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~合宿所

姫子「――こうして、私と京太郎は夫婦のごたる仲良さで戻ってきたちいうわけで……」

煌「はぁ、そうですか」

和「よかったですねぇ」ビキッ

優希「落ち着けのどちゃん……なんか私、のどちゃんを止めてばっかなような……」

まこ「昔は優希の暴走を和が止めとったっちゅうのにのう……時の流れいうもんは、なんとも残酷なもんじゃ」

咲「和ちゃんのツッコミも弱いから、優希ちゃんも止まってなかったですけどね」

小蒔「そ、それよりも、その京太郎さんはどちらに?」

姫子「調理場に向かったと」

春「手伝わなきゃ(使命感)」

初美「すでに何人追い返されたと思ってるんですかー」

理沙「女子厨房に入らず!」

利仙「元は男子なのですが……本当に、時の移り変わりは激しいですね……」

姫子「で、石戸のほうは?」

久「一年ズがお姉様包囲網作ってるから、しばらく大丈夫よ。会場の準備は、交代で済ませたから」

煌「これで――あとは京太郎くん待ち、ですね」


~調理場

京太郎「10ホールか……」

「広い調理場で――」
「オーブンが多くて――」
「助かりましたね!」

京太郎「温いこと言ってんじゃねえ!」

『ファッ!?』

京太郎「たとえオーブンが一台だろうと、時間の流れを操作して、時間内に10ホール焼き上げる……それが執事だろ、違うかっ?」

「お、おっしゃる通りです!」
「俺たちが浅はかでしたっ……」
「許してくださいっ、なんでもしますから!」

京太郎「よし、いい覚悟だ――お前らの命、俺が預かる!」

『お預けします!』

京太郎「よぉし、ついてこい! 作業開始だ!」

「す、すげえ、先輩……」
「焼き上げたケーキを、すかさず冷まして――」
「デコレーションを完成させるだけでなく、料理の下拵えすべてをパーフェクトにっ……」

京太郎「――まだまだだな。こんなんじゃ師匠どころか、一さんたちにすら、到底及ばない……もっと、力をっ……」

(その上まだ高みを!?)
(な、なんて向上心だ……)
(そこに痺れる憧れるぅ!)

京太郎「っと、いまは自分のことより、主賓のことだ……よし、ワゴン準備」

「はい!」
「完了しています!」
「いつでもどうぞ!」

京太郎「おう! 先頭、一番上にメッセージプレートを乗せたのを……置いて、と――」

京太郎「移動開始だ――絶対に落とすんじゃないぞ、お前ら!」

「はっ!」
「この命に代えましても」
「おもち大明神――もとい石戸霞さまのケーキ、全力でお持ちします! おもちだけに!」

京太郎「…………」

「…………」
「…………」
「えっ、あ、あれっ?」オロオロ

京太郎「……お前に秘蔵本を見せたのは失敗だったか」

「ないわー」
「ないわー」
「ま、待ってください、もう一回チャンスを――」

京太郎「……まぁいい。先頭のワゴンは俺が運ぶ。お前は競技場行って、準備完了の旨を伝えてこい」

京太郎「むねだけにな!」ドヤァ

「HAHAHAHA!」
「さすが先輩!」
「な、納得いかねぇぇぇ……けど、行ってきます!」



~食堂

霞「食堂に?」

小蒔「は、はいっ、そうなんです!」

春「さっきから、おかしな気配が……」

和「SOA」

咲「って、和ちゃんは言うんですけど……」

優希「怖がる部員もいるから、なんとかしてくれってはるるに頼んだんだじぇ」

初美「それを聞いた私が、それなら霞に聞くべきだー、と思ったのですよー」

霞「私でなくても……というか、まったくそういう気配はないわよ?」

久「そうみたいね。湧ちゃん明星ちゃんも、そう言ってたわ」

ミカ「でも、中は違うらしくって――」

煌「お客様に頼むのは申し訳ないのですが、この合宿所は今後も使っていく予定ですので……」

姫子「不安なくうちの生徒が使えるよう、確認してほしかよ……」

霞「……仕方ないわね。小蒔ちゃん、春ちゃん、はっちゃんが確認しても、気配しかないっていうのも奇妙だし……いいわ、見てみましょう」

利仙「自信たっぷりですが、取って食われるようなことにならなければいいのですけれど」

霞「そんなヘマはしませんっ……では、参ります」ガラッ


~in 食堂

京太郎「――霞さんじゅうきゅうさい! お誕生日おめでとうございまああああああああああす!!」パンッパンッ

霞「!?」

『おめでとうございますっっっ!!!』パンッパンッパンッパンッ

霞「きゃあっっっ!?」ビクッッ

利仙「ふふっ……」

霞「っ!」キッ

初美「まーまー、怖い顔しないでー」

小蒔「さ、奥へどうぞ!」

霞「ま、待ってちょうだい、これは――」

京太郎「すみません、驚かせてしまって」

霞「きょ、京太郎くんっ……まで……どういうこと?」

京太郎「まぁ、申し上げた通りといいますか――お誕生日、おめでとうございます」ガラガラガラ

霞「これは……ケーキ……」

京太郎「――ってことです。どうぞ、こちらのお席へ」スッ

春「座って、どうぞ」

霞「……はぁ、もう……そういうことなのね、やられたわ」ストン

京太郎(タプンなのにストンと座るとは、これいかに)

久「アホなこと考えてないの」ペシッ

京太郎「あだっ……で、では、失礼してロウソクの火を――」

「電気消します」パチッ

『ハッピバースデートゥーユー』
『ハッピバースデートゥーユー』
『ハッピバースデーディア――かすみさんじゅーきゅーさーい』

霞「どうして年齢がいるのよ!」

初美「言わないと年齢間違えるのではー?」

霞「どういう意味よ!」

咲「ま、まぁまぁ……」

和「こういうのは気持ちですよ」

霞「どういう気持ち!?」

煌「石戸さんがお生まれになって十九年――その十九年間への祝福と、感謝の現れではないでしょうか」

霞「……まぁ、そういうことにしておくわ」

明星(お従姉様チョロい!)

湧(花田さんの人徳かな……)

『ハッピバースデートゥーユー』パチパチパチパチパチ

京太郎「霞さん、19歳のお誕生日、おめでとうございます――どうぞ、火を消してください」

霞「………………ふ……ふぅ~~~~~っっ!」////

パチパチパチパチ イヤッフー オメデトウゴザイマース メデテェ

霞「はぁ、もう……こんな大勢の前だと、ちょっと恥ずかしいわね……」

京太郎「お疲れさまでした。どうぞ、冷たいものでも」

霞「ああ、ありがとう……って、お酒じゃないわよね?」

京太郎「はい、スパークリングアイスティーです。好みはわかれるかと思いますが、祝いの席なので特別なものをと――どうぞ、みなさんもグラスをお手に」

京太郎「霞さん、音頭を」

霞「えっ、わ、私!?」

久「ついでに一言二言、あれば遠慮なく」

春「告白は禁止で」

咲「それね」

和「大事ですね」

優希「なんだじぇ、このコンビネーション」

まこ「こいつら、こんな席でもまったくブレんの……」

霞「そんなことしないわよっ、まったく……はぁ、驚かされましたけれど、こんな席を設けてくださったこと、みなさんと両親に感謝しまして――」

霞「本当に、ありがとうございます……では、乾杯」

カンパーイ

初美「いやー、そつのない挨拶ですねー」

小蒔「さすが霞ちゃんですっ」

明星「……あれ、なにか忘れてるような――」

湧「……もしかして:巴さん」

明星「そ れ だ」


巴「……今日ですねー、霞さんのお誕生日なんですよ」

菫「ほう」

智葉「めでたいな」

哩「そいがどうしたと?」

巴「……お祝いに帰りたかったなー、みたいな?」

『くどい!』

巴「言ってみただけじゃないですかぁ」




京太郎「ではケーキのほう、切り分けさせていただきます――」

霞「ストップ」

京太郎「えっ」

霞「私も切ってみたいの……ふふっ、だからね……一緒にしてもいいかしら?」ニコッ

女性陣『――――っっ!!』

「そのとき女性陣に電流走る――」
「おいよせ黙ってろ」
「消されるぞ……こういうときは、黙して語らずだ」

京太郎「一緒に切るってことですか? 順番じゃなく?」

霞「ええ、もちろん。今後の練習にもなるわけだし……京太郎くんなら、サポートとして十分以上に信頼できるものね。よければ、お願いできないかしら?」

京太郎「えーっと……」

女性陣*1))

京太郎(うう、禍々しい念を感じる……気のせいかな……)

霞(あらあら、小賢しい邪念を飛ばすわね……)

利仙(増幅、増幅……)

理沙(巫女さん怖い!)プンプンッ

京太郎「――なにを仰います、お嬢様」

霞「おじょ――えっ、えっ?」

京太郎「霞お嬢様、本日の主賓はお嬢様なのですから……このような些事は、万事私めにお任せくださいませ」ギュッ ジー

霞「!?」ビビクンッ

女性陣(ぬっ、ぐっ……こ、この際許すっ……共同作業よりマシッ……)

霞「あ、あ、ああああ、あのっ、あのねっ? きき、気持ちは嬉しいのだけれど、やっぱりケーキ――」

京太郎「それとも――私の切り分けたものでは信用あたわず、お嬢様自らしとうございましょうか?」

霞「そ、そういうことではなく……な、なんと言ったらいいのかしら……」

京太郎「――霞お嬢様」ジー

霞「っっ……」ゴクッ

京太郎「本日は、私がお嬢様の執事――専属執事でございます。遠慮なく、御身を委ねていただきたく存じます……何卒……」ギュッ

霞「よ――」

霞「よろしく、お願いしますね……執事さん」

京太郎「はっ」ニコッ

女性陣(堕ちたな……)

まこ(いやいやいや、おかしいじゃろ!)

久(爆発したわねー、京太郎)

霞「それじゃ、ケーキを切り分けてもらえるかしら?」

京太郎「もちろんでございます……サイズはいかほどに? S、M、Lでご用意いたします。ちなみにLはクォーターサイズにて――」

霞「Sサイズでお願い」キッパリ

京太郎「アッハイ」


霞「――それじゃあ、京太郎くん?」

京太郎「はい、なんなりと」

霞「定番だけれど、ケーキを食べさせてもらえるかしら」

京太郎「……え、ええ、どうぞ」

霞「食・べ・さ・せ・て、いただけないのかしら?」ニッコリ

京太郎「――いえ、そのようなことは……どうぞ、あーんなさってください、霞お嬢様」

霞「あ~ん♪」

霞「あむ……んぅ……んんぅ~~~~~っっ♪♪」ゾクゾクッ

京太郎「いかがでございますか?」

霞「とってもぉ……お・い・し・い♪」フー

京太郎「――光栄の、至りです」ゾクッ ビクッビクッ

春「卑猥」

咲「これ放送しちゃいけないやつだよね」

姫子「カメラ止めろ!」

久「いや、回ってないんだけど」

小蒔「……霞ちゃん、ずるいです……」

利仙「なんでしょう、このフツフツと湧き上がるドロドロとしたなにかは」

理沙「愛!」

まこ「違うと思うんですがのう……」

初美「…………えっ、これずっと続くんですか!? パーティーが終わるまでですかー!?」

煌「和……入刀、阻止しないほうがよかったのでは?」

和「私一人のせいじゃありません!」

優希「京太郎……」キュッ

ミカ「……悔しいけど、二人似合ってるよね」

明星「正直、センパイになら任せてもいいんですけど……うーん、でも……」

湧「姫様のことはどうするつもりなんでしょう、あの人っ……」

ムロ(あぁ……そっか、これが……悔しいってことか――)ギュゥッ

霞「京太郎くんは、どうしてこんなにお菓子作りが上手なのかしら?」

京太郎「俺なんてまだまだです……でも、霞お嬢様がそう感じられるのだとしたら、それはきっと――」

京太郎「――俺が、霞さんのことを考えて、このケーキを焼き上げたからです……きっと、ね?」ボソッ

霞「あはぁ……」クラクラ

京太郎「っと! 大丈夫ですか、お嬢様……」ダキッ

霞「ええ、少し眩暈が……幸せすぎて、腰が抜けちゃいそう……」ブルルッ

京太郎「大袈裟ですよ……霞お嬢様が幸せになられるのは、まだまだこれからですよ?」ボソボソッ

霞「~~~~~~~~っっっ!!!!」トロトロ ジュワァ

霞(あぁ……だめだわ、これは……こんなの、逆らえるわけないわ……)

