私、新子憧は恋をしている。
近寄りたくもないと思っていた男性に。

その人は、金髪高身長というチャラそう―私の偏見だが―な見た目に反して、誠実な人柄をした同級生だ。

2年という短い期間だったが、親友とも呼べる少女―原村和―に再開する為に挑んだ全国大会。そこで、出会った須賀京太郎に私は恋をしている。

当初は、何処ぞの野良猫のほうがまだ可愛気があるというほどに警戒をしていた。
だが、警戒心が弱まるのは案外早かった。
彼が夏休み明け、所謂2学期頭に転校してきた京太郎は、持ち前の性格の良さとコミュニケーション能力でクラスや麻雀教室の子たちと仲良くなっていた。

特に、玄とは何かを感じ取ったのか何なのか、胸の話で意気投合していた。
そんなこんなで京太郎との仲は良くなり、話し掛けてきたり、一緒に帰ったりする所謂友達―数少ない男友達―となった。

そう、彼はよく話し掛けて来てくれる。
私を、数多くいる友達の一人として。

「なぁ、憧! 望さんって付き合ってる人いるのかな? 」

「望さんの苦手なものとか好きなものって何なのか分かるか、憧」

「憧、聞いてくれよッ! 望さんがさぁ、今度弁当を作ってくれるって言っててさぁ、楽しみだなぁ。」

「憧のアドバイスのおかげで、望さんをデートに誘えたよ。ありがとな。」

「この前のデートでさぁ、望さんとちょっとしたゲームをしたんだけど、意外と負けず嫌いな所もあるんだな。何かまた、好きになった。」

私は恋をしている。
私の姉―新子望―に恋い焦がれている須賀京太郎に思慕の念を抱いている。
決して叶わず、成就しない恋を。

あぁ、夢ならばこの夢はいつ醒めるのか。

カンッ

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最終更新:2017年10月12日 23:26