まったく……女子のトップは手がつけられんな」

京太郎「」カタカタ

大沼「ふふ、なにを怯えている。存分に楽しむ場だぞ」

京太郎(無理っす!)

健夜25000→36600→44600
良子25000→13400
大沼25000→
京太郎25000→17000


健夜「ロン、8000です」

京太郎「ぐっ……」

大沼「ふふっ……」

良子「どうされました、大沼プロ」

大沼「いやなに、トッププロに上がられて悔しそうなのがな……骨がある」

良子「それはもう、私の一番弟子ですから」

大沼「ほう、弟子を取るとは偉くなったな」

良子「最初で最後の弟子のつもりですよ、一応」

京太郎(……少しでも、いいところを見せないと……あんなこと言われちゃあなっ)

健夜(上がったのは私なんだけど……)


健夜25000→36600→44600→38600
良子25000→13400→7400
大沼25000→43000
京太郎25000→17000→11000


大沼「さて――俺もそろそろ、上がっておくかな」

良子「そうはいきません。私も今回は、なかなかいい進みです」

良子(これなら、さすがに小鍛治プロでも――)

大沼「ツモ、親っパネだ」

良子「なっ……」

健夜「……さすが、お強いですね。鬼の秋一郎は健在でしたか」

大沼「お前こそ、わざと俺のドラを増やしたな?」

健夜「いえいえ、そんな。逆転できなかったらピエロですし、そんなことはしませんよ」

大沼「まったく、お前こそ底が知れん……沼のようだな」

京太郎(ついていけねえええええええええ! けど、一応三位です)

良子(……あら、これは……ひょっとして、このまま終われば……わわ、私はっ、京太郎くんにキスをっ!?)カァァッ

健夜(……さーてと、それは阻止しないとなぁ)ゴッ

京太郎:最下位

良子「――ツモです」

健夜「っ……」

大沼「ふむ……若い者も、育っている……のんびりしていられないな、健夜も」

健夜「そうですね……お疲れさま、良子ちゃん」

良子「はい……京太郎くんも――」

京太郎「」

良子「きょ、京太郎くんっ、しっかり!」

健夜「だ、大丈夫!? あ、えっと……すみません! つめしぼとお水ください!」

大沼「はははは! まだ須賀には早いステージだったな……まあ、いい経験にはなっただろう」

京太郎(これが、トッププロ……すげえ、こんなに強いのか――)

京太郎(おもしれぇっ……おもしれえよ、やっぱりっ……)

京太郎(この人たちに……本気のこの人たちに……勝ちたいっ……)