霞(拒否――できるわけ、ないじゃないっ……)

霞「ねぇ、京太郎くん……今日だけは、私……わがままになっていいかしら?」

京太郎「もちろんです、お嬢様……いえ――」

京太郎「――お姫様」ニコッ

霞「」

京太郎「私がここにいるのは、お姫様のわがままを……すべて叶えるためにございます」ニコッ

霞「がはっ……」

京太郎「吐血!? メディ――ックッッ!!!」

咲「絆創膏で治るんじゃないですかね」シラー

春「わがままなのも、実際はいつものこと……」

初美「周りを立てているように見えて、割と我を押しますからねー」

利仙「そういえば小学校の頃、こんなことが――」

姫子「聞かせてもらえますか……まぁ一杯」トクトクトク

久「……どうすんのこれ、砂糖菓子の空気と場末の居酒屋の空気が混ざり合いそうで混ざり合わない、超絶カオスな状況よ」

まこ「わしに言うな、ばかもん……いやもう、誕生日じゃけえ、諦めるしかなかろう……」

和(私の、私の誕生日ではっ……二人ですっ、絶対二人っ、二人っきりですっっ……二人っきりでディナーですっっ!)ゴォォォォッッ

明星「これ誕生日ごとですか! 誕生日はみんなこんなのできるんですか!」

ミカ「そのときいないとだめなんですかっ!? よその学校行ってたらおしまいですか!?」

優希「お、落ち着くんだじぇ……けど、噂によると……白糸台の大星は、パーティの間ずっと……京太郎の、膝の上だったとか……」ギリッ

ムロ「………………えっ、なっ……えっ、えぇっ!?」マッカッカ

湧「ま、まさか、それっ……そ、それ、そういう……~~~~~~~~~~~っっっ!?」マッカッカ

理沙(…………想像力、逞しい!)

煌(この子たち、相当なムッツリだったようですね……)

霞「はぁっ、はぁ……だ、大丈夫よ……ちょっと三途の川が見えただけだから……」

京太郎「それ見えちゃだめなやつ!」

霞「平気よ……ぅん……そうね、それなら……お茶を飲ませてくれないかしら?」

京太郎「もちろんです! さ、どうぞ――」

霞「そ、そうじゃなくて、その……で、できれば……お口で――」

和「」ガタッ

春「さすがにこれは」

久「目に余る暴挙ね」

煌「後輩の教育にもよくありません」

姫子「ドクターストップばかけんと」

利仙「ではわたくしが」

理沙「医者じゃない!」

優希「どのみち止めねーとだじぇ!」

まこ「……どうした、おとなしゅうしとるが」

咲「え? あ、はい。だって、たぶん大丈夫ですから」

小蒔「そうですね……京太郎さん――京くんなら、きっと……」

京太郎「――お嬢様、それはなりません」

霞「え」

京太郎「約束を違えることをお許しください……ですがそれは、愛する人とのみ、二人きりのときのみするべき行為――」

京太郎「このような状況で、私のような一介の執事となさるなど……お嬢様の格を下げる行いかと存じます」

京太郎「……いつもの霞さんなら、そういう節度は守っていたはずですよ」

京太郎「だって――俺が(友人として)好きなのは、そういう霞さんなんですから」

霞「」ガクリッ

初美「衛生兵――――――っっっ!!!!」

明星「くそうっ、薬はまだですか!」

ミカ「どうして現場で血が流れるんだ!」

湧「……さすがに、自業自得かと思いますけど」ホッ

ムロ「なんかホッとしてた?」

湧「し、してませんけどっ!?」

ムロ「そ、そう……それならごめん」

咲「よかった……ところで神代さん」

小蒔「あ、はい」

咲「――京くんってなに?」ゴッ

小蒔「あ、あああああのあれはその……な、なんでもありません……」

咲(なんでもないようには見えないけどなぁ……)

和「………………はぁ」

春「……負けた」

久「咲と小蒔ちゃん、やるじゃない」

まこ「お前は般若のような顔をしとったがな」

煌「みなさんそうでしたけどね」

姫子「煌は珍しく真顔になっとったばい……怖いくらいの真顔にな」

利仙「起きたら再開させます? それともなかったことにします? あ、パーティのほうですけれど」

理沙「続行!」


「……俺らどうしたらいいんだろ」
「とりあえず……ケーキ切るか」
「おっ、そうだな」


京太郎「霞さん、しっかり!」

霞「はひぃ……もうらめ……」

霞「ご、ごめんなさいね、とんだ失態を――サプライズだったから、動転して、舞い上がってたみたい」

京太郎「いえいえ。それでは、軽食からお出ししていきますので――パーティのほう、進めてってください」

姫子「……あれは夕食やち言うてなかった?」

京太郎「夕食らしい分はありますよ。ただ、ケーキだけじゃさびしいですからね。焼き菓子やサンドイッチ、スコーンなんかは、並べさせていただきます」

煌「アフタヌーンティーのお供ですね」

京太郎「ということです。では、しばし失礼を」


霞「ああ、京太郎くんが……」

利仙「よかったですね、京太郎さんがあれほどの失態を目にしても引く方ではなくて」

霞「……そうね」

利仙「!?」

春「そのとき霞、意外にも素直――」

霞「聞こえてるわよ、春ちゃん」

春「っっ……そ、そのとき霞さん、意外にも素直――」

明星「直すのそこですか!?」

和「まぁなんといいますか……考えてみれば、なんでもすると言われた以上、仕方ありませんね」

咲「そうだね」

まこ(だめじゃこいつら……)

初美(早くなんとかしないとですよー)

久「ま、それはともかく――京太郎がいないうちに渡しときましょうか」

小蒔「そ、そうですねっ!」

湧「ではどうぞ、姫様」

ムロ「そうですね。神代さんから渡してもらうのが、一番嬉しいでしょうから」

ミカ「京太郎先輩がいるところでは、ちょっと開けづらいですもんね、アレ」


小蒔「か、霞ちゃん……どうぞ、プレゼントです!」バッ

霞「え……あ、ありがとう……小蒔ちゃんから?」

理沙「みんな!」

利仙「輸入品は存外高くつきますからね、少額ずつ出し合ってということです。わたくしたちも、心づけ程度に協力させていただきました」

霞「……それはありがとうね。この借りは、必ず返すわ」

利仙「ここぞというときに返してもらうから、気にしなくていいですよ?」ニッコリ

霞「それが嫌だから必ず返すと言っているのよ?」ニッコリ

小蒔「お二人は本当に仲がよろしいですね、羨ましいですっ」

霞・利仙『えっ』

春「…………姫様がそう見えるなら、きっとそう」

湧「ですね(適当)」

霞・利仙『……ふんっ』

明星「ま、まーまーまー! ほら、開けてみませんか、お従姉様!」

霞「では、失礼して――」シュルッ


ガサガサ ガサガサ
霞「」

久「いかがでしょう。私が提案しました、石戸さんでもピッタリつけられるサイズの、とっても可愛らしい下着です」

明星「上下セットですよ!」 ※この世界線にはあるんです、下着が、上下ともに!

霞「……や、やってくれたわね」ブルブルブル

春「でも霞さん、サイズが合うのも、可愛いのも少ないって前に嘆いてた……」ポリポリ

優希「贅沢な悩みだじぇ」

和(若干わかるというのは内緒にしておきましょう)

小蒔(私も少し、困ってはいるのですが……)

煌「しかし……改めてみると、カップの大きさが恐ろしいことになっていますね」

咲「スイカを運ぶ紐かな?」

まこ「失礼じゃぞ……まぁサイズはともかく、和装には下着をつけんと聞きますが、その辺は大丈夫でしたかのう?」

初美「まぁそうですねー。普段使いにするなら、問題ないと思いますけどー」

霞「そうさせていただくわ。もっとも、下のほうは穿いてるのだけどね……ラインが出にくいものを」

咲「つまり――紐ですね」

小蒔「は、はっきりとおっしゃらないでください!」

春「実際は、もう少し生地がある……」

湧「ちなみに胸はサラシで締め、胴の高さは胸に合わせるため、詰め物をすることになります。起伏が少ないほど負担は少なく、着るのが楽になります」

ムロ(なんか驚くくらい饒舌になったんだけど)

ミカ(気にしてたんだねぇ、湧っち)

姫子「……ん? にしては、試合中の永水はみんな――いや、みんな言うんも語弊ばあっとか」

優希「小蒔おねーさんやはるる、霞おねーさんは……全然詰め物してなかったじぇ」

霞「あれは――読者サービスね」

和「読者?」

咲「気にしちゃだめだよ、和ちゃん」

久「五人いたのに三人しか上げないのはどうかしら、優希」

初美「はいはい、どうせ名前が上がりませんよ」

まこ「すいませんのう、うちの後輩が……」

巴「へっくち」

菫「あざとい」

智葉「お前が言うな」

菫「私のどこがあざとい!?」

哩「知らんとやったら教えてやっか……菫のくしゃみも、時々あんなもんよ」

京太郎「……どうやら盛り上がってるようだな。気づかれないよう、料理を並べて行こう」

「了解です……ん?」

「はい、そこまでです」
「そちらの料理、私たちでお預かりしますので」
「こちらが合図しましたら、入ってもいいですよ」

「げぇっ! 清澄女子一年!」
「永水と、新道寺の一年のみなさんも……」

京太郎「どうした、なんかあったのか?」

「は、はいっ、えっと、あの……」
「はいはい、いちいち動揺しない」
「どうせ私たちにはフラグ立たないんだし……」

京太郎「フラグ?」

「とにかく――中は現在、男子禁制の百合の園です。入るのは少々お待ちください」

京太郎「よし、入るか」

「うっす!」
「逃す手はありませんね」
「戦闘準備だ!」

「こらあああああ!」
「ストップ、ストップです!」
「余計なこと言うからあああああああ!」


霞「……廊下が騒がしいようだけれど」

久「あー、京太郎が戻ってきたみたいね」

春「霞さん、それ隠さないと……」

霞「あら、せっかくだし京太郎くんに、似合うと思うかどうか見てもらいたかったのだけど」クスッ

利仙「……痴女」ボソッ

霞「は?(威圧)」

咲「み、見せるのはさすがにはしたないですよっ、石戸さん」

和「…………そうですね」

優希「どうしたのどちゃん、顔まっかだじぇ」

ミカ「――っ! まさか、のどちゃん先輩……」

和「ち、違います、無実です!」

小蒔「?? どういうことでしょうか」

湧「姫様は聞いてはいけません、お耳が穢れます」

ムロ「ちょっと過保護すぎない?」

明星「元々はもっと畏怖してたんだけどね……部活の先輩後輩になって、私が守らなきゃ(使命感)って思うようになっちゃったの」

煌「というか、後輩のとんでもない事実が明かされそうで、気が気ではないんですが……」

姫子「こんなんがおる部の部長やったとは……煌が部長のほうが、まとまりのあったかもな……」

まこ「昔はこんな子じゃなかったんじゃ……どうしてこうなった」

理沙(京太郎くん……罪深い子!)

京太郎「お待たせいたしました、霞さん」

霞「ううん、お疲れさま……はい、どうぞ」ポンポン

京太郎「……はい?」

霞「疲れたでしょう? 膝枕してあげるわ」

京太郎(マジすか!?)

京太郎「お、俺は奉仕する側ですので……」

霞「いいのよ、私がしたいの――したいことをさせるのも、立派なご奉仕よ?」

京太郎「う……い、いえ、しかし……」チラッ

『………………』ジーッ

京太郎(何人かにガン見されてるううううううう!)

