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京太郎「一人口説いてすぐ別の女を口説くのは、どうかと思うが」

京太郎「へっ……いや、そういうつもりでは――」

久「……へえ、だったらどういうつもりだったのかしら」ゴゴゴゴゴ

京太郎「……そ、その、一般論でして、いまのは……」

久「ふーん、なら私のも一般論だったってわけね」

京太郎「そ、そういうわけでも……」

久「はぁーあっ! 危うく騙されるとこだったわ、まったく!」

京太郎「騙してないのに……本当に似合ってるのに……」

久「ま、まだ言うか!」

靖子「おーい、そろそろイチャつくのはやめにしてくれないか。カツ丼も食べ終わったし、打ちたいんだが」

美穂子「あら、お早いですねー。お代わりお持ちしましょうか?」

靖子「遠慮しておこう。腹はまだまだ余裕があるが、さっきからの茶番で、胸やけしていてな」フゥ

久「い、イチャついてなんか……」

靖子「はいはい。わかったから卓につけ」

久「ぐっっ……こっの、いいわよっ……京太郎! 二人でこのプロ気取り、ボッコボコにするわよ!」

靖子「……少し、痛い目を見せてやろうか」ゴッ

美穂子「では、お手柔らかにお願いします」

 ※再開判定、美穂子初対面判定は、対局後にということで

京太郎「よろしくお願いします!」

美穂子25000→
久25000→
靖子25000→26000
京太郎25000→24000


靖子「ロンだ。これは挨拶……君が久に与するなら、この程度では済まさないぞ」

京太郎「コンビ打ちとかできないんですけど」

久「でも私の味方よね?」

京太郎「え、部長から上がっちゃダメなんですか?」

久「へえ、私から上がれるつもりなんだ……自信過剰ねえ?」

京太郎「そのために、全国回って来たんですよ」

久「……そうね。なら、期待させてもらうわ」

美穂子(久さん、嬉しそう……でも、はっきり言っちゃったら、動揺させてしまうわよね。黙ってましょう)


美穂子25000→23700
久25000→28900
靖子25000→26000→24700
京太郎25000→24000→22700


久「……きた」ピンッ

久「ツモッ、1300オール!」ダァンッ

久「ちょっとは調子、出て来たかしらっ……」

染谷母「……久ちゃん、お店の備品は大切に使ってね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

久「す、すいませんっ……」

京太郎「部長のそれ、かっこいいけどマナー最悪ですよね」

靖子「輩だな、やってることは」

美穂子「牌が可哀想です……」

久「う、うるさい! 次よ次! この勢いで終わらせてやるわよ!」

美穂子25000→23700
久25000→28900→27900
靖子25000→26000→24700
京太郎25000→24000→23700


美穂子25000→
久25000→24000→
靖子25000→26000→23400
京太郎25000→27600

 ※一局目のやり取りは、久が上がられていたと脳内変換をお願いします

京太郎「あ、ロンです」

久「ヒューッ! やるわねー」

靖子「……瑞原プロのような打ち回しだな」

久「ねえねえ靖子、高校生に振り込んじゃって、どんな気持ち? ねえねえ?」

靖子「最終局までその勢いが続くかどうかだ」

美穂子「お上手ですね、須賀くん」

京太郎「俺としては、動きのない福路さんが怖いですよ」

美穂子25000→24500
久25000→24000→23500
靖子25000→26000→23400→22400
京太郎25000→27600→29600


靖子(これはもらったか)

久(流したほうがよさそうねー)

京太郎「……ツモです。500、1000」

靖子・久「え――」

美穂子「あら、すごい」

靖子「…………最下位、か」

久(……やっば、靖子最下位かぁ……)

京太郎(……なんか気配が……大丈夫かな)


美穂子25000→24500→24000
久25000→24000→23500→23000
靖子25000→26000→23400→22400→21900
京太郎25000→27600→29600→31100 トップ

京太郎「ツモ――これで終了ですね。ありがとうございました」

靖子「」

久「うわー……靖子、大丈夫?」

靖子「い、いまのは本気じゃなかったから(震え声)」

美穂子「なにもできずに終わっちゃいましたね。ありがとうございました」

京太郎(……運がよかったな、かなり)

靖子「はぁ、しかし……なるほど、トッププロまで注目するわけだ」

久「ほんとねー。随分とまぁ、強くなっちゃって」

京太郎「……頑張りましたから」

久「みたいね……あーあ、皮肉なもんだわ。雑用修行にだした先で、うちにいたときの何倍も強くなってるなんてね」

京太郎「……そのために、全国を回らせたんでしょう?」

久「……さぁ、どうだったかしら」

久「どうでもいいのよ、そんなことは。大事なのは、全国を回ってあなたが強くなった、その事実よ」

京太郎「――もう一つ、それを手配してくれたのが、部長だってこともです」

久「っ……私のことは、気にしないでいいのっ……バカッ……」

靖子(最下位から捲れなかった上に、高校生に負けて、イチャつきを見せられてる……死にたい……)

美穂子(久さん、言うつもりはないんですね……それなら、私も言いませんから)

京太郎「ふぅ……それじゃ、俺は学校に戻りますね」

久「えっ……か、帰っちゃうの?」

京太郎「はい……帰っちゃまずいですか?」

久「……べ、別に? あなたが戻らないと、まこたちも困るでしょうからね。私も仕事中だしー?」

京太郎「ですよね。それじゃ、失礼します」

久「……ばか」ボソッ

京太郎「お二人も、お疲れさまです。ありがとうございました」

靖子「ああ、お疲れ……おっと、そうだ。前に連絡先を渡していなかったな、よかったら登録しておいてくれ」

美穂子「では私も。最近、携帯電話は使えるようになったんですよ」

京太郎「そうなんですか。それじゃ、時間があるときに、メールでもしますよ」

美穂子「はい (……メール? お手紙かしら……電話でも構わないんですけど、久さんのお話もしたいですし)」

京太郎「それじゃ、ありがとうございました。失礼します」

京太郎「部長、久々に会ったけど、変わってなかったな……いや、前より色っぽく――」

京太郎「……ごほんっ。さて、部活に戻ろう。大会も近いんだ、しっかりみんなをサポートしないとな」

京太郎「――みんなをサポートしようって、意気込んでたのに……」

まこ「まあまあ、ええから席に着きんさい」

咲「さて、これであとは――」

和「誰が抜けるか、ということですね」

優希「さっきの結果じゃダメなんだじぇ?」

まこ「さっきは和がラスじゃったが――」

咲「通算だと、優希ちゃんになっちゃうからね……」

優希「ふむ、となると――」

和「ここは古来より、争いを治める役割を担ったあれを――」

四人『…………じゃーんけーんっ!』

京太郎(……お茶でも淹れてくるか)

咲「負けちゃったぁ……」

優希「ふっふっふ、まだまだだじぇ、咲ちゃん」

和「咲さんは最初にパーを出す癖がありますから……」

まこ「こら。言うたら次から狙えんじゃろ」

京太郎「大丈夫ですよ。中学のときも、散々指摘したのに直りませんでしたから」

まこ「ほうか? なら安心じゃな」


咲「……次は絶対、負けないからっ……」


京太郎(なんか寒気が……)

和「時間、そろそろ暗くなってきましたけど、半荘でも大丈夫でしょうか」


まこ「まあ大丈夫じゃろ」

優希「そうそう。その前に京太郎を飛ばして、速攻で終わらせてやるじぇ」

京太郎「前にネトマで、俺が勝ったこと忘れんなよ」

和「ふふっ、そうでしたね。では、こちらはリベンジということで」

京太郎「じゃ、よろしくお願いしますっと」

優希25000→24300
まこ25000→24600
和25000→24600
京太郎25000→26500


京太郎「――ツモ、400、700」

優希「ぬぐあっ! 私の倍満が――っ!」

京太郎「そんなデカいもん、東一からもらってたまるか……」

まこ「よーしよし、ええぞ京太郎」

和「ふぅ……」ポー

京太郎「おっ、のどっちモードか?」

和「へ?」

京太郎「あ、いや、なんでもない」

和「はぁ」

和(ふふー、またのどっちと呼んでもらえました)

咲(みんな楽しそうだな……いいなぁ)

優希25000→24300
まこ25000→24600
和25000→24600→23600
京太郎25000→26500→27500


和(……張りましたっ)カッ

和(さて、まだ四巡目ですし、ダマで――)

京太郎「――ロン、1000点」

和「っっ……はい」

優希「や、安い……京太郎っ、そんな安い男でいいのかっ?」

京太郎「うっせーよ。安かろうと上がるほうが大事だろっ」

まこ「三尋木プロが聞いたら呆れそうなセリフじゃの」

京太郎「うっ……確かに、咏さんならもっと……」ブツブツ

和(当然のように、プロ雀士をさんづけで……本当に、顔が広いんですから……女性にばかり)ムー

咲(カンすれば打点も乗ると思うんだけどなー)

優希25000→24300→23300
まこ25000→24600
和25000→24600→23600
京太郎25000→26500→27500→28500


優希「いよっし! 南入りしても、調子いいじぇ」フフーン

京太郎「…………うーむ」

優希「一発こい! むー、来なかったか」タンッ

京太郎「あー、やっぱそうくるよなぁ……仕方ない、ロンだ」

優希「なっっ……わ、私の倍満が、またっ……」

京太郎「いや、ほんとすまん……1000点な」

優希「ぬ、ぬ、ぬっ……ぬわぁぁぁ――――っっ!」

まこ「どうどう、落ち着きんさい」

和(……前の京太郎くんの捨て牌、残していれば……京太郎くんも倍満で張っていたはずですよね)

和(普通なら高く取ると思いますが……優希のテンパイ気配、感じ取ったんでしょうか)

和「……京太郎くん、鋭くなりましたね」ニコッ

咲「そう? すっごいニブチンだと思うけど」

和「いえ、その、そういう意味ではなく……まあ、ニブチンだとは思いますが」

京太郎「倍満阻止したのにひどい言われようだ……」


優希25000→24300→23300→20700
まこ25000→24600→22000
和25000→24600→23600→21000
京太郎25000→26500→27500→28500→36300 トップ


京太郎「――ツモ、で終了ですね。お疲れさまでした」

優希「」

まこ「おう、お疲れぃ……ふむ、なーんもできんかったのう。京太郎、やるようになったもんじゃあ」ナデナデ

京太郎「いえ、全国のみなさんのおかげですよ……そのコネを作ってくれた、みんなのおかげですし」

和「それでも、努力したのも強くなったのも、京太郎くんですよ」

咲「次、私と打とうよ、京ちゃん!」

京太郎「勢いに乗ってるうちに、そうしたいとこだけど……時計見てみ」

咲「あっ……あーあー、結局京ちゃんと打てなかったー!」

京太郎「また明日からだな。それじゃ、片づけて帰りますか」

優希「ぬっ……ぐぬぬぬっ、こ、これで勝ったと思うなよー!」

京太郎「思ってねーよ。何回お前に負けてると思ってんだ。その倍勝たないと、勝った気がしねーって」

優希「ふ、ふんっ、ならまた勝負してやるじぇ!」

和「私も、次こそ勝ちますから」

まこ「おーい、片づけの手ぇ止めんようにな」

京太郎「さすが3月だ、暗くなっても、外はそこまで寒くないな」

咲「それでも寒いことは寒いよぉ」

和「ほかの地方、南のほうだとそうでもなかったのでは?」

京太郎「永水にいたのも、9月だからなぁ……あんときは暑かった、めちゃくちゃな」

優希「そのあと東北行ったときは、風邪引いたくせによく言うじぇ」

まこ「最近までは大阪じゃったが……こっちほどは、寒ぅなかったんじゃなかろか」

京太郎「こっちの2月と比べて……いや、2月だとどこも同じくらい寒いですね。北海道とかになれば、別かもしれませんけど」

和「有珠山はまだ行ってないんですね……よかったです

京太郎「えっ、なんでだ?」

和「――なんとなくです」

京太郎(よくわからん……けど、有珠山はたしかに行ってみたい。なにしろ――)

