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【6月最終日】

 空港に向かっているところです。駅までのお見送り、ありがとうございました。
 北から南ということで、気温の変化が気になりますが、いつかのように体調を崩さないよう気をつけないと。
 それでは、7月にお世話になる新道寺のみなさん、よろしくお願いします。

……………………

「……お別れのときは、こんなもんだっけ?」
「まぁ8月あるからかなー。あんましんみりしてねーな」
「なに言ってるんですか! 私はこれから一ヶ月、悲しくて仕方ありません!」
「ユキのガチ切れとか初めて見るんだけど……」
「私も……やっぱり、寂しいです……」ウルッ
「成香先輩!」ヒシッ
「ユキちゃん!」ヒシッ
「……成香がすっかり虜になってる」
「相当のことがねーと、こうはなんねーぞ……なにしたの、あいつ」
「私もよく知らねー。けど気づいたら、成香さんって呼んでやがった。なにやったんだろねー」


~6月末日、続き


~新千歳→福岡→小倉(ってなると思われる、おそらく)

京太郎「ここが福岡か……あれ、そういえば昔、こっちのほうに住んでたんだっけか……」

京太郎「って言っても、すげぇガキの頃だって話だし、覚えてないか……見た感じ、どこになにがあるとかさっぱりわかんねーしな」

京太郎「とりあえず、地図で調べといた住所に……と」


~新道寺近辺

京太郎「おお、思ったより新しいアパートっぽい……なんと、オール電化らしいからな!」

京太郎「まぁ火力調整が難しいんだけど、その辺も含めて楽しみだな……とはいえ、引っ越しは明日だ」

京太郎「今日はひとまず、駅前のビジホに泊まるって決めてるから……急ごう」


~再び小倉、某ビジホ

京太郎「ふー、落ち着いた……さすがに理沙さんとか利仙さんはいなかったな」

京太郎「まぁ二人とも、レジェンドよりは大人だからな……さて――」

京太郎「とりあえず飯食いに行く店を決めて、と……その前に、新道寺のデータチェックしておくか」

京太郎「まずは、去年対象で今年から部長になった鶴田姫子先輩――」

京太郎「哩さんと並ぶことで、なんらかのオカルトが働いたって話だけど……その哩さんがいない状態でも、変わらず大将だ」

京太郎「部長でもあるわけだし、そこを任せられる人ってことかな」

京太郎「準決勝の牌譜を見る限りは、確かに哩さんが上がった局では倍の結果で上がってる……これはこれですごいけど――」

京太郎「……失点もかなりすごいな。まぁ相手が悪いってのはあるか、うん」

竜華「くちゅんっ」

穏乃「ぷしっ!」

淡「えっくしょいっっ!!」

尭深「豪快……」

誠子「お前はうちの顔なんだから、もうちょっとお淑やかに頼むよ……」

淡「んー、わかってる……」ズズッ

京太郎「一応、今年の予選では失点は抑え目、個人戦も全国枠に入ってる……打ち回しとしては、まったく悪くない……」

京太郎「去年のあれも、よく見れば点差があったからな……無理をしないと逆転できなかった、その結果っていうのもあるか」

京太郎「で――続くは、去年の夏に先鋒で踏ん張ってた、花田煌先輩……今年は副部長らしいな」

京太郎「今年も先鋒……っていうのも、新道寺はこのところエース不足って話だったか」

京太郎「他校エースに競り負けて勝てない、だからそこで競り負けるのは予定調和として、以降で得点を積んで勝ち上がる形に切り替えたとか」

京太郎「だけど、競り負けて飛んでしまったら意味がない――それゆえに花田先輩を置いた、って話だ」

京太郎「絶対に飛ばない、そんな打ち方ってあるのか……?」

京太郎(………………飛ばしてみたい)ウズッ

京太郎「――ハッ! お、俺はなんて考えを……」ブンブンッ

京太郎「さて、気を取り直して――あとは、去年チーム内ランキング5位だったのに、レギュラー外れたっていう友清先輩」

京太郎「哩さんに聞いたのが本当なら、絶対に飛ばない花田先輩を他校エースに合わせて凌ぐ、ってのが去年の戦術だった」

京太郎「で、哩さんと鶴田先輩を並べるのを軸に、ランキング上位を大将から順に並べたのが去年のオーダー……友清先輩、悔しかっただろうな」

京太郎「今年は中堅に入ってるけど、戦術が同じなら、実質的には、大将がエースのチームってことだよな」

京太郎「哩さんがベタ褒めしてた鶴田先輩、どんな人なんだろう……」


京太郎「うーん、牌譜だけじゃ見えてこないか。仕方ない、それは直接、この目で確認しよう」

京太郎「よし! 確認も済んだことだし、そろそろ――」パンッ

京太郎「よし、飯だ飯だ!」

京太郎「コレクション選ばれた場合に備えて、選択肢8まで作ってたなんて、些細なことだ!」


~小倉駅周辺

京太郎「さて――なに食うかなぁ」

京太郎「北海道との食べ比べで、海の幸が食べられそうな小料理屋か、寿司か……」

京太郎「せっかくの福岡、博多ラーメンいっとくか……」

京太郎「落ち着け、俺は腹が減ってるだけなんだ……」

京太郎「ええい、ここだ! 入っちまえ!」

「いらっしゃい!」

京太郎(おお、なんだなんだ。いい雰囲気じゃないか)

京太郎「――うなぎ?」

京太郎(なるほど、そういうのもあるのか……って、金大丈夫だっけ……?)チラッ

京太郎(移動もあったからな、多めに持っていてよかった。さて――)

京太郎「なら明日からに備えて、いっちょ鰻丼で精をつけておくとするか」

由暉子「!」ガタッ

憧「ふきゅ」

春(うちも鰻にしよう……)

京太郎(ふーむ、しかし……いい値段するな。松竹梅と……そして梅が一番高いと)

京太郎(松竹梅ってのはそもそもランクではなく、それらまとめてめでたく、縁起がいいって意味合いが強いらしい)

京太郎(店によっては松が最上位だったり、梅が最上位多だったりするんだよなぁ……)

「ご注文、いかがなさいますか」

京太郎「っと、やべ……ふーむ」

京太郎(辻とかで見慣れたせいか、そこまで高いと感じない……高校生でこれはまずいよなぁ)

京太郎(まぁいまは気にせず、とにかく腹ごしらえだ)

