京太郎「…咲、控え室に戻ったんじゃないのか?」
咲「京ちゃんも一緒に戻ろう?」
京太郎「俺はちょっと用事があるんだ、先に戻ってくれ」
咲「嫌、一緒に戻るの」
京太郎「咲…」
咲「嫌だ、嫌だ、これでお別れなんて、絶対に嫌だ!」
京太郎「…もう、終わったんだ。お前に俺は必要ない」
咲「そんなことないよ!京ちゃんは私に必要だもん!」
京太郎「いや、もうお前には…っ!もう時間か、誰にも見られないようにしたかったんだが…まあ、全部忘れるし同じか」
咲「ダメ、嫌、まだ私の願いは、京ちゃんがいないなんて…」
京太郎「咲。確かに俺がきっかけさえ作ったけど…確かにお前が作り上げた絆なんだ、大切にな」
咲「ダメ、ダメ!消えないで!まだ、ありがとうも伝えきれてない、まだ、私の気持ちも…大好きって事も言えてないのに!」
京太郎「さようなら、咲」
咲「ヤダよ…行かないで…京ちゃん…!」
周りは草だらけ、自分の為に建てられた小さな祠も既に蔓に覆われている。
さき「いやだよぅ…なんでみんないなくなっちゃうの?」
何処ぞの神様に願おうとして作られたは良いものの、できたのは残念ながら自分のような偽物だった。
さき「だれもいない…ともだちも、わたしひとりじゃできないもん…」
もう願う人もいなくなり完全に消えるのを待っていたら、迷い込んできた少女が一人。
さき「さびしいよ…だれか、そばにいて…」
きっと、自分に願った訳ではない。しかし、消えかけの自分に確かに届いた願い。
???「なあ、こんなところでどうしたんだ?」
ならば、偽物でも、力が無くても、最後に叶えてあげたくなるのが神様の本懐ってものだろう。
さき「だ、だあれ?」
???「ん~…そうだな、おれのなまえは…」
本物にはちと悪い気もするが、思いついたのが関連した事だったのだから仕方がない。そのまま使った訳ではないので許してくれるだろう。
京太郎「すが、すがきょうたろうだ。よろしくな!」
せめて、この子に寄りすがれるような友達ができるまでは。
最終更新:2018年04月26日 22:20