咲「――京ちゃん、鼻の下伸びてるよ? 変なこと考えてないかなぁ?」ニコッ

京太郎「……は、ははは、なにいってんだ咲。そんなわけないだろー?」

優希「有珠山……のどちゃんと対戦した、おっぱいおばけがいるじぇ」

咲「同じ卓じゃなくてよかったよ、ほんと……」

まこ「和と真屋、そこに石戸さん、もしくは瑞原プロなんかが入った日には……おお、眩暈がするわ」カッカッカ

京太郎(ぜひその卓に参加したい)キリッ

京太郎「……あれ?」

まこ「おう」

和「あら」

優希「んっ」

咲「久さん!」

久「あら偶然。いま帰り?」

まこ「まぁの。店のほうはどうじゃった」

久「カツ丼がよく売れたわ。美穂子のカツ丼、まこのより好評かもね」

まこ「ま、カツ丼屋じゃないしの。売れるんならどっちのでも構わんわ」

咲「強い人来ました?」

久「そうねー。靖子と私と美穂子相手に勝った人なら来たわよ」

優希「先輩とカツ丼と……お姉さんにまで勝った!?」

和「まだまだ、強い人はいるものですね……ね、京太郎くん?」

京太郎「………………あ、ああ、そうだな」

久「ま、京太郎のことだけどね」

京太郎「ちょぉぉぉぉっ! 言うんですかっ、そこで!」

久「まーま、いいじゃないの」

咲「すっごーい、京ちゃん!」

まこ「藤田プロ、仮にもプロじゃろあんたぁ……」

京太郎「いや、その……藤田プロは、相当加減してくれてましたよ?」

和「そうかもしれませんけど……久先輩や風越の前キャプテンにも勝てたんですから、すごいことですよ」

京太郎「……かもな。けど、かなり運がよかったってのもある。勝率も上げていかないとな」

久「謙虚ねー。ちょっとくらい調子に乗ってもいいのよ?」

京太郎「やですよ。部長になんか言われそうですし」

久「そうねー、言うかも」アハハッ

京太郎「でしょ?」

久「――勝って当然って態度の京太郎も、素敵よ……ってね?」ボソッ

京太郎「なっ――」

久「ふふっ、ドキッとしたでしょ」

京太郎「してねーっすよ!」ドキドキ

久「ま、それはともかく――少なくとも真面目に打った私と美穂子には勝ったんだもの、俺は勝者だーって胸張ってなさい」

久「次はちゃーんと、こっちが落としてあげるからね」バッキューン

京太郎「はい、また打ちましょう」


~3月第一週火曜、夜

京太郎「――って感じで、今日は絶好調でさー」

須賀母「あっそう」

京太郎「もうちょい、息子の部活に興味持とうぜ……」

須賀母「麻雀って、なーんかねー」

須賀母「あ、そうそう。麻雀と言えばあれ、あの人、千里山の監督さんやってるだっけ?」

京太郎「……雅枝さん?」

須賀母「そうそう、雅枝さん――って、なに馴れ馴れしく呼んでんの」

京太郎「三人称ならそうなるだろ!」

須賀母「で、お父さんのお友達の、愛宕さんにも会ったんでしょ? お元気そうだった?」

京太郎「元気そうだったなぁ。ミナミにいたときもキタにいたときも、色々世話焼いてもらったよ」

須賀母「そうなの。またお礼しておかないとねぇ」

京太郎「俺からしといたよ、ちゃんと」

須賀母「お馬鹿。息子がいくらお礼してもね、親はちゃーんと、そういう礼儀は尽くすもんなの」

京太郎「さいですか」

須賀母「で、本題なんだけど」

京太郎「まだなんかあんのか……」

須賀母「愛宕さんとこ、娘さん二人もいらっしゃるでしょ。どっちが好みで――」

京太郎「ごっそさん。さて、部屋戻るわー。宿題もあるし」

須賀母「ちょっと、こらー! まったく、麻雀の話なんかより大事なことでしょうに……」


京太郎「オフクロにも困ったもんだよなぁ、カピー? 洋榎先輩も絹恵さんも、俺なんか相手にしないよなー?」

カピー「キュキュイ、キュー! (ご主人様は世界一です!)」

京太郎「うーん、否定されたような……ありがとな、カピー」

京太郎「よーし、今日は風呂でしっかり洗ってやるぞ。そのあとブラッシングもしようなー?」

カピー「キュキュンッ! キュゥッ! (ご主人様だいすき!)」

京太郎「綺麗にしてやるからなー」

カピー「ゾロ目が出たらご褒美だ、頑張れよ」

京太郎「!?」

カピー「キュキュウ? (どうされました、ご主人様?)」

京太郎「……空耳か。疲れてんのかなぁ」

京太郎「どうだー? 久々だけど、腕はなまってないはずだぞ」

カピー「キュイキュイ、キュッ! (気持ちいいです―)」ウトウト

京太郎「お、そろそろオネムか。俺も色々あって、疲れてるからなぁ……」

カピー「キュキュゥ…… (まだ、起きて……せっかく、ご主人様と……)」コックリコックリ

京太郎「さて、それじゃ一緒に寝るか……しかしお前、水の中で寝なくても大丈夫なんだよなぁ、不思議なことに」

カピー「キュゥゥン…… (なぜならボクもまた、特別な存在だからです……)」

京太郎「ヴェルタースオリジナル!? ま、まあいいか……おやすみ、カピー」


 ~3月第一週火曜、終了

【3月第一週火曜】

 さすがに大会目前ということもあり、練習に励む。
 それとは別に用事があって、先輩の実家でもある雀荘に寄ったところ、卒業された先輩や他校の強い人、プロの方がいらっしゃった。
 無理を承知で対局を申し込む。先輩のおかげで、受けていただけた。
 終了後、お礼にカツ丼を振る舞ったところ、前よりも成長したと褒めてくださった。
 これを励みに精進しよう。

 その後、部室に戻って練習。
 現長野、中部最強とは打ていないから、明日以降にでも勝負したい。

 ――が、そろそろ本格的なお菓子も作りたい。
 家では台所に入らせてもらえないからだ。
 そりゃ、昔はフライパン焦がしたり色々したけど……そろそろ評価を改めてくれてもいいのではないか。

…………

『誰がおったかモロバレルやな……』
『あれはテレビ的な演出だって聞いたけど >カツ丼好き』
『たしかに、カレー食べてるとこ見たことある』
『毎食カツ丼はきついってこと?』
『ますます演出っぽいな……』
『けど、一食で大盛り二杯以上は食べるって聞いたし、それ毎食はキツくないかな?』
『そうね。この仕事だと、カロリーの消耗も大変でしょうし』
『年齢の問題もあるしねー、知らんけど』

『……言っておくが、藤田プロはまだ25だぞ』
『お、本人か?』
『思っても言うたらあかん』

 ひどい、容赦ないな高校生。
 でもたしかに、あれだけ食べてもあのスレンダーさ……かなり気を遣ってそうだな。

『京ちゃんにも、フライパン焦がしてたこととかあったんだ……』
『私たちは、執事になってからの彼しか知りませんからね』
『ということは、お義母さんは京太郎の料理の腕を知らないんだね、もったいない……』
『ミス、お母さん』
『わざとでしょ?』
『わざとよね』
『阻止』

 ……ま、オフクロより下手なのは事実だしなぁ。
 台所に入れてもらえないのも、仕方ないとしか。

『……県内他校の強い人って……先輩っすか!?』
『雀荘だろー? キャプテンに決まってるし!』
『うちは全員、練習してましたものね。うちではありませんわ』
『ゴミプロと打っても得はないからな。しかし、咲や久、美穂子と打てるなら出向かせてもらうぞ!』
『――こういう場では、個人名をださないようにいたしましょう』
『お、おお、そういうものか……すまない』

『大丈夫、いまさらだ』
『そうだね。咲とか菫とか淡とか、名前出てるし』
『だから名前をだすな!』
『っていうか、いちいち伏せる必要があるのか、そろそろ疑わしい感じ』
『名前挙げての批判とかもされかねないから、伏せるのを暗黙のルールにしとくべきなんだよ』
『事実無根の噂を流されては、雰囲気も悪くなる』
『この日誌は、あくまで須賀くんの活動報告サイトだからね。それを妨げるのはよくないよ』

 そうだな。
 照さん、反省しましょうね。

『ごめんね』

 あ、素直だ。

『妨げたりしたら、連盟が暗躍するという都市伝説も――くぁwせdrftgyふじこlp』

 !?

『我々はなにも見なかった、聞かなかった、いいね?』
『アッハイ』

 アッハイ。

――――――――


~清澄

「中部最強、咲さんのことですね」
「そりゃ、今日京太郎と打ってないのは咲ちゃんだけだじぇ」
「ジャーンケーン」
「ほいっ……なーんでまたパーなんじゃ」
「う、裏の裏を……」
「忘れてただけですよね?」
「つ、次こそ勝つもん!」
「……悪かったじぇ。次からは、ジャンケン以外で決めることにすればいいかな?」
「クジ、作っておきますね」
「トランプでもええわ。強いカード順で相手するちゅうことで」
「最強は2だじぇ?」
「むしろ最弱でしょ?」
「ジョーカー、A、K、Q……の順でしょうね」
「試しに引いてみるか……」
「私ジョーカー!」
「Kだじぇ」
「Qです」
「8……微妙じゃあ」


「久さん、須賀くんは派遣の理由を、聞きたいように見えましたけれど……」
「そうだった? まあいいじゃないの、つまんない理由だしさぁ」
「――とはいえ、教えるのと教えないのでは、好感度も雲泥の差だろう」
「そ、そういうの目的じゃないからっ」
「でも今日の久さんは、嬉しそうでした」
「ほう、あの久がなぁ……ふふ、私も見てみたかった」
「そういやゆみ、今週のシフト少なくない?」
「大会前だから、蒲原と鶴賀に顔をだしていてな」
「美穂子は両立してるわよね」
「私は差し入れを届けているだけで、指導はしていませんから」
「ふーん……私も、ちょっとは覗いてみようかしら」


~白糸台

「宮永先輩と弘世先輩がいないと、ちょっと寂しいね」
「淡ちゃんが騒がしいから、問題ないよ」
「騒がしくないもーん」
「……新虎姫の二人は、なんていうか……真面目だよね」
「私たちに、ちょっと遠慮してる感じ。大会前には合宿しないとね」
「やった! ガールズトークだ! キョータローも呼ばないとね!」
「いや、他校の生徒はまずいでしょ……」
「……ありかも」
「尭深!?」
「私たちは談話室で見てるけど、あの二人も部屋で一緒に、日誌見てるみたいだから」
「そーなの?」
「共通の話題で盛り上がる、仲良くなる手法の基本だよね」
「だから京太郎くんか……まあ男子と女子なら、対局もありなのかな」
「お、亦野先輩も乗ってきたねー、いいよいいよー♪」


「……弘世、白糸台の弘世か?」
「ん? ああ、臨海の辻垣内……君もここの学生寮にしたのか」
「安いし通学に便利、家の者を安心させるためにな」
「大変だな、お嬢さまは」フフッ
「お前ほどではないだろ」
「なんね、二人はよか家柄の生まれやったと?」
「新道寺の白水か」
「合格おめでとう」
「こんタイミングで!?」
「あ、白水さんっ……よかった、知らない人ばっかりで、不安だったんです……って、菫さんに辻垣内さん?」
「巴じゃないか。秋の合同練習以来か?」
「永水の……遠路遥々、ご苦労だな」
「あんなぁ、私も九州から来とるけん……」
「でも意外でした。辻垣内さんや弘世さんは、プロを志されるかと」
「……いや、私は家の都合がある。プロにはならないよ」
「同じく……まあ、それだけの実力があるか、不安なものでね。傍にあんなやつがいたらな……」
「宮永か、結局勝てなかった……そしてその妹といい、なんなんだあの姉妹は」
「――麻雀でつよか分、犠牲になったもんもあると」
「……そこまで強くないのに、私は犠牲になってるんですけど」ペタペタ
「あ、あー、その……ほれ、巴は頭ん出来ば違いよるけん――」
「照は学年で十位に入る秀才だった。天は二物を与えるものだな」
「」
「……狩宿が静かに泣いてるぞ、やめてさしあげろ」