京太郎「じゃあ鰻丼の松を」

京太郎「それから別に、肝吸いと肝焼き、うざくもお願いします」

「ありがとうございます、少々お待ちください」

京太郎「……う巻きも頼めばよかったかな。ま、そこはあとで考えよう」


京太郎「しかし、この席だと……仕事してるとこが見えるな。これは嬉しい」

京太郎「鰻はまだ、捌いたことないしな……焼きまで含めて、色々見させてもらおう」

京太郎「――こう押さえて、こう留める……で、包丁を立ててこう――」スッ スッ

「……あら、もしかしてどちらかの料理人さんでした?」

京太郎「はい!? いえっ、すいません! ただの趣味の料理好きでして……鰻は捌いたことないので、見てたらついイメトレを……」

「それにしては、いい手際でしたねぇ……っと、お待たせしました。こちらうざくと、肝焼きになります」

京太郎「おお、うまそう!」

「丼と肝吸い、もう少しでお持ちしますので。ごゆっくり」

京太郎「はい、どうも」

京太郎「では――いただきますっ!」

京太郎「――ごちそうさまでした!」

京太郎「あー……鰻か、久しぶりに食った気がするな。家じゃあんまり食わないし……」

京太郎「季節によっては、松実館とか辻でもだすのかな……あ、だす側じゃ食えないか……」

京太郎「養殖なら静岡か……うーん、学校ないしなぁ、派遣先……」

もこ「!」ガタッ
蘭子「!!」ガタタッ

絃「落ち着いて」

利仙「裏ルートでなければ、単独校派遣はできませんからねぇ」

憩「そもそももこちゃんは愛知ちゃうの……?」

京太郎「ま――しょっちゅう食うものでもなく、こうやってたまに食うから特別感あるんだよなぁ、鰻」

京太郎「さて、明日から頑張るか」

~6月末日おまけ、終了


~7月0日


~新住居

京太郎「――ほい、荷物整理終了。手伝いなんていらねえんだよ!」

京太郎「さて、余裕もできたし付近の地理を確認しておくとしようか」

京太郎「……うん、見事な田園風景。買い物は……この辺りか、もう少し移動すればショピングセンターがあるな………」

京太郎「なら、駅周辺をしっかり見ておこう。そうしよう」


~某駅

京太郎「……暑い」

京太郎「いや、7月だし当然なんだけど……え、こんな暑かったっけ? 九州って……」

京太郎「鹿児島にいたのも9月だし、そこまで気温の差はないと思うんだけど……あのときは派遣始めたばっかで緊張してたから、気にならなかったのか……」

京太郎「ああああああ、暑い!」

京太郎「高地育ちだから、暑いの苦手なんだよ……この中を執事服で通うのは、結構つらいかもしれん……」

京太郎「とりあえず、どっかで暑さを凌ぐとするか……」

京太郎「はぁ、生き返る……」

「らっしゃっせー」

京太郎「一人です。禁煙席で」

「テラス席なんてどっしょー、今日なんていい天気っすけどー」

京太郎「いや、暑いんで……」

「ですよねー。じゃ、あっちのガラス扉の奥――」

京太郎「うーす」

「以外は禁煙なのでー、どこでもー」

京太郎「分煙……隔離されてるのか……」

京太郎「ああ、なんか冷たくて甘いものが欲しい……クリームソーダで」

「うい、かしこまー」

京太郎「……あと、さっきから思ってたんだけど」

「なんっしょー」

京太郎「お前モブ子だろ」

「……人違いです」

京太郎「まぁいいか。明日学校でわかることだし」

「覚えてろ!」

京太郎「やっぱりじゃねぇか! もういいから、クリームソーダはよ」

「へーい、コーラフロートいっちょー」

京太郎「ちっげぇだろ!!」

??「あらあら、案外かわいいものを頼むのね、京太郎くん」

京太郎「――っっ!」

京太郎「こ、この声は――」

霞「こんにちは、奇遇ねえ」

京太郎「霞先輩……」

霞「さ・ん♪」

京太郎「あ、はい……霞さん、えと……ご無沙汰しております」

霞「本当にねぇ。なかなか来てくれないから、滅多に会えないんだもの」

京太郎「う、すいません……というか、どうしてこんなところに?」

霞「卒業してから、家のお勤めが色々とあってね……北九州にもたまに足を運ぶのよ」

京太郎「なるほど、いまは一休みってとこですか」

霞「そういうことになるわね。あ、こっちの席にいらっしゃい、よければ」

京太郎「いいんですか?」

霞「ええ、一人で過ごすより、そのほうがずっといいわ」

京太郎「ではお言葉に甘えて――」

??「いけませんよ、京太郎さん。そのような毒婦の言葉に乗せられては――」

京太郎「えっ」

霞「何者――いえ、この声は……っ」

利仙「お久しゅうございます、京太郎さん」

京太郎「利仙さんまで!」

霞「チッ」

利仙「あら、いま舌打ちされましたか?」

霞「うふふ、とんでもない言いがかりですこと」

京太郎(あれ、なんだか店の気温が下がったような……)

利仙「そういえば、今月は新道寺でしたね。いかがですか、福岡は。北海道とは温度差が激しいでしょうか」

霞「……あなたをこの席に招いた記憶はないのだけれど」

利仙「女性と二人きりでは、あらぬ誤解を受けかねませんからね。京太郎さんのためです」

霞「……京太郎くんは、藤原さんも一緒で大丈夫かしら」

京太郎「え、あ、はい……か、霞さんさえよろしければ」

霞「あら、私に断る理由はないわよ?」ニッコリ

京太郎「で、ですよねー」

利仙「ふふふ、それはなによりです」

京太郎(んもおおおおおおおおおお! クリームソーダの味がわかんねええええええええ!)

霞「鹿児島以来の九州よね。新居は近くなのかしら」

京太郎「あ、はい。歩いて十分ちょっとってとこです」

霞「学校からも近いみたいね、それなら。ここから学校までの、間くらいにあるのかしら」

利仙「住所を詮索するようなのは、少しはしたないのではありませんか?」

霞「ふふ、ただの世間話よ? それをはしたなく感じるなんて、なにを想像していらっしゃるのかしら」

京太郎「」

利仙「普段の石戸さんの様子と照らし合わせてのものですよ?」

霞「まぁ、それはそれは……眼鏡かコンタクト、おつけになったらいかがかしら」

京太郎(もおおおおおおおお! なんでこの二人こんな仲悪いのおおおおおおおおおおお!?)

春「説明、する……二人は小学校が同じで、そのときになにかがあった……」

初美「というオリ設定ですよー」

小蒔「実在の霞ちゃん、利仙ちゃんはとってもいい子たちで、とっても仲がいいはずです、はい!」

明星「実在の……?」

湧「深く突っ込まない」

~十数分後

京太郎(あー、なんか一時間くらいこうしてる気分……)

霞「それじゃ、学校のほうはまだ見てないの?」

京太郎「道だけ調べたって感じですね。転校手続きも、明日からだと思うので」

利仙「でしたら、下見に行くのはいかがでしょう。地元チームのプロ選手がいれば、身分の証明も容易ですし」

霞「――っ!」

京太郎「ああ、いいですね――」

霞「……そういう、地位を笠に着てというのは、関係者の方もお困りになるのではないかしら?」

京太郎「なるほど……確かに、それも……」

利仙「普段から出入りしていますから、それほど強権を行使するわけでもないのですけれど」

霞「だとしても、一人で行くのと殿方を連れて行くのとでは、先方のご苦労も違うと思うわ」

京太郎(あ、これあかんやつや)

霞「ね、京太郎くん――」

利仙「もし、京太郎さん――」

京太郎(やっべ、逃げ――)

霞「今日のところは、駅前の散策に徹しておきましょう?」

利仙「学校を見ておくと、明日からの苦労も変わりますよ?」

京太郎(られなかった……)

モブ子「知らなかったのか? 大魔王からは逃げられない……」

京太郎「それ照さんだから」

利仙「まぁ、京太郎さんったら」

霞「照さんに悪いわよ、ふふっ」

京太郎(やっべ)

