咲「…………」
京太郎「あー、咲」
咲「…………ふんだ」
京太郎「なんで俺、朝からいきなり呼び出されて、お前の部屋の模様替えさせられてるんだっけ?」
咲「……嫌?」
京太郎「や、別にそういうわけじゃないが」
咲「ならいいよね」
京太郎「いいっちゃいいんだけど。まあ、高校時代の部活で雑用は慣れてるしな」
咲「…………」
京太郎「ハァ……後は、この本を本棚に戻して終わりか」
咲「……お疲れ様」
京太郎「どういたしましてっと」
咲「……」
京太郎「……」
咲「京ちゃん、私今日は何もしたくない気分なの」
京太郎「……」
咲「……」
京太郎「……それで?」
咲「わたし、なにも、したくないの」
京太郎「……了解。時間的に昼飯か……夏だし涼しいやつでいいよな? 何かあったっけ?」
咲「おそばがある」
京太郎「なるほど、じゃあそれにするか――ってか、今日不機嫌だよなお前」
咲「……そんなことないもん」
京太郎「そんなにブスっとしてるのにか?」
咲「……してないもん」
京太郎「ま、言いたくないならいいけどな……」
咲「…………先週、他の大学の女の子」
京太郎「……え゛っ!?」
咲「合コン参加。彼女を放っておいて。しかも良い雰囲気だったとか」
京太郎「な、なんでそれを……?」
咲「ふーんだ!」
京太郎「いや! 咲、違うんだって! あれは単に頭数が足りなかったから呼ばれただけで!
むしろ先輩に強要されたというか! つか誰だよチクったやつ!」
咲「いいわけはききたくありませんー」
京太郎「いや、マジで疚しいことはないから! 天地神明に誓って! 別に良い雰囲気とかないから!
ちゃんと断ったから!」
咲「つーん」
京太郎「あー……ほんとすまん。機嫌直してくれよ」
咲「……」
京太郎「……」
咲「……今日の晩御飯」
京太郎「了解、作らさせて頂きます」
咲「……明日買い物に行きたい。新刊出るし」
京太郎「エスコートさせて頂きます」
咲「…………京ちゃん反省してる?」
京太郎「海よりも深くしてます」
咲「…………」
京太郎「…………」
咲「はぁ……じゃあ、許したげる」
京太郎「……誰に聞いたか知らないけど、本当に何もなかったからな」
咲「ん、そこは信用してる」
京太郎「あー……変な汗かいた」
咲「自業自得だよ」
京太郎「いや、付き合いってもんがあるんだって……まあ、次もしあったら連絡する」
咲「……あんまり不安にさせないでね」
京太郎「善処します――――んじゃ、とりあえず昼飯作るわ」
咲「うん」
咲「本当……不安にさせちゃ嫌だよ、京ちゃん。付いていくって決めてるけど心配なものは心配なんだもん」
――そんな夏休みの一日。
終
最終更新:2014年09月21日 01:37