咲「あーん」
京太郎「え……咲、おまえなにリップクリーム食べようとしてんの?」
咲「ち、ちがうちがう! 塗りやすいようにあたためてるだけだよ!」
京太郎「そうなんだ。てっきり……」
咲「てっきりなにさ。京ちゃんの中で私はどんな扱いなの?」
京太郎「な、なんでもない。さすが、女子はそういうの気にかけるよな」
咲「京ちゃんが気にしなさすぎなんだと思うよ。あ、そうだ」
咲「コレ、使ってみる?」
京太郎「え? いや、いいって」
咲「遠慮しなくてもいいんだよ」
京太郎「ってかオレ、リップクリーム苦手なんだよ」
咲「そうなの?」
京太郎「ああ。なんかスースーするし、ベタつくし」
咲「それなら大丈夫。これ無香料でサラサラしてるやつだから」
京太郎「へぇ」
咲「と、いうわけで。京ちゃんここ座って、そしたらすこし顔あげてね」
京太郎「はいはい」
咲「で、ちょっと口開いて……軽くイーってして」
京太郎「こう?」イー
咲「そうそう。うーん、人にするのって難しいね」ヌリヌリ
咲「しょうがない。指で塗るね」
京太郎「へ?」
ヌリヌリ
京太郎(うお……咲の指が、オレのくちびるに……)
咲「んっしょ……」
京太郎(細いなぁ。やっぱり男とは全然ちがう……)
京太郎(ちょっと冷たいのが気持ちいい……人に触られるのって、変なカンジだ……)
京太郎「…………」
京太郎「あむ」パックン
咲「きゃああああっ!?」ビビクン
咲「なに!? なんで指食べるの!?」
京太郎「ごめん。つい……それで、ちゃんと塗れてる?」
咲「塗れてるよ!」
京太郎「ほうほう。たしかにスースーしないし、ベタベタしない!」
咲「でしょー」
京太郎「さすが咲。これから乾いた時は、咲にお願いしようかな」
咲「ええー? もう、しょうがないなー」
優希「うそだじぇ。ベタベタしてるじぇ」
和「見てるこっちがスースーしてきますね。心が」
カン
最終更新:2017年03月19日 21:44