霞「その子たちは、その子たちの誕生日にすればいいこと、でしょう?」

京太郎(俺は誕生日ごとに膝枕されるのか……あれ? 最高じゃないか!)

霞「というわけで――いいわね?」

京太郎「御意」ゴロン

咲「御意じゃないよ!」ガーン

小蒔「京太郎さん……」ガックリ

怜「あれはしゃーない」

煌「!?」

姫子「ど、どうしたと、煌」

煌「い、いま、園城寺さんの生霊が……いえ、疲れてるのでしょうか」ゴシゴシ

京太郎「はぁ……生き返る……」

霞「気持ちいいの?」

京太郎「最高です……」

京太郎(やばいよぉ、おもちが目の前で揺れてるよう……このまま死んだらおもちに生まれ変わろう)

霞「ああ、そうそう……この包み、なんだかわかる?」

京太郎「? プレゼント包装、みたいですけ――あっ」

霞「ん?」

京太郎「い、いえ、別に……」

京太郎(俺のプレゼント……石戸家に届いてるぅ――っっ!?)

霞「おかしな京太郎くんねぇ」クスクス

京太郎「は、はは……ははは……」

京太郎(……明日、確認していただくしかないな。とりあえず、内緒にしとこう)

霞「これ――あ、京太郎くんも出資したのかしらね。みんなからのプレゼントなのだけど……中身、聞いているかしら?」

京太郎(あれ、聞いてないぞ……ハブられたのかな?)

霞「その顔だと、知らないみたいね……うふふっ、中身はなんと――じゃーん♪」

京太郎「」

霞「ねっ、ねっ、可愛くない?」ニヤニヤ

京太郎「ちょっ、あの……さすがに、そういうのを見せられるのは……」カァッ

霞「あら、いいじゃない。着けているのを見せているわけじゃないのだから」

和「……私のときと反応が違いますね」

優希「!?」

和「見せたわけじゃありません、もちろん着けてもいません。あれは不可抗力でした」

春(いったいなにが……)

久(……春の合宿のときかしら)

霞「でね、これなんだけど――私に似合うと思う?」スポッ

京太郎「っっ……ど、どど、どうでしょうか……」

京太郎(服の上からでも着けるとやばいよおおおおおお!)

京太郎「か、霞さんとしては、気に入っていらっしゃいますか……?」

霞「そうねぇ……このサイズでこういうデザインはほとんどないから、とても嬉しいわよ」

霞「だけど……主観と客観は違うじゃない?」

京太郎「で、でしたらみんなの意見を――」

霞「選んだのは竹井さんだから、似合うと思って選んでくれてるわ。もちろん、みんなもそう思ってくれたでしょうから……あとは、男性の客観意見だけ」

京太郎「だ、男性に見せることもあまりありませんし、気にされずとも――」

霞「いざ――というときは、いつ訪れるかわからないの。それに私の家は、必ず跡取りを残さないといけないわ……そのためには、良い殿方に巡り合う必要があるの」

京太郎「は、はい……」

京太郎(服越しに、着けてるブラが……タプタプしてるよぉ……あー、揉みたい(直球))

霞「そのためにも、殿方から見てこれはどうなのか、聞いておきたいわ……ね、いいでしょう?」ユサッ

京太郎「近い近い近い近い近い」

霞「近づけてるの……よく見えるように、ね……ふふっ」

霞「ああ、それとも――」

霞「ちょ・く・せ・つ……着けてるところ、見たいのかしら?」クスクスッ

京太郎「」

京太郎「と――」

霞「とぉ?」クスクスッ

京太郎「とってもお似合いですうううううううううう!!!」

霞「まぁ嬉しい♪」

京太郎「着けているところを見たいかと言われれば、間違いなく見たいです、俺も男です!」

霞「そう? ふふ、ありがとう」

京太郎「でも、そんな失礼を働くことはとてもできませんので――涙を飲んで、断念いたします」

京太郎「ただ、それでも――霞さんに、こちらの下着が似合うことは、疑いようのない事実です」

京太郎「霞さんの……愛らしい雰囲気に、とてもぴったりかと思います、心から」

霞「……な、なんだか照れちゃうわね……でも、その――ありがとう」モジモジ

ムロ「……たぶんね、膝枕中じゃなかったらそこそこ感動的だったと思うんだけど」

ミカ「京太郎先輩、完全におもちに向かって話しかけてるよね」

明星「ちなみにあの現象、私でも置きます」

ミカ「ぐっ……身長より、そっちを伸ばしたかった……」

湧「あればいいってものじゃないんです、あればいいってものじゃ」

小蒔「す、すみませんっ……」

湧「姫様に言ったわけでは!!!」

咲「……ほんっと、京ちゃんって……」ブツブツ

優希「それしか見てないなんて、最低だじぇっ(妬み)」トクトク

まこ「紅茶をやけ飲みするんじゃないわい」

姫子「もうちょい……いや、もうちょいどころじゃなくアップさせんといかんと……」

煌「姫子はいいですねぇ、そう言えるだけの希望があって……」

和「花田先輩、あまり気に病まれないほうが――」

煌「あなたに言われたくありません!」

理沙「悲喜交々!」

利仙「全部、あの痴女のせいですね。なんですか、あの大きさは本当に……」

久「でも藤原プロも、あのサイズあったら間違いなく利用したでしょう?」

利仙「いえいえ、わたくしはそんな、はしたない真似などとてもとても」ニッコリ

久「あらそうでしたか、これは失礼を……私なら、絶対利用しましたけどね」ニッコリ

理沙(女の戦い、怖いっ……)

霞「ね、ほかにはどんなのが似合うと思う?」

京太郎「そうですね……色ならもちろん、白やピンクだと思いますけど……案外、黒や紫も似合うかと……可愛いですけど、大人っぽいのも霞さんの魅力ですし」

霞「ふふっ、そうかしら……なら、そっち方向でも探してみるわね」

京太郎「…………えっ」

霞「探してみるわね♪」

京太郎「あ、はい……」

初美「霞、霞ー」ポンポン

霞「……なにかしら、いまとても大事な局面なのだけど」ヒソヒソ

初美「……よかったですねー、誕生日に京太郎がいてくれて」

霞「……ん……まぁ、ね」

初美「姫様に気兼ねでもー?」

霞「詳しく知っていれば、そうだったかもしれないけど……やっぱり、嬉しいほうが大きいわね」

初美「まぁ――いざとなったときに退くのか進むのか、それは知りませんけどー……いまのうちに、しっかり甘えておけばいいですよー」

霞「……そうね。年に一度、私が子供になれる日だものね」

初美「霞は気づいてないと思いますが、時々ものすごく子供っぽいですよー?」

霞「はっちゃんに言われたくないわねぇ……と言いたいけど、はっちゃんもはっちゃんで、やっぱり同い年なのよねぇ……」

初美「どういう意味ですか、まったく……」

霞「あなたと同い年でよかったと、そう言ってるのよ?」

初美「こっちのセリフですよー」クスクス

京太郎(うーん、おもちが……おもちが……うーん……)


~調理場

京太郎「――なんてことをやってたら、夕食の支度にかかる時間じゃねーか!」

「やってたのは先輩だけですっ、先輩!」
「俺らは黙々と仕込みを!」
「時々給仕を!」

京太郎「お、おう、ご苦労……しかしだな、ゲストや主賓のもてなしは執事の役割であって――」

「はぁなるほど」
「あのおもちを間近で観賞するのも仕事ですね」
「わかりますん」

京太郎「………………いいだろう、俺の本気を見せてやる」

「!?」
「せ、先輩の気配がっ……」
「これはあの、幻の――」

京太郎(幻ってなんだよ……)

京太郎「さて――こんなとこか」

「和洋折衷ですねー」
「運んでいーすかー?」
「ふおおおおおお! なんだこのローストビーフッ……」

京太郎「つまんでんじゃねえ! ったく……お前らの味見分はこっちだ」

「はむ……ふおおおおおおおおお!?」
「と、溶けるっ……ローストビーフが、溶けるだと!?」
「いったいどんな魔法を――」

京太郎「普通に、作っただけだ……何事も研鑽あるのみってことだな」

「は、はい!」
「先輩の味、刻み込んでおきます!」
「ハムッ、ハフハフッ、ハムッ!」

京太郎「……適当に切り上げて、運べよー」



~お夕食

霞「あ~~……んっ♪」

霞「んん……丁寧な仕事ね。おいしいお造りだわ」

京太郎「ありがとうございます」

霞「もう一切れ、いただける?」

京太郎「喜んで……はい、あーん」

霞「あーん♪」

咲「いつまで続くの?」

和「全部食べ終われば終わるんじゃないですか」ナゲヤリ

優希「よぉぉぉしっ、一気に食いきってやるじぇ!」ガツガツガツッ

ムロ「先輩、無理しないほうが……」

小蒔「わ、私も頑張りますっ」ハムハムハムッ ングッ

明星「姫様っ!? お茶ですっ、どうぞっ!」

湧「いつもの食事を心がけてくださいっ」

小蒔「ご、ごめんなさい……」

ミカ「……いちいち可愛いなぁ、この人」

春「それが自慢?」

初美「なわけないですよー」

利仙「以前よりも、楽しそうな雰囲気が感じられますね、永水は」

理沙「武者小路実篤!」

久「仲良きことは――ってやつね」

煌「さすが野依プロ、答え一つにも教養が求められますね」

まこ(いや、長文で言えんから人名にしたんじゃ……)

まこ「……っと、姫子はなにを呆けとるんじゃ?」

姫子「ああ……まぁ、なんちゅうか……買いだしで予測はしとったよ? けど、こんな豪華絢爛なパーティーディナーは想定しとらんよ……」

利仙「あら、いちごさんの真似ですか」

煌「まぁ確かに、京太郎くんなら――と思いつつも、ここまでやりますか、とも思いますねぇ」

久「やるのよねぇ、あの子は……」

咲「私の誕生日だったらよかったのに……」

和「……私は、次こそっ……再来月は、確約なんですからっ……」

煌「なにを言ってるんですか、この子は……」

優希「そのブツブツ言ってるときは近寄らないほうがいいじぇ、先輩。のどっちならぬ、ムラっちモードだじぇ」

春「淫靡な響き……」

小蒔(原村の村じゃないんでしょうか……?)モグモグ

湧「……あれ、明星なにしてるの?」

明星「うん、まぁ色々言いたいことはあるけど、せっかくの記念日だしね……激写しとく!」カシャカシャカシャ

ムロ「撮りすぎィ!」

ミカ「あ、私もせっかくだし、色々撮っとこ~」パシャッパシャッ


「このホタテのグラタン、おいし~」
「ふふん、それは俺のお手製だ」
「うそっ、すご~いっ! 作り方教えてよ~」
「ま、まぁ長野に帰ったらな……いくらでも、教えてやるよ」

ミカ「………………」


「お嬢様、お茶はいかがでしょう」
「なんかあんたのそれも、慣れてきたわね……」
「左様でございますか、それはなにより」ニコッ
「っっ……そ、その執事スマイル禁止っ」///

ミカ「………………」イラッ


「……え、俺でいいの?」
「きょ、京太郎先輩がいないから、しょうがなくなんだからねっ」
「あーはいはい……どーぞ、あーんしてください」
「あ……あ~~んっ……ん、おいひ」モグモグ

ミカ「………………ぅ――」


ミカ「うっがあああああああああああああ!!!!」

ムロ「どうしたのミカ!」

湧「なにごと!?」

明星「……同級生に先を越されて、色々限界だったんだよ。そっとしておいてあげよう」

ムロ「ああ、あれのことか……」

湧「室橋さんは落ち着いてますね」

ムロ「まぁ……先輩たちの心境は、もっとあれだろうから……」

明星「この競争率、取れなかったときが悲惨だよねっ」

ミカ「やめてっ、聞きたくない!」


霞「……ごめんなさいね、うちの後輩が」

京太郎「いえ、うちの――清澄の一年こそ、申し訳ありません」

霞「んふふ……うちのって言いかけたわね?」

京太郎「う……お、俺にとってはどの学校も、うちのですから(震え声)」

霞「へぇ……それなら、永水も?」

京太郎「もちろんです」

京太郎「お世話になったのももちろんですけど――」

霞「けど……?」

京太郎「――素敵な先輩が多いですから、ね」

霞「っっ!」カァァッ

京太郎「どうされましたか、お嬢様」ニヤニヤ

霞「……京太郎くんの、意地悪」プイッ

京太郎「心外ですね、本心から言ったんですけど……」

霞「……本当?」チラッ

京太郎「もちろんです……その、外見だけじゃなく……先輩方の気遣いなんかが、俺の居心地をよくしてくださってました……本当に、嬉しかったです」

霞「そう……そう思ってくれたのなら、京太郎くんを迎え入れてよかったと、心から思えるわ」

京太郎「霞さん……」

霞「京太郎くん……」ソッ

春「なんで目を閉じるの」

霞「――っ!?」

京太郎「はるるぅ!?」

春「あ、その呼び方久しぶり……」

霞「ど、どうしたの、春ちゃん」

春「阻止……それと、物言い」

霞「物言い?」

春「京太郎に」

京太郎「俺ェ?」

春「……同級生は、素敵じゃなかった?」

京太郎「」

霞「……私はノーコメントね」

京太郎(霞さぁん!)