京太郎「――――よし」

京太郎「学校を見に行こうと思います」

利仙「っ!」ガッツポ

霞「…………そう」

京太郎「すいません、気を遣っていただいたのに」

霞「ううん、気にしないで。それに私も、少ししたらお勤めに戻らないといけないから、あまり付き合えないものね」

京太郎「そうですか……あ、ではまたお近くに寄られましたら、ぜひお声をかけてください」

霞「ええ、覚えておくわね」

利仙「では、もう少し涼んだら、学校に向かいましょうか。お店を出る頃に連絡しておけば、入れるかと思いますから」

京太郎「あ、よろしくお願いします」

利仙「そうそう、学校関連の書類がありましたら、お持ちくださいな。話を通しやすくなりますし」

京太郎「なるほど……あ、でも家に置いてきましたね。しまったな……」

利仙「では、途中で回収いたしましょう。反対方向というなら手間ですが、進路上で少し寄り道する程度であれば、問題ありませんよ」

霞「なっ……ちょっと利仙! さっきあんなこと言っておいて!」

利仙「霞には関係ないことでしょう? さ、時間がないならお早いうちに、お勤めに戻られたらいかがです?」

霞「っっ……くっ、うぅぅっっ……」

利仙(ドヤァ)

霞「……やむを、得ないわね……ここはあなたのホームだもの、退いておくわ……」

利仙「懸命な判断ですこと」

京太郎(この人たちはなにと戦っているんだろう……)

霞「すぅ、はぁ……それじゃあ京太郎くん、身体と利仙に気をつけて。また会いましょうね」

京太郎「あ、はい。お疲れ様……です……」

京太郎(普通に呼び捨てする仲なんだな、二人……)

利仙「ふふ、二人きりになってしまいましたね」

京太郎「え、ええ、そうですね……(なんか追い払ってたような気もしますが)」

利仙「とはいえ、初めてお会いしたときも、このような形だったかと思いますが」

京太郎「そうですね、懐かしいです」

利仙「京太郎さんは、随分と逞しくなられました……雰囲気も変わりましたし、麻雀の腕も目を見張るほどですものね」

京太郎「いえ、そんな……まだまだです」

利仙「その謙虚なところは相変わらず……けして天狗にならないのが、あなたの美徳というものでしょうか」

京太郎「利仙さんこそ、チームの新人で華も実もある、人気プレイヤーじゃないですか」

利仙「え、あ……そんな、ことは……」モジモジ

京太郎「それを鼻にかけないところが、人気の秘訣なんでしょうか」

利仙「……もう、意趣返しですか?」

京太郎「そんなつもりはありませんって。素直に、綺麗な方がしっかりと結果を残しているから、自然と人気もついてくるんだなと思ったんです」

利仙「……ふふっ、そう言っていただけると……励んできた甲斐もあります」

利仙「まぁ、一番人気にはまだまだ――なのですけれどね」

京太郎「――理沙さん、強いですからね」

利仙「はい。その上で愛らしく、面倒見もよく……本当に尊敬できる、越えなければならない相手です」

京太郎「向こうも、越えられまいとするわけですからね……そうしてプロの人たちは、どんどん強くなっていくわけか……」

利仙「ふふ、毎日が戦いですから。さて――そろそろ頃合いでしょうか」

京太郎「ん……そうですね。あまり居座ると、学校に行く時間がなくなります」

利仙「わたくしとしましては、このまま二人きりでお茶を続けてもよいのですけれど……派遣執事である京太郎さんの邪魔はできませんからね。参りましょう」

京太郎「はい」



~ということで学校

京太郎「――ここが新道寺女子」

利仙「理沙さんの卒業校でもありますね。話は通してありますので、どうぞ」

京太郎「あ、はい――さっそく、麻雀部に?」

利仙「そうですね。対局する時間はなさそうですが……部長さんか副部長さんのどちらかには、ご挨拶できるのではないでしょうか」

利仙「役職者はこの時期、部活間での仕事も多いんですよ」

京太郎「ああ、そういえば……清澄でもそんなでしたね」

利仙「他校では、そういった仕事はされてないのですか?」

京太郎「うーん……よっぽど部長がアレだったら手伝いそうですけど、どこもそんなことなかったので」

利仙「ふふ、皆さん麻雀が好きですからね……果たさねばならない義務を怠ると、気持ちよく麻雀ができないということを、わかっていらっしゃるんです」

利仙「さ、着きましたよ。お入りくださいませ」

京太郎「はい――って、えっ? 俺からですか?」

利仙「こういうときは殿方が前、奥方は影を踏まぬよう、後ろに従うものですわ」

京太郎「ええ……」

利仙「まぁまぁ、細かいことは気になさらず。さ、どうぞ♪」ドンッ

京太郎「イタイッシュ!」ガンッ

利仙「あら、失礼を――では改めまして」ガチャッ

利仙「さ、どうぞお入りになってくださいませ」

京太郎「う……し、失礼しまーすっっ!」

煌「すばっ?」

京太郎「こ、こんにちはっ……と、はじめまして!」

煌「おや、どなたかと思えば――須賀京太郎くん、ですね」キランッ

京太郎「は、はい! 有珠山女学園より参りました、清澄の須賀京太郎です! よろしくお願いします!」

煌「すばらです! おっと、申し遅れました。私は新道寺女子麻雀部にて、今年より副部長を務めております、花田煌と申します。どうぞよろしく」スッ

京太郎「和や優希、ムロやミカの先輩……で、いらっしゃいますよね」

煌「すばら! ご存じでいらっしゃったとは、嬉しい限り!」

京太郎「よく話に上がりますからね、いい先輩でしたって。ミカも先輩を慕って、新道寺を受けようとしてたなんて話も」

煌「そうなのですよねぇ……ですが残念ながら、突然進路を変更し、清澄に入学したのです。それはそれで、彼女にとってすばらな選択だったのでしょうけれど」

京太郎「う……そ、そうですね」

煌「ふふっ、大丈夫です。あなた会いたさに行ったことも、想像がついていますからね! 私も逆の立場なら、そうしていたことでしょう」

京太郎「そ、そう言っていただけると……でも、寂しい思いをされたのでは?」

煌「いえいえ、新道寺の皆さんはとてもいい方ですからね。友人にも恵まれました……寂しいと感じた日は一度もありませんよ、ええ」

京太郎「……いい学校なんですね、本当に」

煌「もちろん、それは私が保障しましょう! と――」

利仙「……初めて会ったとは思えないほど、スムーズに会話なさっていましたね」

京太郎「あっ、すいません!」

利仙「いえいえ……こんにちは、煌さん」

煌「これは藤原プロ! ようこそお越しに――あ、ですがそろそろ練習は……」

利仙「ええ、構いませんよ。今日はこちらの、京太郎さんを案内させていただいただけですので」

煌「それはそれは、お疲れさまでした。ご足労をおかけしまして……ただいま冷たいものをお持ちしますので、奥でおかけになってください」

利仙「では、お言葉に甘えまして、失礼いたします」

京太郎「――大丈夫です、花田先輩」

煌「は?」

京太郎「俺がご用意いたします、どうぞ先輩も。よければ、ご一緒に――」

京太郎「――どうぞ。申し訳ないことに、アイスティーしかご用意できませんでしたが」

利仙(見えませんでした)

煌「すばっ!? と、突然目の前にティーセットが……?」

京太郎「お茶請けに、せめてスコーンかカップケーキくらいはご用意したかったんですが……保存の利く、ハーブクッキーくらいしかなくて」スッ

利仙(十分過ぎるような……)