大沼「――これだけの対局のあとに笑っている、か……やはりこいつも、底が知れんなぁ」

健夜「京太郎くんっ、お水だよ! しっかり!」

良子「ああああ、やはり上がるのではありませんでした……ですが、雀士としてトップを目指さないわけにも……せっかく小鍛治プロに勝てるチャンスだったのですし……」

健夜「うぐっ……こ、公式戦では、こうはいかないからっ……」

良子「とりあえず、今日のブログにアップしておきます」

健夜「やめてよ!?」

大沼「……おい、須賀の面倒はもういいのか?」


京太郎「――なんかあのあと、ずっと気を失ってたらしい……」

京太郎「学校には、健夜さんたちが連絡してくれたみたいで、怒られずには済んだけど……」

京太郎「竜華先輩がすげー心配してたらしい、迷惑かけたかな……反省しないと」

京太郎「……あとは……頑張ったってことで、健夜さんと良子さんが頭を撫でてくれた」フヘヘ

京太郎「これがキスになるよう、頑張らないとな」

京太郎「さて、午後はどうしようか――」



京太郎「――あんなとこで、気絶してる場合じゃないな。もっと練習しないと」

京太郎「もう一回行ってみるか、あの雀荘……健夜さんたちが居たってことは、他にも誰か、いるかもしれないし」

京太郎「――ということで、来てみたけど……誰かいるかな?」

京太郎「――健夜さん? まだおられたんですね、よかった」

健夜「えっ……きょ、京太郎くん!? 大丈夫なのっ?」

京太郎「ええ、まあ……学校とかに連絡してくださって、ありがとうございました」

健夜「それはいいんだけど……ほんとに大丈夫? 気を失って、意識が戻ったばっかりなんだから」

健夜「家でゆっくりしてたほうがいいよ。ほら、私が付き添ってあげるから――」

理沙「ストップ!」

はやり「京太郎くんをどこに連れてくのかなっ☆」

健夜「うっ……」

京太郎「理沙さん、それにはやりさんも……お仕事ですか?」

はやり「そうだぞっ☆ しばらくね、撮影でこっちにいるみたい。本格的なのは来週からだから、いまは最後の休暇ってとこかな☆」

理沙「打ち合わせ!」

京太郎「そうなんですか、お疲れさまです」

はやり「京太郎くんこそ、雀荘で会うのは久しぶりだね☆ それに、さっき気を失ったっていうのは?」

健夜「そ、そのことはいいからっ、とりあえず帰ろっ、ねっ?」

京太郎「いえ、大丈夫です、本当に。それよりも練習したかったんで、また来たんですから」

はやり「……えーっと、つまり気を失ったっていうのは――」

理沙「ほんと!」

京太郎「ええ、そうですけど。でも平気ですって、ほら、この通り元気で――」

はやり「……すこやん?」

理沙「詳しく!」

健夜「はい……」

はやり「なるほどね――」

理沙「反省!」

健夜「してるよぉ……良子ちゃんも、気を失ってる京太郎くんのこと、ずっと看病してたし」

京太郎「そうだったんですか。あとでまた、お礼を言っておかないといけませんね」

京太郎「健夜さんも、ありがとうございました。大沼プロにも迷惑かけちゃいましたし、お詫びしておきます」

健夜「大沼プロは迷惑というより、男子の麻雀はこのくらいしないとって考えだから……気に病んだり病まれたりってことは、ないと思うよ」

はやり「困ったおじいちゃんだぞ☆」

理沙「……大丈夫?」

京太郎「はい。体力だけはあるので、寝てたらだいぶ回復したみたいです」

健夜「で、でも、やっぱりやめといたほうが……」

はやり「はやりもそう思うかな☆ 冗談じゃなく、休むのも大事だと思うよ?」

理沙「健康第一!」

京太郎「うーん、って言っても……来週は部活休みですから、どのみちしばらく打てないんですよね」

京太郎「だったら、連休最後の今日――せっかく、プロの方がいらっしゃるんですから、めいっぱい打っときたいんです」

京太郎「――あ、いえ、もしご都合よろしければ、ですけど……」

京太郎「よかったら、俺の練習に付き合っていただけませんか。お願いします」ペッコリン

健夜「うぅ、そうは言ってもなぁ……」

はやり「心配だぞ☆」

理沙「………………わかった!」

健夜「えっ?」

京太郎「本当ですか!」

はやり「ちょっと、のよりんっ」

理沙「男の子!」

はやり「?? わ、わかりやすくお願いしたいぞ☆」

京太郎「――ま、そういうことですよ。これでも男ですから、無茶は覚悟の上ってことです」

理沙「ん! 打とう!」

健夜「……止められないなら、せめて自分たちが相手をして、気をつけてあげよう――ってこと、かな?」

理沙「そう!」コクコク

はやり「――もう、しょうがないなぁ。そう言われたら、相手をしたほうが安心って気もするし……」

健夜「そうだね……その代わり、さっきみたいな本気はしないから、そのつもりで」

京太郎「うーん、それはちょっと残念な――」

健夜「きょ う た ろ う く ん ?」ニコー

京太郎「じょ、冗談でございます……一緒に打ってくださるなら、贅沢なんて言いませんので……」

健夜「よろしい」

はやり「それじゃ、どれくらい加減すればいいかな?」

理沙「手加減!」

はやり「はーい☆ それじゃ……このくらい、かな?」ゴッ

健夜「うーん、これくらいか……」ゴッ

京太郎(これくらいと言いつつ、このプレッシャーなんだよなぁ……)


理沙「半荘?」

はやり「長く続けるより、短くして様子見かな?」

健夜「いけそうなら、半荘でもいいと思うけど」

京太郎「そうですね――」

京太郎「大丈夫です、半荘でお願いします」

はやり「了解☆」

健夜「うん、顔色もよさそうだし……無理そうだったら、途中で止めるから、いつでも言ってね」

京太郎「ありがとうございます、気をつけますね」

理沙「よろしく!」

京太郎「はい――よろしくお願いします」

健夜25000→37000
理沙25000→21000
はやり25000→21000
京太郎25000→21000


健夜「ツモ……満貫、4000オールです」

京太郎「うーん、まだだめなのか……」

健夜「まあ、いまの私は……そうだなぁ、夏の宮永さんくらいかな? だからね」

京太郎(チャンプやん……)