~永水

「はぁー、巴ちゃん、行っちゃいました……」ションボリ
「年末と夏休みは帰ってきますよー」
「はっちゃん、私たちが大学の間、色々お願いね」
「はいはい、ドンとお任せあれですよー」
「学校では小蒔ちゃんをよろしくね、春ちゃん」
「ん……来年は湧と明星も入ってくるし、頼りにしてる」
「お姉さまたちに変わって、しっかりお勤めを果たしますので!」
「ひとまずは、春の大会でのサポーターを務めさせていただきます」
「なら、一つ指示を」
「なんなりと」
「東京滞在中は、京ちゃんを呼んでほしい」
「……お言葉ですが。あまり須賀さんを頼られてばかりなのも、どうかと……」
「湧は京太郎先輩、毛嫌いしてるよね。かっこいいのにー」
「別に、嫌ってはないけど……私たちのペースを乱すのが、よくないと……」
「そういう子に限って、ハマったときにベッタリってなっちゃうのよねぇ」
「そうなんですか、お姉さま!」
「な、なりません!」
「……京ちゃんは、渡さない」ゴッ
「取りませんし!」
「み、みなさん、仲良くしましょうっ」
「そうねぇ。だけど、仲良く分け合うのも難しいかしら?」
「……霞ちゃんがお婿に取るから、あとは霞ちゃん次第なのでは?」
「!?」
「そうなんですかお姉さま!」
「ダメ、それは許さない……た、滝見、京太郎になってもらう……////」
「意外にも、響きがいいですね……」
「そ、そもそも婿になんて決めてません!」カァッ
「でも、石戸のご当主様にはお目通りしたと……」
「お父さまに? へえ……でもそれで婿じゃないって……お姉さま、お嫁に行くんですかっ?」
「だから違うって――」
「……須賀、春……うーん、やっぱり滝見京太郎……」
「春さん、戻ってきてください」


~宮守

「久々の東京ねー。ここで四年間、か……」
「シロとは離れちゃったけど、また四人一緒でうれしいよー」
「ダイジョブ! トチュウカラ、ゴニン!」
「どうして?」
「キョータロ! ヨブ!」
「こっちの大学、来てくれるといいけど……」
「卒業式に来てくれたし、私たちを追いかけてくれるなら……あり得なくはない?」
「それだとちょーうれしいよー」
「けど前は、まだ進路はっきり決めてない感じだったのよねー」
「聞いてみよっか? えーっと、さ、え、が、き、に、し、て、る、ん、だ、け、ど――」
「ちょっと! 人の名前使わないで!」
「私の名前でもいいよー?」
「やめときなさいって。まだ一年、来月でやっと二年よ?」
「ダカラ! ハヤメニ、ススメル!」
「それもいいんだけど……いや、よくないけどさぁ……なんていうか、そういうのなしで、選んでほしいじゃない?」
「……わお」
「え?」
「サエ、カワイイ!」
「えっえっ」
「ちょーおとめだよー」
「なっ――いや、そうじゃなくて! なんていうか、そりゃ後輩には追っかけてほしいけど、あくまで自分の意思でって――」
「さ、え、が、こ、ん、な、こ、と、を――」
「やめなさい、胡桃ぃ――っっ!」



~阿知賀

「……そういや、宥姉は家から通うんだっけ?」
「う、うん……一人暮らしは危ないからって……」
「おじさんが?」
「ううん、玄ちゃんが……」
「玄……いい加減、姉離れしたら?」
「だ、だけど危ないものは危ないのです! 奈良市内は危険な誘惑がいっぱいだからね!」

※そんなことないです、いいとこだよ

「まあ、気持ちはわかるけどさぁ……朝から電車で、しかも混んでたりしたらゲーッてなんない?」
「うーん、えっとねぇ……満員電車、あったかいかも……」ポー
「あっはは、宥さんらしいです!」
「痴漢とかは心配しないんだ」
「ち、ち、ちかっ――お姉ちゃんっ、やっぱり一人暮らしにしよう!」
「い、いまから?」
「そういえば、やえさんも同じ学校でしたよね?」
「あの人も一人暮らしなら、ルームシェアとか?」
「やえちゃんも通いだよ~」
「お姉ちゃんがそうすると教えたら、やえさんもそうすると言ってくれたのです!」
「……ありがと、やえさん」
「宥さんって、なにかと心配になるからね……」
「そ、そんなことないよ……私も、しっかりできるよ?」
「知ってますよ! 宥さんは、阿知賀女子みんなのお姉さんでしたから!」
「さすが穏乃ちゃん、わかってるのです」ナデナデ
「ウェヒヒ」


「……教え子が全然、私の進路に触れてくれない」
「京太郎少年が前に聞いてくれたんでしょ? それで満足しときなさい」
「やだやだやだー! 教え子たちにせがまれて、教えて、そんな遠くに行かないでって泣かれたいのー!」
「めんどくさい女ねぇ……」


~姫松

「先輩ら抜けたら、はっきりとわかんなぁ……来年、大丈夫やろか」
「大丈夫にせなあかんねん……やるっ、私はやるで! そんで……京太郎くんに、毎年会うんや!」
「その意気やで~」
「……そういうたら、善野監督はいつ戻られるんです?」
「予定はないみたいやで~」
「まあ、キャラがさっぱりわかりませんし、しゃーないですね……」
「ともかくや~。代行として、二人を軸にチーム作りはするからな~」
「はい!」
「よろしゅうお願いします!」
「あとは来年に期待やね~。宮永さんみたいな一年、期待~」
「あれはほんまもんのバケモンルーキーですやん……」


「地元戻って、イキイキしとるなぁ……」
「あんま変わらん気もするのよー」
「世話なった先輩やら、先輩の実家の雀荘やら、他校の知り合いやら……知ってるもんだけの空気やで」
「そら、私らの話もそうなることはあるのよー」
「疎外感、感じさせてへんかったやろか」
「いまさらなのよー……まあ漫ちゃんとかヒロが、うまいこと案内してたみたいねー」
「またすぐ、大阪来てくれるやろか……大学の近くも、案内したげたいし……」
「まだ北海道と福岡、東京のもう一校にも行ってへんし、しばらくは無理ちゃう?」
「なんでそんな余裕なん! しばらく会えへんねんで!?」
「……先月もそうやったんやけど」
「千里山やったら、会えんくても、近くにおるいう安心感が……」
「はぁー……こうなるんやったら、もっと別れを惜しんどったらよかったのよー」
「わかってるわ……」
「まぁ――月末やけど、全国大会見に行ったら会えるやろ?」
「!! そうや、それや! 由子、バイト探そ!」
「きゅ、急やねー……まあええけども。どうせ大学入ったら、バイト探す気やったしー」
「雀荘と麻雀グッズショップ、どっちがええかな!」
「それで二択なんや……んー、雀荘ちゃう?」
「よっしゃ、履歴書買うてくるわ!」ダッシュ

「……えー、京太郎くんへ、と。恭子がえらい寂しがってるんで、たまには連絡したってねー、と」



~千里山

「姫松もそうやけど、こっちも三年3人抜けたんやなぁ……」
「言うても、毎年そんな感じのはずですよね」
「一昨年の先輩らは、特にバケモン揃いやったからな。部内レートとはいえ、2600オーバーでなぁ」
「げっ……」
「そんときの江口先輩で、ギリ2000越えとかやったか」
「いまの私がそれに届かん程度って……もしかせんでも、うちってやばいですか?」
「やばいなぁ……まあとりあえず、あんたには2300越えてもらうとして――」
(鬼畜……)
「私も、2000は越えななぁ……大丈夫やろか」
「――いつまで景気悪い話しとるんや。予選まで日ぃないで、気張りやー」
「お疲れさまですー」
「気張ってますよ、ちょい抜いてますけど……あ、ヒロちゃんはどんな感じです?」
「寮の飯マズい言うとったなぁ。そんなにうちのご飯が恋しいかて言うたったわ」
「そしたら、京太郎くんのご飯やったと。なーんて――」
「……泉、2300目指すんやったな。とりあえず特打ちしたるわ。休んでんと卓つき」
「えっ」
(あーあ、こらほんまにそやったな……オバちゃん、なんやかんやで娘どっちも大好きやからなぁ)


「怜ー、ちゃんとやれてるかー?」
「お? 竜華か、いらっしゃーい」
「三枝師匠はええから……おばちゃーん、怜どないですかー?」
「あら竜華ちゃん。ええ子やで、怜ちゃん。オッサンらのアイドルんなってくれてなぁ、どうでもええ高いもんが、売れる売れる」
「まあオッサンら転がすくらい、どってことないで」
「あっははは……こら怜っ(小声)」
「ええて、竜華ちゃん。こっちも助かってるしなぁ。怜ちゃんはあれやで、辛なったら言いや?」
「おおきに、でも大丈夫です。店ン中やったら、空調も効いてて、しんどないですから」
「そらよかったわ」
「竜華が一日何回も様子見に来とるほうが、心配なるなぁ」
「そうやで、竜華ちゃん。こっちはおばちゃんに任せて、あんたは彼氏とデートでもしてき?」
「……京太郎くん、いま長野で……」
「あら、そうなんや」
「っちゅーか、いまナチュラルにスガキョン彼氏にしよったな」
「へ、ちゃうのん?」
「スガキョンはみんなのアイドルやからな」
「えらい仲良さそうにしとったけどなぁ……」
「それが平常運転やねん」
「えらいタラシやな」
「しかも自分がタラシやて気づいとらへんねん」
「最悪やな……でもま、ええ男やったな」
「そうでしょ!」クワッ
「う、うん……」
「竜華、食いつき怖いわ」


~プロ組

照「……あの、この状況はなんなんでしょうか」
健「まーまー、宮永さん。そう緊張しないで。ただの歓迎会だから、プロリーグ全体での、ね?」
照(別に緊張してないし……リーグ全体なのに、人選が偏ってる……)
白「……まあ、いいんじゃない? 高卒プロの顔合わせにもなるし、いい機会じゃないかな」
セ「そやそや。あっちみたいにな」クイッ
洋「おー、臨海の面白外人やん! お前どこやったっけ、瑞原プロんとこやったか」
ダ「誰が面白外人でスカ……ダヴァンです、メガン・ダヴァン!」
は「はいはーい☆ ダヴァンちゃん、落ち着かなきゃダメだぞ☆」

~プロ組続き

?「……騒がしいなぁ」
理「まったく!」
?「……あ、どうも、はじめまして……霜崎絃、千葉です」
理「よろしく!」
絃(会話、難しいけど……気にされてないかな?)
絃「あ……そういえば、友達の利仙が博多なので……」
理「利仙? あっちに!」
利「はい? どうされましたか、野依プロ――あら、絃さんお久しぶりです」
絃「あ、利仙ちー……」
利「? どうしました、変な顔なさって」
絃「いや……ちょっと噂を聞いて」
利「噂?」
絃「バレンタインに、赤山の藤原が学校前で、男とチョコ食べさせ合ってたって」
理「……京太郎くん?」
利「はて、なんのことでしょう」ニコニコ
理「……詳しく」ジロッ
利「では、わたくしはそろそろ、プロの方々にも挨拶を。失礼しますね」
理「こら、利仙!」
絃「……露骨に逃げた。いいなぁ利仙は、噂の執事と知り合いで」
銘「自分も会いたいぞー!」
絃「……ごめん、誰だっけ」
銘「沖縄の銘苅だぞ! 大分だから、藤原とはライバルってわけさー。ま、自分完璧だからな! 負けるとかありえないけど!」
白「……塞に負けたでしょ」
銘「むぐっ……お前、宮守のやつだな! あいつに言っといて! 次に打つときは容赦しないって!」
白「はぁ、ダル……はい、これ塞のメアド。自分で伝えて」
銘「お、サンキュー! お前、いいやつだな! これからよろしく頼むぞ!」
絃「……よかったんですか?」
白「まぁ、ダルいし……」