煌「は、はは、ははは……さ、さすがですね、須賀くん……」

京太郎「よろしければ、京太郎とお呼びください」ペッコリン

煌「では――京太郎くん。私のことも、名前で構いませんので」

京太郎「はい、煌先輩」ニコッ

煌「うっ……///」キュゥン

京太郎「どうかされましたか、煌先輩?」

煌「い、いえいえいえ! やはり今日は暑いなと思いまして、ええ! 冷たいアイスティー、ありがとうございます!」

京太郎「よかった……シロップとミルクもございますので、お好みでどうぞ」

利仙(はぁ、これは……さすがは京太郎さん、と考えるべきなのでしょうか)

煌「ふぅ……さて、一息つかせていただいたところでなんですが、対局室のほうへ参りましょうか。他の部員にも、紹介させていただきますので」

京太郎「そうですね。それに、あとは部長さん、鶴田先輩ですけど……」

煌「ただいま部長会議に行ってまして、部活の終了より遅くなりそうですね。明日からはテスト前期間ともなりますし、話し合う事項が多いそうで」

京太郎「では、そちらは明日以降ですね」

煌「ええ、よろしくお願いします。藤原プロも、よろしければ少し様子を見て、なにかお言葉をいただけましたらと思いますが……」

利仙「はい、ご一緒させていただきましょう」


~対局室

『ざわぁっ……』

京太郎(あ、モブ子いねぇ……あいつ部活サボってバイトかよ)

煌「はいはい、皆さん静粛に! ご存知の方も多かろうと思いますが、こちらはあの、派遣執事として有名な須賀京太郎くんです」

京太郎「あ、あのって……」

利仙「人気者ですからねぇ……わたくしなどより、よほど♪」

京太郎「は、はは……」

煌「実力はおそらく、部内の誰よりも優れているかと思われますので、そちらのほうの指導にも協力いただければと思っています」

煌「また、来週からテストですが――その勉強のほうも、お願いできますか?」

京太郎「ええ、もちろんです。俺にわかることでしたら、なんでもお答えしますので、お好きにお尋ねください」ニッコリ

「ん?」
「いま?」
「なんでん?」
「よかち?」
「言うたと?」

京太郎(博多弁かわええ……)

哩(うちも使うとったとやろ……佐賀弁やけど) ※結構違うらしいっすね。自分、全然わかんないんで適当に書いてますが……いまだに佐賀弁講座待ってます

煌「では、そういうわけで――明日からは彼も含め、新道寺女子は全国に向けて一丸となり、邁進いたしましょう!」

「あふん」
「結婚してええええええええ!」
「邁進すりゅうううううううううう!」

京太郎「」

利仙「ここはなんの巣窟ですか」

煌「お、おかしいですねっ、こんなはずでは――と、とにかくよろしくお願いします、京太郎くん!」

京太郎「あ、はい……よろしくお願いします、皆さん」ニコッ

「んはぁっっ!」
「」ビクンッビクンッ
「きょ、京太郎しゃまぁぁ……」

京太郎(母さん、部活の女子の反応が怖かとです……)

須賀母(知らんがな)

京太郎(ですよねー)


~なんやかんやで女子たちを鎮まらせて(気絶しただけ)

京太郎「なるほど、いま終えられた、最終卓の試合牌譜ですか……」

煌「よければなにか、アドバイスをと――明日からは練習できませんので、いま聞いておくのが為になるかと思いますので」

京太郎「いいんですか? できれば部長許可を取るべきかと……」

煌「姫子さんも、色々と考えてはいらっしゃるのですが……基本的に、京太郎くんが麻雀についてなにか仰ることがあれば、参考にするようにとの考えですからね」

京太郎「そうですか……わかりました。では、拝見します」

利仙「わたくしも見せていただけます?」

京太郎「あ、はい。では一緒に……おうっ」

利仙「はい? どうかさないましたか?」ムニュウ

京太郎「ほ、べ、別に……」

利仙「うふふ、おかしな京太郎さんです……」

京太郎(き、着物って押さえて見えるのに……押さえきれて、ない!)カッ

煌(ムムムッ、さすがは男子チャンピオン……すばらな眼光です!)

利仙(首筋と耳元、どちらに息を吹きかけるべきでしょうか……)シンケンッ

京太郎「――なるほど。さすが全国常連校、皆さんいい打ち筋ですね」

煌「お褒めいただき、すばらな限り」

利仙「私の目からは、修正点が見えにくいですね……確かに最下位の方は、無茶な打ち回しもありますけれど……」

京太郎「はい。得点差を返すために、この冒険は仕方ないというところですね……ただ――」

煌「ただ……?」

京太郎「この打ち方からは、練習だからという意思を感じます。それに失敗したあとの局にも、それを気にした様子がない」

煌「ほう……」

利仙「一理あるとは思いますが……問題でも?」

京太郎「いえ、問題というほどではないんですが……こういった意識の積み重ねは、本番に影響を与えます」

京太郎「俺自身が、どうせ負けると思って大会に臨んだのと、同じ印象を受けるので」

煌「そんなことが……?」

京太郎「はは……お恥ずかしながら。初心者だから仕方ない、なんて甘えたことも考えてましたからね。それで強い奴らに混ざって打って、最下位常連でしたから」

煌「……初めての子には、優しく指導するようにと教えていたつもりだったのですが……」ハァ

京太郎「ああああ、あいつらも悪気があってのことじゃないですし! 大会前で、必死だったんですから!」

利仙「それで――話を戻すと?」

京太郎「っと……これは一案なんですが、練習にシチュエーションを盛り込んでみてはどうかな、と思います」

煌「シチュエーション、ですか」

利仙「衣装を変えてみる……?」

京太郎「そういうのじゃなくて!」

利仙「あら、失礼いたしました」テヘペロ

京太郎(かわいいから許そう……)

京太郎「つまり――状況を設定するってことです。こういう状況で、こういう点差、無茶をする段階かを考え、時には繋いで終わるというパターンも想定してみるんです」

利仙「無理な冒険を、あえてしないということですか?」

京太郎「防御の意識を磨く、という意味合いもありますからね。こちらの皆さんは、活気ある九州の雰囲気をうけていらっしゃるのか、攻撃面は本当に気持ちがいい麻雀です」

京太郎「ただ、その分どうしても、防御の意思が弱いので……意識して失点を避ける、そんな練習が必要になるはずです。来月のことを考えるなら」

利仙「なるほど……面白いかもしれませんね」

京太郎「煌先輩、いかがでしょうか」

煌「――すばらです!」

京太郎「うお!」

煌「すばらっ……目から鱗、新風を吹き込む意見でした! これは部長にも伝え、再来週からの練習に取り込んでいきたく思います!」

京太郎「よ、よろしくお願いします……では、総括はそんな形で――あとは個別に意見を伝えたいので、打っていた方たちを順に、集めていただけますか?」

煌「え――」

京太郎「それぞれのいいところ、悪いところをしっかりと指摘し、修正しないと……実のある練習になりません」

煌「わ、わかりましたっ! では皆さん、A卓から順に並んで、京太郎くんの指導を――」

利仙(はぁ……この意識の高さ、麻雀に向き合う姿勢……どうすれば、どんな指導を受けてくれば、ここまでになるというのでしょうか……)