理沙「大丈夫?」

京太郎「はい、普通には打ててます。次は上がってみせますから、まあ見ててください」

はやり「期待してるぞ☆」

健夜25000→37000→33100
理沙25000→21000
はやり25000→21000
京太郎25000→21000→24900


京太郎「あっ」

健夜「ん?」

京太郎「……えっと、ロンです。3900」

健夜「はーい」チャラッ

京太郎「……うーむ、どうも手を抜かれてるような……」

健夜「あははっ、そこまでは抜いてないよ。でも、京太郎くんの負担にならないようには抑えてるけどね。さすがに反省はするよ」

京太郎「……一応確認しますけど、わざと振り込んだってことは――」

健夜「――それはないよ。理沙ちゃんやはやりちゃんが役満でも張ってれば、差し込みくらいしただろうけど……」

はやり「そこまで早くは手が進まないかな☆」

理沙「お見事!」パチパチ

京太郎「むぅ……いえ、素直に頂戴しておきます。ありがとうございます」

健夜「そうそう。それにわざとするなら、さっき親満上がったりしないでしょ?」

京太郎「まあ、そうですよね……」

健夜「ふふ、そういうこと……でも、ちょっと悔しいなぁ」ゴゴゴ

京太郎「」

健夜「あははっ、冗談だからね?」ニコニコ

京太郎(このグランドマスターこわい)

健夜25000→37000→33100
理沙25000→21000→20000
はやり25000→21000
京太郎25000→21000→24900→25900


理沙「……あっ」

はやり「ん?」

理沙「……なんでも」トンッ

京太郎「――ロンです」

理沙「やっぱり……」

京太郎「はは、ありがとうございます」

理沙「ううん、嬉しい!」

健夜「……なにその、短い会話だけど、わかり合ってます――感は」

京太郎「いえ、理紗さんに教えてもらった打ち方が、うまくできたなーと」

理沙「まだまだ!」

京太郎「はい、精進します」

はやり「ずるいぞ☆ ねぇねぇ、京太郎くん? はやりのはまだかな?」

京太郎「うっ……まあ、その……狙えそうなら、やっていくつもりです」

はやり「~♪」

健夜「いいなぁ……私の打ち方も、真似してくれると嬉しいんだけど」

京太郎「ど、努力します」

健夜「うん、少しずつでいいからね」

京太郎(すいません、まだ無理です……けど、いつかは――頑張りますから)

京太郎(――くあぁぁっ! 上がれるっ、のにっ……)

はやり(はややー……これは、流れちゃうかなぁ)

理沙(うーん、残念……なんもかんも、すこやんが悪い)

健夜(な、なんだか責められてるような……私のせいじゃないよね!?)

京太郎「だぁーっ、だめだったぁ……くっ……あっ、お疲れさまでした」

健夜「そうだね、挨拶は大事にしないと……お疲れさま」

はやり「悔しい! せっかくはやりの打ち方してくれたのに……」

理沙「良子! 私!」

京太郎「ですね、良子さんのと理沙さんの、あとはやりさんので上がって、逆転できればよかったんですけど」

健夜「ふふっ、最初に張り切りすぎちゃったかな」

京太郎「手加減してくださったのに、不甲斐なくてすみません……」

健夜「手加減っていっても、高校生のトップがするくらいには、強く打ってたと思うし……」

はやり「そこまで気にしなくても大丈夫だぞ☆ これくらい打てれば、大会でもきっと、いい結果を残せると思うな☆」

理沙「信じて!」

京太郎「……ありがとうございます。そうですよね、せっかく付き合ってくださってるのに、暗い顔してられませんし」

京太郎「ちょっと休憩してから、もう半荘お願いしてもいいですか?」

理沙「もちろん!」

はやり「いつまででも、付き合っちゃうぞ☆」

はやり「……あっ、つ、付き合うっていってもね、その、そういうことじゃ――」///

健夜「はやりちゃん、なに言ってるの……」

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最終更新:2026年01月17日 13:30