春「答えて、京ちゃん」

京太郎「は、はるるのその呼び方も久しぶりだなぁ?」

春「誤魔化さない」

京太郎「はい」

 ――その後、いかに春が素敵かを力説して許してもらいました。なお、本気で怒ってはいなかったもよう

京太郎「え、そうなの?」

春「うん、冗談……私が京太郎に、怒るわけない……」

京太郎「春……」

春「京太郎……」ソッ

霞「はいはい、目を閉じない!」


~宴も酣ですが


煌「そろそろお開きと致しましょう。明日の予定もありますし、早めに切り上げるということで――」

女性陣『賛成!』

霞「…………そんなにお祝い、嫌だったのかしら」

利仙「本当にそう思っているなら、完全に縁を切ってあげますけど」

霞「……はいはい。しばらく縁は切れそうにないわね」

理沙「締め!」

霞「また私ですか?」

姫子「主役やろ……あと、恨まれ役な」

霞「損な役回りですね、本当に……」

久「十分元は取れてるでしょ」

春「お釣りが来るレベル……」

霞「ええ、堪能させていただきましたからね」ツヤツヤ

咲「京ちゃん霞さんになんか吸い取られてる!」

優希「なにっ、京太郎が巨乳になるだと!?」

和「逆でしょう、それは……」

小蒔「清澄のみなさんは面白いですね!」

まこ「ああ、穴があったら入りたい……」

初美「姫様は本当に思ってるから、大丈夫ですよー」

湧(そういえば、新道寺の友清さんがいない……)

明星(好感度ないから削られたんだって、出番)

ミカ(なんもかんも人数多すぎるのが悪い)

ムロ(大所帯で押しかけたのが申し訳ない……)

霞「――今年の誕生日は、いままででも一番の、忘れられない思い出になりました」

霞「役得の部分ではなく、大勢に祝っていただいたということが、その第一です」

霞「……もちろん、役得の部分も大いにありがたく頂戴しましたけれど、それもまた、皆さんの慈悲とエアリードのおかげと存じています」

霞「別の機会に居合わせましたら、私も進んで空気を読んで参りますので――ぜひまた、なにかの機会でもこういった場を設けられれば、嬉しく思います」

霞「それでは――ありがとうございました、と感謝の言葉で締めくくらせていただきます」

パチパチパチパチパチ

京太郎「よし、片づけだぁ!」

「はい!」
「もちろん!」
「よろこんでぇ!」

まこ「……手分けしてやるんじゃけぇの、みんなで」

京太郎「やだなぁ、わかってますって」

『もちろんですよ』

咲(……部長が釘刺してくれてよかった)

姫子(放っといたら、絶ッッッッ対! あいつらだけでやりおったはずやけん……)

京太郎「ひとまず、調理場には俺が行く。お前らは会場の片づけ、掃除の手伝い。食器を下げるのにもう一人だ。それ以外の作業も、並行してこなせ」

『御意!』

煌(……ん? いま最後、余計なのがついてませんでしたか?)

和(私たちが手を休めたが最後、彼らに仕事を奪われます)

初美(なんですかそれ、妖怪の類ですかー)

ミカ(妖怪仕事おいてけ)

ムロ(すごくいい妖怪に見えてしまって申し訳ない……)

利仙(ところで――わたくしは構わないのですが、野依プロはどうしましょう)

久(霞さんが、片づけのあとのお茶の支度をしてくれるらしいわ。そのお手伝いをお願いしておきましょう)

明星(ところで、どうして私たちは脳内で会話を?)

湧(しゃべってる暇もないからよっ!)


~調理場

京太郎「霞さんにつきっきりで、こっちの片づけはあいつらに任せてたからな……点検と、最後の食器洗いと掃除は俺の仕事だ」

京太郎「……やっぱ影分身に、こっちの見張りさせときゃよかったか……けど、ある程度は温存しときたいし――」

??(いったい、なにを言って――)

京太郎「むっ、曲者の気配!」

京太郎「この気配……春か」

春「当たり……さすが」

京太郎「まぁな。で、なにかあったか?」

春「うん、京太郎のお手伝いしたくて」

京太郎「ああ、食器持ってきてくれたのか……あいつらには俺から注意しとく」

春「わ、私がしたいって言って持ってきたのっ……」

京太郎「その気持ちはありがたい――けど、執事がそこで仕事を渡してしまったら、執事である意味がない」

春「……迷惑、だった?」

京太郎「そんなわけないだろ! ありがとな、春」ナデナデ

春「じゃあ……後輩の子たち、怒らない?」

京太郎「それとこれとは話が別だ」

春「」

京太郎「……いや、冗談だぞ? 最初から、注意する気はないって」

春「………………京太郎、ちょっと見ない間に意地悪になった」プイッ

京太郎「あああああ、ごめんっ、悪かった! ついだって! もうしないから! 許して!」

春「知らない……もう戻る」

京太郎「春ぅ~!」

春「……ふーんだ」

京太郎「――逃がさん!」

春「え――きゃっ」

京太郎「つーかまーえたー」ギュー

春「んっ……はっ……」ビクッ

京太郎「……ごめんな」

春「う……ゆ、許さない……あっ……」ピクッ

京太郎「うん、許さなくていい……俺が悪かったから。嫌われても仕方ないと思う」ギュー

春「う……う、うん……そう……京太郎が、悪い……」

京太郎「ごめん……ほんとごめんな」ナデナデ

春「許して欲しい?」スリスリ

京太郎「ああ、できることなら」

春「……なら、しょうがない」ニヘー

春「もっと強く……ギュッてして、謝って……嫌わないでって言って」スリスリ

京太郎「……ごめん……意地悪して、悪かった……嫌わないでくれ、春」ギューッ

春「~~~~~っっ!!」ゾクゾクッ

京太郎「嫌わないでくれ……頼む」

春「……うん、ならない」

京太郎「本当にっ?」

春「私が……京太郎を、嫌いになるわけ……ない……最初から、冗談」

京太郎「は……春ぅ~~~~~~っっっ!」ギューッ

春「きゃあっ……ごめん、怒った……?」

京太郎「バカ、俺が春に怒るわけないだろ……まぁ、事情には依るけど」

春「怒るんだ……」

京太郎「春が悪いときはな……けど、今回は俺が悪いから、怒るわけない。むしろ許してくれてよかった」

春「そう……よかった」スリスリ

京太郎「な……よかったら、片づけるの手伝ってくれないか?」

春「うん……そのつもりで来たから」

京太郎「さすが春だ、頼りになる……じゃ、俺が洗うのを拭いてって、乾燥機に並べてくれ」

春「はい」

春(お任せください、旦那様……とか、い……言って、みたい……)プシュー

京太郎「顔赤いぞ? 大丈夫か?」

春「ひゃいっ! だ、大丈夫、です……」

~おまけ、夜会話

「そろそろですね……」
「ああ、そろそろだな……ウノ」
「スキップ」

京太郎「ドローツー……なにがそろそろ?」

「そりゃ決まってます――あ、ドローツー重ね」
「ファッ!? マジかよ……あ、来ましたよ」
「ウノ――あー、決着つかずか」

京太郎「……電話か。はい、もしもし――」

京太郎「もしもし、初美先輩?」

小蒔『も、もしもしっ、お休みのところ申し訳ありません……小蒔です』

京太郎「小蒔先輩!?」

『お姫様キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』

京太郎「――ちょっと静かにしてろ、な?」

『サ、サーセン……』

小蒔『あ、あの、ご都合悪ければ改めますが……』

京太郎「ああ、失礼しました……大丈夫ですよ」

小蒔『よかった……あの、いまからお会いできないでしょうか』

京太郎「はい、すぐにお伺いします。合宿所でいいですね」

小蒔『あ、はい……いえ、その……できれば外の、公園などがいいのですが――』

京太郎「――だめです。外には出ないでください……その……なんとなく、嫌な予感がするので……」

小蒔『……はい。そうですね、待ち合わせは……そう思われるのも、無理はありません』

京太郎「?」

小蒔『いえ、なんでも……では、合宿所の……休憩所でお待ちしています』

京太郎「わかりました。ではのちほど――ってことで、ちょっと出かけてくる」

『留守はお任せください!』

京太郎「……言っとくけど、例のあれは完全に隠したからな」

『そんな!』

~では合宿所

京太郎「お待たせしました!」

小蒔「えっ……あ、あの、お電話をしてから五分も……」

京太郎「この程度の距離なら一分もかかりません。負担も少なく済みますから」

小蒔「はぁ……」

京太郎「それより、わざわざ携帯借りて電話をくださったのは、なにか用事でもありましたか? お茶ならすぐにでも、お菓子なら少々お待ちいただけましたら」

小蒔「い、いえっ、そうではなく……少し、お話がしたかったんです……」

小蒔「きょう、く……京太郎さんと」

京太郎「電話じゃなくってことですね……いいですよ、俺でよければお付き合いします」

小蒔「ありがとうございます……」

京太郎「さて――なにを話しましょうか。あんまり面白いネタはないんですけど……」

小蒔「あ、あ、あのっ!」

京太郎「はい?」

小蒔「こ、ここっ……この、指輪のお話を……しませんか?」

京太郎「あ……まだつけてくださってたんですね、嬉しいです」

小蒔「と、当然です! これは……これだけは、きっと……ずっと、大切にしますから……」

京太郎(左手につけてるからなぁ……対局のときは気づかなかった……)

小蒔「この指輪……の、以前作られていた、オモチャのほうなんですが……誰かにプレゼントしたことがある、そうでしたよね?」

京太郎「う……は、はぁ……でもその、子供の頃のことで……」

小蒔「いいじゃありませんかっっ! 子供の頃でも、心のこもった贈り物なんですからっ!」ガタッ

京太郎「うぇっ!?」

京太郎「――そうですね、はい。大切な子へのプレゼントだったと、思います……」

小蒔「あ……し、失礼しました……」カァッ

京太郎「いえ……あの、そのときの電話でも、小蒔先輩は妙に気にしていらっしゃいました。当時の俺が、贈った相手のこと……いえ、そのときのことを」

小蒔「――っ! はい、その通りです」

京太郎「そして今日も、指輪のことを聞いていらっしゃいます……もしかして、小蒔先輩は――」

小蒔「………………」ドクン ドクン

京太郎「小蒔、先輩は――」

京太郎「――指輪を受け取った子を、知っているんですか?」

小蒔「ぁ――は、い……」

京太郎「本当ですかっ!?」

小蒔「はい……知っています。その……私の、思い違いでなければですが……」

京太郎「そうなんですか……ということは、小蒔先輩の知り合いなら……永水の子か、神社関係者ということですよね?」

小蒔「はい……関係者で、永水女子の生徒です……」

小蒔「あの……京太郎、さんは……」

小蒔「京太郎さんは……その子のことを、知りたいと思いますか?」

京太郎「え……な、なんでですか?」

小蒔「それは、その……えっと……そうっ、そうです! 忘れているからです!」

京太郎「ん、んん?」

小蒔「その……贈った状況や、贈ったものは覚えていらっしゃいますが……贈った相手のことだけが、すっぽりと消えているのは……なにか、胸につかえがある――と」

小蒔「そんな風に、感じられるのではないかと……」

京太郎「あー、確かにそうですね。その辺は、気になるっちゃ気になりますよ、正直」

小蒔「そ、そうですよねっ!」

京太郎「当時、たぶん俺と同い年だとしたら、同級生ですし……どのくらい可愛くなったかなー、とか。大きくなったかなー、とかね、気になります」

小蒔(む……う……なんだか、複雑な心境です……)