良子「私のせいではありません」

健夜「私も知らないなぁ。普通にしただけだもん」

はやり「あのさぁ……」

理沙「ひどい!」プンプンッ

咏「いや、全員同罪じゃね?」



~指導終了

京太郎「――ふぅ」

煌「お疲れさまでした、京太郎くん」

京太郎「はい、お疲れさまです」

煌「あとは片づけと掃除だけですので、京太郎くんはお先に上がっていただいて、大丈夫ですよ」

京太郎「! それこそぜひお手伝いを!」

煌「――と、仰るとは思っていました。ですが京太郎くん、それに藤原プロを付き合わせるおつもりで?」

京太郎「いや、そんなはず――あっ」

煌「であれば、藤原プロをお送りする必要があります……大任ですよ、これは」

京太郎「……心得ました」

煌「話が早くて助かります。では京太郎くん、丁重にお送りするように。よろしいですね?」

京太郎「はっ……では利仙さん、博多までお送りしましょう」

利仙「え……い、いえ、さすがにそれは遠いので……明日はオフですから、タクシーかホテルをと考えていたのですが……」

京太郎「タクシーは、すでに手配を?」

利仙「いえ。それなら小倉に呼んで、そこまでは移動しようかと考えていました。ただ疲れましたし、小倉駅周辺で宿を取ったほうがよさそうですね、今夜は」

京太郎「では――」

利仙「ええ、ですから京太郎くんは、ご自宅の前までご一緒くだされば、それで――」

京太郎「もったいないですし、俺の家でよかったら泊まってってくださいよ。そんなに荷物ないのに広い部屋なんで、一室余ってまして――」

利仙「」

煌「すばらぁっ!」ベシッッ

京太郎「あたっ!」

煌「丁重にっっ! 失礼ないようにと言ったでしょおおおおおおおおお!」グイッ

京太郎「ひぎぃっ、す、すいませんっ!」

利仙「い、いいいいい、いえっ、驚いただけで大丈夫です。ノープロブレムですので、泊まらせていた、いたったたただきままま……」

煌「落ち着いてください! 完璧に動揺されてますよ!」

京太郎「いえ、あの、ほんと他意はなくて……」

煌「他意なしでも言うのは問題ですよおおおおおお!」

京太郎「ですよね! すいません!」

利仙「ああ、でも下着、下着が……というか寝間着も……どうしましょう、どこかで買い物……ああ、もう時間も遅いですね、どうしましょう……」オロオロ

煌「ホテル! ホテルに行ってください!」

利仙「ええ!? じ、じじ、自宅より難易度が高いような……」

煌「なんの話をなさってるのですか!?」

京太郎(あー……そういえば、この辺ってなんか、モーテル多かったな……学校近いのに、いいのか?)

 ――結局、小倉までお送りしました。

~7月0日終了


~7月初日


京太郎「ん~~~~~っ……今日から新道寺か……」

京太郎「ひとまず、自主練以外は禁止ってのが厳しいけど……テスト期間なら仕方ないな」

京太郎「さて、自主練に励むか、テストに集中するか、いまのうちに庶務を片づけておくか……悩ましいところだけど――」

京太郎「――よし、ここは自主練だな。朝と夜は、家でプロの牌譜研究だ!」

京太郎「そろそろネトマ復活させようと考えてるって噂も……東風戦限定にすれば、時間もかからないしな」

京太郎「麻雀ありの会話(電話)みたいな感じを予定してるらしい」

京太郎「……あくまで予定だからね? 未定なんだゾ」


~学校


京太郎「えーっと、北海道から参りました、須賀きょ――」

『きゃああああああああああああ!』

京太郎「」

「知ってた」

京太郎「いえ、先生……知ってたではなく、対応を……」

「そら無理よ……やってほら、うちっとこ麻雀強豪校やろ?」

京太郎「ですね」

「やけん、麻雀部員もようけおっとばい。こんクラスも、ほとんどそうやけん……昨日顔だしたんが、運の尽きやったねぇ」

京太郎「いや、部員じゃない人もいると思うんですけど……その人たちもおかしくないですか?」

「そいな――んー……まぁ、ほら……女子校やけん」

京太郎「よそでもこんなじゃなかったですよ!?」

「ほんなこつ?」

京太郎「う……いえ、その……似たようなことは、何度か……」

「ほら見んしゃい。ちゅーわけで、先生もう知らんけん……みんなー! あとは煮るなり焼くなり、好きんしたってよかよー」

『いやっふうううううううううううううう』

京太郎(帰りたくなってきた……)

モブ子「いやっふううううううううううう!」

京太郎「おめーまでなにやってんだよ!!」

モブ子「あ、つい……おーし、そんじゃ部活行くか!」

京太郎「待て、授業は――」

モブ子「初日にんなもん受けてられっかー! 行くぞ、部室だ!」

京太郎(初日は俺だけで、お前はここの生徒扱いだろ……)



~ということで部活……部活? まぁ放課後麻雀部です

煌「すばらっ! 学校はどうですか、京太郎くん!」

京太郎「すばっ――あ、お疲れさまです。いい学校ですけど、ちょっとクラスメートが元気すぎる気がします」

煌「ええ、元気なのはいいことですね」

京太郎(ふふ、話を聞いてくれません……)

煌「歓声は三年の教室まで聞こえていましたからね。かくいう三年生も、二年の男子、二年の男子と、目を血走らせていましてね」

京太郎(この学校おかしくないですか)

煌「私のところにも詰めかけ、会わせて、お願い、なんでもしますから――と、それはそれは大騒ぎでしたよ」

京太郎「そうですか……すいません、ご迷惑をおかけしまして」

煌「いえいえ、構いませんよ。後輩が人気者で、誇らしい限りです」ペカー

京太郎(おお、後光が差してる……)アリガタヤ

煌「さて――本当なら部活なのですが、本日からテスト週間ですからね……とはいえ、成績不振者は全国出場が許されません!」

京太郎「押忍!」

煌「レギュラーのみならず、控え、二軍、三軍に至るまでテストを乗り切るべく、放課後はここで勉強会です」

京太郎「すばらしいお考えです」

煌「そのうち姫子も来るでしょうから、それまでに部屋の割り振りとリーダーを決めてしまいましょう」

京太郎(おお、手慣れていらっしゃる……実務は煌先輩が担当なのかな? で、鶴田先輩は、象徴的な実力リーダーってことか……)

煌「ん? 噂をすれば……ほら、来たようですよ、京太郎くん」

京太郎「ああ、足音が――」

煌「しっかり挨拶を決めて、姫子の信頼を勝ち取ってください!」

京太郎「わっかりました!」

ガラッ
姫子「お疲れさ……ん?」

京太郎「お、お疲れさまですっ!」

姫子「なんで男子――あ、ああ、そっか! お前があの――」

京太郎「は、はい! 本日よりこちらでお世話になります、須賀京太郎と申します! よろしくお願いします!」

姫子「………………」トゥンク

京太郎「…………あ、あの……?」

姫子「――っ! な、なんでんなか!」カァッ

京太郎「はいっ、失礼しました!!」

姫子「ああ、いや……うん……別に、なんも悪ぅなかけん、そんな焦らんでよかよ」

京太郎「ありがとうございますっ!」ニコッ

姫子「うっ……」トゥンク

煌(こうかはばつぐんだ!)

