須賀京太郎神域の花園に入り三日の内に三年を過ごせし事

今は昔、清澄と呼ばれた地に心優しき金髪長身の青年あり。

ある日道に迷った幼馴染を探しに山に入ると辺り一面に霞がかかり道を見失う。「やれやれ、これでは咲を馬鹿に出来ないな。」と目の前にあった桜の木の下に腰を落とし一息つく。

するとどうした事か、一挙に霞が晴れ見知らぬ土地にいるではないか「ここは一体何処なのやら、まあいいか先に進もう。」

そして先に進むと、一軒の家がある。京太郎が家を訪ねると、そこには七人の乙女が住んでいた。七人とも十七、八歳で、白い衣をまとって、非常に麗しい容貌をしている。

七人の乙女は京太郎を見るといそいそと家の中に迎え入れて、「私たちは、もうずっとあなたのおいでを待っていました」と言った。

「えっ、俺が来るのを待っていただって? どうしてそんなことが分かったんです。俺はたまたまここに迷い込んだだけですよ」

「そんなの、どうでもいいじゃないの。折角来たのですから、いつまでもいてください」

七人の乙女はこう言って、京太郎を手厚くもてなして、果てはその妻になってしまった。京太郎は夢のような心地で毎日をすごしていたが、3年も経つと清澄が恋しくてたまらなくなった。

ここがどうやら鹿児島らしいと言う事は分かっていたので、少しばかり路銀を拝借し後で必ず返すと書き残しすぐさま帰省の途に就いた。

家が見える頃になるとおかしな事に気がついた。「おや?3年も経つのに町並みが一切合切なにも変わっていないな。」

すると道に迷った頃となにも変わっていない学生の姿の咲、和、優希、まこ、久が一体今まで何処に居たのかと詰問しに現れた。

京太郎が一から十まで事の次第を説明し終えると、皆がそれはおかしいと口を揃えて言う。どういう事かと聞き返すと「だって京ちゃんが居なくなってからまだ3日しか経ってなかったんだもの。」と咲が言った。

京太郎は、「あぁ、あそこはそう言うところだったのだなぁ」と妙な得心がいった。
京太郎は自宅に数日滞在し「俺は妻達の元へ帰る、元気にやっていくつもりだから安心してくれ。」と親、学友、飼育しているカピバラに別れを告げ鹿児島に帰っていった。

それから後、京太郎の行方を知る者はいない