小蒔(それは私のことを気にかけてくださっているのですが、同時に別の女性のことでもあって……ああ、なんだかややこしいです……)

京太郎「小蒔先輩?」

小蒔「は、はい!」

京太郎「えっと、聞いてました?」

小蒔「はい、えっと……結局、知りたいんですよね?」

京太郎「――いえ。知らなくてもいいかなー、と思ってます」

小蒔「えっ」

京太郎「気になるのは気になりますけど、まぁ知ったところで、昔のことですし……」

京太郎「それをきっかけに会いに行ったりしても、相手が忘れてたら、俺がストーカーみたいになりますからね。昔の思い出は昔の思い出、それでいいんじゃないかと」

小蒔「……そう、ですか」シュン

京太郎「それに――俺が昔、誰にその指輪を贈っていたとしても……その指輪は、俺が小蒔先輩の誕生日にと思って、お贈りしたものですから」

小蒔「――っ!」

京太郎「確かに、目について手に取ったきっかけはそうかもしれません……でも、これが小蒔先輩に似合うんじゃないかと、そう思ったのはいまの俺です」

京太郎「いまの俺が、いまの小蒔先輩に着けてもらいたいって思ったから――」

京太郎「これはいま、先輩の指にはまっているんです……ね?」

小蒔「きょう、た――はいっ……はいっ、その通りですっ……」

京太郎「昔の俺が、なにを思って贈ったかは――まぁたぶん、ガキですし男ですからね」

京太郎「そういう意味もあったんでしょうけど……覚えてないので、許してもらうしかありませんよ」

小蒔「――もし、もしも、ですよ?」

京太郎「あ、はい」

小蒔「その子が当時のことを覚えていて、指輪とともに受け取ったメッセージを覚えていて、その責任を取るように迫ってきたら――どうされますか?」

京太郎「ええ、怖い……」

小蒔「」

京太郎「じょ、冗談ですって……そうですね――」

京太郎「……まずは、たぶん謝るんじゃないかなと思います」

小蒔「どうしてですか? その……責任を、取れないから……つまり……いま京太郎さんには、す……すす……胸に決めた方が……」

京太郎「えーと……ではなく――忘れていたことについて、です」

小蒔「えっ」

京太郎「まぁ……相手はしっかり覚えててくれたのに、俺だけ忘れちゃってたわけなんで……さすがに申し訳ないなー、くらいは思いますよ、俺も」

小蒔「あ……あ、あー……はい、そうですね……確かに、そうなります」クスクスッ

京太郎「んで――まぁ責任取るかって言われたら、そこまではわかんないですね。なにを約束したかによりますし……結婚とかだったら、俺一人の問題でもなさそうですし」

小蒔「婚儀は、当人同士の問題かと……」

京太郎「家同士の結婚、って考えもありますからね……特に、神社関係者だと」

小蒔「……そうですね」

京太郎「それに、当人だけの考えなら、まず俺は受け入れませんよ」

小蒔「え……」

京太郎「俺は忘れてたわけですから……言われて思いだしても、やっぱりその子は、いま会ったばかりの子なんだと思います」

京太郎「その初対面の相手と、すぐに将来は誓えない……というか、そこで誓うのもなんか……相手に対して失礼じゃないですかね」

小蒔「な、なるほど……そうも考えられますっ」

京太郎「だから……そういうことで、相手も俺のことを毛嫌いしたりするんじゃなければ……一緒に遊んだり、連絡し合ったりして、仲良くなって――」

京太郎「その子と、その家と付き合っていきたいって思えたら――そう伝えるでしょうね。俺と結婚してくださいって」

小蒔「~~~~~~~~っっ……は、はい……そうですね……」プシュー

京太郎「――って、なんか結婚の約束してたの前提になってますね……それとは違う、変な約束してたらどうするかな……」

小蒔「ふふ……大丈夫、変な約束ではありませんよ」

京太郎「え――」

小蒔「泣いている女の子に指輪を渡して、京くんは言ったんです――次はちゃんと守るから、って」

京太郎「小蒔先輩、なにを……っっ……」ズキッ

小蒔「っ……大丈夫ですかっ?」

京太郎「あ……はい……大丈夫です……ちょっと、頭痛が――」

京太郎「――――っっ!!」

~~~~~~~~~~~~~~~

少年『ごめん、こまちゃん! 遅くなった――』ガサガサッ

少女『おそいです、京くん!』

少年『わ、悪かったって……じーさんが離してくれなくてさ――』

少女『いつもそう言ってますぅ……』

少年『そうだっけか……あ、けど途中の出店で、いいもの手に入れたぜ』

少女『やっぱりよりみちしてましたねっ!』プンプンッ

少年『あ、やべ――い、いや、違うんだって。これ、こまちゃんにあげようと思ってさ』

少女『えっ、本当ですかっ?』

少年『ああ、これが似合うと思って――っっ!? 危ない、こまちゃんっっ!』

少女『え――』

ガラッ……ガラガラガラッッ、ドサァァァッッ!

~~~~~~~~~~~~~~~

少女『ひぐっ、ぐすっ……うあぁあっっ……』

少年『っ……だい、じょうぶっ……俺が、おとなのとこまで……絶対っ……』ズキッ

少女『京くんっ、京くんのほうがぁっ……ちっ、血があぁっっ……』

少年『へっ、男は頑丈にできてんだ。これくらい平気だっての……』ギシッ

少女『でもっ、でもぉっ……わたしのこと、庇ってぇ……』

少年『……それでも、こまちゃんにケガさせちまった……俺が、遅かったせいだっ……』

少女『そんな、ことっ……ないぃっ……うぐっ、うえぇぇ……』

少年『あーもう、泣くなって……ほら、これ』

少女『え……』

少年『さっきの――こまちゃんにあげようと思って、縁日で取ってきた』

少女『ふわぁぁ……きれい……』

少年『その……次は、さ――』

少女『?』

少年『次は――絶対、ちゃんと守るから……それは、この約束のしょーこな!』

少女『……うんっ! 約束!』

少年『その代わり、こまちゃんは泣くのをやめる! いいな!』

少女『う……んっ……ぐすっ……泣くの、やめますっ!』

少年『よし――やった、出た! こまちゃん、おとなたちのテントだ!』

『え……君は、須賀の――』
『そっちは……なっ、ひ、姫様!?』
『ひどいケガだっ……おい、人呼んでこい!』

~~~~~~~~~~~~~~~

『――とんでもない事態』
『姫様を勝手に――』
『この責任をどうやって――』

『……わしが当主の座を退き、跡は息子に継がせる』
『お前が言うなら、私もそうしよう……これでこの件は手打ちじゃ』

『曾孫殿には如何に――』
『記憶を――』
『二度と当家には近づけぬよう――』