姫子(せ、先輩に話ば聞いたときは、どげんしてやろうかち思とったとやけど……)

姫子(………………)チラッ

京太郎「教室、いくつ使えるんですか?」

煌「大きさ別で、4部屋ありますからね。学年別に分かれて、問題児は一室に集めましょうか」

京太郎「いるんですか、問題児……」

煌「ははは、大きい学校ですからねぇ」

姫子(…………めっっっっっっちゃよか男やなかか!!)

姫子(これは、あの先輩がデレッデレんなるわけばい……ああああああ……)

姫子(い、いかんで、姫子っ……お前には先輩がおっと……こ、こんなとこで、たかが一人の男に――)

京太郎「あの、姫子せんぱ――」

姫子「うひぃっ!?」ビビクンッ

京太郎「っと……すいません、あの……鶴田先輩?」

姫子「姫子でよか!」

京太郎「あ、はい――姫子先輩」

姫子「~~~~~~っっっ!」カァァァッッ

京太郎「で、あの、部屋割りのことなんですけど……あ、勉強会のですけど――」

姫子「お……」

京太郎「お?」

姫子「お外走ってくるうううううううううううううううううう!!!!」

京太郎「へ?」

煌「あらあら、姫子には少々刺激が強すぎましたかね」

京太郎「……えっと、なにが?」

煌「はいはい、京太郎くんは気にしないで。そうですね、問題児ルームを担当してもらいましょうか」

京太郎「あ、はい。了解です」

煌「そして――余裕を見つけて、毎日一回は、各教室を回るよう、お願いしますね」ニコッ

京太郎「はっ、お任せください!」

姫子「おお、もう……と、とにかくこん顔戻さんことにはぁぁ……」マッカッカ

哩『やけん言うたやろ……ただの男やなかち、何回も……』

姫子「ね、ネットでしか知らん相手ですもん、しゃーなかかと思いますっっ!」

哩『とにかく、あんま冷とうせんで、仲良うせないかんとよ?』

姫子「わ、わかっとりますぅ……」

京太郎「さて――」

モブ子「おう、よろしく」

京太郎「黙れ問題児……しかし、危ない人たちも結構多いんだな」

「勉強、勉強ってなんだ……」
「や、やめてっ! 私のこと因数分解するつもりでしょ! 微分積分みたいに!」

京太郎(もうなに言ってかわかんねぇ……知ってる単語並べただけだろ)

京太郎「と、とにかくやっていきましょうか……テスト範囲は聞いてきましたので、皆さんの得意な箇所をまずは、やっていってもらいます」

京太郎「とりあえず30分、範囲の教科書の黙読で結構です。その間に、俺は問題集作っておきますので」

モブ子「相変わらずぶっ壊れスペックだよね、京太郎は」

京太郎「できることをやってるだけだ……それじゃ、開始してください」

京太郎「――さて、問題児組には問題集レベル1を渡しておいた……これがテストまでにレベル5まで行けば、みんな問題なくクリアできるだろう」

京太郎「で、俺はその間なにをしとくかな……」

京太郎「事前に部屋は見せてもらったからな、掃除すべき場所も確認できている――」

京太郎「さて……それじゃ、これから一ヶ月お世話になる教室に、ご挨拶をさせてもらおうか」

モブ子「きも」

京太郎「お前は問題やってろや!!」


京太郎「――うーん、こんなもんかな……」シュピンッ

「あ、あれ!? いつの間にか部屋が綺麗に!」
「いったいなにが……」
「そういえば聞いたことがある! 派遣執事のいる学校には妖精もいて、人知れず掃除してくれるって」
モブ子「それ派遣執事そのものやで」


京太郎「掃除自体はやりやすいんだけど、備品の移動が悩ましいな……整理しちゃっていいものか、そのままにしとくべきか、あとで先輩に聞いておかないと……」キュッキュッ

「あれ、なんか教室輝いてない?」
「こ、心なしかゴミも減ってるような……」
「私が放置しといたカビペットボトルが!」
「お前あれ、二度とすんな?」


京太郎「さて、ワックス二週目終わったし――窓は外側もやっちゃっていいのかな……いいよな?」ガラッ、ガシッ、キュッキュッ

「ふわっ!? ゆ、床が滑る!」
「いや、そこまでは滑らんけど……っていうか、すげー滑らかになってる!」
「新築ってこんな感じなんだよねぇ、たしか……綺麗だなぁ、いいなぁ」
「先輩たちの重ねてきた汚れが、完全に失われた!」


京太郎「ここは先輩たちが集まってるからな……受験も視野に入れた勉強をしてるだろうし、邪魔しないように念入りに……」

煌「おや……? 姫子、教室がなにやら……綺麗になって――なってますよねっ、これ絶対!」

姫子「ふぇ? あ、なっとると! え、なにっ、なんがあったと!?」

京太郎「……む、机にも汚れが」キュッキュッ

煌「!? さっき誤って引いてしまった、赤ペンの汚れが消えてます!」

姫子「の、ノートの隙間の消しカスがなくなってる!? こ、こわかぁ……」

京太郎「さーて、そろそろ戻るか……2ページくらい進んでれば御の字だろうなぁ」

京太郎「あれは淡や穏乃以上の問題児だぞ、大丈夫かな……」

京太郎「――どうですかー、できましたかー?」

京太郎「……あ、はい。ですよね、わかってました……まぁ手をつけたとこだけ、見せてもらっていいですか?」

京太郎「はい、ありがとうございます……なるほど、ふむ……」

京太郎「……わかりました。では、これを元に問題集レベル0を作ってきます、明日までに」

京太郎「それを十回ほど重ねてから、レベル1に挑みましょう。大丈夫、最終的に5まではクリアさせてみせます……一緒に頑張りましょう!」

「京太郎くん……」
「ありがとうっ……見捨てないでくれて、ありがとうっ……」
「頑張るっ、私頑張るよぉ……」
「もう二度と勉強サボったりしないよ」
モブ子「そこには元気に走り回るモブ子の姿が」