咏「お? ちょいちょい、そこのガール、寄ってかねー?」
爽「み、三尋木プロ……ども、こんちは……」
咏「おー、初々しいねぃ、緊張してっかい?」
爽「ええ、まぁ……緊張とかしないって思ってたんですけど、このメンツ見るとさすがに……」
咏「まー、みんないい人だから大丈夫っしょ。なー、良子ー」
良「はい? ああ、三尋木プロ……それに、有珠山の獅子原さんですか」
爽「あ、ども……」
良「そう怖がらずとも大丈夫。そして挨拶は元気よく、多少は礼儀正しく」
爽「っと、すいませんっ……」
良「まぁ、その辺は赤土さんがうまく指導してくれそうですが。仮にも教師ですし」
爽「赤土? なんか聞いたことが……」
咏「阿知賀のレジェンドだねぃ」
爽「決勝卓の阿知賀女子っすか、レジェンドっていうのは?」
良「当時の奈良最強チームを退け、全国に進ませた原動力だったので、そう評価されているそうです」
咏「ま、そのあと小鍛治さんとはやりさん、野依さんにフルボッコされたらしいけどねぃ」
爽「げっ……なんすかそのバケモノ卓」
良「その面子に入って、小鍛治プロから倍満直取りしたそうですから。赤土さんも、十分モンスターですよ」
爽「うっへぇ……あれ、けどその人と私、なんの関係が?」
良「これはオフレコでお願いします……今月のプロ入団テスト、札幌で受けるそうですから。まず不合格はないでしょう」
爽「……はぁ~、すっごい人が同期になるんですね~」
良「こっちは関西リーグですから、あまり当たりませんが……シリーズと交流戦ではよろしく」
咏「こっちゃシーズンでも会うねぃ。手加減しねーぞー?」
爽「そですね~、どうぞよろしく」
咏「いいねぃ、緊張もほぐれてきたみたいだ。ま、楽しんでいきな~」
爽「はい。あ、そうそう……須賀京太郎、お二人も知ってるんですよね~。有珠山のメンバー、まだ会ったことないんで、気をつけることとか、あったら教えてくださいよー」
咏「……全部」
爽「へ?」
咏「存在自体がやばいから。気ぃつけな、特に小娘どもはねぃ」
良「あと、マッサージはさせないことです。真屋選手に、肩なんて揉ませないよう注意しておいてください」
爽「あっはい」
爽(……どんなやつなのかな~、ちょっと興味湧いてきた)

い「あ、あのっ……瑞原プロ!」
は「ん~? あ、君は知ってるぞ☆ 広島鹿老渡の子だね☆」
い「はい! その……アイドルの大先輩に、ひと言挨拶したくて……」
は「大先輩だなんて、そんなそんな……はやりはまだ、17歳だぞ☆」
い「……あ、はい」
健「はやりちゃん、リアクションに困るジョークやめなよ」
い「い、いえ、大丈夫です!」
は「お、いい子だね~、いちごちゃん。ならせっかくだから、アイドル会で生き抜く方法を伝授するぞ☆」
い「ありがとうございます!」
は「まず、大事なのは――若手の台頭を許さないことかな☆」ゴッ
い「ヒッ」
は「じょーだん、冗談だぞ☆」
い(ほ、本気にしか聞こえんのじゃ……なんちゅー怖さなんじゃあ)カタカタ
は「そうそう、恋人とか結婚は、アイドルにとっては致命傷だから☆ 引退するまで控えるようにね☆」
い「は、はい……」
は(……んー、でもこの子の声は、しばらく結婚できなさそうだし、大丈夫かな?)
健(自分のことを棚に上げて、なにか言ってるよ、この人……)


 各三年、進路確認ひょーう

  • 関東プロ
照 恵比寿
シロ 東京
ダヴァン 大宮
霜崎絃 千葉
獅子原爽 札幌
赤土晴絵 札幌

  • 関西プロ
洋榎 大阪
セーラ 大阪
利仙 博多
銘苅 大分
いちご 広島

  • 進学東京
【臨海側(東東京)】

智葉


【白糸台側(西東京)】
エイスリン
胡桃

豊音

  • 進学地元
久 長野
美穂子 長野
ゆみ 長野
霞 鹿児島
宥 奈良
やえ 奈良
怜 北大阪
竜華 北大阪
由子 南大阪
恭子 南大阪
美子 福岡
仁美 福岡
誓子 北海道

  • 地元就職
初美

~3月第一週水曜


京太郎「気がついたら、もう水曜じゃん……」

京太郎「やばいな、今日入れてもあと四日……」

京太郎「うぅ、胃が痛い……」キリキリ

カピー「キュゥゥ…… (ご主人様、無理しないで……)」

京太郎「はは、ありがとな、カピー……けど、大丈夫だ」

京太郎「お前のご主人様は、やるときはやる男だからな……」

京太郎「夏と秋の汚名返上、絶対に果たしてやるっ……」

須賀母「いいからさっさと食べて行きなさい。片付かないでしょ」

京太郎「うぃっす」

京太郎(これが執事と対を為す家事のプロフェッショナル……主婦の動きか、無駄がない……)


京太郎「ふぅ、このうまさはいったいなんなんだ……」

須賀母「なにあんた、料理に興味あんの? 秘訣教えてあげよっか?」

京太郎「マジかぁっ!」

須賀母「料理をおいしくする方法なんて、一つよ……食べてくれる人への、あ・い・じょ・う(はぁと)」

京太郎「……行ってきやーす」

須賀母「あら、反抗期かしら」


京太郎「愛情ねえ……一応、親愛を込めて作ってはいるんだけど……」

京太郎「彼女に作ってやるとしたら、うまくできるってことかな……うーん、わからん」

京太郎「……あ、そういや咲に、朝起こせって言われてたな」

京太郎「電話するまでもないか……とりあえず、メールで、と……」

京太郎「いつまで寝てんだ? 今日から早朝登校で、8時朝礼だぞ」


 ――慌てて登校してきた咲に、このあと滅茶苦茶怒られた。


~水曜、昼

咲「ほんっと信じらんない!」

京太郎「まさか信じるとは思わなかった……いや、申し訳ござらん」ペッコリン

咲「謝ってるの、ふざけてるの!」

京太郎「悪いとは思ってるって……あとでなんでも奢ってやるから」

咲「ん?」

和「いま」

優希「なんでも奢るって」

三人『言ったよね?』

京太郎「待て、お前らはどこから湧いてきた」

和「はっ……すみません、つい我を忘れて。またあとで、ごきげんよう……」

優希「タコスを奢ってもらえると聞いて、つい我を……」

京太郎「それはいつも通りだな。ま、奢るのは咲だけだけど」

咲「えへへへ……」

京太郎(……けど、夏のちょっと前までは、四人で飯食ってたんだよなぁ)

京太郎(引け目を感じて、俺が距離を取らなかったら……いや、いまさら考えるな)

京太郎「そのために、強くなるんだから――」

咲「ん? なんか言った?」

京太郎「いや、なんにも――なぁ咲」

咲「?」

京太郎「ちゃんと見てろよ」ポンポン

咲「わふっ……もうっ、見てるよぉ」

京太郎「そか。ならいいよ」

~中庭、和遭遇

京太郎「まーたあいつ、迷子になりやがって……お?」

和「あ、京太郎くん……先ほどはどうも、お恥ずかしいところを……」

京太郎「ほんとにな」

和「」

京太郎「冗談だって。まあそのうち、和にもなんか奢ってやれればいいんだけど」

和「そんな……奢ってもらう理由もありませんし」

京太郎「そりゃそうだ。なら、また差し入れするか――いいお店があったら、付き合ってくれよ」

和「え――」

京太郎「一人で外で食べるのって、抵抗あるしさ……そうしたら、ほら」

京太郎「お礼ってことで、奢ってあげられるじゃん」

和「そ、それは……えと、その……い、いい、いわゆる、デ――」

京太郎「つっても、戻ってきたばっかで全ッ然、この辺の店知らないんだけどな」

和「……ですよね」ハァ

京太郎「悪いな、しっかり探しとくよ」

和「しようがないですね……それなら、私がいくつか教えてあげます。新しくできたお店、あまりありませんけどね」

京太郎「ほんとかっ? それはありがたい……けど、いいのか?」

和「いいもなにも、教えるくらいなんてことは……」

京太郎「いや、その……俺と出かけることになったら、色々問題とか――」

和(……はぁ、本当にこの人は……)