~~~~~~~~~~~~~~~


京太郎(な……んだ、これ――)

~~~~~~~~~~~~~~~

小蒔「――さんっ……京太郎さんっ!」

京太郎「ぁ……い……まの……は……?」

小蒔「大丈夫ですかっ、京太郎さんっ!」

京太郎「う……こま、ちゃん……?」

小蒔「――――っっ!?」

 → to be continued……




~綴る!

京太郎「――マジすか」

小蒔「はい……まじです」

京太郎「いえ、合わせなくていいんで……えー、本当ですか……」

小蒔「本当です……と、思います」

京太郎「ん?」

小蒔「私も……思いだしたのは、ごく最近になってからなので……とはいえ、指輪をいただいたときには、思いだしていましたけど……」

京太郎「あー……なんか、すいません」

小蒔「いえ……私のほうこそ、ちゃんと確認を取れていなくて……」

京太郎「要するに……俺の……本家筋みたいなとこが、神代と繋がってたみたいな話ですよね」

小蒔「はい……当時の神代当主が私の曽祖父で、須賀の当主が……おそらく、京くんの曽祖父様です……」

京太郎「う……あの、小蒔せんぱ――」

小蒔「こまちゃん、です」

京太郎「いえ、あの……どうも慣れなくて……」

小蒔「うぅ~っ!」プクーッ

京太郎「わ、わかりましたっっ……こまちゃん」

小蒔「はいっ!」

京太郎「あの……二人のときだけってことで、いいですか?」

小蒔「敬語もなしにしてくださるなら……」

京太郎「……あーもう、わかりま――わかったよ!」

小蒔「♪」

小蒔「では、続きですが……お二方は親友同士でしたから、曾孫である私と京くんは曽祖父に連れられてよくお会いしていました」

小蒔「その……ときには、逢引のようなこともして……二人きりで、ということも……」///

京太郎(ああ……昔の俺は、なかなかやるやつだったんだな……)

小蒔「ただ、そのとき……」

京太郎「あの事故ですね……待ち合わせ場所にしてた、小屋? みたいなのが倒れて――」

小蒔「はい……二人きりで縁日を回ろうって約束して、私はこっそり家を抜けだしました。そして京くんと会ったとき、お社が倒れたんです」

京太郎「……あの、ケガの跡とかは……」

小蒔「私は……京くんが庇ってくれましたから、かすり傷だけで……もう全部治っています」

京太郎「そりゃなにより」

小蒔「でも……京くんは、頭から血も流して……足も挫いて、歩けるような状態じゃありませんでしたっ……」

京太郎「すげーな俺、それでこまちゃん抱えて歩いたのかよ……」

小蒔「はい……あれが王子様なんだって、当時の私は思ってたと思います」キリッ

京太郎「王子様ならもっとスマートに助けてるって……ただ、大人はそうは思わなかったわけだ」


小蒔「はい……どちらも大きな家でしたが、力関係は神代が上で……ともすれば、須賀の家がなくなっていた可能性もあったようです」

京太郎(マジかああああああ!? 子供のミスで――って、まぁ……大事な曾孫にケガさせられたんじゃ、それも仕方ないか……)

小蒔「で、でも……曽祖父は、京くんを庇ってくれていたんです……でも、日頃から曽祖父と親しくしている須賀家を疎ましく思っていた方々もいて……」

京太郎「――ああ、そういう話ですか」

小蒔「敬語に戻ってますよ?」

京太郎「う……ま、まぁいいからさ、続けてくれって」

小蒔「ふふっ、はい……その方々の反発が抑えられなくなり、須賀家との交流を縮小せざるを得なかったんです」

小蒔「その証明に、京くんの曽祖父は隠居……私の曽祖父も同じく隠居なさって、当主は私の祖父、京くんの……大叔父様に、それぞれ移りました」

京太郎「じいさんの兄弟ってことか……っていうか、じいさんの顔も知らねえぞ……?」

小蒔「私は……いわゆる本家筋の娘でしたから……」

京太郎「お姫様だもんな」

小蒔「……当時の、京くんの記憶を封じられただけで……なにごともありませんでした」

京太郎(この言い方だと、俺には色々あったのか……)

小蒔「京くんも同じように、当時のことと私に関することを封じられ……その後は、遠方に引っ越されたと……それだけしか、わかっていません」

京太郎「んー……神代との繋がりを切った俺が目障りだったってとこか。で、オフクロとオヤジはそれを知って、長野まで逃げてくれたってわけだ」

京太郎「なるほど……親戚の集まりに、俺とオフクロが行かないわけだな」

小蒔「そうなんですかっ?」

京太郎「ああ……で、曽祖父さんも引退して、俺には後ろ盾もなんもないわけだからなぁ。大叔父さんってのは、いまも権力握ってるってことか」

小蒔「いえ……それからしばらくして、私たちの曽祖父は亡くなり――当主についた後継者も、それぞれ亡くなっています」

京太郎「ん……あ、そうか。小蒔せ――こまちゃんのお父さんになるのか、いまの当主様は」

小蒔「はい……そして京くんのお父様の従兄弟の方が、いまの須賀のご当主のはずです」

京太郎「へー……っていうか、すごい家だったのか、うちって……」

小蒔「十年以上が経って、それでも神代と須賀の関係は修復されていませんから……こうして私と京くんが会うことになるなんて、誰もわからなかったんでしょうね」

小蒔「そして、京くんが鹿児島に……霧島にいらっしゃって、私と会って、話して……そのことが、私たちの記憶を……起こして、くれっ……」ウルッ

京太郎「――運命だな」

小蒔「はいっ、その通りです!」

京太郎(……ツッコミ所だったって、言えなくなった)

京太郎(けど――うーん、どうしたものか……)ポリポリ

小蒔「~♪」ニコニコ

京太郎「あの……こまちゃん?」

小蒔「はい、なんでしょう!」

京太郎「その――さっきも言ったけど、俺は……思いだしたって言っても、ついさっきだし、曖昧だし……」

小蒔「……はい」

京太郎「やっぱり、その……昔のまま、ってわけには――」

小蒔「はい……わかって、います……」

京太郎「けど――まぁ、これも言ったけど……」

京太郎「縁があって、知り合って、先輩後輩になった……で、こまちゃ――小蒔先輩としては、俺と……こうして話してくださるくらいには、仲良くしてくれてます」

小蒔「はいっ!」

京太郎「で――俺も、小蒔先輩とは……こうして話したいし、仲良くなりたい……麻雀だって、また何回もしたいです」

小蒔「っっ……はいっ!」

京太郎「だから……昔のことに捕らわれないで、いまの俺と小蒔先輩で……これからも、付き合っていきましょう」

小蒔「つ――」カァッ

京太郎「友人としてぇ!」

小蒔「あ……はい……」シュン

京太郎「――けど、その……昔のことも、忘れるわけじゃないからな……こまちゃん」ポンッ

小蒔「――っ」

京太郎「ごめん、忘れてて……それと……思いだしてくれて、ありがとな」ナデナデ

小蒔「っっ……は……いっ……いえっ……私こそっ……ありがとう、ございますっ……」ボロボロッ

京太郎「泣くの禁止だぞ?」

小蒔「っっ……泣かせたのはっ……京くん、ですっ……っ……」

京太郎「……まったく、お姫様を泣かせまくる王子様なんて、普通いないよなぁ」ギュッ

小蒔「っ……そんなこと……京くんは、私のっ……王子様、ですっ……」ギューッ

初美「イイハナシダナー」

霞「……これが事実だとしたら、ものすごいことね」

春「でも京太郎は譲らない」ポリポリ

明星「えーっ、そこですかっ」

湧「巴さんにも連絡しておきましょうか……」

霞「そうね……メールや電話はなし。霧島に戻ってから、手紙にしましょう。内容は任せるわ」

湧「はいっ」

春「これから、どうするの……?」

明星「そうですよね……私たちも、姫様も……こうなると考えることが――」

初美「……はぁ、なに言ってるんですかー、二人とも」

明星「えっ」

霞「さっき言ってたでしょう、京くんが……昔のことには捕らわれず、付き合っていきましょう、霞さんって」

湧「なんか足してません!?」

春「付き合うのは私」ゴゴゴゴゴゴゴ

初美「……まぁともかく、そういうことですよー、明星」

明星「――そ、そうですよねっ! 明星、了解ですっ」

湧「私も……いままで通り、接していくことにします」

霞「それじゃ……部屋に戻りましょうか。いまは二人きりにしてあげましょ」

初美「珍しく空気を!?」

春「ああ……さっきの締めの挨拶の、実践?」

霞「言ってなくてもこうしたわよ!?」

小蒔「京くんっ……京くんっ、京くんっ……」

京太郎「はいはい、こまちゃんこまちゃん」

小蒔「もっと気持ち込めてくださいっ」

京太郎「……こまちゃん、また会えてよかった」

小蒔「わ……私もですぅぅぅ~~~~~っっっ!!!」ビエーッ

京太郎「ああああ、また泣くしぃ……」ヨシヨシ

~学校別誰が一番京ちゃんに似合うか話し合いましょう会議議事録 コメンテーター:各部先鋒


~清澄編

和「私以外考えられません。彼の好みにドストライクのはずです」キリッ

優希「いーや! のどちゃんと京太郎の間には、微妙な遠慮と距離があるじぇ。普段から仲のいい私が――」

咲「普段から? だったら私だよね、中学からの仲だもん」

久「そういえば、京太郎って年上好きよね」

まこ「ほう。それならわしも分がよさそうじゃ」


小蒔「……やはり、宮永さんではないでしょうか」

シロ「へぇ、意外……私は原村を推すし、小蒔もそうだと思ってたけど……」

玄「私も和ちゃん一択なのです! おもちを愛する同士の趣味嗜好、私には手に取るようにわかりますから!」

照「結論を急ぐのはよくない。私を好きな京ちゃんの好みを考えれば、面影のある咲、もしくは年上の包容力がある久、次いでまこが妥当」

漫「優希ちゃんみたいな元気な子と、遠慮なくしゃべってるときが、一番イキイキしてるよう思いますけど……」

怜「言えとるなぁ。照んとこのあわあわちゃんとも、そんな感じやん? あとヒッサーに包容力とかあるか?」

智葉「ないな」

成香「そ、そんなはっきりと……あの部長さんにも、きっといいところはあります……だから、京太郎くんが信頼してるんですし……」

煌「庇っているようで、追い打ちになっていますよ……そもそも彼女が派遣を言いだしたのですから、京太郎くんへの思いやりは、人一倍あるのでは?」

小蒔「そうですね。きっと、大会が終わるまでなにもしなかったことにも、深い意図があるのではないでしょうか!」

シロ「……まぁその意図を聞く機会は、永遠に失われてるけどね」

玄「噂では、宮守にいるときに永水・清澄を交えての合同合宿を行えば、聞けたそうですが!」

照「すでにテキストも完成してたけど……選ばれず、お蔵入りになったらしいね」

漫「へぇ……って、話ずれてます!」

怜「好みならのどっち、仲良さならユッキ、面倒見の関係やったら咲ポン、信頼と従属やったらヒッサーか……」

智葉「染谷を省くな。あのメンツの中では、一番の良心だぞ」

成香「あの人の支えがあって、いまの京太郎くんがあるなら……そのことを感謝していて、愛情にというのも……なんだか、素敵です……」

煌「いいですねぇ。誠実なカップルになりそうです! 和には申し訳ありませんが、私はまこさんを推したいところですね!」

小蒔「私は変わらず、宮永さんを!」

シロ「じゃあ原村……」

玄「私も和ちゃんなのです!」

照「む……じゃあ、悩むけど咲にする。久と私はタイプが違うから、咲のほうがよさそう」

漫「いや、自分と似たタイプを選ぶんちゃいますよ……うーん……」

怜「悩んどるなぁ、漫やん……なに見てるん?」

智葉「これは――誕生日プレゼントと、好感度の推移か? なるほど……」

成香「原村さんと竹井さんは電話……でも宮永さんはブックカバーをもらってますね、素敵です」

煌「趣味も把握した、すばらなプレゼントかと。染谷さんももらってはいますが、業務用の色が強いのは残念ですね……」

小蒔「……えっ!? ど、どうして宮永さんは、100から始まってるんですか!?」

シロ「色々あって……まぁそれより早くに会ってるのに、69スタートの小鍛治プロのが怖いけど」

玄「むむぅ~……で、でも和ちゃんは来年の約束もしていますし、好感度を見るなら、コツコツ積み上げた正統派ヒロインですのだ!」

照「片岡さんのときは、誕生日やプレゼントのシステムが確立されてなかった不運もあるね」

漫「いま誕生日きたら、本人のとこ行ってタコスでも作ってあげそうやしなぁ……うん、私は片岡さんにします」

怜「うちは――やっぱのどっちやな。おもちもええけど、それ以上に太ももが強い! 次点やとヒッサーやけど、京太郎好みの太ももはのどっちや」

智葉「お前はどこを見てるんだ……まぁ、色々言いはしたが、私も宮永を推そう。京太郎は誠実な男だ、好みのスタイルよりは、長らく築いた絆を重要視すると信じたい」

成香「私は……あの……竹井さんを……この無茶な企画に反発しないのは、あの人の言うことだから、だったんじゃないかって……」

煌「ほっほう、それも一理ありますか……さて、カウントしてみますと優希1、まこさん1、竹井さん1、和3、宮永さん3ですね」

小蒔「先鋒陣の多数決では、原村さんと宮永さんが優勢です」

シロ「まぁ妥当……っていうか、基本的に誰が隣にいてもしっくりくるのが京太郎。一番は私だけど」