京太郎「お前は俺の問題集、何回クリアしてると思ってんだよ……頼むから学習してくれ……」

京太郎「とりあえずは、問題集を一通り見てもらうことにして……俺もそろそろ、勉強するべきか?」

京太郎「――いやいや、俺のことはあとだ。まずは、勉強で疲れた皆さんの頭に、栄養と癒しを送らないと」

モブ子「よっしゃ差し入れきたあああああああああああ!」

京太郎「…………あんま材料ないけど、リクエストあるか?」

モブ子「プリ~ン♪ 甘いプリンが食べたいよぉ」

京太郎「んー……ま、妥当なとこか。それくらいなら手持ちの材料で作れるから、そんじゃプリンにしますか」

モブ子「やったぜ。」

京太郎「んじゃ、いい子で勉強してるように」

モブ子「アイアイサー!」


~調理実習室

京太郎「……なぜかあっさりと鍵を渡されてしまった。変な噂でも流れてんのかな……」

京太郎「まぁいいか。さっそく始めよう――」

京太郎「……あちゃ、やっぱ材料足りんか」

京太郎「プリンは確保できたけど、フルーツ乗せとクリーム乗せ、全部乗せになると足りない……」

京太郎「仕方ない、平等のためにプリンを配ろう」

京太郎「…………レギュラーの人たちには、激励も込めて、乗せの分渡していいよな……?」

京太郎「ということで、この全部乗せア・ラ・モードは誰に渡そうか……」

京太郎「お待たせいたしました、本日の差し入れになります」

姫子「あ、ありがとう……」

友清「お前これ、勉強もせんと作っとったと?」

煌「まぁまぁ友清、京太郎くんの心遣いです。ありがたく受け取りましょう」

友清「煌が言うなら……」

京太郎「麻雀にせよ勉強にせよ、糖分は大切ですから。こればかりは、叱られても提供し続けますので」

友清「まぁ好きにすればいい……はむっ……っっ!!」ビクンッ

煌「おや友清さん、どうされました?」

友清「な……なん、れも……な……ひっ……んっっ……」ビクッ

姫子「? 顔赤かけど、熱でもあっと?」ピトッ

友清「んひぃっ!? はっ、ひゃっ……なん、れもっ……ないっ……ぁんっ……」

姫子「」

煌「リザベったときの姫子に似てますね……」

姫子「私はこがんはしたなくなか!」

姫子「まったく……」パクッ

姫子「~~~~~~~~っっっ!!?」ビビクンッ

煌「!? 姫子がリザベりました!」

姫子「リ……りじゃべ、ば……動詞、みたい、にっ……ひぃんっ……つ、使うなぁっ……」ビクッビクッ

煌「は、はぁ……いや、それにしてもなにが――」

京太郎「……あの、煌先輩」ボソッ

煌「はい? おやどうしました、京太郎くん」

京太郎「いえ、実はですね……先輩方のプリン、上にフルーツとかクリーム乗ってるじゃないですか」

煌「ええ、実においしそうです」

京太郎「で、その……最初はそれ、こうなる予定だったんです」スッ

煌「まぁ、両方乗って……プリン・ア・ラ・モードのようですねぇ」

京太郎「量が足りなさそうなんで、断念したんですけど……この試作品だけは、廃棄するわけにもいかなくて、持て余してしまってまして……」

京太郎「よろしければ、召し上がっていただけませんか……?」

煌「私がですか? ふむぅ、しかしランキング上位者や、部長を差し置いて私がいただくのも――」

京太郎「その……こういうのもなんですけど、先輩には機能もお世話になりましたので……お礼ということで」

煌「……ふふ、そうですか。では遠慮なく、頂戴しましょう」ハムッ

煌「んんっっ! これはすばらっっ! いやいや、本当においしいですよ、京太郎くん!」

京太郎「本当ですか!」

煌「ええ、これほどのものは、さすがに食べたことも……はむっ、もぐ……はぁ、おいしいですねぇ。染みわたります」

煌「これが一ヶ月毎日食べられるとなると、それだけでも嬉しくなりますね」

京太郎「喜んでいただけてよかったです……」

煌「なるほど、二人のあの反応も、あまりにおいしかったからなのですね。合点がいきましたよ!」

京太郎「はは……まぁ、そうなんですけど……」

京太郎(しかし――煌先輩は、どうして普通なんだ?)

京太郎(食べ慣れてる人なら、俺程度の料理ではさほど影響ないこともあるけど……)

京太郎(これほどのものは、食べたことがない――その言葉に嘘はないはずだ)

京太郎(……まさかっ!)ハッ

煌「はぁ……おいしかったです。ご馳走様でした」ペッコリン

友清「っ……っっ……」ビクッビクンッ

姫子「ぁっ……んぅっ……ふぅっっ……」ビビクンッ

京太郎(飛ばないっていうのはっ……そういうことも含めて、なのかっ!?)

京太郎「これは……新道寺での目標、できたかもしれないな……」グッ


~夕方

京太郎「あ、そういえば……新道寺の練習時間、何時間くらいなんですか?」

煌「そうですねぇ、我々もか弱い女子高生ですからね……あまり暗くならない時間に帰る、くらいのことは決めていますよ」

姫子「やけん、夏場は冬より長うやれっとよ。まぁ勉強会ばするんは練習やなか。わざわざ残らんでもよかけん、もうちょい早めに切り上げっほうがよかとやろ」

友清「私はここらで終わろうち思っとうやけど……ほかの部屋はどがんやろ」

京太郎「集団下校のほうが、危なくないですからね……一応、声かけてきます。遅くとも15分くらいで切り上げるってことでどうでしょう」

姫子「そげんしよか……あ、京太郎……任せてもよかと?」

京太郎「はい、行って参ります!」

姫子「き、気ぃつけて」

煌「子供じゃないんですから……」

友清「面倒ば見たりたいんやろ、健気やなかか」

煌「……まぁ、気持ちはわかりますけどね」

友清「えっ」

煌「えっ」

京太郎「行ってきました! 掃除して、20分後に昇降口ってことで、連絡済です!」

姫子「あ、ありがとな……そいない、掃除ば――あれ?」

煌「そういえば、随分と綺麗になってましたからね……今日のところは、この辺にしましょうか」

友清「――ちゅうことやけん、道具ばしもうてよかよ、京太郎」

京太郎「あ、はい……そうですか」シュン

姫子(なぜがっかり)

煌(なぜがっかり)

友清(落ち込んだとこも、なかなか……)フム

京太郎「――よし、全員無事、ご自宅まで遅れたな。さて、俺もそろそろ――」

??「……あっ!」

京太郎「えっ?」

美子「あっ……い、いえ、なんでも……すいません、急に声を……」

京太郎「はい――って、ちょっと待ってください!」

美子「はい!?」

京太郎「えっと……もしかして、新道寺OGの安河内さんでは?」

美子「!? えっ、なっ……し、知ってる……ん、ですか……?」

京太郎「はい、もちろんです……っと、すいません。俺も別に、ストーカーとかではなくて――」

美子「い、いえっ、知ってます! 派遣執事の、須賀くん……ですよね?」

京太郎「はい、本日より新道寺でお世話になっております。よろしくお願いします」

美子「いえ、こちらこそ……」

美子(ふああああああ!!! あ、あ、会えるかと思って学校の近くまで来たら、まままま、まさか本当にっ……どどど、どうししょう!?)

京太郎「あ――安河内先輩、お住まいはこの辺りですか?」

美子「はひっ! え、えっと……そう、です……たぶん……」

京太郎「たぶん?」

美子「いえっ、そうです! 歩いても、十数分くらいでしょうか……」

京太郎「今日は学校になにか用事でしたか? 部活休みで勉強会だったんですけど、先ほど下校してしまったので、もう誰も残ってませんけど……」

美子「そ、そうなんですか……では、私もこれで――」

京太郎「あ……お帰りになるなら、お送りしますよ。少し暗いですし、近頃物騒ですからね」

美子「え! で、でも……それはさすがに、その……初めて会った相手に……」

京太郎「う……そ、そうですね、すいません――」

美子「あっ……そ、そうじゃなくて! その……申し訳ないから、結構ですっていう……」

京太郎「俺のことなら、お気になさらないでください。OGの方なら、俺の先輩なわけですから、これくらいは当然ですよ」

美子「あ、う……それじゃあ、えっと……お願い、できますか?」

京太郎「はい、喜んで。では――と言っても、俺も先輩に案内していただかないと、お送りできないんですけどね」ハハッ

美子「……ふふっ、そうですね。じゃあ、私についてきてください」

京太郎「ではお隣、失礼します」

美子「――っっ! は、はひ……」カァッ

美子(ふわああああああ! こ、これ、すごいっ……すごいよねっ!? つ、つ、ツイートしたら、すっごい自慢にならない!? リプされるかな!?)

