咲「どうですか。京ちゃん、毎日元気に過ごしてますか」
恭子「ハハ、そればっかりはあの人に直接聞かんと分からんな」
咲「そんな、夫婦なのに」
恭子「取り繕ったりする人でしょう、周りに心配かけへんように」
咲「やっぱり今でもそうなんですか、京ちゃん」
恭子「学生時分よりずっとな。昔は昔でカッコ付けやったけど」
咲「あはは」
恭子「ただ、少しは学習したようで『本当にしんどいときは頼ります』なんて」
咲「京ちゃんがそう言ったんですか? まさか」
恭子「そこは姐さん女房ですから。ふふ」
咲「ごちそうさまです。なんかジェラシー感じちゃうなあ」
恭子「宮永はどうなん。浮いた話の一つや二つ」
咲「ありませんよ、そんなの。宮永咲は今も昔も京ちゃん一筋です」
恭子「堂々と私の前で言ってのけるあたり、あんたらしいというか。なんというか」
咲「悪い女ですから、私」
恭子「そら気を付けな。せやったら今晩あたりあの人に打診しておきましょうか」
咲「打診?」
恭子「子どもや子ども。それなりに経つからな、私らがいっしょになってから」
咲「なんというか、恭子さんって私に対して容赦がないですよね」
恭子「何言うてん、うちの旦那の十年来のお友だちや。仲良うしてるつもりやで」
咲「お友だち、ですか」
恭子「にっこり」
咲「敵わないなあ、やっぱり」
恭子「百年早いわ。私ら二人が須賀のお墓に埋まってからでも出直したらええよ」
咲「麻雀なら一ひねりなんですけどね」
恭子「あんまりうるさいと小鍛治プロみたいに行き遅れますよ、宮永世界チャンプ」
咲「いいもん。京ちゃんの愛人さんになるから」
恭子「別にええけどスッカラカンやで? すてきな奥さんが毎晩ご奉仕してるからな」
咲「…………」
恭子「うん?」
咲「元気なんですね、京ちゃん」
恭子「ハハ、そればっかりはあの人に直接聞かんと分からんな」
最終更新:2013年10月12日 21:45