和「ありません」

京太郎「だよな――え?」

和「問題なんてありません。お友達と出かけることが問題なら、問題になっても構わないくらいです」

京太郎「和……」

和「ですから、京太郎くんも。そんなことを気にしないで――いつでも、私を誘ってくださいね?」ニコッ

京太郎「――ああ、そうするよ。ありがとな、和」

和「……はいっ!」

和「そ、それでですね、その……駅前に、かわいらしい甘ロリカフェがですね……」

京太郎「あ、あいつあんなとこに――それじゃ、またな! おーい、咲! お前、どこ行ってたんだ――」

和「…………ま、まだ、これからですっ……」ゴッ

~水曜、放課後

京太郎「しかし、最近はあっという間に放課後ですよね」

まこ「テスト明け、しかも3学期じゃのう……」

和「先生方も、よほど進行の遅れている授業以外では、余分に教えることもなさそうです」

優希「その分、楽でいいじぇ」

咲「京ちゃんだって、結構内職してるじゃない」

京太郎「ん、まぁ……」

まこ「授業が早く感じるんは、そのせいじゃあ……ちゃーんと聞かんかい。一応は授業じゃけえのう」

和「一応って……」

京太郎「はい、すんません」

優希「ところで、なにしてたんだじぇ?」

京太郎「新メニューとか、新レシピとか、色々とな」

咲「大会のことじゃないんだ……」

京太郎「バカ野郎! 大会に向けての、元気が出る差し入れの開発だろ!」

咲「ご、ごめんなさい!」ビビクンッ


まこ「……そんなもんより、練習してくれりゃあええんじゃが」

和「大丈夫です、私たちの罪は……私たちで、精算しましょう」


京太郎「よーし、今日も頑張るぞー!」

京太郎「そういえば、ルーフトップって休みはいつですか?」

まこ「年中無休じゃ」

京太郎「んー、ってことは、今日もやってますよね」

まこ「まあ、そりゃあ……まさか、また行くんかい?」

京太郎「まあ、誰か一人は抜けるわけですからね」

京太郎「時間も体力も余らせてたってしょうがないですし、練習がてら行ってきますよ」

和「それなら、私たちでも……」

京太郎「女の子を、それなりに遠い場所まで行かせるのも忍びないだろ」

咲「久さんに、行くように言われたこともあったんだけど――」

京太郎「どっちにしろ、お前を一人では行かせないから安心しろ」

咲「」

優希「懸命だじぇ」

和「仕方ないですね……ここで、京太郎くんの安全を願っておきます」

京太郎「おう。まあそれより、練習に集中してくれよ」

京太郎「では、行ってまいります」

まこ「うむ、気ぃつけてな」

~ルーフトップ

染谷母「あら、また来てくれたの? いっそバイトしていかない?」

染谷母「うちの子の後輩みたいだし、お兄ちゃんのカツ丼、靖子さんも喜んでくれてるみたいだし、ね?」

京太郎「お気持ちはありがたいですが、部活中ですし……もう少し時間が取れるようになったら、考えます」

京太郎「で、今日も打って行っていいですか?」

染谷母「はーい、どうぞ。あの卓、空いてるわよ」

京太郎「ここ、入ってもよろしいですか?」

モブ「どうぞ」

久「あら京太郎、また来たのね」

京太郎「ええ、部長に会いたいので」

久「なっ――ば、バカ! なにを――」

モブ「あら、久ちゃんの彼氏さん? ざーんねん」

久「なにが残念ですかっ……って、別に彼氏じゃないですし」

モブ「ふーん、そうなんだ……それじゃ、お姉さんと付き合ってみる?」

京太郎「すいません。付き合うとしたら、俺より麻雀強い人って決めてるんで」

モブ「ほーう、なら打ってみましょうか……ほら、ゆみちゃーん、そっちも入ってよー」

ゆみ「はい――ふむ、君が須賀くんか」

京太郎「……あー、たしか……鶴賀の――」

ゆみ「加治木ゆみだ。こっちの人は、うちの大学の先輩になる方なので、あまり失礼のないように」

ゆみ「……粗相があって、久がいじめられるのは、君も嫌だろう?」

京太郎「先ほどは失礼しました。これ、つまらないものですがどうぞ――」テミヤゲー

モブ「!? あ、ああ、うん……あり、がとう?」

久「ちょっと、変なこと吹き込まないでっ」ヒソヒソ

ゆみ「ふふっ、面白いな……どうやら久のことが、よほど大切なようだ」

久「――っ……もう、知らないからっ……」

ゆみ(……須賀京太郎、か……なるほど――)

ゆみ(……こう、なんというか……こ、好青年じゃないか……)

久「今日は半荘無理だと思うから、東風戦でいい?」

京太郎「はい、構いませんけど……なにか用事でも?」

久「先輩のおとも」

モブ「私が勝ったら、それ京太郎くんもついてきてもらっていいかな?」

ゆみ「……いいですね。私が勝っても、それを適応してもらおうかな」

久「!?」

京太郎(……加治木さん、たしか衣様や咲と張り合ってた……かなり強い相手だけど――)

京太郎(……そのくらいの相手と、本気でやらないとな)

京太郎「はい、ではそれで」

久「ちょっと――」

京太郎「部長もいるんでしょ? なら、どっちに転んでも俺得ですし」

久「……あっそ。勝手にしなさい、それなら」プイッ

モブ「ふっふっふ、面白くなってきたわね……」

ゆみ(先輩は、まあ負けるだろうが……私も、引退したとはいえ、さほど鈍ってはいないつもりだ)

久(……私がいるから、なんだっていうのよ……いつまでも、私になんて……拘らなくていいのに、バカ)

京太郎(――ハッタリを利かせて、なおかつ勝利する……これはかっこいいな。せっかく美人が三人いるんだ、いいとこ見せるぜー)

ゆみ25000→22000
久25000→26000
モブ25000→26000
京太郎25000→26000


ゆみ「ノーテン……」

久「テンパイ」

モブ「テンパイ」

京太郎「テンパイ」

モブ「うーん、上がれそうだったんだけどなー」

久「惜しかったですねー」

ゆみ(……久め、わざと良型の待ちを取って流したな……)

京太郎(――流したというより、俺に上がられるのを避けた?)


ゆみ25000→22000→20500
久25000→26000→27500
モブ25000→26000→27500
京太郎25000→26000→24500 三位


ゆみ(――ぐっ……絶好の形、なのに……)

久「……こっちかしらね」

ゆみ「おい」

久「ロン?」

ゆみ「通しだ……」

京太郎「あー、だめでした……ノーテン……えと、モブ先輩さんは」

モブ「テンパーイ。お、これで久と私でトップ? それじゃ、京太郎くんはこのあとお供ねー」

ゆみ(いや、これは……)

久「残念ですけど、上家の勝ちになりますので――トップは私ですね」

モブ「うそ!? そうなの、ゆみちん?」

ゆみ「はい、ルールではそうなってます」

京太郎「……部長、まさか……わざとですか?」

久「なに言ってるのよ。麻雀は、トップを目指す競技でしょ? 誰のためとか――負けても得だから、なんて考えて打つものじゃないの」ムスー

京太郎「!!」ハッ

モブ「ちぇー、ざんねーん。そんじゃまたね、京太郎くーん」

ゆみ「少しだったが、ユニークな打ち方を見させてもらった。機会があれば、またぜひ」

京太郎「はい、ありがとうございました」

ゆみ「……久、拗ねてないで、見送りくらいしてやれ」

久「別に拗ねてるわけじゃ……」

染谷母「お客様のお見送りも、お仕事よー」

久「……はーい、わっかりました」


京太郎「あの、部長……俺――」

久「運がよかったってのもあるけど……一回打ち方を見れば、それなりの対策はできるわ」

京太郎「……はい」

久「昨日上手くいって、調子に乗ってたみたいだけど……全国を目指すなら、慢心は捨てなさい」

京太郎「……すいませんでした」

久「……あと、その……」

久「ついでみたいに、見ないでちょうだい」

京太郎「……はい?」

久「――だ、だから……っ」

久「私もいる、じゃなくて……私がいる、から……とか言いなさいよ、ああいうときは」

京太郎「……あ、ああっ! それは――」

久「そりゃ、ゆみはヅカ系の美人だし、先輩は京太郎の好きそうな、いかにもな年上だけどね」

京太郎「それは、色々と誤解で――」

久「負けても得するから、なんて考えで打つのはやめなさいよ。ああいうときはね――」

久「『俺が勝ったら、デートしてください』って言って打つものよ」

久「それで勝った方が、十倍はかっこいいじゃない?」

京太郎「……さすが、勉強になります」

久「ま、私とデートするのはまだまだ早いってことよ。しっかり頑張りなさい、それじゃあね」

京太郎「……ありがとうございました」

京太郎「――ということがあって、負けて帰ってきました」

まこ「アホか、お前は」

和「……呆れます」

咲「京ちゃんのバカ!」

優希「これだから万年発情犬は……」

京太郎「返す言葉もない……」

和「負けても得する、なんて考え方にも問題山積みですが――」

まこ「相手のブラフに乗せられる、ある意味メンタルの弱さがあるようじゃの……うぅむ、これはどう教えたもんか」

咲「負けても京ちゃんに有利な状況を作って、打たせてみるとかですか?」

優希「いい考えがあるじぇ! 次に負けたら、勝った相手のおっぱい揉んでいいじぇ!」

京太郎「――ほう……」ユラァ

和「!? どうして私を見るんですか! 私だけが勝つわけじゃありませんから!」カァァッ

咲「さっそく乗せられてるんだけど……」

まこ「……大会の相手は男子で、ほんによかったのう……」

京太郎「――結局、その賭けは許されなかった……」

京太郎「い、いや、別に俺だって、嫌がる和のおもちを無理やりとか……そんなの、さすがになぁ?」

和「……興味は、ありませんでしたか?」ジー

京太郎「めっちゃありました! ……あっ」

和「…………」ササッ

京太郎「あああああ……なんてことだ、つい本音が……」

咲「バカだね」

優希「バカだじぇ」

まこ「アホったれが」

和(……でも、ちょっと嬉しいです、なんて////)


 ※別れ際のとき

ゆみ「……そうだ、須賀くん」

ゆみ「その、よかったら……私の連絡先だ。なにかあれば、いつでも遠慮なく連絡してくれ」

京太郎「いいんですか?」

ゆみ「まあね……久も美穂子も、君のことは信頼しているようだし……私自身、それなりに好感を抱いたからな」

ゆみ「これも、信頼の表れだと思ってくれて、構わない」

京太郎「わかりました……ありがとうございます!」

ゆみ「ああ、それじゃ、また――おい久、いつまで拗ねてるんだ」










靖子「――失礼、邪魔するよ」

咲「あ、カツ丼さん」

和「藤田プロ……」

まこ「……一応学校なんで、許可なく入られるんは――」

靖子「普通にもらってるわ!」

優希「そうなんか? んで、なんのようだじぇ?」

靖子「いや、昨日のカツ丼の礼として、ブログに乗せる文章を持ってきたんだが……これをそのまま掲載していいか、聞こうと思ってな」

和「そんな私用の訪問で、よく許可が下りましたね……」

靖子「麻雀部に顔をだすと言ったらな……まあ安心しろ、指導はしていくさ」

靖子「で――京太郎くんは、なぜ落ち込んでいる?」

咲「実は――」

 少女説明中……

靖子「なるほど……そんな状態にある男子を、君らはよってたかって責めたわけだ」

まこ「自業自得ですからのう……」

靖子「やれやれ――なあ、京太郎くん?」

京太郎「はい……あれ、藤田プロ? いつの間に……」

靖子「靖子でいい。それより、事情は聞いたぞ」

京太郎「あ――すいません、俺……自分が情けなくて、それで……成長を見せたかった部長に、めちゃくちゃかっこ悪いとこ見せて――」

靖子「……大丈夫だ、挽回するチャンスは、まだいくらでもあるさ」

靖子「問題なのは、そうやって落ち込んで……顔を上げず立ち上がらず、挽回のチャンスを逃してしまうことだぞ」

京太郎「――――」

靖子「久も、君に奮起してもらいたかっただけかもしれない……いや、きっとそうだ」

京太郎「だったら、俺は――」

靖子「……いつまでも落ち込んでおらず、卓につくんだ。全国で、久に――誰もに誇れる姿を見せるためにな」

京太郎「っ……はいっ!」ガタッ

靖子「ふふ、元気になったようだな……さて、少し指導しようか。もっとも、君に負けた相手に教わることなど、なにもないだろうがな」

京太郎「そんなことありませんっ……それどころか、たった今だって、大切なことを教えてくれました――ありがとうございます!」

靖子「……そう言ってもらえると、嬉しいな。なら、微力ながら協力しよう」

京太郎「よろしくお願いします!」


まこ「う、うまい……」

和「……これが、年の功ですか……」

咲「悔しいけど……勉強になるっ……」

優希「結果として、私らがムチになって、カツ丼が飴になったんだじぇ……」

靖子「ブラフ、それに誘惑――ハニートラップか。なるほど、男子高校生には効果がありそうだ」

京太郎「面目次第も……」

靖子「相手がそう来るなら、それに食いついても恥ずかしくはない。すでに相手のほうが恥ずかしいのだからな」

靖子「それなら乗る振りをして、逆の条件を提示してやればいい。俺が勝ったら、そうしてくれ――とな」

京太郎「……ですね」

靖子「ふふ、その口ぶりでは、久にも指導されたようだな」

京太郎「はい……」

靖子「あいつは経験者の指導、不足の補填にかけては有能だからな。教わったことは、大事にしておくといい」

靖子「それを、あいつが見ている前で活かしてやれ。泣いて喜ぶ姿が目に浮かぶ」

京太郎「部長は、俺のために泣いたりしませんよ」

靖子「そうかな? だが、そう思うなら仕方ない……代わりに、私が喜んであげよう」

京太郎「靖子さんが?」

靖子「教えたことを活かしてもらえるならな……できるね?」

京太郎「……はいっ!」キリッ

靖子「うん、いい顔だ……さて、もう少し頑張ろうか」

京太郎「よろしくお願いします!」

京太郎「今日はいい練習をさせてもらったな。片づけの手も捗るぜ」

咲「……あれ? 結局、私また・・・・」

和「ま、まあ、一ヶ月ありますから……」

優希「ど、どうせなら強くなった京太郎と打ったほうが、咲ちゃんも楽しいじぇ」

咲「…………そっか、それもそうだよね!」

まこ(単純で不安になるが……)

