白望「正直なところ覚えてないや、一体いつ以来だろうね。塞が私を呼びつけるなんて」
塞「やめてよそういうの、あんただって本当は意識してたくせに。私にだってそれくらい分かるよ」
白望「だったらどんな言葉が欲しかったの。塞は今以上、それ以上私から何が欲しいの」
塞「ちゃんと部活に来て」
白望「…………」
塞「胡桃や他の皆だって薄々勘付いてる。どうして私たちの前からいなくなったりしたのかって」
白望「私は推薦もらえなかったからね。サボりすぎたツケなのかな、ダルくて仕方がないよ」
塞「嘘」
白望「嘘だったらなんだって言うの」
塞「あんたは見たくないものから目を背けてるだけでしょう。卑怯なことしないでって言ってるの」
白望「卑怯?」
塞「いつまでもそうやって拗ねてるのはあんたの勝手だけど、皆に迷惑をかけるなら話は別だよ」
白望「…………」
塞「シロ」
白望「心にしこりを残したままあの子と幸せにはなれないって。ちゃんとそう言いなよ」
塞「…………」
白望「塞はさ、残酷なことを言うよね。自分とあの子のためなら私がどうなろうと構わないんだ」
塞「あんたが望んだ結果じゃない。中途半端に投げ出したりしないで最後まで責任を持ってよ」
白望「最後、ね」
塞「言いたいことがあるならちゃんと言って」
白望「別に大したことじゃないよ、何から何まで塞の言う通り。私は未練を捨てきれてなかったんだ」
塞「ねえシロ」
白望「そこから先は言わないでよ。ダルいからじゃない、これ以上無いものねだりはしたくないから」
塞「無いものねだりって。勝手に手放して私たちの前からいなくなったのはあんたじゃない」
白望「もうやめてよ」
塞「…………」
白望「全部分かってるから。青い鳥を逃がしたのも私、塞とあの子の幸せを履き違えたのも私」
塞「もう戻れないんだね。前みたいには」
白望「取り返しのつくものなんて何もなかったでしょう。塞はあの子のことだけ考えてればいいよ」
塞「ごめん」
白望「明日からでもいいよね。部活に顔を出すの」
塞「明日でも明後日でもいいよ。あんたが戻ってくるならさ」
白望「ありがと」
塞「私こそ色々ありがとう、そろそろ時間だから部活いくね。また明日部室で」
白望「うん」
白望「…………」
白望「これでよかったんだよね」
白望「赤い目のまま会いたくないもんね」
最終更新:2014年03月31日 21:39