玄「シロさんの場合は、背中に乗ってるほうがしっくりきそうなのです!」

照「わかる。シロは京ちゃんに甘えるのを控えるべき」

漫「めっちゃブーメラン刺さってますけど」

怜「ま、会議はこんなとこか……っちゅうか、これ会議か?」

智葉「なんでもいい……とにかく、清澄編は終わりだ。次は永水編、コメンテーターは次鋒と交代になる」

成香「龍門渕の方たちは、派遣されていないから入らないそうです……」

煌「では――ひとまず最多票を獲得した二人から、コメントをもらって締めておきましょうか」


和「あ、はい……そうですね、他校の方からも厚い支持をいただけましたのは、非常に嬉しいです。これからも連盟の皆さんの応援を、よろしくお願いします」

咲「わ、私は、その……こういう挨拶とか苦手で……うぅ……えっと、私っ……私は――私は、誰にも負けません!! ゴッ倒します!」

~永水編へ続……いたらいいなぁ




~永水編

小蒔「あ、ああああ、あのっ! その……京くんの隣には、やっぱり……わたっ、私が……いたいです……」

巴「………………ここで主張できるほど、私は勇気がありませんので。少し前なら別でしたけど」

春「相手が姫様であっても、譲らない……京太郎は、私の……大事な旦那様……」

初美「はぁ……それじゃ、私も姫様の応援しますよー」

霞「……政治的な事情も込みで、小蒔ちゃんではなく私が……彼を支えてあげるのがベストだと思うわ」


まこ「…………深く踏み込むのが、ものすごい面倒そうなんじゃが」

エイ「ヤルシカナイ!」

宥「う~ん……この場合、永水の皆さんの事情は、あんまり考えなくていいんじゃないかなぁ?」

菫「宥の言う通りだ。我々は客観的に全員を見て、京太郎くんと似合う相手を決めればいい」

由子「言うても、ビジュアルやと主張の激しいお三方になるのよー」

泉「…………まぁ、そうですね」

ハオ「仕方ありません、京太郎も健全な男子高校生です。そこに目を奪われるのは、男性のサガです」

誓子「ほんとあの子は、どこででも……私としては、落ち着いて一歩下がることができる、狩宿さんがいいと思うんだけど」

美子「確かに、石戸さんは……その……なんというか、迫り方が……三十路リーチかかった女性のようで……」

まこ「その発言は色んなとこで問題になりますけえ!」

エイ「ワタシモ、モットアレバ……デモ、イツカ、ママミタイニ……」

宥「エイスリンちゃんは落ち込まなくてもいいと思うんだけど……ほら、京太郎くんは女の子を選ぶなら、きっと内面で選んでくれる子だと思うよ?」

菫「――同意したいところではあるが、うぅむ……やはり霞や小蒔、春を前にしたなら……」

由子「そーなのよー。特に霞のあれは、京太郎くんをダメにする、魔性の脂肪やと思うのよー」

泉「なんにしても、二人が放棄してはるんやったら、三人から選んでええんとちゃいます?」

ハオ「私も同意です。これだけの競争率、その競争相手が強大であるからといって手を引くような人物を、京太郎の隣に立たせたくはありません」

誓子「言いたいことはわかるけど、それは乱暴すぎるよ。逆に、そういう控えめな態度に京太郎くんが惹かれる、っていうこともありえるんだから」

美子「最近になって事情ができて、戸惑っとるんかもしれんけん……うちはそっちより、薄墨さんとのサイズ差のほうが、ちょっと気になっとるよ……」

まこ「兄妹に見えなくもない、くらいはわしも思いますが……仮に二人が想い合っておれば、京太郎にとってそれは些細な問題――いや、問題にすらなりゃあせんかと」

エイ「ソウ! カラダノ、オオキイ、チイサイ……カンケイ、ナイ!」

宥「うんうん、あったか~い♪ それに初美ちゃんは、京太郎くんの初めての派遣で、最初にお世話しようとしてくれた、とってもいい子だよ」

菫「そのあと、霞と勝負することになってはいるが……ともあれ、警戒してもおかしくない男子相手に、臆さず接し、彼の緊張を和らげようと尽力している」

由子「先輩の鑑なのよー」

泉「ええ……なんか薄墨さん人気ですね。それやったら皆さん、薄墨さん推しですか?」

ハオ「納得できません。それであれば私はやはり神代を推します。外見、気位、物腰、そして強さ――すべてを備えている彼女こそ、私のライバルにしたい」

誓子「なんかポイントずれてるけど……あ、私は変わらず狩宿さん。京太郎くんはちょっと本能に忠実だから、それを制してくれる人のほうがいいわよ」

美子「ならうちは素直に、滝見さんにすっとよ……同級生で、初々しかカップルばなれそうやし……」

まこ「ふむ……わしは小蒔にするかのう。こう言うちゃなんじゃが……どうも小蒔と咲は、似た雰囲気があってな……その辺が、京太郎の好みなんかもしれんけえ」

エイ「ワタシハ……ワタシモ、キボウヲ、カケテ……トモエニ!」

宥「私はねぇ……小蒔ちゃんでもいいかな~って思うんだけど、やっぱり初美ちゃんにするね。しっかりしてる子だし、京太郎くんにお姉ちゃんらしく言い聞かせてあげられそう~」

菫「私は……本当に悩ましいが、春にしよう。彼女と京太郎くんは……その……実に微笑ましい関係だったと、記憶している」

由子「なら私は、素直に霞にするのよー。あんなん反則や思うわー」

泉「石戸さん……な気もするんやけど、神代さんも捨てがたいですね。恋人いう立場やったら特に――うん、そやな……私も神代さんにしときます」

ハオ「ではこれで、神代3、狩宿2、滝見2、薄墨1、石戸1ということで、神代に決まりですね」

誓子「石戸さん一票が、なんだか意外だけど……」

美子「まぁ次鋒メンバーが深く考えすぎなんかも……それじゃ、神代さんに挨拶ばもろうて終わろっか」

小蒔「京くんは、まだ……私も、春ちゃんも、霞ちゃんも……それに巴ちゃんもはっちゃんも、同じくらい大事に思ってくれてます……」

小蒔「私もみんなのこと、大好きですから……最終的に京くんが誰を選んでも、その選択を祝福して……大事に、したいです……」

小蒔「もちろん、それが私なら……言うことなく、幸せですが……////」

~次は宮守編……いや、お年玉代わりの企画だし、もう十分だよね?


~宮守編

シロ「……いや、私でしょ。ここまでの実績もあるし、京太郎がほかの誰かととか、ちょっと耐えられないし」

エイ「ワタシ! ゼッタイ……ゼッタイ、ワタシ! 英)彼の京ちゃんがどれだけすごくても、すべて受け止める自信があるもの!」

胡桃「なに口走ってんの!? コホンッ……京太郎くんは、しっかりした子が見ててあげたほうがいいと思うの。だから私も、できることなら支えてあげたいかな」

塞「うちはみんな可愛いから、誰に任せてもっていうのはあるけど……その……私も、できることなら……っていうか、シロは自堕落になりそうだし……」

豊音「私はねー、おばあちゃんになるまで、ずーっと京太郎と仲良くしたいよー。それで、みんなとずっと麻雀するんだー、ちょー楽しいよー」

久「最後に天使がいるわね」

巴「二番目に堕天使がいる気がするんだけど……気のせいなのかな」

憧「このメンツだと小瀬川プロ有利じゃないですか? なんだかんだで、うちの学園祭に顔だしに来たくらいですし」

尭深「そういう活力のなさそうなシロさんがしたのは、相当な入れ込みようってことだよね……」ズズ

洋榎「ほかは受験やったからやろ? 京太郎かて、受験生が来とったら注意したんちゃうか?」

セーラ「洋榎にしては、めっちゃまともなこと言うとるな……でも一理あんで。うちの受験生らのことも、めっちゃ気にしとったし」

明華「それを押してでも迫る、アピールする、これこそ愛ではありませんか?」

揺杏「重いなー、フランス人は。でも京ちゃんだと、そんくらい押さないと通じねーっぽいし、わりと大事かも」

仁美「付き合いの短かけん、ようわからんけど……小瀬川がこんだけアピールしとっても、まったく靡いとらんち思うとやけど?」

久「核心を突くわね……まぁでも確かに、京太郎にとってはたぶん、全員が大事な宮守の先輩でしょ」

巴「好感度順だと白望さん、豊音さん、僅差でエイスリンさん、未ときめきが塞さん、そして胡桃さん。デートは白望さんが一回ですね」

憧「……どんなデートしたんだろ、あの二人……」

尭深「部屋を行き来して、あと試合観戦らしいよ……宮永先輩は、自分の試合見に来たって言ってたけど」

洋榎「あー……照はアホやからな」

セーラ「とにかく、ランクと実績はほんまにシロが頭抜けてんな」

明華「誕生日プレゼントにしても、それぞれ順調に受け取られてます……そのだいたいが貴金属、アクセサリーですし」

揺杏「コナかけすぎだろ、京ちゃん……これどう収拾つけるつもりだよ」

仁美「なんもかんも連盟が悪い」

久「連盟も一枚岩ではないからねぇ……さて、結論にはまだ早いと思うけど、私はシロを推すわ」

巴「まぁ……ここまでのアピールをしているなら、応じない京太郎くんサイドに問題がありますよね」

憧「本当そうですよ……はぁ、なんであんな面倒なやつを――」ガックリ

尭深「好きになったんだろうねぇ? うーん、私は……特に意味はないけど、臼沢さんを」

洋榎「眼鏡めがね」

セーラ「古いわ、アホ。せやなー、俺は姉帯にするわ。京太郎もこういうやつとおるほうが、楽できそうやし」

明華「スタイルを見るならシロ、塞、豊音でしょうね。ただ、ブロンドのエイスリンもポイントが高い」

揺杏「なんでブロンドだとポイント高いんですかね……」

仁美「狙いが露骨すぎっやろ……」

久「まだ決めてない人は、どう?」

巴「うーん……まぁ総合的な判断で、やっぱり白望さんかと」

憧「……ですね。世話焼き好きの京太郎から見て、相性よすぎますし……私もシロさんで」

尭深「私は変わりません。あと臼沢さんのモノクルは伊達だと思います」

洋榎「あ、そら失敬……せやな、うちは――パツキンにしとくわ」

セーラ「お前いちいち言い方が……」

明華「では――私もシロを。恋愛は押していく者が有利ですからね」

揺杏「姉帯……いや、やっぱ小瀬川にしとく」

仁美「なら私は姉帯にしようかね。こういう無垢な子には、報われてほしか」

久「……むくだけに?」

巴「宮永さんの影響おかしくないですか……」

憧「それにしても……ほら、清澄・永水のときも思ったけど……」

尭深「みんな京太郎くんの好みって……あれでしか考えてないよね」

洋榎「照は違たけどな」

セーラ「だってあいつ、視線でバレッバレやで?」

明華「そんなところが可愛いんじゃないですか、京太郎は」

揺杏「腹立たしいけどなー、まぁ気持ちはわかるから許してる」

仁美「いや、誰かまとめんと……小瀬川5、エイスリンと臼沢が1、姉帯が2やね」

久「胡桃も悪くないんだけどねー。ちょっと他が濃すぎるかしら」

巴「では白望さん、どうぞひと言」

シロ「……私は、京太郎と同じ布団で寝たことがある」

全員『!?』

シロ「それじゃ――次は阿知賀編、コメンテーターは副将予定……はぁ、疲れた……」

全員『ちょ、ちょっと待て、詳しく――』


~書いちゃったんで、ここまで上げました。では阿知賀編はバレンタインにでも

~合宿三日目 朝

ピピッ……カチッ
京太郎「……うーっす」

「ざーっす」
「行きますかー」
「ふぁ……今日は一位取りますよ……」

 執事たちの朝は早い。
 日の出より早く起床し、手早く支度を済ませ、まずは朝のジョギングである。
 その距離およそ、20km。

 途中の公園で一通りの筋トレ、鍛錬、格闘技訓練を済ませ、帰宅。
 シャワーを済ませ、主君に失礼のない身支度を丁寧に整えると、いよいよ出勤だ。

京太郎「忘れモンねーなー?」

「食材オーケーです」
「調味料オーケーです」
「調理器具オーケーです」

京太郎「よーし、それじゃ今日も、みんなを起こさないよう仕上げるぞ」

『おー!』

 こうして合宿所へ向かう一行。
 現在の時間は6時。到着するのはおよそ15分後。
 そこから数十人分の朝食を作る、ハードワークだ。

 Q.つらいと思ったことは?

京太郎「? なんで辛いと思うことがあるんですかね……誰かのために働けるとか、最高の環境じゃないですか」

 きょとんとした顔で、リーダーの派遣執事から返事がある。
 後輩たちも然りというように頷く、同意見のようだ。

 彼のこのような考えの背景は、いったいなんなのだろうか――。
 今後も記者は、その真相に迫っていく予定である。


「――と、これが今朝撮影させていただいた、派遣執事の一日・ver.Mなわけですが、いかがでしょうか」

春「……M?」

久「モーニングでしょ、たぶん……じゃなくて! あんた誰よ!」

「あ、申し遅れました私、新道寺女子新聞部のものです。どうぞよろしく」

煌「…………なにをしているんですか、あなた方は」

姫子「新道寺に恥ば晒すんは、やめてくれんね……いや、ほんとに……」

霞「京太郎くんの生態観察動画ねぇ、ここまでは」

まこ「で、今後も撮るつもりなわけですかい、これを……」

初美「朝食前に見せないでほしかったですよー……」

京太郎「ま、まぁまぁみなさん……」

咲「京ちゃんも京ちゃん! なんでこんなの撮らせてるの!」