京太郎「悪いな、咲。色々としなきゃならないせいで……けど、千里山で打ったじゃん」

咲「新子さんに負けたときね……」

和「えっ、憧にですか?」

京太郎「ああ、強かったぜ」

咲「気迫が違ったよね。なんていうか、こんな卓にいられるかっ、私はさっさと帰るのよ! って感じだったよ」

京太郎「あと一人は、霞先輩だったよな……咲に霞先輩、豊音先輩と恭子先輩は、憧と同じ気持ちだったのかもな」

まこ(……そこは末原さんだけじゃろ……あのメンツで2位抜けしたあの人も、相当じゃと思うがの)

咲「うー、思いだしたら、やっぱり打ちたいよ! 京ちゃん、うち寄ってって! 自動卓あるから、打とうよー」

京太郎「おじさん、家にいるんだろ? 迷惑だって」

咲「じゃあお父さん追いだすから!」

京太郎「なお悪いわ!」

優希「ひどい発想だじぇ……」

京太郎「とにかく、また今度な」

咲「ぶー……ふーんだ、京ちゃんの意地悪!」

和「咲さん、わがまま言ってはいけませんよ」

京太郎「いいって、和。いつものことだし」

咲「いつもなんて言ってないもーん」プクー

京太郎「お前は淡か……」

優希「しかし、お前……口を開けばポンポンと、女の子の名前が出てくるな……」

京太郎「女子麻雀部回ってんだぞ、当たり前だろ……」ハァ

まこ「おーい、ええからそろそろ、集中して片づけせんかーい」

和「ところで――実際、加治木さんやその先輩さんに負けていたら、戻ってこないつもりだったんですか?」

京太郎「え? ああ、雀荘の続きのことか……いや、ちょっとお供したら、さすがに戻ったと思うけど」

和「……ほんとですか?」ジロー

京太郎「なんだよ、やけに絡むな」

和「そ、そんなことは……ただ、京太郎くんは……年上の女性や、少しクールな女性に惹かれる気がしたので、聞いてみただけです」

京太郎「……負けてたら、制限時間だけつけようと思ってたよ、ほんとにな」

京太郎「ただ、そんなことを考えてたから、負けちまったってのもあると思う」

京太郎「和の言うことも、当たってはいるし……次からは、マジで気をつける」

和「それなら……いいんですけど……」

京太郎「信用してくれってば」

和「……それじゃ、次に私と勝負したとき、私が勝ったらデートしますか?」

京太郎「えっ」

和「…………ほら」

京太郎「…………い、いや、ちゃうねん! いまのは不意打ちだったし!」

和「やっぱり信用できません!」

京太郎「ち、違うんだって! だって、そんなこと可愛い子に言われたら、しょうがないじゃん! 俺じゃなくてもなるって!」

和「――――可愛い、ですか?」ピクッ

京太郎「思いっきり」

和「へ、へー……その、先輩さんと比べて、どうでしたか?」

京太郎「比較にならねーと思う。どっちか選べってことなら、即断で和だ」

和「!!」ガッツポ

和「……こほんっ……まあ、そこまでいうなら……次はないと、信じてあげます」///

京太郎「そ、そうか……よかったよ」

和「いえ……私も、少し言いすぎてしまって。すみません」

京太郎「……そのほうがいいよ、和と距離が縮まった感じがするからな」

京太郎「昔の、ちょっと距離があってあんまり話してくれない和よりは、こっちのほうが好きだしな」

和「――そ、う……ですか……で、では!」

和「これからは、もっと怒っていきますね!」

京太郎「……なるべくは、怒らないでくれよ?」

和「……うふふっ、保証はできかねます♪」


~3月第一週水曜、夜

京太郎「久々にオヤジが早かったんで、九州にいた頃、オヤジがお店の女の子にモテたって話を――」

京太郎「洋榎先輩たいtのお父さんから聞いたって言ったr、オフクロが夜叉になった……」

京太郎「昔のことでも、女の人って怒るんだな……気をつけよう」

京太郎「さて、今日はなにをするかな」

京太郎「……誰かに電話してみよう。気分を変えたいしな」

京太郎「そうだな、先輩方が卒業して困ってそうな――」

京太郎「泉にでもかけて、様子を見てみるか」

京太郎「――ってことでかけてみたんだけど、調子はどうだ?」

泉『あ、え……きょ、京太郎くん!?』

京太郎「おう」

泉『いや、おうやのーて……』

京太郎「あー、すまん、都合悪かったか……また改めるから――」

泉『ちょぉ――っ! ちゃうっ、そういうんちゃうからっ、切らんでええ!』

京太郎「ならいいけど……一応、無理はすんなよ?」

泉『べ、別にしてへんしっ……』

泉(とと、とにかく深呼吸して……それから、さっき――)

泉『えっと、調子やったっけ……調子、調子なぁ……うん……うぅ……』

京太郎「えっ……な、なんかあったのか? っていうか、スランプ?」

泉『ちゃうねん……その、姫松の愛宕さん……』

京太郎「絹恵さん?」

泉『じゃなく、プロ入る洋榎さんのほうな。その人がな、天王寺の寮のご飯がおいしないて、言うらしいねん』

京太郎「へー、そりゃ災難だ」

泉『ほんでな、監督は自分のご飯が恋しいんとちゃうかって、からこうたらしいんやけど――』

泉『それ聞いたとき、私な? 京太郎くんのご飯が恋しかったんじゃないですか~、て……じょ、冗談やで? 冗談で言うてしもたら――』

京太郎「ああ、なるほど……ビンゴだったのか」

泉『それで特打ちに次ぐ特打ちで……』

京太郎「お疲れ……けど、頑張ってんだな」

泉『うん……船久保先輩とな、頑張ろうて言うて、東京で会うために頑張ってんねん』

泉『そっちは調子どうなん?』

京太郎「んー……今日、雀荘で前の部長と打って、うまいことやられたよ」

泉『あ、そうやったんや……さすがに、優勝校のOGやな』

京太郎「一回打てば、対策を取られることもあるとかって、釘刺されたよ」

京太郎「あとは、慢心するな、言葉に乗せられるな――厳しいけど、やっぱ的確だったよ」

泉『そうかぁ……先輩らって、すごいやんな』

京太郎「ああ、すごい――けど……」

泉『私らは、先輩らを超えなあかん』

京太郎「そういうことだな」

泉『……頑張らなな』

京太郎「ああ」

泉『でも、しんどい』

京太郎「そればっかりはなぁ……なんとか、励みを見つけるしかないだろ」

泉『…………』

泉『なら、励みになってや』

京太郎「おう?」

泉『頑張ってて、ちょっと言うてほしいなぁ』

京太郎「……いいけど、重荷にならねーか?」

泉『たぶん……』

京太郎「自身なさげだな、マジで大丈夫か?」

泉『ああ、うん。ちゃうねん、たぶん疲れてるせいや思うわ』

京太郎「そうか……」

京太郎「――頑張れ、泉」

泉『……ん』

京太郎「悪いな、気の利いたこととか言えなくて」

泉『あはは、そんなん期待してへんよ』

京太郎「それはそれでひどい……」

泉『ええええ……どうしろって言うん』

京太郎「一番欲しい言葉だった、とか……そこがいいの、とか……元気でたよ、とか」

泉『……そんなん、ガラとちゃうしなぁ』

京太郎「そうでもないと思うけど……」

泉『………………』

泉『…………え、ええねん……京太郎くんの励ましが、支えになるから……』

京太郎「え――」

泉『~~~~っ、こ、こんなんで、ええんかっ?』

京太郎「……すまん、なんか無理させて」

泉『なっ……あ、謝んな、あほぉっ!』

京太郎「ち、違うって! ほんと、無理させて悪かったって思っただけで――」

京太郎「なんか、逆に励まされたような……ありがとな」

泉『えっ……い、いや、私こそそんなん……大したことは言うてへんし』

京太郎「こっちも、今日はうまいこといってなくて……へこんでたからな。ありがたかったよ」

泉『そっか……うん、私も……ちゃんと励ましてもろた。気が利いてへんなんてことないよ、最高のことばやった……』

泉『おおきにな。これで……東京に行けるよう、また頑張れる』

京太郎「――応援してる」

泉『私も、応援してる……』

京太郎「ああ……じゃあ、またな」

泉『うん、おやすみ……』


京太郎「……すげえまったりした。泉の癒し度、はんぱないな……」


泉「……あかん、こんなん……はぁぁぁ……京太郎、くん……」

京太郎「さて、いつもの――近況メール、ざっくりと送っとこうか」

京太郎「春は全国決まってたな……体調には気を遣えよ。巴さんいないんだから、なにかあったとき対処は自分でするってこと、忘れるな?」

京太郎「んー……なんか、プロ入り組集めて会合したって聞きました。お疲れさまです」


京太郎「しかし、なんであんな簡単に、デートにつられたのか……」

京太郎「健夜さんや竜華さんと、デートして……ちょっと調子に乗ってたのかもな」

京太郎「その結果、和に軽く声かけたり、部長にまで失礼なこと言ったり、だもんな……反省しよう」


~3月第一週水曜、終了


胡桃「……あれ?」

塞「なに」

胡桃「うちって、女子大じゃなかったっけ?」

塞「どう見てもそうでしょ」

エイ「イマサラ?」

胡桃「いや……女子校に普通に京太郎くんがいたから、失念してたけど――」

豊音「――あ」

塞「……あああああああ!」

エイ「??」

胡桃「……女子大にね、男子は入学できないのよ」

エイ「」

塞「……ど、どうしよ……いまからでも、別の大学に行けないかな……」

豊音「うわああああああああああん! もう無理だよー、ちょーかなしいよー!」

エイ「マ、マダ! ナニカ、テガアル!」

胡桃「……どんな手があるのさ……はぁぁぁ……」

~3月第一週木曜

京太郎「よし、昨日みたいなミスは犯さない……やるぞ!」

須賀母「なに、昨日なんかあったの?」

京太郎「……部長を怒らせた、ような」

須賀母「バカねー」

京太郎「ぐぬぬ、反論できない……」

カピー「キュキュウ、キュウ (挽回しましょう、ご主人様!)」

京太郎「そうだな、俺の戦いはこれからだ! 行ってくるぜ!」

須賀母「汚名挽回にならなきゃいいけどねー」

京太郎「……あれ、早いな、咲」

咲「京ちゃんがウソつくからだよ!」

京太郎「だーかーらー、謝っただろ……タコスも奢ってやったしさぁ」

咲「優希ちゃんじゃないのに、そんなことで許さないよ!」

京太郎「なら、どうすればいい?」

咲「……麻雀、しようよ」

京太郎「あー、そこでそれか……わかった、そのうちな」

咲「絶対だよ!」

京太郎「はいはい」

咲「今月中だよ!」

京太郎「はいはい」

咲「ならいいよ! 許してあげる」ムフー

京太郎「……その顔な」

咲「え?」

京太郎「照さんソックリ。やっぱ姉妹だな」

咲「――――」

咲「~~~~~っっ」ブルブル

咲「お……お姉ちゃんのバカーッ!」

京太郎(照さん悪くねーだろ……)


~木曜、昼

咲「よく考えたら、お姉ちゃん悪くないよねっ?」

京太郎「……ああ、朝の話か」

京太郎「っていうか、いまさらかよ」

咲「どうしていっつも、お姉ちゃんと比べるの!」

京太郎「似てるし」

咲「似てない!」

京太郎「咲……似てないってのはな、洋榎先輩と絹恵さんみたいなのを言うんだ」

京太郎「あとは、憧と望さんとかな」

咲「玄さんと宥さんは?」

京太郎「あの二人は……似てないようで、どことなく似てるんだよなぁ」

咲「……おもちの話じゃないよね?」

京太郎「――さて、そろそろ飯にするか」

咲「ううぅぅぅっ……私だって、もうちょっとで……二年になったら、和ちゃんの半分くらい……」

京太郎(……無理だろ、可哀想だけど……)


