彼女と──咲と同棲生活を続けて、もう四年は経つ。
高校卒業後にどうせならと、一緒に生活を始めたのがきっかけだった。
……まあ、同じ屋根の下でいれば……その、やることやっちゃったりとかしたわけだけど。
だが、俺たちももう大人だ。
子供同士の恋人から、もう一段階ステージを上げたい。
ケジメは、つけたい。
「咲」
昼食の準備で台所に立つ彼女に、俺は後ろから抱きしめた。
「なあに、京ちゃん」
咲は慣れた様子で、調理の手を止めない。昔は抱きついただけでオロオロして、料理の一つも満足にできなかったくせに。
見てろ。意地でも狼狽えさせてやる。
「……これ、受け取ってくれないか?」
ポケットから取り出した、指輪ケース。それを開いて、中身を咲に見せた。
シンプルな、なんの宝石も付けていないリング。安月給の俺じゃあ、こんなものしか用意できなかったけど。
「京ちゃん、これって……」
「結婚しよう、咲」
お前を想う気持ちは、誰にだって負ける気はしない。
お前を、俺にくれ。
「うん、私も、そうしたいって……ずっと思ってた」
調理の手を止め、抱きしめられながら俺に向き合った。
唇と、唇が、重なり合う。
カンッ
最終更新:2013年11月02日 19:05