京太郎「いやしかたねーだろ! 唯一の男子生徒の取材、不安がる女子を安心させるため、なんて言われたら協力するわ!」

小蒔「そんなっ! 京く……太郎さんは、不安に思う必要なんてない、優しい方です!」ガタッ

京太郎「あー、こまちゃ……き先輩は優しいなぁ」シミジミ

和「………………」

優希「なんか、会話に違和感があったじぇ……」

京太郎「そ、そんなことないぞ?」ビクッ

「永水の姫、派遣執事の秘められた関係――こっちのほうが視聴率取れそうかな……」ブツブツ

京太郎「おいカメラ止めろ」

「あひいいいぃぃぃぃぃいいぃっっ!!!???」ビビクンッ

京太郎「――ふっ」

咲「いや、フッじゃなくて」

煌「まぁ彼女も、京太郎くんに関わるとこうなると、よくわかったでしょう……」

優希「悪は去った! ふぅ……朝からタコスというのも乙なもんだじぇ」

春「パンがいっぱい……」

姫子「はぁ、今朝もおいしかぁ……」

久「せめて作る前に起こしに来なさいよね……手伝えないでしょ」

霞「洋朝食はなにかと新鮮ねぇ」

初美「……こ、このパン……市販じゃないですよねー?」

京太郎「もちろん、俺が一から作らせていただいたので」

小蒔「京……太郎さん、すごいです……私もできるようになれるでしょうか」

京太郎「ええ、もちろんです。よければ、いつでもお教えしますので」

「そんな!」
「俺らでも一からの指導はないのに……」
「さすがお姫様、羨ましい……」

まこ「他校で恥を晒そうとするな、バカもん」

ムロ「羨ましがるの、そっちなのかよ」

ミカ「ところで――」

明星「先ほどから――」

湧「そちらにいらっしゃるのは――」

良子「いやー、今日もパンがデリシャス」サクサク

和「……戒能プロ?」

春「なんで良子姉さんが……」

良子「おっと、これは失礼。午前だけですが、今日の指導監督を任されてきました戒能良子です、どうぞよろしく」サクサク

霞「……そうではなくて、どうして私たちと一緒にクロワッサンを齧っていらっしゃるのか、ということなのですけれど」

良子「京太郎の料理は、プロや業界人でもめったに食べられない、希少なグルメですからね。私も楽しみにしてきたのですよ」

久「答えになっているようで、なっていない……」

初美「京太郎も京太郎ですよー。知っていたなら、あんな動画を見せるより、優先して伝えるべきではないですかー」

京太郎「俺も到着予定はもう少し遅いと聞いていたもので……」

良子「早く会いたくて急いで来たんですよ。京太郎、もう一杯お茶を」

京太郎「あ、はい。どうぞ」

まこ「この落ち着きぶりは、さすがトッププロいうところか……」

咲「戒能プロは、京ちゃんの扱いに慣れてる感じですね……」

良子「ええ、もちろん。昨年の9月から、ずっと付き合ってきている愛弟子なのですから」

京太郎「はい……お世話になっています……」

良子「ははは、気にせずともいいんです。もっと甘えていいくらいですよ、遠慮なくね」

小蒔「むー」プクー

煌「さて、こうして戒能プロがヘイトを稼いでいるわけですが……」

姫子「さらに困ったことばあるんやけど……」

優希「お、なんだじぇ?」

煌「三日目は基本的に、京太郎くんと一年生の特訓がメインです」

姫子「少なくとも京太郎の特訓には、このプロが絶対参加するけん……なぁ?」

京太郎「えっ」

良子「まぁ、私でも厳しいくらいですからね、京太郎の相手は。その指導をするなら、私しかいないでしょう」ハッハッハ

京太郎「よ、よろしくお願いします……」

良子「ええ、任せておきなさい。ところで、ミネストローネスープをもう一杯」

京太郎「はい、ただいま」

和「ああ、なんてことでしょうか……」

春「京太郎と打ちたいのに……」プクー

霞「残りは2枠……全国で当たらないメンツとなると、かなり厳しいわね……」

久「まぁOGの私たちには関係ないけどね」

初美「普通は現役生たちを、プロと打たせるようするものですよー?」

まこ「まぁ……トッププロと打ってみたいいう気持ちは、わからんでもない……と、思うてやるかい……」

咲「何回か打ってるはずですけどね、戒能プロとは……」

煌「まぁすべては朝食後ですよ」

姫子「そうそう。せっかくやし、京太郎と戒能プロ、あとは私と煌でよかとやろ」

小蒔「だ、だめですっ! 私も……京く……太郎さんと、打ちたいです……」

京太郎(これそのうち絶対ポロリするよな……いや、失言的な意味でね?)



~午前練習

京太郎「――で、練習なわけですが」

良子「そろそろ本気の私と打っても勝てそうですね、やってみましょうか」

京太郎「前向きに検討しておきますね」

良子「ふふ、つれない返事ですね……まぁいいでしょう」

咲「まぁ私はおととい勝ってるから、戒能プロが負けたら、私が一番いい練習相手になるね」

良子「さすがは宮永咲、その調子で全国も頑張るように」ニッコリ

咲「うぅ……はい」

霞「手強いわねぇ」

まこ「安易な挑発は余裕で流す、曲者じゃのう……」

春「久の上位互換……」

久「あらー、言ってくれるわねー?」

煌「はいはい、ギスってる場合ではありませんよ。時間もない、合宿最後の練習なんですから」

姫子「私らもしっかり打って、来月に向けて仕上げていかんとね」

初美「まぁそのために、一番強い人と打つ機会を掴まないといけないんですがねー」

優希「ほれ京太郎、さっさと選ぶんだじぇ」

京太郎「へいへい、わかってますよ――って、俺が選ぶのかよ!」

ムロ「いつも通りなのでは……」

京太郎「そうだった」

京太郎「んじゃ……一人は明星ちゃん」

明星「!? わ、私ですかっ!?」

京太郎「ああ。個人での出場はできなかったけど、団体大将としてしっかり練習しないとだし」

明星「う……そうですね、頑張ります」

京太郎「それに、一緒に打ったことないからな。ちょっと楽しみにしてたりもする」

明星「うっ……ずるいです、それは///」

霞「あらあら」

小蒔「よかったですね、明星」

明星「」

湧「これはひどい……」

ミカ「嘘みたいだろ、あれ、天然なんだぜ……」

ムロ「これ以上の被害者が出ないことを祈るのみ」

姫子「そういうことなら、うちからメンバーば選ぶべきやない?」

煌「まぁうちはホスト校ですから、多少は仕方ありません」

京太郎「……じゃあ――えーっと……こ……まき、先輩お願いしていいですか?」

小蒔「――はいっ! 頑張りますっ!」

初美(笑顔が眩しすぎるですよー)

霞(これは本物ねぇ……大好きでも、実質ときめきレベルだわ……)

良子(ふむ……姫様と京太郎、なにがあったのか……気になりますね、霞に探り入れてみましょうか……)

姫子「ま、まぁ私らは明日から打てるけん……(震え声)」

煌「ええ、まさしくその通り! 今日の三日目は、ホスト校としての役目を一心に務めるといたしましょう」

和「こっちも眩しい……」

優希「後光が差してるじぇ……」

春「負け惜しみとかではなく、本心からの言葉……」

咲「先輩として、素直に尊敬できる……立派な人だね、煌さん」

久「あら、胸が痛いわ……」

まこ「よかったのう、痛むほどの良心があったようで」

良子「さて――どうします、本気で打ちましょうか? 能力は通じませんが、鏡は通りますよ?」

京太郎「う、うーん……」

良子「ちなみに私は、現在99なので……私より上の順位なら、100に乗る予定です」

京太郎「は?」

良子「いえいえ、こちらの話……ですが、ふふ……できれば本気の私に勝って、ときめかせてほしいものです」

明星(うわぁ、なんだかすごい卓についちゃったぞ……)

小蒔(京くんにいいところ見せないと!)グッ

京太郎(言ってることはよくわからないけど……俺も打てるなら、本気の良子さんと勝負したい)

京太郎(ただ……明星ちゃんもいるし、あのときの俺みたいになったら大変だからな……)チラッ

明星「?」

京太郎「……まぁ、その……練習ですし、少し加減していただけますと、助かります」

良子「そうですか……ええ、構いません。後輩へ気遣いをするのは、先輩として当然のことですからね」

京太郎(むぅ、バレてる……)

良子「当然です、弟子の心など読むのは容易いですから」

京太郎「その読みはおかしいですよ!」

小蒔「ふ、二人ともなんだか……とっても、仲良しです……」

良子「ええ、私たちはとても仲がいいですよ、姫。ねぇ、京太郎?」

京太郎「お、押忍……」

明星(盛り上がってまいりました……そして私の心はボロボロです)

良子「まぁ、話していても仕方ありません……打ちましょうか」

京太郎「ですね――よろしくお願いします」

明星「よ、よろしくお願いします!」

小蒔「よろしく――お願いします」ジーッ

京太郎(可愛い顔で睨まれてる……)


良子25000→
明星25000→
小蒔25000→-7000
京太郎25000→57000

京太郎(やばい……)

タン、トン、トン

京太郎(調子がよすぎる……さっきからズッポシ入ってくる……)

京太郎「…………」

良子(あー……これはまずいですね。とにかく、誰も振らないよう祈るしかない――)

明星(……センパイの捨て牌、字牌がなさすぎる……やばいなぁ)

小蒔(いいところ……いいところを、どうにか……)トンッ

京太郎「――っ」

良子「……京太郎」

京太郎「う、はい……ロンです、先輩」

小蒔「はっ! な、何点でしょうかっ」

京太郎「小四喜です……32000、終了ですね」

小蒔「――っ! はい……」シュン

良子「姫、集中力が随分と欠けていましたね……そんなことでは、全国の強豪相手に戦えませんよ」

小蒔「はい……すみませんでした」

明星「だ、大丈夫ですよ、姫様。今回はたまたま――」

京太郎「まぁ……今回のは俺のたまたまだったけど、小蒔先輩」

小蒔「はい」

京太郎「先輩の麻雀は……常に相手を見て、相手への敬意を持ったものだったと思ってます。今回のような、自分の中に閉じこもった打ち方は、先輩らしくない」

小蒔「……は、い……」ウルッ

京太郎「お、怒ってるんじゃなくてっ……ですから、ええと……いつもみたいに顔を上げて、周りをよく見て打ちましょう」

京太郎「その結果、寝てしまうのは仕方ありませんから、ね?」

小蒔「はい……すみません」

京太郎「ですから怒ってませんって……さ、顔上げてください。泣いていると、可愛い顔が台無しです」つ□フキフキ

小蒔「ぁ……あ、ありがとう……ございます……///」

良子(……驚きましたね。京太郎がこんなセリフを――)

明星(これは姫様ルートきたー?)

京太郎「すぐ終わっちゃいましたし、もう一回打ちましょう――今度はちゃんと、牌と向き合ってくださいね」

小蒔「――はいっ、頑張りますっ」ニコッ

良子(――ああ、なるほど……これが嫉妬ということですね)

良子(なにがあったかは知りませんが、二人の間には、確かに絆がある……)

良子(まったく……春の後押しをし、少しおいしいところをいただければよかったのですが――)

良子「私を本気にさせてしまいましたか、京太郎」フフッ

京太郎「加減してくださいねっ!?」

良子「そっちの話ではないのですが……まぁいいでしょう、麻雀は加減しても構いません」

良子「もう一つのほうは――姫だろうと春だろうと、加減しませんがね」

京太郎「さて――あのあと良子さんにフルボッコされたのはいいとして――」

姫子「いや、ようなかやろ」

煌「まぁまぁ姫子、相手はトッププロ……互角で立ち回るのは、なかなか胆力が必要となりますよ」

姫子「京太郎なら、それもできるやろち思うとるけん……あ、でも負けたんを慰めるんもありか……」

京太郎(この人はなにを言っているんだろう……)

姫子「――残念やったとねぇ、京太郎。でもよかよ、また次頑張れば。応援しとるけん、しっかりなぁ」ナデナデ

京太郎「あ、はい……ありがとうございます、姫子先輩」ニコッ

姫子(いよっしゃああああああああああ!)グッ

煌「はぁ……ああ、そうそう。京太郎くん、少しあちらの一年生の指導をお願いできますか。アシスタントもつけますので、少し込み入った部分をお願いできると助かります」

京太郎「あ、はい。では、行って参ります」

春「京太郎、大丈夫だった?」

京太郎「ん? ああ、さっきの対局か。たっぷり扱かれたよ、おかげで強くなれたかもな」

春「そう……無理しないでね」

京太郎「おう、サンキュ。それじゃ、一年の指導に行くから――」

春「私も行く。指示をくれたら、なんでも手伝う」

京太郎「そりゃ助かる。頼んだぞ」

春「……あれ?」

京太郎「どうした?」

春「ううん……テンプレ崩し、するんだなって……」

京太郎「ま、まぁ一年の練習だからな。ふざけないで、真面目にやろうと思ってさ」

春「そう……わかった。真剣な京太郎も、かっこいい……」

京太郎(なんとなく……春なら冗談で済ませそうになかったから、言及しなかったんだが……うん、言えないな)

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最終更新:2026年01月19日 22:54

*1 ((断れー! 断れー!