京太郎「そういえば、春と良子さん……従妹でも、似てるもんだな」

京太郎「洋榎先輩と浩子先輩もそうだし……うん」

咲「…………やっぱりおもちの話じゃない!」

京太郎「視力は絹恵さんと似てるんだけどな」

咲「否定しないし! 開き直らないの!」

京太郎「咲に追われて逃げてきた……」

京太郎「……そうだよな。俺と咲は、このくらいの関係が一番だったんだ……」

京太郎「突っ走ってても、ロクな結果にはならなかっただろうな、うん」

京太郎「さて、しばらくここで、隠れとくかな――ん?」

和「あ……京太郎くん、またお会いしましたね」

京太郎「ああ、和か……よくここで会うけど、昼はいつもここで?」

和「いえ、食事は教室で、優希や友人と済ませています」

京太郎「ま、そりゃそうか。二人とも、友達多そうだもんな」

和「優希はそうですけど、私は……お恥ずかしながら、友達を作るのが得意ではなくて」

京太郎「そうなのか、そりゃ意外」

和「ですから、優希がタコスを食べに食堂へ行ってしまうと、用事を作って――自然と、こちらに脚が向くんです」

和「転校ばかりでしたし、一人でいることのほうが、落ち着くこともあるからでしょうか」

京太郎「あ、それなら邪魔しないほうがいいか。悪かっ――」

和「!!! そ、それは昔のことで、いまは一人でないほうが落ち着くと言いますか!」

京太郎「えっ、あっはい」

和「――とにかく、京太郎くんが邪魔ということはありませんから。その……一緒にいてくださって、構いません」

和「いえ……その、よければ……一緒に、休んでいってくださいませんか?」

京太郎「いいのか?」

和「はい……それで、その……派遣先での出来事など、聞かせていただければ」

和「グチなんかもあれば、遠慮なく仰ってくださいね」

京太郎「いや、それはさすがに悪いような……」

和「いいんです。悪いものを溜め込んでいては、麻雀の調子も上がりませんから」

和「ストレスなんかもあれば、吐きだして行ってください。僭越ながら、お手伝いしますので」

京太郎「――そか。なら、ちょっと話でもしようぜ」

和「はい……では、その……」

京太郎(正座?)

和「……ど、どうぞ……」

京太郎「えっ」

和「お疲れなら……膝枕で、休んでください」///

京太郎「……いいのか?」

和「……はいっ……」カァッ

京太郎(我が世の春がきたぁ――っっ! 絶好調である!)

~木曜、放課後

京太郎「…………ふへへ」

咲「もーっ、京ちゃん! 授業終わったよ、早く練習行こうよ!」グイグイ

和「失礼します……咲さん、一緒に部室に――あら?」

優希「なにやってんだじぇ、この犬は」

咲「それがさぁ、お昼にどこか行って戻ってきたら、ずっとこの調子で――」

和「……そ、そうですか、それは……嬉し――い、いえ、困りましたね」////

優希「のどちゃん顔赤いじぇ? 大丈夫か?」

和「は、はい、ちょっと暑くて……とりあえず、京太郎くんは引っ張って行きましょうか」

咲「重くって動かないよ」

優希「転がせば大丈夫だと思うじぇ」

咲「それは可哀想じゃないかな、さすがに」

和「……もっと、耳元で声をかけてはどうでしょう。こうやって――」

和「京太郎くん、授業は終わりましたよ……あの続き、部室でしませんか?」ボソッ

京太郎「――っっ! よし、部活行くか!」ガタッ

咲「うわぁっ!? び、ビックリさせないでよっ……」

優希「おお、すごいじぇ、のどちゃん」

和「やっぱり、耳元で声をかけないと、聞こえなかったみたいですね」ニコニコ

咲「そっかぁ……」

京太郎「おら行くぞ、咲ぃ! 和も、あと優希も」

咲「誰のせいで遅れてると思ってるの、もーっ」

優希「しょうがねえやつだじぇ」

和「まあまあ。では揃ったことですし、行きましょうか」

和(……でも、その……膝枕の続きを、しないと……いけないんでしょうか?)カァッ

京太郎「……あー、その……無理はしなくていいから。俺もちょっと、ボーッとしてただけでさ」

和「!! い、いえ、その……平気、です……////」


咲「どうしたのー、二人ともー!」

優希「雀卓が呼んでるじぇー!」


京太郎「ほら、行こうぜ」スッ

和「……はいっ」キュッ

竜華の膝枕は先輩の優しさだと思ってる京ちゃんマジ鈍感



京太郎「さて、今日も練習、明日も練習だ。全国目指して、頑張るぞ!」

和「はい!」

優希「おう!」

咲「みんなで行きたいよねっ」

まこ「……予選で上がれそうなんは、和と優希と南浦、あとは龍門渕が出るなら、ちゅうとこか……」

京太郎「先輩も頑張りましょうよ!」

まこ「ま、そうじゃの。負ける気では打たんわ」カカッ

京太郎「耳が痛い……」


京太郎「まずはどうするかな――」

京太郎「……今日は、先にこっちで打っていくかな」ボソッ

咲「!」

京太郎「別に咲とって決めてねーぞ?」

咲「」ショボン

京太郎「打たないわけでもねーよ」

咲「」ガタッ

まこ「座っときんさい」

和「どうしたんです、今日は」

京太郎「いや、毎日出かけてるほうがおかしいだろ?」

京太郎(あとは――いざ、誰かと出かけるとなったとき、こっちで練習できないのはまずいからな)

京太郎(……別に、そういうことになるとは思ってねーけど、一応な?)

京太郎「まあいい、ってことで練習しましょう! 練習!」

まこ「まぁそんなら、一年で打っとりんさい。わしゃやることがあるけえ」

咲「はーい!」

京太郎「こんなに早く、咲と当たることになるとは……」

和「なにを言ってるんですか」

優希「よーし、今日こそ勝ーつ!」

咲「麻雀って、楽しいよね!」

京太郎「はえーよ」

和「溌剌としてますね……」

優希「ふっふっふ、飛ばし過ぎると失速するじぇー?」

京太郎「そりゃお前だろ。さて……よろしくお願いしますっと」

和「よろしくお願いします――あ、そうそう、京太郎くん?」

京太郎「ん?」

和「私が勝ったら、デートしてあげますよ?」クスクス

京太郎「はは……すいません、もう許してください」

咲「和ちゃん、可哀想だよ」フフッ

優希「咲ちゃんも笑ってるじぇ」

和(……半分は、本気なんですけどね……)

京太郎(それは俺が勝ったら――っていうの、やるにはまだ……俺は弱いからな)

咲25000→43000
和25000→19000
優希25000→19000
京太郎25000→19000


咲「――カン」

京太郎「」ゾクッ

優希「うえぇ……」

和(相変わらずです……)

咲「嶺上開花、6000オールです」

京太郎「でけぇ……」

和「飛ばしてますね、本当に」

咲「えへへっ、まだまだ行くよ~♪」

優希(よっぽど京太郎と打てるのが嬉しいみたいだじぇ……)

咲25000→43000→44600
和25000→19000→18200
優希25000→19000→18600
京太郎25000→19000→18600


咲「嶺上開花――400、800です」

京太郎「くっ、止まらねえ……」

和「安めで助かりましたけど……」

優希「ええい、ここからだじぇ!」

京太郎「そろそろ南場だけど、大丈夫か?」

優希「な、なんとかな……」

咲25000→43000→44600→43100
和25000→19000→18200→19700
優希25000→19000→18600→17100
京太郎25000→19000→18600→20100


京太郎「な、なんとか流局でしのげたか……」

優希「頑張ったのは私とのどちゃんだじぇ」

和「ただのベタ降りです、すみません……」

咲「うーん、残念」

京太郎「……なあ、咲?」

咲「なぁに、京ちゃん?」

京太郎「……麻雀って、楽しいよな」

咲「――うんっ!」

和「京太郎くん……」

優希「ふふん、まだ諦めてないようだな」

京太郎「当然っ……最後まで、勝つまであがいてやるぜっ」

京太郎(――とは言ったものの、どうあがけばいいのやら……)

京太郎(あ、ハッタリ言ってから考えるって、ジョセフっぽくてかっこよくね?)


咲25000→43000→44600→43100
和25000→19000→18200→19700
優希25000→19000→18600→17100
京太郎25000→19000→18600→20100

京太郎「………………」

優希「…………くっ」タンッ

京太郎(安め、スルー……で、このツモ……いまからでも、間に合うかっ……)

咲(……あ、京ちゃんが頑張ってる……楽しいなぁ♪)

和(私では届きませんね……京太郎くん、お願いします……)

京太郎「……っ……」

咲「…………」

優希「…………」

和「…………」

まこ(……ええのう。なんちゅう真剣な部活風景じゃ……)ジーン

咲「…………」タンッ

京太郎「――よしっ!」

咲「えっ――」

京太郎「ロン――満貫、12000点だ」

咲「っっ……はいっ!」

和「京太郎くんっ……やりましたね!」

優希「ぐっっ……負けた、けど……見事だったじぇ!」

咲「……ねえ、なんか私、ラスボスみたいになってない?」

和「そ、そんなことは……」

京太郎「いよっしゃあ! お疲れさまでした!」


咲25000→43000→44600→43100→31100
和25000→19000→18200→19700
優希25000→19000→18600→17100
京太郎25000→19000→18600→20100→32100 トップ


京太郎「よしっ、これで次は憧だ!」

和「……前に咲さんと一緒に囲んで、負けたからですか?」

京太郎「そうだよ!」

和「……ふふっ、負けず嫌いですね」

京太郎「まぁな! ふふふ、首洗って待ってろよ!」

和「でも残念です」

京太郎「? なにがだ?」

和「デート、行けなくなっちゃいましたから」クスッ

京太郎「ぁ――あああ、そうだ……もったいないことを……」

和「でも、京太郎くんかっこよかったですから、してあげてもいいですよ?」

京太郎「……マジで?」

和「ちゃんと、然るべきタイミングで誘ってくれたら、ですけど」

京太郎「……難しいな。まあ努力はするよ」


咲「……おかしいなぁ。ああいうの、私の役目じゃない? 最後に逆転されたわけだし」

優希「どーせあの犬のことだじぇ、のどちゃんだって咲ちゃんだって、誘う勇気ないに決まってるじぇ」

咲「……それもそっか♪」


京太郎「……俺だってやるときはやるのよ?」

まこ「ほう」

京太郎「……す、健夜さんと竜華さんと出かけたことあるし(震え声)」

まこ(……冗談じゃろ? ほんまじゃとしたら……ま、黙っといたほうがええか)

