それはとあるインターハイ後の休日の電話中
憧『ねえ、あんた……来年奈良に越してこない?』
京太郎「なに言ってんだよ、清澄も阿知賀もそう状況変わらないだろ。赤土さんいなくなるんだし」
憧『これオフレコだけど、今年の宮守の監督の人が後任に来るって流れになってるのよ
それに私以外は目標の大半達成しちゃったし、団体戦出れるかも微妙なとこなのよね』
そういえば、和の旧知三人組は和と遊ぶのが目的で、部長だった人は赤土さんの強さを証明すること、そして宥さんは卒業
憧『てわけで、来年は人数足らなかったら私が個人戦に出るだけになるかなって。
そしたら他は時間空くし、熊倉さんの指導受けられるし、楽しくやる分には向いてるんじゃないかと思うんだけど』
善意で言ってくれてるのは分かる。咲も和に任せてれば何とかなるだろうし、優希は自分でタコスを調達すればいい。
染谷先輩にしわ寄せがいかないかとかは気になるとこだが。
憧『たぶんあんた、このままだと来年も同じことさせられるわよ。だったら、いっそ私たちのとこで……』
京太郎「……気持ちは、嬉しい。けどやっぱ、俺清澄の一員なんだ。少なくとも今年塗った汚名を挽回できなきゃ、顔向けできない」
その俺の熱量に電話口の向こうでため息が一つ。
憧『そ、決めてるならしょうがないわね。けど相談や特訓に付き合ってやるくらいはしたげる。頑張んなさいよ』
京太郎「おうっ、サンキュな、憧!」
切れた電話口の向こうで、新子憧は自室のベッドに顔を埋める。
憧「あーあ、失敗かあ。素直に毎日一緒にいたいって言っとけばよかったかな? いやいや、そんなの恥ずかしくて無理!」
乙女の心、朴念仁は知らず。
カン
最終更新:2017年10月20日 01:00