京太郎「もうすぐホームルーム終わりますよ。いつまで続けるんですか、これ」
揺杏「まだ全然充電できてないもん、もう少しだけ抱き締めて」
京太郎「そもそも充電って、後ろから抱きすくめるヤツですよね。たしか」
揺杏「細かいことは言いっこなし。ほら、ちゃんと胸に頭預けて」
京太郎「細かくないし、めちゃめちゃ照れくさいんですけど」
揺杏「…………」
京太郎「先輩?」
揺杏「告白。保留してるくせに」
京太郎「う」
揺杏「いつまで経っても名前で呼んでくれないし。それに」
京太郎「分かった。分かりましたから、大人しく抱かれててください」
揺杏「えへへ」
京太郎「もう」
揺杏「きょうたろ、きょうたろ。くんかくんか」
京太郎「ちょっと、においを嗅ぐのは本当にやめてください。恥ずかしいです」
揺杏「砂ボコリのにおいがする。体育があったんだね、今日は」
京太郎「揺杏先輩!」
揺杏「へ」
京太郎「ほ、他のことならなんでもしてあげますから。だから」
揺杏「いま。名前」
京太郎「…………」
揺杏「わわわわ、分かった。においを嗅ぐのはやめる。やめるから」
京太郎「…………」
揺杏「もっかい」
京太郎「…………」
揺杏「…………」
京太郎「揺杏、先輩」
揺杏「…………」
京太郎「揺杏」
揺杏「…………」
京太郎「…………」
揺杏「…………」
京太郎「えっと。ドキドキしてますよね、いま。胸から直接聞こえます」
揺杏「どうしてそういうこと口に出すかな」
京太郎「ごめんなさい。なんか、可愛くて」
揺杏「そんなの、ドキドキしてるに決まってるじゃん。京太郎のばか」
京太郎「すごく温かいです。先輩の体」
揺杏「え」
京太郎「先輩?」
揺杏「や、やだ。どうしよう」
京太郎「どうかしましたか」
揺杏「汗、出てきちゃった。京太郎が変なこと言うから」
京太郎「…………」
揺杏「京太郎?」
京太郎「揺杏先輩のにおい」
揺杏「ちょっと!? 嗅がないでよ、人にはダメって言ったのに!」
京太郎「さっきのお返しです。くんかくんか」
揺杏「い、いまはダメ! 汗かいちゃってるから本当にダメなの!」
京太郎「先輩、揺杏先輩」
揺杏「ダメだって、言ってるでしょ!」
京太郎「あっ」
揺杏「きゃっ!?」
京太郎「…………」
揺杏「…………」
京太郎「倒れちゃいましたね。椅子」
揺杏「…………」
京太郎「えっと、もしかしなくても先輩のスカートの中ですよね。これ」
揺杏「…………」
京太郎「先輩」
揺杏「立てないの」
京太郎「へ?」
揺杏「腰が抜けちゃって立てないの!」
京太郎「…………」
揺杏「…………」
京太郎「いま触ってるこれ、先輩の太ももですよね」
揺杏「せ、先輩の太もも。です」
京太郎「柔らかいのに黒ストが指を押し返してきて、その。いいと思います」
揺杏「ありがとう、ございます」
京太郎「…………」
揺杏「…………」
京太郎「いま俺の顔に乗ってるのって、先輩の」
揺杏「いいいい、言わなくていいから! その通りだから!」
京太郎「…………」
揺杏「…………」
京太郎「くんかくんか」
揺杏「ちょっと!?」
京太郎「すーはー、すーはー」
揺杏「ばかばかばか! ダメ! 絶対嗅いじゃダメ! ばか! 京太郎ばか!」
京太郎「なるほど」
揺杏「何満足してるのさ! ばか! えっち、すけべ! 変態!」
京太郎「…………」
揺杏「京太郎?」
京太郎「好きです」
揺杏「へ」
京太郎「たしかに良いにおいとは言えませんけど、好きです」
揺杏「な、何言って」
京太郎「揺杏さん、俺と付き合ってください」
揺杏「」
由暉子「そんな。嘘です」
揺杏「ユキ!? あんた、いつからここに!?」
由暉子「お二人が特殊なプレイを始めたあたりから、ずっと」
揺杏「」
由暉子「驚きを隠せません。まさか岩館先輩にこんな性癖があったとは」
揺杏「これは事故! 事故だから! 腰が抜けて立てないの!」
由暉子「こ、腰が抜けて立てない? そのスカートの中で一体何が」
揺杏「違う!」
由暉子「正直ドン引きです」
揺杏「私、ユキにドン引きされたの!?」
由暉子「ですが、まあ。それはそれ、これはこれですよね」
揺杏「へ」
由暉子「私は一旦身を引きます。須賀くんが岩館先輩を選んだのであれば」
揺杏「ユキ」
由暉子「ずっと待っていますから。いつかあなたが振られる日まで」
揺杏「…………」
由暉子「…………」
揺杏「ありがと」
由暉子「ふん」
揺杏「ところで、皆はどうしたの? ユキの他にはまだ誰も来てないよね」
由暉子「え」
揺杏「え?」
爽「きききき、来てないぞ。うん」
誓子「あ、あはは。はは、ははは」
成香「おめでとう、揺杏ちゃん」
揺杏「」
揺杏「」
京太郎「くんかくんか。すーはー、すーはー」
最終更新:2013年10月12日 20:01