京太郎「それじゃ、俺は雀荘のほうへ」

まこ「ああ、こっちのことは気にせんでええからな」

咲「うん! 掃除とか片づけとか、やっとくからね」

京太郎「ああ、それなら心配いらねーよ」

和「はい、私たちに――」

京太郎「掃除はやっといたから」

優希「え――なっ、ほ、ほんとだじぇ!」

まこ「!? いつの間にか、部室が綺麗に……」

和「……さっきまで対局してましたよね?」

咲「……刹那で忘れちゃった」

京太郎「ってことで、行ってきやーっす」


~雀荘:ルーフトップ

京太郎「今日もお世話になります!」

染谷母「はい、よろしくねー。それじゃ、今日の席料はお掃除お願いしようかな」

京太郎「帰り際にしますね」

染谷母「よろしくね~」

京太郎「さて――今日はどの卓にするかなっと」

京太郎「今日、お客さん少ないですね」

久「三人揃ってるのにねぇ」

美穂子「雨ですからね、仕方ないかと」

ゆみ「雨の日ならではの割引、特典をつけるのはどうだろうか」

久「京太郎、お菓子焼いて配りなさいよ」

京太郎「いいですけど……とりあえず、お相手いただいていいですか?」

ゆみ「焼くのはいいのか……」

美穂子「私もお手伝いしていいですか?」

久「いえ――むしろ、美穂子と京太郎で、お菓子作り対決させてイベントに――」

京太郎「あの、対局を……」

京太郎「では――お菓子作りと掃除もあるので、東風戦にしましょうか」

久「あ、ほんとに焼いてくれるんだ」

京太郎「」

ゆみ「お前、ひどいな……」

美穂子「久さん、私も焼きますからね!」

久「あら嬉しい」

京太郎「部長のためじゃなく、お客さん集めのためですよ?」

久「ふーん、私の分はないんだ」

京太郎「……ご用意しますけど」

久「ありがと♪」

ゆみ「とんだ悪女だな……」

久25000→23500
美穂子25000→23500
ゆみ25000→26500
京太郎25000→26500


京太郎「ぐっ……駄目か、美穂子さんが振りきれない……」

美穂子「でもノーテンになってしまったわ……やっぱり上手ね、京太郎くん」ニッコリ

久「いつの間にか、美穂子まで京太郎呼びなのね……」

ゆみ「二人でえらく激しい争いをしていたな……おかげで、テンパイは取れたが」

久「美穂子は相手のアタリ見抜くの、得意だからねー。京太郎、気をつけなさいよ」

京太郎「つけてますよ……つけて、待ち変えてもこれですから……」

美穂子「ふふ、簡単に上がれてもつまらないでしょう?」

ゆみ「はぁ、このメンツで抜けるのも相当疲れるな……さて、どうしたものか……」

久25000→23500
美穂子25000→23500
ゆみ25000→26500→28500
京太郎25000→26500→24500 二位


ゆみ(安牌がなくなったか……さて、次はどうするか……)

美穂子「…………」チラッ

美穂子「…………」トンッ

京太郎「…………っ」

ゆみ(……なるほど、それが切れるならありがたい……)トンッ

京太郎(美穂子さんが、誘導して……あ、これやばくね?)

久「…………」フフッ

京太郎「…………通りますかね」タンッ

ゆみ「――ロンだ。2000点だが、これで終了かな?」

京太郎「あー、はい……お疲れさまでした」

久「美穂子、別に放っておいても、ゆみがそのうちツモったっぽいけど?」

美穂子「はい。でもこれなら、京太郎くんが経験できるじゃないですか」

美穂子「他家のフォローで、強い相手を狙う戦術もある――ということを」

久「――ありがとね、美穂子」

京太郎「……勉強になりました」

美穂子「いえいえ、お役に立ててよかったです」

ゆみ「……ついでに、久を最下位から守れたな」

久「んー? あ、ほんとだわ」

美穂子「そ、そっちは偶然で……///」

京太郎「それじゃ、一位のゆみさんの仕事は、俺が代わりますね」

久「えっ! そういう勝負だったの!?」

ゆみ「取り決めてはいなかったがな……」

京太郎「席代分の仕事はする予定でしたから。それなら、一位の人と代われば、次からの対局にも熱が入るかなーと思いまして」

ゆみ「そうか……では、そうさせてもらおう」

ゆみ「代わりに、君がやる予定だった掃除は私がしておくよ」

京太郎「……部長なら、嬉々として押しつけてくるとこですよ」

久「ちょっと」

ゆみ「働きもしないで給金を得るのは、自分が許せないからな」フッ

京太郎「では一緒にやりましょうか」

ゆみ「ああ。力仕事は、頼らせてもらおう」


久「なーんか、すっかり仲良くなってるわね、あの二人」

美穂子「こっちはこっちでお仕事しましょう、久さん」

久「はいはい、やるわよー。なんだってやりますよーっと」

染谷母「そろそろ閉店よ~」

京太郎「え――あ、ほんとだ。真っ暗だし……まこ先輩にメールしとこうかな」

まこ「もう帰ってきとるわ……お疲れさん、京太郎……と、バイトのお三方」

久「ほーんと疲れたわー」

ゆみ「京太郎くんが手伝ってくれてから、少しずつ客足が増えてきたからな」

美穂子「まるで招き猫ですね」

京太郎「偶然ですって。じゃ、俺はこれで。お疲れさまでした」

まこ「気ぃつけて帰りんさい」

久「あら、私たちは送ってくれないの?」

京太郎「あれ、お迎えじゃないんですか?」

智美(蒲原)「ワハハ、迎えにきたぞ、三人ともー」パッパー

久「」

ゆみ「」

美穂子「あ……ありがとうございます、蒲原さん」

京太郎「では、失礼します」

智美「まーまー、若者。君も乗って行きたまえ」

京太郎「え、いいんですか? ありがとうございます!」

久(……止めないの?)

ゆみ(お前こそ)

美穂子(こ、これもいい経験になりますよ……)


 ――帰り着くまでの記憶が、途中で消えている。

~木曜、夜

京太郎「――はっっ!」

カピー「キュゥゥゥゥゥッ! (ご主人様、よくぞご無事で!)」

京太郎「カピー……ってことは、ここは家か……」

京太郎「ふぅ……なんか恐ろしい目に遭った気がするが、思いだせないな……」


京太郎「さて、とりあえず飯も食ったし――ゆっくりしよう。なぜか疲れてる……働きすぎたかな?」

カピー「キュゥゥ…… (ご主人様は、働くと回復するじゃないですか……)」

京太郎「そうだったな……」

京太郎「疲れを癒すには――」

カピー「キュキュイ! (ボクとの触れ合いですね!)」

京太郎「女の子との電話だな!」

カピー「キュイキュイー (ですよねー)」

京太郎「あとで遊ぼうな、カピー」

カピー「キュッキュウ (やったぜ。)」


京太郎「そうだ、上京した人たちは大丈夫かな……」

京太郎「豊音先輩に電話して、様子を確認してみよう」


京太郎「もしもし、豊音先輩ですか?」

豊音『京太郎くん!? やったー! みんな、京太郎くんだよー!』

京太郎「あっはは……そんな、大袈裟ですよ」

豊音『だってうれしいんだよー』ワーイ

京太郎(かわいい)

京太郎「どうですか、東京に来てからは」

豊音『すごいんだよー。お店がいっぱいでねー、しかも夜遅くまで開いてるんだー。ちょーべんりだよー』

京太郎「それはよかったです。でも、あんまり夜更かしはいけませんからね?」

豊音『はーい』

京太郎「それと――引っ越すの、来週じゃなかったですか?」

豊音『…………みんな、待ちきれなかったんだよー』

京太郎(深くは突っ込まないようにしよう)

京太郎「大学の近くでしたっけ、部屋は」

豊音『うん、そうだよー。だけどね、最近気づいちゃったんだ……』

京太郎「物件に問題でも?」

豊音『ううん、住むところはいいんだけど……大学のことなんだよー』

京太郎「――もしかして、女子大だと俺が進学できないとか、そういう……?」

豊音『ふわぁぁぁぁ……』

豊音『そ、そうなんだよー! ちょーショックだったよー!』

京太郎(わかってて入学したと思ってたんだけど……)

豊音『うぅぅ、京太郎くんが来てくれないなんて、寂しいよー』

京太郎「そうですね……さすがに、女子大に進学するのは……女装しても、戸籍でバレちゃいますし」

豊音『それなら、もう本当の女の子になってもらうしかないよー』

京太郎「無茶言わないでください……でも、可能性はありますよ、色々と」

豊音『女の子になってくれるのー?』

京太郎「いえ、そっちではなく……大学が共学になるかもしれないじゃないですか」

豊音『えええええ! そ、それは困るよー……怖い男の人が入学したら……』

京太郎「そこは学校側が、純粋に勉強したい人だけを集めるように、男子の入学・進級・卒業基準を厳しくしてくれますよ」

豊音『そっかー、それなら安心だねー』

京太郎「それ以外なら――たとえば、全国優勝のご褒美に、女子大に進学できるようにしてもらうとか」

豊音『そ、そんなのできるかな……麻雀関係じゃないよー?』

京太郎「インカレの出場者と打つため、出場者のサポートのため――とかなら、十分でしょ?」

豊音『……っ……うん!』

京太郎「ですから――ひとまず心配はしないでおきましょう」

京太郎「俺の卒業まで、あと二年ありますし……それまでは、大学生活を思いっきり楽しんでください」

豊音『……うん! わかった、そうするねー』

京太郎「なにかしたいことはありますか?」

豊音『えーっと、えっとねー……お花見がしたいよー』

京太郎(大学生活関係ないな……)

豊音『大学生になった私たちと、プロになったシロとー、京太郎くんでね。お花見、ちょーきれいなんだよー』

京太郎「4月の派遣が東京なら、できそうですね……」

豊音『それじゃ、私たちもいっぱい応募するよー』

京太郎「……大学は無理なんで、まあ……白糸台か、行ったことないですけど臨海女子ですかね」

豊音『あ、私たちの家は白糸台のほうが近いから、そっちがいいなー』

京太郎「はは……わかりました。淡とか、尭深先輩、誠子先輩に言っておきましょう」

豊音『うん。私も連絡するよー。楽しみだなー』

京太郎「まぁ――派遣先にならなくても、機会を見つけてしましょう。お花見」

豊音『――いいの……?』

京太郎「もちろんですよ。それに、例年より暖かくなれば、3月に桜が咲くことも珍しくないですから」

豊音『……?』

京太郎「そうなれば――全国大会で、お花見ができるかもしれません」

豊音『!!』

豊音『わっ……』

豊音『わぁぁぁいっ! ちょーうれしいよー!』

京太郎「まだ決まってませんよ。可能性の話です」

豊音『てるてる坊主、いっぱい作っとくよー』

京太郎「まあ、雨よりは晴れのほうが、暖かくなりそうですね」

豊音『えへへー。京太郎くんは、ちゃんと練習して全国に来てねー』

京太郎「はい、頑張ります。なんたって今日は、練習で咲に勝ちましたからね。調子いいですよ」

豊音『宮永さんに? はわわ、すごいよー』

京太郎(まあそのあと、ゆみさんに負けたけど……)

豊音『すごいね、京太郎くんは……私が勝てなかった宮永さんにも勝って、どんどん強くなって……』

豊音『距離が離れてるみたいに、感じちゃうよー』

京太郎「そんなことありません(断言)」

豊音『ふぇ……』

京太郎「俺は俺のままですし、豊音先輩も先輩のままです……」

京太郎「こうやって電話もしてますし、近くに行けば、すぐに会えます」

京太郎「もちろん、豊音先輩が会ってくだされば、ですけど――」

京太郎「俺と会いたくないくらい、距離は離れてますか?」

豊音『っっ! は、離れてないよー! すぐ近くにいるよー!』

京太郎(それはそれで怖――いや、なんでもない)

京太郎「でしょう? なら、俺たちの距離は変わらない……いえ、少しずつ縮まってるんです」

京太郎「互いのことを知るたびに、色んなことを話すたびに――ね」

豊音『京太郎くん……うん!』

京太郎「もっと話しましょう、先輩……そうだ、引っ越しでなにか困ったこととかは、ありませんでしたか?」

豊音『えっとねー、荷物がどれにどれが入ってたかって――』

京太郎「そういうのは、メモを別に作って持って行くんです。箱には記号を書いて、メモには記号の中身を書いておけば、あとで見てわかります」

豊音『な、なるほどー。あとはねー、おっきな箱に本を入れちゃってー』

京太郎「大きい箱には軽くてかさばるもの、服とかですよね。調べてみると、そういうちょっとしたテクニックって多いんですよ」

豊音『京太郎くん、色々知ってるね』

京太郎「はっはっは、これでも引っ越し、7回してますからね」

豊音『あはは、そうだったねー』


 ――楽しい会話で、夜も更けてゆく。

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最終更新:2026年01月17日 13:31