京太郎(こんな場所でOGの方にお会いするとは……失礼のないようにしなきゃ)

 ――なお、美子は京太郎と写真を撮ってツイートにアップしたところ、大炎上したそうな

仁美「なんもかんも政治が悪い」

哩「いや、自業自得やろ……」

~自宅

京太郎「ふぅ、緊張した……しかしあれだ、新道寺も美人さんが多い……クラスメートは怖いけど、やっぱ女子校最高だな!」

京太郎「さて、明日に備えて夜も有効活用しなきゃ(使命感)」

京太郎「さて、初日だし誰かに電話してみるかな――」

京太郎「そうだな、OGだし哩さんに連絡しておこう」

理沙「!?」

良子「ドンマイです」

京太郎「さて、哩さん……あ、お忙しかったらやばいな……うーん、まぁ確認すればなんとか……」

哩『もしもし』

京太郎「っと……京太郎です。お久しぶりです、哩さん」

哩『東京にはまったく来んけん、なかなか会えんね……それはそうと、新道寺はどげんやったと?』

京太郎「ええ、そのことでご連絡をと。いい学校ですね、ここは……まぁ練習はまだなんですが」

哩『ああ、そやね。テスト期間やったか……後輩の何人かが、かなり成績の悪うごたって……申し訳なかとやけど、なんとか見てやってもらえるやろか』

京太郎「ええ、もちろんです。煌先輩、姫子先輩にも頼まれましたので」

哩『……ふふ、あの二人が先輩か。いや、前も二年やったけん、先輩は先輩やけど……』

京太郎「部の最上級生ってことですよね」

哩『ん……そやね、そういうことやろ。やっぱり私は、もう部を離れた人間やち思わされっとやね』

京太郎「まぁ、卒業はされましたからね……でも、皆さんはまだ哩さんの代のことも、しっかりと覚えてらっしゃいますよ」

京太郎「先輩たちの存在が、まだ支えになってるんじゃないでしょうか」

哩『はは……あんまり頼られっとも困ろうもん。互いに支え合うて、先代ば乗り越えてってもらわんと』

京太郎「なるほど……確かに、仰る通りです」

京太郎「その辺りも、テスト後にしっかり意識していかないといけませんね」

哩『そうそう、まずはテスト――はぁ、こっちも忙しくなっとよ』

京太郎「あ――そ、そうでしたっ、お忙しいところ、申し訳ありません!」

哩『ああ、まだ大丈夫やけん。今月の末が試験、まぁレポートやらはそろそろかからんと、まずかやけどね……』

京太郎「だ、大丈夫ですか? その、お忙しいなら改めますけど……」

哩『うん、気にせんでよかよ。まだ焦ることもなかち、巴らも言うて――』


「焦ることはないと言いましたけど……なにも手をつけなくていいとは言ってませんよ?」
「私はあらかた終わっているがな……」
「私もだ。試験勉強も考えると、さすがに半分程度は進めておかないと厳しくないか?」


哩『』

京太郎「…………あ、あの」

哩『だ、大丈夫ばい! あ、あいつらはあれや、その……で、電話の妨害ばしようち思うとるだけやけん!』


「してませんっ!」
「ほう、そんなに妨害してほしいか……」
「おい待て、その弓はなんだ。それでどうするつもりだ」


京太郎「……哩さん、落ち着いてください」

哩『う……そ、そやね。まぁとにかく、明日から頑張ればなんとかなっとよ……』

京太郎「大変ですね、大学生って――」

京太郎「――俺に手伝えることがありましたら、なんでも仰ってください。資料集めとか、ネットや図書館を使えばこっちでもできそうですし」

哩『きょ……京太郎、お前は……ほんなこつ、ええ子ばい……っ……こっちの三人にも見習ってほしかよ……』


「京太郎くんがいい子なのは認めましょう」
「私たちが見習うべきなのも、まぁ許そう」
「だが見習っても、お前に優しくはしない」


京太郎(鬼だ)

哩『聞いとったと、京太郎! はぁもう……新道寺に決まってからこっち、三人してチクチクチクチクと……』

京太郎「はは……まぁこればっかりは、哩さんに非はないですからね。俺からも謝ってたと、伝えてください」

哩『――っち言うとるよ、京太郎が』


「いやいやいや、チクチクしてないですよねっ!?」
「……私はさほどしてないが、巴は……」
「いや、お前もしてるだろ」
「智葉さんも相当……」


京太郎「……あの、仲良くやってます?」

哩『む……まぁ、そこは……ほれ、四人とも……共通点ばあるけん、なぁ?』


「こ、こっちに振らないでくださいっ」
「……まぁ、ケンカするほどという言葉もある」
「わ、私は別にっ……その、お前らほど入れ込んでは……」


哩『なはは、そういうことばい! 気にせんでよかよ、京太郎』

京太郎「なんかよくわかりませんが、わかりました」

哩『……私がこっちで、こういう友達を作れたんも、新道寺のおかげよ。京太郎にもそこで、いい経験ば積んでほしか……』

京太郎「哩さん……」

京太郎「――大丈夫だと思います」

哩『そうか……まぁ、京太郎なら心配することもなかか』

京太郎「はい。先輩方も優しいし、後輩も素直な子ばかりですから……」

哩『ふふ……私にとっては、みんな可愛い後輩やけんね。なにかあったら、遠慮なく頼ってよかよ』

京太郎「ありがとうございます」

哩『それと――まぁ、今週は無理やけん……来週から、後輩たちの指導もしっかり見てやってくれんね』

京太郎「はい、お任せください」

哩『……私が地元におったら、その役目ばしとったかと思うと、歯がゆかね』

京太郎「――でもそれだと、俺が東京で哩さんに会えなかったじゃないですか」

哩『――っ!』


「ぶふぉっ」
「京太郎くん、すごいのを挟むな……」
「っっ……あの、女たらしはっ……」


京太郎「東京でお世話になった分、俺がこちらで恩返ししますから……どうぞご安心ください」

哩『ん……わかったと、よろしく頼むばい』

京太郎「では――さしあたっては、テスト用の問題集の作成にかかりますね。哩さんも、なにかありましたら、お申しつけください」

哩『はは、ありがとな。こっちもやれるだけはやってみるけん、また――』

京太郎「はい、失礼します」

哩『あ……それと、身体に気ぃつけて……姫子とも、仲良うな』

京太郎「え、あ、はい……では」


哩「ふぅ……いやぁ、久々に話ばすっと、緊張するもんやね……」

巴「ご自慢ですか、哩さん」ニコニコ

哩「べ、べべ、別にそげんことやなか……」ビクッ

菫「巴、あまり威嚇するな」

巴「えっ、してませんよ!?」

智葉「無意識に出るタイプか……やはり永水、やはり霧島か……恐ろしい場所だ」

巴「私の地元を魔境かなにかみたいに言わないでください!」

京太郎「ふぅ……さて、それじゃもうひと頑張りするか!」

京太郎「問題を作りながら……何人か、少しずつでも近況報告しておかないとな……」

京太郎「学校今日からだ。そっちも勉強、頑張れよ、と……」

京太郎「えーっと……メイド服の件は、俺のせいです。申し訳ありません……」

京太郎「西日本には来られないかと思いますので、また来月に――では」

京太郎「ふぅ……さて、寝よう」


~7月1日(月)終了

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最終更新:2026年01月18日 23:48